説明

浴室

【課題】 カウンターを薄型化させて下方の吐水空間を広く確保することができ、しかも意匠性が向上する浴室を提供する。
【解決手段】 浴槽フランジ3aと同じ高さで洗い場7側へ平板状のカウンター8を延設した浴室1において、水栓本体6を浴槽エプロン4内に設置し、水栓本体6を遠隔操作する操作部10を設けるとともに、吐水口9はカウンター8に設置し、この吐水口9と水栓本体6とをカウンター8内に通した配管11,12で繋いで構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されているように、操作部と分離した水栓本体を、浴槽エプロンの内部やカウンター内に収めて構成した浴室が存在する。
【特許文献1】特開2004−100427号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来の構造では、洗い場に設けられるカウンター内部に嵩張る水栓本体を収めると、カウンターの厚みが大となり、カウンターの下のスペースを有効に使えなくなるという問題点があった。
また、水栓機能を備えたカウンターをできるだけ薄く設計することは業界の願望でもあった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は上記従来の問題点に鑑み案出したものであって、カウンターを薄くして、カウンターの下のスペースを有効利用することができ、しかも意匠性が向上する浴室を提供するものであり、その請求項1は、浴槽フランジと同じ高さで洗い場側へ平板状のカウンターを延設した浴室において、水栓本体を浴槽エプロン内に設置し、該水栓本体を遠隔操作する操作部を設けるとともに、吐水口は前記カウンターに設置し、該吐水口と前記水栓本体とを配管で繋いだことである。
【0005】
また請求項2は、前記カウンターの下部に桶台を設けたことである。
【0006】
また請求項3は、水栓本体を床パン上の浴槽エプロン内に設置し、該水栓本体を遠隔操作する操作部と吐水口とを洗い場の壁面に設置し、該吐水口と前記水栓本体とを配管で繋いだことである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、浴槽フランジと同じ高さで洗い場側へ平板状のカウンターを延設して、水栓本体を浴槽エプロン内に設置し、水栓本体を遠隔操作する操作部を設けるとともに、吐水口はカウンターに設置し、吐水口と水栓本体とを配管で繋いだことにより、浴槽フランジと同じ高さに薄型のカウンターを、すっきりとした収まりを実現して設置することができ、浴室の意匠性が向上され、また、嵩張る水栓本体を浴槽エプロン内に設置することで、カウンターは厚みの薄いもので対応でき、カウンターの下のスペースを広く確保できて、吐水口下方の吐水空間を広くすることができ、カウンターの下の床上に背の高いシャンプーボトル等を置くことができるものとなる。
また、水栓の操作部を使い易い自由な位置に設置することができるものとなり、使い勝手が向上するものとなる。
また、熱湯が通り熱くなる水栓本体を、手が触れることのない浴槽エプロン内に置くことで、火傷等の不安を軽減できるものとなる。
【0008】
また、カウンターの下部に桶台を設けたことにより、カウンターの下部の広い吐水空間に桶台を有効に設置して、カウンターと桶台間の空間を広く確保でき、桶台を比較的高い位置に設けることができて、使い易くなり、また、桶台の底面と床との隙間を大きくとることができ、掃除がし易いものとなる。
【0009】
また、水栓本体を床パン上の浴槽エプロン内に設置し、水栓本体を遠隔操作する操作部と吐水口とを洗い場の壁面に設置し、吐水口と水栓本体とを配管で繋いだことにより、水栓本体を浴槽エプロンの内部に収めて一次配管と接続し、シャワー配管,カラン配管を壁裏に導いて、操作部と吐水口のみを洗い場の壁面に露出させ、極めて意匠性に優れた高級感のある浴室とすることができ、壁面から露出する部位が少ないため、掃除が楽なものとなり、自由な位置等に操作部及び吐水口を設置することができ、使用勝手が良好なものとなる。また、一次配管の接続を浴槽エプロン内でできるため、漏水のリスクを軽減でき、熱湯が通り熱くなる水栓本体は手が触れ難い位置に配置されるため、火傷の不安を軽減できるものとなる。
【実施例】
【0010】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1は、第1実施例の浴室の要部斜視構成図である。
