流体移動加圧装置のための作動機構
【課題】バルーンカテーテル等のための流体加圧装置であって、特に、スクリュープランジャを作動させて、結果として生じる流体加圧を監視するための改良された装置を提供する。
【解決手段】バルーンカテーテル等を加圧するために使用する流体移動装置200。装置200は、ハウジング208を通じて移動できるプランジャと、プランジャと係合する作動機構とを含む。作動機構は、プランジャのネジ部と係合する状態へと付勢されるナット部材を含む。装置は、復元バネ力に打ち勝つように制御面を押し下げるだけでプランジャを瞬時に解放できる押圧・解放機能を有する。その後、プランジャを大きな移動により(すなわち、プランジャを押し引きすることにより)並進させることができる。
【解決手段】バルーンカテーテル等を加圧するために使用する流体移動装置200。装置200は、ハウジング208を通じて移動できるプランジャと、プランジャと係合する作動機構とを含む。作動機構は、プランジャのネジ部と係合する状態へと付勢されるナット部材を含む。装置は、復元バネ力に打ち勝つように制御面を押し下げるだけでプランジャを瞬時に解放できる押圧・解放機能を有する。その後、プランジャを大きな移動により(すなわち、プランジャを押し引きすることにより)並進させることができる。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
関連出願(優先権主張)
この出願は、2008年11月13日に出願された米国仮出願第61/114,192号の利益を主張する2008年12月22日に出願された米国特許出願第12/341,678号の一部継続出願である。前述した出願は、参照によりその全体が本願に組み入れられる。
【技術分野】
【0002】
この発明は、バルーンカテーテル等のための流体加圧装置に関し、特に、スクリュープランジャを作動させて、結果として生じる流体加圧を監視するための改良された装置に関する。
【背景技術】
【0003】
測定された圧力を流体の密閉体積に対して選択的に印加して解放するようになっている流体加圧装置は、血管内での血管形成バルーン処置または他のタイプのバルーンカテーテル処置で使用されるバルーンカテーテルの膨張および収縮で用いるべく開発されてきた。例えば、米国特許第4,838,864号は、カテーテル付きバルーンを膨縮させるシリンジ装置を開示する。該装置は、手動操作されるスクリュープランジャを使用して特定のバルーン圧力を達成し或いは維持し、また、圧力は関連する圧力計を使用して監視される。また、改良された注入・加圧制御が、米国特許第5,168,757号、第5,713,242号、第6,796,959号にも記載され、これらの3つの特許の全ては、本発明の譲受人により所有されており、参照することによりそれらの全体が本願に組み入れられる。これらの特許は、プランジャの急速な前進を可能にし或いはバルーンカテーテルの最終的な加圧中に正確な制御を達成するためにスクリュープランジャとの螺合を許容する急速解放機構を開示する。
【0004】
米国特許第5,796,959号に開示される装置の断面図が本願の図1に概略的に示されている(この図1は‘959特許の図4に対応する)。図示のように、装置40は、円筒状のシリンジ体またはハウジング42内に設けられる流体移動チャンバ44内でピストン48がプランジャ68と係合されるようにする。圧力計アセンブリ58がハウジング42と螺合され、また、ハウジング42の端部64は、バルーンカテーテル構造に接続されるホースなどのホース54と係合するように構成される。ピストン48上には、ハウジング42の内壁72と共にシールするシール部材50がある。プランジャ68は、流体をホース54を通じて装置40内へ引き込むために収縮させることができ、また、流体を装置40からホース54へと押し出すために伸長させる(或いは、押し込む)ことができる。
【0005】
プランジャ68は、押し引きを防止する(すなわち、プランジャ68の大きな移動を防止する)ために所定位置でロックさせることができる。具体的には、装置40は、プランジャ68のネジ部86と係合する状態へおよびネジ部86から離脱する状態へと移動され得るナット部材80を含む。図2に示されるようにナット部材80がプランジャ68のネジ部86と係合されないときには、プランジャ68を大きな移動により伸長させ或いは収縮させる(すなわち、押す或いは引く)ことができる。一方、図3に示されるようにナット部材80がプランジャ68のネジ部86と係合されるときには、プランジャ68は、大きく移動できないように所定位置でロックされ、微小な移動を用いることにより(すなわち、プランジャ68のノブ74を回転させることにより)並進させることしかできない。
【0006】
ナット部材80の動きを容易にするため、2つのリンク部材102、104がナット部材80と係合されて枢支ピン106により装置40に保持される。リンク部材102、104は、タンデム式に動作するように位置決めされて構成される。図2および図3に示されるように、ナット部材80は、ナット部材80をシフトさせてナット部材80をプランジャ68のネジ部86と係合する状態へおよびネジ部86から離脱する状態へ移動させるために操作され得るレバーまたは把持部96も含む。ナット部材80をプランジャ68のネジ部86と係合する状態へ或いはネジ部86から離脱する状態へ移動させるため、リンク部材102、104は、ハウジング42から延びるフランジ83(図1参照)に設けられるリブ120(図2および図3参照)を越えて通過しなければならない。リンク部材102、104をリブ120を越えて移動させるために必要とされる力の大きさは複数の部品寸法および公差に依存するため、1つのユニットと次のユニットとの間および製造ライン間で均一な戻り止め力を維持することが困難であることが分かった。
【0007】
時として生じ得る他の困難は、ユーザ利便性に関連する。一部のユーザは、作用を及ぼすために必要とされる操作と、装置40を用いた特定の処置中、例えばプランジャ68が真空のために十分に伸長されて所定位置にロックされなければならないときの操作者の手の位置との組み合わせに起因して、ナット部材80のレバー96に手を伸ばして係わることが困難であると感じてきた。そのような場合には、操作者の手がレバー96から遠くに行きすぎてしまって、握り替えなければレバーを操作することができない可能性がある。プランジャに対する離脱・再係合の一連の操作中(加圧動作後に介入バルーンを畳むべく真空引きする間に行われる)、ユーザは、ネジ付きプランジャと再係合してそれを引き出し位置に保持するために一方向に進んだ後に他方向に再び戻ることによってハウジング42のリブ120を2回行き来せざるを得ない。また、リブ120を2回行き来しなければならないことは、完全真空またはゼロ圧からバルーンの再加圧へと至るように操作する場合にも起こる。
【0008】
‘959特許に示される装置40の他の欠点は、組み付けに関連する。959特許の図8〜11に示されるように、組み付けは、第1のリンク部材102を位置合わせしてナット部材80に滑り込ませた後、第2のリンク部材104をナット部材80へ逆さまに挿入し、その後、第2のリンク104を180°回転させてそれを第1のリンク102と位置合わせさせる必要がある。これは、操作と組み付け時間を必要とする。また、2つのリンク部材102、104を自由に独立に回転させる必要があるため、これらのリンク部材102、104が組み付け中に枢支ピン106を受けるために常に互いに位置合わせされた状態のままであること或いはナット部材80内に適切に配置されることを確かめることができない。
【0009】
また、正確な長手方向の位置合わせは、一般に、2つのリンク部材102、104およびナット部材80に関して、また、枢支ピン106およびプランジャ68のネジ86の両方に関しては不可能である。具体的に、それぞれのリンク部材102、104は自由に回動して他方のリンク部材との位置合わせ状態から僅かに外れ、その結果、ナット部材80が係合操作中および離脱操作中に僅かにねじれ或いは撓んでプランジャの軸との位置合わせ状態から外れる可能性がある。そのようなねじれは、プランジャ68および枢支ピン106が互いに正確な平行位置合わせ状態に維持された場合であっても起こり得る。この望ましくない撓みは、嵌め合いネジ部品に対して悪影響を与える可能性があり、それにより、最大圧力使用状態中の離脱の間にわたって、最も高負荷のネジの不均一な荷重および偶発的な削れがもたらされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の一実施形態の目的は、改良された流体移動装置を提供することである。
【0011】
本発明の一実施形態の他の目的は、流体移動装置を組み付ける(組み立てる)ための改良されたプロセスを提供することである。
【0012】
本発明の一実施形態の更なる他の目的は、組み付けが比較的容易な流体移動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
つまり、前述した目的のうちの少なくとも1つによれば、本発明の一実施形態は、特にカテーテルを加圧および減圧し、または、流体を注入し、または、流体を吸引する等のために用いる流体移動装置を提供する。装置は、ハウジングを通じて移動できるプランジャと、プランジャと係合する作動機構とを含む。作動機構は、ナット部材と、一体のバネを備える一体成形リンク部材(単一リンク部材)とを含む。一体成形リンク部材の一体のバネは、ナット部材がプランジャのネジ部と係合する状態へと付勢されるようにする。したがって、プランジャは通常は「ロック」位置にあり、これにより、プランジャの大きな移動(すなわち、押し引き)が防止されるが、プランジャの微小な移動(すなわち、回転)は許容される。作動機構は、一体成形リンク部材の一体のバネによって与えられる復元バネ力に打ち勝つようにナット部材または一体成形リンク部材の制御面などの制御面を押し下げるだけでプランジャを瞬時に解放できる押圧・解放機能を与えるように構成される。その後、プランジャを大きな移動により(すなわち、プランジャを押し引きすることにより)並進させることができる。
【0014】
本発明の他の態様は、流体移動装置を組み付ける(組み立てる)方法を提供する。組み付け方法は、一体成形リンク部材をナット部材と係合させることにより装置の作動機構を組み付けることを含み、これにより、一体成形リンク部材の一体のバネの力が一体成形リンク部材をナット部材の所定位置に保持するようになる。その後、ピンが一体成形リンク部材およびナット部材と係合され、それにより、アセンブリが形成される。このアセンブリは、その後、ハウジングの開口内に挿入され、また、アセンブリを装置に保持するために他のピンが使用される。
【0015】
流体移動装置の構造および該装置を組み付ける方法は、以下で更に十分に説明されるように、幾つかの利点を与える。
【0016】
本発明の構造および動作の編成および態様は、本発明の更なる目的および利点と共に、同様の参照符号が同様の要素を特定する添付図面に関連して解釈される以下の説明を参照することにより最も良く理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来技術の流体移動装置、特に米国特許第6,796,959号に開示される流体移動装置の断面図である。
【図2】図1に示される流体移動装置の作動機構の2つの異なる位置を示す拡大図である。
【図3】図1に示される流体移動装置の作動機構の2つの異なる位置を示す拡大図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る流体移動装置の斜視図である。
【図5】図4に示される流体移動装置の断面図である。
【図6】図4および図5に示される流体移動装置の分解斜視図である。
【図7】図4〜6に示される流体移動装置の一部、具体的には流体移動装置の作動機構の拡大分解斜視図である。
【図8】装置のプランジャと係合する状態へと付勢される作動機構を示す、図4〜6に示される流体移動装置の部分断面図である。
【図9】プランジャとの係合から離脱されるように作動される作動機構を示す、図4〜6に示される流体移動装置の部分断面図である。
【図10】図4〜6に示される流体移動装置のキャリア部材要素の正面図である。
【図11】キャリア部材の背面図である。
【図12】キャリア部材の平面図である。
【図13】キャリア部材の右側の側面図である。
【図14】キャリア部材の左側の側面図である。
【図15】図11の15−15線に沿うキャリア部材の断面図である。
【図16】図11の16−16線に沿うキャリア部材の断面図である。
【図17】図14の17−17線に沿うキャリア部材の断面図である。
【図18】内部のリブ形体を示す図4〜6に示される流体移動装置の作動機構部分断面図である。
【図19】本発明の他の実施形態に係る流体移動装置の斜視図である。
【図20】図19に示される流体移動装置の分解斜視図である。
【図21】図19〜20に示される流体移動装置の一部、具体的には流体移動装置の作動機構の拡大分解斜視図である。
【図22】装置のプランジャと係合する状態へと付勢される作動機構を示す、図19〜20に示される流体移動装置の部分断面図である。
【図23】プランジャとの係合から離脱されるように作動される作動機構を示す、図19〜20に示される流体移動装置の部分断面図である。
【図24】別の作動機構の拡大分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は異なる形態の実施形態を受け入れる余地があるが、本開示が本発明の原理の例示と見なされるべきであって且つ本明細書中で図示して説明されるものに本発明を限定しようとするものではないという理解をもって、特定の実施形態が図面に示されており、該実施形態を本明細書中で詳しく説明する。
【0019】
本発明の1つの特定の実施形態が図4〜6に示される一方で、他の特定の実施形態が図19および図20に示される。これらの2つの実施形態の更に他の変形例が図24に示される。図4〜6に示される実施形態を最初に説明し、その後、その実施形態と他の変形例との間の違いについて説明する。
【0020】
