説明

浄水カートリッジ及びそれを備えた浄水器

【課題】多様化する使用者のニーズに合わせた浄水を提供可能な浄水カートリッジを提供する。
【解決手段】原水を浄化する第1浄化材111と、第1浄化材111とは別で原水を浄化する第2浄化材121を、原水の通流方向に沿って原水を通流する状態で充填可能な浄化材充填筐体160を備えた浄水カートリッジ200であって、浄化材充填筐体160は、第1浄化材111及び第2浄化材121の夫々を各別に充填及び取出し可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原水を浄化する第1浄化材と、前記第1浄化材とは別で原水を浄化する第2浄化材とを、原水の通流方向に沿って原水を通流する状態で収納可能な浄化材収納筐体を備えた浄水カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、原水を浄化する浄水器100に適用される浄水カートリッジ200としては、図9に示すように、原水を浄化する第1浄化材111として活性炭を備えると共に、第2浄化材121として第1浄化材111とは別の化石サンゴを備えた浄水カートリッジ200が知られている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−7160号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
今日、浄水器に関する使用者のニーズも多様化しつつあり、例えば、ミネラル分が多く硬度の高い浄水が望まれる場合もあれば、ミネラル分が少なく硬度の低い浄水が望まれる場合もあり、性質の異なる浄水が望まれるようになってきている。
しかしながら、上記特許文献1に開示の浄水カートリッジ200では、第1浄化材111と第2浄化材121とが充填されて一体として構成されているため、浄化性能をニーズに応じて変更することができず、一定の性質の浄水を提供できるに留まっていた。このため、特許文献1に開示の浄水カートリッジ200では、多様化する使用者のニーズに合わせた状態で浄水を提供することができず、改善の余地があった。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、多様化する使用者のニーズに合わせた浄水を提供可能な浄水カートリッジ及びそれを備えた浄水器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するための浄水カートリッジは、原水を浄化する第1浄化材と、前記第1浄化材とは別で原水を浄化する第2浄化材を、原水の通流方向に沿って原水を通流する状態で充填可能な浄化材充填筐体を備えた浄水カートリッジであって、その特徴構成は、
前記浄化材充填筐体は、前記第1浄化材及び前記第2浄化材の夫々を各別に充填及び取出し可能に構成されている点にある。
【0007】
上記特徴構成によれば、浄化材充填筐体は、第1浄化材と当該第1浄化材とは異なる第2浄化材との夫々を、各別に充填及び取出し可能に構成されているので、使用者は、第1浄化材のみにより浄化された浄水、第2浄化材のみにより浄化された浄水、第1浄化材及び第2浄化材の双方により浄化された浄水を、自身で選択可能となる。
これにより、性質の異なる浄水を、多様化する使用者のニーズに合わせた状態で提供可能な浄水カートリッジを実現できる。
【0008】
本発明の浄水カートリッジの更なる特徴構成は、前記浄化材充填筐体は、第1浄化材を充填及び取出し自在であると共に原水の通流方向で原水を通流可能な第1浄化材充填容器と、
第2浄化材を充填及び取出し自在であると共に原水の通流方向で原水を通流可能で、且つ、原水の通流方向に沿う状態で、前記第1浄化材充填容器を受け入れる受入部位を有する第2浄化材充填容器とから構成されている点にある。
【0009】
上記特徴構成によれば、第1浄化材を充填する第1浄化材充填容器と、第2浄化材を充填する第2浄化材充填容器とを、各別に設けることで、夫々の容器に対する浄化材を充填及び取出しを容易に実行できるようになっている。
さらに、第2浄化材充填容器は、原水の通流方向に沿う状態で、第1浄化材充填容器を受け入れる受入部位を有するので、原水の通流方向において、第2浄化材充填容器に対して第1浄化材充填容器を適切に位置決めすることができる。
これにより、第1浄化材充填容器と第2浄化材充填容器を別体に設けて双方の操作性を向上させながらも、第1浄化材と第2浄化材の双方の浄化性能を適切に発揮させることができる。
【0010】
