説明

油中水型乳化化粧料

【課題】 使用感が良く、シミ・ソバカス等の肌の色ムラや、毛穴・シワ等の肌の凹凸等をカバーしながらも自然な仕上がりが得られ、しかも経時で色くすみが起こらない油中水型乳化化粧料を提供する。
【解決手段】 (A)揮発性油分と、(B)不揮発性油分と、(C)シリコーン弾性粉体とを含み、(A):(B)の配合量比が15:1〜1:4であり、(C)が実質的に一次粒子の状態で分散していることを特徴とする油中水型乳化化粧料。シリコーン弾性粉体は、シリコーン樹脂粉体、シリコーンゴム粉体、及びシリコーン樹脂被覆シリコーンゴム粉体からなる群より選択される1種又は2種以上であることが好適である。不揮発性油分は、ジメチルポリシロキサンであることが好適である。前記化粧料において、屈折率が1.45以下の体質顔料を実質的に含まないことが好適である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は油中水型乳化化粧料、特にシリコーン弾性粉体を含有する油中水型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、メーキャップ化粧料のみならず。スキンケア化粧料においても、肌上での伸びが良いこと、カバー力がありながらも透明感のある自然な仕上がりが得られること、さらには経時での色くすみが起こらないこと等、様々な性能が要求されている。
一方シリコーン弾性粉体は、撥水性、潤滑性に優れることから、化粧品分野において以前から好適に使用されている。そしてシリコーン弾性粉体を配合した固形化粧料としては、特開平09−20631号公報、特開2000−38316号公報等に開示されている。
【特許文献1】特開平09−20631号公報
【特許文献2】特開2000−38316号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記化粧料においては、シリコーン弾性粉体が二次凝集体の形で存在しており、使用感や化粧効果において満足できるものは得られていなかった。
本発明は前記従来技術の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、使用感が良く、シミ・ソバカス等の肌の色ムラや、毛穴・シワ等の肌の凹凸等をカバーしながらも自然な仕上がりが得られ、しかも経時で色くすみが起こらない油中水型乳化化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記目的を達成するために本発明者等が検討を行った結果、揮発性油分と不揮発性油分とを一定配合比で配合し、シリコーン弾性粉体を実質的に一次粒子の状態で分散させることにより、化粧効果と使用感に優れた化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の油中水型乳化化粧料は、(A)揮発性油分と、(B)不揮発性油分と、(C)シリコーン弾性粉体とを含み、
(A):(B)の配合量比が15:1〜1:4であり、
(C)が実質的に一次粒子の状態で分散していることを特徴とする。
【0005】
シリコーン弾性粉体は、シリコーン樹脂粉体、シリコーンゴム粉体、及びシリコーン樹脂被覆シリコーンゴム粉体からなる群より選択される1種又は2種以上であることが好適である。
不揮発性油分は、ジメチルポリシロキサンであることが好適である。
前記化粧料において、屈折率が1.45以上の体質顔料を実質的に含まないことが好適である。
前記化粧料において、固形であることが好適である。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、揮発性油分と不揮発性油分とを一定配合比で配合し、シリコーン弾性粉体を実質的に一次粒子の状態で分散させることにより、使用感が良く、シミ・ソバカス等の肌の色ムラや、毛穴・シワ等の肌の凹凸等をカバーしながらも自然な仕上がりが得られ、しかも経時で色くすみが起こらない油中水型乳化化粧料を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
<揮発性油分>
本発明に使用される揮発性油分としては、デカメチルテトラシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン等の鎖状ポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等の環状ポリシロキサン等の揮発性シリコーン油、シェルソル(シェル化学)、アイソパー(エッソ化学)等の軽質流動イソパラフィン等が挙げられる。本発明における揮発性油分は、1種または2種以上が任意に選択されるが、揮発性シリコーン油を用いることが好適であり、特に環状ポリシロキサンを用いることが最適である。
