説明

浴室用保温着

【課題】 浴室で自分の身体を洗う場合、秋冬期は冷気が厳しく嫌になるし健康面でも好ましくない。従って、身体を洗う途中で湯船の温湯や温湯シャワーを掛けたり、短時間で済ませたりして一時凌ぎをしている。前記の課題を改善し、保温着を着用したまま容易に全身を洗える便利な保温着を提供することが求められている。
【解決手段】 特に寒気を感じやすい背中心臓部周辺を冷気から遮断し保温するため、袖がなく、丈は腰付近までで、前みごろ1と後ろみごろ2を備え、当該後ろみごろ2は、首元後方部から下側へ腰部にかけて脇腹後部両サイドに2本の切り欠き5を設け、前みごろ1から分離され、暖簾状に腰まで垂れ下がっている。生地素材は肌接面に保温性と撥水性の高い素材を用い、肌接面の生地形状は水で濡れた生地面が肌面に密着しないよう、小さな凹凸状の突起物を全面に設け、当該突起物の先端面のみ肌面に接することを特徴とする浴室用保温着。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室内で裸になった身体を冷気から保護するための保温着に関するものである。
【背景技術】
【0002】
浴室で裸になって身体を洗う場合、夏季以外は外気と体温の差で寒さを感じる。特に、冬季など高齢者や高血圧など病気持ちの人は、裸で浴槽外に居ることは健康面で危険を伴う。最近の新築高級住宅では、一部に浴室暖房もあるが、まだまだ普及率は低く環境エコからも自然志向が根強い。また、浴室保温着は既にあるが、それは自分の身体を洗う為のものではなく、子供や介護者の体を洗う場合、又は自分自身の洗髪時の補助着用に限られていた。しかし、浴室内で自分の身体を洗う目的の保温着は存在しない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−247108号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
解決しようとする課題は、秋冬季の寒気の中、浴槽外で裸になって自分の身体を洗う場合、着用したまま容易に全身を洗えて保温効果を有する保温着を提供することである。実際に浴槽外は室外温度と大差なく、裸で身体を洗うのは健康面から好ましくなく、温湯シャワーを浴びながら洗ったり、頻繁に掛け湯したり、極めて短時間で簡単に洗ったりしている。また、足湯や心臓疾患者の入浴は、上半身を外気にさらす為、手軽で濡れてもいい保温着が求められていた。本来は、ゆったりとリラックスゼーションの場であるべき浴室が辛抱の場になっており、環境エコからも、身体を暖めるために無駄な湯量を消費している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の課題を解決する為、請求項1は、保温着の形状をベストのように袖なしに形成し、前みごろ1と後ろみごろ2を備え、身体の前側を洗う場合は、当該前みごろ1の中央又は下部開口部から手を差し入れて、通常の方法で支障なく胸部、腹部等の身体前部及び脇腹部を洗うことができる。
【0006】
請求項1に係る発明においては、人間が特に寒さを感じやすい背中面の心臓に近い部分を外気から遮断し、皮膚表面温度を逃がさないようにする必要がある。後ろみごろ2は、首付根後部を介して前みごろ1と連なり、肩辺から脇腹後部を下に向かって腰部まで両サイド2本の切り欠き5を設け、背中を暖簾状に垂れ下がる構造にする。前記の如く、後ろみごろ2は、通常は背中を覆いながら、容易に捲り上げられるようにし、タオルを後ろみごろ2の下端より背中面に通してタスキ洗いができるよう形成する。
【0007】
請求項2に係る発明においては、保温着の材質に保温性と撥水性を有するクロロプレイン製のスキン素材6を使用し、内側表面には凹凸状に円柱形突起物7を全面にわたって形成し、常に突起物7の先端面9のみが肌に接するようにする。また、当該突起物7の間隔10は、表面張力の作用で水が突起物7の間隙に溜まらない距離範囲で、できる限り小さく形成し突起物7の高さは、その間隔10と同程度とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1及び2及に係る発明においては、当該浴室用保温着を着用すると、肩口からのかけ湯の温熱が皮膚表面と断熱生地の間に封止され保温効果を発揮する。
【0009】
請求項1及び2に係る発明においては、凹凸に形成された突起物先端だけが皮膚と接触する為、外周辺に近い断熱生地と肌面が乖離している境界部分に於いても、冷えた水分の肌面接触面積を小さな点で受けることができる為、冷たさを緩和できる。
【0010】
