説明

流体圧シリンダ

【課題】クッションシールを用いることなく所定のクッション圧力が得られる流体圧シリンダを提供すること。
【解決手段】クッション円筒面24とクッションベアリング60との間に画成されて作動流体の流れを絞るクッション間隙と、このクッション間隙を迂回する作動流体を導くバイパス通路50と、このバイパス通路50に介装される抵抗器63とを備え、この抵抗器63にバイパス通路50を通過する作動流体の流れを絞るオリフィス64が形成される構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリンダチューブにおけるピストンロッドのストローク端付近でピストンロッドを減速させる流体圧シリンダに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば油圧ショベル等に用いられる流体圧シリンダ(油圧シリンダ)にあっては、ピストンロッドのストローク端付近でクッション圧力を発生させてピストンロッドを減速させるクッション機構を備えている。
【0003】
従来、この種のクッション機構として、ピストンロッドがストローク端付近に来たときに、作動流体を通過させるクッション間隙を画成するクッションベアリングを備え、フローティング支持されたクッションベアリングの内側にチェック弁の機能を持つクッションシール(シール)が介装されるものがある(特許文献1、2参照)。
【0004】
このクッション機構は、ピストンロッドがストローク端付近に来たときに、クッションベアリングがシリンダヘッドの内側に進入してクッション間隙が画成されると、作動流体がこのクッション間隙とクッションシールの間隙(オリフィス溝)をそれぞれ通って流出し、これらが作動流体の流れに付与する抵抗によってクッション圧力が発生し、ピストンロッドを減速する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−61311号公報
【特許文献2】特開平11−230117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような従来のクッション機構にあっては、クッションベアリングの内側に仕様に応じた専用のクッションシールが介装される構造のため、製品のコストアップを招くとともに、クッションシールの間隙(オリフィス溝)等の寸法バラツキによってクッション性能にバラツキが生じる可能性がある。
【0007】
また、ピストンロッドの外周にクッションシールを収容するクッションシール溝が形成されるため、ピストンロッドに溝加工が必要になるという問題点があった。
【0008】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、クッションシールを用いることなく所定のクッション圧力が得られる流体圧シリンダを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、シリンダチューブに対するピストンロッドのストローク端付近でピストンロッドを減速させる流体圧シリンダであって、ピストンロッドに設けられるクッションベアリングと、ストローク端付近でクッションベアリングが進入するクッション円筒面と、このクッション円筒面とクッションベアリングとの間に画成されて作動流体の流れを絞るクッション間隙と、このクッション間隙を迂回する作動流体を導くバイパス通路と、このバイパス通路に介装される抵抗器とを備え、この抵抗器にバイパス通路を通過する作動流体の流れを絞るオリフィスが形成される構成とした。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、抵抗器に形成されるオリフィスの形状、大きさを変えることにより、バイパス通路を通過する作動流体の流れに付与される抵抗が変えられ、所定のクッション圧力が得られる。
【0011】
従来装置のようにクッションベアリングの内側にクッションシールを介装する必要がなくなるため、製品のコストダウンがはかれるとともに、クッションシールに関係するクッション性能のバラツキが解消される。
【0012】
従来装置のようにピストンロッドの外周にクッションシールが介装されるクッションシール溝を形成する必要がなくなるため、ピストンロッドの強度を高められる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態を示す油圧シリンダの断面図である。
