洗濯乾燥機
【課題】本発明は、洗濯物の出し入れがし易く、洗浄力が良く、洗濯物の傷みが少なく、コンパクトで振動・騒音が少ないドラム式洗濯機またはドラム式洗濯乾燥機を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、外枠筐体内に設けられた円筒形状をした洗濯水が溜まる外槽と、前記外槽内に回転自在に設けられ、洗濯物を収納する円筒形状の洗濯ドラム槽と、前記洗濯ドラム槽とを有し、前記洗濯ドラム槽の前端側に設けられた投入口が斜め上向きになるように洗濯ドラム槽の回転軸心線を斜めに設置したドラム式洗濯機またはドラム式洗濯乾燥機において、前記洗濯ドラム槽の径Dと、洗濯ドラム槽の前後方向の長さLとが、(D/2)/L=0.9〜1.1であることを特徴とする。
【解決手段】本発明は、外枠筐体内に設けられた円筒形状をした洗濯水が溜まる外槽と、前記外槽内に回転自在に設けられ、洗濯物を収納する円筒形状の洗濯ドラム槽と、前記洗濯ドラム槽とを有し、前記洗濯ドラム槽の前端側に設けられた投入口が斜め上向きになるように洗濯ドラム槽の回転軸心線を斜めに設置したドラム式洗濯機またはドラム式洗濯乾燥機において、前記洗濯ドラム槽の径Dと、洗濯ドラム槽の前後方向の長さLとが、(D/2)/L=0.9〜1.1であることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯ドラム槽の回転軸心線が横向きに置かれるドラム式の洗濯機または洗濯乾燥機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ドラム式の洗濯機は、特開2003−79995号公報(特許文献1)に記載されている。このドラム式洗濯機は、投入口が斜め上向きになるように洗濯ドラム槽の回転軸心線が斜めに設置され、洗濯ドラム槽を内置する外槽がサスペンションで防振支持される構成を有する。
【0003】
【特許文献1】特開昭64−32893号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ドラム式の洗濯機または洗濯乾燥機は、洗濯ドラム槽の回転軸心線を洗濯物の投入口が上向きになるように傾斜させることで、洗濯ドラムへの洗濯物の出し入れがし易くなる。
【0005】
しかし、その傾斜の傾き角度を大きくすると、洗濯物の出し入れがし易くなる反面で、洗濯物の洗浄力が低下する。
【0006】
また、洗濯ドラムの半径dと奥行きLとの対比で、Lをdより大きくすると、叩き洗いによる機械力が低下し、洗浄力が低下する。それとともに洗濯機の外枠筐体の奥行寸法が増大し、薄型化が図れない。
【0007】
逆にdをLより大きくすると、叩き洗いによる機械力が増加し、洗濯物の傷みが増大する。それとともに外枠筐体の幅や丈が増大してコンパクト化が図れない。加えて、脱水時の遠心力増大により、振動・騒音が増大する。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑み、洗濯物の出し入れがし易く、洗浄力が良く、洗濯物の傷みが少なく、コンパクトで振動・騒音が少ないドラム式洗濯機またはドラム式洗濯乾燥機
を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、外枠筐体内に設けられた円筒形状をした洗濯水やすすぎ水が溜まる外槽と、前記外槽内に回転自在に設けられ、洗濯物を収納する円筒形状の洗濯ドラム槽と、前記洗濯ドラム槽とを有し、前記洗濯ドラム槽の前端側に設けられた投入口が斜め上向きになるように洗濯ドラム槽の回転軸心線を斜めに設置したドラム式洗濯機またはドラム式洗濯乾燥機において、前記洗濯ドラム槽の径Dと、洗濯ドラム槽の前後方向の長さLとが、(D/2)/L=0.9〜1.1であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、洗濯物の出し入れがし易く、洗浄力が良く、洗濯物の傷みが少なく、コンパクトで振動・騒音が少ないドラム式洗濯機またはドラム式洗濯乾燥機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施例について、図面を引用して説明する。
【0012】
以下に挙げる実施例はドラム式洗濯機であるが、本発明はドラム式洗濯乾燥機にも適用できるものである。ドラム式洗濯乾燥機より乾燥機能部を除くと、ドラム式洗濯機になる。なお、図1、図2では乾燥機能部が省略されて図示されている。
【0013】
まず、図1、図2を引用してドラム式洗濯乾燥機の概要から述べる。
【0014】
図1、図2に示すように、ドラム式の洗濯乾燥機は、外枠筐体1の内側に有底円筒形状の外槽2が置かれる。
【0015】
外枠筐体1の外形寸法は、丈Hが1100mm、前側の幅Wが650mm、奥行きDが610mmである。この外形寸法は、洗濯容量が8〜10kg、乾燥容量が6〜8kgの場合である。洗濯容量、乾燥容量が変わると、洗濯ドラム槽の大きさも変わるため外形寸法は変わる。
【0016】
外槽2は、中央より後寄りが複数個のサスペンション3により下方から支持される。また外槽2は、その上部から引きバネ4により吊り下げ支持される。
【0017】
サスペンション3は、外槽2を含む全重量を支持するものであり、強固な弾性支持構成を有し、外枠筐体1の外枠ベース20に固定されている。特に脱水運転時に生じる外槽2の強い上下振動を吸収し、脱水起動時に発生する外槽2の異常振動を防止するための減衰機構などが設けられている。
【0018】
サスペンション3の取付け位置は、外槽2のほぼ重心位置に設けられる。外槽2は、後端側が下になるように傾斜するように設けられているので、サスペンション3を後側に位置させるサスペンション3の高さが低くなる。サスペンション3のストロークが少なくなる。
【0019】
このため、サスペンションの減衰機能を維持する上で、サスペンション3の取付け位置は外槽2のほぼ中心側に位置した方が、後方に位置するよりも望ましい。
【0020】
また、外槽2の上部から吊り下げ支持する引きバネ4は、外槽2の倒れ防止を兼ねた支持や脱水時の上下・左右振動を低減するために設けられている。
【0021】
外枠筐体1の上側内部には、給水電磁弁6、洗剤投入ケース8が設けられる。洗剤投入ケース8は、注水ホース7により給水電磁弁6と連通接続される。給水電磁弁6には、給水ホース5が接続される。給水ホース5の先端は水道の蛇口(図示せず)に接続される。
【0022】
洗濯やすすぎ時には、給水電磁弁6が開放操作され、注水ホース7から洗剤投入ケース8に洗濯やすすぎに必要な水が供給される。
【0023】
洗剤投入ケース8には、洗濯に必要な洗剤が投入される。また、すすぎ時に、洗濯物の仕上がりを良くするための柔軟仕上げ剤が洗剤投入ケース8に設けられた仕上げ剤を溜めるケース部に投入され、必要な時に外槽2に自動的に投入される。
【0024】
すなわち、洗濯時に、注水ホース7から供給された水により、洗剤投入ケース8内で洗剤が溶かされ、フレキシブルホース10を流れて外槽2の上部から内部に投入される。
【0025】
洗濯ドラム槽11は、外槽2に回動自在に内置される。前側に投入口が設けられた有底円筒形を有する洗濯ドラム槽11は、前端を外枠筐体1の前側に向け、後端を外枠筐体1の後側に向けるように配置される。
【0026】
洗濯ドラム槽11が内置される外槽2も外枠筐体1の前側に向け、後端を外枠筐体1の後側に向けるように配置される。
【0027】
外槽2と洗濯ドラム槽11は、円筒形の軸心線が同心になるように置かれ、かつ洗濯ドラム槽11の投入口11aと外槽2の投入口11bが外枠筐体1の前側に設けられている投入口11cに臨むように配置される。
