説明

水素化分解用触媒及び当該触媒を用いたヒドロキシ化合物の製造方法

【課題】 本発明の課題は、ヒドロキシメチル基を有するエーテル化合物から、高い反応速度で、高収率且つ高選択的にヒドロキシ化合物を与える、工業的生産に適用し得る水素化分解用触媒を提供することにある。
【解決手段】 本発明の課題は、
(A)周期表第8族又は9族の金属を含む金属化合物、
(B)多価酸塩、
及び(C)周期表第5族、6族又は7族の金属を含む金属酸化物、
を混合した後、得られた混合物を還元処理することを特徴とする水素化分解用触媒によって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素化分解用触媒に関する。本発明は、又、当該水素化分解用触媒を用い、ヒドロキシメチル基を有するエーテル化合物を水素化分解して対応するヒドロキシ化合物を製造する方法にも関する。
【0002】
本発明の水素化分解用触媒によって製造されるヒドロキシ化合物は、エーテル化合物が環状エーテルであれば、対応するジオール化合物を製造することができる。得られたジオール化合物は、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン等のポリマー原料、樹脂添加剤、医農薬中間体原料、各種溶剤等として有用な化合物である。
【背景技術】
【0003】
従来、ヒドロキシメチル基を有するエーテル化合物を水素化分解して対応するヒドロキシ化合物を製造しうる水素化分解用触媒としては、例えば、ロジウムと、レニウム、モリブデン及びタングステンからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属とからなる触媒(例えば、特許文献1参照)、白金又はルテニウムをアルミナ等の担体に担持させた触媒(例えば、特許文献2参照)、又、銅−クロム触媒(例えば、特許文献2参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−046417号公報
【特許文献2】特開2003−183200号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Organic Syntheses Col.Vol.3,693ページ(1955)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、提案されている上記いずれの触媒においても、工業的生産を満足させる反応速度や収率・選択率を与えるものとは言い難かった。又、過酷な反応条件や毒性を有する触媒の使用を強いられる等の問題も有していた。そのため、このような問題点を解消した、工業的に好適な水素化分解用触媒、又、当該触媒を用いたヒドロキシ化合物の製造方法の提供が望まれていた。
【0007】
本発明の課題は、即ち、上記問題点を解決し、ヒドロキシメチル基を有するエーテル化合物から、高い反応速度で、高収率且つ高選択的にヒドロキシ化合物を与える、工業的生産に適用し得る水素化分解用触媒を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の課題は、
(A)周期表第8族又は9族の金属を含む金属化合物、
(B)多価酸塩、
及び(C)周期表第5族、6族又は7族の金属を含む金属酸化物、
を混合した後、得られた混合物を還元処理することを特徴とする水素化分解用触媒によって解決される。
【0009】
本発明の課題は、又、水素源の存在下、ヒドロキシメチル基を有するエーテル化合物と水素化分解触媒とを接触させることを特徴とするヒドロキシ化合物の製造方法によっても解決される。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、ヒドロキシメチル基を有するエーテル化合物を水素化分解して、高い反応速度で、高収率且つ高選択的に対応するヒドロキシ化合物を与えうる水素化分解用触媒を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(水素化分解用触媒)
本発明の水素化分解用触媒は、
((A)周期表第8族又は9族の金属を含む金属化合物、
(B)多価酸塩、
及び(C)周期表第5族、6族又は7族の金属を含む金属酸化物、
を混合した後、得られた混合物を還元処理することによって得られる触媒である。
【0012】
(A)周期表第8族又は9族の金属のいずれかを含む金属化合物(以下、単に金属化合物と称することもある)
本発明において使用する周期表第8族又は9族の金属のいずれかを含む金属化合物の金属としては、例えば、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム等が挙げられるが、好ましくはルテニウム、ロジウム、イリジウム、更に好ましくはルテニウム、ロジウム、イリジウムである。
【0013】
前記金属化合物の形態は特に限定されず、例えば、金属単体、金属合金、金属塩、金属錯体、金属酸化物等のいずれの形態であっても良く、水和物や有機化合物の付加体であっても良い。又、担体に担持されていても良い。なお、これらの金属化合物は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
【0014】
金属化合物の具体的な例としては、例えば、三塩化ルテニウム、三臭化ルテニウム、五塩化ルテニウム二アンモニウム、六塩化ルテニウム三アンモニウム、六塩化ルテニウム二カリウム、六塩化ルテニウム二ナトリウム、六臭化ルテニウム三カリウム、六臭化ルテニウム二カリウム等のルテニウム化合物;二塩化コバルト、二臭化コバルト、二ヨウ化コバルト、二フッ化コバルト、二硝酸コバルト、酸化コバルト、リン酸コバルト、二酢酸コバルト等のコバルト化合物;三塩化ロジウム、六塩化ロジウム三アンモニウム、六塩化ロジウム三カリウム、六塩化ロジウム三ナトリウム、三硝酸ロジウム等のロジウム化合物;三塩化イリジウム、三臭化イリジウム、四塩化イリジウム、四臭化イリジウム、イリジウム酸アンモニウム塩、ヘキサアンミンイリジウム三塩化物、ペンタアンミンクロロイリジウム二塩化物、六塩化イリジウム三アンモニウム、六塩化イリジウム三カリウム、六塩化イリジウム三ナトリウム、四塩化イリジウム二アンモニウム、六塩化イリジウム二アンモニウム、六塩化イリジウム二カリウム、六塩化イリジウム酸、六塩化イリジウム二ナトリウム等のイリジウム化合物が挙げられるが、好ましくは三塩化ルテニウム、二塩化コバルト、三塩化ロジウム、三塩化イリジウム、四塩化イリジウム、六塩化イリジウム酸が使用される。
【0015】
(B)多価酸塩
本発明において使用する多価酸塩とは、炭酸や硫酸、リン酸等のような2価以上の酸に由来する塩のことをいう。そのような多価酸塩としては、多価無機酸塩であれば、例えば、リン酸三カリウム、リン酸一水素二カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸一水素二ナトリウム、リン酸三アンモニウム、リン酸一水素二アンモニウム、炭酸アンモニウム等のリン酸塩;炭酸水素アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の炭酸塩(炭酸水素塩も含む広い意味として);硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム等の硫酸塩等が挙げられる。又、多価有機酸塩であれば、例えば、シュウ酸カリウム、シュウ酸ナトリウム等の多価カルボン酸塩が挙げられる。これらの多価酸塩は、水和物や有機化合物の付加体であっても良く、又、担体に担持されていても良い。