【図2】同じく(a)は図1の一部を拡大した油圧シリンダの断面図であり、(b)は(a)のA−A線に沿う断面図である。
【図3】同じく伸長作動時の状態を示す油圧シリンダの断面図である。
【図4】同じく収縮作動時の状態を示す油圧シリンダの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0015】
図1に示す油圧シリンダ1は、例えば油圧ショベルのアームシリンダとして用いられる。油圧シリンダ1が伸縮作動することにより、油圧ショベルのアームが回動する。
【0016】
油圧シリンダ(流体圧シリンダ)1は、筒状をしたシリンダチューブ10と、このシリンダチューブ10内にロッド室2とエンド室3を仕切るピストン20と、このピストン20に連結されるピストンロッド30とを備える。
【0017】
ロッド室2とエンド室3は、それぞれ図示しない油圧源(作動流体圧源)に連通し、この油圧源から導かれる作動油圧(作動流体圧)によってピストンロッド30が中心軸O方向に移動して伸縮作動する。
【0018】
なお、作動油としてオイルの代わりに例えば水溶性代替液等の作動流体を用いても良い。
【0019】
シリンダチューブ10の開口端には、ピストンロッド30を摺動可能に挿通させるシリンダヘッド40が設けられる。円筒状のシリンダヘッド40は、その外周ネジ部(雄ネジ)41がシリンダチューブ10の内周ネジ部(雌ネジ)12に螺合して締結される。
【0020】
シリンダヘッド40は、シリンダ内周面11に嵌合される円筒状のヘッド嵌合部42を有する。ヘッド嵌合部42の外周部にはOリング9とバックアップリング19が介装される。
【0021】
シリンダヘッド40の内周部には、軸受55、サブシール56、メインシール57、ダストシール58がそれぞれ介装され、これらがピストンロッド30のロッド外周面31に摺接する。軸受55がロッド外周面31に摺接することにより、ピストンロッド30がシリンダチューブ10の中心軸O方向に平行移動するように支持される。
【0022】
シリンダヘッド40には、給排口43が形成され、この給排口43によって給排通路5が画成される。この給排通路5は、シリンダチューブ10の配管口17に接続される図示しない油圧配管を介して油圧源に連通する。
【0023】
シリンダヘッド40の内周には、円筒面状のヘッド内周面44が形成される。このヘッド内周面44に給排口43の一端が開口され、ヘッド内周面44とロッド外周面31の間に給排通路5が画成される。
【0024】
シリンダチューブ10の内側には、ホルダ23が介装される。ホルダ23は、中心軸Oを中心とする円環状に形成される。ホルダ23は、シリンダ内周面11に、シリンダヘッド40のヘッド嵌合部42と並んで嵌合される。ホルダ23の外周部にはOリング28とバックアップリング18が介装される。
【0025】
ホルダ23は、その内周面としてクッション円筒面24を有する。クッション円筒面24は、中心軸Oを中心とする円筒面状に形成される。
【0026】
ホルダ23は、その外周テーパ部がシリンダ内周面11のテーパ面13に嵌合し、その上端面がシリンダヘッド40の下端に形成されるヘッド端面45に当接して固定される。
【0027】
なお、ホルダ23の固定方法については、これに限らず、他に例えば、シリンダヘッド40に図示しないボルトを介して固定してもよい。この場合に、シリンダチューブ10の内面にテーパ面13を形成する必要がなくなる。また、シリンダヘッド40にホルダ23を一体形成してもよい。
【0028】
図1にてピストンロッド30が下方に移動する油圧シリンダ1の収縮作動時、油圧源から油圧配管を通って供給される加圧作動油が、給排通路5を通ってロッド室2に流入する。
【0029】
一方、図1にてピストンロッド30が上方に移動する油圧シリンダ1の伸張作動時、そのストローク中程では、ロッド室2の作動油が、給排通路5、給排口43、油圧配管を通って油圧源へと流出する。
【0030】
油圧シリンダ1にはピストンロッド30がストローク端付近に来たときにピストンロッド30を減速させるクッション機構6が設けられる。図1はピストンロッド30がストローク端付近の手前にある状態を示している。
【0031】