浴室1は、壁面を構成する壁パネル2aの内側に浴槽3が設置され、この浴槽3の上面のフランジ3aから、フランジ3aと同じ高さで洗い場7側の壁パネル2bに沿って、平板状のカウンター8が延設されている。
浴槽3の洗い場7側に立設されるエプロン4の裏側には、床面から一次配管である給湯配管5aと給水配管5bが立設配管されており、この給湯配管5a及び給水配管5bには、サーモ,止水切替機構を備えた水栓本体6が接続されており、水栓本体6は、浴槽3とエプロン4間の空間内に隠蔽された状態で設置されている。
この水栓本体6からカラン配管11がカウンター8内へ配管されており、カウンター8の中央部に取り付けられた吐水口9にカラン配管11が接続されている。
【0011】
また、水栓本体6からカウンター8内を通してシャワー配管12が配管され、シャワー配管12にはホース13を介してハンドシャワー14が接続されている。
また、カウンター8の前面には、操作部10が設けられており、この操作部10は、例えば温調スイッチ10aとシャワースイッチ10bと吐水スイッチ10cで構成されて、これらのスイッチ10a,10b,10cと水栓本体6とを接続する操作部配線15がカウンター8内を通して配線されている。
なお、操作部10は、操作部配線15に替えて、ワイヤー等で機械的に水栓本体6と接続されたものであっても良く、また、無線で操作部の各スイッチ10a,10b,10cから操作信号を水栓本体6に送るような構成としても良く、そのような場合は、操作部配線15は不要となる。
【0012】
このような構成によれば、浴槽フランジ3aと同じ高さで、すっきりとした状態でカウンター8を設置することができ、また、カウンター8には、吐水口9と操作部10と内部の配管11,12が設けられるのみであり、カウンター8は上下寸法の薄いものとすることができ、カウンター8の下方の吐水空間を広く確保することができて、カウンター8の下方の洗い場7の床面に、背の高いシャンプーボトル等を置くことができるものとなる。
【0013】
また、嵩張る水栓本体6は、エプロン4内に隠蔽されているため、火傷等を負う不安がなくなり、エプロン4内で給湯配管5aと給水配管5bに水栓本体6が接続されているため、カラン配管11,シャワー配管12には圧がかからず、漏水の可能性を低減できるものとなる。
【0014】
次に、図2は変更例を示すものであり、図2では、カウンター8の下方に、洗い場7床面から浮かせた位置に桶台16を設置したものであり、この桶台16上に洗面器を置いて、吐水口9から洗面器内に良好に吐水することができるものである。
カウンター8が薄型であるため、桶台16とカウンター8間の空間を広く取ることができ、桶台16を比較的高い位置に設けることができて使い易いものとなり、桶台と洗い場7床面との隙間も大きく取れるために、掃除がし易いものとなる。
【0015】
なお、前記スイッチ10a,10b,10cで構成される操作スイッチ10に替えて、壁パネル2bに、同様なスイッチを備えたリモコン17を自由な位置に設けて、リモコン17から無線で水栓本体6を操作し、吐水口9から良好に吐水できるように構成することもでき、更には、壁パネル2bに、リモコン温調ハンドル18a、及びシャワー,吐水切替ハンドル18bを設けて、このハンドル18a,18bから回転信号を水栓本体6に飛ばして、水栓本体6を操作できるように構成することもでき、ハンドル18a,18bは使い易い自由な位置に設置することができ、操作性が良好化し、且つ見栄え性も良好なものとなる。
【0016】
次に、図3は第2実施例を示すものであり、図3の浴室では、浴槽3側の壁パネルが横幅寸法の短い短尺壁パネル2aで構成されており、この短尺壁パネル2aと壁パネル2bとの合わせ部Pの洗い場7側に、水栓本体6を配置させて、この水栓本体6からカラン配管11及びシャワー配管12を壁パネル2bの裏側へ引き出して配管させ、更に、水栓本体6と温調ハンドル18a,シャワー,吐水切替ハンドル18bを接続する配線15も壁パネル2bの裏側に配線させたものである。
【0017】
即ち、合わせ部Pの裏側に存在する壁パネル補強フレームを迂回させて配管及び配線するためには、壁パネルと建築躯体との隙間を大きく確保せねばならないために、壁パネル2a,2bの合わせ部Pを避けて、壁パネル2bの裏側にコンパクトに配管及び配線できるように構成したものである。