【0016】
なお、好適には多価無機酸塩であり、リン酸三カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三アンモニウム、リン酸一水素二アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、更に好ましくはリン酸三カリウム、リン酸三アンモニウム、炭酸アンモニウム、リン酸一水素二アンモニウム、炭酸カリウム、硫酸カリウムが使用される。
【0017】
(C)周期表第5族、6族又は7族の金属を含む金属酸化物(以下、単に金属酸化物と称することもある)
本発明において使用する周期表第5族、6族又は7族の金属を含む金属酸化物の金属としては、例えば、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、テクノチウム、レニウム等が挙げられるが、好ましくはバナジウム、モリブデン、タングステン、レニウムである。
【0018】
前記金属酸化物の形態は、ひとつの金属−酸素結合を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、水和物や有機化合物の付加体であっても良い。又、担体に担持されていても良い。なお、これらの金属酸化物は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
【0019】
前記金属酸化物としては、酸化金属及び過酸化金属酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物が好適に使用されるが、その具体的な例としては、例えば、三塩化バナジウム、酸化バナジウム、三酸化二バナジウム、二酸化バナジウム、五酸化二バナジウム、三臭化バナジウム、ピロバナジン酸カリウム、テトラオキソバナジン(V)酸カリウム、トリオキソバナジン(V)酸カリウム、トリオキソバナジン(V)酸ナトリウム、ピロバナジン酸ナトリウム、トリオキソバナジン(V)酸リチウム等のバナジウム酸化物;ケイモリブデン酸、五塩化モリブデン、テトラコサオキソヘプタモリブデン(VI)酸アンモニウム、テトラオキソモリブデン(VI)酸カリウム、テトラオキソモリブデン酸カルシウム、テトラオキソモリブデン(VI)酸ナトリウム、テトラオキソモリブデン(VI)酸マグネシウム、テトラオキソモリブデン(VI)酸リチウム、二酸化モリブデン、三酸化モリブデン等のモリブデン酸化物;テトラオキソタングステン(VI)酸ナトリウム、テトラオキソタングステン(VI)酸カドミウム(II)、テトラオキソタングスステン(VI)酸カリウム、テトラオキソタングステン(VI)酸カルシウム等;三塩化レニウム、五塩化レニウム、テトラオキソレニウム(VII)酸アンモニウム、テトラオキソレニウム(VII)酸カリウム、テトラオキソレニウム(VII)酸ナトリウム、六塩化レニウム三カリウム、六塩化レニウム二カリウム、二酸化レニウム、三酸化レニウム、七酸化二レニウム等のレニウム酸化物が挙げられるが、好ましくは五酸化二バナジウム、トリオキソバナジン(V)酸カリウム、トリオキソバナジン(V)酸ナトリウム、ピロバナジン酸ナトリウム、テトラオキソタングステン(VI)酸ナトリウム、ケイモリブデン酸、テトラコサオキソヘプタモリブデン(VI)酸アンモニウム、テトラオキソモリブデン(VI)酸ナトリウムテトラオキソレニウム(VII)酸アンモニウム、テトラオキソレニウム(VII)酸カリウム、七酸化二レニウムが使用される。
【0020】
本発明の水素化分解用触媒の製造においては、まずは金属化合物、多価酸塩及び金属酸化物を混合する。その混合順序は特に限定されないが、金属化合物と多価酸塩とを混合した後、金属酸化物を加える方法が好適に採用される。
【0021】
より具体的には、金属化合物と多価酸塩とを溶媒(例えば、水等)に加えて溶媒溶液(例えば、水溶液等)とした後、得られた水溶液を、好ましくは60〜200℃、更に好ましくは100〜150℃で加熱攪拌させ、次いで、金属酸化物を加えて、好ましくは60〜200℃、更に好ましくは100〜150℃で加熱攪拌させて混合物を得る。
【0022】
前記混合する際の多価酸塩の使用量は、金属化合物1モルに対して、好ましくは0.1〜30モル、更に好ましくは0.2〜20モルである。又、金属酸化物の使用量は、金属化合物1モルに対して、好ましくは0.5〜30モル、更に好ましくは1〜20モルである。なお、これらの値は、金属原子換算である。
【0023】
得られた混合物は、その後、そのまま還元処理することにより水素化分解用触媒とすることができる。還元処理においては、水素を発生させることが可能な通常の還元剤を用いて行うことができるが、水素ガスと接触させる方法が好適に採用される。当該混合物と水素ガスとを接触させる際の接触温度は、好ましくは40〜300℃、更に好ましくは50〜200℃であり、接触圧力は、好ましくは1〜12MPa、更に好ましくは4〜8MPaである。
【0024】
前記の還元処理によって得られた水素化分解用触媒は、例えば、濾過、洗浄する等して一旦単離しても良く、そのままヒドロキシ化合物の製造に使用できる。
【0025】
又、水素化反応用触媒は担体に担持した触媒でも良く、そのような担持触媒は前記の混合物を得る際に担体を存在させることによって製造できる。使用される担体は、多孔質の担体が好適に用いられるが、具体的には、例えば、シリカ、アルミナ、シリカ-アルミナ、セリア、マグネシア、カルシア、チタニア、シリカ-チタニア、ジルコニア及び活性炭、ゼオライト、メソ孔体(メソポーラスアルミナ、メスポーラスシリカ、メスポーラスカーボン)等が使用される。なお、これらの担体は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
【0026】
水素化分解用触媒が上記担体に担持された触媒である場合には、焼成を行った上で使用しても良い。焼成をする場合の温度は、好ましくは50〜800℃、更に好ましくは100〜600℃であり、焼成時間は適宜調整するが、好ましくは0.1〜20時間、更に好ましくは0.25〜15時間である。焼成する際は、空気(酸素含有ガスを含む)又は窒素等の不活性ガス雰囲気の何れで行ってもよい。
【0027】
以上の方法によって得られた水素化分解用触媒は、ヒドロキシメチル基を有するエーテル化合物からヒドロキシ化合物を製造するための触媒となり得る。
【0028】
(ヒドロキシ化合物の製造)
水素源の存在下、ヒドロキシメチル基を有するエーテル化合物と水素化分解触媒とを接触させることによりヒドロキシ化合物を製造することができる。前記エーテル化合物としては、環状又は鎖状のエーテル化合物が挙げられるが、好ましくは五員環エーテル化合物、六員環エーテル化合物又はジアルキルエーテル化合物である。
【0029】
(ヒドロキシメチル基を有する五員環エーテル化合物の製造)
エーテル化合物が五員環エーテル化合物の場合には、水素源の存在下、一般式(1)
【0030】
【化1】

