説明

洗濯乾燥機

【課題】乾燥運転時には洗濯時ないし脱水時よりもドラムの傾斜角度を低減する洗濯乾燥機を提供する。
【解決手段】モータ56と、前記モータ56の回転をウォームギヤ57を介して減速して、外周におねじを設けた軸方向に延伸した送りネジ59を回転駆動し、内周にめねじを設け前記送りネジ外周のおねじと嵌合して前記送りネジ59の回転とともに前記送りネジ59の軸方向に移動可能に支持された送りナット60と、前記送りナット60に嵌合しており、前記送りナット60の移動とともに前記送りネジ59の軸方向に移動可能に支持され、最も短縮した引き込み位置と最も伸長した突き出し位置との間を往復可能な伸縮ロッド54を備えた外槽角度変更手段50を設ける。乾燥工程の間のみ伸縮ロッド54を突出し位置まで延伸して外槽20の一部である外槽受け部55を押して洗濯工程,脱水工程よりも外槽の傾斜角度を低減して水平に近づける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣類を乾燥する手段を備えた乾燥機又は洗濯乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
乾燥機又は洗濯から乾燥までを連続して行える洗濯乾燥機による衣類の乾燥は、送風ファンと熱源により高温・低湿度の空気を作り、これを洗濯槽内に吹込み、衣類の温度を高くし、衣類から水分を蒸発させ、蒸発した水分を機外へ排出することにより行う。洗濯槽を取出し口を備えた前方を高く、後方を低くなるよう後下がりに傾斜して配置すると、洗濯物の出し入れがし易くなり、また洗濯工程においては水位が上昇するために節水効果があるが、一方乾燥工程においては湿った衣類は重いために後方に移動したままで乾きづらく乾燥むらが生じやすいので、乾燥工程においては回転軸は水平に近い方が望ましい。
【0003】
従来、洗濯槽の角度を変更可能に構成して、洗濯,すすぎ,脱水,乾燥工程のそれぞれに適するように洗濯槽の角度を工程ごとに変更する洗濯機ないし洗濯乾燥機が提案されている。
【0004】
洗濯槽の後部を巻き取りワイヤで下方に引き下げることによって洗濯槽の角度を水平から傾斜させる水槽角度変更装置を備え、洗濯,すすぎ,脱水,乾燥運転の時は回転軸を水平とし、取出しの時には傾斜させる構成が開示されている(例えば特許文献1)。
【0005】
垂直軸のまわりに回転する洗濯槽を傾斜台に載置して、傾斜台をラックとピニオンを用いて所定角度まで傾斜させる構成で、洗濯,すすぎ,脱水運転の際は垂直姿勢とし、乾燥運転の際には所定角度例えば30゜傾斜させる構成が開示されている(例えば特許文献2)。
【0006】
あるいは、洗濯槽を吊り棒によって懸垂支持し、吊り棒を上下駆動するユニットを設けることによって洗濯槽の傾斜を変更する構成が開示されている(例えば特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−61085号公報
【特許文献2】特開平2−249588号公報
【特許文献3】特開2007−275544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、洗濯槽を巻き取りワイヤで引き下げる水槽角度変更装置においては、例えば脱水工程における水槽の振動によって巻き取りワイヤの張力が急激に増加したり、ワイヤを経由して水槽の振動が筐体に伝達されることがある。
【0009】
洗濯槽を傾斜台に載置して傾斜台を傾斜させる方式や、吊り棒を上下駆動する方式は、傾斜台や吊り棒は洗濯物や洗濯水も含めた水槽の全質量を支持するとともに移動しうる大出力の駆動機構が必要であるとともに、洗濯工程から脱水工程までの振動加速度に耐える強度と剛性とを備える必要がある。したがって水槽角度変更装置が大型で複雑になるとともに、駆動機構の動作音が大きくなる。
【0010】
そこで本発明は、洗濯や脱水工程といった振動の大きい工程においては作用することなく水槽は傾斜した状態であり、振動の軽微な乾燥工程においてのみ水槽に作用して水槽の傾斜角度を減少して水平軸に近づけ、乾燥工程における洗濯物の入れ替わりを促進して乾燥むらを低減できる、小型の水槽角度変更手段を備えた洗濯乾燥機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明は、
内部が洗濯,脱水室および乾燥室となる外槽と、前記外槽内に回転自在に配置され、洗濯物を収容する回転ドラム又は内槽と、この回転ドラム又は内槽を駆動するモータと、前記回転ドラム又は内槽を支持する筐体と、前記回転ドラム又は内槽から温風を排気する排気送風路と、前記回転ドラム又は内槽に温風を送風するための送風路、加熱手段及び送風手段を有する乾燥装置と、前記外槽から排出される水を排出する排水ホースとを備え、乾燥時に、空気が前記排気送風路、前記送風手段、前記加熱手段、前記外槽、前記送風路の順で循環する乾燥工程を含む洗濯乾燥機において、前記乾燥工程の期間のみ前記外槽に作用して洗濯物の投入取出し、洗濯工程,脱水工程、よりも乾燥工程における外槽の傾斜角度を小とする外槽角度変更手段を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、外槽角度変更手段を備えて乾燥工程の際には洗濯工程、ないし脱水工程より外槽の傾斜角度を低減することによって、乾燥時の乾きムラを低減することができる。すなわち外槽の傾斜角度を低減して水平に近づけると、回転ドラムを回転させた際に衣類は前後方向にも入れ替わり易くなるので、水分の高い洗濯物が外槽の傾斜によって奥のほうに固まって乾きにくくなって生じる乾きむらを低減して省エネを実現できる、という効果がある。