【0028】
外槽2と洗濯ドラム槽11は、投入口が設けられている前端側の方を上に、後端側の方を下になるように傾斜させて配置される。この傾き角度(水平線に対する軸心線の角度)θは、15度である。洗濯物の取り出しなどから15度程度の傾き角度が望ましいが、(5〜30)度程度の範囲内で傾き角度θを選択できる。
【0029】
外枠筐体1は、投入口11cを開閉される外蓋12が備えられる。洗濯ドラム槽11に洗濯物の出し入れする際に外蓋12の開閉が行なわれる。
【0030】
ベローズ21は、外枠筐体1の投入口11cの口縁部と、外槽2の投入口11bの内縁部に水密的に取付けられる。このゴム(弾性体)で出来ているベローズ21により、外枠筐体1と外槽2の間の水密は保たれる。外蓋12は、内側がベローズ21に密着するので、外枠筐体1の投入口11cから外部への漏水は生じない。
【0031】
洗濯ドラム槽11は、バランサー13を有する。バランサー13の内周側が前述した投入口11aになっている。このバランサー13により、脱水時の振動は低減される。
【0032】
また、洗濯ドラム槽11は、円筒部に複数の脱水穴14を有する。脱水時に、洗濯物に含まれている水分が脱水穴14により遠心力で外槽2内に脱水される。
【0033】
洗濯ドラム槽11の円筒部には、内周に複数16が設(3本)のリフターけられる。このリフター16は、軸心線(回転軸心線)の方向に沿って延在する。リフター16の高さは、通常は長手方向に亘ってほぼ同じ高さである。
【0034】
奥側に位置する洗濯物の動きを良くするため、リフター16は洗濯ドラム槽11の回転軸心に対してほぼ水平(下側に位置した際での水平)とすることも可能である。複数のリフター16は、例えば3本の場合、120度の等間隔で配置される。
【0035】
DCブラシレスモータ19は、外槽2の後部外面に取り付け固定される。このDCブラシレスモータ19は、洗濯ドラム槽11を回転駆動する駆動源である。
【0036】
洗濯ドラム槽11は、円筒部の底側である後端にフランジ17を有する。フランジ17に設けた主軸18は19の、DCブラシレスモータロータ側に結合される。こうして、洗濯ドラム槽11は、駆動源のDCブラシレスモータ19を介して外槽2に回転自在に支持される。
【0037】
排水路の排水ホース23は、外槽2の後下部に連通するように設けられる。この排水路には、排水弁22が設けられる。排水電磁弁22を開放操作することにより、外槽2に溜まっている洗濯水やすすぎ水23を通は、排水ホース23を通じて機外に排水される。
【0038】
排水路の排水ホース23は、外枠ベース20を貫通して下流側の先端は家屋の排水穴に挿入される。
【0039】
図3は、ドラム式洗濯乾燥機の運転工程を示す。
【0040】
この運転工程は洗濯物9に付着した汚れを落としたり、すすぎで洗剤分をすすいだりリントを除去したりする。また洗濯物9に含まれた洗浄水を洗濯ドラム槽11の回転により脱水穴14から遠心力で脱水し、排水することを自動的に行う自動洗濯運転工程を示す。
【0041】
最初に給水電磁弁6がオンして給水300が行なわれる。給水量約20リットルまで給水がされる。総給水量は通常25リットル程度である。
【0042】
洗剤ケース8にセットされた洗剤は、給水の際に一緒に洗濯ドラム槽11の内に外側に流れ込み、洗濯ドラム槽11の回転で洗剤が溶解される。洗い301では洗濯に必要な洗浄水が供給されると、インバータモータ19が回転して洗濯ドラム槽11を回転させる。
【0043】
この時の洗濯ドラム槽11の回転速度は毎分40〜60回転で洗濯ドラム槽11の外形が大きいほど回転数は低くなり、休止をおいて正逆回転を数分間行い、洗濯物9がリフター16によりかきあげられながら、叩き洗いにより洗濯される。
【0044】
洗い301が終了すると、洗濯物9から流出した汚れを含む洗浄水を、排水弁22をオンして排水ホース23により機外に排水する工程の排水302に移行する。
【0045】
排水302が終了した後、洗濯物9に含まれている洗剤分を脱水する脱水303に移行する。脱水303では洗濯ドラム槽11を高速回転して、遠心力により洗濯ドラム槽11内に開けられた脱水穴14を通して洗濯物9に含まれた洗浄水を脱水する。
【0046】
脱水303が終了すると、洗濯物9に含まれた洗剤分をすすぐ、すすぎ(1)304へと移行する。この時、給水305が行われるが給水水位は洗濯301より水位を高くしてすすぎ(1)304が行われる。
【0047】
すすぎ(1)304が終了すると排水306、脱水307が行われ、すすぎ(1)の時の給水305と同じように給水が行われ、すすぎ(2)308が行われる。
この時の給水量は洗濯時と同等あるいはすすぎ(1)時に増加した分、水量を低減した給水量としている。すすぎ(2)308が終了すると排水309、最終脱水310が行われ洗濯の運転工程が終了する。
【0048】
乾燥工程まで設定されていると、最終脱水310の終了後に乾燥工程311が続けて実行され終了312に至る。
【0049】
図4は、洗い、すすぎ、脱水、乾燥に至るまでの工程を制御する制御手段のブロックを示したものである。
【0050】
制御手段は、マイコン61を主要部として構成される。
【0051】
マイコン61はクロックパルス発生手段のタイマー63、中央処理装置(CPU)62、メモリ64、入力ポート66、出力ポート65などから構成されている。中央処理装置62には、演算部62aや制御部62bなどがある。
【0052】
洗濯機の運転動作は、マイコン61の中にある中央処理装置62とタイマー63およびメモリ64をデータバスによりデータのやりとりをして設定された条件をもとに駆動している。
【0053】
中央処理装置62は、基本的には制御命令の取り出しと解読、実行指令であるが、具体的には算術演算やメモリ指定アドレス内容の読み出しで制御、入出力装置への指定アドレスの入出力や全自動コースやアニュマル設定のプログラムの制御を行う。
【0054】
メモリ64には、プログラムデータを読み出して書き込みを行う機能を持つRAM64aと読み出し専用機能だけを持つROM64bの2種類を備えており、RAM64aは洗濯運転条件に必要なデータを主に記憶して、設定されたプログラムを組む上での作業エリアとして用いる。
【0055】
ROM64bは、決ったプログラムや固定データを入れ、いつでも同じ処理をする場合に使用する。入力ポート66と出力ポート65は、中央処理装置62と入力回路70と出力回路71との間でデータの受け渡しを行う場合の仲介をする回路である。
【0056】
入出回路部70側には、洗濯機に組込まれている、各種センサーからの情報や電源スイッチなどが接続されている。電源スイッチ72から洗濯機を運転するのに必要な電源が供給される。
【0057】
電源スイッチ72を押すことにより、既に図1で説明した給水電磁弁6が開放されて洗濯機内に洗濯やすすぎに必要な水が供給される。
【0058】
洗濯やすすぎに必要な、水の量は洗濯機に組み込まれた水位センサー73からの情報を受けて、中央処理装置62で情報の処理を行い、適正な水量かを判断して、適正であれば図3に示す工程図により次の工程へ移行する。
【0059】
洗濯や脱水、すすぎなどのDCブラシレスモータ19の回転数は、DCブラシレスモータ19の近傍に設けられたICホール素子74からの情報を中央処理装置62へ伝えてDCブラシレスモータ19の適正な回転制御を行う。
【0060】
その他、入力側には蓋の開閉状態を検知する蓋開閉センサー75や、全自動コースを設定する全自動コース選択キー76、マニュアル設定キー77、洗濯物9の量を検知する布量センサー78などが設けられている。
【0061】