本発明の浄水カートリッジの更なる特徴構成は、前記第1浄化材は、原水の硬度を上昇させる硬度上昇材と原水の硬度を低減させる硬度低減材とから択一的に選択可能に構成されている点にある。
【0011】
上記特徴構成によれば、第1浄化材は、原水の硬度を上昇させる硬度上昇材と原水の硬度を低下させる硬度低減材とから択一的に選択可能に構成されているので、使用者は、硬度が高くミネラル分の多い浄水を望む場合には、第1浄化材として硬度上昇材を選択でき、硬度が低くミネラル分の少ない浄水を望む場合には、第1浄化材として硬度低減材を選択できる。
これにより、より多様化する使用者のニーズに合った浄水を提供することができる。
【0012】
本発明の浄水カートリッジの更なる特徴構成は、前記硬度上昇材は、炭酸塩、硫酸塩、サンゴ砂のうち何れか一つ以上から成り、
前記硬度低減材は、イオン交換樹脂、キレート樹脂、及びゼオライトのうち何れか一つ以上から成る点にある。
【0013】
上記特徴構成に示すように、浄水の硬度を上昇させる硬度上昇材としては、カルシウム塩やマグネシウム塩等の炭酸塩や硫酸塩、ミネラルを豊富に含むサンゴ砂を用いることが好ましい。
また、硬度低減材としては、イオン交換樹脂、キレート樹脂、及びゼオライト等、原水中のミネラル分を回収するものであれば、適用可能である。
尚、例えば、ゼオライトを硬度低減材として用いる場合、ゼオライト主成分とするものを、適度な大きさの粒状に成型したセラミックボールとして、用いることが好ましい。
【0014】
本発明の浄水カートリッジの更なる特徴構成は、前記浄化材充填筐体は、原水の通流方向において、活性炭としての前記第2浄化材を充填する前記第2浄化材充填容器を、前記硬度上昇材又は前記硬度低減材としての前記第1浄化材を充填する第1浄化材充填容器の下流側に位置するように構成されている点にある。
【0015】
上記特徴構成によれば、浄化材充填筐体は、原水の通流方向において、雑菌の繁殖を防止するための遊離残留塩素を除去する活性炭を、硬度上昇材又は硬度低減材の下流側に位置させるように構成されているので、硬度上昇材又は硬度低減材に、遊離残留塩素を含んだ状態で原水を通流させることができる。これにより、硬度上昇材又は硬度低減材において、雑菌が繁殖することを防止できる。
【0016】
本発明の浄水カートリッジの更なる特徴構成は、前記第2浄化材が、銀を担持されて成る活性炭である点にある。
【0017】
活性炭は、雑菌の繁殖を抑制する遊離残留塩素を原水から除去するので、活性炭の内部に遊離残留塩素が除去された浄水が留まる場合がある。このような場合、遊離残留塩素が除去された浄水が、活性炭に長期に亘り留まると、雑菌が発生する虞がある。
上記特徴構成によれば、例えば、活性炭としての第2浄化材が浄水カートリッジから取り出されて、遊離残留塩素を含まない浄水を含んだ状態で長期に亘り放置された場合であっても、活性炭に担持された銀が、殺菌作用を発揮するので、活性炭にて雑菌が繁殖することを抑制できる。
【0018】
これまで説明してきた浄水カートリッジを備えた浄水器は、これまで説明してきた浄水カートリッジの作用効果を良好に発揮する浄水器を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】ポット型浄水器に係る実施形態を示す断面図である。
【図2】第1浄化材充填容器が第2浄化材充填容器に受け入れられる受入状態にある場合の浄水カートリッジの断面図である。
【図3】第1浄化材充填容器と第2浄化材充填容器とが分離状態にある場合の浄水カートリッジの断面図である。
【図4】第1浄化材及び第1浄化材充填容器の分解斜視図である。
【図5】第2浄化材及び第2浄化材充填容器の分解斜視図である。
【図6】活性炭としての第2浄化材のろ過流量及び浄化性能に係る試験結果を示す表及びグラフ図である。
【図7】活性炭としての第2浄化材のタップ密度比と遊離残留塩素初期リーク率との関係に係る試験結果を示す表及びグラフ図である。
【図8】蛇口直結型浄水器に係る別実施形態を示す断面図である。
【図9】従来技術に係る浄水器及び浄水カートリッジを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
〔全体構成〕
本発明の浄水器100は、図1に示すように、原水を貯留可能な原水容器30と、当該原水容器30から導かれる原水を浄化する浄化処理部50と、当該浄化処理部50から供給される浄水を貯留する浄水容器70と、原水容器30と浄化処理部50と浄水容器70とを原水の流通方向(図1で、矢印Yの矢示方向)に配置するように構成されている。
