説明

水栓器具の設置構造

【課題】洗面器の上面奥側の左右いずれの隅部でもシングルレバー式水栓器具を設置できるようにし、良好な操作性を確保する。
【解決手段】水栓器具1は、胴体2が洗面器等10の設置面11に対し前方へ傾斜し、操作レバー3が先端へ向かって下方へ傾斜するように構成される。吐水管4は胴体2の背面側から立ち上がってほぼ水平に折れ曲がるよう形成され、立ち上がり部4aの軸線を中心として回動可能になされる。設置面11へ設置するに際し、胴体2の正面を洗面器等10の正面と一致するように設定したので、通常の使用態様において洗面器等10の中央部を向く吐水管4と、正面を向く操作レバー3とが上下に重なって干渉することがなくなり、操作レバー3の操作性が良好となり、吐水管4から吐出される水が操作レバー3にかかるのが防止される。水栓器具1は、左右いずれの設置面11,11にも設置可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗面器や手洗器(本明細書では両者を合わせて洗面器等と言う)の上面に取り付けられる水栓器具の設置構造に関し、詳しくは、水栓器具が操作レバーが一つである所謂シングルレバー式水栓器具であり、水栓器具の設置面が、洗面器等の上面奥側の左右隅部に形成されている場合を対象とするものである。
【背景技術】
【0002】
水栓器具が取り付けられる洗面器等において、水栓器具の設置面が、上面奥側の左右隅部に形成される場合がある。この洗面器等の左右いずれかの隅部へ水栓器具を設置する場合、従来は、水栓器具が中央から離れているために、洗面器等の正面側に対し適当角度だけ回動させて、水栓器具の正面が、洗面器等の中央部を向くように設定している。あるいは、特許文献1に記載するような水栓器具が使用される。
【特許文献1】特開昭57−57518号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
洗面器等に取り付ける水栓器具が、胴体頭部に一つの操作レバーを設けたシングルレバー式であり、且つ、胴体基部の背面側から立ち上がり操作レバーの上方へ伸びるよう形成された吐水管を有するタイプである場合、これを前記のように洗面器等の左右隅部へ設置すると、次のような不具合が生じる。水栓器具は、胴体正面が洗面器等の中央部を向くよう設定されているが、吐水管も同様に洗面器等の中央部を向けたとき、最も使用し易い状態であると考えられる。つまり、一般的な使用態様においては、吐水管の真下に操作レバーが存在する。そのため、操作レバーが水栓器具の使用時の邪魔になったり、あるいは、吐水管から吐出された水が直に操作レバーに当たることがあった。
【0004】
そこで、特許文献1に記載の如く、吐水管の立ち上がり位置を胴体の左右いずれかへ偏らせ、吐水管が操作レバーの直上を通らないように構成して、吐水管と操作レバーとの干渉を改善した水栓器具も提案されている。しかし、この水栓器具は左右非対称なため、洗面器等の右隅用と左隅用との二種類を用意しなくてはならないという問題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の問題を解決するために本発明が採用した水栓器具の設置構造の特徴とするところは、洗面器等の上面における奥側の左右隅部に形成した設置面のいずれか一方に水栓器具を設けるにあたり、胴体の正面が洗面器等の正面と一致するように設定し、胴体頭部に一つの操作レバーが設けられ、胴体基部の背面側から立ち上がって横方向に折れ曲がり、立ち上がり部の軸線を中心として回動可能に構成された吐水管が設けられ、該吐水管の先端側の吐水口が、洗面器等の鉢部の中央部付近に面するように設定したことである。かかる設置構造により、水栓器具の吐水管は洗面器等の中央部を向き、操作レバーは正面を向くことになるから、両者の干渉を回避することができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、洗面器等における上面奥側の左右隅部に形成した設置面に水栓器具を設置するにあたり、胴体の正面が、洗面器等の正面と一致するように設定したので、左右いずれの設置面に設置した場合でも、通常の使用態様において洗面器等の中央部を向く吐水管と、正面を向く操作レバーとが干渉することがなくなる。よって、操作性の向上が得られ、吐水管から吐出される水が操作レバーや胴体にかかるのが防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明をシングルレバー式水栓器具に適用した実施形態を、図面に基づき説明する。