説明

洗車機

【課題】被洗浄車両と回転ブラシとの距離を適正に維持できる洗車機を提供する。
【解決手段】被洗浄車両CAに対して前後に相対移動して被洗浄車両CAを洗浄する回転ブラシ4と、回転ブラシ4の駆動電流を検出する電流検出部26と、回転ブラシ4を被洗浄車両CAに対して接離させるブラシ移動部24とを備え、該駆動電流が所定の上限値IHよりも高くなるとブラシ移動部24により回転ブラシ4が被洗浄車両から離れる方向に移動し、所定の下限値ILよりも低くなるとブラシ移動部24により回転ブラシ4が被洗浄車両CAに近づく方向に移動する洗車機WAにおいて、回転ブラシ4を空転させて駆動電流I0を検出する空転検出期間Tを設け、空転検出期間Tに検出された駆動電流I0に基づいて駆動電流の上限値IH及び下限値ILを可変した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転ブラシを備えた洗車機に関する。
【背景技術】
【0002】
給油所等に設置される従来の洗車機は特許文献1に開示される。この洗車機は被洗浄車両を跨いで被洗浄車両に対して前後に相対移動する門型の本体部を備えている。本体部には被洗浄車両の上面や側面に対向する回転ブラシが設けられる。回転ブラシは回転用モータによって回転し、移動用モータによって被洗浄車両に対して接近及び離隔するように移動する。
【0003】
移動用モータの駆動により回転ブラシが被洗浄車両に接触して被洗浄車両の洗浄が行われる。この時、回転ブラシの駆動電流の検出により回転ブラシの負荷が検知される。回転ブラシの駆動電流が予め記憶される上限値よりも高くなると、回転ブラシの負荷が高いため移動用モータによって回転ブラシが被洗浄車両から離れる方向に移動する。これにより、被洗浄車両に回転ブラシが強く当たることによる被洗浄車両の傷を防止することができる。
【0004】
また、回転ブラシの駆動電流が予め記憶される下限値よりも低くなると、回転ブラシの負荷が低いため移動用モータによって回転ブラシが被洗浄車両に近づく方向に移動する。これにより、被洗浄車両から回転ブラシが離れることによる洗浄力の低下を防止することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−6936号公報(第2頁−第5頁、第7図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の洗車機によると、回転ブラシの負荷は周囲の環境(温度や湿度等)や回転ブラシの状態(吸水状態や経年変化等)によって変化する。このため、予め記憶される駆動電流の上限値及び下限値に基づいて回転ブラシを移動させると、被洗浄車両との適正な距離を維持できない場合が生じる。これにより、被洗浄車両の傷や洗浄不足が発生する問題があった。
【0007】
本発明は、被洗浄車両と回転ブラシとの距離を適正に維持できる洗車機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、被洗浄車両に対して前後に相対移動して被洗浄車両を洗浄する回転ブラシと、前記回転ブラシの駆動電流を検出する電流検出部と、前記回転ブラシを被洗浄車両に対して接離させるブラシ移動部とを備え、前記駆動電流が所定の上限値よりも高くなると前記ブラシ移動部により前記回転ブラシが被洗浄車両から離れる方向に移動し、所定の下限値よりも低くなると前記ブラシ移動部により前記回転ブラシが被洗浄車両に近づく方向に移動する洗車機において、前記回転ブラシを空転させて前記駆動電流を検出する空転検出期間を設け、前記空転検出期間に検出された前記駆動電流に基づいて前記上限値及び前記下限値を可変したことを特徴としている。
【0009】
この構成によると、回転ブラシが被洗浄車両に対して前後に相対移動するとともにブラシ移動部により被洗浄車両に接触して被洗浄車両の洗浄が行われる。この時、回転ブラシの駆動電流が被洗浄車両から離れて空転する空転検出期間で電流検出部により検出される。回転ブラシの駆動電流の上限値及び下限値は空転検出期間で検出された駆動電流に基づいて可変される。回転ブラシが被洗浄車両に接触して回転ブラシの駆動電流が上限値よりも高くなると、ブラシ移動部により回転ブラシが被洗浄車両から離れる方向に移動する。回転ブラシの駆動電流が下限値よりも低くなると、ブラシ移動部により回転ブラシが被洗浄車両に近づく方向に移動する。
【0010】
