説明

浴室ユニットの床構造及び床施工方法

【課題】防水パン12の所定位置に洗い場蓋15を位置させつつ固定具17,18で固定できると共に、隅部に固定具17,18を簡単に差し込むことができるようにする。
【解決手段】作業口14を開設した洗い場床部13の外周三辺に起立部13a,13b,13cを立設させると共に、隣接する起立部どうしを連結して内隅部13d(13e)を形成した防水パン12と、洗い場床部13を覆う洗い場蓋15と、防水パン12に洗い場蓋15を固定する固定具17,18とを備え、固定具は、防水パン12の内隅部13d(13e)と洗い場蓋15の外隅部15d(15e)の間に差し込んだ屈曲状の隅部用固定具17と、防水パン12の起立部13a(13b)と洗い場蓋15の対応する側縁部15a(15b)の間に差し込んだ直線状の直線部用固定具18と備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防水パンの洗い場床部に開設した作業口を洗い場蓋で覆うようにした浴室ユニットの床構造及び床施工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室ユニットの床構造には、図6に示す如く、作業口4を開設した洗い場床部3の外周部の三辺に壁パネル6及びドア(図示略)を設置した防水パン2と、作業口4を覆うように洗い場床部3に着脱可能に設置した洗い場蓋5と、壁パネル6と洗い場蓋5の端部の隙間8に水密的に差し込んだ固定具7からなる乾式目地とを備えたものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−279752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の浴室ユニットの床構造1は、防水パン2に設置する壁パネル6の位置にズレが生じたとき、壁パネル6と洗い場蓋5の端部の隙間8が小さくなり過ぎて固定具7を差し込むことができなくなることがある。また、長尺の固定具7をその一端から連続的に差し込んでいくと、この差し込み作業中に生じる洗い場蓋5の移動により差し込み作業の後半となる箇所の隙間8が小さくなり過ぎて、固定具7を差し込むことが難しくなることがある。更に、隣接する壁パネル6どうしが交差する内隅部と洗い場蓋5の外隅部の間の屈曲した隙間に固定具7を曲げながら無理に差し込むには熟練と手間とを必要とする。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するたに、防水パン上の所定位置に洗い場蓋を位置させつつ固定具で固定できると共に、隅部に固定具を簡単に差し込むことができる浴室ユニットの床構造及び床施工方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
防水パン上の所定位置に洗い場蓋を位置させつつ固定具で固定できると共に、隅部に固定具を簡単に差し込むことができるようにするために請求項1記載の本発明が採用した手段は、図1〜図4に示す如く、作業口14を開設した洗い場床部13の外周の浴槽側の辺を除く三辺に起立部13a,13b,13cを立設させると共に、隣接する起立部どうしを連結して内隅部13d,13eを形成した防水パン12と、洗い場床部13を着脱可能に覆う洗い場蓋15と、防水パン12に洗い場蓋15を固定する固定具とを備えた浴室ユニットの床構造であって、前記固定具は、防水パン12の内隅部13d(13e)と洗い場蓋15の対応する外隅部15d(15e)の間の隙間Gaに差し込んだ屈曲状の隅部用固定具17と、防水パン12の起立部13a(13b)と洗い場蓋15の対応する側縁部15a(15b)の間の隙間Gbに差し込んだ直線状の直線部用固定具18と備えていることを特徴とする浴室ユニットの床構造である。
【0007】
