説明

流体処理装置及び流体処理方法

【課題】ナノバブル・マイクロバブル装置や電気分解では高濃度・難分解有機物・有害物質の浄化・滅菌がまだ不十分であり、その処理が可能であるパルスプラズマ高周波処理装置を用いた流体処理装置及び流体処理方法を提供する。
【解決手段】流体及び流体中に含有する有機物及び無機物を、微細化及び分解するパルスプラズマ高周電磁波処理装置と、当該パルスプラズマ高周電磁波処理装置で処理したパルスプラズマ処理水を吸引しながら高圧噴射する2流体混合ノズルを有する第1高圧噴射装置とを備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パルスプラズマによる電気分解と高圧水による超微細化分解を合わせ持つ流体処理装置及び流体処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ナノバブル・電気分解・プラズマオゾン生成器による、水に高い内部圧力をかけたり、水の表面を活性化する超微細化イオン化気泡(以下、「ナノバブル・マイクロナノバブル」ともいう)や電解水による方法、コロナ放電プラズマによって水表面に水酸化ラジカルを発生させ、その生成水を利用して、洗浄、殺菌、汚濁水の浄化、生体へ適用して疲労回復の利用、化学反応に利用できる装置が提案されている。
【0003】
ナノバブル発生装置として特許文献1,2,3,4等が公知である。
高度の洗浄が必要なIC洗浄ラインでは、オゾン水を用いたり、コロナプラズマ放電方式で大気中の菌を滅菌し、浄化しているのが現状である。
【0004】
特許文献1は、電気分解装置と超音波発生装置を組み合わせたものであり、電気分解装置により発生する酸素やオゾンの気泡を、底部に設けられた超音波発生装置からの超音波振動で圧壊し、微細化し、ナノバブルを発生させるものである。
特許文献2は、ポンプの吐出力により酸素富化器からの空気を吸引混合・撹拌してマイクロナノバブルを生成する装置で、酸素30%に対して約70%の窒素が混合されたものであるため、浄化・滅菌効果に劣る。
特許文献3は、特許文献1の電気分解装置のかわりに、超音波発生装置だけを水槽に1箇所、マイクロバブル生成装置に1箇所、供給配管に2箇所、計5箇所配置し、マイクロバブル生成装置で空気の混入を行っており、超音波発生装置の振動子の長期使用が不可能な点と空気混入では浄化・滅菌効果に劣る。
特許文献4は、高圧ノズルによるキャビテーションによる微細気泡イオン化と過酸化水素発生装置との組み合わせで原水の浄化処理効率を向上させるものであるが、水のキャビテーションによる水酸化ラジカルの生成が少なく、水の溶存酸素のみだけでは微細気泡イオン化が少なく、イオン化もマイナスが外側に生成されるが、逆に内側にプラスが生成され、磁気の荷電イオン化も劣る。
その他のナノバブル・マイクロナノバブルも、空気を取り込んでポンプの回転で生成している方法で、回転部に永久磁石を取り付けて荷電を行ったり、高速回転のせん断荷電を行っているが、装置の寿命を短縮する問題もある。
特許文献5は、プラズマを円筒管により電極形成し、負極は棒状のステンテスを使用して乾電池3Vの電源で、周波数15Hz、出力10KVの清涼飲料水用プラズマ殺菌装置であるが、大型化すると電圧が高く、パルスプラズマ方式でないため電磁波処理ではなく、高エネルギー電子による滅菌方法である。
特許文献6は、50KHz以下の低周波超音波発振器で電荷凝集を行い、ネオジウム磁力及びネオジウム素子羽根のミキシングにより、負帯電有機物を正帯電荷処理すると共に、悪臭対策として3M〜300MHzの高周波電磁超音波発振器で消臭し、60KVの高パルス電圧プラズマでオゾンを発生させて窒素処理、脱色・滅菌する装置であるが、管状の対面する突起で、正極と負極間に高電圧パルス短絡放電するという非常に危険な処理方法である。
従って、パルスプラズマ高周電磁波装置によって浄化・滅菌処理する装置は知られていない。
【0005】
【特許文献1】特開2004−121962号公報
【特許文献2】特開2006−43636号公報
【特許文献3】特開2006−289183号公報
【特許文献4】特開2007−98217号公報
【特許文献5】特開2003−340454号公報