また、出力側にはDCブラシレスモータ19や、給水電磁弁6や排水電磁弁22、蓋ロックソレノイド79、終了を知らせる終了ブザー80などが設けられている。
【0062】
これらの入力・出力装置側からとマイコン61をデータバスにて情報のやり取りをしながら洗濯機は、洗いからすすぎ、脱水に至る作業を自動的に行うものである。
【0063】
比容積について図5、図6を引用して説明する。
【0064】
比容積は、洗濯ドラム槽11の内容積Vリットルと乾燥定格容量kgとの割合である。
【0065】
洗濯ドラム槽11の内容積Vは、径DΦと奥行きLから求められる。この洗濯ドラム槽11で乾燥する良好な乾燥の比容積の範囲は、9(L/kg)〜13(L/kg)である。
【0066】
9(L/kg)以下になると、洗濯物が洗濯ドラム槽内に一杯になり、乾燥した洗濯物9にシワが多く生じ、仕上がりが良くない。
【0067】
13(L/kg)以上になると、乾燥仕上がりは良くなるが、洗濯ドラム槽11の内容積は大きくなる。外枠筐体1の寸法が大きくなるので、据付面積が広く取り、住宅事情により需要数が低下する。
【0068】
比容積を9(L/kg)〜13(L/kg)の範囲内にすることで、コンパクト大容量化を図ることができる。
【0069】
図6に示すように、9(L/kg)では、定格容量が8kgの場合に洗濯ドラム槽11の内容積は約72Lになる。13(L/kg)では内容積は約104Lになる。洗濯ドラム槽11の内容積は斜線の範囲をキープして設計する必要がある。
【0070】
図7、図8を引用して乾布質量と湿布質量・軸トルクについて説明する。
【0071】
図7のAは、含水率の高いタオル地系の洗濯物9における乾布質量と湿布質量との関係を表す。Bは木綿地系の洗濯物9を表す。
【0072】
タオル地系の場合(A)では、8kgの乾布質量に対し、湿布質量が約38kgになる。重量比で4.75倍になり、約30Lの水分を含水することになる。
【0073】
木綿地系の場合(B)では、8kgの乾布質量に対し、湿布質量が約30kgになる。重量比で3.75倍になり、約22Lの水分を含水することになる。
【0074】
このように洗濯や濯ぎでは、洗濯ドラム槽は水分が含まれる重い洗濯物を担って回転するため図8に示すように、主軸18に大きな軸トルクが発生する。
【0075】
因みに、脱水により洗濯物の水分が除去された場合について述べる。湿布質量8kgのタオル地系を50%脱水した場合には、脱水後の質量が16kgなり、洗濯物9に含まれる水分は8Lになる。木綿地系の50%脱水では脱水後に洗濯物9に含まれる水分は8Lになる。
【0076】
このように洗濯ドラム槽11の主軸18には大きな軸トルクがかかる。特に脱水時には大きな偏心荷重にともなうアンバランス振動騒音が発生するので、それを抑える対応が必要である。
【0077】
洗濯ドラム槽の傾きと洗浄について、図9、図10を引用して説明する。
【0078】
ドラム式洗濯乾燥機は、洗濯ドラム槽11の回転により、リフター16により洗濯物9を掻き上げて洗濯ドラム槽11の内底に落下させる叩き洗いにより洗濯する。
この落下させる叩き洗いの衝撃が大きいのは、図9に示す傾斜角度θが0°である。傾斜角度θが90°のときに叩き洗いの衝撃が最小になる。
【0079】
図10は洗濯ドラム槽11の傾斜角度θと洗浄力指数との関係を表わすグラフに表したものである。
【0080】
傾斜角度θが0°のときに洗浄力指数を1としている。傾斜角度θが大きくなるに従い洗浄力指数は下がる。JIS指定の標準洗濯機を1とした場合、一般的に洗浄力指数が0.8以上あれば、洗濯物9の汚れを落とす洗濯機として受け入れられる。
【0081】
洗浄力指数が0.8のときの傾斜角度θは20°〜25°である。満足の往く洗浄力が得られる洗浄力指数は0.9以上必要である。傾斜角度θでは15°前後以下である。傾斜角度と軸トルクについて、図11のグラフを引用して述べる。
【0082】
ここで用いた洗濯ドラム槽11は、径DΦが600mm、奥行きLが300mmのものである。洗濯物はタオル地とし、洗濯物には乾布質量に対し水分が約4.6倍含まれている状態で、洗濯ドラム槽11を回転させたときに主軸18に作用する軸トルク(kg−cm)をグラフで表した。
【0083】
軸トルク(kg−cm)は、傾斜角度θが0°で洗濯負荷量が5kgのときに最大になる。洗濯負荷量が5kg以下になると、負荷荷重が少なくなるので軸トルク(kg−cm)は低下する。
【0084】
洗濯負荷量が5kg以上になると、負荷荷重が多くなるが、洗濯物量9の増大にともない洗濯ドラム槽11内に洗濯物9がほぼ均一に分散される。この分散効果が大きく影響するので、洗濯負荷量が5kg以上なると、軸トルク(kg−cm)は低下してくるのである。このため
傾斜角度θが大きくなると、軸トルク(kgf−cm)は低下する。また叩き洗い効果も低減する。90度では軸トルクが最小になる。洗濯性能を維持しながら可能な限り、軸トルク(kg−cm)が小さい傾斜角度を設定することにより、洗濯ドラム槽を駆動するDCブラシレスモータ19の出力低減を図ることができる。
【0085】
洗濯物9の出し入れ易さと傾斜角度の関係について、図12を引用して説明する。
【0086】
図12は、傾斜角度θと洗濯物の出し入れ易さを5段階官能試験により評価したグラフである。
【0087】
評価値が高い場合は出し入れがし易く、評価値が低い場合は出し入れがし難い。この官能試験より、傾斜角度θが大きくなるにしたがい洗濯物の出し入れ性に対する満足度が増すことが分かる。
【0088】
この評価値、前述した洗浄指数、軸トルクを総合的に検討すると、傾斜角度θは10°〜20°範囲が洗濯機としての性能が満足できる。
【0089】
洗濯ドラム槽の薄形化(奥行き長さの縮小)と水量低減について、図13と図14を引用いて説明する。
【0090】
この洗濯ドラム槽は、傾斜角度θを10°〜20°に設定した。
【0091】
ドラム式洗濯乾燥機の図2に示す外枠筐体1の外形寸法で奥行きDmmの薄形化を図るには、洗濯ドラム槽11の奥行き長さLmmを薄くする必要がある。
【0092】
図13は薄形前、図14は薄形後の洗濯ドラム槽11と外槽2を示す。
【0093】
洗濯ドラム槽11の奥行きLmmをL1mmに薄くして、洗濯ドラム槽11の比容積を9〜13(L/kg)に保つには直径DΦをD1Φとすることに可能となる。
【0094】
前側の洗濯水位Hは同じであるが、奥行きL1を短くしているので洗濯や濯ぎの水量30を低減することができる。洗濯ドラム槽11の薄形化は節水の効果も奏するのである。
【0095】
コンパクト化大容量について、図15を引用して説明する。
【0096】
先にも述べたように、洗濯物9の定格容量が8kgで比容積を9〜13(L/kg)とした場合、洗濯ドラム槽の内容積Vリットルは約72リットル〜104リットルとなる。
【0097】
この範囲内とする場合、洗濯ドラム槽11の径と奥行きの関係では次のようになる。
【0098】
径D1Φが540mmの場合には、奥行きLは315mm必要になる。
【0099】
径D1Φが660mmの場合には、奥行きLは205mm必要になる。
【0100】
奥行きLが315mmでは外枠筐体1の薄形化は図れない。径D1Φが660mmの場合には、奥行きLが205mmで薄形化になるが、径大にともない本体筐体1の幅(W)が大きくなってしまう。このため家屋への据付性が悪くなる。
【0101】
そこで、コンパクト大容量化を図るには、比容積を9〜13(kg)の中心あたりを狙うと定格容量が8kgの場合で、80〜88(L)が望ましい。この結果より、奥行きLは280〜310mm、径D1Φは600mmとすることが望ましい。
【0102】