また、本発明は上記構成の洗車機において、前記空転検出期間が洗車の開始時に前記回転ブラシが回転して被洗浄車両に接触するまでの間に設けられることを特徴としている。この構成によると、洗車が開始されると空転検出期間が行われ、回転ブラシが空転して駆動電流が検出される。空転検出期間で検出された駆動電流によって駆動電流の上限値及び下限値が可変される。その後、回転ブラシは被洗浄車両に接触して洗浄が行われる。
【0011】
また、本発明は上記構成の洗車機において、前記回転ブラシが被洗浄車両の上面を洗浄するトップブラシから成るとともに前記ブラシ移動部により前記トップブラシが昇降し、前記空転検出期間が洗車の開始時に前記トップブラシが被洗浄車両の前方に降下するまでの間に設けられることを特徴としている。
【0012】
この構成によると、洗車が開始されると空転検出期間が行われ、トップブラシが空転して降下するとともにトップブラシの駆動電流が検出される。これにより、トップブラシの駆動電流の上限値及び下限値が可変される。トップブラシは下端まで降下して被洗浄車両の前方に配されると被洗浄車両の後方へ相対移動し、被洗浄車両に接触して洗浄が行われる。
【0013】
また、本発明は上記構成の洗車機において、前記駆動電流が上昇した際に前記空転検出期間を終了することを特徴としている。この構成によると、洗車が開始されると空転検出期間が開始され、回転ブラシが空転して駆動電流が検出される。回転ブラシの駆動電流が上昇し始めると回転ブラシが被洗浄車両に接触したと判断して空転検出期間が終了する。空転検出期間で検出された駆動電流によって上限値及び下限値が可変される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、空転検出期間で回転ブラシを空転して検出された駆動電流に基づいて回転ブラシの駆動電流の上限値及び下限値を可変するので、周囲の環境や回転ブラシの状態が変化しても被洗浄車両と回転ブラシとの距離を適正に維持することができる。従って、被洗浄車両の傷や洗浄不足を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態の洗車機を示す側面図
【図2】本発明の実施形態の洗車機を示す正面図
【図3】本発明の実施形態の洗車機の構成を示すブロック図
【図4】本発明の実施形態の洗車機の洗車時のトップブラシの軌跡を示す側面図
【図5】本発明の実施形態の洗車機の洗車時のトップブラシの駆動電流の変化を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。図1、図2は本発明の一実施形態の洗車機の全体構成を示す側面図及び正面図である。洗車機WAは本体部1、レール2及びリモートパネル60を備えている。本体部1は左右の対向する2つのスタンド部90と、スタンド部90の上端を連結する天井部91とを有して門型に形成される。
【0017】
左右一対のレール2は地面に敷設され、本体部1の底面に設けた車輪3がレール2上に配される。これにより、本体部1は走行モータ25(図3参照)の駆動によりレール2上を走行し、被洗浄車両CAに対して前後に相対移動するように立設される。
【0018】
リモートパネル60は本体部1の進入経路上に配される。被洗浄車両CAはリモートパネル60の面前で停車し、リモートパネル60の操作によって洗車の受け付け等の操作を行う。
【0019】
本体部1には被洗浄車両CA上に摺動してブラッシングする複数の回転ブラシが設けられる。回転ブラシはトップブラシ4、サイドブラシ5及びロッカーブラシ6から成っている。トップブラシ4はトップブラシ駆動モータ4a(図3参照)により回転駆動される。サイドブラシ5はサイドブラシ駆動モータ5a(図3参照)により回転駆動される。ロッカーブラシ6はロッカーブラシ駆動モータ6a(図3参照)により回転駆動される。
【0020】
トップブラシ4は回転軸(不図示)に布(織布、編布、不織布等)や樹脂繊維から成るブラシ毛(不図示)を放射状に固着して形成される。トップブラシ4の回転軸はワイヤー(不図示)を介してトップブラシ昇降モータ24(図3参照)に連結される。トップブラシ昇降モータ24の駆動によってトップブラシ4が昇降し、被洗浄車両CAに対して接離する。従って、昇降モータ24はトップブラシ4を被洗浄車両CAに対して接離させるブラシ移動部を構成する。これにより、トップブラシ4が被洗浄車両CAに沿って移動し、被洗浄車両CAの上面が洗浄される。
【0021】
サイドブラシ5は左右一対設けられ、被洗浄車両CAの両側面を洗浄する。ロッカーブラシ6は左右一対設けられ、被洗浄車両CAのタイヤを含む側面下部を洗浄する。サイドブラシ5及びロッカーブラシ6もトップブラシ4と同様の回転軸及びブラシ毛を有している。
