説明

流動床燃焼装置への燃焼物の投入方法及び装置

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、流動床燃焼装置が液状、固体、泥状、気体を問わず投入物を燃焼にさらして、可燃分は高効率で着火燃焼させ、水分は完全に蒸発揮散させる点に着目し、各種雑多な燃料又は廃棄物を一つの装置で燃焼させる燃料多様化ボイラや、廃棄物焼却炉に関する。特には下水汚泥、し尿汚泥を混焼する都市ごみ焼却炉、工場から出る雑芥、梱包材、生産プロセスの残渣や副成物、書類その他の廃棄物と排水処理で出る汚泥を混焼する廃棄物焼却炉や、廃棄物焼却を兼ねた廃棄物と石炭、オイルコークス等との混焼ボイラに適用されるものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の設備は、図5に示すように、類似した性状のものを別途例えば汚泥ピット31:破砕ごみピット33に受け入れ、各々定量的に切出機34、35により切出し、コンベア36、37及びフィーダ38、39により流動床燃焼装置10に供給していた。なお、40は熱しゃ断ダンパである。少くとも泥状物と固形物は、別途の供給装置により、各々定量的に切り出して燃焼装置に供給するとか、泥状物を定量的に固形物の供給装置に供給するなどの方法をとっていた。但し、例えば泥状物又は固形物が他の一方に対して極端に量が少い場合、少量のものを他方の受入貯留槽などに単に投入し処理する例はあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、固形物と泥状物を一緒に燃焼できない理由として次の諸点がある。
■ 運転の安定を保ち、良好な燃焼を行い、ボイラであれば発生蒸気の圧力、温度を一定に保ち、又、燃焼排ガスの処理(冷却、除塵、除有害ガス、排気等)やそれに伴い発生する洗煙排水、捕集灰等に対する公害規制値を満たす等の性能上の要請がある。一方、燃焼物の物性が変化すると、燃焼に必要な理論空気量、かさ密度変化に伴う供給量変化、燃焼時の発熱量の変化、燃焼時の発生排ガス量の変化等が生じる。従って、その変化がはなはだしければ制御によって追従できる範囲を越えて、運転するに際し満足しなくてはならない上記性能が得られなくなってしまう。従って、類似した性状のものを別途に管理しながら定量的に供給する方式をとる事で全体としての供給物物性の安定を保った。
【0004】■ ハンドリング上の要請泥状物は流動性があり、付着しやすいし、又破砕の必要はない。これに対し、固形物は流動性がわずかで、ブリッジを起こす可能性もあり、大きなものについては定量性を得、円滑に移送供給するために破砕する必要があり、また、ひも状のものはからみ易い。このように、両者は、受け入れ、貯留し、移送し、切り出し、投入する各ハンドリングは全く異なる。又、必要動力も大きく異なり、各々の物性に応じたものとする必要がある。これに伴い、センサーの形式も全く別のものを用いる必要がある。例えばレベル計の場合、泥状物では静電容量式が有効であるが、固形物主体の場合、マイクロ波式が有効である。
【0005】また、配管移送の場合、泥状物はスネークポンプなど容積式ポンプと配管による移送となるのに対し、乾燥固形物は空気輸送配管による移送である。泥状物用のベルトコンベヤによる移送では、ベルト付着物のリターン部での剥離に留意せねばならず、固形物のスクリューコンベヤによる移送ではスクリューへののみこみ部におけるブリッジや圧縮塊形成対策や軽い固形物の飲みこみ不良(スクリューへの飲みこみのドライビングフォースは重力しかないため、軽くかさばるものはちょっとしたひっかかり等でブリッジしてスクリュー部に落ちていかなくなる)対策を留意しなくてはならない。
【0006】なお、ストーカ式やバッチ式、ロータリーキルン式等に比較して定量性が特に流動床燃焼装置で問題となる。これは流動床が、燃焼物を流動床で流動媒体にてもみながら流動床と激しい熱の授受を行い、蒸発、着火、燃焼等を行うために、それらの現象の速度がけた違いに速く、塊状物であっても燃料比が1〜2以下で、硅素と化合し難燃化しているなどの反応上の特殊性がなければ、通常1〜2分位で燃焼し尽くしてしまう。このため時間による平滑化、均等化がほとんど期待できないという装置上の特殊性があるためである。