このクッション機構6は、ピストンロッド30に取り付けられる円筒状のクッションベアリング60を備える。ピストンロッド30がストローク端付近に来たときに、クッションベアリング60がホルダ23の内側に進入して、両者の間にクッション間隙4(図3参照)が画成される。このクッション間隙4がロッド室2から給排通路5を通って流出する作動油の流れに抵抗を付与し、ロッド室2の圧力(以下、クッション圧力という)が上昇することにより、ピストンロッド30を減速する。
【0032】
クッションベアリング60は、その外周面としてベアリング外周面61を有する。このベアリング外周面61は、中心軸Oを中心とする円筒面状に形成される。ベアリング外周面61の外径は、ロッド外周面31の外径より大きく、かつクッション円筒面24の内径より小さく形成される。クッション間隙4は、ベアリング外周面61とクッション円筒面24の間に画成される。
【0033】
クッションベアリング60には、ベアリング外周面61を部分的に削除した割円部(切り欠き)62が形成される。ピストンロッド30がストローク端に近づくのにしたがって、割円部62によって画成されるクッション間隙4の流路断面積が漸次減少するようになっている。クッション機構6に要求される減速特性に応じて、クッション間隙4のクリアランス(間隙幅)、割円部62の形状が設定される。
【0034】
クッション機構6は、クッション間隙4を迂回する作動油を導くバイパス通路50と、このバイパス通路50に介装される抵抗器(セットスクリュ)63とを備え、この抵抗器63にバイパス通路50を通過する作動油の流れを絞るオリフィス64が形成される。
【0035】
バイパス通路50は、ホルダ23を貫通するバイパス通孔25によって画成される。このバイパス通孔25は、中心軸Oと略平行に延び、ホルダ23の上下端面にそれぞれ開口される。
【0036】
図2の(a)は、図1の一部を拡大した断面図であり、(b)は、A−A線に沿う断面図である。
【0037】
ホルダ23の上端面に対して窪むホルダ凹部26が形成され、このホルダ凹部26にバイパス通孔25の上端が開口される。
【0038】
なお、これに限らず、ホルダ凹部26を廃止し、ホルダ23の上端面にバイパス通孔25の上端が開口される構成としてもよい。
【0039】
シリンダヘッド40の下端には、中心軸Oと直交するヘッド端面45が形成され、このヘッド端面45にホルダ23の上端面が当接する。
【0040】
ヘッド端面45には、中心軸Oを中心とする円盤状に窪むバイパス凹部46が形成される。このバイパス凹部46は、ホルダ23のホルダ凹部26及びバイパス通孔25の開口端に対峙して形成され、これらの間にバイパス通路50が画成される。
【0041】
油圧シリンダ1の伸張作動時に、ピストンロッド30がストローク端付近に来たときに、ロッド室2の作動油が、図2の(a)に矢印で示すように、バイパス通路50、給排通路5を通って油圧源へと流出する。
【0042】
ホルダ23の下端面には、切り欠き部29が形成される。油圧シリンダ1が最も伸長した状態では、ピストン20の上端面22がホルダ23の下端面に当接するが、切り欠き部29によってクッション間隙4及びバイパス通路50がロッド室2と連通する。
【0043】
オリフィス64は、バイパス通路50を流れる作動油に抵抗を付与する。これに伴って、ロッド室2のクッション圧力が上昇することにより、ピストンロッド30を減速する。オリフィス64の開口径、通路長は、クッション機構6に要求される減速特性に応じて設定される。
【0044】
バイパス通路50において、オリフィス64を通過した作動油は、ホルダ23のホルダ凹部26とシリンダヘッド40のバイパス凹部46との間隙に流出し、バイパス凹部46の内壁面に当たって中心軸Oに向かう方向に曲げられる。これにより、オリフィス64を通過した作動油の噴流によって騒音が生じることが防止される。
【0045】
円筒状の抵抗器63の外周には、外周ネジ部(雄ネジ)66が形成される。一方、ホルダ23のバイパス通孔25には、内周ネジ部27が形成される。抵抗器63はその外周ネジ部66がホルダ23の内周ネジ部27に螺合して取り付けられる。ホルダ23は、シリンダヘッド40と別体で設けられることにより、バイパス通孔25の機械加工が容易に行えるため、製品のコストダウンがはかれる。
【0046】
抵抗器63の内周には、オリフィス64と六角穴65とが並んで形成される。抵抗器63は、六角穴65に係合される工具(図示せず)を介して内周ネジ部27に締め付け固定される。