本発明の最初の特定の実施形態は、米国特許第5,796,959号に開示される装置の、ナット部材80およびリンク部材102、104が一体成形リンク(単一リンク、 unitary link)202、ナット部材204、および、枢支ピン206と置き換えられた点を除き‘959装置と全く同じ構成要素を利用する流体移動装置200(図4〜6参照)を備える。したがって、これにより、米国特許第5,796,959号は参照することによりその全体が本願に組み入れられる。
【0021】
図4〜6に示されるように、本発明の特定の実施形態に係る流体移動装置200は、流体移動チャンバ210を備える略円筒状のシリンジ体またはハウジング208を有する(特に図5を参照)。好ましくは、ハウジング208は透明であり、それにより、流体吸引中または流体分注中に流体移動チャンバ210内の流体の視認が容易になる。ハウジング208は、プラスチックから形成されており、ポリカーボネートまたは他のタイプの樹脂から成形されてもよい。ハウジング208には、医師がチャンバ210内に収容される流体の量を容易に決定できるように、例えば図4に示される位置212に体積の目盛りがある。図示のように、装置200の把持および装置の操作を容易にするために、ハウジング208にはハンドル214が設けられる。
【0022】
ピストン216が流体移動チャンバ210内(すなわち、ハウジング208内)で摺動自在に移動できる。クワッドリングなどのシール部材218がピストン216上に配置される。図5に示されるように、シール部材218はピストン216の2つの壁220間に配置されるのが好ましい。以下で更に十分に説明されるように、シール部材218をピストン216上に配置するために潤滑剤が使用されてもよい。シール部材218は、流体移動チャンバ210内で流体を圧力保持して流体がピストン216を越えて漏れるのを防止するように構成される。ハウジング208は、流体移動チャンバ210と連通する流体管路222を含む。流体管路222は、用途に応じて例えばバルーンカテーテル構造(図示せず)、流体供給リザーバ(図示せず)、または、何らかの他の適した構造に接続されるホース224とも連通する。図6に示されるように、ホース224には、流体管路222とバルーンカテーテルとの間に、コネクタ226が設けられてもよい。
【0023】
図5に示されるように、流体管路222は圧力計アセンブリ228とも連通する。好ましくは、圧力計アセンブリ228は、ハウジング208と直接に係合され、例えばハウジングのネジ孔230と螺合される(図5および図6参照)。この目的を達成するため、圧力計アセンブリ228には、ハウジング208のネジ孔230と螺合するネジ部232が設けられる。部品同士をロックしてシール状態で係合させるために、ネジ部232とネジ穴230との間に接着剤が設けられてもよい。図5および図6に示されるように、ネジ穴230はハウジング208の端部234にほぼ近接して設けられ、それにより、取り付け時に圧力計アセンブリ228が装置の先端にほぼ近接して配置される。圧力計アセンブリ228は、流体管路222内およびバルーンカテーテル内の圧力の表示を医師に与えるように構成される。圧力計アセンブリ228は、血管形成術に適した或いは装置200の他の使用に適した任意のタイプのものであってもよい。圧力計アセンブリ228がハウジング208と直接に係合するように装置200が構成されているという事実は、装置の先端近傍の視認性を高める。そのような視認性は、流体を分注するために装置200を使用する前に医師が流体移動チャンバ210から全ての気泡をパージすべきときに重要になる。或いは、参照することによりその全体が本願に組み入れられる米国特許第5,713,242号に図示して説明されるようなクランプカバーと圧力計アセンブリ228が係合するように装置200を構成することができる。
【0024】
図5に最も良く示されるように、ピストン216はプランジャ238のネジがないパイロットノーズ端236に取り付けられる。パイロットノーズ端236は、ピストン216の中心ジャーナルキャビティ240内で自由に回転するように構成される。ピストン216はスナップ作用干渉結合でプランジャ238のパイロットノーズ端236に取り付けられ、スナップ作用干渉結合は、プランジャ238が流体移動チャンバ210内へ流体を吸引するために引き込まれるときにパイロットノーズ端236がピストン216の中心ジャーナルキャビティ240から引き抜かれ或いは後退されるのを防止する。パイロットノーズ端236は結合されたピストン216に対して自由に回転できる。したがって、プランジャ238が回転されるときに(すなわち、微小移動中に)、ピストン216は、プランジャ238と共に回転せず、一般にハウジング208内で直線的に前進または後退する。図4〜6に示されるように、プランジャ238は、以下で更に詳しく説明されるように、プランジャ238の移動を容易にする一体のパームノブ244を含むことが好ましい。
【0025】
装置は作動機構246を含み、この作動機構は、通常はプランジャ238と係合する状態へと付勢されるが、プランジャ238との係合から離脱されるように作動され得る。作動機構246(図7参照)がプランジャ238と係合する状態へと付勢されると、プランジャ238の大きな移動は一般に不可能であり、微小移動だけが可能である。大きな移動が防止されると、プランジャ238をハウジング208内へ押し込むこと或いはハウジング208から引き出すこと(すなわち、多量の流体を急速に移動させること)ができない。代わりに、プランジャ238は、そのノブ244を回転させることによって(すなわち、流体をより正確にゆっくり移動させるために)のみ並進させることができる。一方、作動機構246がプランジャ238との係合から離脱されるように作動されると、プランジャ238の大きな移動が可能である。大きな移動が可能であると、プランジャ238をハウジング208内へ押し込むこと或いはハウジング208から引き出すことができる。
【0026】
例えば図7に示されるように、作動機構246は、一体成形リンク202と、ナット部材204と、枢支ピン206とを備える。枢支ピン206は、ナット部材204の穴248と一体成形リンク202の通路250とを貫通して延び、それにより、一体成形リンク202を嵌め合うナット部材204に効果的に保持してアセンブリを形成する。図7および図18に示されるように、枢支ピン206には、枢支ピン206を一体成形リンク202に対して所定位置でロックする一体成形リンク202内の中心リブ254を受ける小径中間部252が設けられるのが好ましい。具体的には、ピン206が十字形状を有し、その場合、下側十字形部材255が2つの中央ディスク形体部256間に設けられる。これらの下側十字形部材255は枢支ピン206に溝258を効果的に形成し、その場合、一体成形リンク202の隆起リブ254が、枢支ピン206の溝258内に引っ掛かって枢支ピン206を所定位置に保持するように構成される。
【0027】
図4および図5に示されるように、アセンブリ全体は、ハウジング208の後端260のほぼ近傍でハウジング208に配置される。具体的には、図4〜6に示されるように、作動機構246はハウジング208の開口262内に配置されるのが好ましく、この場合、開口262は一対の離間されたフランジ264間に設けられ、また、作動機構246は、好ましくは金属から形成されるピン266と相対して装置200に取り付けられる。
【0028】
図5〜7に見られるように、ナット部材204は下側基部270に形成されるネジ268を有し、また、ナット部材204は、一対の離間する長尺アームまたは取り付け部272を備える直立二股部を含む(特に図7参照)。取り付け部272は、実際には、キャリッジ構造を規定し、ネジ268とほぼ一体を成す。取り付け部272にはそれぞれ、プランジャ238が挿通して延びる開口274(特に図5、8、9参照)と、枢支ピン206を受けるための穴248とがある。
【0029】
図8は、ナット部材204がどのようにしてプランジャ238と係合する状態へと付勢されるのかを示している。具体的には、一体成形リンク202のスプリングフィンガ部(バネフィンガ、spring finger portion)276がナット部材204の外面278と係合し、この接触が、一体成形リンク202のスプリングフィンガ部276の剛性と共に、ナット部材204を図8に示される位置に維持しようとする復元バネ力をもたらし、この場合、ナット部材204のネジ268がプランジャ238のネジ279と螺合される。この位置では、大きな移動によってプランジャ238をハウジング208内に押し込み或いはハウジング208から引き出すことができない。代わりに、プランジャ238を微小移動だけにより、すなわち、そのノブ244を回転させることにより並進させて、プランジャ238のネジ279をナット部材204のネジ268に沿って徐々に進ませなければならない。前述したように、プランジャ238のパイロットノーズ端236は、ピストン216の中心ジャーナルキャビティ240内で自由に回転するように構成される。そのため、ナット部材204のネジ268がプランジャ238のネジ部279と螺合される状態でプランジャ238を回転させることにより、一般に、ピストン216はハウジング208の流体移動チャンバ210内で回転せず、代わりに、ピストン216はハウジング208内で摺動できるだけである。
【0030】
一体成形リンク202の一体のバネ形体部(すなわち、スプリングフィンガ276)を設けるため、一体成形リンク202は、塑性変形または破損を伴うことなく撓むことができるように、高い弾性率に加えて優れた圧縮強度および良好な剛性の両方を有する材料から形成される。例えばDelrinまたはCelconとして商業的に知られるアセタール樹脂は、これらの特性を示すが、その度合いはナイロン、ポリプロピレン、または、同様の弾性材料が示す度合いよりも小さい。アセテル(Acetel)は、しばしば、その固有の潤滑性、硬度、および、環境応力、亀裂、摩耗に対する耐性と共に塑性変形または破壊を伴うことなく大きな度合いの撓みに耐えることができるその能力に起因して、高分子バネ用途において好ましい。本明細書中に開示される用途において、部品は、ナイロンおよび金属から成る嵌め合い要素に抗する回動および摺動に耐えることができなければならず、これに関しては、アセタールが特にうまく機能することが知られている。
【0031】
装置200をプランジャが係合される初期位置に維持するのに十分な戻しバネ力により、例えば米国特許第5,713,242号および第6,796,959号に示されるようなリブ(本明細書では、図2および図3で参照符号120により特定される)、および、それらを乗り越えるために必要とされる更なるユーザ労力はもはや不要である。図8に示されるようにナット部材204がプランジャ238と係合する状態へと付勢されると、ナット部材204は「中心を超えた」ロック位置にあり、この位置は、ピストン216に課される流体移動チャンバ210内の流体圧により引き起こされ得るナット部材204の任意の僅かな動きがプランジャ238とナット部材204とが緩む或いは離脱する任意の傾向をもたらすようにするのではなくプランジャ238とナット部材204とのより緊密な係合をもたらすようにする。
【0032】
ナット部材204、具体的にはそのネジ268は、プランジャ238およびピストン216を手で急速に移動させて例えばホース224に接続されてもよい或いはコネクタ226が浸漬されてもよい流体供給リザーバ(図示せず)から流体移動チャンバ210内へと生理食塩溶液を吸引できるようにするために、プランジャ238から選択的に離脱できる。また、プランジャ238からのナット部材204の離脱は、例えば、バルーンカテーテルを使用して血管内または心臓弁内に既に配置された血管形成バルーン(図示せず)を膨張させるためにホース224を通じて溶液を排出するべくプランジャ230およびピストン216を急速に前進させることもできる。また、プランジャ238およびピストン216の急速な引き込みは、血管形成バルーンの急速な収縮のための流体移動チャンバ210内への流体の迅速な吸引も可能にし得る。また、カテーテルに対する接続前に、流体移動チャンバ210内に収容される流体から全ての気泡が排除されることを保証するためにプランジャ238が操作されてもよい。
【0033】
図9に示されるようなナット部材204のネジ268とプランジャ238のネジ部279との選択的な離脱を容易にするために、ナット部材204はレバー280などの制御面を有するように設けられ(図4、8、9参照)、その場合、ナット部材204の離脱は、(図9に矢印282で表わされるように)レバー280を押し下げることによって達成される。図9に示されるようなレバー280の押し下げにより、アセンブリが旋回するとともに、一体成形リンク202のスプリングフィンガ部276がナット部材204の外面278と一緒に追従して外側に撓まされる。ナット部材204の移動は、図8および図9に示される位置間で並進動作に沿って案内されるのが好ましい。図8および図9の位置間の動作におけるナット部材204の動きは、実際は、減少する湾曲経路の動きであり、したがって、完全に直線的ではない。ナット部材204のレバー280が押し下げられると、一体成形リンク202のスプリングフィンガ部276が屈曲されるようになり、それにより、一般に、図8に示される位置へと戻ろうとするアセンブリの付勢が生み出される。したがって、レバー280を解放すると、アセンブリは図8に示される位置へ戻る。図8はナット部材204の通常の非作動位置を示しており、この位置では、ナット部材204のネジ268がプランジャ238のネジ部279と係合する状態へと付勢され、それにより、プランジャ238が大きな移動に関してロックされる。しかしながら、プランジャ238の微小な移動は、そのノブ244を回転させて、プランジャ238のネジをナット部材204のネジ268に沿って徐々に進ませることによって可能である。
【0034】
一方、図9は、ユーザがナット部材204のレバー280を押し下げるときに生じるものを示している。図示のように、これにより、ナット部材204が旋回(traverse)し、ナット部材204のネジ268がプランジャ238のネジ部279から離脱されるようになる。そのような位置では、プランジャ238をハウジング208内へと前方に押し込むことによって或いはプランジャ238をハウジング208から引き戻すことによってプランジャ238を流体移動チャンバ210内で軸方向に並進させることができる。言い換えると、プランジャ238の押し込み或いは引き戻しは、ナット部材204がプランジャ238と係合されるときに防止される。しかしながら、ナット部材204のレバー280を押し下げることにより、ナット部材204がプランジャ238から離脱し、それにより、プランジャ238を押し引きすることができる。