【0018】
なお、洗い場7側の壁パネル2bには、吐水口9が露出状に取り付けられており、吐水口9にカラン配管11が接続されている。
また、シャワー配管12は、壁パネル2bに露出状に取り付けたシャワー取出し口12aに接続されており、このシャワー取出し口12aに、ハンドシャワー14のホース13が接続されている。
【0019】
本例では、壁パネル2bに横一列状に、シャワー取出し口12aと吐水口9と温調ハンドル18aとシャワー,吐水切替ハンドル18bのみが露出して、極めてすっきりとした高級感のある浴室を形成させることができ、これらの下方に桶台16が設置されている。
また、水栓本体6は浴槽のエプロン4の裏側に隠蔽されており、火傷等の心配のない位置に配置されている。
【0020】
なお、壁パネル2bの裏側に配管されるカラン配管11及びシャワー配管12は、水栓本体6の下流側の2次配管であるため、これらの配管には水圧がかからないために漏水の心配はなく、カラン配管11及びシャワー配管12は、ゴム管等で構成することもできるものである。
【0021】
なお、図4は、図3の変更例である。
図4では、壁パネル2aと壁パネル2bを同一寸法のもので構成して、壁パネル2aと壁パネル2bの合わせ部Pの裏側に配管を跨がせることができない場合に、浴槽3のエプロン4の裏側に設置した水栓本体6から、壁パネル2bに設置した桶台16内に、カラン配管11及びシャワー配管12の一部を引き出し、更に、桶台16の内部から壁パネル2bの裏側に、カラン配管11及びシャワー配管12を引き出して配管したものであり、洗い場7側の壁パネル2bには、シャワー配管12の接続されるシャワー取出し口12aと、カラン配管11が接続される吐水口9と、壁裏に配線される操作部配線15が接続されるハンドル18a,18bのみが露出して、極めてすっきりとした意匠性の向上した洗い場を形成させることができるものとなる。
【0022】
なお、この場合も、カラン配管11及びシャワー配管12は、水栓本体6の下流側の2次側配管であるため、圧力がかかっていないので漏水の心配はなく、圧力がかかっている一次側の給湯配管5aと給水配管5bには、エプロン4の裏側で水栓本体6が接続されているため、漏水の可能性も軽減できるものとなり、火傷等の不安を軽減できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】第1実施例の浴室の要部斜視構成図である。
【図2】第1実施例の変更例の浴室の要部斜視構成図である。
【図3】第2実施例の浴室の要部斜視構成図である。
【図4】図3の変更例を示す浴室の要部斜視構成図である。
【符号の説明】
【0024】
1 浴室
2a,2b 壁パネル
3 浴槽
3a フランジ
4 エプロン
5a 給湯配管
5b 給水配管
6 水栓本体
7 洗い場
8 カウンター
9 吐水口
10 操作部
11 カラン配管
12 シャワー配管
12a シャワー取出し口
13 ホース
14 ハンドシャワー
15 操作部配線
16 桶台
17 リモコン
18a,18b リモコンハンドル
P 合わせ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽フランジと同じ高さで洗い場側へ平板状のカウンターを延設した浴室において、水栓本体を浴槽エプロン内に設置し、該水栓本体を遠隔操作する操作部を設けるとともに、吐水口は前記カウンターに設置し、該吐水口と前記水栓本体とを配管で繋いだことを特徴とする浴室。
【請求項2】
前記カウンターの下部に桶台を設けたことを特徴とする請求項1に記載の浴室。
【請求項3】
水栓本体を床パン上の浴槽エプロン内に設置し、該水栓本体を遠隔操作する操作部と吐水口とを洗い場の壁面に設置し、該吐水口と前記水栓本体とを配管で繋いだことを特徴とする浴室。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−288505(P2006−288505A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−110353(P2005−110353)
【出願日】平成17年4月6日(2005.4.6)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【Fターム(参考)】