説明

洗車機用洗浄ブラシ及び洗車機

【課題】一片のブラシ片が被洗浄面にたいして当接する際の接触面積を広く確保して、効率よく迅速に被洗浄面に付着した汚れを除去すると共に、生産コストを抑えた洗車機用洗浄ブラシ、及びその洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機を提供する。
【解決手段】自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記洗車機用洗浄ブラシは、ブラシ片及びブラシ軸を有すると共に、前記ブラシ片は前記ブラシ軸の外周部に形成されてあり、一片の前記ブラシ片により前記ブラシ軸の長手方向にたいして複数の回転軌跡を有するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗車機用洗浄ブラシ、及びその洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗浄ブラシ、及びその洗浄ブラシを搭載した洗車機に関しては、使用目的に応じて、さまざまな改良がなされ、例えば、回転体の外周に多数のブラシ片を固定した洗車用ブラシにおいて、前記ブラシ片が、回転体に固定される取付基部から先端部まで延在する不織布片と、不織布片の取付基部から中間部に渡る裏面に重ねられる発泡合成樹脂片とを有してなる洗車用ブラシが、特開2006−62483号公報に開示されてある。
【0003】
また、回転体の外周に多数のブラシ片を固定した洗車用ブラシにおいて、前記ブラシ片が、回転体に固定される取付基部から中間部まで延在する発泡合成樹脂片と、発泡合成樹脂片の延在端に接合されて先端部まで延在する不織布片とを有してなる洗車用ブラシが、特開2006−62484号公報に開示されてある。
【0004】
【特許文献1】特開2006−62483号公報
【特許文献2】特開2006−62484号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の洗車機用洗浄ブラシ、及びその洗浄ブラシを搭載した洗車機は、例えば、上記の如くの特徴を有する技術が開示されてあるが、特開2006−62483号公報に開示されてある技術においては、回転体の取付基部から先端部まで延在する不織布片の裏面に、さらに発泡合成樹脂片を不織布片の取付基部から中間部に渡り重ね合わされてブラシ片が形成されてあり、ブラシ片を構成する部材の量が多く、生産コストが嵩む為、洗車用ブラシ等の工業用途には不向きであるという課題を有していた。
【0006】
また、特開2006−62484号公報に開示されてある技術においては、ブラシ片は、長手方向の中間部にて略90度の角度で折り合わされてある為、一片のブラシ片が回転体の長手方向にたいして描く回転軌跡はひとつであり、被洗浄面に当接する際の接触面積が狭く、被洗浄面に付着している汚れを、迅速に除去することが難しいという課題を有していた。
【0007】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、一片のブラシ片が被洗浄面にたいして当接する際の接触面積を広く確保して、効率よく迅速に被洗浄面に付着した汚れを除去すると共に、生産コストを抑えた洗車機用洗浄ブラシ、及びその洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記従来の課題を解決する為に、本発明の洗車機用洗浄ブラシは、自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記洗車機用洗浄ブラシは、ブラシ片及びブラシ軸を有すると共に、前記ブラシ片は前記ブラシ軸の外周部に形成されてあり、一片の前記ブラシ片により前記ブラシ軸の長手方向にたいして複数の回転軌跡を有するもので、洗車機用洗浄ブラシは、洗車中に一片のブラシ片がブラシ軸の長手方向にたいして複数の回転軌跡を描きながら、被洗浄面に当接する。その為、一片のブラシ片が被洗浄面に当接する際の接触面積を広く確保することができるので、被洗浄面に付着している汚れは、効率よく迅速に除去される。
【0009】
