説明

水栓器具

【課題】主部の左右に操作ハンドルを有する水栓器具に関する新しい形態を提供する。
【解決手段】操作ハンドル2が初期位置に在るとき、主部前面1aと操作部前面3aとが同一鉛直面となるよう設定し、且つ、上下端縁を同一直線上とする。初期位置に在る操作ハンドル2の操作部前面3aの上端部もしくは下端部を押す動作、又は、上端面を押し下げる動作もしくは下端面を持ち上げる動作により、操作ハンドル2を掴まずに回動させることができる。水栓主部1は、前面1a・上面1d及び側面1eが平面で形成され、全体としてほぼ直方体状である。主部前面1aの高さ寸法と操作部前面3aの高さ寸法とを実質的に同一としたので、操作ハンドル2が初期位置に在るとき、操作部前面3aと主部前面1aとは同一平面上に並び、単一の長方形を形成するから、優れた意匠性を呈する。突出部の少ない形態であるから、梱包が容易である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室や洗面所、キッチン等に設置される水栓器具に関し、詳しくは、ハンドルの操作性が良好であり、操作ハンドルの初期位置を把握しやすく、操作ハンドルに汚れが残りにくい新しい形態の水栓器具を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
流路の開閉弁や湯水の混合比を調整する温度調節機構などを備える水栓本体の左右側面に操作ハンドルを取り付けた水栓器具が、特許文献1に記載されている。同文献1に記載の水栓器具は、一方の操作ハンドルが吐水用ハンドル、他方の操作ハンドルが温度調節用となされ、各操作ハンドルの回動軸の軸心が、水栓本体の左右方向と実質的に平行となるように設定されている。そして、操作ハンドルの上面と水栓本体の上面とが一致するように形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−231888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の水栓器具は、操作ハンドルの主要面が上側に位置していて、緩やかな傾斜が付与された形態となっている。このため主要面に付着した水滴や石鹸の泡が流れ落ちにくく、汚れが残存し易いという問題が有る。
また吐水・止水操作又は水温調節操作をするとき、使用者が水栓本体左右の操作ハンドルを掴んで軸廻りに回動させる動作が必要である。しかるに各操作ハンドルの回動軸の軸心が水栓本体の左右方向であるため、使用者から見て前後方向に伸びる鉛直面内で操作ハンドルを回動させなくてはならず、操作性が良くない。特に右利きの者にとって左側の操作ハンドル(左利きの場合は右側の操作ハンドル)の操作が行ないにくくなるという問題を生じている。
さらに、水栓本体が上下に長い形態であり、梱包が難しいという問題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題に鑑み、本発明者が創案した水栓器具の特徴とするところは、主部の側面に操作ハンドルが回動自在に取り付けられた水栓器具において、操作ハンドルは、回動軸に接続される基部と、基部に連結される操作部とから成り、回動軸は軸心が主部の左右方向に沿う方向であり、操作部前面が平面に形成されると共に、主部の前面が平面に形成され、設置状態において、操作ハンドルが初期位置に在るとき、操作部前面及び主部前面が実質的に鉛直面上に位置するように設定したことである。
【0006】
前記において、水栓器具の主部とは、給水管・給湯管が接続され、流路の開閉弁や温度調節用の湯水混合弁などを備えると共に、湯水の吐出口を有している水栓本体である場合のほか、水栓本体にケーシングや化粧カバーなどを装着した場合は、その全体を含む概念である。
当該水栓器具を設置した状態では、主部の上下方向及び左右方向はそれぞれ鉛直方向及び水平方向となる。従って、操作ハンドルを初期位置に設定したとき、操作部前面及び主部前面は、通常、設置状態の水栓器具を正面視する方向に対し実質的に垂直な鉛直面となる。
なお実質的に鉛直であるとは、厳密な鉛直面であることが好ましいが、鉛直方向に対する勾配が5度以内の傾斜面であれば許容されるものであり、鉛直面に設定した場合と同様の効果を発揮させることが可能である。ここで傾斜面の向きは上向き・下向きのいずれでもよい。
【0007】
また操作ハンドルの初期位置とは、例えば、吐水操作用の操作ハンドルにあっては止水位置、温度調節用の操作ハンドルにあっては冷水位置や、あらかじめ設定した適温位置とすることが考えられる。
【0008】