【0047】
なお、これに限らず、抵抗器63は、ホルダ23のバイパス通孔25に圧入して取り付けられる構成としてもよい。
【0048】
また、抵抗器63は、ホルダ23のバイパス通孔25の上端部に介装される構成としたが、これに限らず、バイパス通孔25の下端部に介装される構成としてもよい。
【0049】
また、ホルダ23にバイパス通路50を画成する通孔が中心軸Oに対して略直交する方向に延びるように形成され、抵抗器63がこの通孔に介装される構成としてもよい。この場合、通孔の開口端がシリンダ内周面11に対峙し、シリンダ内周面11によって抵抗器63が脱落することが係止される。
【0050】
中心軸Oからシリンダヘッド40のバイパス凹部46を画成する外周壁部までの長さ(曲率半径)R1は、中心軸Oから抵抗器63の外周端部までの長さR2より小さく形成される。図2の(b)において、シリンダヘッド40のヘッド端面45の一部が抵抗器63の一部に対峙する。
【0051】
これにより、仮にホルダ23の内周ネジ部27に螺合する抵抗器63が緩んでバイパス通孔25から上方に突出しても、抵抗器63の一部がシリンダヘッド40のヘッド端面45に当接し、抵抗器63がそれ以上に上方に突出することが止められるとともに、バイパス通孔25がバイパス凹部46と連通している。これにより、抵抗器63がホルダ23のバイパス通孔25から抜け落ちることが防止されるとともに、バイパス通路50が閉塞されないため、クッション機構6の作動が維持される。
【0052】
クッションベアリング60は、ピストンロッド30に対してその半径方向についてベアリング内周間隙7を持って嵌合され、ピストンロッド30に移動可能にフローティング支持される。ベアリング内周間隙7は、クッションベアリング60の内周面67とピストンロッド30の端部外周面33との間に画成される。
【0053】
クッションベアリング60は、ピストンロッド30に対して中心軸O方向について間隙8を持って介装される。クッションベアリング60の下端面がピストン20の上端面22に当接した状態にて、間隙8は、クッションベアリング60の上端面68とピストンロッド30の環状段部32との間に画成される。
【0054】
クッションベアリング60の下端面には、切り欠き部69が形成される。クッションベアリング60の下端面がピストン20の上端面22に当接した状態にて、切り欠き部69がベアリング内周間隙7とロッド室2を連通する。
【0055】
図3は、ピストンロッド30が白抜き矢印で示すように上方へと移動する油圧シリンダ1の伸張作動時に、ピストンロッド30がストローク端付近に来たときの状態を示す断面図である。
【0056】
ピストンロッド30がストローク端付近に来ると、クッションベアリング60がホルダ23の内側に進入することによって、両者の間にクッション間隙4が画成される。
【0057】
クッション間隙4がロッド室2から給排通路5へと流出する作動油の流れに抵抗を付与し、ロッド室2のクッション圧力が上昇する。これに伴って、クッションベアリング60が上方に押され、クッションベアリング60の上端面がピストンロッド30の環状段部32に当接し、間隙8が閉塞されてベアリング内周間隙7と給排通路5の間が閉じられる。
【0058】
これにより、ロッド室2の作動油が、図3に矢印で示すように、クッション間隙4とバイパス通路50をそれぞれ通って給排通路5から流出する。このクッション間隙4とバイパス通路50のオリフィス64がロッド室2から流出する作動油の流れに抵抗を付与し、ロッド室2のクッション圧力が上昇することにより、ピストンロッド30が減速される。
【0059】
図4は、ストローク端付近にあるピストンロッド30が白抜き矢印で示すように下方へと移動する油圧シリンダ1の収縮作動時の状態を示す断面図である。
【0060】
油圧源から加圧作動油が給排通路5に供給されると、クッションベアリング60が下方に押され、クッションベアリング60の上端面がピストンロッド30の環状段部32から離れ、両者の間に間隙8が画成されてベアリング内周間隙7と給排通路5の間が開かれる。
【0061】
これにより、給排通路5に供給される加圧作動油が、図4に矢印で示すように、
間隙8、ベアリング内周間隙7、切り欠き部69を通ってロッド室2に流入するとともに、クッション間隙4とバイパス通路50をそれぞれ通って流入する。このように作動油が、3系統からロッド室2に流入し、ピストンロッド30が速やかに収縮方向に移動する。
