説明

洗濯機用防水パン

【課題】洗濯機の脚部の内側への落下を防止する。
【解決手段】洗濯機用防水パン10は、板状の底部11と、底部11の外周部に立設され、洗濯機60の脚部61を載置可能な支持面16を有する台座部13とを備える。台座部13の支持面16の内側には、脚部61と当接してこの脚部61のそれ以上内側への移動を規制する内側リブ25が突設されている。洗濯機60が振動したときに、脚部61が内側リブ25と当接してそれ以上内側への移動が規制されるから、脚部61の底部11側への落下が防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機用防水パンに関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯機が載せられる防水パンとして、特許文献1に記載のものが知られている。これは、四角形状の底部と、底部の四隅に立設されて洗濯機の脚部を受ける台座部とを備えている。底部の外周縁には側部が立設され、台座部の外周縁には側部から連続して縁取部が突設されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−88630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、洗濯機が振動によって正規の載置位置から位置ずれすると、脚部が台座部から落ちるおそれがあった。その点、上記の構成によれば、脚部が台座部から外側に落ちるのは縁取部によって防止された。しかし、脚部間の間隔が狭く、振動によって脚部が台座部上を摺動し得る場合には、脚部が台座部の内縁から底部の底面に落ちる可能性があり、こうした脚部の底部側への落下を防止するための対策が求められていた。
【0005】
本発明は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、洗濯機の脚部の底部側への落下を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、板状の底部と、前記底部の外周部に立設され、洗濯機の脚部を載置可能な支持面を有する台座部とを備えた洗濯機用防水パンであって、
前記台座部の支持面の底部側には、前記脚部と当接してこの脚部のそれ以上底部側への移動を規制するリブが突設されているところに特徴を有する。
【0007】
これによれば、洗濯機が振動したときに、脚部がリブと当接してそれ以上内側への移動が規制されるから、脚部の底部側への落下が防止される。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記底部が四角形をなし、前記台座部が前記底部の四隅に設けられ、前記底部には排水口が開口して形成されているところに特徴を有する。
【0009】
このように、台座部が四角形の底部の四隅に設けられることで、底部には四隅以外の部分で大きなスペースが確保されるから、底部からの溢水が防止されるとともに、底部上における排水管等の取り回しが良好となる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載のものにおいて、前記台座部の支持面には、外側に下り勾配で傾斜する斜面が形成されているところに特徴を有する。
【0011】
支持面上に落下した水は、斜面を下って外側に流れるため、リブによってせき止められることはない。また、水が支持面上のゴミを流すことで、支持面の外側にゴミが集まることになるため、支持面の内側に集まるよりも、使用者がゴミを取り出して廃棄しやすい。
【0012】
請求項4の発明は、請求項3に記載のものにおいて、前記底部の外周縁には、側部が立設され、前記台座部と前記側部との間には、前記支持面の外縁に沿って延びて前記底部側に臨む溝部が形成され、前記斜面は、前記溝部に向けて傾斜する形態とされているところに特徴を有する。
【0013】
こうすると、支持面上に落下した水は、斜面から溝部を経て底部側へ円滑に流れるから、水はけが良好となる。
【0014】
請求項5の発明は、請求項3に記載のものにおいて、前記底部の外周縁には、側部が立設され、前記側部と前記リブとの間には、通路部が開口して形成され、前記斜面は、前記通路部に向けて傾斜する形態とされているところに特徴を有する。
【0015】
こうすると、支持面上に落下した水は、斜面から通路部を経て底部側へ円滑に流れるから、水はけが良好となる。
【0016】
請求項6の発明は、請求項1又は2に記載のものにおいて、前記台座部の支持面には、内側に下り勾配で傾斜する斜面が形成され、前記リブには、前記斜面に連なる切欠部が貫通して形成されているところに特徴を有する。
【0017】
こうすると、支持面上に落下した水は、斜面を下って内側に流れ、さらに切欠部を経て底部側へ円滑かつ迅速に流れるから、水はけが良好となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例1の洗濯機用防水パンの斜視図である。
【図2】洗濯機用防水パンの台座部の拡大斜視図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】実施例2の洗濯機用防止パンの斜視図である。
【図5】実施例3の洗濯機用防水パンの斜視図である。
【図6】実施例4の洗濯機用防止パンの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施例1>