当該浄水器100に備えられる浄水カートリッジ200は、図2、3に示すように、原水を浄化する第1浄化材111と、第1浄化材111とは別で原水を浄化する第2浄化材121とを、原水の通流方向(図2、3で矢印Yの矢示方向)に沿って原水を通流する状態で充填可能な浄化材充填筐体160を備え、特に、浄化材充填筐体160が、第1浄化材111及び第2浄化材121の夫々を各別に充填及び取出し可能に構成されている点を特徴とする。
【0021】
〔浄化処理部〕
浄化処理部50は、図1、2、3に示すように、浄水カートリッジ200を装着可能に構成されている。そして、当該浄水カートリッジ200が、第1浄化材111と当該第1浄化材111とは異なる第2浄化材121を備え、第1浄化材111と第2浄化材121の夫々を各別に充填及び取り外し可能に構成されている。
【0022】
〔浄水カートリッジ〕
浄水カートリッジ200は、図3に示すように、上方から下方への原水の通流方向(図3で矢印Yの矢示方向)において、第1浄化材111を充填可能な第1浄化材充填容器110と、第2浄化材121を充填可能な第2浄化材充填容器120とを記載順に備えて成る浄化材充填筐体160から構成されている。
尚、詳細については後述するが、第2浄化材充填容器120は、図2に示すように、第1浄化材充填容器110を受け入れ可能に構成されている。
【0023】
第1浄化材充填容器110は、図3、4に示すように、第1浄化材111を充填する第1浄化材充填容器本体112と、原水の通流方向の上流側で当該第1浄化材充填容器本体112に嵌合する第1浄化材充填容器蓋113とから成り、第1浄化材充填容器本体112と第1浄化材充填容器蓋113との間において、第1浄化材111を充填可能に構成されている。
第1浄化材充填容器本体112の原水の流通方向(図3、4で矢印Yの矢示方向)の下流側には、原水流出口114が設けられており、当該原水流出口114には、第1浄化材流出側フィルタ115(第1フィルタの一例)が設けられると共に、当該第1浄化材流出側フィルタ115を原水の流通方向で下流側から支持する第1流出側リブ材116が設けられている。
一方、第1浄化材充填容器蓋113の原水の流通方向の上流側には、原水受入口117が設けられており、当該原水受入口117には、第1浄化材受入側フィルタ118が設けられると共に、当該第1浄化材受入側フィルタ118を、原水の流通方向で上流側から支持する第1受入側リブ材119が設けられている。
上述の構成により、第1浄化材充填容器110は、第1浄化材充填容器本体112と第1浄化材充填容器蓋113との間において、第1浄化材111を充填して原水を浄化可能であると共に、第1浄化材充填容器本体112から第1浄化材充填容器蓋113を取り外して、第1浄化材111を容易に取り出し可能となっている。
尚、第1浄化材充填容器蓋113には、保持部161が設けられており、使用者は、当該保持部161を保持して、第1浄化材充填容器本体112から第1浄化材充填容器蓋113を取り外すことができるように構成されている。
また、第1浄化材充填容器本体112の上端に凸部162を設け、第1浄化材充填容器蓋113に当該凸部162が嵌る凹部(図示せず)を設けることにより、第1浄化材充填容器本体112と第1浄化材充填容器蓋113との間の位置決めを、容易に行うことができる。
【0024】
第2浄化材充填容器120は、図3、5に示すように、第2浄化材121を充填する第2浄化材充填容器本体122と、原水の通流方向(図3、5で矢印Yの矢示方向)の上流側で当該第2浄化材充填容器本体122に嵌合する第2浄化材充填容上流側部材123とから成り、第2浄化材充填容器本体122と第2浄化材充填容器上流側部材123との間において、第2浄化材121を充填可能に構成されている。
第2浄化材充填容器本体122には、原水の通流方向の下流側に、原水の流れ方向で、原水を集める漏斗形状の浄水流出口124が設けられている。当該浄水流出口124には、第2浄化材流出側フィルタ125が設けられると共に、当該第2浄化材流出側フィルタ125を原水の流通方向で下流側から支持する第2流出側リブ材126が設けられている。
第2浄化材充填容器120の側周面には、図5に示すように、浄水カートリッジ支持部材52の被係合部163(図1に図示)に係合する複数の係合部134(本実施形態では、3つ)が、周方向で等間隔に設けられている。これにより、第2浄化材充填容器120は、その係合部134が浄水カートリッジ支持部材52の被係合部163に係合する形態で、浄水カートリッジ支持部材52に装着可能に構成されている。
