説明

波長選択性鏡

【課題】安価に提供でき、かつ、広い帯域で高反射/透過の選択性を得ることができる波長選択性鏡を実現する。
【解決手段】波長選択性鏡10は、高屈折材料からなる膜の第1の面11が入射面、第2の面12が反射/透過面となっている。第1の面11は、回折格子の機能を有し、外部から入射される光のうち、ある特定波長よりも大きい波長を有する長波長域の光に対してはq次(q≠0,q=整数)回折成分の光をカットして0次回折成分(q=0:非回折に相当)の光のみを透過させ、上記特定波長よりも小さい波長を有する短波長域の光に対してはq次(q≠0,q=整数)回折成分の光も透過させる。第2の面12は、上記第1の面を透過した長波長域の0次回折成分の光と短波長域のq次(q≠0,q=整数)回折成分の光とのうちの一方を全反射し、他方を透過させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定波長域の光を選択的に反射する波長選択性鏡に関するものであり、特に広帯域化された波長選択性鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、屈折率の異なる膜を厚さ制御して多層に重ねた波長選択性鏡(もしくは波長選択性フィルタ)が広く使われている。このような多層膜構造の波長選択性鏡(以下、多層膜反射鏡と称する)は、例えば、非特許文献1などにおいて開示がある。
【0003】
上記多層膜反射鏡は、膜の層数を増やし、より多層の構造とすることで広帯域化を図ることも可能である。
【非特許文献1】S.G. Lipson, H. Lipson, and D.S. Tannhauser、「Optical Physics(Third Edition)」、Cambridge University Press、1995、pp.285-289
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の多層膜反射鏡は、多重反射および干渉効果を利用することで、反射する光の波長を選択するものであり、基本的には狭帯域対応のものである(狭帯域であれば波長選択性を得るのが容易)。
【0005】
すなわち、上記多層膜反射鏡では、より多層構造とすることで広帯域化は可能であるものの、多くの層数(数十層以上)と精緻な厚さ制御が必要となり、(特にオクターブ以上の帯域は)技術的にも難しく、極めて高価なものとなる。
【0006】
また、広い帯域で100%に近い反射率を得ることも難しく、これを実現しようとすれば、技術的およびコスト的なハードルはさらに高くなる。
【0007】
また、反射だけでなく吸収も併用して遮断域を広げた赤外カットフィルタなども実現されているが、このような赤外カットフィルタでは、全域の光を有効に使えない、膜の発熱が生じるといった問題がある。さらに、上記赤外カットフィルタでも、100%に近い遮断率を得ることは難しい。
【0008】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、安価に提供でき、かつ、広い帯域で高反射/透過の選択性を得ることができる波長選択性鏡を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る波長選択性鏡は、上記課題を解決するために、回折格子の機能を有し、外部から入射される光のうち、ある特定波長よりも大きい波長を有する長波長域の光に対してはq次(q≠0,q:整数)回折成分の光(以後、q次(q≠0)回折光と呼ぶ)は遮断させ、0次回折成分(q=0:非回折に相当)の光(以後、0次回折光と呼ぶ)のみを透過させ、上記特定波長よりも小さい波長を有する短波長域の光に対してはq次(q≠0)回折光も透過させる第1の面と、上記第1の面の対向面であり、上記第1の面を透過した長波長域の0次回折光と短波長域のq次(q≠0)回折光とのうちの一方を全反射し、他方を透過させる第2の面とを有していることを特徴としている。
【0010】
上記の構成によれば、上記第1の面および第2の面は、単一材料からなる膜の両面に形成することで、従来の多層膜反射鏡のように、多数の膜を積層する必要がなく、また、膜の厚さ制御も不要である。このため、上記波長選択性鏡は、従来の多層膜反射鏡に比べ、材料および製造コストを大幅に低減することができる。
【0011】
さらに、上記特定波長を境界として、反射/透過の選択性が生じるため、容易に広帯域での反射/透過の波長選択性を得ることができる。
【0012】