防水パンと洗い場蓋の間の止水を確実にするために請求項2記載の本発明が採用した手段は、図2(B)及び図3に示す如く、防水パン12の三辺の起立部13a,13b,13cと洗い場蓋15の対応する三辺の側縁部15a,15b,15cの間の隙間Ga,Gbに、隅部用及び直線部用の固定具17,18を覆ってコーキング材27を充填した請求項1記載の浴室ユニットの床構造である。
【0008】
固定具で固定する前における防水パンに対する洗い場蓋の暫定的な位置決めを容易にするために請求項3記載の本発明が採用した手段は、図5及び図6に示す如く、防水パン12の上面及び洗い場蓋15の裏面に、凹部32と凸部33を設け、凹部32と凸部33を嵌合させた請求項1又は2記載の浴室ユニットの床構造である。
【0009】
防水パン上の所定位置に洗い場蓋を位置させつつ固定具で固定できると共に、隅部に固定具を美麗に差し込むことができるようにするために請求項4記載の本発明が採用した手段は、図1〜図4に示す如く、作業口14を開設した洗い場床部13の外周の浴槽側の辺を除く三辺に起立部13a,13b,13cを立設する共に、隣接する起立部どうしを連結して内隅部13d,13eを形成した防水パン12に、洗い場床部13を着脱可能に覆う洗い場蓋15を固定具を用いて設置する浴室ユニットの床施工方法において、防水パン12の二カ所の内隅部13d,13eと洗い場蓋15の対応する二カ所の外隅部15d,15eの間の隙間Ga,Gaの各々に屈曲状の隅部用固定具17を差し込み、その後に、防水パン12の浴槽側の辺と対向する一辺を除く他の二辺の起立部13a,13bと洗い場蓋15の対応する二辺の側縁部15a,15bの間の隙間Gb,Gbの各々に直線状の直線部用固定具18を差し込むことを特徴とする浴室ユニットの床施工方法である。
【0010】
請求項4記載の本発明にあっては、固定具の差込みについて防水パンの二カ所の内隅部と洗い場蓋の対応する二カ所の外隅部の間の各々に対する屈曲状の隅部用固定具の差込みを先行させることで、防水パンの二カ所の内隅部の間の一辺に沿う方向及び他の二辺に沿う方向についての洗い場蓋の位置決めがなされて、防水パンの他の二辺の起立部と洗い場蓋の対応する二辺の側縁部の間の各々に所定大きさの直線状の隙間を形成するので、その後で直線部用固定具を直線状の隙間の各々へ円滑且つ確実に差し込むことができる。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の本発明に係る浴室ユニットの床構造は、固定具について先に差し込むことができる屈曲状の隅部用固定具と後で差し込むことができる直線状の直線部用固定具とに分割することで、防水パン上の所定位置に洗い場蓋を位置させつつ隅部用及び直線部用の固定具で固定できると共に、隅部に隅部用固定具を簡単に差し込むことができる。
【0012】
請求項2記載の本発明に係る浴室ユニットの床構造は、防水パンと洗い場蓋の間の隙間を充填したコーキング材で確実に止水することができる。
【0013】
請求項3記載の本発明に係る浴室ユニットの床構造は、固定具で固定する前に、防水パンの上面及び洗い場蓋の裏面に設けた凹部及び凸部を隙間バメ状態で嵌合させることで、防水パンに対する洗い場蓋の暫定的な位置決めを容易に行なうことができる。
【0014】
請求項4記載の本発明に係る浴室ユニットの床施工方法は、先に屈曲状の隅部用固定具を差し込んみ、その後に直線状の直線部用固定具を差し込むこどて、防水パン上の所定位置に洗い場蓋を位置させつつ隅部用及び直線部用の固定具で固定できると共に、隅部に隅部用固定具を美麗に差し込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施の形態を示すものであって、図(A)はコーキング材を省略して全体を示す平面図、図(B)は図(A)のb−b線で断面した正面図、図(C)は直線部用固定具を示す斜視図、図(D)は隅部用固定具を示す斜視図である。
【図2】第1の実施の形態を示すものであって、図(A)は図1(A)のII線で囲まれた部分を拡大して洗い場蓋を部分的に破断すると共にコーキング材を省略して示す平面図、図(B)は図(A)のb−b線で断面した正面図である。
