説明

洗浄剤組成物

【課題】 粘度についての温度依存性、特に低温での温度依存性が小さく、使用性も優れた洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】 アニオン界面活性剤と、両性界面活性剤と、下記一般式(1)で表される一種または二種以上の油剤とを配合する。
【化1】


(式中、Rは水素原子、炭素数が4〜22のアルキル基、または水酸基を3〜6個有する多価アルコール残基を示し、nは40以上の整数を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は洗浄剤組成物に関し、さらに詳しくは低温における温度依存性を低減化した洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば毛髪洗浄料のような毛髪の洗浄に用いられる洗浄剤組成物においては、容器から容易に吐出すると共に、毛髪上に吐出された組成物は容易に垂れ落ちしないという適度の粘度を有していることが求められている。また、使用性の観点から粘度は季節を問わず一定であること、即ち温度の変動に対して変化の少ないものであることが求められる。
従来、洗浄剤組成物にポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック共重合体(プルロニック型ブロックポリマー)が使用され(例えば特許文献1参照)、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック共重合体は、洗浄料や化粧料の粘度を調整する効果を発揮していた。
【0003】
【特許文献1】特公平7−91555号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック共重合体を配合した洗浄剤組成物は、この成分を配合しない洗浄剤組成物に比べて泡立ちが悪くなる等使用感がやや劣るという欠点があるが、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック共重合体を配合しないと、低温で組成物の粘度が著しく上昇し、容器から容易に吐出できなくなる問題が生じる。そのため、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンのブロック共重合体に代わる粘度調整剤を用いた洗浄剤組成物が求められていた。
そこで本発明は、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロック共重合体を用いることなく、粘度についての温度依存性が少ない、特に低温においても粘度変化が小さい洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、アニオン界面活性剤と、両性界面活性剤と、下記一般式(1)で表される一種または二種以上の油剤とを配合してなることを特徴とする洗浄剤組成物である。
【0006】
【化2】