【0007】しかしながら別々に供給することに伴う問題もあった。すなわち、固形物の供給装置にあっては、固形物間にすきまがあるため、燃焼装置内部と外気との間に圧力差があると、固形物のすきまを通って供給装置より大気が吸いこまれたり、逆に燃焼装置内のガスが吹き出したりする事がさけられない。また、燃焼装置内の熱を受けて固形物が供給装置において着火した場合、運転中では常時燃焼装置に投入しているため問題ないものの、運転停止中では、それが上流側に延焼し、供給装置内に燃えひろがる可能性がある。このために、供給装置と燃焼装置のあいだには、供給装置に燃焼装置の熱が移るのを少くとも運転停止中は防止するための、熱しゃ蔽機構(例えばスイング式ダンパ)が不可欠であった。このため、供給装置と燃焼装置は熱しゃ蔽機構付シュートが不可欠となり、そのシュート高さの分、供給装置全体は高い位置とする必要があった。乾燥粉が固形物に含まれている場合、ピット攪拌や供給装置の投入時など、クレーンから落とす際に粉が飛散し、ピット周囲が粉塵だらけとなり、クレーンや供給装置にとって好ましくなく、又、作業環境の劣化もはなはだしく美観もそこねることになった。
【0008】流動床燃焼装置は、砂や石灰砕石、もえがらなどの平均粒径が0.3〜3mm、通常0.5〜1.5mm程度の流動媒体と呼ばれる耐熱粒子を層高200mm〜2000mm程度につみ、その底面より空気を供給して流動化させ、温度を少くとも着火点以上の燃焼温度、通常650〜850℃に保持し、そこに燃焼物を投入するもので、投入物は流動床、又はその上部空間であるフリーボード部にて水分や油分を蒸散させ、着火、燃焼するものである。従って、従来技術によって泥状物の投入部と固形物の投入部を別途とすると、泥状物が高含水で発熱量が低いものの場合、泥状物投入部の流動床では温度が低下してしまったり、泥状物が流動床の底面の空気吹込部をふさいで流動不良部を生じる可能性がある。
【0009】また固形物においては、浮遊性のあるものは流動床に落下する前に流動床から吹き上げるガスで舞い上がりフリーボード部で燃焼する。又は軽い固形物のため流動床表面に浮いた状態で燃えてしまい、その結果、流動床への入熱が減少して流動床温度が燃焼反応には不十分なところまで下がり、本来不要の石炭や石油などの燃料による補助燃焼により流動床温度を昇温する必要が生じることがある。又、粉体などでは燃焼装置内に供給されると舞い散ると同時に装置内の熱により、着火し炉内圧の大きな変動を起こす可能性がある。着火しないまま吹き飛ばされ、灰に混入して性能上問題となる場合もある。本発明は、上記の問題点を克服するために、固形物と泥状物との燃焼物を、受け入れから流動床燃焼装置まで1本化して、設備を単純化すると同時に別々に供給することによって生じていた問題点を解決した流動床燃焼装置への燃焼物の投入方法及び装置を提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明では、固形物と泥状物とからなる燃焼物を、均質に混合して、切り出し機構をもつ供給装置から流動床燃焼装置の流動床部に投入することを特徴とする流動床燃焼装置への燃焼物の投入方法としたものである。また、本発明は、固形物と泥状物との燃焼物を混合する手段を有する貯留槽と、貯留槽からの混合した燃焼物を移送する手段と、移送した燃焼物を受け入れる底部に切り出し機構を有する供給装置とを有し、該切り出し機構の排出先を流動床燃焼装置の流動床部に接続したことを特徴とする流動床燃焼装置への燃焼物の投入装置としたものである。
【0011】上記投入装置において、供給装置に備えられた切り出し機構としては、片持ちスクリュー軸がよく、該スクリュー軸の自由側先端は流動床燃焼装置の流動床部側壁に接続されている。また、前記装置において、燃焼物を混合する手段と移送する手段は、貯留槽と供給装置上を移動可能に配備したクレーンで行うのがよく、該クレーンは、常時貯留槽内容物をつかんでは持ちあげて移動したのち放出する積かえ動作を行わせ、供給装置が空になった場合は、積みかえ動作を停止して貯留槽の内容物をつかんで供給装置に投入し、投入後は再び積みかえ動作にもどる操作を繰り返し行うように運転するのがよい。