また、上記の如く、本発明の洗車機用洗浄ブラシは、一片のブラシ片が被洗浄面に当接する際の接触面積を広く確保することができるよう構成されてあるので、一片のブラシ片がブラシ軸の長手方向にたいして描く回転軌跡がひとつで、被洗浄面に当接する際の接触面積が狭い場合に比べて、ブラシ軸にたいするブラシ片の配設量を減らしても効率的に被洗浄面に付着している汚れを除去することができる。その為、ブラシ片の配設量を減らすことが可能となるので、生産コストが安価である。
【0010】
さらに、本発明の洗車機は、駆動源と、被洗浄面に散布する洗浄剤及び洗浄水を噴出させるノズルと、洗浄後の被洗浄面を乾燥させる乾燥手段を備えると共に、請求項1から3のいずれか1項に記載の洗車機用洗浄ブラシを搭載したもので、被洗浄面に付着した汚れを、効率よく迅速に除去することが可能な高い洗浄性を有する洗車機用洗浄ブラシが搭載されてある。その為、洗車機は、駆動源により洗車機用洗浄ブラシを高速に設定すると共に、洗浄時間を短時間に設定した場合においても、洗浄残りの無い高い洗浄性が発揮される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の洗車機用洗浄ブラシは、洗車中に一片のブラシ片がブラシ軸の長手方向にたいして複数の回転軌跡を描きながら、被洗浄面に当接する為、一片のブラシ片が被洗浄面に当接する際の接触面積を広く確保することができるので、被洗浄面に付着している汚れを、効率よく迅速に除去することができる。
【0012】
また、本発明の洗車機用洗浄ブラシは、一片のブラシ片が被洗浄面に当接する際の接触面積を広く確保するよう構成されてあるので、一片のブラシ片がブラシ軸の長手方向にたいして描く回転軌跡がひとつで、被洗浄面に当接する際の接触面積が狭い場合に比べて、ブラシ軸にたいするブラシ片の配設量を減らしても効率的に被洗浄面に付着している汚れを除去することができる。その為、ブラシ片の配設量を減らすことが可能となるので、生産コストを抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
第1の発明は、自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記洗車機用洗浄ブラシは、ブラシ片及びブラシ軸を有すると共に、前記ブラシ片は前記ブラシ軸の外周部に形成されてあり、一片の前記ブラシ片により前記ブラシ軸の長手方向にたいして複数の回転軌跡を有するもので、洗車機用洗浄ブラシは、洗車中に一片のブラシ片がブラシ軸の長手方向にたいして複数の回転軌跡を描きながら、被洗浄面に当接する。その為、一片のブラシ片が被洗浄面に当接する際の接触面積を広く確保することができるので、被洗浄面に付着している汚れを、効率よく迅速に除去することができる。
【0014】
また、洗車機用洗浄ブラシは、一片のブラシ片が被洗浄面に当接する際の接触面積を広く確保することができるよう構成されてあるので、一片のブラシ片がブラシ軸の長手方向にたいして描く回転軌跡がひとつで、被洗浄面に当接する際の接触面積が狭い場合に比べて、ブラシ軸にたいするブラシ片の配設量を減らしても効率的に被洗浄面に付着している汚れを除去することができる。その為、ブラシ片の配設量を減らすことが可能となるので、生産コストを抑えることができる。
【0015】
第2の発明は、特に、第1の発明の洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記ブラシ片の洗浄側近傍に位置する自由端部の端辺が、前記ブラシ軸の長手方向にたいして略平行にて形成されてあるもので、ブラシ片の洗浄側近傍に位置する自由端部は、被洗浄面にたいして平行に当接する。即ち、自由端部は、端辺が被洗浄面にたいして線接触にて初期当接し、徐々に面接触にて被洗浄面に密着しながら、均一に万遍なく当接するので、洗い残しの発生が無く、大幅に洗浄性が向上する。
【0016】
第3の発明は、特に、第1あるいは第2の発明の洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記ブラシ片は、複数の前記自由端部が異材質にて形成されてあると共に、被洗浄面にたいして複数の前記自由端部が、順次、当接するよう形成されてあるもので、異なる洗浄機能を有する自由端部が、洗車中に順次、被洗浄面に当接する。例えば、被洗浄面に付着している汚れの掻き取りと拭き取り、擦り取りと拭き取り、掃き取りと擦り取り、叩き落しと磨き上げ等の様々な洗浄機能の組み合わせが可能であり、飛躍的に洗浄性が向上する。