【特許文献6】特開2001−252665号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のナノバブル・マイクロナノバブル装置では、電気分解の能力と超音波発生装置の大型化による装置のコストアップや装置全体の複雑化、消費電力の増加問題がある。
またこれらの装置は、耐用年数(寿命)もそう長く期待できず、ランニングコストの観点からも好ましいものではない。
ナノバブル・マイクロナノバブル装置の総体としては、浄化・滅菌の処理を促進するが、他のオゾン・酸素・過酸化水素・微生物等との併用で処理効果があり、単独では処理効果が低い。
【0007】
また、電気分解の中でもプラズマ高周波が効率よく処理が行えるが、水中に直接電極を配置して連続で大量の処理を行える装置がない。
【0008】
ナノバブル・マイクロバブル装置の開発は多く提案されているが、環境汚染面から高濃度・難分解有機物・有害物質の改善には完全に対応できていないのが現状であり、コスト面からも導入が進展していない状況である。
環境汚染は海域まで進んでいるため、貨物船やタンカー等船舶のバラスト水による国際間の汚染に広がり、バラスト水の海水浄化・滅菌処理まで行う必要性の段階にきている。
【0009】
本発明の目的は、上記問題に鑑み、ナノバブル・マイクロバブル装置や電気分解では高濃度・難分解有機物・有害物質の浄化・滅菌がまだ不十分であり、その処理が可能であるパルスプラズマ高周電磁波処理装置を用いた流体処理装置及び流体処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために本発明に係る流体処理装置は、流体及び流体中に含有する有機物及び無機物を、微細化及び分解するパルスプラズマ高周電磁波処理装置と、当該パルスプラズマ高周電磁波処理装置で処理したパルスプラズマ処理水を吸引しながら高圧噴射する2流体混合ノズルを有する第1高圧噴射装置とを備えたことを特徴とする。
マイクロ波からミリ波までのパルスプラズマ高周波によって衝撃電磁波・温度変化・振動・圧力が発生し、化学反応誘発力となるために、水中の有機物や含有されている有害物質を超微細化・イオン化することによって分解し、パルスプラズマ高周波で水から発生させた水酸化ラジカルが分解物質を酸化・還元させ、気体・水として放出、及び金属類として酸化沈殿する。
また、パルスプラズマ高周波で発生させた水酸化ラジカルが原水を分解し、発生した余剰の水酸化ラジカルは、酸素及びナノバブルを含有したプラズマ処理水となり、原水管に設ける第1高圧噴射装置の2流体ノズルから高圧噴射し、その吸引力を利用して高圧水の7倍以上のプラズマ処理水とを高圧噴射して生成するキャビテーションで、さらに多くの水酸化ラジカルを発生させ、分解力を高めることが出来る。
【0011】
本発明に係る流体処理装置は、第1高圧噴射装置で得られた処理水を、さらに微細に混合及び分解する高圧ノズルインジェクターを有した第2高圧噴射装置を備えたことを特徴とする。
第1高圧噴射装置の後に、第2高圧噴射装置を配置したのは、第1高圧噴射装置で分解処理した水をさらに混合分解する目的であり、流水に対し所定の直角度によりキャビテーションは大きくなり、下流の吸い込み力は原水の流速が早く、高圧水噴射により水圧が上昇するので、抵抗損出に影響がない。
また、流れに沿って螺旋状に1cm間隔で4孔以上のノズルを配置すると、均一に分解混合を行い、最終放流先でも分解と酸化沈殿処理を行い、確実な処理を短時間でできる。
該高圧水に使用する水は、処理後の放流水を返送使用する。
ナノバブルとしての気泡の存在には、20気圧以上の環境でノズル形状が設定してあるが、キャビテーションを大きくするため80気圧の高圧水を管に噴出衝突させることで生成可能である。
また、キャビテーションは、ノズルとインジェクターを処理対象に応じて複数を配置し、高圧水を通すことにより生成可能である。
【0012】
パルスプラズマ処理水量は、原水の水質に応じて、全量にするか一部にするか、適切な量に応じてバルブ(送水ポンプの後に原水から分岐)にて設定が可能であり、また、それに応じた第1高圧噴射装置数や第2高圧噴射ノズル箇所数の適切な設定が可能である。
【0013】
該装置と微生物処理とを併用することが可能であるが、単独・短時間で処理が十分可能で、悪臭対策も不要な浄化処理を特徴とする。
【0014】
本発明に係る流体装置は、養殖や他の用途での浄化・滅菌する場合にも、現在のナノバブルやプラズマ処理のような有害物質や空気を使用・発生せずにナノ酸素を微細に多く含有することが可能である。