【0013】
さらに本発明による外槽角度変更手段は、振動の大きい洗濯工程あるいは脱水工程においては、外槽ないし外槽に設けられた外槽受け部との間には振動振幅以上の隙間を設けて外槽とは離反しており、振動が少ない乾燥工程の間のみ作用して、外槽に設けられた外槽受け部を押して外槽の角度を低減して水平に近づけるので、洗濯工程ないし脱水工程で生じる振動反力を受けることがなく、構成部品を樹脂で構成することができ、安価で簡素な構成で実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る洗濯乾燥機の斜視図を示す。
【図2】本発明に係る洗濯乾燥機の洗濯工程の断面図を示す。
【図3】本発明に係る洗濯乾燥機の乾燥工程中盤の断面図を示す。
【図4】本発明に係る洗濯乾燥機の乾燥工程後半の断面図を示す。
【図5】本発明に係る洗濯乾燥機の乾燥終了後の断面図を示す。
【図6】本発明に係る外槽角度変更手段が外槽に作用した際の洗濯乾燥機を示す簡略断面図。
【図7】本発明に係る外槽角度変更手段が外槽に作用して、さらに外槽内部に圧力が作用した際の洗濯乾燥機を示す簡略断面図。
【図8】本発明に係る外槽角度変更手段がなく、外槽内部に圧力が作用した際の洗濯乾燥機を示す簡略断面図。
【図9】本発明に係る外槽角度変更手段の引き込み状態を示す斜視図。
【図10】本発明に係る外槽角度変更手段の突出し状態を示す斜視図。
【図11】本発明に係る外槽角度変更手段の引き込み状態を示す斜視図。
【図12】本発明に係る外槽角度変更手段の突出し状態を示す斜視図。
【図13】本発明に係る外槽角度変更手段の引き込み状態を示すA−A縦断面図。
【図14】本発明に係る外槽角度変更手段の突出し状態を示すA−A縦断面図。
【図15】本発明に係る外槽角度変更手段の引き込み状態を示すB−B横断面図。
【図16】本発明に係る外槽角度変更手段の突出し状態を示すB−B横断面図。
【図17】本発明に係る外槽角度変更手段のC−C断面図。
【図18】本発明に係る外槽角度変更手段のD−D断面図。
【図19】本発明に係る外槽角度変更手段のE−E断面図。
【図20】本発明に係る外槽角度変更手段のF方向矢視図。
【図21】本発明に係る外槽角度変更手段が外槽に作用しない状態を示す簡略図。
【図22】本発明に係る外槽角度変更手段が外槽に作用した際の洗濯乾燥機を示す簡略図。
【図23】本発明に係る外槽角度変更手段が引き込んだ際の洗濯乾燥機を示す簡略図。
【図24】本発明に係る外槽角度変更手段の動作軌跡を示す簡略図。
【図25】本発明に係る洗濯乾燥機の制御装置のブロック図を示す。
【図26】本発明に係る洗濯乾燥機の制御処理プログラムのフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施例を図面により説明する。
【0016】
図1は、本発明に係る洗濯乾燥機の斜視図を示す。ベース1の上部には鋼板と樹脂成形品で組合わされて構成された外枠2が載せられている。外枠2の正面には洗濯物30を出し入れするドア3と前面カバー22及び背面には背面カバー23が設けられている。
【0017】
図2は洗濯工程から脱水工程にいたるまでの洗濯乾燥機の断面図を示す。図3は乾燥工程中盤の洗濯乾燥機の断面図、図6はそのときの外枠と外槽20の関係を簡略化して示す模式説明図である。図4は乾燥工程後半の洗濯乾燥機の断面図、図7はそのときの外枠と外槽20の関係を簡略化して示す模式説明図である。図5は乾燥工程終了時の洗濯乾燥機の断面図を示す。図2から図5においては後述するファンからヒータに至る部分については説明のために簡素化した模式図として示している。
【0018】
図8は本発明の外槽傾斜装置がない場合の外槽の傾斜を示す模式説明図である。
【0019】
外枠2の内側には外槽20が備えられ、下部の複数個のサスペンション21により支持されている。外槽20の内側にある回転ドラム29にはドア3を開けて投入された洗濯物30があり、回転ドラム29の開口部の外周には脱水時の洗濯物30のアンバランスによる振動を低減するための流体バランサー31が設けられている。回転ドラム29は外槽20の背面に設けられたドラム駆動用モータ36に直結されている。外槽20の開口部には弾性体からなるゴム系のパッキン38が取付けられている。このパッキン38は外槽20内とドア3との水密性を維持する役割をしている。これにより、洗い,すすぎ及び脱水時の水漏れの防止が図られている。回転ドラム29は、側壁に遠心脱水および通風用の多数の小孔(図示せず)を有する。外槽20の底壁に開口した排水口37は、排水弁8を介して排水ホース9に接続する。
【0020】
回転ドラム29内の洗濯物30を乾燥させる除湿ダクト5と送風手段たるファン61と加熱手段たるヒータ62を含む乾燥装置6は、外槽20から離して外枠2に固定(図示せず)されている。除湿ダクト5と通風口32は柔軟構造のベローズ4で略水平に接続し、除湿ダクト5の上端と洗濯乾燥機の前面に設けられた糸くずであるリントを捕集する乾燥フィルタ19とは略水平に接続され、さらに乾燥フィルタ19の出口とファン61の入口とは接続され、さらにヒータ62に接続される。ヒータ62の出口と吹出しノズル11は外槽20の最上面から中心までの間に且つ外槽20の中心より前面の位置に柔軟構造のベローズ7で外槽20に対し略垂直に接続して外槽20の振動を吸収している。排水口37,ファン61の吸気口及び吐出口には温度センサ(図示せず)が設けてある。