主軸にかかる軸モーメントについて、図16を引用して説明する。
【0103】
洗濯ドラム槽が水平の場合
軸モーメントFM=L・W(kgf−mm)
W:洗濯ドラム槽の先端に加わる力(kgf)
(バランサが付いているため、先端荷重が大きくなる)
L:洗濯ドラム槽の奥行き長さ
洗濯ドラム槽が傾いている場合(傾斜角度θを有する場合)
軸モーメントFMθ=LCOSθ・W(kgf−mm)
上記式より洗濯ドラム槽11の主軸18にかかる軸モーメントは、傾斜角度θを大きくするにつれて小さくなる。このため、ドラム式洗濯乾燥機の方が主軸18にかかる軸モーメントは縦型洗濯機より大きくなる。
【0104】
ドラム式洗濯乾燥機の場合、洗濯ドラム槽11の傾斜角θを大きくして軸モーメントを少なくする対応が可能である。しかし、傾斜角度θはドラム式洗濯乾燥機の基本性能を維持するために、前述したように10〜20°範囲内に制限される。
【0105】
また、洗濯ドラム槽11の奥行きLと径DΦの関係では、DΦを一定としてLを短くすることで軸モーメントを低減できるが、比容積より限度がある。
【0106】
洗浄力、損傷、洗濯ドラム槽の径DΦ/洗濯ドラム槽11の奥行きLとの関係について、図17を引用して説明する。
【0107】
この図は、左縦軸線に洗浄力指数、右縦軸線にMA値(傷み値)、横軸線に洗濯ドラム槽の径DΦ/洗濯ドラム槽11の奥行きLの比を表している。実線が洗浄力指数、点線がMA値を示している。
【0108】
このデータは、洗濯ドラム槽11の傾斜角度θを10°〜20°に設定した場合の測定値である。
【0109】
MA(Machanical Action)試験法とは、洗濯物9の損傷評価法である。
【0110】
洗濯物9が物理的作用を受けて損傷する程度を評価するMA(Machanical
Action)試験法では、直径D35mmの円を5ケ所打ち抜いた400mm角の平織り綿布を使用する。洗いや濯ぎ時の叩き洗い等による機械力で、5ケ所の円内に生じた糸のほつれ数の総和による洗濯物の傷みを検証し、評価する。
【0111】
MA値が高い程、洗濯物が受ける機械力が強く、洗浄力は向上するが、洗濯物9の傷みが激しくなる。
【0112】
標準的な洗濯コースでのMA値は45〜55程度である。それ以下であれば汚れ落ちが悪くなる。それ以上であれば布傷みが激しくなり、洗濯機としての機能を損なう。
【0113】
洗濯時間を長くすれば、洗濯物9が受ける機械力の総量が増し、洗浄も向上する反面布傷みも増す。また、洗濯ドラム槽11の径を大きくすると、叩き洗いの効果が向上して汚れ落ちは良くなるが、布傷みが激しくなる。
【0114】
上記洗濯性能にかかわる利害得失を考慮し、種々試験検討、試行を重ねた末に、洗濯ドラム槽11の「半径dΦ/洗濯ドラム槽11の奥行きL」の比(d/L)を0.9〜1.1の範囲にすることが適正であることを突き止めた。なお、dは洗濯ドラム槽11の半径である。
【0115】
また、比(d/L)を0.9〜1.1の範囲にすることで、洗濯物9の出し入れがし易く、コンパクトで振動・騒音が少ないドラム式洗濯乾燥機を提供することもできる。
【0116】
コンパクト化、騒音・振動について、図18、図19、図20を引用して説明する。
【0117】
図18は、d=Lの洗濯ドラム槽11である。この場合は軸モーメントが最小で理想的である。
【0118】
図19は、d<Lの洗濯ドラム槽11である。この場合は、叩き洗いによる機械力の低下し、洗浄力が低下する。また、外枠筐体1の奥行き寸法が増大するので、コンパクト化が図れない。
【0119】
図20は、d>Lの洗濯ドラム槽11である。この場合は、外枠筐体1の前側幅が増大し、コンパクト化が図れない。洗濯ドラム槽11の径が大きくなると、脱水時の遠心力が増大より、騒音・振動が大きくなる。
【0120】
上記より、洗濯ドラム槽11の「半径dΦ/洗濯ドラム槽11の奥行きL」の比(d/L)は、1に近づく方が軸モーメントが最小値となる。
【0121】
またコパクト化、騒音・振動や、図17に示す洗浄性能や布傷み性能からも0.9〜1.1の範囲が適正である。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明の実施例に係わるもので、ドラム式洗濯乾燥機の縦断面図を示す。
【図2】本発明の実施例に係わるもので、ドラム式洗濯乾燥機を前側から見た斜視図である。
【図3】本発明の実施例に係わるもので、洗濯から乾燥までの運転工程を示す図である。
【図4】本発明の実施例に係わるもので、回路ブロック図である。
【図5】本発明の実施例に係わるもので、洗濯ドラム槽の斜視図である。
【図6】本発明の実施例に係わるもので、定格容量と洗濯ドラム槽の容積との関係を比容積の観点から表したグラフである。
【図7】本発明の実施例に係わるもので、乾布質量と湿布質量との関係を表したグラフである。
【図8】本発明の実施例に係わるもので、乾布質量と湿布質量・軸トルクについて説明するための図である。
【図9】本発明の実施例に係わるもので、洗濯ドラム槽の傾きと洗浄について説明するための図である。
【図10】本発明の実施例に係わるもので、洗濯ドラム槽の傾きと洗浄との関係をグラフに表した図である。
【図11】本発明の実施例に係わるもので、洗濯量と軸トルクとの関係をグラフに表した図である。
【図12】本発明の実施例に係わるもので、洗濯ドラム槽の傾斜角度θと評価値との関係をグラフに表した図である。
【図13】本発明の実施例に係わるもので、洗濯ドラム槽の薄形化(奥行き長さの縮小)と水量低減について説明するために挙げた薄形前の大きさを示す図である。
【図14】本発明の実施例に係わるもので、洗濯ドラム槽の薄形化(奥行き長さの縮小)と水量低減について説明するために挙げた薄形後の大きさを示す図である。
【図15】本発明の実施例に係わるもので、コンパクト化大容量をグラフで表した図である。
【図16】本発明の実施例に係わるもので、主軸にかかる軸モーメントを説明するための図である。
【図17】本発明の実施例に係わるもので、洗浄力、損傷、洗濯ドラム槽の径DΦ/洗濯ドラム槽の奥行きLとの関係をグラフに表した図である。
【図18】本発明の実施例に係わるもので、コンパクト化、騒音・振動を説明するために挙げた図であってd=Lの例示である。
【図19】本発明の実施例に係わるもので、コンパクト化、騒音・振動を説明するために挙げた図であってd<Lの例示である。
【図20】本発明の実施例に係わるもので、コンパクト化、騒音・振動を説明するために挙げた図であってd>Lの例示である。
【符号の説明】
【0123】
1…外枠筐体、2…外槽、11…洗濯ドラム槽、9…洗濯物。
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯ドラム槽の回転軸心線が横向きに置かれるドラム式の洗濯機または洗濯乾燥機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ドラム式の洗濯機は、特開2003−79995号公報(特許文献1)に記載されている。このドラム式洗濯機は、投入口が斜め上向きになるように洗濯ドラム槽の回転軸心線が斜めに設置され、洗濯ドラム槽を内置する外槽がサスペンションで防振支持される構成を有する。
【0003】
【特許文献1】特開昭64−32893号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ドラム式の洗濯機または洗濯乾燥機は、洗濯ドラム槽の回転軸心線を洗濯物の投入口が上向きになるように傾斜させることで、洗濯ドラムへの洗濯物の出し入れがし易くなる。
【0005】
しかし、その傾斜の傾き角度を大きくすると、洗濯物の出し入れがし易くなる反面で、洗濯物の洗浄力が低下する。