【0012】上記のように、本発明は、固形物と泥状物を同一貯留槽に受け入れ、当該貯留槽内にてクレーンにより混合したものを、底部に切り出し機構を持つ容器に投入し、当該切り出し機構の排出先が流動床燃焼装置の流動床であるようにしたものである。又、クレーンを自動クレーンとし、前記切り出し機構を持つ固形物と泥状物の混合物の供給装置にレベル計を設け、該クレーンは常時貯留槽内容物をつかんでは持ちあげて移動したのち放出する積みかえ動作を行わせ、該レベル計が空を検知して該クレーンに投入要求信号を送付すると、つみかえ動作を停止して、ピット内容物をつかんで該切り出し機構をもつ供給装置へ投入し、その後再び該積みかえ動作にもどるようにしたものである。
【0013】
【作用】泥状物や固形物などは、車両やパイプライン、コンベヤラインを通して、通常2〜5日分の貯留容量のある天井走行クレーン設備を有するピットへ受け入れる。そこで、クレーンにより、受入位置からの移動や積みかえ、あるいは受け入れたものを均質化するためにつかんでは放出しつかみ直す事を繰り返すことにより混合を行い、供給装置付属のホッパへ投入する。この投入は、供給装置付属のホッパにピットよりクレーンバケットでつかんで直接投入する方式が単純でまちがいないが、その分クレーン高さが高くなる。そこで図4のように一旦ヒンジスチールベルトコンベヤやひれ付ゴムベルトコンベヤなど45°前後の急傾斜で搬送できる能力があり、かつクレーンバケットから投入できるだけのコンベヤ巾(通常1〜2m巾)を持つコンベヤを用い、低いコンベヤテール部に設けたホッパにクレーンバケットにて投入する方式でもよい。この場合、コンベヤはヘッド部が供給装置上部にまでのびており、供給装置付属のホッパがある場合はそのホッパに、特にない場合は供給装置に直接搬送物を投入する様に設置する。
【0014】ホッパは用意せずそのコンベヤから直接供給装置に投入する場合は供給装置入口シュートにつけたレベル計によりコンベヤを発停するなどして供給装置に投入するが、この場合コンベヤへの投入のためのホッパのレベル計のついた分メンテナンスの負担や平面専有スペースが増すが、クレーンレベルひいてはピット〜クレーンを収納する建屋高さは低くすることができる。この図4の方式は図1の応用例で、本質的には図1と同様である。このクレーンは、図1の供給装置付属ホッパのレベル計、又は図4のコンベヤへの投入のためのホッパのレヘル計によりクレーンに対し投入信号を出させることで、クレーンの自動化をはかることができる。自動クレーンによって、つみかえを連続的に行わせてそれにより上述したピットにおける混合を人手をわずらわす事なく実施でき、クレーンを遊ばせることなく投入動作以外の空時間を全て混合にふりむけ良好な混合を得ることができる。但し、クレーンソフトを複雑化しないように、ピットへの多量の受け入れ時は、この作業は自動とせず手動にて人間が確認しながら行った方がよい。
【0015】自動クレーン動作の一例を示すと次の様なものである。クレーンは常時はピッハ内容物をつかんでは持ちあげて移動したのち放出する積みかえ動作をさせておく。ホッパのクレーンによる投入を受けいれることが可能な位置にレベル計を設置し、このレベル計が空を検知することにより、クレーンに対し投入信号を発する。それにより、クレーンは実行中のつみかえ動作に投入動作をわりこませる。つまり、つみかえ動作を中断し、ピット内容物をつかんで供給装置に投入する。これを当該レベル計にて空の状況が解消するまで繰りかえす。レベル計により、空の状況が解消された事が確認されると、クレーンは再びつかみかえ動作にもどる。固形物は供給装置を円滑に通過できる寸法形状又は変形性をもつものでなければ供給装置がつまり運転に支障をきたす。その様なものに対しては供給装置に異物検知除去機能を設けるか、破砕機を通す必要がある。破砕機を通した場合、固形物を混合により均質化しやすいため都合がよい。