前記水栓器具の設置状態において、操作ハンドルが初期位置に在るとき、操作部前面と主部前面とが実質的に同一鉛直面上に位置するように設定することが考えられる。
但し、操作ハンドルが初期位置に在るとき、操作部前面の位置が、主部前面よりも後方となるように設定することも妨げない。
【0009】
前者の場合、前記水栓器具において、主部の高さ寸法をほぼ一定に設定し、主部前面の高さ寸法と操作部前面の高さ寸法とを実質的に同一となるように設定し、操作ハンドルが初期位置に在るとき、主部前面の上端縁と操作部前面の上端縁及び主部前面の下端縁と操作部前面の下端縁とがそれぞれ同一直線上に位置するよう設定すると好ましい。
【0010】
また、主部前面の上端及び操作部前面の上端に平坦部が形成されている場合は、主部前面の平坦部の奥行き寸法よりも、操作部前面の平坦部の奥行き寸法を小さく形成してもよい。上記構成は、操作ハンドル上に物品が載置されないようにして、ハンドル操作に支障を来すのを防止するためである。かかる目的のため、操作ハンドル上面の平坦部の奥行き寸法は30mm以下とするのが望ましい。
【0011】
さらに本発明に係る水栓器具において、主部前面及び/又は操作部前面を平面に近い湾曲面に形成することも可能である。ここで平面に近い湾曲面とは、曲率半径が大きく、対向する両端縁を結ぶ線分から中央部までの距離が小さい曲面であればよい。また当該湾曲面は、凸曲面であっても凹曲面であってもよい。
この場合、操作部前面の湾曲面の輪郭線によって形成される平面を想定し、操作ハンドルを初期位置に設定したとき、当該仮想平面が鉛直となるように設定するのが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る水栓器具は、操作部前面及び主部前面を平面に形成し、設置状態において、操作ハンドルが初期位置に在るとき、操作部前面及び主部前面が実質的に鉛直面上に位置するように設定したので、操作部前面及び主部前面に水滴が残りにくく、汚れが付きにくくなる。
操作ハンドルが初期位置に在るとき、操作部前面及び主部前面が実質的に鉛直面上に位置するよう設定したから、操作部前面の姿勢を目視することで、操作ハンドルの状態及び操作ハンドルが初期位置に在るかどうかの確認が容易である。
操作ハンドルが初期位置に在るとき、操作部前面が鉛直面であるから、操作部前面の上端部又は下端部を押す動作、又は、操作部の上端面を押し下げる動作、もしくは、下端面を持ち上げる動作により、操作ハンドルを容易に回動させることができる。このため使用者は、操作ハンドルを掴むことなく吐水・止水操作や水温調節操作を行うことができるので、操作性が非常に良い。その結果、操作ハンドルの扱いやすさが左右で異なるのを緩和でき、さらに、低年齢者や高齢者、手に障害を有する者でも、本発明に係る水栓器具ならば、所望するハンドル操作を楽に行なうことが可能である。
【0013】
請求項2に記載する如く、操作ハンドルが初期位置に在るとき、操作部前面と主部前面とが実質的に同一の鉛直面上に位置するよう設定した場合は、操作部前面の姿勢を目視することで、操作ハンドルの状態及び操作ハンドルが初期位置に在るかどうかの確認が一層容易になる。また、操作部前面と主部前面とを一致させるだけで、容易且つ確実に操作ハンドルを初期位置へ戻すことができる。
【0014】
請求項3に記載の水栓器具は、主部の高さ寸法をほぼ一定とし、操作ハンドルが初期位置に在るとき、主部前面と操作部前面とで、長方形などの単一の平面図形を構成するように設定したので、優れた意匠性を発揮すると共に、上下に突出する部分がないから、梱包し易く、搬送や出荷の際に利便性を発揮する製品を提供できる。
【0015】
請求項4に記載の水栓器具は、主部前面の上端及び操作部前面の上端に平坦部が形成される場合において、主部前面の平坦部の奥行き寸法よりも、操作部前面の平坦部の奥行き寸法を小さく形成したので、誤って操作ハンドルの上面に物品を載置して、ハンドル操作に支障を来すのを防止することができる。
【0016】
なお本発明に係る水栓器具は、請求項5に記載するように、操作ハンドルが初期位置に在るとき、操作部前面の位置が主部前面よりも後方となるように設定したり、請求項6に記載する如く、主部前面及び操作部前面を平面に近い湾曲面に形成した場合にあっても、前記と同様の効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る水栓器具の一実施形態を示すものであって、図(A)は正面側から見た斜視図、図(B)は背面側から見た斜視図である。