また、上記波長選択性鏡では、上記第1の面における回折格子は、該面に形成された凹凸形状によって構成されていてもよい。ここで、上記凹凸形状とは、方形、三角波、鋸歯、正弦波状などを含む一般的なものである。
【0013】
上記の構成によれば、第1の面に形成される回折格子は、凹凸形状によって構成されるため、回折格子の周期的構造の形状を工夫することで特定波長域の回折効率を大きくし、回折しない成分(0次回折光)を非常に小さくすることができる。例えば、第1の面における光学的構造の変調の振幅(具体的には、凹凸の深さ)の寸法設定や鋸歯状格子構造では傾斜角設定などによって、例えば、短波長域での希望する波長で0次回折光をなくし(±1次回折光のみとし)、その周りのかなり広い範囲の短波長域で0次回折光を小さく抑えることも可能である。これにより、第2の面における短波長域の光の透過率(または反射率)を向上させることができる。
【0014】
さらに、第1の面に形成される回折格子を凹凸形状によって構成する場合、プレス加工や押し出し加工などで回折格子を形成することができ、製造工程の簡素化を図ることができる。
【0015】
また、上記波長選択性鏡では、上記第2の面は、傾斜面を交互に配置してなる三角波断面形状である構成とすることができる。ここで、上記傾斜面は、波長選択性鏡が取り扱う波長に比べて十分に長い周期で交互に配置されるものとする。
【0016】
上記の構成によれば、第1の面を透過した長波長域の0次回折光を第2の面によって全反射させることができ、上記第1の面を透過した短波長域のq次(q≠0)回折光を透過させることができる。これにより、長波長域の光を反射、短波長域の光を透過させる波長選択性鏡が得られる。この場合、特定波長よりも大きい波長を有する長波長域の光を全反射によって100%反射でき、透過を100%カットするとともに、吸収を使っていないので反射光として100%再利用することができる。
【0017】
また、上記波長選択性鏡では、上記第2の面は、平坦面である構成とすることができる。
【0018】
上記の構成によれば、第1の面を透過した長波長域の0次回折光を第2の面において透過させることができ、上記第1の面を透過した短波長域のq次(q≠0)回折光を全反射させることができる。これにより、長波長域の光を透過、短波長域の光を反射させる波長選択性鏡が得られる。
【0019】
また、上記波長選択性鏡では、上記第1の面における回折格子が、複数周期の合成、あるいは特定の周期より短い幅での変化を持つ非周期的回折格子である構成とすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の波長選択性鏡は、以上のように、回折格子の機能を有し、外部から入射される光のうち、ある特定波長よりも大きい波長を有する長波長域の光に対してはq次(q≠0)回折光は遮断させ、0次回折光のみを透過させ、上記特定波長よりも小さい波長を有する短波長域の光に対してはq次(q≠0)回折光も透過させる第1の面と、上記第1の面の対向面であり、上記第1の面を透過した長波長域の0次回折光と短波長域のq次(q≠0)回折光とのうちの一方を全反射し、他方を透過させる第2の面とを有している。
【0021】
それゆえ、上記波長選択性鏡は、従来の多層膜反射鏡に比べ、多数の膜を積層する必要がなく、また、膜の厚さの精密制御も不要であるため、材料および製造コストを大幅に低減することができる。さらに、容易に広帯域での反射/透過の波長選択性を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の一実施形態について図1ないし図10に基づいて説明すると以下の通りである。先ず、本実施の形態に係る波長選択性鏡の概略構成を図1を参照して説明する。図1に示す波長選択性鏡10は、基本的に単一の層からなるものであり、一方の面である第1の面11が入射面、他方の面である第2の面12が反射/透過面となっている。ここで、上記単一の層の材料の屈折率をnとする。
【0023】
第1の面11は、周期的な光学的構造を有している。ここで、周期的な光学的構造が入射光の半波長より短い周期で面的に分布している場合、この光学的構造によって散乱された光同士が同位相で強めあうことはない。すなわち、特定の方向に強く光が散乱されることはなく、多くの光は上記光学的構造を有する面をそのまま透過するか、あるいは反射されてしまう。入射光が面に対してほぼ垂直に入射される場合は1波長よりも短い周期でも同様のことが起こる。なお、ここで波長とは屈折率を考慮した実効波長をさし、屈折率nの媒質中では真空中の波長の1/nである。
【0024】