一方、第2浄化材充填容器上流側部材123には、原水の通流方向で上流側に、原水を受入れる原水受入口127が設けられている。当該原水受入口127には、第2浄化材受入側フィルタ128(第2フィルタの一例)が設けられると共に、当該第2浄化材受入側フィルタ128を、原水の通流方向で上流側から支持する第2受入側リブ材129が設けられている。
上述の構成により、第2浄化材充填容器120は、第2浄化材充填容器本体122と第2浄化材充填容器上流側部材123との間において、第2浄化材121を充填して原水を浄化可能であると共に、第2浄化材充填容器本体122から第2浄化材充填容器上流側部材123を取り外して、第2浄化材121を容易に取り出し可能となっている。
【0025】
更に、第2浄化材充填容器上流側部材123には、図3、5に示すように、その原水受入口127を、第1浄化材充填容器110の原水流出口114に対向させる状態で、第1浄化材充填容器110を受け入れる受入部位130が設けられている。
そして、第1浄化材充填容器110が、図2に示すように、第2浄化材充填容器120の受入部位130に受け入れられている状態で、浄水カートリッジ200として機能する。
当該浄水カートリッジ200では、第1浄化材111及び第2浄化材121の双方が、各別に、充填及び取出し可能である。このため、使用者は、第1浄化材111のみを充填した状態、第2浄化材121のみを充填した状態、第1浄化材111と第2浄化材121の双方を充填した状態の3つの状態に切り替えて、浄水カートリッジ200を使用することができる。
【0026】
更に、本発明の浄水カートリッジ200では、第1浄化材111を、原水の硬度を上昇させる硬度上昇材と、原水の硬度を低減させる硬度低減材とから択一的に選択可能に構成している。これにより、使用者は、各自の好みに応じた硬度の浄水を得ることができる。
尚、硬度上昇材は、原水にミネラル分を供給可能な材料を用いることができ、例えば、炭酸カルシウムや炭酸マグネシウム等の炭酸塩、硫酸カルシウム等の硫酸塩、サンゴ砂の何れか一つ以上を好適に選択できる。
硬度低減材は、原水のミネラル分を回収可能な材料を用いることができ、例えば、イオン交換樹脂、キレート樹脂、及びゼオライトのうち何れか一つ以上を好適に選択できる。
尚、第1浄化材充填容器110に対し、異なる種類の第1浄化材111を充填する場合、その内部容積を異なる容積にする必要が生じる。本発明では、図4に示すように、第1浄化材充填容器蓋113として、原水の通流方向の幅L1が異なるものを複数用意しておき、第1浄化材111の種類に応じて使い分けられるように構成してある。
【0027】
一方、第2浄化材121は、原水における雑菌の繁殖を抑制する遊離残留塩素を除去する活性炭を用いることが好ましい。これにより、原水の遊離残留塩素を適切に除去することができる。
尚、第2浄化材121としての活性炭は、雑菌の繁殖を抑制する遊離残留塩素を除去するので、遊離残留塩素を除去した後の浄水が留まる場合、雑菌が繁殖する虞がある。そこで、第2浄化材121の活性炭に、雑菌の繁殖を防止する銀を担持することが好ましい。
【0028】
本発明の浄水カートリッジ200は、図2に示すように、原水の通流方向(図2で矢印Yの矢示方向)において、活性炭としての第2浄化材121を充填する第2浄化材充填容器120を、硬度上昇材又は硬度低減材としての第1浄化材111を充填する第1浄化材充填容器110の下流側に位置するように構成してある。
これにより、原水は、遊離残留塩素を含んだ状態で、第1浄化材充填容器110の第1浄化材111を通流することとなり、第1浄化材111としての硬度上昇材又は硬度低減材としてどのような材料を用いる場合であっても、その材料における雑菌の繁殖を抑制できる。
【0029】
〔連通手段〕
上述したように、本発明の浄水カートリッジ200は、図2に示すように、第1浄化材充填容器110の原水流出口114と第2浄化材充填容器120の原水受入口127とを対向させる使用姿勢において、第2浄化材充填容器120の受入部位130に第1浄化材充填容器110が受け入れられる受入状態となるように構成されている。
当該受入状態においては、第1浄化材充填容器110の原水流出口114の第1浄化材流出側フィルタ115(第1フィルタの一例)と、第2浄化材充填容器120の原水受入口127の第2浄化材受入側フィルタ128(第2フィルタの一例)との間に、原水の通流方向で幅狭の間隙が形成され、当該間隙に空気層が形成される場合がある。このような空気層は、原水の通流方向において、原水の流れを阻害する虞がある。
