説明

浴室用信号伝達装置

【課題】浴室1の外に載置した音響機器8から出力される音声信号をアンプ2に入力しスピーカ21で再生する構成では、音響機器8に赤外線式の音響リモコン7が付属していても、音響リモコン7を用いて浴室1内から音響機器8の操作を行うことができない。
【解決手段】音響リモコン7から照射された赤外線を受光し電気信号に変換する受光素子41を浴室1内に設けると共に、変換された電気信号を信号増幅器5で増幅した後、音響機器8の近傍に取り付けられた発光素子62から赤外線を音響機器8に照射するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば音響用のスピーカを備えた浴室に適用され、浴室外に載置された音響機器から出力される音声信号でスピーカを鳴動させる場合に、浴室内のリモコンで音響機器の制御を行うための浴室用信号伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室に音響用のスピーカを取り付け、このスピーカから音楽等を発音させて入浴中に音楽を楽しむための装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。浴室の外側に、音楽信号を出力するための音響機器を専用で設けてもよいが、そのような音響機器は入浴中しか使用しないので不経済である。
【0003】
そこで、特許文献1に記載されているように、浴室外の所定位置に音声信号の入力端子を設け、その入力端子に既製の音響機器の音声出力端子を接続することによって、音響機器から出力される音声信号で浴室内のスピーカを鳴動させることが望まれている。
【0004】
なお、浴室外に載置された音響機器の操作、例えば選曲や音量調節などの操作を行うために入浴中に浴室から出なければいけないとするときわめて不便である。
【0005】
そこで、音響機器が赤外線リモコンで操作できる場合には、上記特許文献1記載のものでは、音響機器に付属しているリモコンの信号パターンをコピーして記憶しておき、必要に応じて記憶したパターンの信号を赤外線に重畳させて音響機器に向かって照射する機能を備えた学習リモコン装置を別途設けている。
【特許文献1】特開平5−328443号公報(請求項1、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来のものでは、音響機器に付属しているリモコンを実際に作動させ、信号が重畳されている赤外線を受光して、各操作機能毎に信号パターンを記憶させなければならず、このような信号パターンの読み取りおよび記憶操作がきわめて煩わしいばかりか、この煩わしい操作を予めしておかなければ、音響機器の制御を行うことができない。
【0007】
さらに、浴室外に載置される音響機器は既製のものであるため、使用者が所有している他のメーカの音響機器と交換する場合が生じるが、その場合には音響機器を交換する毎に信号パターンを記憶させるという操作を再度行わなければならない。
【0008】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、リモコンの信号パターンを予め記憶させる操作を使用者が行う必要のない浴室用信号伝達装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明による浴室用信号伝達装置は、浴室以外の所定位置に載置され、赤外線式のリモコンによって操作される音響機器に、浴室内のリモコンから照射された赤外線と同じ信号が重畳された赤外線を、音響装置の載置位置から音響機器に対して照射する浴室用信号伝達装置において、浴室内に、浴室内のリモコンから照射された赤外線を受光する受光部を設けると共に、音響機器の載置位置に、信号が重畳された赤外線を照射する照射部を設け、これら受光部と照射部とを信号伝達経路で連結したことを特徴とする。
【0010】
音響機器の操作を行うための信号パターンを読み取って記憶するのではなく、音響機器の操作を行うことのできるリモコンをそのまま浴室内で使用し、そのリモコンから浴室内に照射された信号を浴室外の音響機器に伝達することにより、浴室内のリモコンで浴室外の音響機器の操作を行う。
【0011】
例えば、上記受光部には、赤外線の重畳された信号を電気信号に変換する受光素子を設けると共に、照射部には電気信号を赤外線に変換する発光素子を設け、受光素子から出力される電気信号を増幅して発光素子に供給する増幅手段で上記信号伝達経路を構成すれば、電気信号に変換しているので増幅するほか、フィルタ処理も容易に行うことができるので、信号の劣化という不具合が生じず、かつS/N比の高い信号を音響機器に照射させることができる。
