説明

浴室音響装置

【課題】浴室BRにオーディオスピーカ11を設置し、浴室BRの外部に設置した外部機器61からの音声をオーディオスピーカ11で発音させる場合、従来の装置では外部機器が1台しか接続できなかったので、外部機器が複数ある場合には接続し直さなければならなかった。
【解決手段】マルチアンプ1に複数個の外部入力端子2を設けて、浴室BR内のリモコン4で再生する外部機器を切り替えると共に、外部機器が接続されていない外部入力端子が選択されないように、マルチアンプ1内に選択禁止手段を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室内に設置したオーディオスピーカから高音質の音楽を流して浴室内で音楽を楽しむことのできる浴室音響装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の装置としては、浴室外に音響装置を設置し、浴室内に設置したオーディオスピーカを鳴動させて浴室内で音楽を楽しむことができるようにしたものが知られている。このものでは、浴室内に赤外線式のリモコンを設置すると共に、浴室内にこのリモコンから射出された赤外線を受光して電気信号に変換する受光部を設置している。そして受光部から出力される信号を浴室外に設置された発光部に入力し、リモコンから射出された赤外線と同じ信号が重畳された赤外線を、この発光部から射出して浴室外の音響装置の操作を行うように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−333268号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来の浴室音響装置では、浴室外に設置する音響装置は1種類であったため、例えばMDプレーヤを接続している場合には、CDプレーヤやその他のオーディオ装置は接続できないか、もしくはMDプレーヤを外して他のオーディオ装置を接続し直すという煩わしさがあった。
【0004】
また、オーディオ装置の種類やメーカが異なると制御用の信号コードが相違するため、オーディオ装置ごとにリモコンを用意しなければならないが、各リモコンは浴室内で使用するため防水構造でなければならず、現実には各オーディオ装置ごとにリモコンを用意することは不可能であった。
【0005】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、上述の不具合が生じない浴室音響装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明による浴室音響装置は、複数の外部入力端子を備え、これら外部入力端子の中から選択した1つの入力端子から入力される音声信号を増幅して、浴室内に配設されたオーディオスピーカを鳴動させる浴室音響装置において、浴室内に設置されたリモコンに、各入力端子に対応する複数の選択スイッチを設け、これら複数の選択スイッチのうちの操作された選択スイッチに相当する外部入力端子を選択すると共に、音声信号を発信する機器が接続されていない外部入力端子が存在する場合に、その接続されていない外部入力端子に相当する選択スイッチが操作されても、接続されていない端子への選択を禁止する選択禁止手段を設けたことを特徴とする。
【0007】
複数の外部入力端子を設け、複数のオーディオ装置等を各外部入力端子に接続すると共に、浴室内のリモコンで外部入力端子から入力されてくる音声信号を選択して再生すれば、複数のオーディオ装置を1つの外部入力端子に接続し直すという煩わしさが解消する。ただし、外部入力端子のすべてにオーディオ装置等が接続されるとは限らない。そのため、リモコンを操作する際に、オーディオ装置等が接続されていない外部入力端子を意識せずに選択すると、リモコンを操作しても浴室内のオーディオスピーカからは音楽等が再生されない。そして、オーディオ装置等が接続されていない外部入力端子を選択したことに気付くまでは、音楽等が発音されない原因がわからず、浴室音響装置に故障等の異常が生じたかのような誤解を招くことになる。そこで、上記選択禁止手段により、オーディオ装置等が接続されていない外部入力端子が選択されようとしても、その端子への選択を禁止するようにした。これにより、オーディオ装置等が接続されていない外部入力端子は選択されず、リモコンの使い勝手が向上する。
【0008】
上記複数の外部入力端子のうちの少なくとも1つを、浴室内に画像表示部とテレビスピーカとが取り付けられた浴室テレビからの音声信号が入力される専用の外部入力端子として設定すると共に、この専用の外部入力端子以外の外部入力端子から入力された音声信号を分岐して浴室テレビに出力し、浴室テレビのテレビスピーカで再生可能としてもよい。 入力されたテレビ音声が浴室テレビへと入力されると、テレビ音声が無限に増幅されて、いわゆるハウリング現象が生じるおそれがある。そこで、浴室テレビに出力する音声信号は浴室テレビからの音声信号が入力される端子以外の端子に限定することとした。これにより、浴室のみから音声を出すことができると共に、ハウリングを防止できる。
