説明

浴室テレビ装置

【課題】浴室テレビ装置では内部の液晶表示部からの発熱が多く、特に大画面では発熱量が著しく多くなる。一方、浴室内に固定される浴室テレビ装置では、ケーシングを水密構造にしなければならず、ケーシング内を換気することができない。そのため特に浴室テレビ装置ではケーシング内部の冷却手段が必要となる。
【解決手段】水冷パック3をケーシング内に入れ、浴室まで配管されている水道管から水道水を分岐して流入管31から水冷パック3内に流し、冷却後の水道水を流出管32からケーシングの外へ排水するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室の壁面に固定される浴室テレビ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室内でテレビ画面を鑑賞するため、浴室の壁面に固定される浴室テレビ装置が多数提案されている。これら浴室テレビ装置は、浴室内という特殊な環境で使用されるため、内部に水分が侵入しないように水密構造のケーシングを備えている。一方、これらの浴室テレビ装置では、画像を表示するため液晶表示部が内蔵されているが、大画面の要請により画面が大きくなるにつれて、ケーシング内での発熱量が急激に増加している。
【0003】
シーシングは上述のように水密であるため、空冷式の冷却手段を内蔵させても十分な冷却効果を得ることは難しい。
【0004】
なお、液晶表示部に冷却水を封止して、冷却水を冷媒として熱を液晶表示部から他所に移動させ、そこで放熱するようにしたものは知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−70439号公報(図6)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来のものでは液体の冷媒を用いているものの、冷媒が液晶表示部から奪った熱量は空気中に放熱しなければならず、浴室に固定される浴室テレビ装置のケーシング内の冷却には使用することができない。
【0006】
なお、冷媒をケーシング外に引き出して放熱させることも考えられるが、放熱させた冷媒を再びケーシング内の戻し、冷媒を循環させる機構を設けなければならず、冷却のための機構が大がかりなものになり、コスト高を招くばかりか設置場所を確保しなければならないという不具合が生じる
【0007】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、大がかりな機構を用いることなく、浴室テレビ装置のケーシング内を冷却することのできる浴室テレビ装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明による浴室テレビ装置は、浴室内に固定される浴室テレビ装置であって、水密に封止されたケーシング内に、テレビ画像を表示する液晶表示部を備えたものにおいて、ケーシング外から水道水の供給を受けてケーシング内を冷却する水冷パックを備えたことを特徴とする。
【0009】
浴室には必ず水道の配管がされている。その水道の配管から水道水をケーシング内の水冷パックに導くことにより、循環ポンプなどの機構を設けなくてもケーシング内を冷却することができる。
【0010】
なお、水冷パック内の水を排水する場合、浴室外に排水してもよいが、浴室内は排水が可能な構造であるので、浴室外への排水経路を設けることなく、浴室内に排水しても全く問題ない。
【0011】
また、水冷パックには常に水道水を流す必要はなく、例えばケーシング内の温度状況等に応じて断続的に流せばよい。そこで、水冷パックの上流側に、浴室テレビ装置からの信号により開閉する電磁開閉弁を設けることが望ましい。
【発明の効果】
【0012】
以上の説明から明らかなように、本発明は、浴室テレビ装置のケーシング内部を水道水を用いて水冷するので、循環ポンプや放熱部などを設けなくてもよく、また、浴室テレビ装置が浴室に設置されることから、容易に水道水を利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1を参照して、1は本発明による浴室テレビ装置であり、浴室の壁面BRに固定されている。浴室の壁面BRに固定して使用されるため、浴室テレビ装置1のケーシングは水密構造を採用している。
【0014】
図2を参照して、浴室テレビ装置1のケーシングは壁面BRに固定される基部21と、この基部21に接合されるフロント部22とで構成されている。基部21およびフロント部22は共に樹脂製であり、両者の接合面に発熱線を挟み込み、この発熱線に通電して基部21およびフロント部22の両接合面を溶融させ、相互に押し付けることにより水密性を確保している。なお、24は着脱自在の化粧カバーである。
【0015】
なお、基部21とフロント部22とを相互に溶着させる前に、液晶表示部23を備えた基板と水冷パック3とをケーシングに内蔵されるようにセットした。水冷パック3は2枚の軟質樹脂シートを、内部に通水路が形成されるように相互に熱溶着させたもので、その通水路の一端に流入管31を接続し、他端に流出管32を接続した。流入管31および流出管32は基部21に設けた連絡穴から外部へと導出した。
【0016】
図3を参照して、4は水道管であり、浴室内に設けたカラン41に接続され、カラン41に水道水を供給するものである。この水道管4に流入管31を接続した。また流出管32は浴室外の適宜排水が行える場所まで延設した。
【0017】
流入管31の途中には電磁式の開閉バルブ5を設けた。この開閉バルブ5は通電されていない状態では閉弁しており、閉弁状態であれば水道管4内の水道水は流入管31を通って水冷パックに流入しない。
【0018】
この開閉バルブ5は浴室テレビ装置1内の制御部25に接続されており、制御部25から開閉バルブ5に通電するように構成した。この制御部25には図示しない温度検知手段が設けられており、ケーシング内の温度が所定の温度を超えると一定時間開閉バルブを開弁するように構成した。なお、温度検知手段を設けず、液晶テレビ装置1が通電されている間は定期的に開閉バルブ5を開弁するように構成してもよい。
【0019】
開閉バルブ5が開弁すると、水道管4内の水道水が流入管31を通って水冷パック3の通水路内に流入する。そして、流出管32から適宜の場所に排水される。水道水が水冷パック3内を流れることによって水冷パック3の通水炉内には低温の水道水が満たされるので、ケーシング内の熱を水道水が吸熱し、ケーシング内が冷却される。
【0020】
ところで、流出管32を浴室の外部に延設してもよいが、図4に示すように、フロント部22を通して排水管6に流出管32を接続し、配水管6を通して水冷パック3から出てくる水道水を浴室内に排水するようにしてもよい。また、水冷パック3の通水路に流す水道水の流量がそれほど多くない場合には、排水管6を用いずに、壁面BRに伝わせて排水するようにしてもよい。
【0021】
なお、図3では開閉バルブ5を用いたが、図5に示すように、流入管31を水道管4の上流側に接続し、流出管32を水道管4の下流側、例えばカラン41の近傍に接続してもよい。このように構成すると、排水をすることなく、冷却後の水道水をカラン41から吐出させることができる。また、開閉バルブ5等を設けることなく、カラン41が開く毎に水冷パック3に水道水を流すことができる。
【0022】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施の形態の構成を示す図
【図2】浴室テレビ装置の分解図
【図3】水冷パックの配管図
【図4】排水の他の構成を示す図
【図5】水冷パックの他の配管を示す図
【符号の説明】
【0024】
1 浴室テレビ装置
3 水冷パック
4 水道管
31 流入管
32 流出管
41 カラン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室内に固定される浴室テレビ装置であって、水密に封止されたケーシング内に、テレビ画像を表示する液晶表示部を備えたものにおいて、ケーシング外から水道水の供給を受けてケーシング内を冷却する水冷パックを備えたことを特徴とする浴室テレビ装置。
【請求項2】
上記水冷パック内の水道水を浴室内に排水するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の浴室テレビ装置。
【請求項3】
水冷パックの上流側に、浴室テレビ装置からの信号により開閉する電磁開閉弁を設けたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の浴室テレビ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−312132(P2007−312132A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−139359(P2006−139359)
【出願日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(000100562)アール・ビー・コントロールズ株式会社 (97)