揮発性油分の配合量は、8〜53質量%であることが好ましく、さらに好ましくは、15〜48質量%である。53質量%を超えると、粉っぽい仕上がりとなる傾向があり、8質量%未満であると、つやが有り過ぎる仕上がりとなることがある。
【0008】
<不揮発性油分>
本発明において不揮発性油分とは、室温(25℃)で揮発性を示さない油分であり、具体的には、流動パラフィン、イソパラフィン、スクワラン、ポリブテン等の炭化水素油;ラノリン等のロウ類;ヒマシ油、オリーブ油、パーム油、ヤシ油、マカデミアナッツ油、ホホバ油等の油脂;イソステアリルアルコール等の高級アルコール;ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸等の高級脂肪酸;グリセリルジイソステアレート、トリメチロールプロパントリ2エチルイソステアレート、イソプロピルミリステート、セチル2エチルヘキサノエート、グリセリルトリイソステアレート、2ヘプチルウンデシルパルミテート、トリイソステアリン酸グリセリン、ジイソステアリルマレート等のエステル油類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;トリメチルシロキシケイ酸等のシリコーン樹脂;ベンゾフェノン誘導体等の紫外線吸収剤;セレシンワックス、カルナバワックス、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス等のワックス類等が挙げられる。本発明における不揮発性油分は、1種または2種以上が任意に選択されるが、中でもジメチルポリシロキサンが好適に用いられる。
不揮発性油分の配合量は3.5〜35質量%であることが好ましく、さらに好ましくは、7〜28質量%である。35質量%を超えると、化粧持ちに劣る(てかりが生じる)傾向があり、3.5質量%未満であると、シリコーン弾性粉体の分散が悪くとなることがある。
【0009】
揮発性油分と不揮発性油分との配合量比は15:1〜1:4であることが好適である。不揮発性油分が上記範囲より少ないと、操作性が悪く不均一な仕上がり、上記範囲より多いと、肌なじみが悪く不均一な仕上がりなので、好ましくない。
【0010】
<シリコーン弾性粉体>
本発明で用いる使用するシリコーン弾性粉体としては、シリコーン樹脂粉体、シリコーンゴム粉体、シリコーン樹脂被覆シリコーンゴム粉体等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。
シリコーン樹脂粉体は、多官能性シロキサン成分を共重合させたシリコーン樹脂を粉末化したものであり、シロキサン結合が三次元網目状に架橋した構造を持つ。市販品としては、例えば東芝シリコーン社製のトスパールシリーズ(トスパール145ATM等)を挙げることができる。
シリコーンゴム粉体は、直鎖状のジメチルシリコーンを架橋した構造を持つシリコーンゴムを粉末化したものであり、市販品としては、例えば東レ・ダウ・コーニング・シリコーン社製のトレフィルシリーズ(トレフィルE505CTM、トレフィルE506CTM、トレフィルE−506STM、トレフィルE505WTM等)等を挙げることができる。
シリコーン樹脂被覆シリコーンゴム粉体は、シリコーンゴム粉体の表面をシリコーンレジンで被覆したものであり、市販品としては、例えば信越化学工業社製のKSP−100TM等を挙げることができる。
【0011】
これらのシリコーン弾性粉体の中でも、シリコーンゴム粉体が好ましく、トレフィルE505WTMが特に好ましい。
これらのシリコーン弾性粉体の形状は特に制限されるものではなく、一般的には球状、板状又は不定形状であり、また多孔性であっても多孔性でなくてもよい。シリコーン弾性粉体が球状である場合には、特に光拡散効果、使用感に優れたものとなるためより好適である。特に球状シリコーンゴム又は球状シリコーン樹脂被覆シリコーンゴムは、なめらか感が強く、好ましい使用感となる。
また、シリコーン樹脂粉体の平均粒子径は0.1〜100μm、好ましくは0.1〜30μmであること好ましい。0.1μm未満ではのびの軽さ、なめらかさが低下し、100μmを越えると、塗布時のざらつき感の発生やフィット感の低減といった使用感触の低下が懸念される。
【0012】