【0035】
単に随意的であるが、ナット部材204は、図6〜9に示されるようにカム形体部284を含むことが好ましい。ナット部材204のレバー280が押し下げられると、図9に示されるように、一体成形リンク202のスプリングフィンガ276はカム284上に乗り上がらなければならない。カム284は、閉塞力(すなわち、作動機構246全体が図8に示される位置へ戻る傾向)を高めて、休止位置(図8参照。この位置では、ナット部材204のレバー280が押圧されない)がナット部材204によって完全に得られるようにする明確な場所を与える役目を果たすが、カム形体部を伴わない場合にはこの休止位置を画定できない。カム形体部284は、ナット部材204がプランジャ238と係合されるかどうかに関して、聴覚および触覚の両方のフィードバックをユーザに与える。より明確なフィードバックを与えるため、カム形体部284は、スプリングフィンガ276が乗り越えてその後に戻り越えるための急な段差を与えるように構成されてもよい。これにより、スプリングフィンガ276はカム284を越えてスナップ係合し、それにより、ネジ268とプランジャ238との解放位置または係合位置に関する聴覚および触覚の更に明確なフィードバックがユーザに与えられる。
【0036】
図5、6、8、9に示されるように、装置200は、米国特許第6,796,959に示される装置に良く似た、ハウジング208内に受けられるキャリア部材290を含むことが好ましい。図6および図10〜17に示されるように、キャリア部材290は、略中空の、略円筒状の部品の形態を成して設けられてもよい。キャリア部材290は、ハウジング208と同様に、プラスチックから形成されてもよい。実際には、キャリア部材290およびハウジング208が同じ樹脂から形成されてもよい。
【0037】
図5、6、10、11、15、17に示されるように、キャリア部材290は離間した壁298、300を有し、壁298、300には、プランジャ238が挿通して延びる開口294と、作動機構246を装置200に対して固定するピン266を保持する開口296とが設けられる。より具体的には、キャリア部材290がピン266を支持し、また、ピン266が一体成形リンク202の孔275を貫通して延び、それにより、ピン266が一般に作動機構246を装置200に対して保持する。
【0038】
図6に示されるように、壁298はキャリア部材290の前面を規定し(キャリア部材290の前方からの視野を与える図10も参照)、また、壁300はキャリア部材290の後面を規定する(キャリア部材290の後方からの視野を与える図11も参照)。部分壁302がキャリア部材290の前壁298と後壁300との間で延びる。壁298と壁300との間に切り欠き304が形成され、また、ナット部材204が切り欠き304内に配置される(図5参照)。ピン266がキャリア部材290に設けられる開口296を貫通して延び、また、キャリア部材290は、一般に、ピン266が容易に軸方向に移動しないようにピン266を保持する。図6に示されるように、ピン266には、該ピンがキャリア部材290に取り付けられるときにピン266が軸方向に並進するのを防止するのに役立つ刻み付き端部306が設けられてもよい。
【0039】
図6および図10〜15に示されるように、キャリア部材290の外面310には、キャリア部材290の後端のほぼ近傍に突出面308が設けられる。ハウジング208には、該ハウジングの後端206に、キャリア部材290に設けられる突出面308間の中断部を受けるための対応する内側に面するフランジ312が設けられる。ハウジング208のフランジ312およびキャリア部材290の突出面308間の中断部は、キャリア部材290をハウジング208の端部260の孔314内に挿入した後に回転させてキャリア部材290をハウジング208内に固定できるようにすることが好ましい。具体的には、キャリア部材290およびハウジング208は、キャリア部材290を1/4回転バヨネット配置によりハウジング208の孔314内にハウジング208の後部を通じて取り付けることができるように構成され、この場合、キャリア部材290は、孔314内に軸方向で挿入された後、キャリア部材290を所定位置にロックするために1/4回転が与えられる。
【0040】
キャリア部材290は、キャリア部材290の前壁298と後壁300との間で延びる部分壁302の一部として形成されるラッチフィンガ316を含む。ラッチフィンガ316は、ハウジング208の内壁に設けられる内側延出リブ318と係合するのが好ましい(図6参照)。具体的には、ラッチフィンガ316は、キャリア部材290をハウジング208の孔314内の所定位置にほぼロックする態様でハウジング208の内側延出リブ318と係脱する。ラッチフィンガ316および内側延出リブ318は、ラッチフィンガ316が内側延出リブ318と係脱するときに可聴ノイズが引き起こされるように構成されるのが好ましい。ノイズは、キャリア部材290が孔314内に完全に取り付けられるという可聴表示を装置200の組立者に与えるのに十分大きい。
【0041】
ハウジング208の内壁には、リブ318の真向かい(すなわち、リブ318からハウジング208の内壁に沿って180°)に、他の内側延出リブ320が設けられるのが好ましい。キャリア部材290の外面310には、キャリア部材290の突出部308からキャリア部材290の前端へ向けてほぼ延びる突出面322が設けられる。キャリア部材290が孔314内に挿入されると、突出面308がハウジング208のリブ318、320(図5および図8〜10参照)の基端に当接して、キャリア部材290が孔314内へと軸方向に深く入り込み過ぎることが防止される。言い換えると、突出面308とリブ318、320との係合は、取り付け中に孔314内へのキャリア部材290の軸方向移動を制限する。突出面308がリブ318、320と接触すると、キャリア部材290は、それが完全に取り付けられるように回転される。好ましくは、キャリア部材290のラッチフィンガ316がハウジング208の内側延出フランジ318と係脱するだけでなく、キャリア部材290の突出面308がハウジング208の内面の対向する内側延出フランジ312の背後に係合する。キャリア部材290が孔314内に完全に取り付けられると、キャリア部材290を孔314から軸方向に容易に引き出すことができず、また、キャリア部材290をハウジング208に対していずれの回転方向にも容易に回転させることもできない。キャリア部材290がハウジング208内に適切に取り付けられると、キャリア部材290の切り欠き304がハウジング208の開口262とほぼ位置合わせされる。
【0042】
ナット部材204、一体成形リンク202、および、ピン206(すなわち、作動機構246)は、図4、8、9に示されるようにナット部材204のレバー280が容易なアクセスのためにハウジング208の開口262からほぼ延出するようにキャリア部材290の切り欠き304内およびハウジング208の開口262内に受けられる。キャリア部材290はハウジング208に対して強固に係合され、また、作動機構246を固定するピン266はキャリア部材290により保持される。
【0043】
キャリア部材290は、プランジャ238が流体移動チャンバ210内を前方に並進されるときの使用中の力に耐えるように構成される。装置の組み付けの説明に関連して以下で更に十分に説明するように、キャリア部材290は、装置200をハウジング208の後部から組み付ける(すなわち、後ろから装填する)ことができるようにする。また、図5に示されるように、キャリア部材290は、プランジャ238の中心線からハウジング208の内壁242までの距離をプランジャ238の中心線からピン266までの距離よりも大きくできるようにする。
【0044】
更にまた、装置200の構造は、キャリア部材290を含むことにより、部品の多くが異なるサイズの装置と適合するようにこれらの部品が汎用品となるようにする。具体的には、ナット部材204およびプランジャ238は、異なるサイズの装置と関連して、具体的には異なるサイズの流体移動チャンバを有する装置と関連して使用されてもよい。図示のキャリア部材290は、図示の流体移動チャンバと同じ大きさの或いは図示の流体移動チャンバよりも小さい流体移動チャンバと共に使用されるように形成される。無論、原寸に比例していない図に描かれるよりも大きい或いは小さいサイズの装置を設けることができる。
【0045】
キャリア部材290を装置に含ませることにより与えられる全ての利点にもかかわらず、代わりに、例えば参照することにより本願に組み入れられる米国特許第5,713,242号に開示されるように、キャリア部材を有しないように装置を設けることができる。
【0046】
それにもかかわらず、装置200は、使用中にユーザが装置200の握りを変える必要がないように構成される。プランジャ238の離脱を行なうためにナット部材204のレバー280が押圧される必要は全くなく、また、プランジャ係合位置とプランジャ離脱位置との間で前後に移動するためにリブ(図2および図3に参照符号120により特定される)を乗り越える必要がない。また、レバー280の解放は、即時のプランジャ238の再係合をもたらす。装置200をプランジャ係合初期状態(図8に示される)に維持するのに十分な一体成形リンク202のスプリングフィンガ276により与えられる戻しバネ力により、ハウジング208の戻り止め或いはリブ、および、それらを乗り越えるために必要とされる更なるユーザ労力はもはや不要である。
【0047】
ここで、装置200を組み付ける方法を、装置が実際に例えば米国特許第6,976,959号に開示されるようなキャリア部材290を含む状況において説明する。装置200を組み付けるため、ホース224がハウジング208に取り付けられてもよい。その後、圧力計アセンブリ228がハウジング208と螺合される。その後、シール部材218がピストン216に嵌め付けられる。これを容易にするため、図6に示される塗布器332により例示されるように潤滑剤を使用できる。その後、ピストン216がハウジング208の孔314内に滑り込まされる(すなわち、図5の右から左へ)。言い換えると、ピストン216が装置200内へ後ろから装填される。その後、キャリア部材290が同様にハウジング208の後部からハウジング208に取り付けられる。前述したように、この取り付けは、キャリア部材290を孔314内へ軸方向で挿入した後に1/4周り回転することによりキャリア部材290をハウジング208に対して所定位置にロックする1/4回転バヨネット型取り付けによってなされてもよい。前述したように、キャリア部材290のロックフィンガ316は、キャリア部材290が完全に適切に取り付けられると、スナップ係合音またはクリック音を発することが好ましい。キャリア部材290がハウジング208内に適切に取り付けられると、キャリア部材290の切り欠き304がハウジング208の開口262とほぼ位置合わせされる。その後、作動機構246を開口262に取り付けることができる。しかしながら、作動機構246が取り付けられる前に、作動機構246を組み付けなければならない。
【0048】
作動機構246を組み付けるために、一体成形リンク202がナット部材204にクリップ留めされ、一体成形リンク202をナット部材204に固定するために枢支ピン206が使用される。一体成形リンク202をナット部材204に固定するために枢支ピン206が使用される前であっても、一体成形リンク202は、一体成形リンク202の一体のバネ形体部276により与えられるバネ力に起因して、ナット部材204に対して所定位置にとどまる傾向がある。一体成形リンク202をナット部材204に固定するため、枢支ピン206が、ナット部材204の一方の穴248と一体成形リンク202の通路250とを通じて、ナット部材204の他方の穴248内へ押し込まれ、それにより、アセンブリが効果的に形成される。図18に示されるように、枢支ピン206が所定位置にあると、一体成形リンク202の中心リブ254が枢支ピン206の小径中間部252と係合し、それにより、枢支ピン206が一体成形リンク202に対して所定位置にロックされる。作動機構246が組み付けられると、作動機構246を開口262内に挿入できるとともに、作動機構246を固定するためにピン266を使用できる。
【0049】
作動機構246が装置200に取り付けられた後、作動機構246のレバー280が押し下げられ、プランジャ238がハウジング208の後端260内へと軸方向に挿入されてピストン216と係合する。具体的には、プランジャ238のノーズ端236が、孔314に挿通されるとともに、ナット部材204に設けられる孔274に挿通されて、流体移動チャンバ210内のピストン216とスナップ式に係合する。その後、作動機構246のレバー280を解放することができ、その後、装置200を操作できる。
【0050】
前述したように、装置が米国特許第6,976,959にしたがって設けられて後方装填のキャリア部材290を含むと仮定すると、装置は、後方から組み付けられるように構成される。具体的には、ピストン216およびキャリア部材290の両方がハウジング208の後方で取り付けられる。装置が後方から組み付けられるようにすることにより、ハウジング208を単一の一体品として設けることができる。ハウジング208の前部をハウジング208の一部として成形することができ、また、計器228をハウジング208に取り付けるために余分な取り付け具またはクランプカバーを使用する必要がない。計器228をハウジング208と直接に係合させることができる。そのため、構造は、装置が米国特許第5,713,242号に示される装置と一致するように設けられた場合よりも少ない部品を有するとともに少ない労力で済む。また、装置200の前部がハウジング208の残りの部分と一体であるため、装置200の前部をシールすることに関して問題が存在しない。更に、装置200の前部における視認性が向上され、これは、使用前に気泡の全てをチャンバ210からパージすることにより装置200をプライミングしようとするユーザにとって有益である。ハウジング208が単一品として成形されるようにすることにより、単一の成形工程でハウジング208を製造でき、それにより、構成要素およびモールドのコストが低減され、生じる廃棄物が少なくなるとともに、製造・組み付けプロセスが合理化される。
