説明

浴槽兼用シャワー室

【課題】浴槽として使用される箱体を立設することでシャワー室にできるもので、浴槽とシャワー室を別々に作る必要がなく、シャワーを使用する場合に浴槽の側面を超える必要がなく幼児や高齢者その他危険を感じることなくシャワーを楽しめかつ水平に倒すことで浴槽として使用できる浴槽兼用シャワー室を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明の浴槽兼用シャワー室は、上方が開口部となった箱体1を該開口部が上方に位置するよう水平状態でレール4上に摺動自在に設置して該箱体1を浴槽2として使用すると共に、該箱体1の後端底部に設けた回転軸11を回動中心として該箱体1をその開口部が前方に位置するよう立設して該箱体1をシャワー室3として使用することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は浴槽として使用される箱体を立設することでシャワー室にできるもので浴槽とシャワー室を別々に作る必要がなく、部品数が少なく組み立て状態での輸送が容易であり設置するのが簡単な浴槽兼用シャワー室に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来浴槽とシャワー室を設置する場合別々に設置すると広い場所が要求されるが、その解決法として浴槽とシャワー室を兼用させることが行われている。この方式は浴槽上部にシャワーカーテンを付けるものが多いがこれでは使用者は浴槽の側面を超えて浴槽内に入らねばならず、幼児や高齢者あるいは障害のある人には使用し難いものであった。この点を解決するものとして浴槽を立設可能としたものが提案されている。
【特許文献1】特表2002−522141号公報(第28頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に記載されている浴槽とシャワー室を兼用するものは浴室内で浴室の左右壁面間に接するように載置された浴槽を、浴槽を縦に立設するものであり、浴槽を傾け吊り上げ装置と動力によって浴槽を水平に、あるいは縦に立設するように移動させている。すなわち複雑な装置と動力が要求されるので簡単に設置することができないものである。本発明は平行な二本のレールを用い移動回動することで簡単に浴槽からシャワー室に、シャワー室から浴槽に変換できる浴槽兼用シャワー室を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、本発明に係る浴槽兼用シャワー室の第一の特徴構成は、請求項1に記載した如く、上方が開口部となった箱体1を該開口部が上方に位置するよう水平状態でレール4上に摺動自在に設置して該箱体1を浴槽2として使用すると共に、該箱体1の後端底部に設けた回転軸11を回動中心として該箱体1をその開口部が前方に位置するよう立設して該箱体1をシャワー室3とした点にある。
【0005】
同第二の特徴構成は、請求項2に記載した如く、上記の特徴構成に加えて箱体を浴槽として使用する場合に、浴槽底面となる面の適宜位置に排水孔がある点にある。
【0006】
同第三の特徴構成は、請求項3に記載した如く箱体を回動立設してシャワー室としたときに、シャワー室の床面の適宜位置に排水孔がある点にある。
【0007】
同第四の特徴構成は、請求項4に記載した如く箱体を回動立設してシャワー室としたとき、シャワー室の上部先端から下方に垂下できるシャワーカーテンを設けた点にある。
【発明の効果】
【0008】
請求項1に記載の浴槽兼用シャワー室は前記構成であり、浴槽の形状を有する箱体を浴槽としてあるいは回動立設してシャワー室として利用するものであるが、平行な二本のレールと箱体後部底面にある回転軸により複雑な装置や動力を用いることなく浴槽やシャワー室として利用できる。
【0009】
請求項2に記載の浴槽兼用シャワー室は前記構成であり、浴槽として使用する箱体の底面の適宜位置にに排水孔があるので浴槽として使用後スムースに排水できる。
【0010】
請求項3に記載の浴槽兼用シャワー室は前記構成であるので、箱体をシャワー室とした床面の適宜位置に排水孔があるので床面に水が溜まることが無く使用できる。
【0011】
請求項4に記載の浴槽兼用シャワー室は前記構成であり、シャワー室の前面にシャワーカーテンを垂下することでシャワー水が飛散することがなく、シャワー室の外部を濡らすことなく利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して、詳細に説明する。図1ないし図5は本発明に係る浴槽兼用シャワー室の一実施例を示すものである。図1は本発明の浴槽兼用シャワー室の概略を示す斜視図であり、浴槽2として使用される箱体1を平行な二本のレール4上に立設してシャワー室3とした状態を表している。
【0013】
レール4は浴槽2として使用した場合の上部側面21とシャワー室3とした場合の床面の長さを加えた長さとほぼ同じ長さを有しており、その先端は図1ではレール4を屈曲させてストッパー41を形成している。レール4、4は平行に配され平行を維持するために建物の床面7に固定され、あるいは可搬式の場合には連結材42で左右のレール4、4を連結する。
【0014】
ストッパー41は本実施例では先端を屈曲させているが軟質のゴムまたはプラスチックなどの別体のストッパー41を取り付けてもよい。特に建物の床面7が石材、タイルといった滑り易い材質の場合は滑り止めの効果もある。別体のストッパー41を用いる場合、レール4の水平状態を得るためにもレール4の後端にも同様のストッパー41を取り付けるのが好ましい。また図3にあるように建物の壁面6を利用することもできる
箱体1はこれを水平に載置した場合には浴槽2として使用され、立設した場合にはシャワー室3として使用される。このためにシャワー室3となる場合、上面は上方に向かって曲面を形成するように立ち上がって天井面31となり、下面は水平となる形状が要求される。箱体1を立設したシャワー室3は本来浴槽2である為に前面は開放されており、底面はレール4、4上に摺動部材12、13を介して載置されている。