【0022】
本体部1の一側方には洗剤やワックス等の各種液剤を貯液した複数の貯液タンク(不図示)を収納するタンク収納部50が配される。タンク収納部50の上方には市水及び各貯液タンクからの液剤を分配する分配配管部51が設けられる。分配配管部51には第1、第2浄水ノズル11、13、第1、第2洗剤ノズル12、15、撥水コートノズル14、ワックスノズル16がそれぞれ電磁弁を介して導出される。
【0023】
第1、第2浄水ノズル11、13は本体部1の手前側及び奥側にそれぞれ配され、被洗浄車両CAに対して市水を噴射する。第1、第2洗剤ノズル12、15は本体部1の手前側及び奥側にそれぞれ配され、被洗浄車両CAに対して洗剤(シャンプー)を噴射する。また、電磁弁の切り替えによって第1、第2洗剤ノズル12、15から高級な洗剤が噴射される。
【0024】
撥水コートノズル14は本体部1の奥側に配され、被洗浄車両CAに対して撥水コート剤を噴射する。また、電磁弁の切り替えによって撥水コートノズル14から高級な撥水コート剤や特殊なコート剤が噴射される。ワックスノズル16は本体部1の奥側に配され、被洗浄車両CAに対してワックスを噴射する。また、電磁弁の切り替えによってワックスノズル16から高級なワックスが噴射される。
【0025】
また、本体部1には被洗浄車両CAを乾燥させる気流を発生するブロア20が設けられる。ブロア20にはトップ送風ノズル21及びサイド送風ノズル22が接続される。トップ送風ノズル21は本体部1の中央上部に設けられ、ワイヤー(不図示)を介してトップ送風ノズル昇降モータ23に連結される。トップ送風ノズル昇降モータ23の駆動によりトップ送風ノズル21が被洗浄車両CAに沿って昇降して被洗浄車両CAの上面に向けて送風する。
【0026】
サイド送風ノズル22は本体部1の両側部に設けられ、被洗浄車両CAの側面に向けて送風する。トップ送風ノズル21及びサイド送風ノズル22の送風によって洗浄後の被洗浄車両CAを乾燥させる。
【0027】
本体部1の前面上部には車両センサ8が設けられている。車両センサ8は光電センサや超音波センサ等から成り、本体部1に進入する被洗浄車両CAの外面形状を検知する。これにより、被洗浄車両CAの車両長さを検知して本体部1の走行範囲が決められる。
【0028】
本体部1の一方のスタンド部90の前面には操作パネル7が配される。操作パネル7はリモートパネル60と同様の操作ボタンを備え、被洗浄車両CAから降車したユーザ等の操作により洗車の受け付けや洗車条件の設定を行う。
【0029】
操作パネル7及びリモートパネル60に設けたボタンにより、シャンプー、ワックス掛け、撥水コート等を水洗いに追加して洗車条件を設定することができる。また、高級なシャンプー、高級なワックス、高級な撥水コート、特殊なコート等を行うボタンも操作パネル7及びリモートパネル60に設けられる。更に、フロントガード有り、フェンダーポール有り、ドアミラー有り、リヤワイパー有り、該当装備品無し等の装備品設定ボタンが設けられている。
【0030】
図3は洗車機WAの構成を示すブロック図である。洗車機WAは各部を制御する制御部10を備えている。制御部10には操作パネル7、リモートパネル60、車両センサ8、電流検出部26、走行モータ25、トップブラシ駆動モータ4a、サイドブラシ駆動モータ5a、ロッカーブラシ駆動モータ6a、トップブラシ昇降モータ24、第1浄水ノズル11、第2浄水ノズル13、第1洗剤ノズル12、第2洗剤ノズル15、撥水コートノズル14、ワックスノズル16、ブロア20、トップ送風ノズル昇降モータ23、記憶部9が接続される。また、制御部10には計時を行うタイマーが内蔵される。
【0031】
電流検出部26はトップブラシ4を駆動するトップブラシ駆動モータ4aの駆動電流(以下、単に「トップブラシ4の駆動電流」という)を検出する。これにより、トップブラシ4の回転時の負荷が検知される。
【0032】
記憶部9はRAM及びROMから成り、制御部10により実行される動作プログラムが記憶されるとともに制御部10の演算結果を一時記憶する。また、記憶部9はトップブラシ4の駆動電流の上限値IH及び下限値ILを記憶するとともに、トップブラシ4の空転時の駆動電流I0を記憶する。詳細を後述するように、トップブラシ4の駆動電流が上限値IHと下限値ILとの間に維持されるようにトップブラシ昇降モータ24によりトップブラシ4が昇降される。
【0033】