本発明の化粧料におけるシリコーン弾性粉体の含有量は、本発明の効果が得られる範囲であれば別段限定されず、適宜調整して用いることができるが、3〜15質量%、好ましくは5〜12質量%である。3質量%未満であると本発明でいう効果が十分に発揮されない場合があり、15質量%を越えると製剤処方上好ましくない場合がある。
【0013】
本発明の化粧料の製造方法としては、シリコーン弾性粉体を非揮発性油分中で一次粒子に近い状態まで予め分散させてから、その他の原料と混合することが好ましい。
シリコーン弾性粉体を非揮発性油分中に一次粒子に近い状態で分散させるためには、例えばアニュラーギャップ型のビーズミルを用いることができるが、シリコーン弾性粉体の凝集を解いて一次粒子に近い状態まで分散させ得るものであればこれに限定されない。
上記ビーズミルに用いるビーズ(媒体)としては、ガラス、アルミナ、ジルコニア、スチール、フリント石等を原料としたビーズが使用できるが、特にジルコニア製のものが好ましい。また、ビーズの大きさとしては1〜10mm程度が好ましく、2〜5mm前後のビーズがより好ましい。ビーズの直径が小さすぎると、シリコーン弾性粉体が高い分散力を得られないことがある。またビーズの直径が大きすぎると粉末成分が十分に粉砕されないことがあり、好ましくない。上記直径範囲のビーズを用いることにより、適度の分散力を得ることができる。媒体での分散混合は、通常15〜60分間程度行われる。
【0014】
なお、本発明において、固形化粧料の「固形」とは、化粧料を通常使用する温度範囲(0℃〜40℃)で流動性がない固形状の化粧料を意味する。
【0015】
本発明では、シリコーン弾性粉体の凝集粒子を砕いて一次粒子に近い状態で非揮発性油分に分散させるので、一次粒子に近い状態の粉末に油性成分を均一に付着させることができ、肌への伸展性が良く、使用感がサラサラしていて良好であり、化粧持ちが良い化粧料を得ることが可能となる。
またシリコーン弾性粉体の分散と共に、着色顔料の分散状態も良くなり、発色が良くなる傾向にあるので、着色顔料が通常処方の2/3〜1/2程度で済む。
【0016】
本発明の化粧料には、シリコーン弾性粉体の他に、粉体として、着色顔料(例えば酸化鉄(ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄)、群青、紺青、カーボンブラック、酸化クロム等)、白色顔料(例えば酸化チタン、酸化亜鉛等)、パール顔料(雲母チタン、魚鱗箔、オキシ塩化ビスマス等)等を本発明の効果を損なわない範囲において、適宜選択され配合することができる。
【0017】
一般に化粧料には、マイカ、タルク、セリサイト等の体質顔料が配合されているが、これらの体質顔料は屈折率が低く、皮脂や汗により経時で色くすみするという問題がある。しかしながら本発明の化粧料においては、体質顔料を含まなくても、十分なカバー力が得られるため、白浮きせず、透明感があり自然な仕上がりが得られる。なお本発明において、体質顔料とは、屈折率が1.45以上の顔料を指し、マイカ、タルク、セリサイト、カオリン、アルミナ、シリカ、無水ケイ酸、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、窒化ホウ素、酸化セリウム、合成マイカ、合成タルク等が挙げられる。本発明において体質顔料は不要であるが、本発明の効果を損なわない範囲において、配合することもできる。
【0018】
本発明の化粧料には上記した必須構成成分の他に本発明の効果を損なわない範囲において、通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる他の成分、例えば、粉末成分、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、シリコーン、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、保湿剤、水溶性高分子、増粘剤、皮膜剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、多価アルコール、糖、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料、水等を必要に応じて適宜配合し、目的とする剤形に応じて常法により製造することが出来る。
本発明の化粧料の具体的な用途としては特に限定はないが、ファンデーション、化粧下地、コンシーラー、おしろい、頬紅、口紅、アイシャドー、アイライナー、マスカラ、サンスクリーン等のメーキャップ化粧料に適用することができる。
またその剤型は任意であるが、固形化粧料の形態で提供されることが特に好適である。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。配合量については特に断りのない限り質量%を示す。