【図3】図1(A)のIII−III線で断面して拡大した左側面図である。
【図4】第1の実施の形態を示すものであって、図(A)は洗い場蓋を設置する前の防水パンを示す平面図、図(B)は設置前の洗い場蓋を示す平面図、図(C)は図(A)のc線で囲まれた部分を拡大した平面図、図(D)は図(C)のd−d線で断面した正面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態を示すものであって、図(A)は洗い場蓋を設置する前の防水パンを示す平面図、図(B)は設置前の洗い場蓋を示す平面図、図(C)は図(A)のc線で囲まれた部分を拡大した平面図、図(D)は図(C)のd−d線で断面した正面図である。
【図6】第2の実施の形態を示すものであって、図(A)は隅部用固定具を差し込んだ部分における洗い場蓋を部分的に破断すると共にコーキング材を省略して示す拡大した平面図、図(B)は図(A)のb−b線で断面した正面図である。
【図7】従来の浴室ユニットの床構造を示す断面した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る浴室ユニットの床構造及び床施工方法(以下、「本発明床構造」及び「本発明床施工方法」と言う。)を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0017】
(第1の実施の形態)
図1乃至図4は本発明床構造の第1の実施の形態を示すものであり、本発明床構造11は、図1乃至図3に示す如く、洗い場床部13に作業口14を開設した浴室用防水パン12と、洗い場床部13の作業口14を着脱可能に覆う洗い場蓋15と、防水パン12に洗い場蓋15を固定する隅部用固定具17及び直線部用固定具18を備えている(本例は、、隅部用固定具17及び直線部用固定具18を各々二個備えている。)。防水パン12は、図4(A)に示す如く、左側の浴槽設置床部19と右側の洗い場床部13を連接させ、両床部19,13に排水口21,22を開設してある。
【0018】
前記防水パン12の洗い場床部13は、図4(A)(C)(D)に示す如く、繊維強化プラスチック(FRP)等から成形され、外周の浴槽側(浴槽設置床部19側)の辺を除く前後右の三辺に起立部13a,13b,13cを立設させると共に、隣接する起立部どうし(13aと13c、13bと13c)を連結して内隅部13d,13eを形成し、作業口14を開設した床面部13fにおける前後右の三辺の側縁部13f−1と三辺の起立部13a,13b,13cとの間に排水溝13g,13g,13gを設け、連接した排水溝13g,13g,13gに排水勾配を設けて浴槽設置床部19へ向かって排水できるようにしてある。また、洗い場床部13は、浴槽設置床部19との境界側に隆起部13hを突設すると共に、三辺の起立部13a,13b,13cの各々から外側へ壁パネル載置部13jを延設してある。隆起部13hは、浴槽(図示略)の荷重を受ける支持箇所となったり、浴槽設置床部19と洗い場床部13の間に配置するエプロンの支持箇所となったりするものである。
【0019】
前記洗い場蓋15は、図4(B)、図1〜図3に示す如く、繊維強化プラスチック(FRP)等から成形され、平面的に広がる覆い部15fの外周の前後右の三辺に側縁部15a,15b,15cを下方へ突設させると共に、隣接する側縁部どうし(15aと15c、15bと15c)を連結して外隅部15d,15eを形成しある。また、洗い場蓋15は、覆い部15fの外周の左の一辺の前後中間位置に、排水口22を回避するための横向き凹部15jを形成すると共に、横向き凹部15jの前後右の三辺の縁部に沿って側縁部15hを平面コ字状に下方へ突設してある。側縁部15hは、洗い場床部13に洗い場蓋15を載置したときに、洗い場床部13の床面部13f上に支持されるようになっている。更に、洗い場蓋15は、覆い部15fの外周の左の一辺の前後側に、下端開口した隆起部15g,15gを突設し、洗い場床部13の隆起部13h,13hを上方から覆うようにしてある。