【0017】
第4の発明は、駆動源と、被洗浄面に散布する洗浄剤及び洗浄水を噴出させるノズルと、洗浄後の被洗浄面を乾燥させる乾燥手段を備えると共に、第1の発明から第3の発明のいずれか1項に記載の洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機としたもので、被洗浄面に付着した汚れを、効率よく迅速に除去することが可能な高い洗浄性を有する洗車機用洗浄ブラシが搭載されてある。その為、洗車機は、駆動源により洗車機用洗浄ブラシを高速に設定すると共に、洗浄時間を短時間に設定した場合においても、洗浄残りの無い高い洗浄性が発揮されるので、優れた洗浄性を有する洗車機を提供することができる。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。
【0019】
(実施例1)
図1(A)は、本発明の洗車機用洗浄ブラシの正面図、図1(B)は、図1(A)の右側面図、図2(A)は、本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図、図2(B)は、本発明の洗車機用洗浄ブラシの洗車時の使用状態を示す部分断面図、図3(A)は、部材Aの部分拡大図、図3(B)は、部材Bを前面側から見た斜視図、図3(C)は、部材Bの有する繊維を前面側から見た斜視図、図4(A)は、従来例のブラシ片を前面側から見た斜視図、図4(B)は、従来例のブラシ片を配した洗車機用洗浄ブラシの洗車時の使用状態を示す部分断面図、図5(A)及び図5(B)は、他の実施の形態におけるブラシ片の正面図、図6は本発明の洗車機用洗浄ブラシが搭載されてある洗車機の正面図である。
【0020】
図1(A)及び図1(B)において、洗車機用洗浄ブラシ1は、ブラシ片2の基端部5を略中央で折り曲げて、自由端部4がずれるように概V字形状にて形成されてあるブラシ片2が、アルミニウム等の金属材料からなる略円筒形状のブラシ軸3の外周等分4箇所に設けられた突起状の溝部7に挿入され、リベット9、及び止め板18にて固定して形成されてある。ブラシ片2は、洗浄側近傍に位置する自由端部4と、ブラシ軸3の近傍に位置する基端部5が縫製による接合部8を介して、一体化され、概V字形状にて形成されてあり、一片のブラシ片2は、2箇所の自由端部4を有する。また、自由端部4の端辺6は、ブラシ軸3の長手方向にたいして、略平行となるよう形成されてある。なお、ブラシ片2は、概V字形状の他、概U字形状等に形成して用いてもよい。また、ブラシ軸3の外周面に設けられる溝部7は、等分4箇所以外にも、6箇所、8箇所、12箇所等、使用目的に応じて、適時、設定できる。
【0021】
次に、図2(A)を用いて、ブラシ片2について詳述する。ブラシ片2は、超低密度ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂を発泡させた独立気泡を有する平板形状の合成樹脂発泡体からなる基端部5の両側に、片面に起毛部12を有すると共に、他方は非起毛面からなる平板形状の部材A10と、部材A10と異なる材質からなる平板形状の部材B11が縫製による接合部8を介して、一体化された概長板形状であり、長手方向の中間部にて概V字形状をなすよう部材A10の幅17と、部材B11の幅16が重なり合わないように折り合わされ、部材A10及び部材B11が自由端部4を形成するよう構成されてある。なお、基端部5の材質としては、前記合成樹脂発泡体以外にも、洗浄水等を含みにくく、洗車時にブラシ片2の毛腰を強く設定できるゴム系のエラストマーやポリオレフィン系繊維を有する布帛、フィルム状樹脂組成物等を用いても差し支えない。また、接合部8の形成方法は、前記縫製の他、接着、溶着、ネジ止め、編み込み等を採用することができる。
【0022】
次に、図3を用いて、部材A10と部材B11について説明する。
【0023】