【0021】
外槽20の上部には乾燥工程において外槽20の傾斜角度を変更する外槽角度変更手段50が設けられており、外槽角度変更手段50は外枠2に固定されている。詳細は後述するが、外槽角度変更手段50は駆動源であるモータと減速手段とを設けた駆動機構53と、駆動力によって伸縮する伸縮ロッド54を備え、伸縮ロッド54は最も短縮した引き込み状態から最も伸長した突出し状態まで、外槽20の後方から前方(ドア3側)に向けて延伸するよう配置されている。伸縮ロッド54が突出し状態ではその先端と当接する位置に外槽受け部55が外槽20に固定されている。伸縮ロッド54の引き込み状態においては外槽受け部55と伸縮ロッド54とは所定の隙間a1があり、最も振動の大きい脱水工程の際の外槽20の最大振幅、例えば25mm程度の間隔をあけて配置される。
【0022】
このように構成したドラム式洗濯乾燥機は、図2に示した洗濯工程においては、回転ドラム29内に洗濯物を投入し、排水弁8を閉じた状態で給水して外槽20に洗濯水17を溜め、回転ドラム29を回転させて洗濯物30を洗濯する。また、脱水工程においては、排水弁8を開いて外槽20内の洗濯水17を排水し、回転ドラム29を回転させて遠心脱水する。
【0023】
洗濯工程から脱水工程においては外槽20の内部には洗濯物30と洗濯水17とが投入されているので動作時には振動が大きく、特に洗濯物の回転ドラム29内における分布が偏っていると脱水工程の時の振動振幅は例えば20mm程度になる。先に説明したように伸縮ロッド54と外槽受け部55との間にはそれ以上の間隔を設けてあるので、伸縮ロッド54と外槽受け部55とは互いに接触することはなく、伸縮ロッド54が外槽受け部55と衝突して破損することはない。
【0024】
洗濯工程から脱水工程においては外槽20は角度θ1だけ傾斜しているので、洗濯工程において洗濯水17は最も低い外槽20後方の底部に水位hまで溜まる。すると、同じ水量を供給した際に外槽20が傾斜していない場合と比較して外槽20底部からの水位hは高くなるので、水量を減らしても洗濯物を濡らすことができ、節水に効果がある。
【0025】
脱水が完了して乾燥工程に入ると、図3に示すように、外槽角度変更手段50を動作して、伸縮ロッド54を延伸させる。伸縮ロッド54は外槽受け部55に当接した後さらに外槽20前方(図2から図4においては左方のドア3側)に向けてb1だけ外槽受け部55を押して、外槽20全体を反時計まわりに揺動させる。外槽20はサスペンション21によって支持されているので、外槽角度変更手段50に加わる力はサスペンション21をたわませて揺動させる程度の押し力で十分であり、外槽20は概ねサスペンション21を中心として揺動する。このとき外槽20の傾斜角度は低減して中心軸は水平に近づき、外槽20の傾斜角度はθ2(θ2<θ1)となる。乾燥工程においては、既に脱水工程は完了しているので水分を含めた洗濯物の質量は洗濯,脱水工程と比べて軽量であり、さらに回転ドラムの回転速度は洗濯工程,脱水工程と比較して低速であって振動は軽微なので外槽角度変更手段50に振動により生じる加速度が加わらないので、外槽角度変更手段50の強度,剛性を強大なものにする必要はない。
【0026】
外槽20は概ねサスペンション21を中心として揺動するから、外槽角度変更手段50が外槽20を押す外槽受け部55の位置をサスペンション21から遠方にするほど押し力は少なくて済む。したがって、外槽20を押す外槽受け部55を外槽20の上部に設けることで押し力を低減できるので好都合である。
【0027】
そして、乾燥工程前半から中盤では、排水弁8を開いた状態で回転ドラム29を回転させると共に、ファン61を運転して外槽20内の空気を通風口32から吸出して水冷除湿ダクト5内を通過させて水冷除湿した後にヒータ62で加熱して吹出しノズル11から回転ドラム29内の洗濯物30に向けて吹込む循環空気12を生成する。回転ドラム29内で洗濯物30から水分を奪って湿潤した循環空気12の除湿は、冷却水弁(図示せず)を開き冷却水供給管51から水冷除湿ダクト5内の壁面に流れ出た冷却水52を流下させ、循環空気12と触れさせることにより実現する。水冷除湿ダクト5内の壁面に流れ出た冷却水52は排水口37を通って排水ホース9により排出される。
【0028】
乾燥工程後半では、図4に示すようにヒータ62をOFFにして冷却水52を止める。そして、吸気弁13を開くことによりベース1下部の隙間から吸込まれた外部空気16は、外槽20の側面を流れながら外槽20,ドラム駆動用モータ36,ファン61の排熱を受けながら温められ、乾燥中盤までに外槽20の上面と外枠2の空間に溜められた高温の筐体内部空気15とともにファン61へ吸込まれる。
【0029】
吸込まれた筐体内部空気15は洗濯物30に吹付けられ洗濯物30から水分を奪い、湿潤して排水口37より排水ホース9を通り、排水トラップ10の水封じを破って排水管39に排出される。一般的な排水トラップの場合、水封じ高さは50〜80mm程度あるため、水封じを破るには排水ホース9側の圧力は約1000Pa以上必要となる。また、排水管39からの臭気を抑えるため、水封じを破った後も高い圧力(所定以上の圧力)を確保する必要があり、排水ホースによる排気式乾燥中は、高い圧力を保つようにファン61を制御する。
【0030】