【0051】
また、装置200の構造は、キャリア部材290を含むことにより、部品の多くが異なるサイズの装置と適合するようにこれらの部品が汎用品となるようにする。例えば、図示のキャリア部材290は、図示の流体移動チャンバと同じ大きさの或いは図示の流体移動チャンバよりも小さい流体移動チャンバ210と共に使用されるように形成される。
【0052】
キャリア部材290の使用が幾つかの利点を与えるという事実にもかかわらず、キャリア部材290の使用が本発明を用いるのに不可欠ではない。前述したように、本発明は、例えば、キャリッジ部材を含まない米国特許第5,713,242号に開示される装置と関連して使用することができる。
【0053】
本明細書中に開示される作動機構246から得られる利点は、単一の一体成形リンク202と引き換えに、例えば米国特許第5,713,242号および第6,796,959号に開示されるような一対のリンクの排除を含み、一体成形リンク202は、その一体のバネ形態により、嵌め合うナット部材204に対して正確に所定位置にクリップ留めされ得るその能力によって自動固定し、それにより、枢支ピン206および作動機構246を装置200に固定するピン266の挿入を受けるべくそれ自体を完全に保持するように形成される。米国特許第5,713,242号および第6,796,959号に記載される構造を用いると、組み付けには、第1のリンクをその受け入れ孔に位置合わせして滑り込ませた後、第2のリンクをその受け入れ孔へ逆さまに挿入し、その後、第2のリンクを180°回転させてそれを第1のリンクと位置合わせさせる必要があった。非常に多くの操作、したがって、非常に多くの組み付け時間を伴った。これに対し、本明細書中に開示される作動機構246の組み付けは、一体成形リンク202がその一体の板バネ要素276によりそれ自体を保持する場合には一体成形リンク202をナット部材204に対してクリップ留めすること、および、ナット部材204および一体成形リンク202の両方に枢支ピン206を挿通してアセンブリを互いに保持することを伴うにすぎない。前述したように、枢支ピン206には、一体成形リンク202に設けられてピン206を所定位置にロックする中心リブ254を受ける小径中間部252が形成されるのが好ましい。この安定した互いにロックされたサブアセンブリは、膨張装置のその後の組み付けを容易にする。これは、作動機構246を装置200に取り付けるためにピン266が使用される前に更なる位置合わせを必要とするルーズな部品または遊度のある部品が存在しないからである。また、一体成形リンク202は、ピン206、266を受けるように自動的に位置決めされるようになる。これに対し、米国特許第5,713,242号および第6,796,959号に開示される装置では、一対のリンクをそれらのそれぞれの孔内で自由に独立に回転させる必要があるため、これらのリンクがその後の膨張装置の組み付け中にピンを受けるために常に互いに位置合わせされた状態のままであること或いはナット部材内に適切に位置していることを確かめることができなかった。また、完成装置の製造業者も、戻り止め機構(すなわち、リブ)の排除による明確な利点に気付く。これは、戻り止めの妨害レベルが組み付け時に相互依存的となる3つの独立部品からの制御困難な公差変動の積であることに起因して、一貫した戻り止め抵抗を得ることが難しいからである。
【0054】
一対のリンクの代わりに一体成形リンク202を設ける大きな更なる利点は、枢支ピン206およびプランジャ238の嵌め合いネジ279の両方に対するナット部材204のより正確な長手方向の位置合わせを維持できる一体成形リンク202の能力である。正確な長手方向の位置合わせは、2つの別々のリンクを用いる以前においては不可能であった。これは、それぞれのリンクが自由に回動して他方のリンクとの位置合わせ状態から僅かに外れ、その結果、ナット部材が係合操作中および離脱操作中に僅かにねじれ或いは撓んでプランジャの軸との位置合わせ状態から外れる可能性があったからである。そのようなねじれは、プランジャおよびピンが互いに正確な平行位置合わせ状態に維持された場合であっても起こり得るものであった。この望ましくない撓みは、嵌め合いネジ部品に対して悪影響を与える可能性があり、それにより、最大圧力使用状態中の離脱の間にわたって、最も高負荷のネジの不均一な荷重および偶発的な削れがもたらされる。一体成形リンク202は、2つの独立のリンクと比べてねじれや撓みの可能性が低く、したがって、よりロバスト性が高い機構をもたらす。
【0055】
本明細書中に開示される作動機構246の他の利点は、構造の自己完結的な性質、すなわち、ナット部材204をプランジャ238との恒常的な係合状態へと付勢するために必要な推力を得るために任意の更なる外部構造に抗して作用しなければならないことからのその独立性である。代わりに、係合は、緩やかな無応力状態に達するためにナット部材204をピン206へ向けて絶えず引き寄せる一体成形リンク202のバネ要素276の推力によってもたらされる。この自己完結的作用は、全体の装置構造を簡略化させるとともに、古い構造を生産したままの状態で新規な構造の段階的な導入を可能にするために一体成形リンク202が組立ラインで以前の対を成すリンク機構と共存できるようにする。医療装置は高度に調整され、また、僅かな変化であってもそれらが受け入れられ得る前にそれぞれの顧客によって適切に評価されて検証されなければならない。それぞれの全ての顧客による広範囲に及ぶ検証作業の必要性および出版された取扱説明書の変更の必要性に起因して、新たな機構への全面的な変更は不可能であり、また、顧客が1つずつ切り換えると同時に両方の構造を製造しなければならない場合には所定の期間が存在する。この機構を収容するより大きな装置構造を変える必要がないことにより、全体の工具費用が低減され、工程変更が排除されるとともに、装置のハウジング208の構造に関してプロセスおよび構成部品の再検証が不要になり、その結果、新たな構造の市場導入が簡略化されて促進される。
【0056】
前述したように、図4〜6は、本発明の特定の実施形態に係る流体移動装置200を示しており、また、この装置については先に詳しく説明してきた。図19〜20は、本発明の別の実施形態に係る流体移動装置200aを示している。この別の実施形態は多くの同じ部品を有する。したがって、同一の参照符号が使用されるとともに、図19〜20に示される実施形態を説明する際にはそれらの部品の詳しい説明が省かれる。
【0057】
2つの実施形態間(すなわち、流体移動装置200と流体移動装置200aとの間)の唯一の違いは、ナット部材204のレバー280の形態を成す制御面を設ける代わりに、流体移動装置200aの制御面が一体成形リンク202aのレバー280aの形態で設けられるという点である。したがって、図4〜6に示される流体移動装置200と図19〜20に示される流体移動装置200aとの間の唯一の違いは、流体移動装置200aの一体成形リンク202aおよびナット部材204aが流体移動装置200の一体成形リンク202およびナット部材204とは異なって形成されるという点である。一体成形リンク202aおよびナット部材204aの好ましい形状および構造が図19〜20に示されており、図21は、一体成形リンク202a、ナット部材204a、および、枢支ピン206を備える作動機構246aを示している。
【0058】
作動時、図19〜20に示される流体移動装置200aは、(流体移動装置200と関連して行われるように)装置をトグル切り換えするためにナット部材204のレバー280の形態を成す制御面を押圧する代わりに流体移動装置200aが該装置をトグル切り換えするために一体成形リンク202aのレバー280aの形態を成す制御面を押圧するようになっている点を除き、図4〜6に示される前述した流体移動装置200と同じように効果的に機能する。図22は、プランジャ238と係合する状態へと付勢されるナット部材204aを示しており、図23は、プランジャ238との係合から離脱されるように移動されるナット部材204aを示している。
【0059】
(流体移動装置200と関連して設けられるように)ナット部材に制御面を設けるよりも(流体移動装置200aと関連して設けられるように)一体成形リンクに制御面を設ける方が好ましい。これは、それによってナット部材の構造、したがって工具が簡略化され、一体成形リンクの構造および製造の容易さに対する影響を最小限に抑えつつナット部材を更に容易に製造できるからである。
【0060】
図24は、好ましくは流体移動装置200または200aと同じ部品を全て有する流体移動装置と関連して、前述した作動機構246、246aのうちのいずれか1つの代わりに使用され得る別の作動機構246bを示している。前述した作動機構246、246aと同様に、図24に示される作動機構246bはナット部材204bと枢支ピン206とを含む。ナット部材204bはナット部材204aと全く同じであるが、一体成形リンク204bは一体成形リンク204aと異なる。具体的には、一体成形リンク202aに設けられるようなレバー280aの形態の制御面を設ける代わりに、図24に示される一体成形リンク202bは、一体成形リンク202bの表面の形態を成す制御面を備える。
【0061】
作動時、図24に示される作動機構246bを使用する流体移動装置は、ナット部材204のレバー280または一体成形リンク202aのレバー280aの形態の制御面を押圧する代わりに制御面280bが押圧されて装置が作動される点を除き、前述した流体移動装置200、200aと殆ど同じように機能する。
【0062】
本発明の特定の実施形態が図示されて説明されるが、前述した開示の思想および範囲から逸脱することなく当業者が本発明の様々な改良を案出できることが想起される。
【関連出願】
【0001】
関連出願(優先権主張)
この出願は、2008年11月13日に出願された米国仮出願第61/114,192号の利益を主張する2008年12月22日に出願された米国特許出願第12/341,678号の一部継続出願である。前述した出願は、参照によりその全体が本願に組み入れられる。
【技術分野】
【0002】
この発明は、バルーンカテーテル等のための流体加圧装置に関し、特に、スクリュープランジャを作動させて、結果として生じる流体加圧を監視するための改良された装置に関する。
【背景技術】
【0003】
測定された圧力を流体の密閉体積に対して選択的に印加して解放するようになっている流体加圧装置は、血管内での血管形成バルーン処置または他のタイプのバルーンカテーテル処置で使用されるバルーンカテーテルの膨張および収縮で用いるべく開発されてきた。例えば、米国特許第4,838,864号は、カテーテル付きバルーンを膨縮させるシリンジ装置を開示する。該装置は、手動操作されるスクリュープランジャを使用して特定のバルーン圧力を達成し或いは維持し、また、圧力は関連する圧力計を使用して監視される。また、改良された注入・加圧制御が、米国特許第5,168,757号、第5,713,242号、第6,796,959号にも記載され、これらの3つの特許の全ては、本発明の譲受人により所有されており、参照することによりそれらの全体が本願に組み入れられる。これらの特許は、プランジャの急速な前進を可能にし或いはバルーンカテーテルの最終的な加圧中に正確な制御を達成するためにスクリュープランジャとの螺合を許容する急速解放機構を開示する。
【0004】
米国特許第5,796,959号に開示される装置の断面図が本願の図1に概略的に示されている(この図1は‘959特許の図4に対応する)。図示のように、装置40は、円筒状のシリンジ体またはハウジング42内に設けられる流体移動チャンバ44内でピストン48がプランジャ68と係合されるようにする。圧力計アセンブリ58がハウジング42と螺合され、また、ハウジング42の端部64は、バルーンカテーテル構造に接続されるホースなどのホース54と係合するように構成される。ピストン48上には、ハウジング42の内壁72と共にシールするシール部材50がある。プランジャ68は、流体をホース54を通じて装置40内へ引き込むために収縮させることができ、また、流体を装置40からホース54へと押し出すために伸長させる(或いは、押し込む)ことができる。
【0005】
プランジャ68は、押し引きを防止する(すなわち、プランジャ68の大きな移動を防止する)ために所定位置でロックさせることができる。具体的には、装置40は、プランジャ68のネジ部86と係合する状態へおよびネジ部86から離脱する状態へと移動され得るナット部材80を含む。図2に示されるようにナット部材80がプランジャ68のネジ部86と係合されないときには、プランジャ68を大きな移動により伸長させ或いは収縮させる(すなわち、押す或いは引く)ことができる。一方、図3に示されるようにナット部材80がプランジャ68のネジ部86と係合されるときには、プランジャ68は、大きく移動できないように所定位置でロックされ、微小な移動を用いることにより(すなわち、プランジャ68のノブ74を回転させることにより)並進させることしかできない。
【0006】
ナット部材80の動きを容易にするため、2つのリンク部材102、104がナット部材80と係合されて枢支ピン106により装置40に保持される。リンク部材102、104は、タンデム式に動作するように位置決めされて構成される。図2および図3に示されるように、ナット部材80は、ナット部材80をシフトさせてナット部材80をプランジャ68のネジ部86と係合する状態へおよびネジ部86から離脱する状態へ移動させるために操作され得るレバーまたは把持部96も含む。ナット部材80をプランジャ68のネジ部86と係合する状態へ或いはネジ部86から離脱する状態へ移動させるため、リンク部材102、104は、ハウジング42から延びるフランジ83(図1参照)に設けられるリブ120(図2および図3参照)を越えて通過しなければならない。リンク部材102、104をリブ120を越えて移動させるために必要とされる力の大きさは複数の部品寸法および公差に依存するため、1つのユニットと次のユニットとの間および製造ライン間で均一な戻り止め力を維持することが困難であることが分かった。
【0007】