また、海水の浄化・滅菌も処理の組み合わせにより、まず有機物や界面活性剤等の浄化処理を該装置で行い、後工程で本発明に係る流体装置にて滅菌処理を行うことにより、薬品を使用しない安全な処理ができる。
【0015】
パルスプラズマ電極内をパルスプラズマ処理室として、当該パルスプラズマ処理室の下部から旋回流を生じさせつつ流入し、上部から流出させるパルスプラズマ処理室を有していると、一番効果のあるパルスプラズマ処理室内に直接処理流体を流入して管形状で水中連続流水処理が可能であり、パルスプラズマ処理室は、横型でも良いが水素等他の除外物を分離する方法として、縦型で、最外部管を陽極とし、陰極を中央に置き、直径で25mmから25mmずつ増加させた管を間隔11.5mmで最小限2個以上、適合するのは4個設け、それぞれの管はすべて絶縁状態に配置する。
処理量と水質如何により陰極の直径から全体に管径を大きくし、高さを20cm以上、2m以下とするか、該装置を増加させることで処理量と水質汚濁度の増加に対応可能となる。
パルスプラズマ電極内をパルスプラズマ処理室とし、原水管末より分岐させ該処理室への流入管取り付け位置は、45°から60°の範囲で90°中心から偏芯させて配置し均一に上昇して処理が可能となる。
流出管は流入管と180°対面する位置から取り出し、一部の処理だけで止めるか全量プラズマ処理するかの調整をバルブにて行う。
処理流体の質により全量か一部のプラズマ処理をするかを決定することでプラズマ処理室は小型化が行える。
【0016】
パルスプラズマ電極内管材は、オーステナイト系ステンレスNSSC270(SUS312以上)でSUS312Lの1.5倍の耐海水・薬品製品であり、超音波振動があるため他のセラミックス等を使用しない。
管の固定は、絶縁・耐熱性のPE・PVC・硬質ゴムを使用する。
本体の保護は、耐熱PE・PVC・フッ素樹脂等の絶縁管と耐熱絶縁パッキンを使用する。
管は、原水流入管・処理流出管・高圧ノズル吸水側管・オーバーフロー管・排水管・水素空気混合排気管を耐熱PE管で絶縁配管する。
パルスプラズマ電源は、200V単相アイソレーショントランスから0〜260V可変トランスで電圧をコントロール可能と直流変換コンバーターで変換し、100KHzから2.5GHzの可変高周波でフィルター・コンデンサーで整流して電流0から6Aの発信機で水質に応じた電圧・電流・パルス周波数を選定できる。
高圧キャビテーション兼プラズマ処理高濃度酸素含有水を吸い込む混合2流体ノズルを原水の流入始点に第1高圧ノズルインジェクターとして流れに対し所定の角度に、場合により複数配置し、キャビテーションと水撃による水酸化ラジカルをさらに発生させて分解を補うもので、水質によってナノバブルが大量に混入させることが可能である。
【0017】
第2高圧噴射装置は、流体本管に、複数の高圧ノズルインジェクターを螺旋状に配設してあるとよい。
例えば、第1で発生した気泡と分解された気体や分子と未分解の分子を第2高圧ノズルインジェクターで微細に混合・分解されやすいように流心に対し所定の角度に、また、流心下流に1cm間隔で45°〜90°回転させた4箇所以上の複数個所から高圧噴射させキャビテーションと水撃による混合微細化するとよい。
前記第1高圧ノズルは、高圧水の噴射力によるもので、清水もしくは処理水の放流水を返送利用するため、高圧水の吸い込み側にゴミ等の除去としてフィルターを配備するが、さらにノズルの目詰まり防止としてオートニードル(シリンダー)付で自動にて目詰まりを洗浄防止するとよい。
【0018】
前記第2高圧ノズルインジェクターは、ノズル開孔管の直前に0.1mmのマイクロフイルターを配備し、逆洗・洗浄可能な構造で目詰まり防止と開孔管の洗浄排水弁や管を配備するとよい。
第2高圧噴射管の後に吸い込み・加圧方式のポンプを配置し、原水の吸い込みと放流槽やパルスプラズマ処理室への圧送を行うもので、原水の水質に応じたパルスプラズマの処理量を、必要に応じて選別できる。
【0019】
本発明に係る流体処理方法は、流体をパルスプラズマ高周電磁波処理することで、流体中に含有する有機物及び無機物を超微細化及びイオン化又はラジカルを発生させ、このパルスプラズマ処理水を2流体混合ノズルを用いた吸引高圧噴射するキャビテーションにより分解処理することを特徴とし、2流体混合ノズルを用いて処理された流体に、高圧ノズルインジェクターで高圧水を噴射し、キャビテーションと水撃にてさらに微細化及び分解することを特徴とする。