(式中、Rは水素原子、炭素数が4〜22のアルキル基、または水酸基を3〜6個有する多価アルコール残基を示し、nは40以上の整数を示す。)
【0007】
本発明においては、さらにカチオン化ポリマーを配合することが望ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の洗浄剤組成物は、粘度についての温度依存性、特に低温での温度依存性が小さく、さらに使用性も優れたものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に、本発明の最良の実施の形態について説明する。
本発明で用いられるアニオン界面活性剤としては、例えば高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、N−アシルサルコシン塩、N−アシルアミノ酸塩、アルファオレフィンスルホン酸塩、アルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩等が挙げられる。このうち特に、アルキルエーテル硫酸塩、N−アシルメチルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩が好ましい。
【0010】
アニオン界面活性剤の配合量は、洗浄剤組成物全量中、1〜50質量%が好ましく、特に5〜30質量%が好ましい。1質量%未満では、泡立ちが悪くなり、50質量%を超えると、シャンプーすすぎ時にきしむ。
【0011】
本発明で用いられる両性界面活性剤としては、例えばイミダゾリニウムベタイン系両性界面活性剤、アミドベタイン系両性界面活性剤およびベタイン系両性界面活性剤が挙げられる。
【0012】
両性界面活性剤の配合量は、洗浄剤組成物全量中、1〜50質量%が好ましく、特に5〜30質量%が好ましい。1質量%未満では、洗浄剤の泡立ちが悪くなり、50質量%を超えると、シャンプーすすぎ時にきしむ。
【0013】
本発明で用いられる上記一般式(1)で表される油剤は、本発明において粘度調整剤として用いられるものである。式中、nは40以上であり、好ましくは40〜80である。
【0014】
かかる油剤としては、上記一般式(1)中、Rが水素原子のものとして、ポリオキシプロピレン(n=69)、ポリオキシプロピレン(n=45)などが挙げられる。
【0015】
上記一般式(1)中、Rが炭素数4〜22のアルキル基のものとして、ポリオキシプロピレン(n=40)ブチルエーテル、ポリオキシプロピレン(n=52)ブチルエーテル、ポリオキシプロピレン(n=60)ラノリンエーテル、ポリオキシプロピレン(n=70)セチルエーテル、ポリオキシプロピレン(n=60)ステアリルエーテルなどが挙げられる。
【0016】
また、上記一般式(1)中、Rが水酸基を3〜6個有する多価アルコール残基であるものとして、多価アルコール母核がグリセリン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、マンニッタン、ソルビタン、マンニット、ソルビットのものが挙げられる。具体的には、ポリオキシプロピレン(n=50)グリセリルエーテル、ポリオキシプロピレン(n=70)グリセリルエーテル、ポリオキシプロピレン(n=41)ソルビットなどが挙げられる。
【0017】
これらの油剤は、一種のみを用いても、あるいは二種以上を混合して用いても良い。
上記一般式(1)で表される油剤の配合量は、洗浄剤組成物全量中、0.001〜10質量%が好ましく、特に0.01〜1質量%が好ましい。0.001質量%未満では、その効果を発揮せず、10質量%を超えると、洗浄剤の泡立ちが悪くなる。
【0018】
本発明においては、さらにカチオン性ポリマーを配合することが好ましい。
カチオン化ポリマーとしては、例えば、カチオン化セルロース誘導体、カチオン性澱粉、カチオン化ガラクトマンナンガム誘導体、ジアリル四級アンモニウム塩のホモポリマー、ジアリル四級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合物、四級化ポリビニルピロリドン誘導体、ポリグリコールポリアミン縮合物、ビニルイミダゾリウムトリクロライド/ビニルピロリドン共重合体、ヒドロキシエチルセルロース/ジメチルジアリルアンモニウムクロライド共重合体、ビニルピロリドン/四級化ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート共重合体、ポリビニルピロリドン/アルキルアミノアクリレート/ビニルカプロラクタム共重合体、ビニルピロリドン/メタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウム共重合体、アルキルアクリルアミド/アクリレート/アルキルアミノアルキルアクリルアミド/ポリエチレングリコールメタクリレート共重合体、アジピン酸/ジメチルアミノヒドロキシプロピルエチレントリアミン共重合体(米国サンドス社製カルタレチン)等が挙げられ、特にカチオン化セルロース誘導体、カチオン化ガラクトマンナンガム誘導体が好ましい。
【0019】
カチオン化ポリマーの配合量は、組成物全量に対し0.01〜3質量%、好ましくは0.1〜1質量%配合することができる。カチオン化ポリマーの配合量が組成物全量に対し0.01質量%未満では、毛髪のなめらかさやコンディショニング効果が得られず、3質量%を超えると、ぬるつき感を与えてしまう。
【0020】