時として生じ得る他の困難は、ユーザ利便性に関連する。一部のユーザは、作用を及ぼすために必要とされる操作と、装置40を用いた特定の処置中、例えばプランジャ68が真空のために十分に伸長されて所定位置にロックされなければならないときの操作者の手の位置との組み合わせに起因して、ナット部材80のレバー96に手を伸ばして係わることが困難であると感じてきた。そのような場合には、操作者の手がレバー96から遠くに行きすぎてしまって、握り替えなければレバーを操作することができない可能性がある。プランジャに対する離脱・再係合の一連の操作中(加圧動作後に介入バルーンを畳むべく真空引きする間に行われる)、ユーザは、ネジ付きプランジャと再係合してそれを引き出し位置に保持するために一方向に進んだ後に他方向に再び戻ることによってハウジング42のリブ120を2回行き来せざるを得ない。また、リブ120を2回行き来しなければならないことは、完全真空またはゼロ圧からバルーンの再加圧へと至るように操作する場合にも起こる。
【0008】
‘959特許に示される装置40の他の欠点は、組み付けに関連する。959特許の図8〜11に示されるように、組み付けは、第1のリンク部材102を位置合わせしてナット部材80に滑り込ませた後、第2のリンク部材104をナット部材80へ逆さまに挿入し、その後、第2のリンク104を180°回転させてそれを第1のリンク102と位置合わせさせる必要がある。これは、操作と組み付け時間を必要とする。また、2つのリンク部材102、104を自由に独立に回転させる必要があるため、これらのリンク部材102、104が組み付け中に枢支ピン106を受けるために常に互いに位置合わせされた状態のままであること或いはナット部材80内に適切に配置されることを確かめることができない。
【0009】
また、正確な長手方向の位置合わせは、一般に、2つのリンク部材102、104およびナット部材80に関して、また、枢支ピン106およびプランジャ68のネジ86の両方に関しては不可能である。具体的に、それぞれのリンク部材102、104は自由に回動して他方のリンク部材との位置合わせ状態から僅かに外れ、その結果、ナット部材80が係合操作中および離脱操作中に僅かにねじれ或いは撓んでプランジャの軸との位置合わせ状態から外れる可能性がある。そのようなねじれは、プランジャ68および枢支ピン106が互いに正確な平行位置合わせ状態に維持された場合であっても起こり得る。この望ましくない撓みは、嵌め合いネジ部品に対して悪影響を与える可能性があり、それにより、最大圧力使用状態中の離脱の間にわたって、最も高負荷のネジの不均一な荷重および偶発的な削れがもたらされる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の一実施形態の目的は、改良された流体移動装置を提供することである。
【0011】
本発明の一実施形態の他の目的は、流体移動装置を組み付ける(組み立てる)ための改良されたプロセスを提供することである。
【0012】
本発明の一実施形態の更なる他の目的は、組み付けが比較的容易な流体移動装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
つまり、前述した目的のうちの少なくとも1つによれば、本発明の一実施形態は、特にカテーテルを加圧および減圧し、または、流体を注入し、または、流体を吸引する等のために用いる流体移動装置を提供する。装置は、ハウジングを通じて移動できるプランジャと、プランジャと係合する作動機構とを含む。作動機構は、ナット部材と、一体のバネを備える一体成形リンク部材(単一リンク部材)とを含む。一体成形リンク部材の一体のバネは、ナット部材がプランジャのネジ部と係合する状態へと付勢されるようにする。したがって、プランジャは通常は「ロック」位置にあり、これにより、プランジャの大きな移動(すなわち、押し引き)が防止されるが、プランジャの微小な移動(すなわち、回転)は許容される。作動機構は、一体成形リンク部材の一体のバネによって与えられる復元バネ力に打ち勝つようにナット部材または一体成形リンク部材の制御面などの制御面を押し下げるだけでプランジャを瞬時に解放できる押圧・解放機能を与えるように構成される。その後、プランジャを大きな移動により(すなわち、プランジャを押し引きすることにより)並進させることができる。
【0014】
本発明の他の態様は、流体移動装置を組み付ける(組み立てる)方法を提供する。組み付け方法は、一体成形リンク部材をナット部材と係合させることにより装置の作動機構を組み付けることを含み、これにより、一体成形リンク部材の一体のバネの力が一体成形リンク部材をナット部材の所定位置に保持するようになる。その後、ピンが一体成形リンク部材およびナット部材と係合され、それにより、アセンブリが形成される。このアセンブリは、その後、ハウジングの開口内に挿入され、また、アセンブリを装置に保持するために他のピンが使用される。
【0015】
流体移動装置の構造および該装置を組み付ける方法は、以下で更に十分に説明されるように、幾つかの利点を与える。
【0016】
本発明の構造および動作の編成および態様は、本発明の更なる目的および利点と共に、同様の参照符号が同様の要素を特定する添付図面に関連して解釈される以下の説明を参照することにより最も良く理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来技術の流体移動装置、特に米国特許第6,796,959号に開示される流体移動装置の断面図である。
【図2】図1に示される流体移動装置の作動機構の2つの異なる位置を示す拡大図である。
【図3】図1に示される流体移動装置の作動機構の2つの異なる位置を示す拡大図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る流体移動装置の斜視図である。
【図5】図4に示される流体移動装置の断面図である。
【図6】図4および図5に示される流体移動装置の分解斜視図である。
【図7】図4〜6に示される流体移動装置の一部、具体的には流体移動装置の作動機構の拡大分解斜視図である。
【図8】装置のプランジャと係合する状態へと付勢される作動機構を示す、図4〜6に示される流体移動装置の部分断面図である。
【図9】プランジャとの係合から離脱されるように作動される作動機構を示す、図4〜6に示される流体移動装置の部分断面図である。
【図10】図4〜6に示される流体移動装置のキャリア部材要素の正面図である。
【図11】キャリア部材の背面図である。
【図12】キャリア部材の平面図である。
【図13】キャリア部材の右側の側面図である。
【図14】キャリア部材の左側の側面図である。
【図15】図11の15−15線に沿うキャリア部材の断面図である。
【図16】図11の16−16線に沿うキャリア部材の断面図である。
【図17】図14の17−17線に沿うキャリア部材の断面図である。
【図18】内部のリブ形体を示す図4〜6に示される流体移動装置の作動機構部分断面図である。
【図19】本発明の他の実施形態に係る流体移動装置の斜視図である。
【図20】図19に示される流体移動装置の分解斜視図である。
【図21】図19〜20に示される流体移動装置の一部、具体的には流体移動装置の作動機構の拡大分解斜視図である。
【図22】装置のプランジャと係合する状態へと付勢される作動機構を示す、図19〜20に示される流体移動装置の部分断面図である。
【図23】プランジャとの係合から離脱されるように作動される作動機構を示す、図19〜20に示される流体移動装置の部分断面図である。
【図24】別の作動機構の拡大分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は異なる形態の実施形態を受け入れる余地があるが、本開示が本発明の原理の例示と見なされるべきであって且つ本明細書中で図示して説明されるものに本発明を限定しようとするものではないという理解をもって、特定の実施形態が図面に示されており、該実施形態を本明細書中で詳しく説明する。
【0019】
本発明の1つの特定の実施形態が図4〜6に示される一方で、他の特定の実施形態が図19および図20に示される。これらの2つの実施形態の更に他の変形例が図24に示される。図4〜6に示される実施形態を最初に説明し、その後、その実施形態と他の変形例との間の違いについて説明する。
【0020】
本発明の最初の特定の実施形態は、米国特許第5,796,959号に開示される装置の、ナット部材80およびリンク部材102、104が一体成形リンク(単一リンク、 unitary link)202、ナット部材204、および、枢支ピン206と置き換えられた点を除き‘959装置と全く同じ構成要素を利用する流体移動装置200(図4〜6参照)を備える。したがって、これにより、米国特許第5,796,959号は参照することによりその全体が本願に組み入れられる。
【0021】
図4〜6に示されるように、本発明の特定の実施形態に係る流体移動装置200は、流体移動チャンバ210を備える略円筒状のシリンジ体またはハウジング208を有する(特に図5を参照)。好ましくは、ハウジング208は透明であり、それにより、流体吸引中または流体分注中に流体移動チャンバ210内の流体の視認が容易になる。ハウジング208は、プラスチックから形成されており、ポリカーボネートまたは他のタイプの樹脂から成形されてもよい。ハウジング208には、医師がチャンバ210内に収容される流体の量を容易に決定できるように、例えば図4に示される位置212に体積の目盛りがある。図示のように、装置200の把持および装置の操作を容易にするために、ハウジング208にはハンドル214が設けられる。
【0022】
ピストン216が流体移動チャンバ210内(すなわち、ハウジング208内)で摺動自在に移動できる。クワッドリングなどのシール部材218がピストン216上に配置される。図5に示されるように、シール部材218はピストン216の2つの壁220間に配置されるのが好ましい。以下で更に十分に説明されるように、シール部材218をピストン216上に配置するために潤滑剤が使用されてもよい。シール部材218は、流体移動チャンバ210内で流体を圧力保持して流体がピストン216を越えて漏れるのを防止するように構成される。ハウジング208は、流体移動チャンバ210と連通する流体管路222を含む。流体管路222は、用途に応じて例えばバルーンカテーテル構造(図示せず)、流体供給リザーバ(図示せず)、または、何らかの他の適した構造に接続されるホース224とも連通する。図6に示されるように、ホース224には、流体管路222とバルーンカテーテルとの間に、コネクタ226が設けられてもよい。
【0023】
図5に示されるように、流体管路222は圧力計アセンブリ228とも連通する。好ましくは、圧力計アセンブリ228は、ハウジング208と直接に係合され、例えばハウジングのネジ孔230と螺合される(図5および図6参照)。この目的を達成するため、圧力計アセンブリ228には、ハウジング208のネジ孔230と螺合するネジ部232が設けられる。部品同士をロックしてシール状態で係合させるために、ネジ部232とネジ穴230との間に接着剤が設けられてもよい。図5および図6に示されるように、ネジ穴230はハウジング208の端部234にほぼ近接して設けられ、それにより、取り付け時に圧力計アセンブリ228が装置の先端にほぼ近接して配置される。圧力計アセンブリ228は、流体管路222内およびバルーンカテーテル内の圧力の表示を医師に与えるように構成される。圧力計アセンブリ228は、血管形成術に適した或いは装置200の他の使用に適した任意のタイプのものであってもよい。圧力計アセンブリ228がハウジング208と直接に係合するように装置200が構成されているという事実は、装置の先端近傍の視認性を高める。そのような視認性は、流体を分注するために装置200を使用する前に医師が流体移動チャンバ210から全ての気泡をパージすべきときに重要になる。或いは、参照することによりその全体が本願に組み入れられる米国特許第5,713,242号に図示して説明されるようなクランプカバーと圧力計アセンブリ228が係合するように装置200を構成することができる。
【0024】
図5に最も良く示されるように、ピストン216はプランジャ238のネジがないパイロットノーズ端236に取り付けられる。パイロットノーズ端236は、ピストン216の中心ジャーナルキャビティ240内で自由に回転するように構成される。ピストン216はスナップ作用干渉結合でプランジャ238のパイロットノーズ端236に取り付けられ、スナップ作用干渉結合は、プランジャ238が流体移動チャンバ210内へ流体を吸引するために引き込まれるときにパイロットノーズ端236がピストン216の中心ジャーナルキャビティ240から引き抜かれ或いは後退されるのを防止する。パイロットノーズ端236は結合されたピストン216に対して自由に回転できる。したがって、プランジャ238が回転されるときに(すなわち、微小移動中に)、ピストン216は、プランジャ238と共に回転せず、一般にハウジング208内で直線的に前進または後退する。図4〜6に示されるように、プランジャ238は、以下で更に詳しく説明されるように、プランジャ238の移動を容易にする一体のパームノブ244を含むことが好ましい。
【0025】
装置は作動機構246を含み、この作動機構は、通常はプランジャ238と係合する状態へと付勢されるが、プランジャ238との係合から離脱されるように作動され得る。作動機構246(図7参照)がプランジャ238と係合する状態へと付勢されると、プランジャ238の大きな移動は一般に不可能であり、微小移動だけが可能である。大きな移動が防止されると、プランジャ238をハウジング208内へ押し込むこと或いはハウジング208から引き出すこと(すなわち、多量の流体を急速に移動させること)ができない。代わりに、プランジャ238は、そのノブ244を回転させることによって(すなわち、流体をより正確にゆっくり移動させるために)のみ並進させることができる。一方、作動機構246がプランジャ238との係合から離脱されるように作動されると、プランジャ238の大きな移動が可能である。大きな移動が可能であると、プランジャ238をハウジング208内へ押し込むこと或いはハウジング208から引き出すことができる。
【0026】