本発明の実施例1を図1ないし図3によって説明する。実施例1に係る洗濯機用防水パン10は、合成樹脂製であって、図1に示すように、四角形の底部11と、底部11の外周縁に立設される側部12と、底部11の四隅に立設される四つの台座部13とからなる。防水パン10の内部には、底部11の底面、各台座部13の内側面及び側部12の内側面によって凹部14が画成されている。
【0020】
側部12は、底部11の外周を全周に亘って取り囲む形態とされ、その上縁がほぼ同一高さで連なっている。底部11の一辺寄りの位置における同辺寄りの台座部13間には、排水口15が開口して形成されている。排水口15には、洗濯機60の排水ホースに接続された排水トラップのエルボが挿入されるようになっている。
【0021】
各台座部13は、平面視四角形であって底部11から底上げされるとともに、側部12から膨出される形態とされ、その上面が洗濯機60の底面の四隅に設けれらた脚部61(図3を参照)を受ける支持面16とされている。各支持面16には、図2に示すように、台座部13の各辺とほぼ平行に延び、全体として格子状をなす線状溝17が形成されている。線状溝17は、支持面16上に載置された脚部61の滑り止めとしての役割をはたしている。
【0022】
また、各支持面16には、脚部61を支持する上で支障のない程度に緩やかな傾斜がつけられている。詳しくは、支持面16には、図3に示すように、その内縁を頂部としてそこから外縁にかけて次第に下り勾配となる斜面18が構成されている。支持面16上に落ちた水は斜面18に沿って流れるようになっている。
【0023】
各台座部13の外側(底部11の中心部から離れる側)は側部12によって包囲され、支持面16の高さは側部12の上縁よりも低くされている。台座部13の外周を取り囲む側部12のうち支持面16よりも上方に突出する部分は、脚部61の外側への落下を防止するための外側リブ21とされている。
【0024】
各外側リブ21と各台座部13との間には、支持面16の側部12寄りの二つの外縁に沿って延びる一対の溝部22が形成されている。各溝部22の一端は、防水パン10の角部の近傍にて閉止される閉止端24とされ、各溝部22の他端は、台座部13の内側面に開口して底部11側に臨む開口端23とされている。溝部22は外側リブ21の内側面を切り欠く形態とされ、この溝部22の深さ分、外側リブ21は他の側部12よりも薄肉とされている一方、支持面16のスペースが大きく確保されている。また、上記の斜面18は溝部22に向けて傾斜する形態とされ、斜面18を下った水は、溝部22に受けられて開口端23側に流れ、さらに開口端23から底部11の底面に流れ落ちるようになっている。
【0025】
そして、各支持面16の内側(底部11の中心部に近づく側)には、脚部61の内側への落下を防止するための内側リブ25が突設されている。内側リブ25は、外側リブ21よりも薄肉でかつ低背とされ、支持面16の内縁に沿って連続して延びる形態とされている。詳しくは内側リブ25は、支持面16の内側の一角とこれを挟む二辺とにまたがって配され、平面視略L字形をなしている。内側リブ25の両端は、溝部22の近傍に達しており、溝部22を挟んで外側リブ21との間に隙間が保有されている。
【0026】
次に、実施例1に係る防水パン10の作用効果を説明する。
各台座部13の支持面16上に洗濯機60の脚部61が載せられ、その状態で洗濯機60が使用される。この場合に、洗濯機60の振動によって脚部61が支持面16を摺動して支持面16の外縁に至ると、脚部61は、その外側で外側リブ21と当接してそれ以上外側への移動が規制されるため、防水パン10から外側に落ちるのが防止される。
【0027】
もっとも、脚部61間の間隔が狭い洗濯機60の場合には、脚部61が台座部13の支持面16から底部11の底面に落ちることが懸念される。その点、実施例1によれば、脚部61が支持面16上を摺動して支持面16の内縁に至ると、脚部61は、その内側で内側リブ25と当接してそれ以上内側への移動が規制されるため、底部11側への落下が防止される。したがって、台座部13上に脚部61が確実に載置され、洗濯機60が防水パン10によって安定して支持されることとなる。
【0028】
ところで、支持面16上に落ちた水は、斜面18を下って外側に流れて溝部22で受けられ、さらに溝部22の開口端23から底部11の底面側に流れ落ち、そこから排水口15を通して外部に排水される。したがって、支持面16の外側に外側リブ21が突設され、支持面16の内側に内側リブ25が突設されているという事情があっても、上記のような排水口15に至る流路が確保され、防水パン10からの排水が円滑かつ良好になされる。この場合、支持面16上のゴミが水とともに流され、流されたゴミが使用者の手がとどきやすい支持面16の外側に集まるため、支持面16の内側に集まるよりも、使用者がゴミを取り出して廃棄しやすくなる。
【0029】
また、台座部13が底部11の四隅にのみ設けられ、底部11には台座部13以外の部分で大きなスペースが確保されるため、洗濯機60から漏水した場合でも凹部14の貯水容積を大きくとれて防水パン10外に漏水し難く、かつ底部11上における排水管等の取り回しが良好となる。
【0030】
<実施例2>
次に、実施例2を図4によって説明する。実施例2に係る防水パン10Aでは、支持面16A及び内側リブ25Aの各形態、及び溝部22が形成されていない点で実施例1とは異なる。その他は実施例1と同様であり、実施例1と同様の構造部位には同一符合を付し、重複する説明は省略する。
