説明

洗瓶機およびその使用方法

【課題】洗瓶機において定置洗浄で使用された温度の高い水を有効に利用してエネルギー効率を向上させる。
【解決手段】少なくともすすぎ槽(第1槽)44および仕上げ槽(第2槽)52、54を有し、洗浄対象の瓶1を槽(第1槽)44で洗浄した後に仕上げ槽(第2槽)52、54で洗浄する洗瓶機100の使用方法において、洗瓶機で瓶を洗浄する洗瓶工程と、前記洗瓶工程の終了後に仕上げ槽(第2槽)52、54を加熱された水で定置洗浄する定置洗浄工程と、前記定置洗浄工程の後に前記定置洗浄工程で使用された加熱された水を該水が常温に戻る前に次の洗瓶工程のためにすすぎ槽(第1槽)44に移送する移送工程とを含み、前記洗瓶工程、前記定置洗浄工程および前記移送工程を繰り返す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗瓶用の複数の槽を有する洗瓶機およびその使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビール瓶等の瓶を洗浄する洗瓶機は、直列的に配置された複数の槽を有し、瓶は、該複数の槽を順に通りながら洗浄される。複数の槽は、例えば、洗瓶機の入口側から予洗槽、1又は複数の湯洗浄槽、1又は複数のアルカリ洗浄槽、1又は複数のすすぎ槽、1又は複数の仕上げ洗浄槽などを含みうる。
【特許文献1】特開2005−296842号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
洗瓶機の出口側に配置された仕上げ槽における洗浄は、洗瓶機から排出される瓶の洗浄品質に大きな影響を与える。よって、仕上げ槽は、1日の洗浄作業の終了後など予め定められた計画にしたがって定置洗浄(CIP:Cleaning In Place)がなされる。定置洗浄では、例えば、80℃以上に加熱された水(湯)が使用されうる。従来は、このような定置洗浄で使われた温度の高い水がそのまま廃水処理にまわされていたので、エネルギー効率が悪かった。
【0004】
本発明は、上記の課題認識を契機としてなされたものであり、例えば、洗瓶機において定置洗浄で使用された温度の高い水を有効に利用してエネルギー効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の側面は、少なくとも第1槽および第2槽を有し、洗浄対象の瓶を前記第1槽で洗浄した後に前記第2槽で洗浄する洗瓶機に係り、前記洗瓶機は、加熱された水で前記第2槽を定置洗浄する定置洗浄機構と、前記第2槽の定置洗浄で使用された加熱された水を該水が常温に戻る前に前記第1槽に移送する移送機構とを備える。
【0006】
本発明の第2の側面は、少なくとも第1槽および第2槽を有し、洗浄対象の瓶を前記第1槽で洗浄した後に前記第2槽で洗浄する洗瓶機の使用方法に係り、前記使用方法は、前記洗瓶機で瓶を洗浄する洗瓶工程と、前記洗瓶工程の終了後に前記第2槽を加熱された水で定置洗浄する定置洗浄工程と、前記定置洗浄工程の後に前記定置洗浄工程で使用された加熱された水を該水が常温に戻る前に次の洗瓶工程のために前記第1槽に移送する移送工程とを含み、前記洗瓶工程、前記定置洗浄工程および前記移送工程を繰り返す。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、例えば、洗瓶機において定置洗浄で使用された温度の高い水を有効に利用してエネルギー効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。
【0009】
図1〜図3は、本発明の好適な実施形態の洗瓶機の構成を模式的に示す図である。本発明の好適な実施形態の洗瓶機100は、ビール瓶等のような瓶1を洗浄するように構成される。図1は、瓶1を洗浄する洗浄工程を模式的に示している。図2は、仕上げ槽を定置洗浄する定置洗浄工程を模式的に示している。図3は、定置洗浄で使用された加熱された水を洗浄工程で使用するために上流側の他の槽に移送する移送工程を模式的に示している。ここで、上流側とは、洗瓶機100の入口側を意味し、下流側とは洗瓶機の出口側を意味するものとする。
【0010】
本発明の好適な実施形態の洗瓶機100は、直列的に配置された複数の槽を有し、洗浄対象の瓶1は、洗瓶機100の入口側から出口側に向かって該複数の槽を順に通りながら洗浄される。該複数の槽として、この実施形態では、洗瓶機100の入口側から出口側に向かって、予洗槽10、1又は複数の湯洗浄槽20、1又は複数のアルカリ洗浄槽32、34、1又は複数のすすぎ槽42、44、46、1又は複数の仕上げ槽52、54を含みうる。この実施形態では、すすぎ槽44が特許請求の範囲に記載された第1槽に対応し、仕上げ槽52および/または54が特許請求の範囲に記載された第2槽に対応する。