【0012】
あるいは、上記信号伝達経路を、両端が各々受光部と照射部とに臨むように配設された光ファイバで構成すれば、構成をきわめて簡素化することができる。
【0013】
なお、上記受光部に、リモコンから照射された赤外線を光ファイバの端部に集光する集光手段を設けることが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
以上の説明から明らかなように、本発明は、浴室内のリモコンで直接音響機器の操作を行うので、信号パターンを読み取って記憶する操作を行わなくてもよく、さらに、音響機器を取り替えても、その後に再度信号パターンを記憶させるなどという煩わしい操作を行う必要がない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1および図2を参照して、1は本発明による浴室用信号伝達装置が設置されている浴室である。この浴室1の天井裏にはアンプ2が取り付けられており、このアンプ2の音声出力により鳴動する1対の防水スピーカ21が、浴室1の天井に取り付けられている。
【0016】
一方、浴室1の壁面には図外の給湯装置のリモコン機能を備えたテレビリモコン3が取り付けられている。このテレビリモコン3内にはチューナ部が内蔵されておらず、浴室1の天井裏に取り付けられたチューナ部31からテレビ画像およびテレビ音声の信号がテレビリモコン3に供給される。
【0017】
テレビリモコン3は前面に操作ボタンを有しているが、赤外線式の防水リモコン32によってもコントロールされる。また、この防水リモコン32は上記アンプ2のコントロールも合わせて行うことができ、スピーカ21で再生される音量の増減や、アンプに入力される外部入力のソースを切り換えることができる。
【0018】
防水リモコン32から射出された赤外線は、浴室1に取り付けた受光部に受光され、電気信号に変換される。その信号は一旦アンプ2に入力されるが、テレビリモコン3に関する信号の場合には、アンプ2を通り抜けてチューナ部31に転送される。
【0019】
テレビリモコン3はスピーカを前面に内蔵しているが、防水リモコン32に対して操作することにより、テレビリモコン3が内蔵しているスピーカが消音され、チューナ部31からアンプ2に音声信号を入力して防水スピーカ21からテレビ音声を発音させることができる。
【0020】
一方、浴室1に隣設する脱衣室に可搬式の音響機器8が載置される。そして、この音響機器8が載置される場所に照射部6を設けた。この照射部6には音声入力用の端子61が設けられており、この端子61に音響機器8から出力される音声信号を入力できるようにした。
【0021】
端子61に入力された音声信号はアンプ2に外部入力ソースの1つとして入力される。したがって、防水リモコン32を操作することにより、防水スピーカ21から発音される音声を、音響機器8から出力される音楽等の音声に切り換えることができ、かつその音量は防水リモコン32に対する操作によって行うことができる。
【0022】
そしてさらに、浴室1の壁面に受光部4を設けた。この受光部4は中央には光電変換を行う受光素子41を備えており、上記受光部22と同じく赤外線式のリモコンから照射される赤外線を受光して電気信号に変換するものである。そして、この受光素子41で変換された電気信号は信号増幅器5に入力される。そしてこの信号増幅器5で増幅された信号は赤外線を発光する発光素子62に供給される。
【0023】
この発光素子62は照射部6に設けられており、発光素子62から照射される赤外線は、照射部6の近傍に載置されている音響機器8に十分な照度で到達することができる。
【0024】
この音響機器8には専用の赤外線器の音響リモコン7が付属しており、その音響リモコン7を浴室内に持ち込み、浴室1内で音響リモコン7を操作すると、音響リモコン7から照射される赤外線が受光素子41に受光され、音響リモコン7から照射された赤外線と同じ信号が重畳された赤外線が発光素子62から照射される。
【0025】
したがって、音響リモコン7を浴室1内で操作しても、浴室1の外に載置した音響機器8のコントロールを行うことができる。なお、音響機器8に付属する音響リモコン7が防水仕様でない場合には、市販の透明な防水パックに音響リモコン7を入れて浴室1内で使用すればよい。また、各音響メーカが採用する信号パターンを複数社分予め記憶した汎用リモコンであって、防水仕様のものが市販されていれば、その汎用リモコンを音響リモコン7として使用してもよい。さらに、防水リモコン32に各音響メーカが採用する信号コードを記憶させ、防水リモコン32に汎用リモコンとしての機能を付加すれば、音響リモコン7の代わりに、防水リモコン32を用いて外部の音響機器8のコントロールを行うようにしてもよい。