一方、上記光学的構造の周期が入射光の半波長(垂直入射に近い場合に限定すれば1波長)よりも長い場合、散乱回折光が特定の方向で同位相となり強めあい、この方向に多くの光が集中して進行する。この場合は、いわゆる回折格子による回折が生じる。本実施の形態に係る波長選択性鏡10の第1の面11は、このように回折格子として機能する光学的構造を有している。
【0025】
また、第1の面11における光学的構造は、その周期的構造の形状を工夫すれば特定波長域の回折効率を大きくし、回折しない成分(0次回折成分)を非常に小さくできる。この結果、長波長域は回折されずに進む(0次回折として進む)か、遮断で反射される一方、短波長域は回折されない成分(0次回折の成分)が小さく抑えられて、大部分の光が回折されて向きを変えて進むようにできる。これを図示すれば、図2に示すようなものとなる。
【0026】
図2において実線で示しているのは長波長域の光Aである。第1の面11を通過する長波長域の光Aは、第1の面11で回折されずに進む0次回折光のみが存在する。また、図2において破線で示しているのは短波長域の光Bである。第1の面11を通過する短波長域の光Bでは、第1の面11で回折されるq次(q≠0)回折光が存在する。
【0027】
尚、本実施の形態において、長波長域と短波長域との境界となる波長は、第1の面11における光学的構造のピッチP(図2参照)の寸法設定によって調整可能である。例えば、ピッチPの選び方で、短波長域を可視全域、長波長域を赤外域とし、かつ、可視全域で0次および±1次回折のみが発生するようにし、赤外域で0次回折のみが発生するようにできる。
【0028】
また、第1の面11における光学的構造の変調の振幅H(すなわち、凹凸の深さ)の寸法設定によって、例えば、可視域の希望する波長で0次回折光をなくし(±1次回折光のみとし)、その周りのかなり広い範囲の可視波長域で0次回折光を小さく抑えることも可能である。
【0029】
波長選択性鏡10の第2の面12は、第1の面11を通過した光を選択的に透過/反射させるための面である。図1では、第2の面12は、基準面の法線に対して45°傾斜した面を交互に配置した三角波断面形状の光学的構造となっている。
【0030】
上記形状の第2の面12に対して、長波長域の光は、図3(a)に示すように、第1の面11を回折せずに進んだ0次回折光のみが入射する。この0次回折光は、第2の面12に対して45°の入射角で入射されることになる。この時、波長選択性鏡10が高屈折率材料で形成され、その臨界角が45°以下に設定されていれば、全反射が生じる。すなわち、長波長の光を第2の面を通過させることなく、第1の面11側に戻すことができる。これにより、波長選択性鏡10は、長波長の光に対して100%の反射率を得ることができる。
【0031】
また、第2の面12に対して、短波長域の光としては、図3(b)に示すように、第1の面11によって回折された±1次回折光が入射する。この±1次回折光は、第2の面12を構成する傾斜面に対して臨界角よりも小さい角度で入射するため、第2の面12を透過する光が生じる。
【0032】
但し、短波長域の光に関しては、第2の面12を透過する光の透過率を100%とすることはできない。これは以下の理由による。
・第1の面11を通過する短波長域の光には、±1次回折光のみでなく0次回折光も存在する。この0次回折光は、長波長域の光と同様に第2の面12での全反射を受けるため、第2の面12を透過しない。
・短波長域の光が第1の面11に照射された場合、0次回折および、通過できる回折成分以外の成分も存在する(遮断域の高次回折成分など)。これらは第1の面で反射される。
・第2の面12を構成する傾斜面に対して臨界角よりも小さい角度で入射する±1次回折光においても、一部の光は反射される。
【0033】
また、短波長域の光における第2の面12の透過率は波長によって異なり、所望の波長での透過率が大きくなるように波長選択性鏡10を設計することは可能である。
【0034】
例えば、上述したように第1の面11における光学的構造の変調の振幅Hの寸法設定によって、可視域の希望する波長で0次回折光をなくし、±1次回折光のみとすることができる。このように0次回折光をなくした波長では、第2の面12で全反射される0次回折光がなくなるため、透過率は増加する。
【0035】
また、第1の面11を通過する±1次回折光の角度はその波長に応じて異なり、第2の面12を構成する傾斜面に対して、より垂直に近い角度で入射する波長の光ほど、透過率は増加する。
【0036】