【0011】
予洗槽10では、瓶1が水によって予洗(予備洗浄)される。湯洗浄槽20では、瓶1が湯(加熱された水)によって洗浄される。アルカリ洗浄槽32、34では、瓶1がアルカリ(例えば、苛性ソーダ)によって洗浄される。すすぎ槽42、44、46では、瓶1が水によって洗浄(すすぎ洗浄)される。ここで、この実施形態では、すすぎ槽44において、例えば50℃程度の温度に加熱された水が使用される。
【0012】
仕上げ槽52、54では、瓶1が水によって仕上げ洗浄される。ここで、前述のとおり、仕上げ槽52、54における洗浄は、洗瓶機100から排出される瓶1の洗浄品質に大きな影響を与える。よって、仕上げ槽52、54は、例えば1日の洗浄作業の終了後など予め定められた計画にしたがって、定置洗浄がなされる。
【0013】
洗瓶機100は、仕上げ槽52、54の定置洗浄する定置洗浄機構60を備えていて、図2に模式的に示すように、定置洗浄機構60により仕上げ槽52、54に加熱された水(湯)を供給することによって仕上げ槽52、54が定置洗浄される。ここで、定置洗浄用の水は、定置洗浄機構60により、例えば80℃以上の温度に加熱される。
【0014】
仕上げ槽52、54の定置洗浄の後、仕上げ槽52および/または54の定置洗浄で使用された加熱された水は、該水が常温に戻る前に、移送機構70によって、すすぎ槽44に移送される。この移送は、例えば、定置洗浄の終了の直後になされうる。典型的には、1日の洗瓶作業の終了後に仕上げ槽52、54の定置洗浄がなされ、その直後にその定置洗浄で使用された加熱された水がすすぎ槽44に移送されうる。すすぎ槽44は、洗瓶工程において、加熱された水で瓶1を洗浄するので、典型的には、断熱材で断熱された構成を有しうる。よって、仕上げ槽52および/または54から移送された加熱された水は、例えば翌日の洗瓶作業の開始時まで十分に保温されうる。
【0015】
洗瓶作業を開始する際は、すすぎ槽44内の水は、必要に応じて所定温度まで加熱される。以上のように、洗瓶機100は、洗瓶機100で瓶を洗浄する洗瓶工程と、該洗瓶工程の終了後に仕上げ槽(第2槽)を加熱された水で定置洗浄する定置洗浄工程と、該定置洗浄工程の後に該定置洗浄工程で使用された加熱された水を該水が常温に戻る前に次の洗瓶工程のためにすすぎ槽(第1槽)に移送する移送工程とを含み、これらの洗瓶工程、定置洗浄工程および移送工程を繰り返すように使用されうる。
【0016】
以上のように、定置洗浄で使用された加熱された水を上流側の他の槽に移送してこれを利用することによってエネルギー効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】瓶を洗浄する洗浄工程を模式的に示す図である。
【図2】仕上げ槽を定置洗浄する定置洗浄工程を模式的に示す図である。
【図3】定置洗浄で使用された加熱された水を洗浄工程で使用するために上流側の他の槽に移送する移送工程を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0018】
10 予洗槽
20 湯洗浄槽
32、34 アルカリ洗浄槽
42、44、44 すすぎ槽
52、54 仕上げ槽
60 定置洗浄機構
70 移送機構
100 洗瓶機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1槽および第2槽を有し、洗浄対象の瓶を前記第1槽で洗浄した後に前記第2槽で洗浄する洗瓶機であって、
加熱された水で前記第2槽を定置洗浄する定置洗浄機構と、
前記第2槽の定置洗浄で使用された加熱された水を該水が常温に戻る前に前記第1槽に移送する移送機構と、
を備えることを特徴とする洗瓶機。
【請求項2】
少なくとも第1槽および第2槽を有し、洗浄対象の瓶を前記第1槽で洗浄した後に前記第2槽で洗浄する洗瓶機の使用方法であって、
前記洗瓶機で瓶を洗浄する洗瓶工程と、
前記洗瓶工程の終了後に前記第2槽を加熱された水で定置洗浄する定置洗浄工程と、
前記定置洗浄工程の後に前記定置洗浄工程で使用された加熱された水を該水が常温に戻る前に次の洗瓶工程のために前記第1槽に移送する移送工程とを含み、
前記洗瓶工程、前記定置洗浄工程および前記移送工程を繰り返す、
ことを特徴とする洗瓶機の使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−56369(P2009−56369A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−224581(P2007−224581)
【出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】