例えば図7に示されるように、作動機構246は、一体成形リンク202と、ナット部材204と、枢支ピン206とを備える。枢支ピン206は、ナット部材204の穴248と一体成形リンク202の通路250とを貫通して延び、それにより、一体成形リンク202を嵌め合うナット部材204に効果的に保持してアセンブリを形成する。図7および図18に示されるように、枢支ピン206には、枢支ピン206を一体成形リンク202に対して所定位置でロックする一体成形リンク202内の中心リブ254を受ける小径中間部252が設けられるのが好ましい。具体的には、ピン206が十字形状を有し、その場合、下側十字形部材255が2つの中央ディスク形体部256間に設けられる。これらの下側十字形部材255は枢支ピン206に溝258を効果的に形成し、その場合、一体成形リンク202の隆起リブ254が、枢支ピン206の溝258内に引っ掛かって枢支ピン206を所定位置に保持するように構成される。
【0027】
図4および図5に示されるように、アセンブリ全体は、ハウジング208の後端260のほぼ近傍でハウジング208に配置される。具体的には、図4〜6に示されるように、作動機構246はハウジング208の開口262内に配置されるのが好ましく、この場合、開口262は一対の離間されたフランジ264間に設けられ、また、作動機構246は、好ましくは金属から形成されるピン266と相対して装置200に取り付けられる。
【0028】
図5〜7に見られるように、ナット部材204は下側基部270に形成されるネジ268を有し、また、ナット部材204は、一対の離間する長尺アームまたは取り付け部272を備える直立二股部を含む(特に図7参照)。取り付け部272は、実際には、キャリッジ構造を規定し、ネジ268とほぼ一体を成す。取り付け部272にはそれぞれ、プランジャ238が挿通して延びる開口274(特に図5、8、9参照)と、枢支ピン206を受けるための穴248とがある。
【0029】
図8は、ナット部材204がどのようにしてプランジャ238と係合する状態へと付勢されるのかを示している。具体的には、一体成形リンク202のスプリングフィンガ部(バネフィンガ、spring finger portion)276がナット部材204の外面278と係合し、この接触が、一体成形リンク202のスプリングフィンガ部276の剛性と共に、ナット部材204を図8に示される位置に維持しようとする復元バネ力をもたらし、この場合、ナット部材204のネジ268がプランジャ238のネジ279と螺合される。この位置では、大きな移動によってプランジャ238をハウジング208内に押し込み或いはハウジング208から引き出すことができない。代わりに、プランジャ238を微小移動だけにより、すなわち、そのノブ244を回転させることにより並進させて、プランジャ238のネジ279をナット部材204のネジ268に沿って徐々に進ませなければならない。前述したように、プランジャ238のパイロットノーズ端236は、ピストン216の中心ジャーナルキャビティ240内で自由に回転するように構成される。そのため、ナット部材204のネジ268がプランジャ238のネジ部279と螺合される状態でプランジャ238を回転させることにより、一般に、ピストン216はハウジング208の流体移動チャンバ210内で回転せず、代わりに、ピストン216はハウジング208内で摺動できるだけである。
【0030】
一体成形リンク202の一体のバネ形体部(すなわち、スプリングフィンガ276)を設けるため、一体成形リンク202は、塑性変形または破損を伴うことなく撓むことができるように、高い弾性率に加えて優れた圧縮強度および良好な剛性の両方を有する材料から形成される。例えばDelrinまたはCelconとして商業的に知られるアセタール樹脂は、これらの特性を示すが、その度合いはナイロン、ポリプロピレン、または、同様の弾性材料が示す度合いよりも小さい。アセテル(Acetel)は、しばしば、その固有の潤滑性、硬度、および、環境応力、亀裂、摩耗に対する耐性と共に塑性変形または破壊を伴うことなく大きな度合いの撓みに耐えることができるその能力に起因して、高分子バネ用途において好ましい。本明細書中に開示される用途において、部品は、ナイロンおよび金属から成る嵌め合い要素に抗する回動および摺動に耐えることができなければならず、これに関しては、アセタールが特にうまく機能することが知られている。
【0031】
装置200をプランジャが係合される初期位置に維持するのに十分な戻しバネ力により、例えば米国特許第5,713,242号および第6,796,959号に示されるようなリブ(本明細書では、図2および図3で参照符号120により特定される)、および、それらを乗り越えるために必要とされる更なるユーザ労力はもはや不要である。図8に示されるようにナット部材204がプランジャ238と係合する状態へと付勢されると、ナット部材204は「中心を超えた」ロック位置にあり、この位置は、ピストン216に課される流体移動チャンバ210内の流体圧により引き起こされ得るナット部材204の任意の僅かな動きがプランジャ238とナット部材204とが緩む或いは離脱する任意の傾向をもたらすようにするのではなくプランジャ238とナット部材204とのより緊密な係合をもたらすようにする。
【0032】
ナット部材204、具体的にはそのネジ268は、プランジャ238およびピストン216を手で急速に移動させて例えばホース224に接続されてもよい或いはコネクタ226が浸漬されてもよい流体供給リザーバ(図示せず)から流体移動チャンバ210内へと生理食塩溶液を吸引できるようにするために、プランジャ238から選択的に離脱できる。また、プランジャ238からのナット部材204の離脱は、例えば、バルーンカテーテルを使用して血管内または心臓弁内に既に配置された血管形成バルーン(図示せず)を膨張させるためにホース224を通じて溶液を排出するべくプランジャ230およびピストン216を急速に前進させることもできる。また、プランジャ238およびピストン216の急速な引き込みは、血管形成バルーンの急速な収縮のための流体移動チャンバ210内への流体の迅速な吸引も可能にし得る。また、カテーテルに対する接続前に、流体移動チャンバ210内に収容される流体から全ての気泡が排除されることを保証するためにプランジャ238が操作されてもよい。
【0033】
図9に示されるようなナット部材204のネジ268とプランジャ238のネジ部279との選択的な離脱を容易にするために、ナット部材204はレバー280などの制御面を有するように設けられ(図4、8、9参照)、その場合、ナット部材204の離脱は、(図9に矢印282で表わされるように)レバー280を押し下げることによって達成される。図9に示されるようなレバー280の押し下げにより、アセンブリが旋回するとともに、一体成形リンク202のスプリングフィンガ部276がナット部材204の外面278と一緒に追従して外側に撓まされる。ナット部材204の移動は、図8および図9に示される位置間で並進動作に沿って案内されるのが好ましい。図8および図9の位置間の動作におけるナット部材204の動きは、実際は、減少する湾曲経路の動きであり、したがって、完全に直線的ではない。ナット部材204のレバー280が押し下げられると、一体成形リンク202のスプリングフィンガ部276が屈曲されるようになり、それにより、一般に、図8に示される位置へと戻ろうとするアセンブリの付勢が生み出される。したがって、レバー280を解放すると、アセンブリは図8に示される位置へ戻る。図8はナット部材204の通常の非作動位置を示しており、この位置では、ナット部材204のネジ268がプランジャ238のネジ部279と係合する状態へと付勢され、それにより、プランジャ238が大きな移動に関してロックされる。しかしながら、プランジャ238の微小な移動は、そのノブ244を回転させて、プランジャ238のネジをナット部材204のネジ268に沿って徐々に進ませることによって可能である。
【0034】
一方、図9は、ユーザがナット部材204のレバー280を押し下げるときに生じるものを示している。図示のように、これにより、ナット部材204が旋回(traverse)し、ナット部材204のネジ268がプランジャ238のネジ部279から離脱されるようになる。そのような位置では、プランジャ238をハウジング208内へと前方に押し込むことによって或いはプランジャ238をハウジング208から引き戻すことによってプランジャ238を流体移動チャンバ210内で軸方向に並進させることができる。言い換えると、プランジャ238の押し込み或いは引き戻しは、ナット部材204がプランジャ238と係合されるときに防止される。しかしながら、ナット部材204のレバー280を押し下げることにより、ナット部材204がプランジャ238から離脱し、それにより、プランジャ238を押し引きすることができる。
【0035】
単に随意的であるが、ナット部材204は、図6〜9に示されるようにカム形体部284を含むことが好ましい。ナット部材204のレバー280が押し下げられると、図9に示されるように、一体成形リンク202のスプリングフィンガ276はカム284上に乗り上がらなければならない。カム284は、閉塞力(すなわち、作動機構246全体が図8に示される位置へ戻る傾向)を高めて、休止位置(図8参照。この位置では、ナット部材204のレバー280が押圧されない)がナット部材204によって完全に得られるようにする明確な場所を与える役目を果たすが、カム形体部を伴わない場合にはこの休止位置を画定できない。カム形体部284は、ナット部材204がプランジャ238と係合されるかどうかに関して、聴覚および触覚の両方のフィードバックをユーザに与える。より明確なフィードバックを与えるため、カム形体部284は、スプリングフィンガ276が乗り越えてその後に戻り越えるための急な段差を与えるように構成されてもよい。これにより、スプリングフィンガ276はカム284を越えてスナップ係合し、それにより、ネジ268とプランジャ238との解放位置または係合位置に関する聴覚および触覚の更に明確なフィードバックがユーザに与えられる。
【0036】
図5、6、8、9に示されるように、装置200は、米国特許第6,796,959に示される装置に良く似た、ハウジング208内に受けられるキャリア部材290を含むことが好ましい。図6および図10〜17に示されるように、キャリア部材290は、略中空の、略円筒状の部品の形態を成して設けられてもよい。キャリア部材290は、ハウジング208と同様に、プラスチックから形成されてもよい。実際には、キャリア部材290およびハウジング208が同じ樹脂から形成されてもよい。
【0037】
図5、6、10、11、15、17に示されるように、キャリア部材290は離間した壁298、300を有し、壁298、300には、プランジャ238が挿通して延びる開口294と、作動機構246を装置200に対して固定するピン266を保持する開口296とが設けられる。より具体的には、キャリア部材290がピン266を支持し、また、ピン266が一体成形リンク202の孔275を貫通して延び、それにより、ピン266が一般に作動機構246を装置200に対して保持する。
【0038】
図6に示されるように、壁298はキャリア部材290の前面を規定し(キャリア部材290の前方からの視野を与える図10も参照)、また、壁300はキャリア部材290の後面を規定する(キャリア部材290の後方からの視野を与える図11も参照)。部分壁302がキャリア部材290の前壁298と後壁300との間で延びる。壁298と壁300との間に切り欠き304が形成され、また、ナット部材204が切り欠き304内に配置される(図5参照)。ピン266がキャリア部材290に設けられる開口296を貫通して延び、また、キャリア部材290は、一般に、ピン266が容易に軸方向に移動しないようにピン266を保持する。図6に示されるように、ピン266には、該ピンがキャリア部材290に取り付けられるときにピン266が軸方向に並進するのを防止するのに役立つ刻み付き端部306が設けられてもよい。
【0039】
図6および図10〜15に示されるように、キャリア部材290の外面310には、キャリア部材290の後端のほぼ近傍に突出面308が設けられる。ハウジング208には、該ハウジングの後端206に、キャリア部材290に設けられる突出面308間の中断部を受けるための対応する内側に面するフランジ312が設けられる。ハウジング208のフランジ312およびキャリア部材290の突出面308間の中断部は、キャリア部材290をハウジング208の端部260の孔314内に挿入した後に回転させてキャリア部材290をハウジング208内に固定できるようにすることが好ましい。具体的には、キャリア部材290およびハウジング208は、キャリア部材290を1/4回転バヨネット配置によりハウジング208の孔314内にハウジング208の後部を通じて取り付けることができるように構成され、この場合、キャリア部材290は、孔314内に軸方向で挿入された後、キャリア部材290を所定位置にロックするために1/4回転が与えられる。
【0040】
キャリア部材290は、キャリア部材290の前壁298と後壁300との間で延びる部分壁302の一部として形成されるラッチフィンガ316を含む。ラッチフィンガ316は、ハウジング208の内壁に設けられる内側延出リブ318と係合するのが好ましい(図6参照)。具体的には、ラッチフィンガ316は、キャリア部材290をハウジング208の孔314内の所定位置にほぼロックする態様でハウジング208の内側延出リブ318と係脱する。ラッチフィンガ316および内側延出リブ318は、ラッチフィンガ316が内側延出リブ318と係脱するときに可聴ノイズが引き起こされるように構成されるのが好ましい。ノイズは、キャリア部材290が孔314内に完全に取り付けられるという可聴表示を装置200の組立者に与えるのに十分大きい。
【0041】