図3(A)において、部材A10は、起毛部12を有する不織布21及び極微細な気泡24を有する多孔質化されたポリウレタンよりなる二重構造体にて形成されてある。部材A10は、次の手順にて、製造される。最初に、複数本の繊維22を、平板状に集積させて布状体を形成し、前記布状体を複数枚、重ね合わせた後、特殊な針を突き刺して、3次元に絡合された不織布21を形成する。前記の製造方法は、一般的には、ニードルパンチングと呼ばれている。次いで、不織布21を、ポリウレタン溶液中に含浸させることにより、不織布21に、ポリウレタン溶液を充填させる。次に、ポリウレタン溶液を充填させた不織布21を、水中に浸漬させると共に、二酸化炭素を水中に注入することにより、炭酸発泡させ、不織布21、及び極微細な気泡24を有する多孔質化されたポリウレタンの基部23よりなる二重構造体が得られる。次に、前記二重構造体の片面を、研磨紙等を用いて研磨処理することにより、起毛部12を形成する。繊維22の材質としては、ポリエステルが使用されているが、ナイロン、ポリプロピレン、ウレタン弾性糸とも呼ばれているスパンデックス等を単独、あるいは併用することもできる。
【0024】
図3(B)において、部材B11は、繊維32を有する平板形状の不織布31からなる。繊維32は、図3(C)の如く、外周面の長手方向に複数のスリット33が形成されると共に、角部34を有する概楔形状にて形成されてある。部材B11は、次の手順にて、製造される。最初に、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂を溶融紡糸して、繊維32を得る。得られた繊維32をニードルパンチングにより立体的に絡合させ、布状体を形成する。次いで、前記布状体にたいして100kgから150kg程度の高圧水流を当て、繊維32を結合させると共に、繊維32は高圧水流が当たることにより、外周面の長手方向に沿って、複数のスリット33が発生し、角部34が形成され、不織布31が得られる。前記の如くの製造方法は、一般的には、水流絡合法と呼ばれている。
【0025】
次に、図2(B)を用いて、本発明の洗車機用洗浄ブラシ1による被洗浄面である車体13に付着している砂塵14、及び水垢等を主体とする膜層汚れ15の除去の仕組みについて説明する。
【0026】
洗車機用洗浄ブラシ1は、洗車機に装着されてあり、矢印Aの方向に回転する。ブラシ片2は、部材A10の幅17と、部材B11の幅16が重なり合わないよう概V字形状にてブラシ軸3に配設されているので、洗車機用洗浄ブラシ1が矢印Aの方向に回転することにより、一片のブラシ片2は、ブラシ軸3の長手方向にたいして、二つの回転軌跡を描く。従って、一片のブラシ片2により、自由端部4は部材A10と部材B11が共に車体13に当接することが可能であり、ブラシ片2の車体13にたいする接触面積は広く確保される。また、自由端部4の端辺6はブラシ軸3の長手方向にたいして略平行にて形成されてあるので、自由端部4は、端辺6が車体13にたいして線接触にて初期当接し、徐々に面接触にて車体13に密着しながら、均一に万遍なく当接する。そして、自由端部4は、異なる洗浄機能を有する部材A10と部材B11が順次、車体13にたいして隣り合う回転軌跡を描きながら当接し、部材A10の起毛部12により、砂塵14及び膜層汚れ15を掻き出し、部材B11を構成する繊維32の有する角部34により、砂塵14及び膜層汚れ15を掻き取るので、効率よく迅速に車体13に付着している砂塵14及び膜層汚れ15は除去される。なお、洗車機用洗浄ブラシ1が矢印Aの方向と逆の方向に回転した場合においては、自由端部4は、部材B11、部材A10の順に、車体13にたいして隣り合う回転軌跡を描きながら当接し、部材B11を構成する繊維32の有する角部34により、砂塵14及び膜層汚れ15を掻き取り、部材A10の非起毛面により、砂塵14及び膜層汚れ15を拭き取り、車体13に付着している砂塵14及び膜層汚れ15を、効率よく迅速に除去することが可能である。また、基端部5は、洗車中に洗浄水等を含み難い独立気泡を有する合成樹脂発泡体にて形成されてあるので、ブラシ片2の毛腰を強く設定して、自由端部4を車体13に当接させることができ、洗浄性の一層の向上を図ることができる。
【0027】
次に、図4を用いて、従来のブラシ片42の構成、及び従来のブラシ片42を配した洗車機用洗浄ブラシによる被洗浄面である車体53に付着している砂塵54、及び水垢等を主体とする膜層汚れ55の除去の仕組みについて説明する。
