説明

浸透ます、及びこれを用いた浸透トレンチシステム

【課題】夾雑物を排出しない浸透ます、及びこれを用いた浸透トレンチシステムを提供する。
【解決手段】浸透ます10のます本体12の下部には、雨水溜り部20が該ます本体12に対して着脱自在に配設され、該雨水溜り部20の下端部には、該雨水溜り部20の底部21Aと該底部21Aを囲繞する所定高さの側壁21Bとによって構成された夾雑物溜り部22が設けられている。さらに、該雨水溜り部20における該夾雑物溜り部22より上方の側壁には複数の透水孔24が設けられている。さらに、該ます本体12には、該雨水溜り部20を囲むようにして浸透部14が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浸透ます、及びこれを用いた浸透トレンチシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
浸透トレンチシステムは、地面がアスファルト等の不浸透性のもので覆われた都市部等において、雨水が下水道や河川に集中してしまうことを回避しようとするために提供されている(例えば特許文献1,2参照。)。具体的に、該浸透トレンチシステムの一例としては、複数の浸透ますを備え、該浸透ますが水平に埋設された有孔管やストレーナなどの透水管により連結され、該浸透ます及び該透水管の周囲に、砕石槽が敷設され、さらに、該砕石槽の周囲に透水シートが配設されている。そして、該浸透ます内に雨水が流入すると、該浸透ます及び該透水管に流入した雨水が砕石槽へ浸透し、適切に雨水処理がなされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭61−93579号公報
【特許文献2】特開2006−46063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の浸透トレンチシステムにあっては、砕石槽の目詰まりが起こりやすいという問題があった。さらに詳述すると、フィルタを備えた浸透ますが砕石層内に設けられ、該浸透ますのフィルタが前記透水管の両側にそれぞれ配置されることにより、雨水に含まれている砂泥、落葉、ゴミなどといった夾雑物が該透水管内へ流入してしまうことが防がれている。このため、該透水管を介して砕石層に夾雑物が流出することはなくなるが、該フィルタにより該透水管内への流入を防がれた雨水に含まれる夾雑物は該浸透ます内に落下して該浸透ますの下部に流入し、該浸透ますの下部に設けられた透水孔を介して前記砕石槽へ流出してしまう。このため、特に該浸透ます周囲の砕石槽が該夾雑物によって目詰まりを起こしやすくなっている。このように、砕石槽が目詰まりを起こすと、時間の経過と共にシステム全体の浸透性能が低下してしまい、雨水が下水道や河川に集中しやすくなってしまう。なお、目詰まりした砕石槽から夾雑物を取り除こうとする場合、該砕石槽そのものを掘り起こすこととなるため、莫大な労力、時間、及びコストが必要になる。また、砕石槽の目詰まりを防ぐために、浸透ますを該砕石槽の外側に配置すること、あるいは浸透機能を持たない雨水ますを利用することも考えられるが、前者は砕石槽の外に浸透ますを配置するためのスペースを新たに設けなければならず、後者は浸透スペースとしての砕石槽の空間の一部を非浸透スペースとすることで該砕石槽の浸透量を減じなければならない、という新たな問題が生じる。
【0005】
そこで、本発明は、雨水に含まれる夾雑物の砕石槽への流出を防いで該砕石槽の目詰まりを防止する浸透ます、及びこれを用いた浸透トレンチシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、流入管接続口、流出管接続口、及び点検口が形成されたます本体と、該ます本体の下部に配された雨水溜り部と、を備えた浸透ますであって、該雨水溜り部には、該雨水溜り部の底部と該底部を囲繞する側壁とによって構成された夾雑物溜り部が設けられていると共に、該夾雑物溜り部より上方の側壁には複数の透水孔が設けられており、該雨水溜り部内に流入した雨水は、夾雑物溜り部に一旦滞留し、該夾雑物溜り部における雨水の水位が該透水孔の高さに達すると該雨水が該透水孔を介して該雨水溜り部の外へ排水されることを特徴とする浸透ますである。
【0007】
かかる構成にあって、夾雑物を含む雨水がます本体内に流入した場合、該夾雑物を含む雨水はまず前記雨水溜り部の夾雑物溜り部に流入する。そして、該夾雑物溜り部に夾雑物を含む雨水が溜ってくると、該雨水中の夾雑物が該夾雑物溜り部に堆積し、該夾雑物溜り部における雨水の上澄みのみが該雨水溜り部の透水孔より該雨水溜り部の外へ排水されることとなる。したがって、雨水に含まれた夾雑物は該雨水溜り部の夾雑物溜り部に残留することとなるため、該夾雑物が該浸透ますから砕石槽に向けて流出することがなく、該砕石槽の目詰まりが抑制される。
【0008】
また、前記ます本体の下部には、前記雨水溜り部を囲むように、側面に複数の透水孔を有する有底筒状の浸透部が設けられており、前記雨水溜り部は、該浸透部内に配置された着脱式の容器であり、該容器の下端部には前記夾雑物溜り部が設けられていると共に、該容器における該夾雑物溜り部より上方の側壁には複数の前記透水孔が設けられており、前記流入管接続口から該ます本体内に流入した雨水は、該容器の夾雑物溜り部に一旦滞留し、該容器の該透水孔を介して該容器の外へ排水され、該容器の外へ排水された雨水は、次いで該浸透部に形成された透水孔を介して該浸透部の外へ排水される構成が提案される。
【0009】
かかる構成の該容器は、上記のように着脱自在であるため、堆積した夾雑物を廃棄する際も、該容器をます本体から抜き出して該容器内の夾雑物を廃棄する、といった非常に簡単な作業で済み、メンテナンス作業が容易である。
【0010】