【図2】本発明に係る水栓器具の一実施形態を示すものであって、図(A)は正面図、図(B)は背面図である。
【図3】本発明に係る水栓器具の一実施形態を示すものであって、図(A)は平面図、図(B)は底面図である。
【図4】本発明に係る水栓器具の一実施形態を示すものであって、底板を取り外して内部構造を示す底面図である。
【図5】本発明に係る水栓器具の一実施形態を示すものであって、図(A)は右側面図、図(B)は要部を拡大して示す平面図である。
【図6】本発明に係る水栓器具における操作ハンドルの動作を説明するためのものであって、図(A)は操作ハンドルを上方へ回動させた状態を示す要部の側面図、図(B)は操作ハンドルを下方へ回動させた状態を示す要部の側面図である。
【図7】本発明に係る水栓器具の設置例を示す浴室の斜視図である。
【図8】本発明に係る水栓器具の操作ハンドルに関する異なる実施形態を示す要部の側面図であって、図(A)は操作部前面が傾斜面である場合のもの、図(B)は操作部前面を凸曲面としたもの、図(C)は操作部前面を凹曲面としたものである。
【図9】図(A)は本発明に係る水栓器具の異なる実施形態を示す斜視図、図(B)はさらに異なる実施形態を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1〜6に、本発明に係る水栓器具Kの一実施形態を示す。本例の水栓器具Kは、主部1の左右側面1e,1eに、操作ハンドル2,2を設けたものである。主部1の外形は、概観的には概略直方体状となっており、高さ寸法、左右寸法、奥行き寸法が、ほぼ一定である。
【0019】
図4に示す如く、主部1は、ケーシングQの内部に、流量調節部R及び温度調節部Sを備える水栓本体Pを収納したものであって、水栓本体Pには、給水配管20aを介して給水管接続部20が、また給湯配管21aを介して給湯管接続部21が、それぞれ接続されている。さらにまた水栓本体Pは、その底面側に、内部で湯水を混合して得られた温水の吐出部22と、シャワーへ温水を供給するためのシャワーホース接続部23とを有している。
【0020】
上に述べたように、主部1の外表面はケーシングQで構成され、そのうち正面1a・上面1d・左右側面1e,1eはほぼ平面状であり、全体として、表面の突出部が少ない形態となっている。但し背面1f及び底面1gには、当該水栓器具Kを壁面等へ固定するための取付具11や、給水管接続部20・給湯管接続部21・吐出部22・シャワーホース接続部23等を露出させるための切欠が形成されている。
操作ハンドル2の設置状態において、主部1の前面1a及び側面1eは実質的に鉛直面となるが、上面1dについては、図5に示す如く、前方側へ緩やかな下り勾配となる傾斜面に形成されている。この勾配は排水のためであり、α=1〜3度の範囲に設定される。そして前端近くに、左右方向に伸びる排水溝10が設けられている。これにより、主部上面1dに落下した水は、勾配に従って前方側へ流動したのち、排水溝10に案内されて、左右端部から側面1eを伝わって下方へ落下する。従って、主部上面1dに水が残存しにくくなると共に、主部前面1aに流動水を到達させない構造となっているため、表面に汚れが付きにくいという効果を発揮する。また排水溝10から流出する水が主部側面1eを伝わってり流動する位置は、操作ハンドル2によって見えにくくなっているから、美観性が向上している。なお図1(B)に示すように、排水溝10の底面に、中央部から左右端部それぞれへ向かって下り勾配となる傾斜を付与しておけば、排水効率を向上させることができる。
【0021】
操作ハンドル2は、水栓本体Pの流量調節部R及び温度調節部Sそれぞれの回動軸5に接続される基部4と、基部4に対し垂直に連結された操作部3とから構成される。回動軸の軸心Xは、主部1の左右方向と実質的に平行である。操作部3は、前面3aが平面であり、厚み寸法(奥行き寸法)が比較的薄く形成されている。具体的には、図5(A)に示す如く、操作ハンドル2が初期位置に在るとき、操作部3が排水溝10に干渉しないような厚みとする。
操作部前面3aと主部前面1aとは、操作ハンドル2が初期位置に在るとき、同一平面上に並ぶよう設定される。水栓器具Kを浴室等に設置したとき、主部前面1aは、主部1の上下方向と左右方向とで規定される平面、つまり正面視する方向に対し垂直な鉛直面となるので、操作部前面3aも同じく鉛直面となる。主部前面1a及び操作部前面3aを鉛直面としたことにより、付着した水滴が落下しやすくなるので、汚れが残りにくくなる。