このとき、外槽20の内側にも排水ホース9側と同様に約1000Pa以上の圧力がかかる。この圧力は外槽20の内側に均等に加わるが、外槽20の一端(ドア3側)は洗濯物30を出し入れするための開口となっており、パッキン38を介してドア3により閉止される構成なので、ドア3の開口にかかる圧力の反力pが外槽20の内側に加わり、外槽20はその反力に押されて図4における図示右方に移動しようとする。しかし、外槽角度変更手段50が外槽受け部55と当接しているために外槽20の上面は図示右方向には移動できない。そこで、図7に簡略的に示すように外槽20は外槽受け部55を中心に矢印CCW方向に揺動し、外槽の傾斜角度θ4はさらに減少して回転軸は水平に近づく。
【0031】
このことは、本発明による外槽角度変更手段50がない場合と比較すると、その傾斜角度の減少はさらに明らかとなる。
【0032】
本発明の外槽角度変更手段50がないとすれば、外槽20は圧力pを受けることによって図8に示すように下部を支えるサスペンション21の近傍を中心とした回転モーメントを受けて矢印CW方向に揺動するので、元の破線の位置(傾斜角度θ1)から実線で示したθ5(θ5>θ1)の位置まで傾斜して、より一層傾斜角度が大きくなる挙動をする。すなわち、外槽角度変更手段50がない場合の外槽20の傾斜角度θ5と、外槽角度変更手段50がある場合の傾斜角度θ4と、元の傾斜角度θ1とを比較するとθ4<θ1<θ5の関係があり、外槽角度変更手段50を外槽20の上面に設けて外槽受け部55に当接して外槽20の傾斜角度を減少する方向(ドア3の側)に押すとともに、さらに外槽20内部の圧力を増加することによってさらに外槽20の傾斜角度は低減して回転軸は水平に近づく。
【0033】
乾燥終了後は、図5に示すように排水管39側の圧力より排水ホース9側の圧力を高く保ちながら水封じを破らない圧力レベルまでファン61の回転数を下げて冷却水52を流し、排水トラップ10の水封じを回復させて乾燥工程終了となる。このように、乾燥終了後に、排水ホース9側の圧力を所定以上に保ちながら排水ホースを経由して排水管39に水を供給することにより、排水管39からの臭気を抑えながら排水トラップ10の水封じを回復させることができる。なお、この排水トラップ10の回復は、排水ホース9側の圧力を高く保っていれば、(排水ホース排気の)乾燥運転の最後又は乾燥運転の終了後のいずれでも良い。
【0034】
このときの外槽20の傾斜角度について説明すると、図7と同様に外槽角度変更手段50が動作して外槽の内部に圧力pがかかった状態であるが、ファン61の回転数を下げて圧力を低くしているので、角度θ4は角度θ1に近づく。
【0035】
次に、本発明における外槽角度変更手段50の構成について図9から図20を用いて詳細に説明する。図9,図10は外槽角度変更手段50の斜視図であり図9が引き込み状態、図10が突出し状態である。図11と図12はそれぞれ図9と図10の反対側からみた斜視図である。図13と図14はそれぞれ図9と図10のA−A矢視断面図、図15と図16とは図9と図10のB−B断面図である。図17はC−C断面図、図18はD−D断面図、図19はE−E断面図である。図20は図10のF方向矢視図である。
【0036】
図13から図16および図19において、モータ56の回転出力軸には減速手段であるウォームギヤ57が固定されており、ウォームギヤ57は回転自在に軸支されたウォームホイール58と噛み合っており、モータ56の回転を減速して回転トルクを伝達する。ウォームホイール58には外周におネジが設けられた送りネジ59が軸を同心に固定されていて、伸縮ロッド54の方向に延伸している。
【0037】
送りナット60の内周には送りネジ59と噛み合うめネジが設けられて送りネジ59と噛み合っており、送りネジ59が回転すると送りナット60は送りネジ59の長手軸方向に移動する構成である。
【0038】
伸縮ロッド54は概ねコの字形状をなしており、コの字形状の開いた部分を駆動機構53に近接した側、閉じた部分が駆動機構53から遠い側に配置され、先端にはゴム板63を設け、外槽受け部55を押す際にゴム板63を介すことで接触部の滑り防止と、外槽から伸縮ロッド54への振動伝達を低減している。
【0039】
伸縮ロッド54の駆動機構53側の端部近傍には駆動穴54aが設けられ、送りナット60から突出して設けられたピン60aとの間で僅かに揺動自在に支持されており、その揺動する方向は図20に示すように外槽角度変更手段50を洗濯乾燥機に取付けた際に上下方向、すなわち鉛直方向としている。伸縮ロッド54を伸長した際には、伸縮ロッド54は駆動穴54a(ピン60a)のまわりに重力で垂れ下がり、伸縮ロッド54の先端はδ1だけ下降する。
【0040】
すなわち、モータ56を回転してウォームギヤ57とウォームホイール58で減速して送りネジ59を回転させると、送りナット60とともに伸縮ロッド54が送りネジ59の軸方向に移動して伸縮する構成である。一方向に回転すると伸縮ロッド54は延伸し、反対方向に回転すると伸縮ロッド54は短縮することで、伸縮の往復動作を繰り返すことができる。
【0041】
外槽角度変更手段50は振動の軽微な乾燥工程の間のみ作用するため、伸縮ロッド54を伸長して外槽の傾斜角度を低減した際に受ける反力はほぼ静的な反力のみを考えればよい。伸縮ロッド54は外槽受け部55から圧縮方向の反力を受け、送りナット60,送りネジ59を介して駆動機構53のケースに伝えられる。ここで、伸縮ロッド54と送りナット60と送りネジ59とを一直線に配置することで各部品は曲げモーメントを受けることなく圧縮力だけを受ける。樹脂などの一般的な材料は曲げや引張荷重に比べて圧縮荷重に対しては強度が大きいため、このように配置することは有効であり、伸縮ロッド54,送りナット60,送りネジ59といった構成部品を樹脂で製作しても十分な強度を得ることができる。