上記構成の洗車機WAにおいて、本体部1が設定された洗車条件に基づいて被洗浄車両CAに対して前後方向に相対移動する。そして、被洗浄車両CAには各種ノズルから市水や液剤が噴射され、本体部1に設けた各回転ブラシが被洗浄車両CAに摺動して被洗浄車両CAの洗浄が行われる。洗浄後の被洗浄車両CAはブロア20からの送風によって乾燥する。これにより、被洗浄車両CAの洗車が終了する。
【0034】
図4は洗車時のトップブラシ4の軌跡を示す側面図である。また、図5はこの時のトップブラシ4の駆動電流の変化を示す図である。図5において縦軸は駆動電流を示し、横軸は時間を示している。
【0035】
洗車が開始されると、トップブラシ4が回転するとともにトップブラシ昇降モータ24によって降下する。時間t1でトップブラシ4は下端に到達し、被洗浄車両CAの前方に配される。次に、本体部1が被洗浄車両CAの後方に向かって相対移動し、時間t2でトップブラシ4が被洗浄車両CAに接触する。これにより、トップブラシ4の駆動電流が増加する。
【0036】
洗車の開始から時間t2まではトップブラシ4が空転する。このため、この間を空転したトップブラシ4の駆動電流を電流検出部26により検出する空転検出期間Tとしている。そして、空転検出期間Tで検出した空転時の駆動電流I0に基づいて記憶部9に記憶される駆動電流の上限値IH及び下限値ILが可変される。
【0037】
即ち、洗車機WAの製造時に初期のトップブラシ4の駆動電流I0が記憶部9に記憶されている。また、製造時のトップブラシ4の負荷に対応して初期の駆動電流の上限値IH及び下限値ILが記憶部9に記憶されている。そして、空転検出期間Tで検出した駆動電流I0と初期の駆動電流I0との比較結果に応じて上限値IH及び下限値ILを補正し、記憶部9に記憶する。
【0038】
例えば、初期の駆動電流I0に対する空転検出期間Tで検出した駆動電流I0の比を初期の上限値IH及び下限値ILに乗じて補正後の上限値IH及び下限値ILが導出される。また、初期の駆動電流I0に対する空転検出期間Tで検出した駆動電流I0の増加量を初期の上限値IH及び下限値ILに加えて補正後の上限値IH及び下限値ILを導出してもよい。
【0039】
これにより、初期の駆動電流I0に対して空転検出期間Tで検出した駆動電流I0が増加すると、初期の上限値IH及び下限値ILに対して補正後の上限値IH及び下限値ILが増加する。また、初期の駆動電流I0に対して空転検出期間Tで検出した駆動電流I0が減少すると、初期の上限値IH及び下限値ILに対して補正後の上限値IH及び下限値ILが減少する。
【0040】
空転検出期間Tは予め記憶したトップブラシ4が被洗浄車両CAに接触するまでの時間に到達したときに終了する。そして、空転検出期間Tの終了前に検出した駆動電流I0によって上限値IH及び下限値ILが可変される。洗車開始からトップブラシ4が被洗浄車両CAに接触するまでの間の一部の期間に空転検出期間Tを設けてもよい。
【0041】
また、電流検出部26の検出によってトップブラシ4の駆動電流が増加した時(時間t2)に空転検出期間Tを終了してもよい。また、トップブラシ4が下端に到達して被洗浄車両CAの前方に配されるまでの間に空転検出期間Tを設けてもよい。
【0042】
空転検出期間Tの終了後、本体部1が更に進行するとトップブラシ4が被洗浄車両CAの前面に強く当たってトップブラシ4の負荷が大きくなるため駆動電流が更に増加する。トップブラシ4の駆動電流が記憶部9に記憶される上限値IHよりも高くなると、トップブラシ昇降モータ24によってトップブラシ4が上昇する。これにより、トップブラシ4が被洗浄車両CAから離れる方向に移動し、トップブラシ4の駆動電流が上限値IHよりも低くなる。この動作が繰り返し行われ、被洗浄車両CAにトップブラシ4が強く当たることによる被洗浄車両CAの傷を防止することができる。
【0043】
時間t3ではトップブラシ4が被洗浄車両CAの天井面上に配される。被洗浄車両CAの天井面は平坦であるためトップブラシ4の駆動電流の変化が少ない。時間t4ではトップブラシ4が被洗浄車両CAの背面(リアウィンドウ)上に配される。これにより、トップブラシ4の中心と被洗浄車両CAとの距離が大きくなり、トップブラシ4の駆動電流が減少する。
【0044】
本体部1が更に進行するとトップブラシ4が被洗浄車両CAから相対的に離れる方向に移動し、トップブラシ4の負荷が小さくなるため駆動電流が更に減少する。トップブラシ4の駆動電流が記憶部9に記憶される下限値ILよりも低くなると、トップブラシ昇降モータ24によってトップブラシ4が降下する。これにより、トップブラシ4が被洗浄車両CAに近づく方向に移動し、トップブラシ4の駆動電流が下限値ILよりも高くなる。この動作が繰り返し行われ、被洗浄車両CAからトップブラシ4が離れることによる洗浄力の低下を防止することができる。そして、時間t5でトップブラシ4が被洗浄車両CAの後端面から離れる。
