説明

洗面器台付きカウンター及びその取付方法

【課題】 カウンターにかかる荷重を洗面器台で受けることができ、すっきりとした意匠性に優れた設置状態が得られる洗面器台付きカウンターを提供する。
【解決手段】 洗面器台5とカウンター4を別体で形成し、洗面器台5をブラケット7で浴室の壁面Wに強固に固設し、この洗面器台5の上面奥部のカウンター載置凹部5e上にカウンター4を嵌め込み載置して設置でき、設置状態で、洗面器台5の上面5dは、カウンター4の前面4bよりも前面に突出し、しかもカウンターの上面4aよりも上側に突出して設置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室内に設置される洗面器台付きカウンター及びその取付方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室内には洗面器台とカウンターが設置されているが、特許文献1に開示されているように、カウンターの前面に洗面器台を取り付けた構造のものや、カウンターと洗面器台を一体成形した構造のものが存在する。
【特許文献1】特開2003−116737号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1のように、カウンターの前面に洗面器台を取り付けたものを浴室の壁面に固定する場合、カウンターを支持する大きなブラケットが必要であり、大きなブラケットを洗い場側から隠すためには、カウンターを厚みの大なる大型のものとする必要があり、カウンターを製造するための型が大きくなって、製造コストが増大してしまうという問題点がある。
また、カウンターと洗面器台が一体成形されたものでは、製造上、カウンターの上面と洗面器台の上面の水勾配が連続状のものでないと造りにくく、そのため、カウンターから洗面器台上面に連続した水勾配が形成されて意匠性が損なわれ、また洗面器台上面から洗面器が落ち易いという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記従来の問題点に鑑み案出したものであって、カウンターの厚みを薄くすることができ、また、洗面器が落ちにくく、意匠性に優れた洗面器台付きカウンター及びその取付方法を提供することを目的とし、その請求項1は、洗面器台と、洗面器台とは別体のカウンターとからなり、前記洗面器台の上面奥部には、前記カウンターを載置するとともに該カウンターの嵌め込まれる凹部が設けられ、該凹部にカウンターが嵌め込まれ載置されていることである。
また、請求項2は、前記カウンターが前記凹部に嵌め込まれ載置された状態において、前記洗面器台の前面の少なくとも一部は、前記カウンターの前面よりも突出しているとともに、該突出部は前記カウンター上面よりも上側に突出していることである。
また、請求項3は、洗面器台とカウンターを別体で形成し、前記洗面器台を壁面に強固に固設して、該洗面器台上に前記カウンターを載置することを特徴とする洗面器台付きカウンターの取付方法である。
また、請求項4は、前記洗面器台は補強部材で前記壁面に強固に固定される請求項3に記載の洗面器台付きカウンターの取付方法である。
【発明の効果】
【0005】
本発明の洗面器台付きカウンターは、洗面器台と、洗面器台とは別体のカウンターとからなり、洗面器台の上面奥部には凹部が設けられ、該凹部にカウンターが嵌め込まれ載置されていることにより、洗面器台上にカウンターが載るため、カウンターにかかる荷重を洗面器台で受けることができ、カウンターを薄く形成しておくことができる。また、洗面器台とカウンターは別体で形成されるものであるため、水勾配を逆向き等にして、洗面器が落ちにくく、しかも意匠性に優れたものにすることができる。
【0006】
また、カウンターが凹部に嵌め込まれ載置された状態において、洗面器台の前面の少なくとも一部は、カウンターの前面よりも突出しているとともに、該突出部はカウンター上面よりも上側に突出していることにより、洗面器台がカウンターの前面に上方へ突出して、洗面器を置くスペースを良好に確保することができ、しかも、浴槽側からカウンター上に水が溢れ出たような場合でも洗面器の落下防止効果が大なものとなる。
【0007】