【0020】
前記の様な高周波常温パルスプラズマ電気分解・超音波キャビテーション・高圧ノズルキャビテーションの処理が可能であるため、難分解性の有機物や有害物質の除去ができるので、大気・土壌・河川・湖沼・淡水全体・海水まで浄化・滅菌が可能となり、(従来のナノバブル装置・電気分解装置やコロナ放電プラズマ処理装置では処理の対処物・量・用途面の限定と効果の面から制限がある)該装置は処理対象物・量・用途に応じた処理システムが構築出来るので、家庭から全産業に利用可能である。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る処理装置は、オゾン・過酸化水素等の薬品や生成装置も必要とせず、また、効力のない磁石・酸素高濃度分離膜装置・超音波振動素子や単純電気分解装置も必要としないので、該装置のみで浄化処理が可能である。
【0022】
本発明に係る処理装置は、原水の水質や水量にこだわり無く、連続且つ小規模から大規模まで処理が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下本発明を実施するための最良の形態を図面に基づき説明する。
【0024】
図1に装置の構成を模式的に示し、(部分詳細図を図9に示す。)、図8にフロー図を示す。
原水槽1から圧送されてくる処理水に、第1高圧噴射装置2により2流体ノズル64の高圧水から吸引された(プラズマ処理装置で大量に酸素を含有された)プラズマ処理水を混合高圧噴射することで、キャビテーションによって水素イオン(H+)及び水酸イオン(OH−)を大量に発生させ、また、衝撃による圧解力で原水の分子を微細化し、分解処理を行う。
さらに第2高圧噴射装置3で複数のノズル孔から高圧水を噴射することにより、第1高圧噴射装置2で出来なかった分解・混合を助長するキャビテーション生成と衝撃力圧解を行い、分解・混合を行う。
第2高圧噴射装置の後に送水ポンプ4を設け、プラズマ高周電磁波処理装置5と分解沈殿槽6へ送水する。
該発明の最大の特徴であるパルスプラズマ高周電磁波処理装置5は、原水の水分子と、原水に含まれる全ての分子を、パルスプラズマ電磁波により電離分解・超音波分解し、水分子の分解で生じた水酸化イオン(OH−)と水素イオン(H+)が作用して、水酸化イオン(OH−)は有機物等を酸化分解させて二酸化炭素(CO)と水(HO)に処理し、さらに水分子は水酸化イオン(OH−)と水素イオン(H+)に分離して処理力を増幅する。
水素イオン(H+)は難分解性の塩素イオン(CL−)分子が分離したものに結合して塩酸(HCL)を生成、または水素置換が作用する。
余剰となった水酸化イオン(OH−)は、酸素イオン(O−)・酸素(O)・水素(H)となる。
水素(H)は比重が軽いため短時間で大半が大気に放出され、酸素イオン(O−)と酸素(O)は超音波力によって水に含有される。
このナノレベルの酸素イオン(O−)と酸素(O)が高濃度に含有されたプラズマ処理水を、前記の第1高圧噴射装置2から原水に高圧噴射して原水の処理を行う。
【0025】
パルスプラズマ処理室51で使用する52から54までの管の材質は、SUS312L相当のNSSC270(オーステナイト系ステンレス)で耐孔食性・耐薬品性・耐海水性があり、図2のように、最内側にプラズマ負極52として内径φ25を配置、外部に向かって53の内径φ50、内径φ80、内径φ100を配置、最外部はプラズマ陽極54として内径φ125を配置する。
高さは、最内部52と53を200mmとし、最外部54は52の下面から50mm下へ長く、上面から50mm上へ長くし、全体で300mmの長さとする。
【0026】
各管の固定は、図2のように硬質ゴム(エボナイト)55で行い、場合により絶縁ボルトで固定する。
底部は、M12長さ10cmの全ネジボルトNSSC270(オーステナイト系ステンレス)のPVC止水材57を陰極底部に溶接固定し、内ネジM12の目ネジを切った内径φ50、長さ50mmの硬質ゴム56をねじ込み、最外部の陽極と間隔をとって短絡を防止する。
また底部は円弧状としているが、平状にPVC・耐熱PE材等の絶縁材で固定しても良い。
貫通部57はPVCの止水材とし、ワッシャ・ナットで固定し、基礎部の貫通部58も上下の基礎の間のゴムパッキン・保護管底部と基礎の内側の2箇所を、ゴムパッキン・ワッシャ・ナットで固定し、ナットとの間に陰極のリング端子60を配置固定する。