【0006】
また、洗濯ドラムの半径dと奥行きLとの対比で、Lをdより大きくすると、叩き洗いによる機械力が低下し、洗浄力が低下する。それとともに洗濯機の外枠筐体の奥行寸法が増大し、薄型化が図れない。
【0007】
逆にdをLより大きくすると、叩き洗いによる機械力が増加し、洗濯物の傷みが増大する。それとともに外枠筐体の幅や丈が増大してコンパクト化が図れない。加えて、脱水時の遠心力増大により、振動・騒音が増大する。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑み、洗濯物の出し入れがし易く、洗浄力が良く、洗濯物の傷みが少なく、コンパクトで振動・騒音が少ないドラム式洗濯機またはドラム式洗濯乾燥機
を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、外枠筐体内に設けられた円筒形状をした洗濯水やすすぎ水が溜まる外槽と、前記外槽内に回転自在に設けられ、洗濯物を収納する円筒形状の洗濯ドラム槽と、前記洗濯ドラム槽とを有し、前記洗濯ドラム槽の前端側に設けられた投入口が斜め上向きになるように洗濯ドラム槽の回転軸心線を斜めに設置したドラム式洗濯機またはドラム式洗濯乾燥機において、前記洗濯ドラム槽の径Dと、洗濯ドラム槽の前後方向の長さLとが、(D/2)/L=0.9〜1.1であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、洗濯物の出し入れがし易く、洗浄力が良く、洗濯物の傷みが少なく、コンパクトで振動・騒音が少ないドラム式洗濯機またはドラム式洗濯乾燥機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の実施例について、図面を引用して説明する。
【0012】
以下に挙げる実施例はドラム式洗濯機であるが、本発明はドラム式洗濯乾燥機にも適用できるものである。ドラム式洗濯乾燥機より乾燥機能部を除くと、ドラム式洗濯機になる。なお、図1、図2では乾燥機能部が省略されて図示されている。
【0013】
まず、図1、図2を引用してドラム式洗濯乾燥機の概要から述べる。
【0014】
図1、図2に示すように、ドラム式の洗濯乾燥機は、外枠筐体1の内側に有底円筒形状の外槽2が置かれる。
【0015】
外枠筐体1の外形寸法は、丈Hが1100mm、前側の幅Wが650mm、奥行きDが610mmである。この外形寸法は、洗濯容量が8〜10kg、乾燥容量が6〜8kgの場合である。洗濯容量、乾燥容量が変わると、洗濯ドラム槽の大きさも変わるため外形寸法は変わる。
【0016】
外槽2は、中央より後寄りが複数個のサスペンション3により下方から支持される。また外槽2は、その上部から引きバネ4により吊り下げ支持される。
【0017】
サスペンション3は、外槽2を含む全重量を支持するものであり、強固な弾性支持構成を有し、外枠筐体1の外枠ベース20に固定されている。特に脱水運転時に生じる外槽2の強い上下振動を吸収し、脱水起動時に発生する外槽2の異常振動を防止するための減衰機構などが設けられている。
【0018】
サスペンション3の取付け位置は、外槽2のほぼ重心位置に設けられる。外槽2は、後端側が下になるように傾斜するように設けられているので、サスペンション3を後側に位置させるサスペンション3の高さが低くなる。サスペンション3のストロークが少なくなる。
【0019】
このため、サスペンションの減衰機能を維持する上で、サスペンション3の取付け位置は外槽2のほぼ中心側に位置した方が、後方に位置するよりも望ましい。
【0020】
また、外槽2の上部から吊り下げ支持する引きバネ4は、外槽2の倒れ防止を兼ねた支持や脱水時の上下・左右振動を低減するために設けられている。
【0021】
外枠筐体1の上側内部には、給水電磁弁6、洗剤投入ケース8が設けられる。洗剤投入ケース8は、注水ホース7により給水電磁弁6と連通接続される。給水電磁弁6には、給水ホース5が接続される。給水ホース5の先端は水道の蛇口(図示せず)に接続される。
【0022】
洗濯やすすぎ時には、給水電磁弁6が開放操作され、注水ホース7から洗剤投入ケース8に洗濯やすすぎに必要な水が供給される。
【0023】
洗剤投入ケース8には、洗濯に必要な洗剤が投入される。また、すすぎ時に、洗濯物の仕上がりを良くするための柔軟仕上げ剤が洗剤投入ケース8に設けられた仕上げ剤を溜めるケース部に投入され、必要な時に外槽2に自動的に投入される。
【0024】
すなわち、洗濯時に、注水ホース7から供給された水により、洗剤投入ケース8内で洗剤が溶かされ、フレキシブルホース10を流れて外槽2の上部から内部に投入される。
【0025】
洗濯ドラム槽11は、外槽2に回動自在に内置される。前側に投入口が設けられた有底円筒形を有する洗濯ドラム槽11は、前端を外枠筐体1の前側に向け、後端を外枠筐体1の後側に向けるように配置される。
【0026】
洗濯ドラム槽11が内置される外槽2も外枠筐体1の前側に向け、後端を外枠筐体1の後側に向けるように配置される。
【0027】
外槽2と洗濯ドラム槽11は、円筒形の軸心線が同心になるように置かれ、かつ洗濯ドラム槽11の投入口11aと外槽2の投入口11bが外枠筐体1の前側に設けられている投入口11cに臨むように配置される。
【0028】
外槽2と洗濯ドラム槽11は、投入口が設けられている前端側の方を上に、後端側の方を下になるように傾斜させて配置される。この傾き角度(水平線に対する軸心線の角度)θは、15度である。洗濯物の取り出しなどから15度程度の傾き角度が望ましいが、(5〜30)度程度の範囲内で傾き角度θを選択できる。
【0029】
外枠筐体1は、投入口11cを開閉される外蓋12が備えられる。洗濯ドラム槽11に洗濯物の出し入れする際に外蓋12の開閉が行なわれる。
【0030】
ベローズ21は、外枠筐体1の投入口11cの口縁部と、外槽2の投入口11bの内縁部に水密的に取付けられる。このゴム(弾性体)で出来ているベローズ21により、外枠筐体1と外槽2の間の水密は保たれる。外蓋12は、内側がベローズ21に密着するので、外枠筐体1の投入口11cから外部への漏水は生じない。
【0031】
洗濯ドラム槽11は、バランサー13を有する。バランサー13の内周側が前述した投入口11aになっている。このバランサー13により、脱水時の振動は低減される。
【0032】
また、洗濯ドラム槽11は、円筒部に複数の脱水穴14を有する。脱水時に、洗濯物に含まれている水分が脱水穴14により遠心力で外槽2内に脱水される。
【0033】
洗濯ドラム槽11の円筒部には、内周に複数16が設(3本)のリフターけられる。このリフター16は、軸心線(回転軸心線)の方向に沿って延在する。リフター16の高さは、通常は長手方向に亘ってほぼ同じ高さである。
【0034】
奥側に位置する洗濯物の動きを良くするため、リフター16は洗濯ドラム槽11の回転軸心に対してほぼ水平(下側に位置した際での水平)とすることも可能である。複数のリフター16は、例えば3本の場合、120度の等間隔で配置される。
【0035】
DCブラシレスモータ19は、外槽2の後部外面に取り付け固定される。このDCブラシレスモータ19は、洗濯ドラム槽11を回転駆動する駆動源である。
【0036】
洗濯ドラム槽11は、円筒部の底側である後端にフランジ17を有する。フランジ17に設けた主軸18は19の、DCブラシレスモータロータ側に結合される。こうして、洗濯ドラム槽11は、駆動源のDCブラシレスモータ19を介して外槽2に回転自在に支持される。
【0037】