【0042】
ここで、送りネジ59が突出し位置にある時には軸方向の圧縮荷重が加わり、送りネジ59と送りナット60との間にはネジが切られているので、圧縮荷重によって送りネジ59には回転トルクが生じる。もし圧縮荷重によって送りネジ59が回転すると伸縮ロッド54は突出し位置よりも引き込まれてしまうので望ましくない。しかし、本発明の外槽角度変更手段50においては、送りネジ59はウォームホイール58と一体に形成され、ウォームホイール58はウォームギヤ57と噛み合っているので、送りネジ59の回転トルクはウォームギヤ57によって回転阻止される。このような構成なので、モータ56に通電せずとも、伸縮ロッド54に生じる圧縮荷重によって送りネジ59が回転して伸縮ロッド54が引き込まれることがなく、確実に圧縮荷重を支持できるので好適である。
【0043】
駆動機構53から送りネジ59に沿って、送りネジ59と平行に上枠64と下枠65とが延伸しており、上枠64と下枠65との先端は枠連結部66によって接続されている。枠連結部66は前記送りネジ59の先端とは隙間を空けて設けられており、前記送りネジ59の側には送りネジ59と同心に設けられた円柱状のピン67が凸しており、送りネジ59の先端に設けられた凹部ないし貫通穴59aと嵌合する。ピン67と送りネジ59とを嵌合させることによって送りネジ59の先端の変位を防止して剛性を高めることができるので好適である。
【0044】
上枠64と下枠65との間を側面連結部68によって互いに連結すれば、さらに剛性を高めることができる。
【0045】
上枠64の一部は前記送りネジ59から側方に延伸した検知手段配置部69とし、本実施例においてはマイクロスイッチを2式配置している。これらのマイクロスイッチは、伸縮ロッド54が一杯に短縮された図9,図11ないし図15に示した引き込み位置を検出する第一の検知手段であるマイクロスイッチ70aと、伸縮ロッド54を最も伸長した図10,図12ないし図16に示した突出し位置を検出する第二の検知手段であるマイクロスイッチ70bである。各マイクロスイッチ70a,70bには先端にローラを設けた検知レバー71a,71bが設けられ、マイクロスイッチ本体と近接する方向に所定以上に押込まれた際にはマイクロスイッチ70a,70b内部の電気接点を例えばON状態からOFF状態に切り替える。
【0046】
伸縮ロッド54の駆動穴54aの近傍かつマイクロスイッチ70近傍には第一の検知突起72が設けられており、図9ないし図11に示すように伸縮ロッド54が一杯に短縮された引き込み位置においては、第一の検知突起72が検知レバー71aをマイクロスイッチ70aの側に押込んでマイクロスイッチ70aをON状態からOFF状態とすることで引き込み位置を検出する。
【0047】
図10ないし図12に示すように伸縮ロッド54が一杯に伸長した突出し位置においては、第一の検知突起72が検知レバー71bをマイクロスイッチ70bの側に押込んでマイクロスイッチ70bをON状態からOFF状態とすることで突出し位置を検出する。
【0048】
なお、本実施例においては検知手段はマイクロスイッチであるとしたが、マイクロスイッチに限定されるものではなく、例えば発光素子と受光素子の対であってもよく、あるいはマグネットとホール素子の対であってもよい。
【0049】
図11、ないし図15に示すような引き込み位置において、伸縮ロッド54の第二のマイクロスイッチ70bの検知レバー71bと接触する部分には第二の検知突起73を設けている。第二の検知突起73は検知レバー71bと接触するがマイクロスイッチ70bはON状態のままを保つ寸法関係としている。すなわち、第一の検知突起72と比べて高さが低く、検知レバー71bの押込み量は小さい。
【0050】
この第二の検知突起73を設けることにより、洗濯工程や脱水工程といった振動が大きい工程の間、外槽角度変更手段50の引き込み位置において検知レバー71bのがたつきを防止して、検知レバー71bの破損や異音の発生を防止できる。
【0051】
検知手段配置部69の一部は伸縮ロッド54に当接するよう延伸し、弾性変形可能なストッパ手段74を設けた。このストッパ手段74は図9,図11,図15に示すような引き込み位置において、伸縮ロッド54と当接して変形し、伸縮ロッド54に対して伸縮ロッド54の動作する方向に対して直交方向である矢印75方向に力を付加して伸縮ロッド54を下枠65に対して押しつけることでがたつきを防止して、破損や異音の発生を防止できる。
【0052】
次に図21から図24を用いて、図20にて示したように伸縮ロッド54が重力方向に垂れ下がり先端がδだけ下降する構成の動作について説明する。図21から図23は乾燥工程における外槽20の位置と外槽角度変更手段50の動作の関係を示す簡易断面図である。図24は伸縮ロッド54の移動軌跡を示す簡易側面図である。
【0053】
図21において外槽角度変更手段50は引き込み位置にあって、外槽20内部に洗濯物30が投入された状態を図示している。洗濯物30は脱水工程が完了して乾燥工程に入る前の湿布である。洗濯物30がない状態における外槽20の位置を破線で20′として示すと、外槽は洗濯物30と洗濯物に含まれる水分の質量によって重くなるのでサスペンション21が縮み、外槽20の位置はδ2だけ下降する。乾燥工程を開始する際に、外槽角度変更手段50はこの状態で引き込み位置から突出し位置まで動作する。図22(a)は図3ないし図6と同様に伸縮ロッド54が外槽受け部55に当接してb1だけ変位することで外槽20の傾斜角度をθ1からθ2まで低減した状態を示しているが、外槽20は下降した位置でこの動作は行われる。