【0015】
摺動部材12はシャワー室3としたときに入り口側に取り付けられ浴槽2として使用されるときにはレール4から離脱可能なものである。一方シャワー室3の奥に配される摺動部材13は、箱体1を回動させ浴槽2とするために回転軸11を有するものであり、レール4とは離脱しない状態で回動可能な形状を有している。回転軸11は本実施例では一本の軸体で左右のレール4、4間を連結しているが、箱体1が存在するために必ずしも回転軸11でレール4、4間を連結する必要はない。14は箱体1を立設してシャワー室3としたときに床面となる箱体1の面に設けられた排水孔である。この排水孔14は浴槽2として使用される場合には閉鎖できるように開閉自在となるように構成されている。
【0016】
図2に示すものは図1に示す浴槽兼用シャワー室の側面図である。ここにおいて箱体1は浴槽2あるいはシャワー室3を兼用し回転軸11により箱体1が水平になることで浴槽2になり、立設することでシャワー室3になるので回動が容易にするために軽量化する必要があり箱体1はFRPでもって形成される。箱体1はシャワー室3として使用されるのでシャワー室3の天井面31にはシャワー用吐水口16が設置されており給水管(図示せず)と連結されている。またシャワー室3の後部壁面は浴槽2の底部となるので浴槽2用の排水口15が設けられている。
【0017】
図3ないし図5は本発明の浴槽兼用シャワー室の変換状況を示すものである。図3はシャワー室3の状態を示しており箱体1はレール4、4上に立設されており、この状態から図3の矢印方向へ箱体1は立設状態でレール4上を摺動してストッパー41に当接するまで移動し図4に示す状態になる。図4は箱体1がストッパー41に当接した状態を示しており図4に示した矢印のように回転軸11を支点として箱体1は水平になるように倒され図5の状態になる。この状態で箱体1は浴槽2として使用される。
【0018】
浴槽2をシャワー室3に変換するにはこの逆を行えばシャワー室3にすることができる。すなわち図5の状態から浴槽2が立設するように回転軸11を支点にして回動し立ち上げると図4の状態となり、次いで図3の矢印の反対方向に箱体1を移動させるためにレール4上を摺動させることで図3に示したシャワー室3の状態にすることができる。
【0019】
図6はシャワー室3として使用されている状態を示すものである。この場合シャワーカーテン17を設けておけばシャワー水の飛散が防止できシャワー室3の外部を濡らすことがない。シャワーカーテン17は不使用時には巻き上げて図6に示すシャワー室3である箱体1の最上部に位置させれば良いものでありシャワー使用の場合にはシャワー室3の床面の排水口14は開放状態にしておかれる。図7は浴槽2として使用されている状態を示している。この場合には排水口14は閉鎖状態にしておくことで水面5を好みの高さまで維持することができる。
【0020】
このように本願発明の浴槽兼用シャワー室は浴槽2として使用される箱体1を立設することでシャワー室3として使用できるもので簡単に設置でき、しかも部品点数が少なく、組み立て状態での輸送、搬入が可能なために施工も容易にできる。さらに建物の壁面6の位置に関係なく設置できる利点もある。
【0021】
箱体1にはシャワー室3として、あるいは浴槽2として、各々の使用状態に応じた排水口14、15を設けているので水の排出が容易であり、箱体1そのものが浴槽2にあるいはシャワー室3となるので浴槽2とシャワー室3を別々に設ける必要がなく、浴槽2をまたぐことなくシャワーができるので幼児、高齢者なども危険を生じることなく使用できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明にかかる浴槽兼用シャワー室のシャワー室の概要を示す斜視図。
【図2】図1におけるシャワー室の側面図。
【図3】シャワー室としての使用するための立設状態を示す概要図。
【図4】シャワー室を移動して水平に載置する前の概要図。
【図5】シャワー室を水平に載置して浴槽とした概要図。
【図6】シャワー室での使用状態を示す概略図
【図7】浴槽としての使用状態を示す概略図。
【符号の説明】
【0023】
1 浴槽兼用シャワー室用の箱体
11 回転軸
12 シャワー室の前面に配される摺動部材
13 シャワー室の後部に配される摺動部材
14 シャワー室の床面となる面に設けた排水口
15 浴槽の底面になる面に設けた排水口
16 シャワー用吐水口
17 シャワーカーテン
2 浴槽
21 浴槽の上部側面
3 シャワー室
31 シャワー室の天井面
4 レール
41 レールのストッパー
42 レールの連結材
5 浴槽使用の場合の水面
6 建物の壁面
7 建物の床面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方が開口部となった箱体を該開口部が上方に位置するよう水平状態でレール上に摺動自在に設置して該箱体を浴槽として使用すると共に、該箱体の底部一端に設けた回転軸を回動中心として該箱体をその開口部が前方に位置するよう立設して該箱体をシャワー室として使用することを特徴とする浴槽兼用シャワー室。
【請求項2】
箱体を浴槽として使用する場合に、浴槽底面となる面の適宜位置に排水孔がある請求項1記載の浴槽兼用シャワー室。
【請求項3】
箱体を回動立設してシャワー室としたときに、シャワー室の床面の適宜位置に排水孔がある請求項1記載の浴槽兼用シャワー室。
【請求項4】
箱体を回動立設してシャワー室としたとき、シャワー室の上部先端から下方に垂下できるシャワーカーテンを設けた請求項3記載の浴槽兼用シャワー室。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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