説明

水性ストリッパブルペイント

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は水性ストリッパブルペイントに関する。さらに詳しくは、塗料塗装面やプラスチック成形品の表面保護に用いられる、剥離性が優れた水性ストリッパブルペイントに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、自動車の外装塗装面の一時保護や換気扇等の汚れ防止等の目的のため、塗装して皮膜として使用し、かつ、不用になったとき剥離除去可能ないわゆるストリッパブルペイントが用いられる。該ストリッパブルペイントには水性のものと油性のものがあるが、作業者の安全衛生面、火災の危険性、公害問題などの観点から水性のものが望まれている。この水性ストリッパブルペイントとしては、いわゆる塗布ワックスとして用いるポリオレフィン系のもの(特公昭53−37257号公報)、カルボキシル基を含有するポリマ−からなるもの(特公昭55−50517号公報)、油溶性ポリマ−からなるもの(特開平2−182768号公報)などが知られているが、これらのものは水、アルカリ水もしくは有機溶剤で洗浄することで剥離除去するタイプのもので、いずれも洗浄後の廃液処理を必要とし、公害問題の点から好ましくない。このため、水性ストリッパブルペイントでも特に使用後には連続皮膜として剥離可能なものが望まれている。この様な連続皮膜として剥離廃棄可能な水性ストリッパブルペイントとしては、例えば■アクリロニトリルを必須単量体とするアクリル系モノマーの共重合体の水性分散体からなるストリッパブルペイント(例えば特公昭44−29593号公報および特公昭49−28889号公報)、■アクリル酸ブチルエステルとメタクリル酸メチルエステルを水中で乳化共重合させてなる水性ストリッパブルペイント(例えば特公昭45−14671号公報)、■硬質モノマーと軟質モノマーで構成されるアクリル系共重合体と撥水剤を必須成分として含有する水性ストリッパブルペイント(例えば特開平03−140373号公報)等が提案されている。
【0003】
【課題を解決しようとする課題】しかしながら、上記■の水性ストリッパブルペイントは剥離後に不用となったペイント皮膜を焼却廃棄する際に、有害なシアンガスを発生するという問題があり、■の水性ストリッパブルペイントは、屋外暴露によって、素地の塗料塗装面との接着性が経時的に上がり、剥離性が低下するという欠点がある。また、■のものは、撥水剤が皮膜と相溶しないため、皮膜が白濁し透明な皮膜にならず、外観上好ましくない。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、消却時にシアンガスの発生を伴うアクリロニトリル系重合体を含まず、屋外暴露によっても素地の塗装面との接着力が変わらず、外観の良い透明で均一な皮膜を形成し、容易に連続皮膜状での剥離が可能な水性ストリッパブルペインを得るべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
【0005】すなわち本発明は、構成単位として炭素数12〜30の長鎖脂肪族モノアルコールの(メタ)アクリレート(A)1〜40重量%および該(A)と共重合可能な重合性単量体(B)60〜99重量%からなる共重合体の水性分散体からなり、該共重合体のガラス転移点が0〜40℃であり、乾燥皮膜の引張破断強度が少なくとも30kgf/cm2であることを特徴とする水性ストリッパブルペイントである。
【0006】本発明における共重合体を構成する(A)は、炭素数12〜30の長鎖脂肪族モノアルコールの(メタ)アクリレートであり、アルコールの炭化水素基は直鎖状のものであっても分岐状のものであってもよい。該(A)の具体例としては、ラウリル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)アクリレートおよびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
【0007】(B)は、上記(A)と共重合可能な他の重合性単量体であり、たとえば下記(a)〜(i)の単量体が挙げられ、これらは2種以上を併用することができる。
(a)不飽和カルボン酸のエステル炭素数1〜11のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステル;マレイン酸、フマル酸およびイタコン酸のジアルキルエステルまたはモノアルキルエステルおよびN,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなど。
(b)スチレンおよびその誘導体スチレン、アルキル基置換スチレン(α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエンなど)、ハロゲン置換スチレン(モノクロルスチレンなど)など。
(c)ヒドロキシル基含有単量体2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなど。
(d)ハロゲン原子含有単量体塩化ビニル、塩化ビニリデン、クロロプレンなど。
(e)脂肪族炭化水素系単量体ブタジエン、イソプレンなど。
(f)ビニルエステルおよび/または(メタ)アリルエステル類酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酢酸アリルなど。