また、洗面器台付きカウンターの取付方法は、洗面器台とカウンターを別体で形成し、洗面器台を壁面に強固に固設して、洗面器台上にカウンターを載置することとしたため、強固に固設された洗面器台上にカウンターが載るため、カウンターにかかる荷重を洗面器台で受けることができ、カウンターを別途壁面に固設する必要がなく、カウンターを薄く形成しておくことができる。また、洗面器台とカウンターは、水勾配を逆向き等にして別体で形成しておくことができ、意匠性に優れたものにすることができる。
【0008】
また、洗面器台は補強部材で壁面に強固に固定されるため、補強部材は洗面器台で隠すことができ、強固に固設された洗面器台上にカウンターが載るため、カウンターにかかる荷重を洗面器台で受けることができ、カウンターを薄く形成しておくことができる。
【実施例】
【0009】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、浴室の概略平面構成図であり、浴室1の浴槽2の側方には洗い場3が形成されており、この洗い場3側の壁面に、カウンター4と洗面器台5が設けられており、その要部拡大斜視図を図2に示す。
【0010】
本例では、カウンター4と洗面器台5は別体で形成されたものとなっており、図3の分解斜視図で示すように、例えば2個のブラケット7,7を用いて、まず浴室の壁面Wに洗面器台5を強固に固設し、その後に、洗面器台5上にカウンター4を載置して設置できるものである。設置状態は、図4の縦断面側面構成図で示す。
【0011】
カウンター4は、上面4aと前面4bと底面4cで略コの字状の中空断面に形成されており、後端側には、上面側に上方へ傾斜して立ち上がる後面立上部4dと、下面側には後面垂下部4eが一体形成されており、上面4aと底面4c間の厚みは薄く形成されている。なお、上面4aには、洗い場3側に向かって、排水用の水勾配が形成されている。
【0012】
また、洗面器台5は、湾曲状の下面湾曲部5aの前面に、連続状に立ち上げて前面立上部5bが形成されており、この前面立上部5bの上端に、上方へ向かって突出した突出部5cが一体形成されており、この突出部5cの上面5dには、更に上方へ突出した滑り止め突起6,6が設けられている。
【0013】
また、洗面器台の上面5d奥部には、一段低くカウンター載置凹部5eが設けられ、該カウンター載置凹部5eにカウンター4が嵌め込まれ載置されるように構成されている。カウンター載置凹部5eの後端は、段部5fを介在させて、ほぼ垂直な壁当接面5gとなっている。この洗面器台5は、中空状に形成されており、その内部にブラケット7,7を入れることができるものである。
ブラケット7は、壁面Wにビス等で固定することのできる垂直な壁固定片7aの上端に、段部7bが形成され、この段部7bの上端から洗い場3側へ水平に突出して上面水平片7cが一体形成されており、この上面水平片7cと壁固定片7a間は、補強片7dで補強されたものとなっている。
【0014】
まず、このブラケット7の壁固定片7aを、図4のように、浴室の壁面Wにビス等で強固に固定させておき、洗い場側から洗面器台5をブラケット7,7に被せて、洗面器台5のカウンター載置凹部5eをブラケット7の上面水平片7c上に当接させて、一対のブラケット7,7を介し強固に洗面器台5を壁面Wに固設することができ、この状態では、ブラケット7,7は完全に洗面器台5に隠されて、すっきりとした設置状態が得られるものである。
洗面器台5を固設した後に、洗面器台5のカウンター載置凹部5e上にカウンター4の底面4cを当接させて嵌め込み、カウンター載置凹部5e上にカウンター4を載置して設置することができ、カウンター4は、強固に固設された洗面器台5に支持されて、カウンター4にかかる荷重を洗面器台5で良好に受け止めることができるものとなる。
【0015】
なお、図4に示す設置状態において、洗面器台5の前面立上部5bは、カウンター4の前面4bの前側、即ち洗い場3側へ突出し、しかも洗面器台5の突出部5cは、カウンター4の上面4aよりも上方へ突出して、洗面器台5の上面5dはカウンターの上面4aよりも上方に配置される。なお、洗面器台5の上面5dの水勾配は、カウンター4側へ下傾状の水勾配に設定しておくことができ、カウンター4の上面4aの水勾配と、洗面器台5の上面5dの水勾配を逆勾配に設定しておくことができる。