【0054】
乾燥工程が進み、洗濯物30が乾燥するにつれて水分が蒸発して外槽20の質量が軽くなるので、サスペンション21は徐々に伸び、外槽20の位置は次第に上昇する。この状態を図22(b)に図示する。伸縮ロッド54は外槽受け部55に当接したままの状態で外槽20の位置が上昇するために伸縮ロッド54の先端のみが持ち上げられる。この持ち上げ量δ3は洗濯物に含まれる水分量によって異なるので一概には言えないが、例えば5mmないし10mm程度上昇する。乾燥工程が終了した後、外槽角度変更手段50は突出し位置から引き込み位置に移動するが、この時の外槽20は乾燥した洗濯物30の質量分だけサスペンションが縮んだ状態なので、図21と同様の洗濯物30がない状態における外槽20′の位置(破線で示す)までは上昇しない。
【0055】
この一連の伸縮ロッド54の移動軌跡を図24にまとめて示すと、伸縮ロッド54の先端54b点は垂れ下がりながら矢印76a方向に伸長して外槽受け部55を押すことで外槽20の傾斜角度を低減して図22(a)の状態となし、乾燥工程とともに外槽20が上昇するので矢印76b方向にδ3だけ上昇し、乾燥工程の終了とともに矢印76c方向に移動して引き込み位置まで移動する。このように、伸縮ロッド54の伸縮は単に送りネジ59の軸方向に移動するのではなく、鉛直面内での揺動を伴うので、伸縮ロッド54は送りナット60に固定するのではなく、ピン60aと駆動穴54aとを介して鉛直方向にガタを設けて軸支されている構成が望ましい。
【0056】
図25は、洗濯乾燥機の制御装置138のブロック図である。150はマイクロコンピュータで、図示しない各スイッチに接続される操作ボタン入力回路151や水位センサ134,温度センサ152と接続され、使用者のボタン操作や洗濯工程,乾燥工程での各種情報信号を受ける。マイクロコンピュータ150からの出力は、駆動回路154に接続され、給水電磁弁116,排水弁8,ドラム駆動用モータ36,ファン61,ヒータ62,吸気弁13,冷却水弁51aなどに接続され、これらの開閉や回転,通電を制御する。また、使用者に洗濯機の動作状態を知らせるための例えば7セグメント発光ダイオードのような表示器114や発光ダイオード156,ブザー157に接続される。
【0057】
前記マイクロコンピュータ150は、電源スイッチ139が押されて電源が投入されると起動し、図26に示すような洗濯および乾燥の基本的な制御処理プログラムを実行する。
【0058】
ステップS101
洗濯乾燥機の状態確認及び初期設定を行う。
【0059】
ステップS102
操作パネル106の表示器114を点灯し、図示しない操作ボタンスイッチからの指示入力にしたがって洗濯/乾燥コースを設定する。指示入力がない状態では、標準の洗濯/乾燥コースまたは前回実施の洗濯/乾燥コースを自動的に設定する。例えば、操作ボタンスイッチを指示入力された場合は、乾燥の高仕上げコースを設定する。
【0060】
ステップS103
操作パネル106の図示しないスタートスイッチからの指示入力を監視して処理を分岐する。
【0061】
ステップS104
洗濯を実行する。洗濯は洗い,中間脱水,すすぎ,最終脱水を順次実行するが、通常のドラム式洗濯乾燥機と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0062】
ステップS105
洗濯乾燥コースが設定されているかどうかを確認して処理を分岐する。洗濯コースのみが設定されている場合は、運転を終了する。
【0063】
ステップS106
外槽20の下部にある排水口37とファン吸気口の初期温度を測定する。
【0064】
ステップS107
洗濯乾燥コースが設定されている場合は、温風脱水を実行する。温風脱水は、ファン61を低速回転で運転し、ヒータ62に通電して温風を回転ドラム29内に吹込み衣類の温度を上昇させる。同時に、回転ドラム29を高速で回転させ温まった衣類から効果的に水分を脱水する(温度が上がると水の粘性が低下するため効率よく脱水できる)。本実施の形態例では、ファン61の回転数を毎分11000回転程度に設定している。これは、許容電流値(15A)を超えないようにするためである。
【0065】
ステップS107a
モータ56を駆動させて送りネジ59を回転させて伸縮ロッド54を伸長させ、外槽角度変更手段50を引き込み位置から突出し位置まで動作し、外槽20の角度を減少する。
【0066】
ステップS108
乾燥運転1を実行する。ファン61は低速回転、ヒータ62は通電し、回転ドラム29の正逆回転を繰り返し、回転ドラム29内の衣類の位置を入れ替えながら、高温の温風を衣類に吹付ける。衣類全体の温度が上昇し衣類から水分が蒸発する。
【0067】
ステップS109
乾燥開始からの経過時間が規定の時間になったかどうかを確認して処理を分岐する。
【0068】
ステップS110
冷却水弁51aを開き冷却水52を流し水冷除湿を行う。
【0069】
ステップS111
外槽20の下部にある排水口37とファン吸気口の中間温度を測定する。
【0070】
ステップS112
乾燥開始からの経過時間が規定の時間になったかどうかを確認して処理を分岐する。
【0071】
ステップS113