【0062】
こうして、クッションベアリング60は、ストローク端付近において、伸長作動時にベアリング内周間隙7を閉じる一方、収縮作動時にベアリング内周間隙7を開くチェック弁の機能を果たす。
【0063】
以下、本実施形態の要旨と作用、効果を説明する。
【0064】
本実施形態では、シリンダチューブ10に対するピストンロッド30のストローク端付近でピストンロッド30を減速させるクッション機構6を備える流体圧シリンダ(油圧シリンダ1)であって、クッション機構6は、ピストンロッド30に設けられるクッションベアリング60と、ストローク端付近でクッションベアリング60が進入するクッション円筒面24と、このクッション円筒面24とクッションベアリング60との間に画成されて作動流体の流れを絞るクッション間隙4と、このクッション間隙4を迂回する作動流体を導くバイパス通路50と、このバイパス通路50に介装される抵抗器63とを備え、この抵抗器63にバイパス通路50を通過する作動流体の流れを絞るオリフィス64が形成される構成とする。
【0065】
上記構成に基づき、抵抗器63に形成されるオリフィス64の形状、大きさを変えることにより、バイパス通路50を通過する作動流体の流れに付与される抵抗が変えられ、所定のクッション圧力が得られる。
【0066】
バイパス通路50に介装される抵抗器63にオリフィス64が形成される構造のため、バイパス通路50を画成する部材(ホルダ23)を異なる仕様の製品の間で共通化でき、部材(ホルダ23)の品番を増やさないで済む。また、バイパス通路50を画成する部材(ホルダ23)にオリフィスを形成する構造に比べて、オリフィス64の加工精度を高められ、クッション性能のバラツキを抑えられる。
【0067】
従来装置のようにクッションベアリング60の内側にクッションシールを介装する必要がなくなるため、製品のコストダウンがはかれるとともに、クッションシールに関係するクッション性能のバラツキが解消される。
【0068】
従来装置のようにピストンロッド30の外周にクッションシールが介装されるクッションシール溝を形成する必要がなくなるため、ピストンロッド30の強度を高められる。
【0069】
本実施形態では、クッション機構6は、ピストンロッド30を摺動可能に支持するシリンダヘッド40と、シリンダチューブ10の内側にシリンダヘッド40と並んで介装される環状のホルダ23とを備え、このホルダ23は、クッション円筒面24と、バイパス通路50の一部を画成して抵抗器63が介装されバイパス通路50の一部を画成するバイパス通孔25と、を有し、シリンダヘッド40は、バイパス通孔25の開口端に対峙するヘッド端面45と、このヘッド端面45に形成(凹設)されバイパス通路50の一部を画成するバイパス凹部46とを有し、中心軸Oからバイパス凹部46を画成する外周壁部までの長さR1は、ピストンロッド30の中心軸Oから抵抗器63の外周端部までの長さR2より小さく形成され、抵抗器63がバイパス通孔25から抜けることが係止される構成とする。
【0070】
上記構成に基づき、抵抗器63がホルダ23のバイパス通孔25から抜け落ちることが防止されるとともに、バイパス通路50が閉塞されないため、クッション機構6の作動が維持される。
【0071】
また、抵抗器63が介装されるホルダ23がシリンダヘッド40と別体で形成されるため、要求される減速特性に応じたホルダ23及び抵抗器63を交換することにより、クッション性能のコントロールが容易に行われる。
【0072】
本実施形態では、クッション機構6は、シリンダヘッド40にバイパス通孔25に対峙するヘッド端面45が形成される構成とした。
【0073】
上記構成に基づき、クッション機構6は、ホルダ23を追加することにより、シリンダヘッド40の基本形状を変更することなく設けられ、製品のコストアップを抑えられる。
【0074】
本実施形態では、クッション機構6は、ピストンロッド30を摺動可能に支持するシリンダヘッド40と、ピストンロッド30とシリンダヘッド40の間に画成され作動流体を給排するに給排通路5と、を備え、クッションベアリング60は、ピストンロッド30にベアリング内周間隙7を持ってフローティング支持され、クッションベアリング60がクッション円筒面24に進入していく作動時にベアリング内周間隙7と給排通路5の間が閉じられる一方、クッションベアリング60がクッション円筒面24から出ていく作動時にベアリング内周間隙7と給排通路5の間が開かれる構成とした。