排水路の排水ホース23は、外槽2の後下部に連通するように設けられる。この排水路には、排水弁22が設けられる。排水電磁弁22を開放操作することにより、外槽2に溜まっている洗濯水やすすぎ水23を通は、排水ホース23を通じて機外に排水される。
【0038】
排水路の排水ホース23は、外枠ベース20を貫通して下流側の先端は家屋の排水穴に挿入される。
【0039】
図3は、ドラム式洗濯乾燥機の運転工程を示す。
【0040】
この運転工程は洗濯物9に付着した汚れを落としたり、すすぎで洗剤分をすすいだりリントを除去したりする。また洗濯物9に含まれた洗浄水を洗濯ドラム槽11の回転により脱水穴14から遠心力で脱水し、排水することを自動的に行う自動洗濯運転工程を示す。
【0041】
最初に給水電磁弁6がオンして給水300が行なわれる。給水量約20リットルまで給水がされる。総給水量は通常25リットル程度である。
【0042】
洗剤ケース8にセットされた洗剤は、給水の際に一緒に洗濯ドラム槽11の内に外側に流れ込み、洗濯ドラム槽11の回転で洗剤が溶解される。洗い301では洗濯に必要な洗浄水が供給されると、インバータモータ19が回転して洗濯ドラム槽11を回転させる。
【0043】
この時の洗濯ドラム槽11の回転速度は毎分40〜60回転で洗濯ドラム槽11の外形が大きいほど回転数は低くなり、休止をおいて正逆回転を数分間行い、洗濯物9がリフター16によりかきあげられながら、叩き洗いにより洗濯される。
【0044】
洗い301が終了すると、洗濯物9から流出した汚れを含む洗浄水を、排水弁22をオンして排水ホース23により機外に排水する工程の排水302に移行する。
【0045】
排水302が終了した後、洗濯物9に含まれている洗剤分を脱水する脱水303に移行する。脱水303では洗濯ドラム槽11を高速回転して、遠心力により洗濯ドラム槽11内に開けられた脱水穴14を通して洗濯物9に含まれた洗浄水を脱水する。
【0046】
脱水303が終了すると、洗濯物9に含まれた洗剤分をすすぐ、すすぎ(1)304へと移行する。この時、給水305が行われるが給水水位は洗濯301より水位を高くしてすすぎ(1)304が行われる。
【0047】
すすぎ(1)304が終了すると排水306、脱水307が行われ、すすぎ(1)の時の給水305と同じように給水が行われ、すすぎ(2)308が行われる。
この時の給水量は洗濯時と同等あるいはすすぎ(1)時に増加した分、水量を低減した給水量としている。すすぎ(2)308が終了すると排水309、最終脱水310が行われ洗濯の運転工程が終了する。
【0048】
乾燥工程まで設定されていると、最終脱水310の終了後に乾燥工程311が続けて実行され終了312に至る。
【0049】
図4は、洗い、すすぎ、脱水、乾燥に至るまでの工程を制御する制御手段のブロックを示したものである。
【0050】
制御手段は、マイコン61を主要部として構成される。
【0051】
マイコン61はクロックパルス発生手段のタイマー63、中央処理装置(CPU)62、メモリ64、入力ポート66、出力ポート65などから構成されている。中央処理装置62には、演算部62aや制御部62bなどがある。
【0052】
洗濯機の運転動作は、マイコン61の中にある中央処理装置62とタイマー63およびメモリ64をデータバスによりデータのやりとりをして設定された条件をもとに駆動している。
【0053】
中央処理装置62は、基本的には制御命令の取り出しと解読、実行指令であるが、具体的には算術演算やメモリ指定アドレス内容の読み出しで制御、入出力装置への指定アドレスの入出力や全自動コースやアニュマル設定のプログラムの制御を行う。
【0054】
メモリ64には、プログラムデータを読み出して書き込みを行う機能を持つRAM64aと読み出し専用機能だけを持つROM64bの2種類を備えており、RAM64aは洗濯運転条件に必要なデータを主に記憶して、設定されたプログラムを組む上での作業エリアとして用いる。
【0055】
ROM64bは、決ったプログラムや固定データを入れ、いつでも同じ処理をする場合に使用する。入力ポート66と出力ポート65は、中央処理装置62と入力回路70と出力回路71との間でデータの受け渡しを行う場合の仲介をする回路である。
【0056】
入出回路部70側には、洗濯機に組込まれている、各種センサーからの情報や電源スイッチなどが接続されている。電源スイッチ72から洗濯機を運転するのに必要な電源が供給される。
【0057】
電源スイッチ72を押すことにより、既に図1で説明した給水電磁弁6が開放されて洗濯機内に洗濯やすすぎに必要な水が供給される。
【0058】
洗濯やすすぎに必要な、水の量は洗濯機に組み込まれた水位センサー73からの情報を受けて、中央処理装置62で情報の処理を行い、適正な水量かを判断して、適正であれば図3に示す工程図により次の工程へ移行する。
【0059】
洗濯や脱水、すすぎなどのDCブラシレスモータ19の回転数は、DCブラシレスモータ19の近傍に設けられたICホール素子74からの情報を中央処理装置62へ伝えてDCブラシレスモータ19の適正な回転制御を行う。
【0060】
その他、入力側には蓋の開閉状態を検知する蓋開閉センサー75や、全自動コースを設定する全自動コース選択キー76、マニュアル設定キー77、洗濯物9の量を検知する布量センサー78などが設けられている。
【0061】
また、出力側にはDCブラシレスモータ19や、給水電磁弁6や排水電磁弁22、蓋ロックソレノイド79、終了を知らせる終了ブザー80などが設けられている。
【0062】
これらの入力・出力装置側からとマイコン61をデータバスにて情報のやり取りをしながら洗濯機は、洗いからすすぎ、脱水に至る作業を自動的に行うものである。
【0063】
比容積について図5、図6を引用して説明する。
【0064】
比容積は、洗濯ドラム槽11の内容積Vリットルと乾燥定格容量kgとの割合である。
【0065】
洗濯ドラム槽11の内容積Vは、径DΦと奥行きLから求められる。この洗濯ドラム槽11で乾燥する良好な乾燥の比容積の範囲は、9(L/kg)〜13(L/kg)である。
【0066】
9(L/kg)以下になると、洗濯物が洗濯ドラム槽内に一杯になり、乾燥した洗濯物9にシワが多く生じ、仕上がりが良くない。
【0067】
13(L/kg)以上になると、乾燥仕上がりは良くなるが、洗濯ドラム槽11の内容積は大きくなる。外枠筐体1の寸法が大きくなるので、据付面積が広く取り、住宅事情により需要数が低下する。
【0068】
比容積を9(L/kg)〜13(L/kg)の範囲内にすることで、コンパクト大容量化を図ることができる。
【0069】
図6に示すように、9(L/kg)では、定格容量が8kgの場合に洗濯ドラム槽11の内容積は約72Lになる。13(L/kg)では内容積は約104Lになる。洗濯ドラム槽11の内容積は斜線の範囲をキープして設計する必要がある。
【0070】
図7、図8を引用して乾布質量と湿布質量・軸トルクについて説明する。
【0071】
図7のAは、含水率の高いタオル地系の洗濯物9における乾布質量と湿布質量との関係を表す。Bは木綿地系の洗濯物9を表す。
【0072】
タオル地系の場合(A)では、8kgの乾布質量に対し、湿布質量が約38kgになる。重量比で4.75倍になり、約30Lの水分を含水することになる。
【0073】
木綿地系の場合(B)では、8kgの乾布質量に対し、湿布質量が約30kgになる。重量比で3.75倍になり、約22Lの水分を含水することになる。
【0074】
このように洗濯や濯ぎでは、洗濯ドラム槽は水分が含まれる重い洗濯物を担って回転するため図8に示すように、主軸18に大きな軸トルクが発生する。
【0075】