ワッシャ・ナットの材質は、SUS316Lとする。
【0027】
パルスプラズマ処理室の基礎・保護管・上部蓋59は、φ150のPVC・PE・フッ素樹脂・耐熱HIVP管とし、基礎・上部2箇所をステンレスバンドで固定する。
【0028】
パルスプラズマ処理室周りの配管は、PVCの絶縁材とし、流入管61は、最外面の陽極底部を中心から45°傾けて配管し、流入を回転させることで水流が均一に上昇するように配置、流量が調整できるように、外部にはステンレスボールバルブを1個配置し、他の配管材質は全てPVC・もしくはPE管とする。
流出管62は、管53の最上部を流出管の底部に配置して、プラズマ陽極54と保護管を貫通し、途中の第1高圧噴射装置2の吸水側に一部分岐させ、本管はそのまま分解沈殿槽6へ配管接続する。
保護管を出た位置、第1高圧噴射装置2の吸水側の一部分岐位置、分解沈殿槽6への配管分岐位置、分解沈殿槽6の流入手前の計4箇所にステンレス製ボールバルブをそれぞれ配置し、その他の配管材は絶縁のPVCもしくはPE管とする。
排水兼オーバーフロー管63は保護管最下部より取り出し、一部は分解沈殿槽6へ配管し、一部は排水溝へ排水できるように配管する。
保護管を出た位置、排水分岐位置、分解沈殿槽6の流入手前の計3箇所にステンレス製ボールバルブをそれぞれ配置し、その他の配管材は絶縁のPVCもしくはPE管で配管する。
内部最上部中央に図3の2流体ノズル64を配置し、片側は高圧ポンプ水からの配管65を接続し、片側は反対方向から外部空気を取り入れられる配管66を接続する。
配管の出た位置にそれぞれステンレス製ボールバルブを配置して、配管はそのボールバルブまでSUS316Lの材質とし、配管66は高圧ゴムホースにて絶縁配管をする。
このノズルは、パルスプラズマ処理で発生する余剰泡を消泡する目的で配置する。
保護管上部蓋から給水タンクに、排気孔として配管67を取り出し、発生する水素やガスを、消泡時の吸気力で外部空気と混合して排気する。
【0029】
プラズマ陽極管54の最上部に、SUS216Lのボルト・ナットで、同じくSUS216Lのリング陽極端子を接続し、パルスプラズマ発信機21と接続する外部接続端子50を1箇所配備する。外部接続端子は絶縁保護する。
【0030】
パルスプラズマ発信機とそれらの電気系統は、図4、図5に示す。
配電盤12の電源で200V−3心と100V−単相を引き込み、パルス本体の制御電源は100V−単相からコンセントより受電する。
パルスプラズマ発生電源は、配電盤12の200V−3心のブレーカーから配線2心でアイソレーショントランス10へ接続、絶縁防止後、可変トランス11へ2心で配線、交流から直流に変換するコンバーター20に2心で配線、出力電流に応じて可変パルスプラズマ発信機21へ2心で配線接続して、水質と導電率に適合するよう、0Vから260Vの電圧範囲で、且つ周波数を100KHz以上、2.5GHz以下で調整しながら、パルスプラズマ高周電磁波処理装置5の陽極と陰極に配線接続し、送電して処理に適合するよう設定する。
【0031】
第1高圧噴射装置2の詳細は図3に示すように、片側から高圧水流入管22を、反対側から流体吸い込み管23を配備し、高圧ノズル24から原水の上流に直角から3°すなわち93°で噴射させるように高圧噴射装置を装着する。
第1高圧噴射装置2の本体の構造は、高圧水ノズル24に、詰まり防止としてニードル26を配備することにより、オートシリンダー27内のバネを利用し水圧が高まった時点で高圧ノズルに入り込み、ゴミを自動的に押し出して詰まりを排除・防止する。
キャビテーションの発生効果は、オリフィス28と高圧水ノズル径の関係で発生の強弱が決まり、高圧水ノズル径より0.3から0.5mm大きくする。
これはプラズマ処理水や他の流体吸い込み導流室25の他の流体を多く自動的に吸い込む力を高める作用があるが、発生するキャビテーションにより、金属では破損が早くなるため、高強度でキャビテーションに耐える3mm厚の工業用ダイヤモンドを開孔加工してキャップ29にて固定する。
キャビテーションの発生効果は、さらにオリフィス28と高圧水噴射先端位置との間隔を1mmから2mmの間隔にするのが最適で、この間隔によって高圧水の10倍以上のプラズマ処理水や他の流体を自動的に吸い込む力を高めることが可能となる。