また本例では、主部前面1aの高さ寸法と操作部前面3aの高さ寸法とを実質的に同一とすると共に、初期位置では、主部前面1aの上端縁1bと操作部前面3aの上端縁3bとが同一直線上に位置し、且つ部前面1aの下端縁1cと操作部前面3aの下端縁3cとが同一直線上に位置するよう設定したので、主部前面1aと操作部前面3aとで単一の長方形を形成するという美観性に優れた意匠を呈示することになる。
【0022】
流量調節部Rに接続した操作ハンドル2は、回動させることにより、流量調節及び水栓本体Pとシャワーとの間の吐水切替を行なえるようになされている。他方、温度調節部Sに接続した操作ハンドル2を回動させることにより、水温調節を行える。操作ハンドル2の初期位置、つまり操作部前面3aと主部前面1aとが一致する位置では、流量調節用の操作ハンドル2は止水位置に設定され、温度調節用の操作ハンドル2は適温吐出位置又は冷水位置に設定される。なお一般的に、水栓器具の左右に操作ハンドル2,2を有する場合、向かって右側の操作ハンドル2が流量調節用、左側の操作ハンドル2が温度調節用とされることが多い。また、流量調節用の操作ハンドル2で水栓本体P内の流路を操作し、湯水の出口を吐出部22又はシャワーホース接続部23(図4参照)に切り替えることにより、本体吐水とシャワー吐水とを選択可能になされている場合、初期位置の操作ハンドルの操作部前面3aが上方を向くように回動させるとシャワー吐水となり(図6(A)参照)、下方を向くように回動させると本体吐水となる(図6(B)参照)ように設定されることが多い。
【0023】
本発明に係る水栓器具Kは、操作性を考慮して、図5(A)に示すように、回動軸心Xを通る水平面から、操作部前面3aの上端縁3bまでの距離h1及び下端縁3cまでの距離h2を、それぞれ25mm以上とした。このとき、操作部前面3aから回動軸心Xまでの距離Dをあまり大きくないように設定すれば(例えばD≦45mm)、初期位置に在る操作ハンドル2の操作部前面3aの上端部又は下端部を水平方向に押すだけで、容易に操作ハンドル2を回動させることが可能である。すなわち、初期位置に在る操作ハンドル2の操作部前面3aの上端部を水平に押せば図6(A)の如く回動させることができ、下端部を押せば図6(B)の如く回動させることができる。(実線の矢印参照)
これに対し、操作部前面3aから回動軸心Xまでの距離Dが、h1,h2に比べて大きいときは、初期位置に在る操作ハンドル2の下端面を持ち上げるか、あるいは上端面を押し下げることにより、操作ハンドル2を図6(A)又は(B)の位置へ回動させることが可能である。(点線の矢印参照)
なお、図6(A)又は(B)の位置に在る操作ハンドル2を初期位置へ戻すには、上記と反対の動作を行なえばよい。すなわち、図6(A)の位置に在る操作ハンドル2については、操作部前面3aの下端部を押すか又は上端面を引き下げることにより、初期位置へ戻せる。図6(B)の位置に在る操作ハンドル2については、操作部前面3aの上端部を押すか、あるいは下端面を持ち上げる引き上げることで、初期位置へ簡単に戻すことができる。
【0024】
上に述べたように、本発明に係る水栓器具Kにあっては、初期位置において、操作部前面3aが鉛直面となるように設定したから、操作ハンドル2の回動操作を行なうのに、操作ハンドル2を掴む必要がない。このため、指先の操作が不要なので、低年齢者や高齢者でも、さらには手に怪我をしていたり障害を有している者でも、水栓器具Kを要望通りに操作することが容易且つ確実に行える。
また、操作ハンドル2が初期位置に在るときは、操作部前面3aと主部前面1aとが面一となるように設定されているから、操作ハンドル2がどのような位置に在るのかを容易に把握することができ、使用後に操作ハンドル2を初期位置へ戻すのも簡単である。
【0025】
なお、左右の操作ハンドル2,2それぞれの回動軸心Xは、同一線上となるように設定されるのが通常であるが、状況に応じ、左右で操作ハンドル2,2の回動軸心X,Xが多少変位することを妨げない。その場合、左右の操作ハンドル2,2は、回動半径が若干相違することになる。
【0026】
主部1における上面1dの前端近くに排水溝10を設けたことにより、主部前面1aと排水溝10との間が平坦面1sに形成され、これに合わせて、操作部3の上端にも平坦面3sが形成される場合がある。この場合、図5(B)に示す如く、主部1側の平坦面1sの奥行き寸法T1に比べて、操作部3側の平坦面3sの奥行き寸法T2を狭く形成することが望ましい。これは、主部1の上面1dを物品の仮置き台として利用する場合に、操作ハンドル2の上には物品を置きにくくして、物品がハンドル操作に支障を来すのを防止するためである。かかる目的のため、操作部3の平坦部3sの奥行き寸法T2はT1以下であって、且つ、30mm以下とするのが望ましい。