【実施例1】
【0019】
初めに本実施例で用いた効果試験方法及び評価基準について説明する。
(A)伸びの軽さ
化粧品専門パネル10名を用いて、各試験例の化粧料を顔面に塗布し、塗布時の伸びの軽さの官能評価を行ない、以下の基準にて評価した。
○:10人中7名以上が軽いと判断した
△:10人中4〜6名以上が軽いと判断した
×:10人中3名以下が軽いと判断した
(B)凹凸補正効果
化粧品専門パネル10名を用いて、各試験例の化粧料を顔面に塗布し、毛穴、微細なしわ部分などの凹凸を視覚的に目立たなくする効果について官能評価を行ない、以下の基準にて評価した。
○:10人中7名以上が、凹凸補正効果があると判断した
△:10人中4〜6名以上が、凹凸補正効果があると判断した
×:10人中3名以下が、凹凸補正効果があると判断した
【0020】
(C)仕上がりの均一さ
化粧品専門パネル10名を用いて、各試験例の化粧料を顔面に塗布し、シミ・ソバカス等の肌の色ムラをカバーし、均一な仕上がりとなるかについて官能評価を行ない、以下の基準にて評価した。
○:10人中7名以上が、仕上がりが均一であると判断した
△:10人中4〜6名以上が、仕上がりが均一であると判断した
×:10人中3名以下が、仕上がりが均一であると判断した
(D)経時での色くすみ
化粧品専門パネル10名を用いて、各試験例の化粧料を顔面に塗布し、12時間後の色くすみについて官能評価を行ない、以下の基準にて評価した。
○:10人中7名以上が、経時での色くすみがないと判断した
△:10人中4〜6名以上が、経時での色くすみがないと判断した
×:10人中3名以下が、経時での色くすみがないと判断した
【0021】
(表1)
試 験 例
1-1 1-2 1-3 2-1 2-2 2-3
(1)シリコーン弾性粉体
(トレフィルE-506WTM:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)
3 9 15 3 9 15
(2-1)ジメチルポリシロキサン
8 24 40 -- -- --
(2-2)ジメチルポリシロキサン
-- -- -- 8 24 40
(3)ドデカメチルシクロヘキサシロキサン
59 37 15 59 37 15
(4)ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体
1 1 1 1 1 1
(5)セスキイソステアリン酸ソルビタン
4 4 4 4 4 4
(6)固形パラフィン
3.5 3.5 3.5 3.5 3.5 3.5
(7)着色顔料 10 10 10 10 10 10
(8)ジプロピレングリコール
8 8 8 8 8 8
(9)イオン交換水 7 7 7 7 7 7
伸びの軽さ ○ ○ ○ ○ × ×
凹凸補正効果 △ ○ ○ △ × ×
仕上がりの均一さ ○ ○ ○ ○ × ×
経時での色くすみ ○ ○ ○ × × ×
【0022】
(製造方法)
(試験例1−1〜1−3)
(1)と(2−1)とを予めビーズミルにて混合しておき、(2−2)〜(6)を加え90℃にて溶解混合し、そこに(7)を分散した後に(8)、(9)を加え乳化混合し、化粧料を得た。
(試験例2−1〜2−3)
(2−2)〜(9)を85℃にて溶解混合し、そこに(1)と(10)を分散した後、(11)、(12)を加え乳化混合し、化粧料を得た。
【0023】
試験例2−1〜2−3においては、シリコーン弾性粉体が二次凝集体の形で存在しており、均一な分散状態とはならないため、凹凸補正効果が劣り、またある程度の量配合すると、伸びが重く、均一な仕上がりが得られなかった。
これに対し、本発明の化粧料である試験例1−1〜1−3においては、シリコーン弾性粉体が実質的に一次粒子の状態で分散しているため、伸びが軽く、凹凸補正効果に優れ、均一な仕上がりが得られた。
【0024】
また試験例2−1〜2−3においては、経時で皮脂や汗等により粉末が濡れ、明度が下がり、色くすみが起きてしまったが、試験例1−1〜1−3においては、経時で色くすみが起こることがなかった(図1参照)。
また、図2に示すように試験例2−3は塗布時に重い感触であるのに対し、試験例1−3は塗布直後から軽い使用感であり、さらさらした良好な使用感が得られた。
【実施例2】
【0025】
本実施例で用いた効果試験方法及び評価基準について説明する。
(E)発色
各試験例の化粧料を顔面に塗布し、発色の良さについて以下の基準にて評価した。
○:発色が良好である
△:発色がやや不十分である
×:発色が不十分である