【0031】
(式中、Rは水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基、R及びRは水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を示し、隣接する炭素に結合しているR及びR、R及びRは、互いに結合して環を形成していても良い。なお、
【0032】
【化2】

【0033】
は、単結合又は二重結合を示す。)
で示されるヒドロキシメチル基を有するエーテル化合物と水素化分解触媒とを接触させることを特徴とする、一般式(2)
【0034】
【化3】

【0035】
(式中、R、R、R及び
【0036】
【化4】

【0037】
は、前記と同義である。)
で示されるヒドロキシ化合物の製造となる。なお、一般式(2)で示されるヒドロキシ化合物は、1,5−ジオール化合物である。
【0038】
前記の一般式(1)において、Rは水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基であり、具体的には、例えば、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基である。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
【0039】
、R及びRは、水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を示すが、当該アルキル基は、前記のRで示したものと同義である。なお、隣接する炭素に結合しているR、R、R及びRは、互いに結合して環(例えば、シクロヘキサン環等)を形成していても良い。なお、
【0040】
【化5】

【0041】
は、単結合又は二重結合を示す。
【0042】
一般式(1)で示されるヒドロキシメチル基を有するエーテル化合物としては、具体的には、一般式(1a)〜(1d)
【0043】
【化6】

【0044】
(式中、R、R及びRは、前記と同義である。)
で示される化合物が挙げられる。
【0045】
一般式(1)で示されるヒドロキシメチル基を有する五員環エーテル化合物の具体例としては、例えば、テトラヒドロフルフリルアルコール、2,3−ジヒドロフルフリルアルコール、4,5−ジヒドロフルフリルアルコール、フルフリルアルコール、5-メチルテトラヒドロフルフリルアルコール、5−エチルテトラヒドロフルフリルアルコール、5−プロピルテトラヒドロフルフリルアルコール、5−ブチルテトラヒドロフルフリルアルコール、5−ペンチルテトラヒドロフルフリルアルコール、等が挙げられるが、好ましくはフルフリルアルコール、4,5−ジヒドロフルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、5-メチルテトラヒドロフルフリルアルコール、更に好ましくはテトラヒドロフルフリルアルコールが使用される。
【0046】
一般式(1)で示されるヒドロキシメチル基を有するエーテル化合物と水素化分解用触媒とを接触させて得られるヒドロキシ化合物は、前記の一般式(2)で示される(即ち、1,5−ジオール化合物である)。その一般式(2)において、R、R、R及び
【0047】
【化7】

【0048】
は、前記と同義である。
【0049】
一般式(1a)〜(1d)で示されるヒドロキシ化合物の具体例としては、例えば、1,5−ペンタンジオール、1−ペンテン−1,5−ジオール、2−ペンテン−1,5−ジオール、ペンタ−1,3−ジエン−1,5−ジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,5−ヘプタンジオール、1,5−オクタンジオール、1,5−ノナンジオール、1,5−デカンジオール等が挙げられるが、好ましくは1,5−ペンタンジオール、1−ペンテン−1,5−ジオール、2−ペンテン−1,5−ジオール、1,5−ヘキサンジオール、更に好ましくは1,5−ペンタンジオールが挙げられる。
【0050】
(ヒドロキシメチル基を有する六員環エーテル化合物の製造)
又、エーテル化合物が六員環エーテル化合物の場合には、水素源の存在下、一般式(3)
【0051】
【化8】

【0052】
(式中、Rは水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基、R、R及びRは水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を示し、隣接する炭素に結合しているR及びR、R及びR、R及びRは、互いに結合して環を形成していても良い。なお、
【0053】
【化9】

【0054】
は、単結合又は二重結合を示す。)
で示されるヒドロキシメチル基を有するエーテル化合物と水素化分解触媒とを接触させることを特徴とする、一般式(2)
【0055】
【化10】

【0056】
(式中、R、R、R、R及び
【0057】
【化11】

【0058】
は、前記と同義である。)
で示されるヒドロキシ化合物の製造となる。なお、一般式(4)で示されるヒドロキシ化合物は、1,6−ジオール化合物である。
【0059】
又、前記の一般式(3)において、Rは水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基であり、具体的には、例えば、水素原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基である。なお、これらの基は、各種異性体を含む。
【0060】
、R及びRは水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を示すが、当該アルキル基は、前記のRで示したものと同義である。なお、隣接する炭素に結合しているR、R、R及びRは、互いに結合して環(例えば、シクロヘキサン環等)を形成していても良い。
【0061】
一般式(3)で示されるヒドロキシメチル基を有する六員環エーテル化合物としては、具体的には、一般式(3a)〜(3d)
【0062】
【化12】

【0063】
(式中、R、R、R及びRは、前記と同義である。)
で示される化合物が挙げられる。
【0064】
一般式(3a)〜(3d)で示されるヒドロキシメチル基を有する六員環エーテル化合物の具体例としては、例えば、テトラヒドロピラン−2−メタノール、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2−メタノール、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−6−メタノール、4H−ピラン−2−メタノール、6−メチルテトラヒドロピラン−2−メタノール、6−エチルテトラヒドロピラン−2−メタノール、6−プロピルテトラヒドロピラン−2−メタノール、6−ブチルテトラヒドロピラン−2−メタノール、6−ペンチルテトラヒドロピラン−2−メタノール等が挙げられるが、好ましくはテトラヒドロピラン−2−メタノール、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−2−メタノール、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン−6−メタノール、4H−ピラン−2−メタノール、6−メチルテトラヒドロピラン−2−メタノール、6−エチルテトラヒドロピラン−2−メタノール、更に好ましくはテトラヒドロピラン−2−メタノールが使用される。
【0065】
一般式(3)で示されるヒドロキシメチル基を有するエーテル化合物と水素化分解用触媒とを接触させて得られるヒドロキシ化合物は、前記の一般式(4)で示される(即ち、1,6−ジオール化合物である)。その一般式(4)において、R、R、R、R及び
【0066】
【化13】

【0067】
は、前記と同義である。
【0068】
一般式(4)で示されるヒドロキシ化合物の具体例としては、例えば、1,6−ヘキサンジオール、1−ヘキセン−1,6−ジオール、2−ヘキセン−1,6−ジオール、ヘキサ−1,4−ジエン−1,6−ジオール、1,6−ヘプタンジオール、1,6−オクタンジオール、1,6−ノナンジオール、1,6−デカンジオール、1,6−ウンデカンジオール等が挙げられるが、好ましくは1,6−ヘキサンジオール、1−ヘキセン−1,6−ジオール、2−ヘキセン−1,6−ジオール、ヘキサ−1,4−ジエン−1,6−ジオール、1,6−ヘプタンジオール、1,6−オクタンジオール、更に好ましくは1,6−ヘキサンジオールが挙げられる。
【0069】
(ヒドロキシメチル基を有するジアルキルエーテル化合物の製造)
一方、エーテル化合物がジアルキルエーテル化合物の場合には、水素源の存在下、一般式(5)
【0070】
【化14】