【0016】
このような設置状態においては、洗面器を置くスペースが洗面器台5の上面5dに確保され、良好に上面5dに洗面器を置くことができ、滑り止め突起6により洗面器の滑りを防ぎ、洗面器の落下を防止することができる。
即ち、浴槽2からの溢れ水がカウンター4側へ流れた時に、洗面器が洗面器台5から落下し易いが、カウンター上面4aよりも洗面器台5の上面5dは高い位置にあるため、浴槽2からの溢れ水により、洗面器が落下することがなくなり、また洗面器台5の上面5dの水勾配をカウンター4側に下傾状に形成しておけば、洗面器はカウンター4側へ移動することがあっても、洗い場3側へは移動しないために、洗面器の落下を確実に防ぐことができるものとなる。
【0017】
また、本例では、カウンター4は洗面器台5に支持されており、カウンター4には従来のようなブラケット等が用いられていないため、カウンター4は薄く形成することができ、小型の型で安価に形成することができるものとなる。
また、カウンター4と洗面器台5が別体で形成されているため、カウンター4と洗面器台5の意匠を変えることができ、意匠性が向上したものとなる。特にカウンター4の上面4aと洗面器台5の上面5dに、連続状の水勾配を形成させる必要がないため、良好な意匠性を確保しやすくなる。
【0018】
なお、図5に示すように、洗面器台5の強度を高め、洗面器台5にビス孔5h,ビス孔5hを設けておき、このビス孔5h,ビス孔5hにビス8,8を入れ、ビス8,8を壁面Wに締めつけて、ブラケット7を用いることなく、洗面器台5を壁面Wに固定させることもできる。
このような構造であっても、洗面器台5のカウンター載置凹部5e上にカウンター4の底面4cを当接させて嵌め込み、カウンター載置凹部5e上にカウンター4を載置して設置することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】浴室の概略平面構成図である。
【図2】カウンターと洗面器台の設置状態の斜視構成図である。
【図3】カウンターと洗面器台の分解斜視図である。
【図4】カウンターと洗面器台を設置した状態の縦断面側面拡大構成図である。
【図5】別例を示すカウンターと洗面器台の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0020】
1 浴室
2 浴槽
3 洗い場
4 カウンター
4a 上面
4b 前面
5 洗面器台
5a下面湾曲部
5b 前面立上部
5c 突出部
5d 上面
5e カウンター載置凹部
5h ビス孔
6 滑り止め突起
7 ブラケット
7a 壁固定片
7c 上面水平片
8 ビス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗面器台と、洗面器台とは別体のカウンターとからなり、前記洗面器台の上面奥部には、前記カウンターを載置するとともに該カウンターの嵌め込まれる凹部が設けられ、該凹部にカウンターが嵌め込まれ載置されていることを特徴とする洗面器台付きカウンター。
【請求項2】
前記カウンターが前記凹部に嵌め込まれ載置された状態において、前記洗面器台の前面の少なくとも一部は、前記カウンターの前面よりも突出しているとともに、該突出部は前記カウンター上面よりも上側に突出していることを特徴とする請求項1に記載の洗面器台付きカウンター。
【請求項3】
洗面器台とカウンターを別体で形成し、前記洗面器台を壁面に強固に固設して、該洗面器台上に前記カウンターを載置することを特徴とする洗面器台付きカウンターの取付方法。
【請求項4】
前記洗面器台は補強部材で前記壁面に強固に固定される請求項3に記載の洗面器台付きカウンターの取付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−25887(P2006−25887A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−205323(P2004−205323)
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】