【0031】
支持面16Aには、その外縁を頂部としてそこから内縁にかけて次第に下り勾配となる斜面18Aが形成されている。つまり、この支持面16Aは、実施例1における支持面16とは逆向きの勾配をもっている。
【0032】
内側リブ25Aは、支持面16Aの内側に突出するとともに、支持面16Aの内縁に沿って断続的に延びる形態とされ、全体として平面視略L字形をなしている。詳しくは内側リブ25Aは、支持面16Aの内側の一角とこれを挟む二辺とにまたがって配される複数の突片25Bからなり、各突片25B間には、斜面18Aの下り端に通じる切欠部25Cが貫通して形成されている。切欠部25Cの開口幅は、脚部61の直径よりも小さくされている。
【0033】
これによれば、支持面16Aの内側に内側リブ25Aが突設されているという事情があっても、支持面16A上に落ちた水は、斜面18Aを下ったあと切欠部25Cを通って底部11の底面側へ円滑かつ迅速に流れるから、水はけが良好となる。
【0034】
<実施例3>
図5は、実施例3を示す。実施例3に係る防水パン10Dでは、線状溝17Dの形態と支持面16Dが水平である点が実施形態1、2と異なるが、その他は実施形態2と同様である。
【0035】
支持面16Dには、底部11の中心部に向けて互いに平行に延びるとともに、その延び方向の両端が開口する複数の線状溝17が形成されている。これによれば、支持面16上に落ちた水は、各線状溝17を伝って底部11側に誘導されるから、より良好な排水性が得られる。
【0036】
<実施例4>
図6は、実施例4を示す。実施例4に係る防水パン10Eでは、内側リブ25の両端と側部12との間に、通路部29が開口して形成されている。そして、支持面16Eには、底部11の角部と中心部とを結ぶ方向に平行な方向であって支持面16の対角線上に延びる稜線部28が形成され、稜線部28を挟んで両側に配される二面が通路部29に向けて下り勾配で傾斜する斜面18Eとされている。したがって、支持面16E上に落ちた水は、斜面18Eから通路部29を経て底部11の底面側へ円滑かつ迅速に流れるから、水はけが良好となる。
【0037】
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)台座部の形状は特に限定されず、例えば、台座部は、平面視三角形状又は平面視扇形状に形成されるものであってもよい。また、台座部は、底部の四隅に個別に設けられるのではなく、底部の外周部に周回して設けられるものであってもよい。
(2)実施例1では、溝部の底面を開口端に向けて下り勾配とすることにより、溝部における滞水を防止するものであってもよい。
(3)実施例1〜3では、切欠部が一つだけ形成されるものであってもよい。
(4)実施例2、3では、内側リブの両端が外側リブに一体に連結されていてもよい。
(5)外側リブは、側部の他の部分から切り離されていてもよい。
(6)斜面は、支持面の一部、又は線状溝のみに形成されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0038】
10、10A、10D、10E…洗濯機用防水パン
11…底部
12…側部
13…台座部
15…排水口
16…支持面
18、18A、18E…斜面
22…溝部
25…内側リブ(リブ)
25C…切欠部
29…通路部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の底部と、前記底部の外周部に立設され、洗濯機の脚部を載置可能な支持面を有する台座部とを備えた洗濯機用防水パンであって、
前記台座部の支持面の底部側には、前記脚部と当接してこの脚部のそれ以上底部側への移動を規制するリブが突設されていることを特徴とする洗濯機用防水パン。
【請求項2】
前記底部が四角形をなし、前記台座部が前記底部の四隅に設けられ、前記底部には排水口が開口して形成されていることを特徴とする請求項1記載の洗濯機用防水パン。
【請求項3】
前記台座部の支持面には、外側に下り勾配で傾斜する斜面が形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の洗濯機用防水パン。
【請求項4】
前記底部の外周縁には、側部が立設され、前記台座部と前記側部との間には、前記支持面の外縁に沿って延びて前記底部側に臨む溝部が形成され、前記斜面は、前記溝部に向けて傾斜する形態とされていることを特徴とする請求項3記載の洗濯機用防水パン。
【請求項5】
前記底部の外周縁には、側部が立設され、前記側部と前記リブとの間には、通路部が開口して形成され、前記斜面は、前記通路部に向けて傾斜する形態とされていることを特徴とする請求項3記載の洗濯機用防水パン。
【請求項6】
前記台座部の支持面には、内側に下り勾配で傾斜する斜面が形成され、
前記リブには、前記斜面に連なる切欠部が貫通して形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の洗濯機用防水パン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−185251(P2010−185251A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−31325(P2009−31325)
【出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】