【0028】
図4(A)において、ブラシ片42は、超低密度ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂を発泡させた独立気泡を有する平板形状の合成樹脂発泡体からなる基端部45の両側に、片面に起毛部12を有する平板形状の不織布21及び極微細な気泡24を有する多孔質化されたポリウレタンよりなる二重構造体である部材A10と、平板形状の不織布31からなる部材B11が、縫製による接合部48を介して、一体化された概長板形状であり、部材A10と部材B11の幅46が重なり平行となるよう長手方向の中間部にて略90度の角度にて折り合わされ、部材A10及び部材B11が自由端部44を形成するよう構成されてある。
【0029】
図4(B)において、従来の洗車機用洗浄ブラシは、上記の如くの構成となっているブラシ片42が、ブラシ軸43の外周面に設けられた突起状の溝部47に挿入され、リベット49、及び止め板58にて固定され、形成されてある。そして、洗車機用洗浄ブラシは、洗車機に装着され、矢印Bの方向に回転する。ブラシ片42は、部材A10と部材B11の幅46が重なり平行となるよう長手方向の中間部にて略90度の角度にて折り合わされてあるので、洗車機用洗浄ブラシが矢印Bの方向に回転した場合、一片のブラシ片42により、ブラシ軸43の長手方向にたいして、ひとつの回転軌跡しか描くことができず、前記洗車機用洗浄ブラシ1を構成するブラシ片2に比べて、一片のブラシ片42の車体53にたいする接触面積は狭くなる。また、基端部45は、洗車中に洗浄水等を含み難い独立気泡を有する合成樹脂発泡体にて形成されてあるので、ブラシ片42の毛腰を強く設定して、自由端部44を車体53に当接させることは可能であるが、車体53に当接して洗浄に寄与するのは、自由端部44の内、部材A10のみであり、部材B11は、洗浄に寄与することはできない。従って、部材A10の有する起毛部12により、砂塵54及び膜層汚れ55は掻き出されるが、車体53にたいするブラシ片42の接触面積が、前記ブラシ片2に比べて狭い為、車体53に付着している砂塵54及び膜層汚れ55を、迅速に除去することは困難である。なお、洗車機用洗浄ブラシが矢印Bの方向と逆の方向に回転した場合においては、車体53に当接して洗浄に寄与するのは、自由端部44の内、部材B11のみであり、部材A10は、洗浄に寄与することはできない。
【0030】
本発明の洗車機用洗浄ブラシ1は、前記の如く、従来の洗車機用洗浄ブラシに比べて、車体13にたいするブラシ片2の接触面積を広く確保して、効率よく迅速に車体13に付着している砂塵14及び膜層汚れ15を除去することができるので、ブラシ片2のブラシ軸3にたいする配設量を減らすことが可能である。その為、洗車機用洗浄ブラシ1の生産コストを抑えることができる。
【0031】
次に、図5を用いて、他の実施の形態におけるブラシ片62、及びブラシ片72について説明する。
【0032】
図5(A)において、ブラシ片62は、部材A10と部材B11が縫製による接合部68を介して、概V字形状にて形成されてあり、2箇所の自由端部64、及び基端部65を有する構成にて形成されてある。ブラシ片62は、使用される材質が2種類であり、接合部68は1箇所であるので、前記ブラシ片2に比べて、使用材質、及び接合部68の数が少なく、生産コストを抑えることができる。
【0033】
また、図5(B)において、ブラシ片72は、一枚の平板形状の部材B11が概V字形状をなすよう形成されてあり、2箇所の自由端部74と、基端部75からなる。ブラシ片72は、使用される材質が1種類であり、前記ブラシ片2、62の如く、接合部8、68を有していないので、前記ブラシ片2、62に比べて、生産コストが安価である。なお、ブラシ片62、72は、両側から止め板で挟み込んだ後、ブラシ軸に固定される。
【0034】
次に、図6を用いて、洗車機80について説明する。
【0035】
図6において、洗車機80は、本発明の洗車機用洗浄ブラシ1が搭載されてあり、前記洗車機用洗浄ブラシ1は駆動源82により回転駆動される。ノズル83からは、被洗浄面である車体13にたいして、洗浄剤、及び洗浄水等が散布され、洗車機用洗浄ブラシ1により、車体13に付着している砂塵14、及び膜層汚れ15が、迅速、且つ確実に除去され、洗浄後は洗車機80の乾燥手段である乾燥機84により車体13が乾燥される。