本発明の洗浄剤組成物は、上記成分に加えて、目的に応じて本発明の効果を損なわない量的、質的範囲で、多価アルコール、多糖類、タンパク質誘導体、薬剤、その他の界面活性剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、色素、香料など、洗浄剤組成物に一般に配合される成分を添加してもよい。
【0021】
ここで多価アルコールとしては、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ソルビタン、ソルビトール、マルチトール、グルコース、スクロース等が挙げられる。
【0022】
多糖類としては、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ケラタン硫酸、ヘパラン硫酸およびこれらの塩類が挙げられる。
【0023】
薬剤としては、ビタミンC類、ビタミンE類、アミノ酸類、生薬、抗炎症剤、殺菌剤等の化粧品に汎用される薬剤を配合することができる。
その他の界面活性剤としては、一般に化粧品に配合されるものならいずれも用いることができ、例えばカチオン性界面活性剤、親油性非イオン性界面活性剤、親水性非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0024】
本発明の洗浄剤組成物は、特にヒトの毛髪の洗浄に好適に用いられ、溶液系、可溶系、乳化系、粉末分散系、水−油二層系、水−油−粉末三層系、軟膏、ゲル、エアゾール等、任意の剤型が適用される。
【0025】
また、その使用形態も任意であり、例えばヘアシャンプー、リンスインシャンプー、ボディソープ、洗顔料等に用いることができるが、特に、ヘアシャンプー、リンスインシャンプー等の毛髪用洗浄剤組成物として好ましく用いられる。
【0026】
なお、上記剤型および使用形態に本発明の洗浄剤組成物が採り得る形態が限定されるものではない。
【実施例】
【0027】
次に実施例を挙げ、本発明をさらに詳細に説明する。ここで、配合量は質量%である。
実施例1〜11、比較例1〜8
表1〜表4に示す配合組成のシャンプーを常法により製造し、(1)粘度、(2)リンスした後の髪の滑らかさ、(3)リンスした後の髪のしっとり感を調べた。その結果を表1〜表4に併せて示す。なお、評価基準は以下の通りである。また、表1〜表4に記載した成分の詳細を表5に示す。
【0028】
(1)粘度
30℃、10℃、5℃、および0℃での粘度を測定した。
測定方法は、芝浦システム株式会社製の第一円筒型回転粘度計を用い規定の方法で測定した測定値をc.p.s単位にて表した。即ち、試料150mlを容器にとり、試料温度を各温度(30℃、10℃、5℃、0℃)±1℃にした後に、ローター(No.2 or 3)を試料中に入れ、回転数12回転/分で1分間回転させた後の指示目盛(100目盛)を読み、c.p.s単位に換算した。
【0029】
(2)リンスした後の髪の滑らかさ
各洗浄剤組成物を用いて、専門パネル6名に毛髪の洗浄をしてもらい、その後リンスし、官能評価を行った。評価は次の基準による平均値を算出し、平均値が4.5以上の場合を非常に良好(◎)、3.5〜4.4の場合を良好(○)、2.5〜3.4の場合を普通(△)、2.4以下の場合を不良(×)と判定した。
【0030】
5;リンス後の髪の滑らかさが良いと感じる。
4;リンス後の髪の滑らかさがやや良いと感じる。
3;ふつう。
2;リンス後の髪の滑らかさがやや悪いと感じる。
1;リンス後の髪の滑らかさが悪いと感じる。
【0031】
(2)リンスした後の髪のしっとり感
各洗浄剤組成物を用いて、専門パネル6名に毛髪の洗浄をしてもらい、その後リンスし、官能評価を行った。評価は次の基準による平均値を算出し、平均値が4.5以上の場合を非常に良好(◎)、3.5〜4.4の場合を良好(○)、2.5〜3.4の場合を普通(△)、2.4以下の場合を不良(×)と判定した。
【0032】
5;リンス後の髪のしっとり感が良いと感じる。
4;リンス後の髪のしっとり感がやや良いと感じる。
3;ふつう。
2;リンス後の髪のしっとり感がやや悪いと感じる。
1;リンス後の髪のしっとり感が悪いと感じる。
【0033】
【表1】

【0034】
【表2】

【0035】
【表3】

【0036】
【表4】

【0037】
【表5】

【0038】
実施例12〜13
次の表6に示す処方で、洗浄剤組成物を調製した。なお表中、
*1:ベルタモールDG−25(日本油脂社製)
*2:マーコート550(CALGON社製)
*3:マーコート プラス 3330(イー・シー・シー・インターナショナル社製)
を表す。
【0039】
【表6】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
アニオン界面活性剤と、両性界面活性剤と、下記一般式(1)で表される一種または二種以上の油剤とを配合してなることを特徴とする洗浄剤組成物。
【化1】


(式中、Rは水素原子、炭素数が4〜22のアルキル基、または水酸基を3〜6個有する多価アルコール残基を示し、nは40以上の整数を示す。)
【請求項2】
さらにカチオン化ポリマーを配合してなることを特徴とする請求項1に記載の洗浄剤組成物。






【公開番号】特開2006−28278(P2006−28278A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−206827(P2004−206827)
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】