そこで、第2浄化材充填容器120には、図2、5に示すように、上記受入状態において、第2浄化材充填容器120の原水受入口127の第2受入側リブ材129から、第1浄化材充填容器110の原水流出口114へ向けて突出する突起部131が設けられている。
これにより、本発明の浄水カートリッジ200は、図2に示すように、上記受入状態において、当該突起部131が、第1浄化材充填容器110の原水流出口114へ当接して、第1浄化材流出側フィルタ115と第2浄化材受入側フィルタ128との間に、原水の通流方向で幅広の空間Vを形成する。
更に、第2浄化材充填容器120の受入部位130には、図2に示すように、受入状態において、第1浄化材流出側フィルタ115と第2浄化材受入側フィルタ128との間の空間Vを、外部空間と連通する連通路132が形成されている。
説明を追加すると、連通路132は、受入状態において、第1浄化材充填容器110の側面に対向する部位に、原水の通流方向に沿って切り欠かれる状態で、受入部位130に形成されている。
これにより、第1浄化材充填容器110の外周面と受入部位130との間の空間Vに形成される空気層の空気は、当該連通路132を介して、良好に外部空間へ導かれることとなる。
尚、第1浄化材充填容器110は、図2に示すように、上記受入状態において、原水流出口114が設けられている側の端部133が面取りされていることが好ましい。これにより、第1浄化材充填容器110の外周面と受入部位130との間の空間Vに形成される空気層の空気は、第1浄化材充填容器110の原水流出口114が設けられている側の端部133と受入部位130との間を通流し易くなり、より一層良好に、外部空気へ導かれる。
【0030】
〔第2浄化材及び第2浄化材充填容器の形状〕
第2浄化材121としての活性炭は、図5に示すように、第2浄化材充填容器120の内部に形成される円筒状充填空間135に充填される。そして、円筒状充填空間135は、当該活性炭により所望のろ過流量(0.4L/min以上)を発揮させると共に、所望の浄化性能(クロロホルムろ過能力:200L以上)を発揮させるべく、その直径Dに対する深さLの比であるL/Dの最適値を決定する試験を行った。
当該試験では、活性炭として、30以上100以下のメッシュに整粒された活性炭を、筒井理化学機械(株)の振とう器(TPM−1型)にて60秒間振とうさせて、充填かさ密度を0.51g/cc(当該充填かさ密度を「タップ密度比:1.00」と定義する)としたものを用いた。
上述の如く、調整した活性炭を、容積が65mlの円筒状充填空間135に充填し、当該円筒状充填空間135の直径Dと深さLとの比であるL/Dを変化させて、その場合における「ろ過流量」及び「クロロホルムろ過能力」を測定した。
試験結果を、図6(a)に表として示すと共に、図6(b)に当該表をグラフ化したグラフ図に示す。
図6(b)のグラフ図において、「ろ過流量」を一点鎖線にて示しており、「クロロホルムろ過能力」を実線にて示しており、「ろ過流量」及び「クロロホルムろ過能力」の閾値を直線m1にて示している。
当該試験結果から、「ろ過流量」を所望の流量である0.4L/min以上とするためには、L/Dを0.3以下とする必要があることがわかる。一方、「クロロホルムろ過能力」を所望の浄化性能である200L以上とするためには、L/Dを0.1以上とする必要があることがわかる。
以上より、第2浄化材充填容器120の円筒状充填空間135の直径Dに対する深さLの比であるL/Dは、0.1≦L/D≦0.3に設定することが好ましいといえる。
【0031】
次に、第2浄化材充填容器120の円筒状充填空間135の直径Dに対する深さLの比であるL/Dを0.2に設定した場合において、「遊離残留塩素の初期リーク率」を定量下限値(1.0%)以下にすべく、活性炭のタップ密度の最適値を調べる試験を行った。
当該試験では、活性炭として、30以上100以下のメッシュに整粒されたものを、筒井理化学機械(株)の振とう器(TPM−1型)にて60秒間振とうさせて、充填かさ密度を0.51g/ccとしたものを、タップ密度比:1.00と定義した。そして、この値を基準にタップ密度比:0.95、0.90、0.85に相当する質量の活性炭を、容積が65mlの円筒状充填空間135に充填し、夫々のタップ密度比における「遊離残留塩素初期リーク率」を測定した。
試験結果を、図7(a)の表に示すと共に、図7(b)に当該表をグラフ化したグラフ図に示す。