ハウジング208の内壁には、リブ318の真向かい(すなわち、リブ318からハウジング208の内壁に沿って180°)に、他の内側延出リブ320が設けられるのが好ましい。キャリア部材290の外面310には、キャリア部材290の突出部308からキャリア部材290の前端へ向けてほぼ延びる突出面322が設けられる。キャリア部材290が孔314内に挿入されると、突出面308がハウジング208のリブ318、320(図5および図8〜10参照)の基端に当接して、キャリア部材290が孔314内へと軸方向に深く入り込み過ぎることが防止される。言い換えると、突出面308とリブ318、320との係合は、取り付け中に孔314内へのキャリア部材290の軸方向移動を制限する。突出面308がリブ318、320と接触すると、キャリア部材290は、それが完全に取り付けられるように回転される。好ましくは、キャリア部材290のラッチフィンガ316がハウジング208の内側延出フランジ318と係脱するだけでなく、キャリア部材290の突出面308がハウジング208の内面の対向する内側延出フランジ312の背後に係合する。キャリア部材290が孔314内に完全に取り付けられると、キャリア部材290を孔314から軸方向に容易に引き出すことができず、また、キャリア部材290をハウジング208に対していずれの回転方向にも容易に回転させることもできない。キャリア部材290がハウジング208内に適切に取り付けられると、キャリア部材290の切り欠き304がハウジング208の開口262とほぼ位置合わせされる。
【0042】
ナット部材204、一体成形リンク202、および、ピン206(すなわち、作動機構246)は、図4、8、9に示されるようにナット部材204のレバー280が容易なアクセスのためにハウジング208の開口262からほぼ延出するようにキャリア部材290の切り欠き304内およびハウジング208の開口262内に受けられる。キャリア部材290はハウジング208に対して強固に係合され、また、作動機構246を固定するピン266はキャリア部材290により保持される。
【0043】
キャリア部材290は、プランジャ238が流体移動チャンバ210内を前方に並進されるときの使用中の力に耐えるように構成される。装置の組み付けの説明に関連して以下で更に十分に説明するように、キャリア部材290は、装置200をハウジング208の後部から組み付ける(すなわち、後ろから装填する)ことができるようにする。また、図5に示されるように、キャリア部材290は、プランジャ238の中心線からハウジング208の内壁242までの距離をプランジャ238の中心線からピン266までの距離よりも大きくできるようにする。
【0044】
更にまた、装置200の構造は、キャリア部材290を含むことにより、部品の多くが異なるサイズの装置と適合するようにこれらの部品が汎用品となるようにする。具体的には、ナット部材204およびプランジャ238は、異なるサイズの装置と関連して、具体的には異なるサイズの流体移動チャンバを有する装置と関連して使用されてもよい。図示のキャリア部材290は、図示の流体移動チャンバと同じ大きさの或いは図示の流体移動チャンバよりも小さい流体移動チャンバと共に使用されるように形成される。無論、原寸に比例していない図に描かれるよりも大きい或いは小さいサイズの装置を設けることができる。
【0045】
キャリア部材290を装置に含ませることにより与えられる全ての利点にもかかわらず、代わりに、例えば参照することにより本願に組み入れられる米国特許第5,713,242号に開示されるように、キャリア部材を有しないように装置を設けることができる。
【0046】
それにもかかわらず、装置200は、使用中にユーザが装置200の握りを変える必要がないように構成される。プランジャ238の離脱を行なうためにナット部材204のレバー280が押圧される必要は全くなく、また、プランジャ係合位置とプランジャ離脱位置との間で前後に移動するためにリブ(図2および図3に参照符号120により特定される)を乗り越える必要がない。また、レバー280の解放は、即時のプランジャ238の再係合をもたらす。装置200をプランジャ係合初期状態(図8に示される)に維持するのに十分な一体成形リンク202のスプリングフィンガ276により与えられる戻しバネ力により、ハウジング208の戻り止め或いはリブ、および、それらを乗り越えるために必要とされる更なるユーザ労力はもはや不要である。
【0047】
ここで、装置200を組み付ける方法を、装置が実際に例えば米国特許第6,976,959号に開示されるようなキャリア部材290を含む状況において説明する。装置200を組み付けるため、ホース224がハウジング208に取り付けられてもよい。その後、圧力計アセンブリ228がハウジング208と螺合される。その後、シール部材218がピストン216に嵌め付けられる。これを容易にするため、図6に示される塗布器332により例示されるように潤滑剤を使用できる。その後、ピストン216がハウジング208の孔314内に滑り込まされる(すなわち、図5の右から左へ)。言い換えると、ピストン216が装置200内へ後ろから装填される。その後、キャリア部材290が同様にハウジング208の後部からハウジング208に取り付けられる。前述したように、この取り付けは、キャリア部材290を孔314内へ軸方向で挿入した後に1/4周り回転することによりキャリア部材290をハウジング208に対して所定位置にロックする1/4回転バヨネット型取り付けによってなされてもよい。前述したように、キャリア部材290のロックフィンガ316は、キャリア部材290が完全に適切に取り付けられると、スナップ係合音またはクリック音を発することが好ましい。キャリア部材290がハウジング208内に適切に取り付けられると、キャリア部材290の切り欠き304がハウジング208の開口262とほぼ位置合わせされる。その後、作動機構246を開口262に取り付けることができる。しかしながら、作動機構246が取り付けられる前に、作動機構246を組み付けなければならない。
【0048】
作動機構246を組み付けるために、一体成形リンク202がナット部材204にクリップ留めされ、一体成形リンク202をナット部材204に固定するために枢支ピン206が使用される。一体成形リンク202をナット部材204に固定するために枢支ピン206が使用される前であっても、一体成形リンク202は、一体成形リンク202の一体のバネ形体部276により与えられるバネ力に起因して、ナット部材204に対して所定位置にとどまる傾向がある。一体成形リンク202をナット部材204に固定するため、枢支ピン206が、ナット部材204の一方の穴248と一体成形リンク202の通路250とを通じて、ナット部材204の他方の穴248内へ押し込まれ、それにより、アセンブリが効果的に形成される。図18に示されるように、枢支ピン206が所定位置にあると、一体成形リンク202の中心リブ254が枢支ピン206の小径中間部252と係合し、それにより、枢支ピン206が一体成形リンク202に対して所定位置にロックされる。作動機構246が組み付けられると、作動機構246を開口262内に挿入できるとともに、作動機構246を固定するためにピン266を使用できる。
【0049】
作動機構246が装置200に取り付けられた後、作動機構246のレバー280が押し下げられ、プランジャ238がハウジング208の後端260内へと軸方向に挿入されてピストン216と係合する。具体的には、プランジャ238のノーズ端236が、孔314に挿通されるとともに、ナット部材204に設けられる孔274に挿通されて、流体移動チャンバ210内のピストン216とスナップ式に係合する。その後、作動機構246のレバー280を解放することができ、その後、装置200を操作できる。
【0050】
前述したように、装置が米国特許第6,976,959にしたがって設けられて後方装填のキャリア部材290を含むと仮定すると、装置は、後方から組み付けられるように構成される。具体的には、ピストン216およびキャリア部材290の両方がハウジング208の後方で取り付けられる。装置が後方から組み付けられるようにすることにより、ハウジング208を単一の一体品として設けることができる。ハウジング208の前部をハウジング208の一部として成形することができ、また、計器228をハウジング208に取り付けるために余分な取り付け具またはクランプカバーを使用する必要がない。計器228をハウジング208と直接に係合させることができる。そのため、構造は、装置が米国特許第5,713,242号に示される装置と一致するように設けられた場合よりも少ない部品を有するとともに少ない労力で済む。また、装置200の前部がハウジング208の残りの部分と一体であるため、装置200の前部をシールすることに関して問題が存在しない。更に、装置200の前部における視認性が向上され、これは、使用前に気泡の全てをチャンバ210からパージすることにより装置200をプライミングしようとするユーザにとって有益である。ハウジング208が単一品として成形されるようにすることにより、単一の成形工程でハウジング208を製造でき、それにより、構成要素およびモールドのコストが低減され、生じる廃棄物が少なくなるとともに、製造・組み付けプロセスが合理化される。
【0051】
また、装置200の構造は、キャリア部材290を含むことにより、部品の多くが異なるサイズの装置と適合するようにこれらの部品が汎用品となるようにする。例えば、図示のキャリア部材290は、図示の流体移動チャンバと同じ大きさの或いは図示の流体移動チャンバよりも小さい流体移動チャンバ210と共に使用されるように形成される。
【0052】
キャリア部材290の使用が幾つかの利点を与えるという事実にもかかわらず、キャリア部材290の使用が本発明を用いるのに不可欠ではない。前述したように、本発明は、例えば、キャリッジ部材を含まない米国特許第5,713,242号に開示される装置と関連して使用することができる。
【0053】
本明細書中に開示される作動機構246から得られる利点は、単一の一体成形リンク202と引き換えに、例えば米国特許第5,713,242号および第6,796,959号に開示されるような一対のリンクの排除を含み、一体成形リンク202は、その一体のバネ形態により、嵌め合うナット部材204に対して正確に所定位置にクリップ留めされ得るその能力によって自動固定し、それにより、枢支ピン206および作動機構246を装置200に固定するピン266の挿入を受けるべくそれ自体を完全に保持するように形成される。米国特許第5,713,242号および第6,796,959号に記載される構造を用いると、組み付けには、第1のリンクをその受け入れ孔に位置合わせして滑り込ませた後、第2のリンクをその受け入れ孔へ逆さまに挿入し、その後、第2のリンクを180°回転させてそれを第1のリンクと位置合わせさせる必要があった。非常に多くの操作、したがって、非常に多くの組み付け時間を伴った。これに対し、本明細書中に開示される作動機構246の組み付けは、一体成形リンク202がその一体の板バネ要素276によりそれ自体を保持する場合には一体成形リンク202をナット部材204に対してクリップ留めすること、および、ナット部材204および一体成形リンク202の両方に枢支ピン206を挿通してアセンブリを互いに保持することを伴うにすぎない。前述したように、枢支ピン206には、一体成形リンク202に設けられてピン206を所定位置にロックする中心リブ254を受ける小径中間部252が形成されるのが好ましい。この安定した互いにロックされたサブアセンブリは、膨張装置のその後の組み付けを容易にする。これは、作動機構246を装置200に取り付けるためにピン266が使用される前に更なる位置合わせを必要とするルーズな部品または遊度のある部品が存在しないからである。また、一体成形リンク202は、ピン206、266を受けるように自動的に位置決めされるようになる。これに対し、米国特許第5,713,242号および第6,796,959号に開示される装置では、一対のリンクをそれらのそれぞれの孔内で自由に独立に回転させる必要があるため、これらのリンクがその後の膨張装置の組み付け中にピンを受けるために常に互いに位置合わせされた状態のままであること或いはナット部材内に適切に位置していることを確かめることができなかった。また、完成装置の製造業者も、戻り止め機構(すなわち、リブ)の排除による明確な利点に気付く。これは、戻り止めの妨害レベルが組み付け時に相互依存的となる3つの独立部品からの制御困難な公差変動の積であることに起因して、一貫した戻り止め抵抗を得ることが難しいからである。
【0054】
一対のリンクの代わりに一体成形リンク202を設ける大きな更なる利点は、枢支ピン206およびプランジャ238の嵌め合いネジ279の両方に対するナット部材204のより正確な長手方向の位置合わせを維持できる一体成形リンク202の能力である。正確な長手方向の位置合わせは、2つの別々のリンクを用いる以前においては不可能であった。これは、それぞれのリンクが自由に回動して他方のリンクとの位置合わせ状態から僅かに外れ、その結果、ナット部材が係合操作中および離脱操作中に僅かにねじれ或いは撓んでプランジャの軸との位置合わせ状態から外れる可能性があったからである。そのようなねじれは、プランジャおよびピンが互いに正確な平行位置合わせ状態に維持された場合であっても起こり得るものであった。この望ましくない撓みは、嵌め合いネジ部品に対して悪影響を与える可能性があり、それにより、最大圧力使用状態中の離脱の間にわたって、最も高負荷のネジの不均一な荷重および偶発的な削れがもたらされる。一体成形リンク202は、2つの独立のリンクと比べてねじれや撓みの可能性が低く、したがって、よりロバスト性が高い機構をもたらす。
【0055】
本明細書中に開示される作動機構246の他の利点は、構造の自己完結的な性質、すなわち、ナット部材204をプランジャ238との恒常的な係合状態へと付勢するために必要な推力を得るために任意の更なる外部構造に抗して作用しなければならないことからのその独立性である。代わりに、係合は、緩やかな無応力状態に達するためにナット部材204をピン206へ向けて絶えず引き寄せる一体成形リンク202のバネ要素276の推力によってもたらされる。この自己完結的作用は、全体の装置構造を簡略化させるとともに、古い構造を生産したままの状態で新規な構造の段階的な導入を可能にするために一体成形リンク202が組立ラインで以前の対を成すリンク機構と共存できるようにする。医療装置は高度に調整され、また、僅かな変化であってもそれらが受け入れられ得る前にそれぞれの顧客によって適切に評価されて検証されなければならない。それぞれの全ての顧客による広範囲に及ぶ検証作業の必要性および出版された取扱説明書の変更の必要性に起因して、新たな機構への全面的な変更は不可能であり、また、顧客が1つずつ切り換えると同時に両方の構造を製造しなければならない場合には所定の期間が存在する。この機構を収容するより大きな装置構造を変える必要がないことにより、全体の工具費用が低減され、工程変更が排除されるとともに、装置のハウジング208の構造に関してプロセスおよび構成部品の再検証が不要になり、その結果、新たな構造の市場導入が簡略化されて促進される。