【0071】
(式中、Rは水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基、R及びRは水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を示し、隣接する炭素に結合しているR及びRは、互いに結合して環を形成していても良い。)
で示されるヒドロキシメチル基を有するエーテル化合物と水素化分解触媒とを接触させることを特徴とする、一般式(6)及び(7)
【0072】
【化15】

【0073】
(式中、R、R及びRは、前記と同義である。)
で示されるヒドロキシ化合物の製造となる。なお、一般式(6a)及び(6b)で示されるヒドロキシ化合物はモノオール化合物である。
【0074】
一般式(5)で示されるヒドロキシメチル基を有するジアルキルエーテル化合物の具体例としては、例えば、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−n−プロポキシエタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−n−ブトキシエタノール、2−イソブトキシエタノール、2−t−ブトキシエタノール、2−n−ペントキシエタノール、2−シクロプロポキシエタノール、2−シクロブトキシエタノール、2−シクロペントキシエタノール、2−シクロヘキシロキシエタノール、2−メトキシプロパノール、2−エトキシプロパノール、2−n−プロポキシプロパノール、2−イソプロポキシプロパノール、2−n−ブトキシプロパノール、2−イソブトキシプロパノール、2−t−ブトキシプロパノール、2−n−ペントキシエプロパノール、2−シクロプロポキシプロパノール、2−シクロブトキシプロパノール、2−シクロペントキシプロパノール、2−シクロヘキシロキシプロパノール、2−メトキシブタノール、2−エトキシブタノール、2−n−プロポキシブタノール、2−イソプロポキシブタノール、2−n−ブトキシブタノール、2−イソブトキシブタノール、2−t−ブトキシブタノール、2−n−ペントキシエブタノール、2−シクロプロポキシブタノール、2−シクロブトキシブタノール、2−シクロペントキシブタノール、2−シクロヘキシロキシブタノール、2−メトキシペンタノール、2−エトキシペンタノール、2−n−プロポキシペンタノール、2−イソプロポキシペンタノール、2−n−ブトキシペンタノール、2−イソブトキシペンタノール、2−t−ブトキシペンタノール、2−n−ペントキシペンタノール、2−シクロプロポキシペンタノール、2−シクロブトキシペンタノール、2−シクロペントキシペンタノール、2−シクロヘキシロキシペンタノール、2−メトキシヘキサノール、2−エトキシヘキサノール、2−n−プロポキシヘキサノール、2−イソプロポキシヘキサノール、2−n−ブトキシヘキサノール、2−イソブトキシヘキサノール、2−t−ブトキシヘキサノール、2−n−ペントキシヘキサノール、2−シクロプロポキシヘキサノール、2−シクロブトキシヘキサノール、2−シクロペントキシヘキサノール、2−シクロヘキシロキシヘキサノール、2−メトキシヘプタノール、2−エトキシヘプタノール、2−n−プロポキシヘプタノール、2−イソプロポキシヘプタノール、2−n−ブトキシヘプタノール、2−イソブトキシヘプタノール、2−t−ブトキシヘプタノール、2−n−ペントキシヘプタノール、2−シクロプロポキシヘプタノール、2−シクロブトキシヘプタノール、2−シクロペントキシヘプタノール、2−シクロヘキシロキシヘプタノール等が挙げられるが、好ましくは、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−n−プロポキシエタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−n−ブトキシエタノール、2−イソブトキシエタノール、2−t−ブトキシエタノール、2−n−ペントキシエタノール、2−シクロプロポキシエタノール、2−シクロブトキシエタノール、2−シクロペントキシエタノール、2−シクロヘキシロキシエタノール、更に好ましくは、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−n−プロポキシエタノール、2−n−ブトキシエタノール、2−シクロプロポキシエタノール、2−シクロヘキシロキシエタノールが使用される。
【0075】
一般式(6a)及び(6b)で示されるヒドロキシ化合物(モノオール化合物)の具体例としては、例えば、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、2−ブタノール、2−ペンタノール、2−ヘキサノール、2−ヘプタノール、3−ペンタノール、3−ヘキサノール、3−ヘプタノール、3−オクタノール、シクロプロパノール、シクロブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール等であり、好ましくはエタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、n−ペンタノール、n−ヘキサノール、n−ヘプタノール、シクロプロパノール、シクロブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノールである。
【0076】
以下、水素源の存在下、ヒドロキシメチル基を有するエーテル化合物と水素化分解触媒とを接触させることを特徴とするヒドロキシ化合物の製造のことを、本発明の反応と称することもある。
【0077】
本発明の反応をより具体的に説明すると、ヒドロキシメチル基を有するエーテル化合物において、ヒドロキシメチル基が結合している炭素と、エーテル基を形成している酸素との結合を切断して、対応するヒドロキシ化合物を得る反応である。
【0078】
【化16】