【0009】
ところで、外部のオーディオ装置として、ビデオ装置やDVD装置のように音声信号のほかに画像信号を出力するものがある。一方、CDプレーヤなどは音声信号のみであり、画像信号は出力しない。画像信号は浴室テレビの画像表示部に表示されるが、その状態でCDプレーヤなどの画像信号を出力しないオーディオ装置に切り替えられると、浴室テレビには砂嵐状のノイズ画面もしくはブルー画面が表示される。その画面に不都合を感じる場合には、以下のように構成すればよい。
【0010】
すなわち、上記複数の外部入力端子のほかに、画像信号が入力される画像信号入力端子を備え、入力された画像信号を上記浴室テレビに出力すると共に、画像信号が入力されない場合に、浴室テレビに出力する画像データを記憶する画像データ記憶手段を備える。これにより、画像信号が入力されない場合には、画像データ記憶手段に記憶された画像データが表示され、浴室音響装置の使い勝手が向上される。
【0011】
なお、浴室内のリモコンから発信された信号を受信して、外部入力端子に接続された機器にその信号を赤外線として射出する赤外線信号射出手段を備えれば、浴室のリモコン1台で浴室外の複数のオーディオ装置等の機器を制御することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上の説明から明らかなように、本発明は、複数の外部機器を接続することができ、かつそれらの外部機器からの音楽等の再生や外部機器の操作を浴室内のリモコンで行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1を参照して、1は本発明による浴室音響装置であるマルチアンプである。このマルチアンプは入力された音声信号を増幅するアンプ機能と、複数の外部入力端子のうちから1つの外部入力端子を選択して、その外部入力端子からの音声信号をアンプ機能に入力させる選択機能とを備えている。増幅された音声信号は浴室BR内に取り付けられたオーディオスピーカ11に出力され、これら1対のオーディオスピーカ11を鳴動させる。外部入力端子は音声信号が入力される端子であり、本実施の形態では4個の外部入力端子2を設けた。またこれら外部入力端子2のほかに外部から画像信号が入力される画像信号入力端子12が設けられている。
【0014】
この画像信号入力端子12から入力された画像信号は画像信号出力端子13から出力される。浴室BRには浴室テレビのモニタ部31が取り付けられている。このモニタ部31には液晶表示部とテレビスピーカとが取り付けられており、浴室BRの天井裏に設置されたチューナ部3から送られてくる画像信号を受けてテレビ画像を表示すると共に、同じチューナ部3から送られてくる音声信号を受けて、テレビスピーカが鳴動するように構成されている。
【0015】
マルチアンプ1から出力された画像信号はこのチューナ部3に入力され、浴室テレビのモニタ部31でこの映像信号を表示させるように接続されている。また、マルチアンプ1に入力された音声信号のうち、選択されたものはマルチアンプ1内で分岐されて外部出力端子14からチューナ部3へと出力される。チューナ部3へ入力された音声信号はモニタ部31のテレビスピーカから再生される。
【0016】
マルチアンプ1には、浴室BR内に受光部が臨むように取り付けられた受光ユニット15が接続されている。浴室BR内には赤外線式のリモコン4が載置されており、このリモコン4から射出された赤外線を受光ユニット15で受光できるように構成されている。なお、このリモコン4は浴室テレビの操作を行う機能を備えているので、リモコン4から射出された赤外線は、上記受光ユニット15のほかにモニタ部31に取り付けられた受光ユニット(図示せず)にも受光される。
【0017】
受光ユニット15で受光された赤外線は電気信号に変換されて、居間LRなどの浴室BL以外の部屋に設置された入出力端子ユニット51,52,53にそのまま出力される。これら入出力端子ユニット51,52,53に通信線を接続し、その通信線の先端に発光部54aを接続すると、発光部54aは信号が重畳された赤外線を射出する。
【0018】
また、各入出力端子ユニット51,52,53には音声信号を入力するための端子が設けられており、各端子は外部入力端子2に接続されている。従って、DVDプレーヤ61やMDプレーヤ62が出力する音声信号が外部入力端子2へと入力される。特に入出力端子ユニット51には画像信号を入力する端子が設けられており、その端子は画像信号入力端子12に接続されている。そのため、DVDプレーヤ61から出力される画像信号が画像信号入力端子12に入力される。なお、本実施の形態では入出力端子ユニット53には外部機器が接続されていない。
【0019】