【0075】
上記構成に基づき、クッションベアリング60がベアリング内周間隙7と給排通路5の間を開閉するチェック弁の機能を果たし、流体圧シリンダ1の駆動時にピストンロッド30を速やかに移動させることができる。
【0076】
また、ベアリング内周間隙7を画成するクッションベアリング60の内周面67、ピストンロッド30の端部外周面33に複数の環状溝(ラビリンス溝)を形成し、ベアリング内周間隙7を流れる作動流体に抵抗を付与し、クッションベアリング60をピストンロッド30に対して同軸上に保つ構成としてもよい。
【0077】
なお、本発明は、流体圧シリンダ(油圧シリンダ1)の収縮作動時におけるピストンロッドのストローク端付近でピストンロッドを減速させるクッション機構(図示せず)に適用することもできる。
【0078】
本発明は上記の実施形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【符号の説明】
【0079】
1 油圧シリンダ(流体圧シリンダ)
4 クッション間隙
5 給排通路
6 クッション機構
7 ベアリング内周間隙
8 クッション間隙
10 シリンダチューブ
20 ピストン
23 ホルダ
24 クッション円筒面
25 バイパス通孔
30 ピストンロッド
40 シリンダヘッド
45 ヘッド端面
46 バイパス凹部
50 バイパス通路
60 クッションベアリング
61 ベアリング外周面
63 抵抗器
64 オリフィス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダチューブに対するピストンロッドのストローク端付近でピストンロッドを減速させるクッション機構を備える流体圧シリンダであって、
前記クッション機構は、
前記ピストンロッドに設けられるクッションベアリングと、
ストローク端付近で前記クッションベアリングが進入するクッション円筒面と、
前記クッション円筒面と前記クッションベアリングとの間に画成されて作動流体の流れを絞るクッション間隙と、
前記クッション間隙を迂回する作動流体を導くバイパス通路と、
前記バイパス通路に介装される抵抗器とを備え、
前記抵抗器に前記バイパス通路を通過する作動流体の流れを絞るオリフィスが形成されることを特徴とする流体圧シリンダ。
【請求項2】
前記クッション機構は、
前記ピストンロッドを摺動可能に支持するシリンダヘッドと、
前記シリンダチューブの内側に前記シリンダヘッドと並んで介装される環状のホルダとを備え、
前記ホルダは、
前記クッション円筒面と、
前記抵抗器が介装され前記バイパス通路の一部を画成するバイパス通孔と、を有し、
前記シリンダヘッドは、
前記バイパス通孔の開口端に対峙するヘッド端面と、
前記ヘッド端面に形成され前記バイパス通路の一部を画成するバイパス凹部と、を有し、
前記ピストンロッドの中心軸から前記バイパス凹部を画成する外周壁部までの長さは、前記ピストンロッドの中心軸から前記抵抗器の外周端部までの長さより小さく形成されることを特徴とする請求項1に記載の流体圧シリンダ。
【請求項3】
前記クッション機構は、
前記ピストンロッドを摺動可能に支持するシリンダヘッドと、
前記ピストンロッドと前記シリンダヘッドの間に画成され作動流体を給排するに給排通路と、を備え、
前記クッションベアリングは、
前記ピストンロッドにベアリング内周間隙を持ってフローティング支持され、
前記クッションベアリングが前記クッション円筒面に進入していく作動時に前記ベアリング内周間隙と前記給排通路の間が閉じられる一方、
前記クッションベアリングが前記クッション円筒面から出ていく作動時に前記ベアリング内周間隙と前記給排通路の間が開かれる構成としたことを特徴とする請求項1または2に記載の流体圧シリンダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−53718(P2013−53718A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193792(P2011−193792)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)
【Fターム(参考)】