【0036】
洗車機80は、車体13に付着している砂塵14、及び膜層汚れ15を、効率よく迅速に除去することが可能な高い洗浄性を有する洗車機用洗浄ブラシ1が搭載されてある。その為、洗車機80は、駆動源82により洗車機用洗浄ブラシ1を高速回転に設定すると共に、洗浄時間を短時間に設定した場合においても、洗浄残りの無い高い洗浄性を発揮することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の洗車機用洗浄ブラシは、主に、自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に搭載する洗車機用洗浄ブラシとして使用する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】(A)本発明の洗車機用洗浄ブラシの正面図、(B)図1(A)の右側面図
【図2】(A)本発明の洗車機用洗浄ブラシのブラシ片を前面側から見た斜視図、(B)本発明の洗車機用洗浄ブラシの洗車時の使用状態を示す部分断面図
【図3】(A)部材Aの部分拡大図、(B)部材Bを前面側から見た斜視図、(C)部材Bの有する繊維を前面側から見た斜視図
【図4】(A)従来例のブラシ片を前面側から見た斜視図、(B)従来例のブラシ片を配した洗車機用洗浄ブラシの洗車時の使用状態を示す部分断面図
【図5】(A)他の実施の形態におけるブラシ片の正面図、(B)他の実施の形態におけるブラシ片の正面図
【図6】本発明の洗車機用洗浄ブラシが搭載されてある洗車機の正面図
【符号の説明】
【0039】
1 洗車機用洗浄ブラシ
2、42、62、72 ブラシ片
3、43 ブラシ軸
4、44、64、74 自由端部
5、45、65、75 基端部
6 端辺
7、47 溝部
8、48、68 接合部
9、49 リベット
10 部材A
11 部材B
12 起毛部
13、53 車体
14、54 砂塵
15、55 膜層汚れ
16、17、46 幅
18、58 止め板
21、31 不織布
22、32 繊維
23 基部
24 気泡
33 スリット
34 角部
80 洗車機
82 駆動源
83 ノズル
84 乾燥機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車あるいは車両の外面の被洗浄面に付着した汚れ等を洗浄する為の洗車機に使用する洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記洗車機用洗浄ブラシは、ブラシ片及びブラシ軸を有すると共に、前記ブラシ片は前記ブラシ軸の外周部に形成されてあり、一片の前記ブラシ片により前記ブラシ軸の長手方向にたいして複数の回転軌跡を有することを特徴とする洗車機用洗浄ブラシ。
【請求項2】
請求項1記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記ブラシ片の洗浄側近傍に位置する自由端部の端辺が、前記ブラシ軸の長手方向にたいして略平行にて形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシ。
【請求項3】
請求項1あるいは2記載の構成よりなる洗車機用洗浄ブラシにおいて、前記ブラシ片は、複数の前記自由端部が異材質にて形成されてあると共に、被洗浄面にたいして複数の前記自由端部が、順次、当接するよう形成されてあることを特徴とする洗車機用洗浄ブラシ。
【請求項4】
駆動源と、被洗浄面に散布する洗浄剤及び洗浄水を噴出させるノズルと、洗浄後の被洗浄面を乾燥させる乾燥手段を備えると共に、請求項1から3のいずれか1項に記載の洗車機用洗浄ブラシを搭載した洗車機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−313954(P2007−313954A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−143456(P2006−143456)
【出願日】平成18年5月24日(2006.5.24)
【出願人】(391044797)株式会社コーワ (283)
【Fターム(参考)】