中間温度と初期温度の差が規定の温度になったかどうかを確認して処理を分岐する。
【0072】
ステップS114
乾燥開始から規定の時間が経過した場合、もしくは中間温度と初期温度の差が規定の温度より大きくなった場合、洗濯物の乾燥度が(=乾布の質量/湿布の質量)が0.90〜0.95と判断し、ヒータ62の通電をOFF、吸気弁13を開き、冷却水弁51aを閉じ、ファン61を高速回転して洗濯物30の水分を排水ホース9から排水管39に排出する。
【0073】
ステップS115
外槽20の下部にある排水口37とファン吸気口の終了温度を測定する。
【0074】
ステップS116
排気開始からの経過時間が規定の時間になったかどうかを確認して処理を分岐する。
【0075】
ステップS117
中間温度と終了温度の差が規定の温度になったかどうかを確認して処理を分岐する。
【0076】
ステップS118
排気開始から規定の時間が経過した場合、もしくは中間温度と終了温度の差が規定の温度より大きくなった場合、洗濯物の乾燥度が(=乾布の質量/湿布の質量)が1.0以上となり乾燥が終了したと判断し、排水管39側の圧力より排水ホース9側の圧力を高く保ちながら水封じを破らない圧力レベルまでファン61の回転数を下げて冷却水弁51aを開いて冷却水52を流し、排水トラップ10の水封じを回復させる。
【0077】
ステップS119
冷却水弁51aを開いてからの経過時間が規定の時間になったかどうかを確認して処理を分岐する。
【0078】
ステップS120
水位センサ134の圧力が規定の圧力になったかどうかを確認して処理を分岐する。
【0079】
ステップS121
冷却水弁51aを開いてから規定の時間が経過した場合、もしくは水位センサ134の圧力が規定の圧力より大きくなった場合、排水トラップ10の水封じが回復したと判断し、ファン61を停止、ドラム駆動用モータ36を停止、吸気弁13を閉じ、冷却水弁51aを閉じる。
【0080】
ステップS122
モータ56を駆動して送りネジ59を回転させ、伸縮ロッド54を引き込んで、外槽角度変更手段50を突出し位置から引き込み位置まで動作し、外槽20の傾斜角度を戻して乾燥工程が終了する。
【0081】
このように構成した洗濯乾燥機は、外槽角度変更手段を備えて乾燥工程の際には洗濯工程、ないし脱水工程と比較して外槽の傾斜角度を低減することによって、乾燥時の乾きムラを低減することができる。すなわち外槽の傾斜角度を低減すると、回転ドラム29を回転させた際に衣類は前後方向にも入れ替わり易くなるので、水分の高い洗濯物が外槽の傾斜によって奥のほうに固まって乾きにくくなることで生じる乾きむらを低減して省エネを実現できる、という効果がある。
【0082】
洗濯工程,脱水工程、および洗濯物の投入,取出しの際には外槽の傾斜角度は大なるように構成したので、洗濯の際に洗濯水は底面奥側の水位がより高くなって、洗濯水の節水効果がある。また、洗濯物の投入,取出しに関しては傾斜角度が大きい方が取出し口が上向きになるので取出しやすい。
【0083】
本発明による外槽角度変更手段は、振動の大きい洗濯工程あるいは脱水工程においては、外槽ないし外槽に設けられた外槽受け部との間に振動振幅以上の隙間を設けて外槽とは離反しており、振動が少なくかつ洗濯物の質量が軽量な乾燥工程の間のみ作用して、外槽に設けられた外槽受け部を押して外槽の角度を低減するので、洗濯工程ないし脱水工程で生じる振動反力を受けることがなく、静的な反力のみを受ける強度を保てば良いので、送りネジや伸縮ロッドを樹脂で構成することができ、安価で簡素な構成で実現できる。
【0084】
本発明による外槽角度変更手段は、モータの回転をウォームギヤとウォームホイールで減速して送りネジを回転し、送りナットと嵌合した伸縮ロッドを送りネジの軸方向に移動する構成としたので、伸縮ロッドに圧縮荷重が加わって送りネジに回転トルクが加わったとしても、ウォームギヤによって回転阻止できるので、モータに通電しなくても確実に伸縮ロッドに生じる圧縮荷重を支持できる効果がある。
【0085】
本発明による外槽角度変更手段はさらに、伸縮ロッドを伸長した際には、鉛直方向に揺動するように構成したので、乾燥工程の前後で洗濯物が乾燥するとともに軽くなって外槽が上昇しても、伸縮ロッドの先端は外槽の位置(高さ)に追従して上昇するので、伸縮ロッドと送りナットと送りネジとが無理に曲げられて破損したり、送りネジの回転トルクが増大することもない。
【0086】
本発明によればさらに、外槽角度変更手段によって外槽の上面を押して外槽の傾斜を低減する構成としたので、外槽角度変更手段を作用させるとともに外槽内側の圧力を増加することで、さらに一層外槽の傾斜角度を低減して乾きむらを低減して省エネを実現できる、という効果がある。
【0087】
本発明によれば外槽角度変更手段の引き込み位置において、伸縮ロッドのがたつきを抑制するストッパ手段と、さらにマイクロスイッチの検知レバーのがたつきを抑制する第二の検知突起を設けたので、洗濯工程や脱水工程といった振動が大きい工程においても伸縮ロッドや検知レバーががたつくことが無く、騒音の発生や振動による破損を防止できるので好適である。
【0088】