【0020】
前記隅部用固定具17及び直線部用固定具18は、図1(C)(D)及び図2に示す如く、合成樹脂素材等から成形され、洗い場床部13の床面部13fにおける前後右の三辺の側縁部13f−1と載置された洗い場蓋15の覆い部15fにおける前後右の三辺の側縁部15a(15b,15c)との重なり合う箇所(図2(B)参照)に係合する凹部17a,18aを設けて抜け難くすると共に、下端側に傾斜面17b,18bを設けてある。傾斜面17b,18bは、洗い場蓋15の覆い部15fの側縁部15a(又は15b,15c)と洗い場床部13の起立部13a(又は13b,13c)との間に形成される隙間Ga,Gbへの差し込みし易くしてある。なお、両方の固定具17,18は、凹部17a,18aを設けることなく、洗い場床部13の排水溝13gの底部まで差し込めるように形成することも可能である。
【0021】
前記隅部用固定具17は、平面略L字状に形成され、直線部用固定具18は、平面略I字状に形成されている。隅部用固定具17は、防水パン2の洗い場床部13の二カ所の内隅部13d,13eと洗い場蓋15の対応する二カ所の外隅部15d,15eの間の隅部隙間Gaに差し込まれる。また、直線部用固定具18は、防水パンの浴槽側(浴槽設置床部19側)の左の辺と対向する右の一辺(すなわち、二カ所の内隅部13d,13eの間の右の一辺)を除く前後の他の二辺の起立部13a,13bと洗い場蓋15の対応する二辺の側縁部15a,15bの間の平部隙間Gbの各々に差し込まれる。隅部用固定具17を差し込む隅部隙間Ga及び直線部用固定具18を差し込む平部隙間Gbの各厚み寸法T2は、5mm程度が採用されるが、洗い場床部13及び洗い場蓋15の成形誤差により大きく変動することがある。この大きな変動に対処するには、隅部用固定具17及び直線部用固定具18は、厚み寸法T1の異なる種類のものを予め準備しておくか、又は厚み調整板(図示略)を貼着又は分離できるようにして厚み寸法T1を調整できるようにしておくとよい。
【0022】
本発明床構造11を得るための本発明床施工方法は、次の手順で行なわれる。
(第1工程)
図1(A)(B)に示す如く、防水パン12 の裏側に支持脚24を取付け、施工床面F上に支持脚24を介して防水パン12 を設置する。洗い場床部13の作業口14及び浴槽設置床部19の作業口25,25を利用して支持脚24の高さ調整を行い、防水パン12 のレベルを出す。
【0023】
(第2工程)
防水パン12 の洗い場床部13の作業口14を利用して防水パン12 の裏側で必要な配管作業を行なうと共に、洗い場床部13の壁パネル載置部13j及び浴槽設置床部19の壁パネル載置部19jに、壁パネル16及びドア(図示略)を設置する。
【0024】
(第3工程)
図1(A)に示す如く、防水パン12 の洗い場床部13に洗い場蓋15を載置し、防水パン1 2の洗い場床部13の二カ所の内隅部13d,13eと洗い場蓋15の対応する二カ所の外隅部15d,15eの間の隅部隙間Ga,Gaの各々に屈曲状の隅部用固定具17を差し込む。二箇所の隅部隙間Ga,Gaへの隅部用固定具17,17を差し込み作業は、両方の隅部用固定具17,17の打ち込みを複数回にわたって交互に行なうようにして、両方の隅部用固定具17,17の差し込み寸法が並行して徐々に大きくなるようにするとよい。この交互打ち込みにより、防水パン2の洗い場床部13の二カ所の内隅部13d,13eの間の一辺に沿う方向(図1(A)に示す矢符E方向)及び他の二辺に沿う方向(同図に示す矢符D方向)についての洗い場蓋15 の位置決めが良好に行なわれ、防水パン12の洗い場床部13の他の二辺の起立部13a,13bと洗い場蓋15の対応する二辺の側縁部15a,15bの間の各々に厚み寸法T2が略等しい直線状の平部隙間Gbが形成される。次に、これら直線状の平部隙間Gb,Gbの各々に適宜本数の直線状の直線部用固定具18を差し込んで(本例では、各平部隙間Gbに一本の直線部用固定具18を差し込んである。)、洗い場蓋15における浴槽設置床部19側の前後位置を変動しないように固定する。更に、防水パン12 の洗い場床部13の隆起部13h,13hに対する洗い場蓋15の隆起部15g,15gのビス止め29を必要に応じて行なう。