図2及び図3を参照して、リモコン4には選択スイッチ41が設けられている。このリモコン4はいわゆる学習リモコンであり、各メーカが採用する制御コードが記憶されており、各選択スイッチ41に所望の制御コードを対応させることができる。そして、4個の選択スイッチ41のうちのいずれかの選択スイッチが押し操作されると、リモコン4はその押された選択スイッチに対応する制御コードの赤外線信号を射出する。従って、その後他の選択スイッチが押し操作されると、後で押された選択スイッチに対応する制御コードの赤外線を射出する。なお、このリモコン4は浴室テレビの制御用としても使用するので、浴室テレビの制御コードの赤外線は、リモコン4の専用スイッチを押すことによりいつでも射出することができる。
【0020】
一方、マルチアンプ1には外部端子2のうちのどの端子に外部機器が接続されているのか否かを設定する手段が設けられている。その手段は例えばディップスイッチであり、4個の外部入力端子2である外部入力端子21,22,23,24の各々に対応する4個のディップを備えたディップスイッチがマルチアンプ1内に内蔵されており、外部機器が接続されている外部入力端子に対応するディップをオンにすることにより、どの外部入力端子に外部機器が接続されているかを認識することができる。
【0021】
リモコン4の選択スイッチ41のうち「TV」が外部入力端子20に対応し、以下「1」が外部入力端子21に対応し、「2」が外部入力端子22に対応し、「3」が外部入力端子23に対応している。そして外部入力端子20にはチューナ部3からのテレビ音声信号が入力され、外部入力端子21には入出力端子ユニット51を介してDVDプレーヤ61からの音声信号が入力され、外部入力端子22には入出力端子ユニット52を介してMDプレーヤ62からの音声信号が入力される。なお、外部入力端子23には音声信号が入力されないので、この外部入力端子23に対応するディップのみがオフ状態になっている。
【0022】
マルチアンプ1内にはアンプユニット16が内蔵されており、このアンプユニット16に入力された音声信号が増幅されてオーディオスピーカ11に出力される。また、マルチアンプ1内には第1切替スイッチ71と第2切替スイッチ72とが直列に接続されている。第1切替スイッチ71は外部入力端子21,22,23の3この中から択一的に選択して、選択された1個の外部入力端子からの音声信号を出力するものである。この出力された音声信号は分岐されて外部出力端子14からチューナ部3へと出力される。また、第2切替スイッチ72は第1切替スイッチ71が出力する音声信号と外部入力端子20から入力される浴室テレビの音声信号とのいずれか一方をアンプユニット16に入力させるものである。そして、これら2つの切替スイッチ71,72はリモコン4の選択スイッチ41によって切り替えられる。
【0023】
すなわち、選択スイッチ41の「TV」スイッチが押されると、第2切替スイッチ72が作動して、チューナ部3からの音声信号がアンプユニット16に入力される。そのため、オーディオスピーカ11からはテレビの音声が発音される。
【0024】
次に選択スイッチ41の「1」のスイッチが押されると、第2切替スイッチ72が切り替わると共に、第1切替スイッチ71が外部入力端子21に切り替わる。そのため、アンプユニット16にはDVDプレーヤ61からの音声信号が入力され、オーディオスピーカ11からはDVDプレーヤ61からの音声信号が発音されるようにした。なお、DVDプレーヤ61からの音声信号はチューナ部3へ分岐されており、かつDVDプレーヤ61からの画像信号もチューナ部3へ出力される。
【0025】
その状態では、モニタ部31にDVDプレーヤ61からの動画が映し出されるが、テレビスピーカからも音声が再生される。オーディオスピーカ11からの高音質の音声に対して、テレビスピーカから再生される音声は音質が低下している。そのため、テレビスピーカからの発音を停止したい場合が生じる。このとき、テレビ消音スイッチ42を押すと浴室テレビ内でミュート処理がされて、音量がゼロになる。ただし、このようにミュート処理により音量をゼロにした場合に、画面には常に音量がゼロである表示が表示され続ける。そのため、動画鑑賞に邪魔になる場合がある。この場合「TV音量」スイッチによって音量を下げればよいが、音量が下がるまでスイッチを押し続けなければならない。
【0026】
そこで、リモコン4に「AV消音」スイッチ43を設けた。このスイッチ43を1回押すと、浴室テレビに対して音量が十分にゼロになる間、音量を下げる信号が発信され続ける。そして、最後に音量を1段階上げる信号が出される。すると、テレビの音量はゼロではなく1になる。この場合にはモニタ部31に音量が1である表示が表示されても、数秒後に表示が消える。そのため動画鑑賞の邪魔にならない。
【0027】