【0045】
本実施形態によると、空転検出期間Tでトップブラシ4を空転して検出された駆動電流I0に基づいて駆動電流の上限値IH及び下限値ILを可変するので、周囲の環境やトップブラシ4の状態が変化しても被洗浄車両CAとトップブラシ4との距離を適正に維持することができる。従って、被洗浄車両CAの傷や洗浄不足を防止することができる。
【0046】
また、空転検出期間Tが洗車の開始時にトップブラシ4が回転して被洗浄車両CAに接触するまでの間に設けられるので、洗車時間を増加させずに駆動電流I0を検出することができる。
【0047】
また、空転検出期間Tが洗車の開始時にトップブラシ4が被洗浄車両CAの前方に降下するまでの間に設けられると、トップブラシ4が被洗浄車両CAに接触した後の電流検出部26の検出による駆動電流I0の誤検出を防止することができる。
【0048】
また、トップブラシ4の駆動電流が上昇した際に空転検出期間Tを終了させると、トップブラシ4が被洗浄車両CAに接触した後の電流検出部26の検出による駆動電流I0の誤検出を防止することができる。
【0049】
本実施形態において、洗車の開始時に空転検出期間Tを設けているが、トップブラシ4が空転している期間であれば洗車の開始時に限られない。例えば、トップブラシ4が被洗浄車両CAの後端から離れた後に空転検出期間Tを設けて上限値IH及び下限値ILを可変してもよい。これにより、次回の洗車時に可変後の上限値IH及び下限値ILに基づいてトップブラシ4が昇降される。
【0050】
また、サイドブラシ5やロッカーブラシ6が被洗浄車両CAに対して接離させるブラシ移動部を有する場合には、同様にサイドブラシ5やロッカーブラシ6の空転時の駆動電流I0に基づいて駆動電流の上限値IH及び下限値ILを可変してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明によると、回転ブラシを備えた洗車機に利用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1 本体部
2 レール
3 車輪
4 トップブラシ
5 サイドブラシ
6 ロッカーブラシ
7 操作パネル
8 車両センサ
9 記憶部
10 制御部
11 第1浄水ノズル
12 第1洗剤ノズル
13 第2浄水ノズル
14 撥水コートノズル
15 第2洗剤ノズル
16 ワックスノズル
20 ブロア
21 トップ送風ノズル
22 サイド送風ノズル
23 トップ送風ノズル昇降モータ
24 トップブラシ昇降モータ
25 走行モータ
50 タンク収納部
51 分配配管部
60 リモートパネル
90 スタンド部
91 天井部
WA 洗車機
CA 被洗浄車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被洗浄車両に対して前後に相対移動して被洗浄車両を洗浄する回転ブラシと、前記回転ブラシの駆動電流を検出する電流検出部と、前記回転ブラシを被洗浄車両に対して接離させるブラシ移動部とを備え、前記駆動電流が所定の上限値よりも高くなると前記ブラシ移動部により前記回転ブラシが被洗浄車両から離れる方向に移動し、所定の下限値よりも低くなると前記ブラシ移動部により前記回転ブラシが被洗浄車両に近づく方向に移動する洗車機において、前記回転ブラシを空転させて前記駆動電流を検出する空転検出期間を設け、前記空転検出期間に検出された前記駆動電流に基づいて前記上限値及び前記下限値を可変したことを特徴とする洗車機。
【請求項2】
前記空転検出期間が洗車の開始時に前記回転ブラシが回転して被洗浄車両に接触するまでの間に設けられることを特徴とする請求項1に記載の洗車機。
【請求項3】
前記回転ブラシが被洗浄車両の上面を洗浄するトップブラシから成るとともに前記ブラシ移動部により前記トップブラシが昇降し、前記空転検出期間が洗車の開始時に前記トップブラシが被洗浄車両の前方に降下するまでの間に設けられることを特徴とする請求項2に記載の洗車機。
【請求項4】
前記駆動電流が上昇した際に前記空転検出期間を終了することを特徴とする請求項2に記載の洗車機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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