図7(b)のグラフ図では、「遊離残留塩素初期リーク率」を実線で示し、その閾値を直線m2で示している。当該グラフ図より、「遊離残留塩素初期リーク率」を定量下限値(1.0%)以下にするには、タップ密度比を、およそ0.95以上にすることが好ましいことがわかる。また、図7(a)の表から、容積が65mlの円筒状充填空間135に充填する活性炭の充填質量は、29.8g以上にすることが好ましいことがわかる。
【0032】
〔別実施形態〕
(1)上記実施形態に示す浄水カートリッジ200は、蛇口直結型浄水機器100にも適用できる。
当該蛇口直結型浄水器100へ浄水カートリッジ200を適用する場合の一例を、図8に示す。蛇口直結型浄水器100は、蛇口から供給される原水を受け入れる原水受入口171と、浄水カートリッジ200を内設する内部空間172と、浄水カートリッジ200にて浄化された浄水を外部へ流出する浄水流出口173とを備えた浄水器本体174を有している。
本実施例においては、浄水カートリッジ200は、原水の通流方向(図15で矢印Yの矢示方向と反対方向)で、原水が第1浄化材111(硬度上昇材又は硬度低減材)と第2浄化材121(活性炭)とを記載順に通流させるように、第1浄化材充填容器110を受け入れた受入状態の第2浄化材充填容器120を、配置することが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明の浄水カートリッジ及びそれを備えた浄水器は、多様化する使用者のニーズに合わせた浄水を提供可能な浄水カートリッジ及びそれを備えた浄水器として、有効に利用可能である。
【符号の説明】
【0034】
30 :原水容器
50 :浄化処理部
70 :浄水容器
100 :浄水器
110 :第1浄化材充填容器
111 :第1浄化材
114 :第1浄化材充填容器本体の原水流出口
115 :第1浄化材流出側フィルタ
120 :第2浄化材充填容器
121 :第2浄化材
127 :第2浄化材充填容器上流側部材の原水受入口
128 :第2浄化材受入側フィルタ
130 : 受入部位
131 :突起部
132 :連通路
160 :浄化材充填筐体
V :第1浄化材流出側フィルタと第2浄化材受入側フィルタとの間の空間
200 :浄水カートリッジ
Y :原水の通流方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原水を浄化する第1浄化材と、前記第1浄化材とは別で原水を浄化する第2浄化材を、原水の通流方向に沿って原水を通流する状態で充填可能な浄化材充填筐体を備えた浄水カートリッジであって、
前記浄化材充填筐体は、前記第1浄化材及び前記第2浄化材の夫々を各別に充填及び取出し可能に構成されている浄水カートリッジ。
【請求項2】
前記浄化材充填筐体は、第1浄化材を充填及び取出し自在であると共に原水の通流方向で原水を通流可能な第1浄化材充填容器と、
第2浄化材を充填及び取出し自在であると共に原水の通流方向で原水を通流可能で、且つ、原水の通流方向に沿う状態で、前記第1浄化材充填容器を受け入れる受入部位を有する第2浄化材充填容器とから構成されている請求項1に記載の浄水カートリッジ。
【請求項3】
前記第1浄化材は、原水の硬度を上昇させる硬度上昇材と原水の硬度を低減させる硬度低減材とから択一的に選択可能に構成されている請求項1又は2に記載の浄水カートリッジ。
【請求項4】
前記硬度上昇材は、炭酸塩、硫酸塩、サンゴ砂のうち何れか一つ以上から成り、
前記硬度低減材は、イオン交換樹脂、キレート樹脂、及びゼオライトのうち何れか一つ以上から成る請求項3に記載の浄水カートリッジ。
【請求項5】
前記浄化材充填筐体は、原水の通流方向において、活性炭としての前記第2浄化材を充填する前記第2浄化材充填容器を、前記硬度上昇材又は前記硬度低減材としての前記第1浄化材を充填する第1浄化材充填容器の下流側に位置するように構成されている請求項3又は4に記載の浄水カートリッジ。
【請求項6】
前記第2浄化材が、銀を担持されて成る活性炭である請求項1乃至5の何れか一項に記載の浄水カートリッジ。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載の浄水カートリッジを備えた浄水器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−43121(P2013−43121A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182213(P2011−182213)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(591147694)大阪ガスケミカル株式会社 (85)
【Fターム(参考)】