因みに、脱水により洗濯物の水分が除去された場合について述べる。湿布質量8kgのタオル地系を50%脱水した場合には、脱水後の質量が16kgなり、洗濯物9に含まれる水分は8Lになる。木綿地系の50%脱水では脱水後に洗濯物9に含まれる水分は8Lになる。
【0076】
このように洗濯ドラム槽11の主軸18には大きな軸トルクがかかる。特に脱水時には大きな偏心荷重にともなうアンバランス振動騒音が発生するので、それを抑える対応が必要である。
【0077】
洗濯ドラム槽の傾きと洗浄について、図9、図10を引用して説明する。
【0078】
ドラム式洗濯乾燥機は、洗濯ドラム槽11の回転により、リフター16により洗濯物9を掻き上げて洗濯ドラム槽11の内底に落下させる叩き洗いにより洗濯する。
この落下させる叩き洗いの衝撃が大きいのは、図9に示す傾斜角度θが0°である。傾斜角度θが90°のときに叩き洗いの衝撃が最小になる。
【0079】
図10は洗濯ドラム槽11の傾斜角度θと洗浄力指数との関係を表わすグラフに表したものである。
【0080】
傾斜角度θが0°のときに洗浄力指数を1としている。傾斜角度θが大きくなるに従い洗浄力指数は下がる。JIS指定の標準洗濯機を1とした場合、一般的に洗浄力指数が0.8以上あれば、洗濯物9の汚れを落とす洗濯機として受け入れられる。
【0081】
洗浄力指数が0.8のときの傾斜角度θは20°〜25°である。満足の往く洗浄力が得られる洗浄力指数は0.9以上必要である。傾斜角度θでは15°前後以下である。傾斜角度と軸トルクについて、図11のグラフを引用して述べる。
【0082】
ここで用いた洗濯ドラム槽11は、径DΦが600mm、奥行きLが300mmのものである。洗濯物はタオル地とし、洗濯物には乾布質量に対し水分が約4.6倍含まれている状態で、洗濯ドラム槽11を回転させたときに主軸18に作用する軸トルク(kg−cm)をグラフで表した。
【0083】
軸トルク(kg−cm)は、傾斜角度θが0°で洗濯負荷量が5kgのときに最大になる。洗濯負荷量が5kg以下になると、負荷荷重が少なくなるので軸トルク(kg−cm)は低下する。
【0084】
洗濯負荷量が5kg以上になると、負荷荷重が多くなるが、洗濯物量9の増大にともない洗濯ドラム槽11内に洗濯物9がほぼ均一に分散される。この分散効果が大きく影響するので、洗濯負荷量が5kg以上なると、軸トルク(kg−cm)は低下してくるのである。このため
傾斜角度θが大きくなると、軸トルク(kgf−cm)は低下する。また叩き洗い効果も低減する。90度では軸トルクが最小になる。洗濯性能を維持しながら可能な限り、軸トルク(kg−cm)が小さい傾斜角度を設定することにより、洗濯ドラム槽を駆動するDCブラシレスモータ19の出力低減を図ることができる。
【0085】
洗濯物9の出し入れ易さと傾斜角度の関係について、図12を引用して説明する。
【0086】
図12は、傾斜角度θと洗濯物の出し入れ易さを5段階官能試験により評価したグラフである。
【0087】
評価値が高い場合は出し入れがし易く、評価値が低い場合は出し入れがし難い。この官能試験より、傾斜角度θが大きくなるにしたがい洗濯物の出し入れ性に対する満足度が増すことが分かる。
【0088】
この評価値、前述した洗浄指数、軸トルクを総合的に検討すると、傾斜角度θは10°〜20°範囲が洗濯機としての性能が満足できる。
【0089】
洗濯ドラム槽の薄形化(奥行き長さの縮小)と水量低減について、図13と図14を引用いて説明する。
【0090】
この洗濯ドラム槽は、傾斜角度θを10°〜20°に設定した。
【0091】
ドラム式洗濯乾燥機の図2に示す外枠筐体1の外形寸法で奥行きDmmの薄形化を図るには、洗濯ドラム槽11の奥行き長さLmmを薄くする必要がある。
【0092】
図13は薄形前、図14は薄形後の洗濯ドラム槽11と外槽2を示す。
【0093】
洗濯ドラム槽11の奥行きLmmをL1mmに薄くして、洗濯ドラム槽11の比容積を9〜13(L/kg)に保つには直径DΦをD1Φとすることに可能となる。
【0094】
前側の洗濯水位Hは同じであるが、奥行きL1を短くしているので洗濯や濯ぎの水量30を低減することができる。洗濯ドラム槽11の薄形化は節水の効果も奏するのである。
【0095】
コンパクト化大容量について、図15を引用して説明する。
【0096】
先にも述べたように、洗濯物9の定格容量が8kgで比容積を9〜13(L/kg)とした場合、洗濯ドラム槽の内容積Vリットルは約72リットル〜104リットルとなる。
【0097】
この範囲内とする場合、洗濯ドラム槽11の径と奥行きの関係では次のようになる。
【0098】
径D1Φが540mmの場合には、奥行きLは315mm必要になる。
【0099】
径D1Φが660mmの場合には、奥行きLは205mm必要になる。
【0100】
奥行きLが315mmでは外枠筐体1の薄形化は図れない。径D1Φが660mmの場合には、奥行きLが205mmで薄形化になるが、径大にともない本体筐体1の幅(W)が大きくなってしまう。このため家屋への据付性が悪くなる。
【0101】
そこで、コンパクト大容量化を図るには、比容積を9〜13(kg)の中心あたりを狙うと定格容量が8kgの場合で、80〜88(L)が望ましい。この結果より、奥行きLは280〜310mm、径D1Φは600mmとすることが望ましい。
【0102】
主軸にかかる軸モーメントについて、図16を引用して説明する。
【0103】
洗濯ドラム槽が水平の場合
軸モーメントFM=L・W(kgf−mm)
W:洗濯ドラム槽の先端に加わる力(kgf)
(バランサが付いているため、先端荷重が大きくなる)
L:洗濯ドラム槽の奥行き長さ
洗濯ドラム槽が傾いている場合(傾斜角度θを有する場合)
軸モーメントFMθ=LCOSθ・W(kgf−mm)
上記式より洗濯ドラム槽11の主軸18にかかる軸モーメントは、傾斜角度θを大きくするにつれて小さくなる。このため、ドラム式洗濯乾燥機の方が主軸18にかかる軸モーメントは縦型洗濯機より大きくなる。
【0104】
ドラム式洗濯乾燥機の場合、洗濯ドラム槽11の傾斜角θを大きくして軸モーメントを少なくする対応が可能である。しかし、傾斜角度θはドラム式洗濯乾燥機の基本性能を維持するために、前述したように10〜20°範囲内に制限される。
【0105】
また、洗濯ドラム槽11の奥行きLと径DΦの関係では、DΦを一定としてLを短くすることで軸モーメントを低減できるが、比容積より限度がある。
【0106】
洗浄力、損傷、洗濯ドラム槽の径DΦ/洗濯ドラム槽11の奥行きLとの関係について、図17を引用して説明する。
【0107】
この図は、左縦軸線に洗浄力指数、右縦軸線にMA値(傷み値)、横軸線に洗濯ドラム槽の径DΦ/洗濯ドラム槽11の奥行きLの比を表している。実線が洗浄力指数、点線がMA値を示している。
【0108】
このデータは、洗濯ドラム槽11の傾斜角度θを10°〜20°に設定した場合の測定値である。
【0109】
MA(Machanical Action)試験法とは、洗濯物9の損傷評価法である。
【0110】
洗濯物9が物理的作用を受けて損傷する程度を評価するMA(Machanical
Action)試験法では、直径D35mmの円を5ケ所打ち抜いた400mm角の平織り綿布を使用する。洗いや濯ぎ時の叩き洗い等による機械力で、5ケ所の円内に生じた糸のほつれ数の総和による洗濯物の傷みを検証し、評価する。
【0111】
MA値が高い程、洗濯物が受ける機械力が強く、洗浄力は向上するが、洗濯物9の傷みが激しくなる。
【0112】
標準的な洗濯コースでのMA値は45〜55程度である。それ以下であれば汚れ落ちが悪くなる。それ以上であれば布傷みが激しくなり、洗濯機としての機能を損なう。
【0113】