高圧水とプラズマ処理水や他の流体の流入管は、ニップル30で接続し、その後にボールバルブ31、ニップル30、高圧ホースジョイント(メネジ)一体高圧ホース32で接続配管する。
これらの配管は全てSUS304で10MPa耐圧とする。
【0032】
第2高圧水噴射装置3は、図6、図7に示すように高圧水をノズル孔33で4孔以上から噴射させ、キャビテーションにより微細分解・混合する目的で、1cm間隔に45°から90°螺旋状に配置させ、傾きは流れに対して上流に向かうように93°とする。
材質は第1高圧噴射のオリフィス28と同じく、工業用ダイヤモンドでφ3mmからφ5mmの円錐台形状φ0.5mm〜φ2mm(処理規模に応じて大きくするか、数を増やす)で開孔させ本管に削孔埋め込みする。
目詰まり防止対策として、膜34を0.1mm以下のメッシュで厚さ2mmを、その下(ノズル管の上部)にステンレスSUS316相当の1mm線1mmメッシュの網35を装備することにより、目詰まり防止と逆洗防止を兼ねて装備し、両端をステンレスバンド36で固定して、そこから高圧水が入らない構造とする。
第2高圧水噴射装置の構造は、高圧水充当管37の両端をブッシング40の内側にネジ込みで固定し、高圧水充当管37の両外側に、ブッシング40と高圧保護管38をユニオン39にて固定する。
流入する高圧水は、高圧保護管38の上側にニップル41を配置し、その上部にはボールバルブ42にニップル41を配置し、高圧ホースジョイント(メネジ)一体高圧ホース43で接続配管する。
逆洗用配管44は、ロングニップル45によって高圧保護管38、膜34、ステンレスSUS316相当の1mm線1mmメッシュの網35を貫通させ、その上部のボールバルブ42にニップル41を配置し、高圧ホースジョイント(メネジ)一体高圧ホース43で接続配管する。
排水管46として、高圧保護管38の下側にニップル41を配置し、その下部にはボールバルブ42にニップル41を配置し、高圧ホースジョイント(メネジ)一体高圧ホース43で接続配管する。
【0033】
送水ポンプ4を第2高圧噴射装置3の下流に配置し、両端をユニオン4aにて接続配管する。
【0034】
高圧ポンプ7は10メガパスカル・毎分10リットル・2.2KWのもので、吸い込み側にフィルター8を配置し、目詰まり防止を装備する。
使用する水は、給水タンク13からの清水もしくは、分解沈殿槽6からの処理水を使用する。
吐出側は、圧力計19と圧力・流量調整弁19aで調整し、高圧水分岐配管16へ配管接続する。
その吐出配管の空気排気と排水を排水管合流管18に接続配管する。
【0035】
給水タンク13は、使用できる場合は地下水・浄水・工業用水等を高圧ポンプ7用の水として使用するためのもので、材質はPVCA製で、内部にボールタップ13aを装備し、自動的に流入・停止する。
【0036】
送水ポンプ4の下流に原水分岐管15をユニオン4aにて配管接続し、その先のひとつはプラズマ高周電磁波処理装置5流入管へ、もうひとつは処理分解沈殿槽6へ配管接続し、ステンレス製ボールバルブをそれぞれ配置する。
配管材料は、分岐管までをSUS316Lとし、その他の配管材は絶縁のPVCもしくはPE管で配管する。
【0037】
高圧ポンプ7から接続配管した高圧水分岐配管16はそれぞれ、第1高圧噴射装置2、第2高圧噴射装置3、プラズマ高周電磁波処理装置5、2流体ノズル64に接続配管し、それぞれ分岐管68・継手69・ボールバルブ70を配置する。
【0038】
流出管62から分岐したパルスプラズマ処理水分岐管17は第1高圧噴射装置2の流体吸い込み管23の2箇所に接続配管し、それぞれ分岐管68・継手69・ボールバルブ70を配置する。
【0039】
排水管合流管18は、給水タンク13のオーバーフロー管及び排水管及び高圧ポンプ7の吐出側の排水管及び第2高圧噴射装置3の排水管とを合流させ、排水溝へ排水する。
【0040】
処理装置機械配管室14は、(0033)から(0040)までの装置を格納するもので、材質はステンレスアングルで補強した上、ステンレス板で形装する。
最下部に移動できるキャスターを4個装備する。
【0041】
電気計装室9は、図4の通り、アイソレーショントランス10、可変トランス11、配電盤12を装備し、100V用ファンを4箇所に、同排気口を4箇所に装備する。
材質はステンレスアングルで補強した上、ステンレス板で形装し、処理装置機械配管室14の上部に固定する。