【0027】
前述の如く構成された本発明に係る水栓器具Kは、例えば図7に示すように、浴室Y等に設置される。本例の水栓器具Kは、前面・上面及び側面が実質的に平面で形成され、全体としてほぼ直方体状の形態を呈している、そこで、当該水栓器具Kを、鏡MやカウンターLと共に壁面へ垂直方向に並べて配置し、浴槽Nにも直方体状の製品を選択することにより、浴室Y内に直線を主体とするデザインを構築することができるから、優れた意匠性を発揮できる。
【0028】
図8は、本発明に係る水栓器具Kの操作部前面3aに関する異なる実施形態を例示するものである。同図(A)に示すように、操作部前面3aは、初期位置において鉛直面に対し若干の角度βを有する傾斜面とすることも可能である。傾斜面の向きは、上向きでも下向きでもよい。また、傾斜角度βは5度以下とするのが望ましい。
【0029】
操作部前面3aの形状は、平面以外に、湾曲面とすることも可能である。この場合、図8(B)に示すような凸曲面でも、同図(C)に示すような凹曲面でもよい。なお、操作部前面3aが湾曲面であるときは、上下・左右縁部で形成される輪郭線が規定する仮想平面をもって、初期位置の姿勢を考えればよい。
【0030】
ところで、図8(A)〜(C)に示す各実施形態において、主部前面1aの形態については、操作部前面3aに合わせた同等の形状とするのが好ましいが、異なる形態を採用することを妨げるものではない。
【0031】
図9(A)(B)は、本発明に係る水栓器具Kのさらに異なる実施形態に関するものである。同図(A)に示す如く、操作ハンドル2が初期位置に在るときにおいて、主部前面1aよりも操作部前面3aを後方に位置させ、両面が同一面を形成しない形態としてもよい。
また図9(B)に示すように、主部前面1aの高さ寸法と、操作部前面3aの高さ寸法とが異なるように構成してもよい。なお図面には、主部前面1aの高さ寸法が、操作部前面3aの高さ寸法よりも大きい場合を例示したが、寸法関係が反対の態様も可能である。
【符号の説明】
【0032】
1…主部 1a…主部前面 1b…主部前面の上端縁 1c…主部前面の下端縁 1d…主部上面 1e…主部側面 1f…主部背面 1g…主部底面 1s…平坦面 2…操作ハンドル 3…操作部 3a…操作部前面 3b…操作部前面の上端縁 3c…操作部前面の下端縁 3s…平坦面 4…基部 5…回動軸 10…排水溝 20…給水管接続部 20a…給水配管 21…給湯管接続部 21a…給湯配管 22…吐出口 23…シャワーホース接続部 K…水栓器具 P…水栓本体 Q…ケーシング R…流量調節部 S…温度調節部 X…回動軸心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
主部の側面に操作ハンドルが回動自在に取り付けられた水栓器具において、
操作ハンドルは、回動軸に接続される基部と、基部に連結される操作部とから成り、
回動軸は軸心が主部の左右方向に沿う方向であり、
操作部前面が平面に形成されると共に、主部の前面が平面に形成され、
設置状態において、操作ハンドルが初期位置に在るとき、操作部前面及び主部前面が実質的に鉛直面上に位置するように設定されていることを特徴とする水栓器具。
【請求項2】
設置状態において、操作ハンドルが初期位置に在るとき、操作部前面と主部前面とが実質的に同一鉛直面上に位置するように設定されている請求項1に記載の水栓器具。
【請求項3】
主部の高さ寸法がほぼ一定に設定され、主部前面の高さ寸法と操作部前面の高さ寸法とが実質的に同一に設定され、操作ハンドルが初期位置に在るとき、主部前面の上端縁と操作部前面の上端縁及び主部前面の下端縁と操作部前面の下端縁とがそれぞれ同一直線上に位置するよう設定されている請求項2に記載の水栓器具。
【請求項4】
主部前面の上端及び操作部前面の上端に平坦部が形成され、主部前面の平坦部の奥行き寸法よりも、操作部前面の平坦部の奥行き寸法が小さく形成されている請求項3に記載の水栓器具。
【請求項5】
請求項1に記載の水栓器具において、操作ハンドルが初期位置に在るとき、操作部前面の位置が、主部前面よりも後方となるように設定した水栓器具。
【請求項6】
請求項1乃至5に記載の水栓器具において、主部前面及び/又は操作部前面を平面に近い湾曲面に形成した水栓器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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