【0056】
前述したように、図4〜6は、本発明の特定の実施形態に係る流体移動装置200を示しており、また、この装置については先に詳しく説明してきた。図19〜20は、本発明の別の実施形態に係る流体移動装置200aを示している。この別の実施形態は多くの同じ部品を有する。したがって、同一の参照符号が使用されるとともに、図19〜20に示される実施形態を説明する際にはそれらの部品の詳しい説明が省かれる。
【0057】
2つの実施形態間(すなわち、流体移動装置200と流体移動装置200aとの間)の唯一の違いは、ナット部材204のレバー280の形態を成す制御面を設ける代わりに、流体移動装置200aの制御面が一体成形リンク202aのレバー280aの形態で設けられるという点である。したがって、図4〜6に示される流体移動装置200と図19〜20に示される流体移動装置200aとの間の唯一の違いは、流体移動装置200aの一体成形リンク202aおよびナット部材204aが流体移動装置200の一体成形リンク202およびナット部材204とは異なって形成されるという点である。一体成形リンク202aおよびナット部材204aの好ましい形状および構造が図19〜20に示されており、図21は、一体成形リンク202a、ナット部材204a、および、枢支ピン206を備える作動機構246aを示している。
【0058】
作動時、図19〜20に示される流体移動装置200aは、(流体移動装置200と関連して行われるように)装置をトグル切り換えするためにナット部材204のレバー280の形態を成す制御面を押圧する代わりに流体移動装置200aが該装置をトグル切り換えするために一体成形リンク202aのレバー280aの形態を成す制御面を押圧するようになっている点を除き、図4〜6に示される前述した流体移動装置200と同じように効果的に機能する。図22は、プランジャ238と係合する状態へと付勢されるナット部材204aを示しており、図23は、プランジャ238との係合から離脱されるように移動されるナット部材204aを示している。
【0059】
(流体移動装置200と関連して設けられるように)ナット部材に制御面を設けるよりも(流体移動装置200aと関連して設けられるように)一体成形リンクに制御面を設ける方が好ましい。これは、それによってナット部材の構造、したがって工具が簡略化され、一体成形リンクの構造および製造の容易さに対する影響を最小限に抑えつつナット部材を更に容易に製造できるからである。
【0060】
図24は、好ましくは流体移動装置200または200aと同じ部品を全て有する流体移動装置と関連して、前述した作動機構246、246aのうちのいずれか1つの代わりに使用され得る別の作動機構246bを示している。前述した作動機構246、246aと同様に、図24に示される作動機構246bはナット部材204bと枢支ピン206とを含む。ナット部材204bはナット部材204aと全く同じであるが、一体成形リンク204bは一体成形リンク204aと異なる。具体的には、一体成形リンク202aに設けられるようなレバー280aの形態の制御面を設ける代わりに、図24に示される一体成形リンク202bは、一体成形リンク202bの表面の形態を成す制御面を備える。
【0061】
作動時、図24に示される作動機構246bを使用する流体移動装置は、ナット部材204のレバー280または一体成形リンク202aのレバー280aの形態の制御面を押圧する代わりに制御面280bが押圧されて装置が作動される点を除き、前述した流体移動装置200、200aと殆ど同じように機能する。
【0062】
本発明の特定の実施形態が図示されて説明されるが、前述した開示の思想および範囲から逸脱することなく当業者が本発明の様々な改良を案出できることが想起される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、該ハウジング内へと延びるプランジャとを有する流体移動装置のためのトグルロック機構であって、
前記機構を自動ロック状態へと引き寄せるための付勢力を与えるように構成されるリンクであって、付勢力を与える前記リンクに抗してロック部材をきつく引き込むことにより付勢力を与えるように構成されるリンクを有するトグルロック機構。
【請求項2】
前記ロック部材は、プランジャのネジと係合する状態へと付勢されるネジを有するが前記プランジャのネジから選択的に離脱できるナット部材を備える請求項1に記載のトグルロック機構。
【請求項3】
前記リンク部材は、前記ナット部材を前記プランジャから離脱させるように押圧できる制御面を有する請求項2に記載のトグルロック機構。
【請求項4】
枢支ピンが前記リンクを前記ロック部材に固定する請求項1に記載のトグルロック機構。
【請求項5】
前記リンクのリブが前記枢支ピンと係合して該枢支ピンを前記リンクに固定する請求項4に記載のトグルロック機構。
【請求項6】
前記ロック部材がカム面を備え、
前記リンクは、該リンク部材の制御面が押圧されるときに前記ロック部材の前記カム面に乗り上がるスプリングフィンガを有する
請求項1に記載のトグルロック機構。
【請求項7】
前記カム面は、前記ロック部材が前記プランジャと係合されるかどうかに関する聴覚フィードバックおよび触覚フィードバックのうちの少なくとも一方を与えるように構成される請求項6に記載のトグルロック機構。
【請求項8】
ハウジングと、該ハウジング内へと延びるプランジャとを有する流体移動装置の作動機構であって、
前記プランジャと係合する状態へと付勢されるが前記プランジャから選択的に離脱できるナット部材を備える作動機構。
【請求項9】
リンク部材が、前記ナット部材を前記プランジャから離脱させるように押圧できる制御面を有する請求項8に記載の作動機構。
【請求項10】
前記ナット部材は、前記プランジャの対応するネジと係合するネジを備える請求項8に記載の作動機構。
【請求項11】
前記作動機構は、
前記ナット部材上にある単一リンクと、
該単一リンクを前記ナット部材に固定する枢支ピンとを備える
請求項8に記載の作動機構。
【請求項12】
前記単一リンクは、前記ナット部材の外面と接触するスプリングフィンガを有する請求項11に記載の作動機構。
【請求項13】
前記スプリングフィンガは、前記ナット部材が前記プランジャと係合する状態へと付勢されるようにするべく構成される請求項12に記載の作動機構。
【請求項14】
前記スプリングフィンガは、前記ナット部材のカム面と接触して、前記ナット部材が前記プランジャと係合されるかどうかに関する聴覚フィードバックおよび触覚フィードバックのうちの少なくとも一方を与える請求項12に記載の作動機構。
【請求項15】
プランジャを有する流体移動装置を組み立てる方法であって、
単一リンクをナット部材に固定することにより作動機構を組み立てるステップと、
前記作動機構を前記流体移動装置に固定するステップと、
前記作動機構を作動させるステップと、
前記プランジャを前記作動機構に突き通すステップと、
前記作動機構の作動を解除して前記ナット部材を前記プランジャと係合させるステップと
を備える、方法。
【請求項16】
前記作動機構を組み立てる前記ステップは、
単一リンクとナット部材とを係合させるステップであって、前記単一リンクが、前記ナット部材の外面と接触する単一リンクのスプリングフィンガ部に起因して前記ナット部材と係合された状態にとどまるようになっているステップと、
枢支ピンを使用して前記単一リンクを前記ナット部材に固定するステップと
を備える請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記枢支ピンを使用して前記単一リンクを前記ナット部材に固定する前記ステップは、前記単一リンクのリブを前記枢支ピンと係合させて該枢支ピンを前記単一リンクに対して固定することを含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記作動機構を流体移動装置に固定する前記ステップは、ピンを使用して前記作動機構を固定することを含む請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記作動機構を作動させる前記ステップは、リンクの制御面を押圧することにより前記ナット部材を前記単一リンクに対して旋回させることを含む請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記作動機構の作動を解除する前記ステップは、リンク部材の前記制御面を解放することにより前記ナット部材を前記プランジャと係合する状態へと移動させることを含む請求項19に記載の方法。
【請求項1】
ハウジングと、該ハウジング内へと延びるプランジャとを有する流体移動装置のためのトグルロック機構であって、
前記機構を自動ロック状態へと引き寄せるための付勢力を与えるように構成されるリンクであって、付勢力を与える前記リンクに抗してロック部材をきつく引き込むことにより付勢力を与えるように構成されるリンクを有するトグルロック機構。
【請求項2】
前記ロック部材は、プランジャのネジと係合する状態へと付勢されるネジを有するが前記プランジャのネジから選択的に離脱できるナット部材を備える請求項1に記載のトグルロック機構。
【請求項3】
前記リンク部材は、前記ナット部材を前記プランジャから離脱させるように押圧できる制御面を有する請求項2に記載のトグルロック機構。
【請求項4】
枢支ピンが前記リンクを前記ロック部材に固定する請求項1に記載のトグルロック機構。
【請求項5】
前記リンクのリブが前記枢支ピンと係合して該枢支ピンを前記リンクに固定する請求項4に記載のトグルロック機構。
【請求項6】
前記ロック部材がカム面を備え、
前記リンクは、該リンク部材の制御面が押圧されるときに前記ロック部材の前記カム面に乗り上がるスプリングフィンガを有する
請求項1に記載のトグルロック機構。
【請求項7】
前記カム面は、前記ロック部材が前記プランジャと係合されるかどうかに関する聴覚フィードバックおよび触覚フィードバックのうちの少なくとも一方を与えるように構成される請求項6に記載のトグルロック機構。
【請求項8】
ハウジングと、該ハウジング内へと延びるプランジャとを有する流体移動装置の作動機構であって、
前記プランジャと係合する状態へと付勢されるが前記プランジャから選択的に離脱できるナット部材を備える作動機構。
【請求項9】
リンク部材が、前記ナット部材を前記プランジャから離脱させるように押圧できる制御面を有する請求項8に記載の作動機構。
【請求項10】
前記ナット部材は、前記プランジャの対応するネジと係合するネジを備える請求項8に記載の作動機構。
【請求項11】
前記作動機構は、
前記ナット部材上にある単一リンクと、
該単一リンクを前記ナット部材に固定する枢支ピンとを備える
請求項8に記載の作動機構。
【請求項12】
前記単一リンクは、前記ナット部材の外面と接触するスプリングフィンガを有する請求項11に記載の作動機構。
【請求項13】
前記スプリングフィンガは、前記ナット部材が前記プランジャと係合する状態へと付勢されるようにするべく構成される請求項12に記載の作動機構。
【請求項14】
前記スプリングフィンガは、前記ナット部材のカム面と接触して、前記ナット部材が前記プランジャと係合されるかどうかに関する聴覚フィードバックおよび触覚フィードバックのうちの少なくとも一方を与える請求項12に記載の作動機構。
【請求項15】
プランジャを有する流体移動装置を組み立てる方法であって、
単一リンクをナット部材に固定することにより作動機構を組み立てるステップと、
前記作動機構を前記流体移動装置に固定するステップと、
前記作動機構を作動させるステップと、
前記プランジャを前記作動機構に突き通すステップと、
前記作動機構の作動を解除して前記ナット部材を前記プランジャと係合させるステップと
を備える、方法。
【請求項16】
前記作動機構を組み立てる前記ステップは、
単一リンクとナット部材とを係合させるステップであって、前記単一リンクが、前記ナット部材の外面と接触する単一リンクのスプリングフィンガ部に起因して前記ナット部材と係合された状態にとどまるようになっているステップと、
枢支ピンを使用して前記単一リンクを前記ナット部材に固定するステップと
を備える請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記枢支ピンを使用して前記単一リンクを前記ナット部材に固定する前記ステップは、前記単一リンクのリブを前記枢支ピンと係合させて該枢支ピンを前記単一リンクに対して固定することを含む請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記作動機構を流体移動装置に固定する前記ステップは、ピンを使用して前記作動機構を固定することを含む請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記作動機構を作動させる前記ステップは、リンクの制御面を押圧することにより前記ナット部材を前記単一リンクに対して旋回させることを含む請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記作動機構の作動を解除する前記ステップは、リンク部材の前記制御面を解放することにより前記ナット部材を前記プランジャと係合する状態へと移動させることを含む請求項19に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2013−94676(P2013−94676A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−238330(P2012−238330)
【出願日】平成24年10月29日(2012.10.29)
【出願人】(502343160)アトリオン メディカル プロダクツ インコーポレーテッド (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−238330(P2012−238330)
【出願日】平成24年10月29日(2012.10.29)
【出願人】(502343160)アトリオン メディカル プロダクツ インコーポレーテッド (9)
【Fターム(参考)】
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