【0026】
次に、図3および図4を参照して、上記の実施の形態では、音響リモコン7から照射された赤外線を一旦電気信号に変換したが、浴室1内と音響機器8の載置場所とを光ファイバ9で連結し、音響リモコン7から照射された赤外線を電気信号に変換することなく、そのまま音響機器8に伝達させるようにしてもよい。
【0027】
このものでは、受光部にレンズ92を取り付け、音響リモコン7から照射された赤外線を光ファイバ9の一端に集光し、光ファイバへの赤外線の入光量を増加させるようにした。なお、さらに入光量を増加させるため、集光器91を用いてもよい。この集光器91は椀状に形成されており、内面91aに鏡面加工が施されている。また、レンズ92の周囲にも同じく鏡面加工された反射面91bを形成し、音響リモコン7から照射された赤外線が反射面91bと内面91aとで反射されて、レンズ92に集光されるようにした。
【0028】
また、光ファイバ9の他端から射出される赤外線はレンズ93によって指向性が高められた状態で音響機器8に照射されるようにした。
【0029】
このように構成することによって、音響リモコン7から照射された赤外線を、そのまま直接音響機器8まで伝達させることができる。
【0030】
ところで、音響機器8がステレオセットのように、アンプ2を介さずに直接スピーカ21を鳴動させるだけの大きさの音声信号を出力できる場合などでは、アンプ2を備えないシステムに本発明による浴室用信号伝達装置を適用してもよい。
【0031】
また、上記実施の形態では、音響機器8のコントロールを行う場合について説明したが、ビデオ再生装置やDVD再生装置、その他の音声信号および画像信号を出力する機器のコントロールを行うために本発明を用いてもよい。なお、その場合には画像信号はテレビリモコン3に表示されるように、チューナ部31に入力する。
【0032】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明が適用される浴室の内観図
【図2】本発明が適用されるシステムを示すブロック図
【図3】集光器の外観を示す図
【図4】他の形態の構成を示す概略図
【符号の説明】
【0034】
1 浴室
2 アンプ
3 テレビリモコン
4 受光部
5 信号増幅器
6 照射部
7 音響リモコン
8 音響機器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室以外の所定位置に載置され、赤外線式のリモコンによって操作される音響機器に、浴室内のリモコンから照射された赤外線と同じ信号が重畳された赤外線を、音響装置の載置位置から音響機器に対して照射する浴室用信号伝達装置において、浴室内に、浴室内のリモコンから照射された赤外線を受光する受光部を設けると共に、音響機器の載置位置に、信号が重畳された赤外線を照射する照射部を設け、これら受光部と照射部とを信号伝達経路で連結したことを特徴とする浴室用信号伝達装置。
【請求項2】
上記受光部には、赤外線の重畳された信号を電気信号に変換する受光素子を設けると共に、照射部には電気信号を赤外線に変換する発光素子を設け、受光素子から出力される電気信号を増幅して発光素子に供給する増幅手段で上記信号伝達経路を構成したことを特徴とする請求項1に記載の浴室用信号伝達装置。
【請求項3】
上記信号伝達経路を、両端が各々受光部と照射部とに臨むように配設された光ファイバで構成したことを特徴とする請求項1に記載の浴室用信号伝達装置。
【請求項4】
上記受光部に、リモコンから照射された赤外線を光ファイバの端部に集光する集光手段を設けたことを特徴とする請求項3に記載の浴室用信号伝達装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−174314(P2006−174314A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−366991(P2004−366991)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【出願人】(000100562)アール・ビー・コントロールズ株式会社 (97)
【Fターム(参考)】