(g)アミ基含有単量体(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブチロール(メタ)アクリルアミドなど。
(h)不飽和カルボン酸(塩)
(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸およびこれらの塩(アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、アミン塩など)など。
(i)ポリビニル単量体ジビニル単量体(ジビニルベンゼン、ジビニルフタレート、ジアリルフタレート、1、6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなど)、トリビニル単量体(トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレートなど)、テトラビニル単量体(ペンタエスリートテトラ(メタ)アクリレートなど)など。
【0008】上記(a)〜(i)で例示したもののうち(g)〜(i)は、通常、(a)〜(f)のいずれかと併用して用いられる。上記(a)〜(i)で例示したもののうち好ましいものは、炭素数1〜8の脂肪族モノアルコールの(メタ)アクリレートおよびスチレンであり、特に好ましい物は、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルおよびスチレンである。
【0009】本発明における共重合体を構成する(A)と(B)の重量比は、通常(1:99)〜(40:60)、好ましくは(2:98)〜(30:70)である。(A)の比率が1未満では耐候後の剥離性が不十分であり、40を超えると皮膜の強度が不足する。
【0010】本発明における(A)と(B)との共重合体のガラス転移点は、通常0〜40℃、好ましくは5〜30℃である。ガラス転移点が0℃未満であると、皮膜が柔らかすぎて膜の強度が不十分となり、40℃を超えると最低造膜温度が高くなりすぎ室温付近の温度での皮膜形成が困難となる。また、乾燥皮膜の引張破断強度は通常30kgf/cm2以上、好ましくは50kgf/cm2以上である。引張破断強度が30kgf/cm2未満では剥離時に塗膜が連続皮膜にならず剥離がスムーズに行いにくい。なお、本発明におけるガラス転移温度(Tg)は、下記式(1)で示されるFoxの方法により算出されるものとする。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・+Wn/Tgn (1)
[式中、Tgは共重合体のガラス転移温度(絶対温度表示)、Tg1、Tg2・・・Tgnはそれぞれ重合体中の各単量体成分の単独重合体でのガラス転移温度(絶対温度表示)、W1、W2・・・Wnはそれぞれ各単量体成分の重量分率を示す。]
【0011】本発明における共重合体の水性分散体は、通常、(A)および(B)からなる単量体混合物を、重合開始剤および界面活性剤の存在下、水系溶媒中で乳化重合する方法、あるいは有機溶媒中で重合した後、水に溶媒置換する方法により得られるが、好ましくは乳化重合法である。乳化重合の方法としては、公知の方法(一括仕込み法、モノマー滴下法、モノマーエマルション滴下法など)が使用できる。
【0012】乳化重合法による場合に用いられる界面活性剤(乳化剤)としては、下記(イ)〜(ニ)に挙げられる公知の界面活性剤の1種または2種以上が挙げられる。乳化剤の使用量は、単量体全量に対して通常1〜10重量%である。
(イ)非イオン性界面活性剤脂肪族アルコールアルキレンオキサイド付加物(例えば、ラウリルアルコールのアルキレンオキサイド付加物、ミリスチルアルコールのアルキレンオキサイド付加物、セチルアルコールのアルキレンオキサイド付加物、ステアリルアルコールのアルキレンオキサイド付加物、オレイルアルコールのアルキレンオキサイド付加物等);アルキルフェノールのアルキレンオキサイド付加物(例えば、オクチルフェノールのアルキレンオキサイド付加物、ノニルフェノールのアルキレンオキサイド付加物、ドデシルフェノールのアルキレンオキサイド付加物等);脂肪酸のアルキレンオキサイド付加物(例えば、ラウリン酸アルキレンオキサイド付加物、ステアリン酸アルキレンオキサイド付加物等);多価アルコール脂肪酸エステルのアルキレンオキサイド付加物(例えば、ポリアルキレングリコールオレイン酸モノエステル、ポリアルキレングリコールオレイン酸ジエステル、ポリアルキレングリコールラウリン酸ジエステル等);高級アルキルアミンのアルキレンオキサイド付加物;脂肪酸アミドのアルキレンオキサイド付加物;油脂のアルキレンオキサイド付加物;ポリプロピレングリコールのエチレンオキサイド付加物;グリセロールの脂肪酸エステル;ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル;ソルビトールおよびソルビタンの脂肪酸エステル;ショ糖の脂肪酸エステル;多価アルコールのアルキルエステル;アルカノールアミン類の脂肪酸アミドなど。上記においてアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、ポロピレンオキサイドなどが挙げられ、好ましくはエチレンオキサイドである。