【0079】
(式中、R、R、R、R及び
【0080】
【化17】

【0081】
は、前記と同義である。)
【0082】
本発明の反応において使用する水素化分解用触媒の量は、金属化合物の金属原子換算で、ヒドロキシメチル基を有するエーテル化合物1モルに対して、好ましくは0.0005〜0.1モル、より好ましくは0.001〜0.075モルである。この使用量とすることで、十分な反応速度を得つつ、高収率且つ高選択的にヒドロキシ化合物を得ることができる。なお、水素化分解用触媒は、複数種の触媒を別々に調製して使用しても良い。
【0083】
本発明の反応において使用する水素源とは、水素を提供する化合物ならば特に限定されず、例えば、水素ガス、アンモニアガス等の還元性ガス(窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスで希釈されていても良い);水;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;ギ酸、酢酸、クロロギ酸等の有機酸類;塩酸、硫酸等の無機酸類が挙げられるが、好ましくは還元性ガス、更に好ましくは水素ガスが使用される。
【0084】
前記水素源の量は、ヒドロキシメチル基を有するエーテル化合物1モルに対して、好ましくは5〜200モル、更に好ましくは10〜160モルである。この使用量とすることで、十分な反応速度を得つつ、高収率且つ高選択的にヒドロキシ化合物を得ることができる。なお、水素化分解用触媒は、複数種の触媒を別々に調製して使用しても良い。
【0085】
本発明の反応は溶媒中で行ってもよく、使用する溶媒としては反応に阻害しないものならば特に限定されない。具体的には、水;メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、t−ブチルルコール、エチレングリコール等のアルコール類;ヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン等の炭化水素類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン等のアミド類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類;塩化メチレン、ジクロロエタン、クロロシクロヘキサン等のハロゲン化炭化水素類が挙げられるが、好ましくは水、炭化水素類、エーテル類、更に好ましくは、水、シクロヘキサン、1,2−ジエトキシエタンである。なお、これらの溶媒は、単独又は二種以上を混合して使用しても良い。
【0086】
前記溶媒の使用量は、ヒドロキシメチル基を有するエーテル化合物1gに対して、好ましくは0.05〜100g、より好ましくは20.1〜20gである。この使用量とすることで、攪拌が速やかに行われ、反応をスムーズに進行させることができる。
【0087】
本発明の反応形態は、触媒の形態により回分式(バッチ式)又は連続式のいずれの方法も選択することができる。又、触媒の性質により均一系、不均一系(懸濁反応)のいずれの反応系でも実施でき、担体に担持させた触媒であれば、固定床で連続的に反応を行うこともできる。
【0088】
本発明の反応は、例えば、ヒドロキシメチル基を有するエーテル化合物、水素化分解用触媒及び溶媒を混合し、水素源の存在下にて、攪拌しながら反応させる等の方法によって行われる。その際の反応温度は、好ましくは25〜200℃、より好ましくは50〜150℃、反応圧力は、水素分圧として、好ましくは常圧〜20MPa、より好ましくは0.2〜15MPaである。この反応温度、反応圧力とすることで、副生成物を生じさせることなく、高い反応速度で、高収率且つ高選択的に目的物であるヒドロキシ化合物を得ることができる。
【0089】
本発明の反応により、目的とするヒドロキシ化合物が得られるが、このヒドロキシ化合物は、反応終了後、得られた反応液から、例えば、濾過、濃縮、抽出、蒸留、昇華、再結晶、カラムクロマトグラフィー等の一般的な操作によって単離・精製することができる。
【実施例】
【0090】
次に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に制限されるものではない。なお、水素化分解用触媒の略語は以下の構成からなる。
(周期表第8族乃至9族の金属のいずれかを含む金属化合物の金属)−(多価酸塩を構成するアニオン)−(周期表第5族、6族又は7族の金属を含む金属酸化物の金属)触媒
【0091】
実施例1(水素化分解用触媒の製造)
50mlのガラス製内筒管を備えたオートクレーブに、三塩化イリジウム・n水和物(石津試薬製、イリジウム含量53%)44.4mg(0.12mmol)、リン酸三カリウム25.5mg(0.12mmol)及び水5mlを加え、120℃で30分間加熱攪拌した。これを一旦室温まで冷却した溶液に、テトラオキソレニウム(VII)酸カリウム34.7mg(0.12mmol)を加え、再び120℃で30分間加熱攪拌した。次いで、室温にて水素雰囲気にて8MPaまで加圧し、120℃で1時間加熱攪拌して混合物を還元処理した。得られた溶液を室温まで冷却し、デカンテーションにより水層を除き、残渣として水素化分解用触媒(以下、「Ir−PO−Re触媒(1)」と称することもある)を得た。
【0092】
実施例2(1,5−ペンタンジオールの合成)
【0093】
【化18】