次に、選択スイッチ41の「2」が押されると、第1切替スイッチ71が切り替わり、外部入力端子22からの音声信号がアンプユニット16に入力される。さらに画像信号監視ユニット8が作動して、DVDプレーヤ61からの画像信号が画像信号出力端子13から出力されることを遮断する。なお、画像信号監視ユニット8内には予め静止画像のデータが記憶されており、DVDプレーヤ61からの画像信号の代わりに、その記憶されている画像信号を画像信号出力端子13からチューナ部3へ出力する。すると、DVDプレーヤ61からMDプレーヤ62に切り替えられたとたんに、モニタ部31にノイズ画面やブルー画面が表示されることを防止し、記憶されている静止画像が表示されることにより不快感が生じないようにした。なお、この状態で「AV音量」スイッチ44を操作すると、発光部54aから赤外線が射出され、MDプレーヤ62の音量が増減される。
【0028】
次に、選択スイッチ41の「3」が押された場合、本実施の形態では、外部機器が接続されておらずディップがオフになっているので、切替スイッチ71,72は共に切り替え状態が変化しないようにした。
【0029】
図2に示した構成では2つの切替スイッチ71,72を直列に接続した。このように構成した理由は、チューナ部3から入力される音声信号が再びチューナ部3に入力されて、いわゆるハウリング現象が生じることを防止するためである。ハウリング現象の発生を防止するには他の構成を採用してもよく、例えば図4に示すように、4回路の切替スイッチ73を用いると共に、この切替スイッチ73の出力側から外部出力端子14までの間に開閉スイッチ74を介設し、外部入力端子20が選択されたときのみ開閉スイッチ74をオフにするように構成してもよい。
【0030】
ところで、上記実施の形態では外部入力端子2への音声信号の入力の有無をディップスイッチにより設置したが、外部入力端子に接続されるコネクタに短絡抵抗を内蔵させておき、コネクタが接続されたことをマルチアンプ1側で自動的に検出して、コネクタが接続されていない外部入力端子には切替スイッチが切り替わらないように構成してもよい。
【0031】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の一実施の形態の構成を示す図
【図2】浴室音響装置の内部構造を示すブロック図
【図3】リモコンの外観を示す図
【図4】浴室音響装置の他の内部構造を示すブロック図
【符号の説明】
【0033】
1 マルチアンプ
2 外部入力端子
3 チューナ部
4 リモコン


【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の外部入力端子を備え、これら外部入力端子の中から選択した1つの入力端子から入力される音声信号を増幅して、浴室内に配設されたオーディオスピーカを鳴動させる浴室音響装置において、浴室内に設置されたリモコンに、各入力端子に対応する複数の選択スイッチを設け、これら複数の選択スイッチのうちの操作された選択スイッチに相当する外部入力端子を選択すると共に、音声信号を発信する機器が接続されていない外部入力端子が存在する場合に、その接続されていない外部入力端子に相当する選択スイッチが操作されても、接続されていない端子への選択を禁止する選択禁止手段を設けたことを特徴とする浴室音響装置。
【請求項2】
上記複数の外部入力端子のうちの少なくとも1つを、浴室内に画像表示部とテレビスピーカとが取り付けられた浴室テレビからの音声信号が入力される専用の外部入力端子として設定すると共に、この専用の外部入力端子以外の外部入力端子から入力された音声信号を分岐して浴室テレビに出力し、浴室テレビのテレビスピーカで再生可能としたことを特徴とする請求項1に記載の浴室音響装置。
【請求項3】
上記複数の外部入力端子のほかに、画像信号が入力される画像信号入力端子を備え、入力された画像信号を上記浴室テレビに出力すると共に、画像信号が入力されない場合に、浴室テレビに出力する画像データを記憶する画像データ記憶手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載の浴室音響装置。
【請求項4】
浴室内のリモコンから発信された信号を受信して、外部入力端子に接続された機器にその信号を赤外線として射出する赤外線信号射出手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の浴室音響装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−166556(P2007−166556A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−364066(P2005−364066)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【出願人】(000100562)アール・ビー・コントロールズ株式会社 (97)
【Fターム(参考)】