【実施例】
【0042】
以下、処理されるべき原水の高濃度・難分解性排水処理が可能となれば、他のナノバブル・マイクロバブル処理、電気分解・プラズマ電気分解処理、オゾン・過酸化水素処理、微生物との併用処理、薬品沈殿処理、膜分離処理等との、処理効果とコストの比較が行える。
上記の処理で不可能であった小麦粉製品化工場の排水の処理を本装置で処理し、原水と処理後の水質分析を行った。
処理水は、薬品沈殿やろ過等の処理を一切行っていない。
【0043】
(実施条件)
送水ポンプ(吸い込み式循環用) 単相交流電源100V 80W/60Hz
吐出量 30L/min 揚程 6m
プラズマ高周電磁波処理装置 周波数5.1MHz 100ns
50V 5.8A
高圧ポンプ(高圧水用) 三相交流電源200V 2.2KW/60Hz
吐出量 6L/min
揚程 800m(8MPa:80気圧)
送水管 内径 φ20mm
第1高圧噴射装置 噴射ノズル1孔 0.5mm 噴射量1L/min
傾斜角度93°
吸引側 パルスプラズマ処理水6L+プラズマ室発生
ガス4L=10L/min
第2高圧噴射装置 噴射ノズル4孔 0.5mm 噴射量4L/min
傾斜角度93°
噴射ノズル位置1cm間隔 90°回転位置
高圧噴射水の原水流入量
合計 1+6+4=11L/ min
送水量バルブ絞りで原水15L/min 高圧水11L/min=26L/min
BODを放流基準の120mg/L以下との条件指示。
パルスプラズマ処理水送水量6L/minとし、原水量15L/minから5分間の処理とする。
【0044】
(原水と処理水の水質分析結果)
分析名称 原 水 処理水
化学的酸素要求量 (mg/L) 130 20
生物化学的酸素要求量(mg/L) 3400 99
浮遊物質量 (mg/L) 140 11
溶存酸素量 (mg/L) 0.5 4.2
全窒素 (mg/L) 56 2.0
電気伝導率 (μS/cm) 3600 410
pH (22.3℃) 5.0 7.2
大腸菌群数 (個/cm) 30以下 30以下
一般細菌 (CFU/mL) 7300000 1400000
全リン (mg/L) 8.1 0.18
色度 (度) 12 1.2
【0045】
(評価)
1,pH(水素イオン濃度)が2.2上がっていることはパルスプラズマ処理効果が高いと判断出来る。
2,溶存酸素濃度が3.7 mg/L増えていることもパルスプラズマ処理効果が高いと判断出来る。
3,化学的酸素消費量が20mg/Lとなり85%の除去率とパルスプラズマ処理効果が高いと判断出来る。
4,生物化学的酸素消費量が99mg/Lとなり97%の除去率とパルスプラズマ処理効果高いと判断出来る。
5,浮遊物質量が11mg/Lとなり92%の除去率とパルスプラズマ処理効果が高いと判断出来る。
6,大腸菌郡数は原水も処理水も30個/cm以下と増加も減少もない。
7,全窒素が2.0mg/Lとなり96%の除去率とパルスプラズマ処理効果が高いと判断出来る。
8,全リンが0.18mg/Lとなり98%の除去率とパルスプラズマ処理効果が高いと判断出来る。
9,一般細菌は81%の滅菌効果があった。
10,色度は1.2度と99%の除去率とパルスプラズマ処理が効果高いと判断出来る。
11,伝導率も410μS/cmと89%の低下でパルスプラズマ処理が効果高いと判断出来る。
今回の処理では30%のみパルスプラズマ処理を行っただけで97%の分解効果があり、沈殿・ろ過でさらに効果を高められる。
対象が小麦粉の排水の場合は、グルテンで加水分解されると澱粉の主体であるグルタミン酸(C5H9NO4)の高分子となり、難分解性でさらに高濃度であるため、処理後の放流水の返送再利用により、電圧を高めて再処理を行うことで、99.5%以上の分解が可能となる。
パルスプラズマ装置の高さを現在の20cmから60cmにすることで、100%パルスプラズマ処理をおこなえば僅か5秒の処理で分解できることが判明した。
パルスプラズマ処理は、他の処理で不可能であった処理分解の効果が高く、薬剤を使用しない酸化凝集沈殿の効果も高く、十分な処理が可能と判断される。
現在、窒素・リンの除去に対しても、他の処理とは比較できない程処理の効果が高い。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る装置の全体斜視図を示す。
【図2】パルスプラズマ高周電磁波処理装置を示す。