【0094】
実施例1と同じ装置に、実施例1で得られた残渣(Ir−PO−Re触媒(1))、5%テトラヒドロフルフリルアルコール水溶液5.00g(2.45mmol)を入れ、水素ガスで8MPaまで加圧した後、攪拌しながら120℃で2時間反応させた。反応終了後、得られた反応液を室温まで冷却し、次いでメンブランフィルター(0.45μm)を備えた注射器で濾過した。
得られた濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、テトラヒドロフルフリルアルコールの転化率は97.8%であり、1,5−ペンタンジオールの収率は39.2%、同選択率は40.1%であった。なお、副生成物である1,2−ペンタンジオールは、全く生成していなかった。
【0095】
実施例3(1,5−ペンタンジオールの合成)
実施例2において、反応温度を80℃にしたこと以外は、実施例2と同様に反応を行った。その結果、テトラヒドロフルフリルアルコールの転化率は17.6%であり、1,5−ペンタンジオールの収率は15.9%、同選択率は90.2%であった。なお、副生成物である1,2−ペンタンジオールは、全く生成していなかった。
【0096】
比較例1(1,5−ペンタンジオールの合成)
実施例2において、Ir−PO−Re触媒(1)を三塩化イリジウム・n水和物(石津試薬製、イリジウム含量53%)44.4mg(0.12mmol)とテトラオキソレニウム(VII)酸カリウム104.1mg(0.36mmol)との混合物としたこと以外は実施例2と同様に反応を行った。その結果、テトラヒドロフルフリルアルコールの転化率は39.3%であり、1,5−ペンタンジオールの収率は27.1%、同選択率は69.0%であった。なお、副生成物である1,2−ペンタンジオールは、全く生成していなかった。
【0097】
実施例4(水素化分解用触媒の製造)
実施例1において、三塩化イリジウム・n水和物を三塩化ロジウム・三水和物31.6mg(0.12mmol)にしたこと以外は実施例1と同様にして水素化分解用触媒(以下、「Rh−PO−Re触媒(1)」と称することもある)を製造した。
【0098】
実施例5(1,5−ペンタンジオールの合成)
実施例2において、水素化分解用触媒を実施例4で製造したものにしたこと以外は、実施例2と同様に反応を行った。その結果、テトラヒドロフルフリルアルコールの転化率は90.1%であり、1,5−ペンタンジオールの収率は74.5%、同選択率は82.7%であった。なお、副生成物である1,2−ペンタンジオールは、全く生成していなかった。
【0099】
比較例2(1,5−ペンタンジオールの合成)
実施例2において、Ir−PO−Re触媒(1)を三塩化ロジウム・三水和物31.6mg(0.12mmol)とテトラオキソレニウム(VII)酸カリウム104.1mg(0.36mmol)との混合物としたこと以外、実施例2と同様に反応を行った。その結果、テトラヒドロフルフリルアルコールの転化率は13.9%であり、1,5−ペンタンジオールの収率は13.1%、同選択率は94.2%であった。なお、副生成物である1,2−ペンタンジオールは、全く生成していなかった。
【0100】
実施例6(水素化分解用触媒の製造)
実施例1において、三塩化イリジウム・n水和物を三塩化ルテニウム24.9mg(0.12mmol)にしたこと以外は実施例1と同様にして水素化分解用触媒(以下、「Ru−PO−Re触媒(1)」と称することもある)を製造した。
【0101】
実施例7(1,5−ペンタンジオールの合成)
実施例2において、水素化分解用触媒を実施例6で製造したものにしたこと以外は、実施例2と同様に反応を行った。その結果、テトラヒドロフルフリルアルコールの転化率は50.3%であり、1,5−ペンタンジオールの収率は38.4%、同選択率は76.4%であった。なお、副生成物である1,2−ペンタンジオールは全く生成していなかった。
【0102】
比較例3(1,5−ペンタンジオールの合成)
実施例2において、Ir−PO−Re触媒(1)を三塩化ルテニウム24.9mg(0.12mmol)とテトラオキソレニウム(VII)酸カリウム104.1mg(0.36mmol)との混合物としたこと以外、実施例2と同様に反応を行った。その結果、テトラヒドロフルフリルアルコールの転化率は9.1%であり、1,5−ペンタンジオールの収率は6.3%、同選択率は69.7%であった。なお、副生成物である1,2−ペンタンジオールは、全く生成していなかった。
【0103】
実施例8(水素化分解用触媒の製造)
実施例1において、三塩化イリジウム・n水和物を三塩化ルテニウム24.9mg(0.12mmol)に、リン酸三カリウムをリン酸三アンモニウム三水和物24.4mg(0.12mmol)にしたこと以外は、実施例1と同様にして水素化分解用触媒(以下、「Ru−PO−Re触媒(2)」と称することもある)を得た。
【0104】
実施例9(1,5−ペンタンジオールの合成)
実施例2において、水素化分解用触媒を実施例8で製造したものにしたこと以外は、実施例2と同様に反応を行った。その結果、テトラヒドロフルフリルアルコールの転化率は44.8%であり、1,5−ペンタンジオールの収率は33.2%、同選択率は74.0%であった。なお、副生成物である1,2−ペンタンジオールは全く生成していなかった。
【0105】
実施例10(水素化分解用触媒の製造)
実施例1において、三塩化イリジウム・n水和物を三塩化ルテニウム24.9mg(0.12mmol)に、リン酸三カリウムを硫酸カリウム20.9mg(0.12mmol)にしたこと以外は、実施例1と同様にして水素化分解用触媒(以下、「Ru−SO−Re触媒(1)」と称することもある)を得た。
【0106】
実施例11(1,5−ペンタンジオールの合成)
実施例2において、水素化分解用触媒を実施例10で製造したものにしたこと以外は、実施例2と同様に反応を行った。その結果、テトラヒドロフルフリルアルコールの転化率は42.8%であり、1,5−ペンタンジオールの収率は27.6%、同選択率は64.4%であった。なお、副生成物である1,2−ペンタンジオールは全く生成していなかった。
【0107】
実施例12(水素化分解用触媒の製造)
実施例1において、三塩化イリジウム・n水和物を三塩化ルテニウム24.9mg(0.12mmol)に、リン酸三カリウムを炭酸カリウム16.6mg(0.12mmol)にしたこと以外は、実施例1と同様にして水素化分解用触媒(以下、「Ru−CO−Re触媒(1)」と称することもある)を得た。
【0108】
実施例13(1,5−ペンタンジオールの合成)
実施例2において、水素化分解用触媒を実施例12で製造したものにしたこと以外は、実施例2と同様に反応を行った。その結果、テトラヒドロフルフリルアルコールの転化率は39.1%であり、1,5−ペンタンジオールの収率は23.1%、同選択率は59.2%であった。なお、副生成物である1,2−ペンタンジオールは全く生成していなかった。
【0109】
実施例14(水素化分解用触媒の製造)
実施例1において、反応温度を100℃に、テトラオキソレニウム(VII)酸カリウムをテトラオキソモリブデン(VI)酸ナトリウム二水和物29.6mg(0.12mmol)にしたこと以外は、実施例1と同様にして水素化分解用触媒(以下、「Ir−PO−Mo触媒(1)」と称することもある)を得た。
【0110】
実施例15(1,5−ペンタンジオールの合成)
実施例2において、水素化分解用触媒を実施例14で製造したものにしたこと以外は、実施例2と同様に反応を行った。その結果、テトラヒドロフルフリルアルコールの転化率は24.3%であり、1,5−ペンタンジオールの収率は21.2%、同選択率は87.3%であった。なお、副生成物である1,2−ペンタンジオールは全く生成していなかった。
【0111】
実施例16(1,5−ペンタンジオールの合成)
実施例7において、実施例6で製造した水素化分解用触媒を使用前に1,2−ジエトキシエタンで5回洗浄し、さらに5%テトラヒドロフルフリルアルコール水溶液を5%テトラヒドロフルフリルアルコール・1,2−ジエトキシエタン溶液5.00g(2.45mmol)にしたこと以外は、実施例7と同様に反応を行った。その結果、テトラヒドロフルフリルアルコールの転化率は21.9%であり、1,5−ペンタンジオールの収率は6.1%、同選択率は27.7%であった。なお、副生成物である1,2−ペンタンジオールは全く生成していなかった。
【0112】
実施例17(1,5−ペンタンジオールの合成)
実施例7において、実施例1で製造した水素化分解用触媒を使用前にシクロヘキサンで5回洗浄し、さらに5%テトラヒドロフルフリルアルコール水溶液を5%テトラヒドロフルフリルアルコール・シクロヘキサン溶液5.00g(2.45mmol)にしたこと以外は、実施例2と同様に反応を行った。その結果、テトラヒドロフルフリルアルコールの転化率は16.0%であり、1,5−ペンタンジオールの収率は4.3%、同選択率は27.2%であった。なお、副生成物である1,2−ペンタンジオールは全く生成していなかった。
【0113】
実施例18(1,5−ペンタンジオールの合成)