(ロ)アニオン性界面活性剤ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸エステルナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルナトリウムなど。
(ハ)カチオン性界面活性剤ステアリルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルベンジルジメチルアンモニウムクロリドなど。
(ニ)反応性界面活性剤アルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム、(メタ)アクリロイルポリオキシアルキレン硫酸エステルナトリウムなど。
【0013】上記(イ)〜(ニ)のうち好ましいのは非イオン性界面活性剤であり、特に好ましいのは、HLBが8〜12の非イオン性界面活性剤(C1)とHLBが12を超え16までの非イオン界面活性剤(C2)との組合わせ;および両者とスルホン酸型アニオン性界面活性剤との併用である。このときの(C1)と(C2)の比率は、重量比で通常(10:90)〜(90:10)、好ましくは(30:70)〜(70:30)である。なお、上記HLBは次式(2)で示されるGriffinの方法により算出される数値である。
HLB=(界面活性剤中の親水基部分の分子量)/(界面活性剤全体の分子量)
×(100/5) (2)
【0014】また、重合開始剤としては、例えば下記の■〜■に挙げられる公知のものが使用できる。
■過硫酸塩過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウムなど。
■パーオキシド化合物ベンゾイルパーオキシド、ラウリルパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシド、過酸化水素など。
■アゾ系化合物アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、アゾビスアミジノプロパン−2塩酸塩、アゾビスシアノ吉草酸、アゾビス{2−メチル−N−[1、1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]}プロピオンアミド、アゾビス[2−メチル−N−(ヒドロキシエチル)]プロピオンアミドなど。
■レドックス系開始剤過硫酸アンモニウムと重亜硫酸ナトリウムのような、過酸化物と還元性(重)亜硫酸塩との組合せ;過硫酸アンモニウムとジメチルアミノエタノールのような、過酸化物とアミン系化合物との組合せ;過酸化水素とFe2+のような、過酸化物と多価金属塩との組合せなど。
【0015】水系媒体としては、水単独でも良いし、水の他に水混和性の有機溶剤(メタノール、イソプロパノール、アセトンなど)を併用してもよい。また、必要により重合反応に連鎖移動剤(メルカプタンなど)、電解質(炭酸水素ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、塩化カリウムなど)、pH調整剤(アンモニア、水酸化ナトリウム水溶液など)などを使用してもよい。
【0016】本発明の水性ストリッパブルペイントは、通常、上述した乳化重合物からなる。重合物の濃度は通常30〜60重量%であり、必要により乳化重合後に樹脂濃度を調整してもよい。また、必要により公知の造膜助剤(エチレングリコール、ジブチルフタレートなど)、増粘剤(ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルアルコールなど)、分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、劣化防止剤などを含有させてもよい。
【0017】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。以下において「%」は重量%を示す。
【0018】実施例1攪拌機、窒素ガス導入管、温度計、還流冷却器を備えた反応容器に水107g、過硫酸ナトリウム1g、トリポリリン酸ナトリウム0.4g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2g、ノニルフェノールポリオキシエチレン(6モル)付加物(HLB=10.9)2gおよびノニルフェノールポリオキシエチレン(12モル)付加物(HLB=14.1)2gを仕込み、次いで表1に示すモノマー混合物100gを仕込んだ。攪拌下系内を窒素ガスで置換し70℃に昇温し約4時間反応させた。反応物を30℃に冷却し25%アンモニア水でpH7に調整後、固形分49.7%の乳化重合物からなる本発明の水性ストリッパブルペイントを得た。このものを自動車外板用塗料(アクリルメラミン系)を膜厚40ミクロンに塗装した金属鋼板に、乾燥膜厚が100ミクロンになるようにアプリケーターを用いて塗装し、40℃で24時間乾燥したものを試験片として剥離強度を測定した。剥離強度は耐候前と耐候後に測定し比較評価した。なお、耐候性試験の暴露条件は、サンシャインウェザオメーターで100時間である。また、乾燥皮膜の引張破断強度をJIS K6301に従って測定した。これらの評価結果を表1に示す。