【図3】第1高圧噴射装置を示す。
【図4】パルスプラズマ発信機を示す。
【図5】発信機を示す。
【図6】第2高圧噴射装置を示す。
【図7】A−A線断面図を示す。
【図8】フロー図を示す。
【図9】配管部分詳細図を示す。
【符号の説明】
【0047】
1 原水槽
2 第1高圧噴射装置
3 第2高圧噴射装置
4 送水ポンプ
4a ユニオン
5 プラズマ高周電磁波処理装置
6 分解沈殿槽
7 高圧ポンプ
8 フィルター
9 電気計装室
10 アイソレーショントランス
11 可変トランス
12 配電盤
13 給水タンク
13a ボールタップ
14 処理装置機械配管室
15 原水分岐管・弁
16 高圧水分岐配管
17 パルスプラズマ処理水分岐管
18 排水管合流管
19 圧力計
19a 圧力・流量調整弁
20 コンバーター
21 パルスプラズマ発信機
22 高圧水流入管
23 流体吸い込み管
24 高圧ノズル
25 流体吸い込み導流室
26 ニードル
27 オートシリンダー
28 オリフィス
29 キャップ
30 ニップル
31 ボールバルブ
32 高圧ホースジョイント(両端メネジSUS316L)一体高圧ホース
33 ノズル孔
34 膜
35 ステンレスSUS316相当の1mm線1mmメッシュの網
36 ステンレスバンド
37 高圧水充当管
38 高圧保護管
39 ユニオン
40 ブッシング
41 ニップル
42 ボールバルブ
43 高圧ホースジョイント(メネジ)一体高圧ホース
44 逆洗用配管
45 ロングニップル
46 排水管
49 圧力計
50 外部接続端子
51 パルスプラズマ処理室
52 プラズマ負極
53 内径φ50、内径φ80、内径φ100の管
54 プラズマ陽極
55 硬質ゴム
56 硬質ゴム
57 貫通部
58 基礎部の貫通部
59 パルスプラズマ処理室の基礎・保護管・上部蓋
60 陰極のリング端子
61 流入管
62 流出管
63 排水兼オーバーフロー管
64 2流体ノズル
65 高圧ポンプ水からの配管
66 外部空気を取り入れられる配管
67 排気孔としての配管
68 分岐管
69 継手
70 ボールバルブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体及び流体中に含有する有機物及び無機物を、微細化及び分解するパルスプラズマ高周電磁波処理装置と、
当該パルスプラズマ高周電磁波処理装置で処理したパルスプラズマ処理水を吸引しながら高圧噴射する2流体混合ノズルを有する第1高圧噴射装置とを備えたことを特徴とする流体処理装置。
【請求項2】
第1高圧噴射装置で得られた処理水を、さらに微細に混合及び分解する高圧ノズルインジェクターを有した第2高圧噴射装置を備えたことを特徴とする請求項1記載の流体処理装置。
【請求項3】
パルスプラズマ電極内をパルスプラズマ処理室として、当該パルスプラズマ処理室の下部から旋回流を生じさせつつ流入し、上部から流出させるパルスプラズマ処理室を有していることを特徴とする請求項1又は2記載の流体処理装置。
【請求項4】
第2高圧噴射装置は、流体本管に、複数の高圧ノズルインジェクターを螺旋状に配設してあることを特徴とする請求項2記載の流体処理装置。
【請求項5】
流体をパルスプラズマ高周電磁波処理することで、流体中に含有する有機物及び無機物を超微細化及びイオン化又はラジカルを発生させ、このパルスプラズマ処理水を2流体混合ノズルを用いた吸引高圧噴射するキャビテーションにより分解処理することを特徴とする流体の処理方法。
【請求項6】
2流体混合ノズルを用いて処理された流体に、高圧ノズルインジェクターで高圧水を噴射し、キャビテーションと水撃にてさらに微細化及び分解することを特徴とする請求項5記載の流体処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−34583(P2009−34583A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−199507(P2007−199507)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(503204990)株式会社テドリ (2)
【出願人】(300082140)エコ ジャパン株式会社 (19)
【出願人】(000140661)株式会社加賀田組 (1)
【Fターム(参考)】