【0016】ピットにおいて攪拌を受けかつ、何度となく落下の衝撃を受ける結果、固形物と泥状物は互いに混合しあい、すきまは少く、またかさ密度も0.7ton/m3 前後と重くなり、流動性が生じ、ピットの貯留可能量が増す。また、供給装置へののみこみも自重が増し流動性が生じることからブリッジもなくなり、良好になる。クレーンの投入頻度も1回のつかみ量が増え、かつ供給装置の保有可能重量が増すことから投入要求頻度もへり、供給装置の動きも速度が遅くてすむよになる。供給装置における固形物のすきまを泥状物が埋めてしまうことから、かさ密度の変動が少くなり、若干供給装置において供給物をしばることにより残っていたすきまもほとんどなくなって、燃焼装置と大気との間を供給物によりシールすることが可能となる。
【0017】供給装置の末端燃焼装置内側端にて、供給物が熱を受け着火しても供給物にすきまがないこと、泥状物の水分により着火性が悪いことなどから、燃焼装置側の供給物表面がくすぶる位で供給装置内に延焼する危険性はなくなった。この結果供給装置と燃焼装置の間に熱しゃ蔽機構付シュートは不要となり、流動床側壁に直接供給装置末端をつけ供給物を供給装置末端から直下の流動床に直接落としこませる構造が可能となった。これにより熱遮蔽機構付シュートでの汚泥の付着やつまり等の可能性が一掃された。
【0018】
【実施例】以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1図1に本発明の燃焼物投入装置の概略構成図を示す。図1R>1において燃焼物投入装置は、要破砕ごみ11を入れる受入ピット1(破砕が必要でないごみの場合は不要)と、汚泥12、破砕不要ごみ13及び破砕されたごみを入れる焼却ピット(貯留槽)2と、要破砕ごみ11を破砕する破砕機3と、破砕されたごみを焼却ピット2に運ぶ破砕物コンベヤ4(破砕を必要としないごみの場合は3、4は不要)とを有し、また、これらのピットの上部にはクレーン5が移動可能に設けられている。さらに混合された燃焼物を流動床焼却炉9に投入するための上部にホッパー7と下部に切り出し機能8をもつ供給装置6を有している。
【0019】図2に、供給装置6の正面断面図を示し、図3に図2のA−A断面図を示す。図において、供給装置6の切り出し機構は片持スクタュー軸20であり、軸受け21、スクリュー軸22、スクリュー羽根23、駆動スプロケット24、ギヤ25、グランドシール26、ケーシング27、断熱材28、燃焼炉壁29、払い落とし羽根30をそれぞれ示す。
【0020】次に、上記装置の操作を説明する。クレーン5は、ピット及びホッパーの上部を移動可能に設けられており、常時は焼却ピット2の内容物をつかんでは持ちあげて移動したのち放出する積みかえ動作をさせておき、供給装置6内のホッパーに設けたレベル計が空を検知して、クレーンによる投入を受けいれるスペース上の余裕ができた事を検知するとクレーン5に対し投入信号を発する。それにより、クレーン5は行っているつかみかえ動作に投入動作をわりこませる。つまり、つみかえ動作を中断し、焼却ピット2の内容物をつかんで供給装置6に投入する。この操作を該レベル計にて空の状況が解消するまで繰りかえす。レベル計により、空の状況が解消された事が確認されると、クレーン5は再びつかみかえ動作にもどる。
【0021】汚泥とごみからなる焼却物は、焼却ピット2において攪拌を受けかつ、何度となく落下の衝撃を受ける結果固形物13と泥状物12は互いに混合しあい、すきまは少く、またかさ密度も0.7ton/m3 前後と重くなり、流動性が生じ、ピットの貯留可能量が増す。また、供給装置6の切り出し機構8へののみこみも自重が増し流動性が生じることからブリッジもなくなり良好になる。供給装置6における固形物のすきまを泥状物が埋めてしまうことからかさ密度の変動が少なくなり、若干供給装置において供給物をしばることにより残っていたすきまもほとんどなくなって、燃焼装置と大気との間を供給物によりシールすることが可能となる。