このため、図1に示す波長選択性鏡10において、入射される光の波長と透過/反射率との関係は、図4に示すようなものとなる。すなわち、ある境界波長よりも波長が大きい長波長域では100%の反射率を得ることができ、その境界波長よりも波長が小さい短波長域ではある波長をピークとする透過率が得られる。
【0037】
このように図1に示す波長選択性鏡10は、広い帯域で100%の反射率を得ることができ、かつ、安価に提供できるといった利点を有する。
【0038】
すなわち、ある境界波長よりも波長が大きい長波長域の光は、第1の面11において0次回折光のみが透過され、この0次回折光は第2の面12において全反射される。全反射は、波長選択性がなく100%の反射率とすることができるので、上記長波長域の光に関しては100%の反射率を得ることができる。
【0039】
また、波長選択性鏡10は、例えばガラスや樹脂等の材料を単一で用いて作成することができる。ガラス等の硬質材料を用いる場合には、第1の面11および第2の面12は、切削加工によって作成することができる。また、樹脂を用いる場合には、押し出し加工やプレス加工によって波長選択性鏡10を作成することができる。ガラスでも、高温で溶融状態とすれば同様に押し出し加工やプレス加工によって作成できる。何れの方法も、従来の多層膜反射鏡の製造方法に比べて大幅に低コストであり、また、波長選択性鏡10の大面積化や量産化を図ることも容易である。
【0040】
図1に示す波長選択性鏡10は、本発明の一実施形態を例示しているに過ぎず、本発明の波長選択性鏡は、種々の変形例が考えられる。以下に本発明の変形例の幾つかを説明する。
【0041】
先ず、図1では、第1の面の形状を方形波形状としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、三角波、鋸歯、正弦波状等の他の周期的形状であっても良い。すなわち、第1の面の形状は、長波長域の光のq次(q≠0)回折成分をカットして0次回折光のみとするカットオフ機能を有する回折格子として機能する形状であれば特に限定されるものではない。
【0042】
例えば、図5に示すように、第1の面の形状を鋸歯形状とした場合を考える。図5に示す構成例では、スネルの法則に則って屈折する方向(θ=sin−1{(sinθin)/n})が特定波長の−1次回折の方向と一致する場合、この特定波長付近の光は殆ど−1次回折光に(逆向きの鋸歯の場合は1次回折光に)変換される。勿論、スネルの法則に則って屈折する方向を特定波長の±2次回折の方向と一致させて、±2次回折を利用するものでもよい。この例では、後述する図7の構成において、短波長側を全反射させることも可能となる。
【0043】
なお、回折格子は一般に、幾何学構造、屈折率、反射率など光学的特性を空間的に周期的に変化させて構成している。上記例は幾何学的構造が周期を持つものであるが、本発明においては、屈折率の周期変化による回折格子も勿論含めている。
【0044】
また、光学特性の分布が周期的でない場合もフーリエ変換の原理から異なる周期の周期関数の合成と見なせるので、本発明では1つの周期的構造をもつ回折格子に限定されるものではない。例えば、複数の周期関数の合成で表される回折格子を持つものや、周期に幅を持つような非周期的回折格子(特定の周期より短い幅での変化を持つ非周期的回折格子)も含めるものとする。第1の面において、1つの周期的構造をもつ回折格子ではなく、このような回折格子を用いた場合では、境界波長や透過、反射の中心波長が曖昧になるが、用途によってはその方がよいこともある。
【0045】
また、波長選択性鏡における第1の面は、表面に凹凸を設けて回折格子機能をもたせる構成以外に、図6に示すように、別種光材料や遮光材料による格子パターン13を形成してもよい。この構成は、例えば、波長選択性鏡の材質としてガラス等の硬質材料が用いられる場合に、第1の面における回折格子の形成を容易にできる利点がある。なお、遮光材料の場合は透過/反射に損失を伴う。
【0046】
また、波長選択性鏡における第2の面は、図1に示すような三角波形状に限定されるものではなく、図7に示すような平坦面からなる第2の面14であっても良い。図1に示される第2の面12を有する波長選択鏡10では、長波長域の光を全反射し、短波長域の光(の大部分)を透過する。これに対して、図8に示すように、平坦面からなる第2の面14を有する波長選択鏡では、長波長域の光の大部分を透過し、短波長域の光のq次(q≠0)回折光を全反射することができる。尚、第2の面を図7に示すような平坦面とし、第1の面を図5に示すような鋸歯形状とした場合には、短波長側を全反射させることも可能となる。
【0047】