【0026】
(表2)
試 験 例
3 4-1 4-2
(1)シリコーン弾性粉体
(トレフィルE-506WTM:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)
6 6 6
(2)ジメチルポリシロキサン
15 15 15
(3)デカメチルシクロペンタシロキサン
39.75 39.75 25.52
(4)ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体
1 1 1
(5)セスキイソステアリン酸ソルビタン
4 4 4
(6)固形パラフィン 3.5 3.5 3.5
(7)着色顔料 15.75 15.75 29.98
(8)ジプロピレングリコール 8 8 8
(9)イオン交換水 7 7 7
(10)防腐剤 適量 適量 適量
発色 ○ × ○
色くすみ ○ × ×
【0027】
(製造方法)
(試験例3)
(1)と(2)とを予めビーズミルにて混合しておき、(3)〜(6)を加え85℃にて溶解混合し、そこに(7)を分散した後に(8)〜(10)を加え乳化混合し、化粧料を得た。
(試験例4−1,4−2)
(2)〜(9)を85℃にて溶解混合し、そこに(1)(10)を分散した後、(11)、(12)、(13)を加え乳化混合し、化粧料を得た。
【0028】
試験例4においては、シリコーン弾性粉体と共に着色顔料が二次凝集体の形で存在しているため、発色が悪く、着色顔料を多量に配合する必要があった。
これに対し、本発明の化粧料である試験例3においては、シリコーン弾性粉体と共に色材の分散状態も良くなり、着色顔料が少量でも良好な発色が得られた。これは前記図1にも示されるように、着色顔料がシリコーン弾性粉体に吸着するためだと考えられる。
【実施例3】
【0029】
次に揮発性油分と不揮発性油分との好適なモル比について検討した。本実施例で用いた効果試験方法及び評価基準は、上述のとおりである。
(表3)
試 験 例
5-1 5-2 5-3 5-4 5-5 5-6
(1)シリコーン弾性粉体
(トレフィルE-506WTM:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)
6 6 6 6 6 6
(2)ジメチルポリシロキサン
-- 3.5 18 28 44 50
(3)ドデカメチルシクロヘキサシロキサン
55 51.5 37 27 11 5
(4)ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体
5 5 5 5 5 5
(5)カルナバロウ
3 3 3 3 3 3
(6)着色顔料 15.75 15.75 15.75 15.75 15.75 15.75
(7)ジプロピレングリコール
8 8 8 8 8 8
(8)イオン交換水 7.25 7.25 7.25 7.25 7.25 7.25
(9)防腐剤 適量 適量 適量 適量 適量 適量
伸びの軽さ × △ ○ ○ ○ ○
凹凸補正効果 × ○ ○ ○ ○ ×
仕上がりの均一さ × ○ ○ ○ ○ ×
経時でのくすみ ○ ○ ○ ○ △ ×
(製造方法)
(1)と(2)とを予めビーズミルにて混合しておき、(3)〜(5)を加え85℃にて溶解混合し、そこに(6)を分散した後に(7)〜(9)を加え乳化混合し、化粧料を得た。
【0030】
なお、発明者らがさらに鋭意検討したところ、揮発性油分と、不揮発性油分との配合量比が15:1〜1:4である場合、特に均一な仕上がりとなることが確認された。
本発明にかかる化粧料のさらなる実施例を以下に示す。いずれの実施例においても本発明の効果が十分に発揮された。
【実施例4】
【0031】
アイシャドー
(1)シリコーン弾性粉体 15
(トレフィルE-506WTM:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)
(2)ジメチルポリシロキサン 20
(3)ドデカメチルシクロヘキサシロキサン 23.5
(4)ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体 1
(5)セスキイソステアリン酸ソルビタン 4
(6)固形パラフィン 3.5
(7)パール顔料 10
(8)ジプロピレングリコール
8
(9)イオン交換水 15
(10)防腐剤 適量
(製造方法)
(1)と(2)とを予めビーズミルにて混合しておき、(3)〜(6)を加え90℃にて溶解混合し、そこに(7)を分散した後に(8)、(9)、(10)を加え乳化混合し、化粧料を得た。