本実施例においては吸気弁を備えており、乾燥工程においては吸気弁を開放し、外槽内部の圧力を高めて排水ホースから排気する例について説明したが、本発明はそのような形態に限定されるものではなく、吸気弁を閉鎖したまま、ないしは吸気弁をもたない構成であってもよい。吸気弁を閉じたまま、ないし吸気弁をもたない構成においては、湿り空気を外槽から排出して、冷却水を流して冷却することで除湿する除湿送風路,送風ファン,加熱するヒータ,外槽に吹込む送風路を経て循環する風路を構成し、外槽から排出された高湿度の空気を除湿して乾燥する。このような構成においても図3ないし図6に示したように外槽の傾斜角度をθ1からθ2に低減するので、乾燥工程における乾燥むらを低減して省エネを実現することができる。
【符号の説明】
【0089】
1 ベース
2 外枠
3 ドア
4,7 ベローズ
5 除湿ダクト
6 乾燥装置
8 排水弁
9 排水ホース
10 排水トラップ
10a 穴
11 吹出しノズル
12 循環空気
13 吸気弁
14,15 筐体内部空気
16 外部空気
17 洗濯水
19 乾燥フィルタ
20 外槽
21 サスペンション
22 前面カバー
23 背面カバー
24 屈曲部
27 フィルタダクト
29 回転ドラム
30 洗濯物
31 流体バランサー
32 通風口
36 ドラム駆動用モータ
37 排水口
38 パッキン
39 排水管
42 吸気口
50 外槽角度変更手段
51 冷却水供給管
51a 冷却水弁
52 冷却水
53 駆動機構
54 伸縮ロッド
54a 駆動穴
55 外槽受け部
56 モータ
57 ウォームギヤ
58 ウォームホイール
59 送りネジ
60 送りナット
60a,67 ピン
61 ファン
62 ヒータ
63 ゴム板
64 上枠
65 下枠
66 枠連結部
68 側面連結部
69 検知手段配置部
70a,70b マイクロスイッチ
71 検知レバー
72 第一の検知突起
73 第二の検知突起
74 ストッパ手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部が洗濯,脱水室および乾燥室となる外槽と、前記外槽内に回転自在に配置され、洗濯物を収容する回転ドラム又は内槽と、この回転ドラム又は内槽を駆動するモータと、前記回転ドラム又は内槽を支持する筐体と、前記回転ドラム又は内槽から温風を排気する排気送風路と、前記回転ドラム又は内槽に温風を送風するための送風路、加熱手段及び送風手段を有する乾燥装置と、前記外槽から排出される水を排出する排水ホースとを備え、乾燥時に、空気が前記排気送風路、前記送風手段、前記加熱手段、前記外槽、前記送風路の順で循環する乾燥工程を含む洗濯乾燥機において、前記乾燥工程の期間のみ前記外槽に作用して、乾燥工程における外槽の傾斜角度を洗濯物の投入取出しや洗濯工程や脱水工程よりも小とする外槽角度変更手段を備えたことを特徴とする洗濯乾燥機。
【請求項2】
前記外槽角度変更手段は洗濯物の投入取出し、洗濯工程,脱水工程においては外槽から所定の隙間を設けて配置され、外槽には作用しないことを特徴とする請求項1に記載の洗濯乾燥機。
【請求項3】
前記所定の隙間は、脱水工程において生じる振動振幅の最大値よりも大なること特徴とする請求項2に記載の洗濯乾燥機。
【請求項4】
前記外槽角度変更手段は、モータと、前記モータの回転を減速する減速手段と、
前記モータから前記減速手段を介して回転駆動され、外周におねじを設けた軸方向に延伸した送りネジと、内周にめねじを設け前記送りネジ外周のおねじと嵌合して前記送りネジの回転によって前記送りネジの軸方向に移動可能に支持された送りナットと、前記送りナットに嵌合しており、前記送りナットの移動とともに前記送りネジの軸方向に移動可能に支持され、最も短縮した引き込み位置と最も伸長した突き出し位置との間を往復可能な伸縮ロッドと、を備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれかの請求項に記載の洗濯乾燥機。
【請求項5】
前記減速手段はモータの回転軸に設けられたウォームギヤと、前記送りネジと回転一体に設けられたウォームホイールであることを特徴とする請求項4に記載の洗濯乾燥機。
【請求項6】
前記伸縮ロッドは前記送りナットに対して鉛直方向に揺動可能に支持されていることを特徴とする請求項4から5のいずれかの請求項に記載の洗濯乾燥機。
【請求項7】
前記外槽角度変更手段はさらに、前記伸縮ロッドが最も短縮した引き込み位置を検出する第一の検知手段と、前記伸縮ロッドが最も伸長した突き出し位置を検出する第二の検知手段とを備え、前記伸縮ロッドは前記第一の検知手段が検知する位置と前記第二の検知手段が検知する位置との間を移動することを特徴とする、請求項1から6のいずれかの請求項に記載の洗濯乾燥機。
【請求項8】
前記外槽角度変更手段はさらに、前記伸縮ロッドが最も短縮した引き込み位置において、前記伸縮ロッドの移動方向に対して直交する方向に力を付与して前記伸縮ロッドのがたつきを阻止するストッパ手段を備えたことを特徴とする、請求項1から7のいずれかの請求項に記載の洗濯乾燥機。
【請求項9】
前記洗濯乾燥機は、前記排気送風路に開閉自在な開口部である吸気口をさらに設け、乾燥運転中に、前記吸気口を開放することで前記回転ドラム又は内槽から排出される空気の全部または一部を前記排水ホースを経由して排気することを特徴とする、請求項1から8のいずれかの請求項に記載の洗濯乾燥機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2011−56146(P2011−56146A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−211209(P2009−211209)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】