実施例7において、5%テトラヒドロフルフリルアルコール水溶液をテトラヒドロフルフリルアルコール1.19g(11.7mmol)にしたこと以外は、実施例2と同様に反応を行った。その結果、テトラヒドロフルフリルアルコールの転化率は6.6%であり、1,5−ペンタンジオールの収率は4.7%、同選択率は70.7%であった。なお、副生成物である1,2−ペンタンジオールは全く生成していなかった。
【0114】
実施例19(水素化分解用触媒の製造)及び実施例20(1,5−ペンタンジオールの合成)
50mlのガラス製内筒管を備えたオートクレーブに、三塩化ルテニウム25.9mg(0.12mmol)、リン酸三カリウム25.5mg(0.12mmol)、シリカ(SiO;富士シリシア化学株式会社製、CARiACT G−6)0.31g及び水5mlを加え、120℃で30分間加熱攪拌した。これを一旦室温まで冷却した後、溶液をろ過した。得られた残渣を更に60℃で8時間減圧乾燥して、シリカ担体にルテニウムが4%担持された固体(以下、「Ru−PO/SiO」と称することもある)0.27gを得た。
50mlのガラス製内筒管を備えたオートクレーブに、得られた固体「Ru−PO/SiO」を25mg、七酸化二レニウムを1.9mg(0.0039mmol)及び5%テトラヒドロフルフリルアルコール水溶液5.00g(2.45mmol)を入れ、水素ガスで8MPaまで加圧し、攪拌しながら150℃で2時間反応させた。前記固体(「Ru−PO/SiO」)と七酸化二レニウムが混合され、水素により還元処理されたことで、水素化分解用触媒(以下、「Ru−PO−Re/SiO触媒(1)」と称することもある)が生成し、水素ガスの存在下にて、当該触媒がテトラヒドロフルフリルアルコールと接触することで、水素化分解反応が進行した。
得られた濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、テトラヒドロフルフリルアルコールの転化率は71.1%であり、1,5−ペンタンジオールの収率は44.2%、同選択率は62.1%であった。なお、副生成物である1,2−ペンタンジオールは全く生成していなかった。
【0115】
比較例4(1,5−ペンタンジオールの合成)
塩化ルテニウム0.123g(0.59mmol)を水1.13gに溶解させた水溶液にシリカ(SiO;富士シリシア化学株式会社製、CARiACT G−6)1.5gを含浸させ、110℃で12時間乾燥した。次いで、得られた粉体をテトラオキソレニウム(VII)酸アンモニウム0.060g(0.22mmol)を水1.13gに溶解させた水溶液に含浸させ、110℃で12時間乾燥した後、500℃で3.5時間焼成することによって、シリカ担体にルテニウムが4%、レニウムが2.8%担持された固体(以下、「Ru−Re/SiO」と称することもある)を得た。
50mlのガラス製内筒管を備えたオートクレーブに、得られた固体「Ru−Re/SiO」を25mg、及び5%テトラヒドロフルフリルアルコール水溶液5.00g(2.45mmol)を入れ、水素ガスで8MPaまで加圧し、攪拌しながら150℃で2時間反応させた。
得られた濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、テトラヒドロフルフリルアルコールの転化率は13.2%であり、1,5−ペンタンジオールの収率は7.1%、同選択率は53.6%であった。なお、副生成物である1,2−ペンタンジオールは全く生成していなかった。
【0116】
実施例21(1,5−ペンタンジオールの合成)
実施例20において、反応温度を120℃にしたこと以外は、実施例20と同様に反応を行った。その結果、テトラヒドロフルフリルアルコールの転化率は16.4%であり、1,5−ペンタンジオールの収率は14.7%、同選択率は89.9%であった。なお、副生成物である1,2−ペンタンジオールは全く生成していなかった。
【0117】
実施例22(水素化分解用触媒の製造)及び実施例23(1,5−ペンタンジオールの合成)
三塩化ロジウム三水和物51.3mg(0.195mmol)、リン酸三アンモニウム39.6mg(0.195mmol)を水1.2gに溶解させた水溶液を3分割し、その1/3量をシリカ(SiO;富士シリシア化学株式会社製、CARiACT G−6)0.5gに含浸させ、110℃で2時間乾燥した。続いて、得られた粉体を1/3量の水溶液に含浸させ、110℃で2時間乾燥した。得られた粉体を残る1/3量の水溶液に含浸させ、110℃で8時間乾燥した後、500℃で3時間空気焼成することにより、シリカ担体にロジウムが4%担持された固体(以下、「Rh−PO/SiO」と称することもある)0.5gを得た。
50mlのガラス製内筒管を備えたオートクレーブに、得られた固体「Rh−PO/SiO」を25mg、七酸化二レニウムを1.9mg(0.0039mmol)及び5%テトラヒドロフルフリルアルコール水溶液5.00g(2.45mmol)を入れ、水素ガスで8MPaまで加圧し、攪拌しながら120℃で2時間反応させた。前記固体(「Rh−PO/SiO」)と七酸化二レニウムが混合され、水素により還元処理されたことで、水素化分解用触媒(以下、「Rh−PO−Re/SiO触媒(1)」と称することもある)が生成し、水素ガスの存在下にて、当該触媒がテトラヒドロフルフリルアルコールと接触することで、水素化分解反応が進行した。
得られた濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、テトラヒドロフルフリルアルコールの転化率は38.2%であり、1,5−ペンタンジオールの収率は34.6%、同選択率は90.6%であった。なお、副生成物である1,2−ペンタンジオールは全く生成していなかった。
【0118】
実施例24(水素化分解用触媒の製造)及び実施例25(1,5−ペンタンジオールの合成)
50mlのガラス製内筒管を備えたオートクレーブに、四塩化イリジウム13.9mg(0.042mmol)、炭酸アンモニウム4.0mg(0.041mmol)及び水2mlを加え、120℃で30分間加熱攪拌した。これを室温まで冷却した後、シリカ(SiO;富士シリシア化学株式会社製、CARiACT G−6)0.2gを加え、60℃で減圧濃縮した。更に、得られた残渣を60℃で8時間減圧乾燥して、シリカ担体にイリジウムが4%担持された固体(以下、「Ir−CO/SiO」と称することもある)0.21gを得た。
50mlのガラス製内筒管を備えたオートクレーブに、得られた固体「Ir−CO/SiO」を25mg、七酸化二レニウムを1.1mg(0.0023mmol)及び5%テトラヒドロフルフリルアルコール水溶液5.00g(2.45mmol)を入れ、水素ガスで8MPaまで加圧し、攪拌しながら120℃で2時間反応させた。前記固体(「Ir−CO/SiO」)と七酸化二レニウムが混合され、水素により還元処理されたことで、水素化分解用触媒(以下、「Ir−CO−Re/SiO触媒(1)」と称することもある)が生成し、水素ガスの存在下にて、当該触媒がテトラヒドロフルフリルアルコールと接触することで、水素化分解反応が進行した。
得られた濾液をガスクロマトグラフィーで分析したところ、テトラヒドロフルフリルアルコールの転化率は24.8%であり、1,5−ペンタンジオールの収率は21.7%、同選択率は87.5%であった。なお、副生成物である1,2−ペンタンジオールは全く生成していなかった。
【0119】
実施例26(水素化分解用触媒の製造)
50mlのガラス製内筒管を備えたオートクレーブに、四塩化イリジウム(和光純薬製99.5%)13.9mg(0.042mmol)、炭酸アンモニウム4.0mg(0.041mmol)、七酸化二レニウム10.1mg(0.021mmol)及び水2mlを加え、120℃で30分間加熱攪拌した。これを一旦室温まで冷却した溶液に、シリカ(SiO;富士シリシア化学株式会社製、CARiACT G−6)0.2gを加えた後、60℃で減圧濃縮して溶媒を留去させた。得られた残渣を更に60℃で8時間減圧乾燥して、シリカ担体にイリジウムが4%、レニウムが4%担持された水素化分解用触媒(以下、「Ir−CO−Re/SiO(2)」と称することもある)を得た。
【0120】
実施例27(1,5−ペンタンジオールの合成)
実施例2において、水素化分解用触媒を実施例26で製造した触媒25mgにしたこと以外は、実施例2と同様に反応を行った。その結果、テトラヒドロフルフリルアルコールの転化率は34.4%であり、1,5−ペンタンジオールの収率は30.3%、同選択率は88.2%であった。なお、副生成物である1,2−ペンタンジオールは全く生成していなかった。
【0121】
実施例28(水素化分解用触媒の製造)
実施例1において、三塩化イリジウム・n水和物を四塩化イリジウム36.1mg(0.11mmol)に、リン酸三カリウムの使用量を22.9mg(0.11mmol)に、テトラオキソレニウム(VII)酸カリウムの使用量を31.2mg(0.11mmol)にしたこと以外は実施例1と同様にして水素化分解用触媒(以下、「Ir−PO−Re触媒(2)」と称することもある)を製造した。
【0122】
実施例29(1,6−ヘキサンジオールの合成)
【0123】
【化19】