請求項1及び2に係る発明においては、当該浴室用保温着を着用すると、温泉の露天風呂では、極端な室内外の温度差を緩和でき、特に、女性は胸部を隠すこともできるため、気恥ずかしさを和らげることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係わる保温着の正面図である。
【図2】同上の後方斜視図である。
【図3】同上の背面図である。
【図4】同上の変形後方斜視図である。
【図5】同上の人体に装着した斜視図である。
【図6】同上の生地断面構造図・平面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を実施例にもとづき図面を参照しつつ具体的に説明する。
【0013】
図1に示される実施例は、本発明における浴室用保温着の正面図である。本図では、袖なしベストの形状をしており、丈は前側が胸下付近まで、後ろ側が腰付近までで、前みごろ1と後ろみごろ2を備えている。身体を洗う場合は、左右前みごろ1の中央開口部又は下端から手を差し入れても動作を妨げるものは無く、普通の方法で胸部、腹部等の身体前部及び脇腹部を洗うことができる。
【0014】
図2は本発明における浴室用保温着を斜め後方から見ている。後ろみごろ2は、首後部付根だけが前みごろ1と連結し、肩付根から下側へ腰部にかけて脇腹後部両サイドに2本の切り欠き5を設け、暖簾状に垂れ下がっている。このように、背中に暖簾状に垂れ下がらすことで、後ろみごろ2の下端から、左右の手で掴んだタオルを通し、首付根当たりまで持ち上げてタスキ掛け状に往復運動をさせながら肩辺から背中全体を洗うことができる。
前みごろと1後ろみごろ2に設ける肩辺の切り欠き5を、首根元部位まで届く長さで形成する。そうすることで、タスキ掛けで洗う場合にタオルが首根元まで達して隅々まで洗うことができる。当該後ろみごろ2は、完全に前みごろ1と分離して、首付根後部で着脱可能な取付具を用いても構わない。
【0015】
図3は本発明における浴室用保温着を着用している状態を斜め上後方から見ている。身体を洗い終えたら、首筋からお湯を掛ければ大きく開いた襟口3から湯が流入し身体全体の石鹸を洗い流すことができるし、石鹸を洗い流せば、当該保温着を着たまま入浴することもできる。
【0016】
図4は後ろみごろ2と前みごろ1が連なってなる脇腹部に於いて、脇下から腰横部まで垂直に切り欠きを設け、後ろみごろ2の両側端辺が前みごろ1と完全に分離して、後ろみごろ2を背中に暖簾状に垂れ下がらせる形式であってもよい。
【0017】
図5は浴室用保温着の生地素材構造に関してであるが、内面素材6は保温性と撥水性の高い厚み2mm程度のクロロプレインゴム素材を用い、外面は生地の強度を保つためにナイロンのニット地8を貼り付けたものを用いる。直接、肌に接する生地面の形状が重要であり、表面は凹凸状で、突起物7を無数に形成し、先端9の面積は小さく直径が1mm程度で、突起物7と突起物7の間隔10は1mm程度で高さも1mm程度のシャーク地で形成する。突起物間の寸法は、突起物7間の隙間に表面張力で水滴が溜まらない距離範囲で最小寸法が好ましく、できる限り肌面への接触面積を小さくしながら、肌面の暖かい体温が外部に逃げないように突起物間の空間容積を極力小さくする。本実施例は一例であって、当該突起物7の形状は円柱形または円錐形や四角錘・三角錐であっても構わないし、アクリルやポリエステルの毛を密生させ、肌面に毛が接触するようにして保温性を確保しながら水はけができる構造でも構わない。また、素材に於いても限定されるものではなく、保温性、撥水性、柔軟性などの性質を有する素材であれば高発泡ポリエチレン、又は発泡ウレタンのような素材であってもかまわない。
【符号の説明】
【0018】
1 前みごろ
2 後ろみごろ
3 襟口
4 袖口
5 前みごろと後ろみごろの分離切り欠き
6 保温着の内面素材
7 内面突起物
8 保温着の外面素材
9 突起物の先端面
10 突起物間の間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
後ろみごろは、前みごろと脇腹で分離され、肩辺を介して腰まで暖簾状に垂れ下がったことを特徴とする浴室用保温着。
【請求項2】
前記、請求項1記載の浴室用保温着の生地素材は、保温性と撥水性の高い素材を用い、肌接面は凹凸状の突起物を全面に形成し、当該突起物の先端部のみが肌面に接することを特徴とする浴室用保温着。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−241287(P2012−241287A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109652(P2011−109652)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(310004622)
【Fターム(参考)】