また、波長選択性鏡における第1の面および第2の面の凹凸は、図9(a)に示すような上記凹凸が1次元方向に形成されるストライプ形状であってもよいが、図9(b)に示すような2次元方向に形成される形状であっても良い。図9(b)に示すように、第1の面および第2の面の凹凸が2次元方向に形成される構造では、図9(a)に示すようなストライプ形状に比べて反射特性が低下する可能性はあるものの、反射光に対して再帰性反射(光が入ってきた方向に戻すように反射する)を行なうことができる。
【0048】
また、上記説明における各波長選択性鏡は、高屈折材料からなる膜の両面に第1の面および第2の面を形成しており、基本的には単一材料にて製造できるものであるが、図10に示すように、第1の面および/または第2の面の表面に平坦化膜15および/または16を形成しても良い。
【0049】
平坦化膜15,16が形成される場合、波長選択性鏡における第1の面および第2の面の凹凸形状を欠けや変形などから保護できるといった効果がある。また、平坦化膜15,16は、第1の面または第2の面における上述した光学的機能を妨げることがないように、低屈折率材料にて形成される。
【産業上の利用可能性】
【0050】
ある特定波長を境界とする広帯域な反射/透過を制御を行なうことができ、波長選択性カットフィルタなどの用途に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施形態を示すものであり、波長選択性鏡の概略構成を示す断面図である。
【図2】上記波長選択性鏡の第1の面における回折格子機能を示す図である。
【図3】上記波長選択性鏡の第2の面における透過/反射機能を示す図であり、(a)は長波長域の光に対する透過/反射機能、(b)は短波長域の光に対する透過/反射機能を示す図である。
【図4】上記波長選択性鏡における波長と透過/反射率との関係を示すグラフの一例である。
【図5】上記波長選択性鏡の第1の面を鋸歯形状とした場合を示す断面図である。
【図6】本発明の他の実施形態を示すものであり、波長選択性鏡の概略構成を示す断面図である。
【図7】本発明のさらに他の実施形態を示すものであり、波長選択性鏡の概略構成を示す断面図である。
【図8】図7に示す波長選択性鏡の透過/反射機能を示す図である。
【図9】(a),(b)は、上記波長選択性鏡の斜視図である。
【図10】本発明のさらに他の実施形態を示すものであり、波長選択性鏡の概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0052】
10 波長選択性鏡
11 第1の面
12,14 第2の面
13 格子パターン
15,16 平坦化膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回折格子の機能を有し、外部から入射される光のうち、ある特定波長よりも大きい波長を有する長波長域の光に対してはq次(q≠0,q:整数)回折成分の光は遮断させ、0次回折成分(q=0:非回折に相当)の光のみを透過させ、上記特定波長よりも小さい波長を有する短波長域の光に対してはq次(q≠0)回折成分の光も透過させる第1の面と、
上記第1の面の対向面であり、上記第1の面を透過した長波長域の0次回折成分の光と短波長域のq次(q≠0)回折成分の光とのうちの一方を全反射し、他方を透過させる第2の面とを有していることを特徴とする波長選択性鏡。
【請求項2】
上記第1の面における回折格子は、該面に形成された凹凸形状によって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の波長選択性鏡。
【請求項3】
上記第2の面は、傾斜面を交互に配置してなる三角波断面形状であることを特徴とする請求項1または2に記載の波長選択性鏡。
【請求項4】
上記第2の面は、平坦面であることを特徴とする請求項1または2に記載の波長選択性鏡。
【請求項5】
上記第1の面における回折格子が、複数周期の合成、あるいは特定の周期より短い幅での変化を持つ非周期的回折格子であることを特徴とする請求項1ないし4の何れかに記載の波長選択性鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−139949(P2010−139949A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−318261(P2008−318261)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(504176911)国立大学法人大阪大学 (1,536)
【Fターム(参考)】