【0022】供給装置6の切り込み機構(片持ちスクリュー軸)8の末端燃焼装置内側端にて供給物が熱を受け着火しても、供給物にすきまがないこと、泥状物の水分により着火性が悪いことなどから燃焼装置側の供給物表面がくすぶる位で供給装置6内に延焼する危険性はなくなった。この結果供給装置6と燃焼装置9の間に熱しゃ蔽機構付シュートは不要となり、流動床側壁29に直接供給装置末端22をつけ供給物を供給装置末端から直下の流動床10に直接落としてまぜる構造が可能となった。
【0023】なお、供給装置末端においては、上述したように圧縮され泥状物によって固形物が互いに付着しあった形となっているために、団塊化しており、まとまったまま落下することになる。この塊をほぐすように、スクリューであればスクリュー先端部の壁よりも突出した部分にスクリュー羽根23に続くスクリュー軸22と同一方向にのばした平羽根30をつけて、それによりスクリューの回転に伴い、スクリューにより供給装置6から排出され壁29から燃焼装置10にのびる供給物塊を払い落とす等の工夫を行うとよい。供給物泥状物と固形物がこねあわされているために流動床からのガス流であおられ飛散するような事も粉塵爆発の心配もなく、流動床10に落ちこむ。
【0024】そして、急激に分散着火する事なく、流動床10の流動媒体にもまれながら外側よりはぐれつつ蒸発、着火、燃焼してゆく。このため、排ガス発生量も安定化し、おだやかな燃焼となる。これは通常の流動床であっても、塊が比較的大きめとなり、かさ密度も高いことから、流動床内にもぐり易い。供給物投入位置の流動床が比較的底面からの流動空気供給量が少く流動は弱く流動媒体が下降する移動層と呼ぶ状態であり、その脇の流動床位置においては底面からの流動空気供給量が多く、流動が激しく流動媒体が上昇して流動床上に舞い隣の移動層に降りかかる流動層と呼ばれる状態である。流動床内において移動層下側→流動層下側→流動層上側→移動層上側、そして移動層下側へと流動媒体が旋回流を形成している旋回流型と呼ばれる流動床の型式のものにおいては、なおさら流動床内に供給物をまきこみ易く。かつ、供給物は流動床全体に上述の流動媒体の旋回流によって移動拡散する。これらの効果は、泥状物が固形物よりも重量的に多い場合に特に効果が顕著である。少くとも泥状物が供給物の2〜3割以上をしめる場合に効果がある。
【0025】それより泥状物が少い場合、クレーンによる攪拌だけでは十分に泥状物と固形物を混合するのは困難となるため、破砕機3に泥状物と固形物を混合して投入し、破砕工程にて一旦泥状物と固形物を混合したものを、更にピットにて混合し全体に均一化させるのがよい。この方法は、泥状物が多い場合にも適用でき混合効果は高い。泥状物が少く、固形物間にすきまの多い場合には、運転停止時対策として、停止前に泥状物の特に多い部分を供給装置に投入する事で対応できる。泥状物パイプ輸送ラインの末端を供給装置先端につないでおき泥状物を圧入しシールしてしまうようにしておくのもよい。泥状物の液体は混合により固形物に吸収されるため、供給物の付着性流動性は低下する。泥状物のみでの流動床への供給の場合と異なり、底面への付着堆積は起きにくい。混入固形物が燃焼する事から塊のばらしが円滑に進行する事も一因となる。又、泥状物投入位置の局部冷却もなくなどの改善効果も出る。
【0026】また、レベル計は壁面への付着性が減少することによりマイクロウエーブ式でよい。壁面は混入している固形物のふきとり効果と液体吸収による付着性低減効果できれいになる傾向がある。これらは、固形物のかさ密度が一般的に小さいため汚泥が7〜8割あってもその効果が出るが、それ以上では混合効果は小さくなる。粉体については、ピットに他のものと一緒に投入する前に、予め泥状物と混合してやるとピットや供給装置投入時の発塵の問題がなくなる。例えば、泥状物をポンプにて配管輸送する場合にその上流側で汚泥に投入してやるとか、泥状物に排水処理汚泥が含まれる場合沈殿池等排水処理工程中に粉体を投入し、排水処理汚泥に分散させる事でもよい。先に述べたように、流動床内にて供給物を比較的ゆるやかに燃焼させることが出来るようになるため、供給物の燃焼熱をよく流動床にとり入れることが出来、平均発熱量が低い場合であっても自燃しやすく、たとえ補助燃焼(助燃)が必要な場合でも補助燃料の使用量が少い。