【0025】
(第4工程)
図2(B)及び図3に示す如く、防水パン12 の洗い場床部13の三辺の起立部13a,13b,13cと洗い場蓋15の側縁部15a,15b,15cの外側面の間の各隙間Ga,Gbにシリコン樹脂等のシール材27を充填して止水を行なう。このとき、差し込まれている各固定具17,18をシール材27で覆うことで、各固定具17,18を露出させることなく見栄えよく仕上げることができる。なお、隙間Ga,Gbの厚み寸法T2が大きいためにシール材27が排水溝13gへ落ち込むときには、図3に示す如く、固定具17,18を除く箇所に発泡樹脂等からなる充填物28を予め差し込んでからシール作業を行なうとよい。シール作業は、図2(B)及び図3に示す如く、洗い場床部13の壁パネル載置部13jと壁パネル16の隙間を同時にシール材27で覆って止水するように行なうとよい。
【0026】
前記本発明床施工方法で得た本発明床構造11は、固定具17,18の差込みについて防水パン12の洗い場床部13の二カ所の内隅部13d,13eと洗い場蓋15の対応する二カ所の外隅部15d,15eの間の各々に対する屈曲状の隅部用固定具17の差込みを先行させることで、防水パン12の二カ所の内隅部13d,13eの間の一辺に沿う方向(矢符E方向)及び他の二辺に沿う方向(矢符D方向)についての洗い場蓋15の位置決めがなされて、防水パン12の洗い場床部13の他の二辺の起立部13a,13bと洗い場蓋15の対応する二辺の側縁部15a,15bの間の各々に所定厚みT2の直線状の平部隙間Gbを形成するので、その後で直線部用固定具18を直線状の平部隙間Gbの各々へ円滑且つ確実に差し込むことができる。このように、本発明床構造11は、固定具について先に差し込むことができる屈曲状の隅部用固定具17と後で差し込むことができる直線状の直線部用固定具18とに分割することで、防水パン2の所定位置に洗い場蓋15を位置させつつ二種類の固定具17,18で固定できると共に、洗い場床部13と洗い場蓋15の隅部Gaに隅部用固定具17を変形させることなく美麗に差し込むことができる。
【0027】
(第2の実施の形態)
図5及び図6は本発明床構造の第2の実施の形態を示すものであり、本実施の形態に係る本発明床構造31が前記第1の実施の形態に係る本発明床構造11と大きく相違する点は、防水パン12の洗い場床部13の上面及び洗い場蓋15の裏面に、凹部32と凸部33の一組又は複数組みを設け、各組みの凹部32と凸部33を嵌合させ、固定具17,18で固定する前における防水パン12に対する洗い場蓋15の暫定的な位置決めを容易にできるようにしたことである。この相違点以外の部分については、第1の実施の形態と実質的に同一であり、図5及び図6において図1乃至図4と同一符号は相当部分を示す。
【0028】
本例の本発明床構造31は、防水パン12の洗い場床部13の上面の三辺(前後右)寄りに平面コ字状の連続した凹溝からなる凹部32と、洗い場蓋15の裏面に平面コ字状の連続した凸条からなる凸部33とを設け、洗い場床部13の上面に洗い場蓋15を載置するときに凹部32と凸部33を隙間バメ状態で嵌合させることで、防水パン12の洗い場床部13に対する洗い場蓋15の暫定的な位置決めを行なって、洗い場床部13の三辺の起立部13a,13b,13cと洗い場蓋15の側縁部15a,15b,15cの外側面の間の各隙間Ga,Gbの厚み寸法T2を近似させることができるようになっている。
うにしてある。
【0029】
凹凸関係は前記態様に限定されるものではなく、図示は省略したが、防水パン12の洗い場床部13の上面の三辺(前後右)寄りに平面コ字状の連続した凸条からなる凸部33を設けると共に、洗い場蓋15の裏面に平面コ字状の連続した凹溝からなる凹部32を設けることも、また、点在させて複数組みの凸部33及び凹部32を設けることもある。