図1に示すように、本実施形態の水栓器具1は、胴体2が、洗面器等10の設置面11に対し、前方へ傾斜するように形成され、胴体2の頭部に設けられる操作レバー3が、先端へ向かって下方へ傾斜するように構成されているところを特色とする。操作レバー3は、図1(A)に矢印で示す如く、上下方向に回動させることによって、吐水・止水の切替や吐水量の調節ができるようなされたものである。そして例えば、同図(A)に示す下限位置を、止水位置とするように設定される。吐水管4は、胴体2の背面側から立ち上がり、ほぼ水平に折れ曲がるよう形成されたものであり、立ち上がり部4aの軸線を中心として回動可能に構成されている。すなわち水平部4bが、水平面内を回動可能となっている。なお水平部4bの先端側には、吐水部4cが設けられている。
【0008】
前述の水栓器具1は、図2及び図3に示すように、洗面器等10の上面奥側における左右隅部に形成した設置面11,11のいずれか一方に設置される。その際、本発明では、図示するとおり、胴体2の正面が、洗面器等10の正面と一致するよう設定する。これにより、回動可能な吐水管4を、洗面器等10の中央部へ向かせたときに、操作レバー3と吐水管4とが上下に重なることがなくなる。それ故、通常の使用態様において、操作レバー3の操作性が良好であり、吐水管4から吐出される水が直接操作レバー3にかかるのが防止される。
【0009】
また本例では、図1(A)(B)に示す如く、操作レバー3の先端側が、洗面器等10における鉢部12の上方に配置されるよう設定してある。これにより、鉢部12内空間を、操作レバー3の操作空間として利用できるので、操作性の向上が図られている。
【0010】
さらに水栓器具1の胴体2を前方に傾斜するように形成し、胴体2頭部に設けられた操作レバー3が先端に向かって下方へ傾斜するように構成することにより、水栓器具1を、洗面器等10の隅部へ、胴体2の正面が洗面器等10の正面を向くように設定して設置したときに、吐水管4との干渉が少なくなるので、良好な操作性を確保することができる。
【0011】
なお上記水栓器具1は、図3に示すように、洗面器等10における上面奥側の左右両隅部に、水栓器具1の設置面11,11を有する場合、状況に応じ、いずれの設置面11,11にも設置することが可能である。この場合において、胴体2の正面が、洗面器等10の正面と一致するように水栓器具1を設置するのは、前述と同じである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る水栓器具の設置構造の一実施形態に関するものであって、図(A)は設置状況を示す一部断面した側面図、図(B)は同状況の平面図である。
【図2】本発明の一実施形態に関するものであって、水栓器具を設置した洗面器の斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に関するものであって、図(A)は、水栓器具を洗面器の右隅側に設置した状況を示す平面図、図(B)は、水栓器具を洗面器の左隅側に設置した状況を示す平面図である。
【符号の説明】
【0013】
1…水栓器具 2…胴体 3…操作レバー 4…吐水管 4a…立ち上がり部 4b…水平部 4c…吐水部 10…洗面器(または手洗器) 11…設置面 12…鉢部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗面器等の上面における奥側の左右隅部に形成した設置面のいずれか一方に水栓器具を設けるための構造であって、胴体の正面が洗面器等の正面と一致するように設定し、胴体頭部に一つの操作レバーが設けられ、胴体基部の背面側から立ち上がって横方向に折れ曲がり、立ち上がり部の軸線を中心として回動可能に構成された吐水管が設けられ、該吐水管の先端側の吐水口が、洗面器等の鉢部の中央部付近に面するように設定したことを特徴とする水栓器具の設置構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−314836(P2006−314836A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−235013(P2006−235013)
【出願日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【分割の表示】特願2001−227074(P2001−227074)の分割
【原出願日】平成13年7月27日(2001.7.27)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】