【0027】
【発明の効果】フローの従来例と実施例の比較でよくわかるように、本発明によれば、大きく単純化され、機器点数が減少したことにより、イニシャル、ランニングコストが大巾に下がり、又、メンテナンスも大巾に負担が軽減された。配置上でも、ピット分割数がへってピットが大きく使いやすくなり、設備の高さも従来例と実施例の比較でよくわかるように供給機器類の位置を低くでき、クレーン建屋を低いものとできる。また、ピット〜供給機器類〜流動床燃焼装置を密着させる形となるため専有面積が大巾に狭いものとなる。そして、流動不良化の危険性をなくし、粉塵着火による炉内圧の大巾な変動をなくし、流動床への燃焼熱入熱を高め、燃焼をおだやかなものとして設備全体の制御を容易とする。従って、泥状物と固形物を混焼する流動床燃焼技術の改善効果は大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の燃焼物投入装置の概略構成図。
【図2】図1の供給装置の断面拡大図。
【図3】図2の装置のA−A断面図。
【図4】本発明の燃焼物投入装置の部分構成図。
【図5】従来の燃焼物投入装置の概略構成図。
【符号の説明】
1:受入ピット、2:焼却ピット、3:破砕機、4:破砕物コンベヤ、5:クレーン、6:供給装置、7:ホッパ、8:焼却物フィーダ、9:流動床焼却炉、10:流動床、11:要破砕ごみ、12:汚泥、13:破砕不要ごみ、14:流動空気、15:燃焼排ガス、20:片持ちスクリュー軸、21:軸受け、22:スクリュー軸、23:スクリュー羽根、24:駆動スプロケット、25:ギヤ、26:グランドシール、27:ケーシング、28:断熱材、29:焼却炉壁、30:払い落とし羽根、31:汚泥ピット、32:受入ピット、33:破砕ごみピット、34:汚泥切出機、35:破砕ごみ切出機、36,37:搬送コンベヤ、38:汚泥フィーダ、39:破砕ごみフィーダ、40:熱しゃ断ダンパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 固形物と泥状物とからなる燃焼物を、均質に混合して、切り出し機構をもつ供給装置から流動床燃焼装置の流動床部に投入することを特徴とする流動床燃焼装置への燃焼物の投入方法。
【請求項2】 固形物と泥状物との燃焼物を混合する手段を有する貯留槽と、貯留槽からの混合した燃焼物を移送する手段と、移送した燃焼物を受け入れる底部に切り出し機構を有する供給装置とを有し、該切り出し機構の排出先を流動床燃焼装置の流動床部に接続したことを特徴とする流動床燃焼装置への燃焼物の投入装置。
【請求項3】 前記切り出し機構が、片持ちスクリュー軸であり、該スクリュー軸の自由側先端が流動床燃焼装置の流動床部側壁に接続されていることを特徴とする請求項2記載の流動床燃焼装置への燃焼物の投入装置。
【請求項4】 前記燃焼物を混合する手段と移送する手段が、貯留槽と供給装置上を移動可能に配備したクレーンであることを特徴とする請求項2又は3記載の流動床燃焼装置への燃焼物の投入装置。
【請求項5】 請求項4記載の燃焼物の投入装置の運転方法において、前記クレーンは、常時貯留槽内容物をつかんでは持ちあげて移動したのち放出する積かえ動作を行わせ、供給装置が空になった場合は、積みかえ動作を停止して貯留槽の内容物をつかんで供給装置に投入し、投入後は再び積みかえ動作にもどることを特徴とする流動床燃焼装置への燃焼物の投入装置の運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【特許番号】第2657735号
【登録日】平成9年(1997)6月6日
【発行日】平成9年(1997)9月24日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平4−139663
【出願日】平成4年(1992)5月6日
【公開番号】特開平5−312309
【公開日】平成5年(1993)11月22日
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【参考文献】
【文献】特開 昭48−7578(JP,A)