洗濯時間を長くすれば、洗濯物9が受ける機械力の総量が増し、洗浄も向上する反面布傷みも増す。また、洗濯ドラム槽11の径を大きくすると、叩き洗いの効果が向上して汚れ落ちは良くなるが、布傷みが激しくなる。
【0114】
上記洗濯性能にかかわる利害得失を考慮し、種々試験検討、試行を重ねた末に、洗濯ドラム槽11の「半径dΦ/洗濯ドラム槽11の奥行きL」の比(d/L)を0.9〜1.1の範囲にすることが適正であることを突き止めた。なお、dは洗濯ドラム槽11の半径である。
【0115】
また、比(d/L)を0.9〜1.1の範囲にすることで、洗濯物9の出し入れがし易く、コンパクトで振動・騒音が少ないドラム式洗濯乾燥機を提供することもできる。
【0116】
コンパクト化、騒音・振動について、図18、図19、図20を引用して説明する。
【0117】
図18は、d=Lの洗濯ドラム槽11である。この場合は軸モーメントが最小で理想的である。
【0118】
図19は、d<Lの洗濯ドラム槽11である。この場合は、叩き洗いによる機械力の低下し、洗浄力が低下する。また、外枠筐体1の奥行き寸法が増大するので、コンパクト化が図れない。
【0119】
図20は、d>Lの洗濯ドラム槽11である。この場合は、外枠筐体1の前側幅が増大し、コンパクト化が図れない。洗濯ドラム槽11の径が大きくなると、脱水時の遠心力が増大より、騒音・振動が大きくなる。
【0120】
上記より、洗濯ドラム槽11の「半径dΦ/洗濯ドラム槽11の奥行きL」の比(d/L)は、1に近づく方が軸モーメントが最小値となる。
【0121】
またコパクト化、騒音・振動や、図17に示す洗浄性能や布傷み性能からも0.9〜1.1の範囲が適正である。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明の実施例に係わるもので、ドラム式洗濯乾燥機の縦断面図を示す。
【図2】本発明の実施例に係わるもので、ドラム式洗濯乾燥機を前側から見た斜視図である。
【図3】本発明の実施例に係わるもので、洗濯から乾燥までの運転工程を示す図である。
【図4】本発明の実施例に係わるもので、回路ブロック図である。
【図5】本発明の実施例に係わるもので、洗濯ドラム槽の斜視図である。
【図6】本発明の実施例に係わるもので、定格容量と洗濯ドラム槽の容積との関係を比容積の観点から表したグラフである。
【図7】本発明の実施例に係わるもので、乾布質量と湿布質量との関係を表したグラフである。
【図8】本発明の実施例に係わるもので、乾布質量と湿布質量・軸トルクについて説明するための図である。
【図9】本発明の実施例に係わるもので、洗濯ドラム槽の傾きと洗浄について説明するための図である。
【図10】本発明の実施例に係わるもので、洗濯ドラム槽の傾きと洗浄との関係をグラフに表した図である。
【図11】本発明の実施例に係わるもので、洗濯量と軸トルクとの関係をグラフに表した図である。
【図12】本発明の実施例に係わるもので、洗濯ドラム槽の傾斜角度θと評価値との関係をグラフに表した図である。
【図13】本発明の実施例に係わるもので、洗濯ドラム槽の薄形化(奥行き長さの縮小)と水量低減について説明するために挙げた薄形前の大きさを示す図である。
【図14】本発明の実施例に係わるもので、洗濯ドラム槽の薄形化(奥行き長さの縮小)と水量低減について説明するために挙げた薄形後の大きさを示す図である。
【図15】本発明の実施例に係わるもので、コンパクト化大容量をグラフで表した図である。
【図16】本発明の実施例に係わるもので、主軸にかかる軸モーメントを説明するための図である。
【図17】本発明の実施例に係わるもので、洗浄力、損傷、洗濯ドラム槽の径DΦ/洗濯ドラム槽の奥行きLとの関係をグラフに表した図である。
【図18】本発明の実施例に係わるもので、コンパクト化、騒音・振動を説明するために挙げた図であってd=Lの例示である。
【図19】本発明の実施例に係わるもので、コンパクト化、騒音・振動を説明するために挙げた図であってd<Lの例示である。
【図20】本発明の実施例に係わるもので、コンパクト化、騒音・振動を説明するために挙げた図であってd>Lの例示である。
【符号の説明】
【0123】
1…外枠筐体、2…外槽、11…洗濯ドラム槽、9…洗濯物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外枠筐体内に設けられた円筒形状をした洗濯水やすすぎ水が溜まる外槽と、前記外槽内に回転自在に設けられ、洗濯物を収納する円筒形状の洗濯ドラム槽と、前記洗濯ドラム槽とを有し、前記洗濯ドラム槽の前端側に設けられた投入口が斜め上向きになるように洗濯ドラム槽の回転軸心線を斜めに設置した洗濯乾燥機において、
前記洗濯ドラム槽の乾燥容量が6〜8kgであり、洗濯ドラム槽の比容積が9(L/kg)〜13(L/kg)であることを特徴とするドラム式洗濯機またはドラム式洗濯乾燥機。
【請求項2】
請求項1記載のドラム式洗濯機またはドラム式洗濯乾燥機において、
前記外槽を防振支持するサスペンションと、前記外槽を防振垂下支持する引きバネと、前記外槽の後部に設けられ、前記洗濯ドラム槽を回転自在に支持する駆動モータとを有するドラム式洗濯機またはドラム式洗濯乾燥機。
【請求項3】
請求項1または2記載のドラム式洗濯機またはドラム式洗濯乾燥機において、
前記回転軸心線の傾斜を10度〜30度程度にしたことを特徴とするドラム式洗濯機またはドラム式洗濯乾燥機。
【請求項1】
外枠筐体内に設けられた円筒形状をした洗濯水やすすぎ水が溜まる外槽と、前記外槽内に回転自在に設けられ、洗濯物を収納する円筒形状の洗濯ドラム槽と、前記洗濯ドラム槽とを有し、前記洗濯ドラム槽の前端側に設けられた投入口が斜め上向きになるように洗濯ドラム槽の回転軸心線を斜めに設置した洗濯乾燥機において、
前記洗濯ドラム槽の乾燥容量が6〜8kgであり、洗濯ドラム槽の比容積が9(L/kg)〜13(L/kg)であることを特徴とするドラム式洗濯機またはドラム式洗濯乾燥機。
【請求項2】
請求項1記載のドラム式洗濯機またはドラム式洗濯乾燥機において、
前記外槽を防振支持するサスペンションと、前記外槽を防振垂下支持する引きバネと、前記外槽の後部に設けられ、前記洗濯ドラム槽を回転自在に支持する駆動モータとを有するドラム式洗濯機またはドラム式洗濯乾燥機。
【請求項3】
請求項1または2記載のドラム式洗濯機またはドラム式洗濯乾燥機において、
前記回転軸心線の傾斜を10度〜30度程度にしたことを特徴とするドラム式洗濯機またはドラム式洗濯乾燥機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2008−246230(P2008−246230A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−176524(P2008−176524)
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【分割の表示】特願2006−115376(P2006−115376)の分割
【原出願日】平成18年4月19日(2006.4.19)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月7日(2008.7.7)
【分割の表示】特願2006−115376(P2006−115376)の分割
【原出願日】平成18年4月19日(2006.4.19)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】
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