【0019】実施例2実施例1と同じ反応容器に、水107g、過硫酸ナトリウム1g、トリポリリン酸ナトリウム0.4g、反応性乳化剤(エレミノールJS−2;三洋化成工業製)2g、ノニルフェノールポリオキシエチレン(6モル)付加物2gおよびノニルフェノールポリオキシエチレン(12モル)付加物2gを仕込み、次いで表1に示すモノマー混合物100gを仕込んだ。攪拌下系内を窒素ガスで置換し70℃に昇温し約4時間反応させた。反応物を実施例1と同様に処理し、固形分49.8%の乳化重合物からなる本発明の水性ストリッパブルペイントを得た。このものを実施例1と同様にして評価した結果を表1に示す。
【0020】実施例3〜5実施例2と同じ条件で、モノマー組成のみ表1に示す混合組成で重合反応を行い、固形分50.0%の乳化共重合物からなる本発明の水性ストリッパブルペイントを得た。このものを実施例1と同様にして評価した結果を表1に示す。
【0021】比較例1実施例1と同じ反応器に、水107g、過硫酸ナトリウム1g、トリポリリン酸ナトリウム0.4g、ドデシルベンソンスルホン酸ナトリウム2g、ノニルフェノールポリオキシエチレン(6モル)付加物2gおよびノニルフェノールポリオキシエチレン(12モル)付加物2gを仕込み、次いで表2に示すモノマー混合物100gを仕込んだ。攪拌下系内を窒素ガスで置換し70℃に昇温し約4時間反応させた。実施例1と同じ条件で反応を行い、固形分49.5%の乳化重合物からなる比較の水性ストリッパブルペイントを得た。このものを実施例1と同様にして評価した結果を表2に示す。
【0022】比較例2実施例1と同じ反応器に、水107g、過硫酸ナトリウム1g、トリポリリン酸ナトリウム0.4g、反応性乳化剤(エレミノールJS−2;三洋化成工業製)2gを仕込み、次いで表2に示すモノマー混合物100gを仕込んだ。攪拌下系内を窒素ガスで置換し70℃に昇温し約4時間反応させた。実施例1と同じ条件で反応を行い、固形分49.5%の乳化重合物からなる比較の水性ストリッパブルペイントを得た。このものを実施例1と同様にして評価した結果を表2に示す。
【0023】比較例3および4比較例2と同じ条件で、モノマー組成のみ表2に示す混合組成で重合反応を行い、それぞれ固形分50.0%の乳化共重合物からなる比較の水性ストリッパブルペイントを得た。これらを実施例1と同様にして評価した結果を表2に示す。
【0024】比較例5比較例2と同じ条件で、モノマー組成のみ表2に示す混合組成で重合反応を行い、固形分50.0%の乳化共重合物を得た。このものに撥水剤としてパラフィンワックス乳化物を固形分当たり5重量%の割合で添加し、比較の水性ストリッパブルペイントを得た。このものを実施例1と同様にして評価した結果を表2に示すが、このエマルション混合物を塗工した乾燥皮膜は透明性がなく白濁した不均一なものであった。
【0025】
【表1】


*1 MMA :メタアクリル酸メチル C12A:アクリル酸ラウリルBA :アクリル酸ブチル C18A:アクリル酸ステアリル2EHA:アクリル酸2−エチルヘキシル C18M:メタクリル酸ステアリルSt :スチレン*2:JIS K 6301に準拠(180度剥離、引張りスピード50mm/分)
【0026】
【表2】


*3 AN :アクリロニトリルC12M :メタクリル酸ラウリル(他の略号は表1に同じ)
【0027】
【発明の効果】本発明の水性ストリッパブルペイントは下記の効果を有する。
(1)長期間の屋外暴露後も塗装面等の素地との接着性が変わらず、剥離性が良好である。
(2)組成物中にニトリル基を含まないため、剥離した後の皮膜を焼却する際、有害なシアンガスが発生しない。
(3)乾燥皮膜が適度な強度を有するので、連続皮膜の状態で容易に剥離が可能である。
(4)水系であり、取り扱い上安全である。
上記効果を奏することから、本発明の水性ストリッパブルペイントは、特に車両、建材等の塗料塗装面やプラスチックス成形品などの表面保護用塗剤として極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】 構成単位として炭素数12〜30の長鎖脂肪族モノアルコールの(メタ)アクリレート(A)1〜40重量%および該(A)と共重合可能な重合性単量体(B)60〜99重量%からなる共重合体の水性分散体からなり、該共重合体のガラス転移点が0〜40℃であり、乾燥皮膜の引張破断強度が少なくとも30kgf/cm2であることを特徴とする水性ストリッパブルペイント。
【請求項2】 上記(B)が炭素数1〜8の脂肪族モノアルコールの(メタ)アクリレートおよびスチレンから選ばれる少なくとも1種である請求項1記載の水性ストリッパブルペイント。
【請求項3】 上記水性分散体が、(A)および(B)を、HLBが8〜12の非イオン性界面活性剤(C1)とHLBが12を超え16までの非イオン界面活性剤(C2)とを必須に含有する乳化剤を用いて乳化重合させてなる水性分散体である請求項1または2記載の水性ストリッパブルペイント。

【特許番号】第2739297号
【登録日】平成10年(1998)1月23日
【発行日】平成10年(1998)4月15日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平6−323774
【出願日】平成6年(1994)11月30日
【公開番号】特開平7−233338
【公開日】平成7年(1995)9月5日
【審査請求日】平成7年(1995)9月11日
【出願人】(000002288)三洋化成工業株式会社 (1,719)