【0124】
実施例2において、水素化分解用触媒を実施例28で製造したものに、5%テトラヒドロフルフリルアルコール水溶液を5%テトラヒドロピラン−2−メタノール水溶液(2.15mmol)に、反応温度を90℃にしたこと以外は、実施例2と同様に反応を行った。その結果、テトラヒドロピラン−2−メタノールの転化率は30.3%であり、1,6−ヘキサンンジオールの収率は20.5%、同選択率は67.8%であった。なお、副生成物である1,2−ヘキサンジオールは全く生成していなかった。
【0125】
実施例30(水素化分解用触媒の製造)
実施例1において、三塩化イリジウム・n水和物を四塩化イリジウム46.4mg(0.14mmol)に、リン酸三カリウムの使用量を29.5mg(0.14mmol)に、テトラオキソレニウム(VII)酸カリウムの使用量を40.2mg(0.14mmol)にしたこと以外は実施例1と同様にして水素化分解用触媒(以下、「Ir−PO−Re触媒(3)」と称することもある)を製造した。
【0126】
実施例31(エタノールの合成)
【0127】
【化20】

【0128】
実施例2において、水素化分解用触媒を実施例30で製造したものに、5%テトラヒドロフルフリルアルコール水溶液を5%2−エトキシエタノール水溶(2.77mmol)液に、反応温度を90℃にしたこと以外は、実施例2と同様に反応を行った。その結果、2−エトキシエタノールの転化率は82.1%であり、1,6−ヘキサンンジオールの収率は76.8%、同選択率は93.5%であった。なお、副生物であるエチレングリコールは、全く生成していなかった。
【0129】
以上により、本発明の水素化分解用触媒、即ち、
(A)周期表第8族又は9族の金属を含む金属化合物、
(B)多価酸塩、
及び(C)周期表第5族、6族又は7族の金属を含む金属酸化物、
を混合した後、得られた混合物を還元処理することを特徴とする水素化分解用触媒が、ヒドロキシメチル基を有するエーテル化合物と水素源の存在下にて接触することによって、高い反応速度で、高収率且つ高選択的に対応するヒドロキシ化合物を与えることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0130】
本発明により、ヒドロキシメチル基を有するエーテル化合物を水素化分解して、高い反応速度で、高収率且つ高選択的に対応するヒドロキシ化合物を与えうる水素化分解用触媒を提供することができる。前記エーテル化合物が環状エーテルであれば、対応するジオール化合物を製造することができる。得られたジオール化合物は、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン等のポリマー原料、樹脂添加剤、医農薬中間体原料、各種溶剤等として有用な化合物である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)周期表第8族又は9族の金属を含む金属化合物、
(B)多価酸塩、
及び(C)周期表第5族、6族又は7族の金属を含む金属酸化物、
を混合した後、得られた混合物を還元処理することを特徴とする水素化分解用触媒。
【請求項2】
多価酸塩が、多価無機酸塩である請求項1記載の水素化分解用触媒。
【請求項3】
金属酸化物が、酸化金属及び過酸化金属酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の化合物である請求項1記載の水素化分解用触媒。
【請求項4】
還元処理を水素の存在下にて行う請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水素化分解用触媒。
【請求項5】
水素源の存在下、ヒドロキシメチル基を有するエーテル化合物と水素化分解触媒とを接触させることを特徴とするヒドロキシ化合物の製造方法。
【請求項6】
エーテル化合物が、五員環エーテル化合物、六員環エーテル化合物又はジアルキルエーテル化合物である請求項5記載のヒドロキシ化合物の製造方法。
【請求項7】
水素源の存在下、一般式(1)
【化1】

(式中、Rは水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基、R及びRは水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を示し、隣接する炭素に結合しているR及びR、R及びRは、互いに結合して環を形成していても良い。なお、
【化2】

は、単結合又は二重結合を示す。)
で示されるヒドロキシメチル基を有するエーテル化合物と水素化分解触媒とを接触させることを特徴とする、一般式(2)
【化3】

(式中、R、R、R及び
【化4】

は、前記と同義である。)
で示される請求項6記載のヒドロキシ化合物の製造方法。
【請求項8】
ヒドロキシメチル基を有するエーテル化合物が一般式(1a)〜(1d)
【化5】

(式中、R、R及びRは、前記と同義である。)
で示される化合物である請求項6記載のヒドロキシ化合物の製造方法。
【請求項9】
水素源の存在下、一般式(1)
【化6】

(式中、Rは水素原子又は炭素原子数1〜5の炭化水素基、R及びRは水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基を示し、隣接する炭素に結合しているR及びR、R及びRは、互いに結合して環を形成していても良い。なお、
【化7】

は、単結合又は二重結合を示す。)
で示されるヒドロキシメチル基を有するエーテル化合物と水素化分解触媒とを接触させることを特徴とする、一般式(2)
【化8】

(式中、R、R、R及び
【化9】

は、前記と同義である。)
で示されるジヒドロキシ化合物の製造方法。
【請求項10】
ヒドロキシメチル基を有するエーテル化合物が一般式(3a)〜(3d)
【化10】

(式中、R、R、R及びRは、前記と同義である。)

【公開番号】特開2013−52342(P2013−52342A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192004(P2011−192004)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000000206)宇部興産株式会社 (2,022)
【Fターム(参考)】