本実施例のアイシャドーは操作性、発色に優れ、仕上がりが均一で経時での色くすみの無いものであった。
【実施例5】
【0032】
本実施例のW/Oクリーム基剤について、上記効果試験方法及び評価基準に基づいて評価した。
(表4)
試 験 例
6-1 6-2 6-3 7-1 7-2 7-3
(1)シリコーン弾性粉体
(トレフィルE-506WTM:東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)
2 6 10 2 6 10
(2-1)ジメチルポリシロキサン
8 20 32 -- -- --
(2-2)ジメチルポリシロキサン
-- -- -- 8 20 32
(3)ドデカメチルシクロヘキサシロキサン
32 20 8 32 20 8
(4)セスキイソステアリン酸ソルビタン
2 2 2 2 2 2
(5)ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体
3 3 3 3 3 3
(6)着色顔料 10 10 10 10 10 10
(7)ジプロピレングリコール
5 5 5 5 5 5
(8)イオン交換水 38 34 30 38 34 30
伸びの軽さ ○ ○ ○ ○ × ×
凹凸補正効果 △ ○ ○ △ × ×
仕上がりの均一さ ○ ○ ○ ○ × ×
経時での色くすみ ○ ○ ○ × × ×
【0033】
(製造方法)
(試験例6−1〜6−3)
(1)と(2−1)とを予めビーズミルにて混合しておき、(3)〜(5)を加え混合し、そこに(6)を分散した後に(7)、(8)を加え乳化混合し、化粧料を得た。
(試験例7−1〜7−3)
(2−2)〜(5)を混合し、そこに(1)と(6)を分散した後、(7)、(8)を加え乳化混合し、化粧料を得た。
【0034】
試験例7−1〜7−3においては、シリコーン弾性粉体が二次凝集体の形で存在しており、均一な分散状態とはならないため、凹凸補正効果が劣り、またある程度の量配合すると、伸びが重く、均一な仕上がりが得られなかった。
これに対し、本発明の化粧料である試験例6−1〜6−3においては、シリコーン弾性粉体が実質的に一次粒子の状態で分散しているため、伸びが軽く、凹凸補正効果に優れ、均一な仕上がりが得られた。
【0035】
また試験例7−1〜7−3においては、経時で皮脂や汗等により粉末が濡れ、明度が下がり、色くすみが起きてしまったが、試験例6−1〜6−3においては、経時で色くすみが起こることがなかった。
また、試験例7−3は塗布時に重い感触であるのに対し、試験例6−3は塗布直後から軽い使用感であり、さらさらした良好な使用感が得られた。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】経時での色くすみのメカニズムを示した図である。
【図2】摩擦力の時間変化を示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)揮発性油分と、(B)不揮発性油分と、(C)シリコーン弾性粉体とを含み、
(A):(B)の配合量比が15:1〜1:4であり、
(C)が実質的に一次粒子の状態で分散していることを特徴とする油中水型乳化化粧料。
【請求項2】
請求項1に記載の化粧料において、シリコーン弾性粉体がシリコーン樹脂粉体、シリコーンゴム粉体、及びシリコーン樹脂被覆シリコーンゴム粉体からなる群より選択される1種又は2種以上であることを特徴とする油中水型乳化化粧料。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の化粧料において、不揮発性油分がジメチルポリシロキサンであることを特徴とする油中水型乳化化粧料。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の化粧料において、屈折率が1.45以上の体質顔料を実質的に含まないことを特徴とする油中水型乳化化粧料。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の化粧料において、固形であることを特徴とする油中水型固形乳化化粧料。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−56852(P2006−56852A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−242783(P2004−242783)
【出願日】平成16年8月23日(2004.8.23)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】