【0030】
防水パン1 2の洗い場床部13の二カ所の内隅部13d,13eと洗い場蓋15の対応する二カ所の外隅部15d,15eの間の隅部隙間Ga,Gaの各々に差し込む屈曲状の隅部用固定具17、及び洗い場床部13の他の二辺の起立部13a,13bと洗い場蓋15の対応する二辺の側縁部15a,15bの間の平部隙間Gbの各々に差し込む直線状の直線部用固定具18(図1(A)(C)参照)は、凹部17a,18aを洗い場蓋15の側縁部15a,15b,15cに係合させて抜け出ないようにしてある。洗い場蓋15は、覆い部15fの裏面に支持用突起15kを突設させ、洗い場床部13に支持用突起15kを支持させながら載置されるようにしてある。
【符号の説明】
【0031】
11(31)…本発明床構造、12…浴室用防水パン、13…洗い場床部、13a…起立部(前)、13b…起立部(後)、13c…起立部(右)、13d…内隅部(前右)、13e…内隅部(後右)、13f…床面部、13g…排水溝、13h…隆起部(左前後)、13j…壁パネル載置部、14…作業口、15…洗い場蓋、15a…側縁部(前)、15b…側縁部(後)、15c…側縁部(右)、15d…外隅部(前右)、15e…外隅部(後右)、15f…覆い部、15g…隆起部、15h…側縁部、15j…横向き凹部、16…壁パネル、17…隅部用固定具、17a…凹部、17b…傾斜面、18…直線部用固定具、18a…凹部、18b…傾斜面、19…浴槽設置床部、19j…壁パネル載置部、24…支持脚、27…シール材、28…充填物、29…ビス止め、32…凹部、33…凸部、Ga…隅部隙間、Gb…平部隙間、T2…隙間Ga,Gbの厚み寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業口を開設した洗い場床部の外周の浴槽側の辺を除く三辺に起立部を立設させると共に、隣接する起立部どうしを連結して内隅部を形成した防水パンと、洗い場床部を着脱可能に覆う洗い場蓋と、防水パンに洗い場蓋を固定する固定具とを備えた浴室ユニットの床構造であって、前記固定具は、防水パンの内隅部と洗い場蓋の対応する外隅部の間の隙間に差し込んだ屈曲状の隅部用固定具と、防水パンの起立部と洗い場蓋の対応する側縁部の間の隙間に差し込んだ直線状の直線部用固定具と備えていることを特徴とする浴室ユニットの床構造。
【請求項2】
防水パンの三辺の起立部と洗い場蓋の対応する三辺の側縁部の間の隙間に、隅部用及び直線部用の固定具を覆ってコーキング材を充填した請求項1記載の浴室ユニットの床構造。
【請求項3】
防水パンの上面及び洗い場蓋の裏面に、凹部と凸部を設け、凹部と凸部を嵌合させた請求項1又は2記載の浴室ユニットの床構造。
【請求項4】
作業口を開設した洗い場床部の外周の浴槽側の辺を除く三辺に起立部を立設する共に、隣接する起立部どうしを連結して内隅部を形成した防水パンに、洗い場床部を着脱可能に覆う洗い場蓋を固定具を用いて設置する浴室ユニットの床施工方法において、防水パンの二カ所の内隅部と洗い場蓋の対応する二カ所の外隅部の間の隙間の各々に屈曲状の隅部用固定具を差し込み、その後に、防水パンの浴槽側の辺と対向する一辺を除く他の二辺の起立部と洗い場蓋の対応する二辺の側縁部の間の隙間の各々に直線状の直線部用固定具を差し込むことを特徴とする浴室ユニットの床施工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−52499(P2011−52499A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−204493(P2009−204493)
【出願日】平成21年9月4日(2009.9.4)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】