また、前記ます本体の流出管接続口の開口面積X、及び、前記雨水溜り部における透水孔の開口面積の和Yは、X≦Yである構成が好ましい。
【0011】
また、前記浸透部を備えた構成にあっては、前記ます本体の流出管接続口の開口面積X、前記雨水溜り部における透水孔の開口面積の和Y、及び、前記浸透部における透水孔の開口面積の和Zは、X≦Y、X≦Zである構成が好ましい。
【0012】
かかる構成とすることにより、適切に雨水が浸透ます外へ排水される。なお、一般的に、浸透ますなどの雨水ますを含む雨水配管の設計にあっては、該浸透ますが有している流出能力(例えば単位時間当りの流出量の上限)を超えないように、該浸透ますに接続される流入管の流入量が決定される。したがって、前記透水孔の寸法は、該浸透ますの流出能力に基づいて規定すれば、適切に雨水を浸透ます外へ排水することが可能となる。このため、本発明にあっては、ます本体の流出管接続口の開口面積Xに基づいて各透水孔の開口面積の和Y,Zを規定している。
【0013】
また、本発明は、上記本発明の浸透ますを用いた浸透トレンチシステムであって、排水設備と、該排水設備に接続される下流側の浸透ますと、該下流側の浸透ますに、水平に又は下流側が低位となるように管勾配が形成されて設けられた透水管を介して接続される上流側の浸透ますと、を備え、該上流側の浸透ますは、上記本発明の浸透ますであり、該下流側の浸透ますは、該排水設備内の排水が該下流側の浸透ます内に流入することを阻止する逆止弁付きの浸透ますであることを特徴とする浸透トレンチシステムである。
【0014】
かかる構成とすることにより、前記浸透トレンチシステムは、前記浸透ますによって夾雑物を除去してから雨水を砕石槽へ排水することができるものとなる。また、排水設備(例えば雨水本管、側溝あるいは下水管等の排水を処理するための設備)から浸透トレンチシステムへ排水が逆流することを防止しているため、夾雑物を含む水が入り込んで該浸透トレンチシステムの砕石槽が目詰まりしてしまうことも抑止できる。
【0015】
さらに、本発明は、上記本発明の浸透ますを用いた浸透トレンチシステムであって、雨水管が接続された浸透ますを複数備え、該浸透ます同士が、水平に又は管勾配が形成されて設けられた透水管を介して連結されており、該浸透ますは、上記本発明の浸透ますであることを特徴とする浸透トレンチシステムである。
【0016】
かかる構成とすることにより、前記浸透トレンチシステムは、雨水管(例えば雨とい、あるいは雨といに接続された雨水流入管を含む管)から流入した雨水を、該浸透ますによって夾雑物を除去した上で砕石槽へ排水することができるものとなる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の浸透ますは、砕石槽の外側に浸透ますを配置するための新たなスペースを設けたり、砕石槽の浸透量を減じたりすることなく、雨水に含まれている夾雑物が該浸透ますから砕石槽へ流出することを防いで、砕石槽の目詰まりを防止することができ、該砕石槽の浸透性能を高い状態で長期間維持することが可能となる。また、本発明の浸透トレンチシステムは、砕石槽の目詰まりを防止しつつ、適切に雨水を浸透処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例1にかかる浸透トレンチシステムの概要を示し、(a)は平面図、(b)は縦断面図。
【図2】実施例1にかかる浸透ますを示し、(a)は平面図、(b)は正面図。
【図3】実施例1にかかる浸透ますを示し、(a)は着脱式容器を取り付けた状態を示す縦断面図、(b)は着脱式容器を取り外した状態を示す縦断面図。
【図4】逆止弁付き浸透ますを示し、(a)は平面図、(b)は縦断面図。
【図5】実施例2にかかる浸透トレンチシステムの縦断面図。
【図6】実施例3にかかる浸透ますを示す縦断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の浸透ます及びこれを用いた浸透トレンチシステムを具体化した実施例を詳細に説明する。なお、本発明は、下記に示す実施例に限定されることはなく、適宜設計変更が可能である。
【0020】
(実施例1)
図1に示すように、浸透トレンチシステム1Aは、複数の浸透ます10,30と、該浸透ます10,30同士を連結する透水管40とを備えている。また、該浸透ます10,30と透水管40との周りには、複数の砕石からなる砕石槽50が敷設され、さらに該砕石槽50の周囲には透水シート51が配設されている。また、前記浸透ます10,30のうち、一方の浸透ます30は、排水設備としての側溝5に排水管5Aを介して接続されている。そして、他方の浸透ます10は、一方の浸透ます30よりも上流側に配置されている。なお、前記透水管40は、浸透ます10,30間に水平に設けられてもよいが、円滑な排水のために、下流側が低位となるように管勾配が形成されて設けられていることがより好ましい。また、該透水管40としては、有孔管やストレーナなどの管壁に貫通孔を複数備えたものが好適に用いられる。
【0021】
以下に、上流側の浸透ます10について詳述する。
図2,3に示すように、該浸透ます10は、ます本体12を備え、該ます本体12の上端には点検口13Aが形成され、該ます本体12の側部には管接続口13Bが4つ設けられている。そして、該管接続口13Bの1つに浸透トレンチシステム1Aに備えられた透水管40が流出管として接続される。また、他の管接続口13Bには、雨水流入管41が流入管として接続される。
【0022】
また、該ます本体12の下部には、図3に示すように、該ます本体12に対して着脱自在な着脱式容器で構成される雨水溜り部20が配されている。該雨水溜り部20の下端部には、該雨水溜り部20の底部21Aと該底部21Aを囲繞する所定高さの側壁21Bとによって構成された夾雑物溜り部22が設けられている。さらに、該雨水溜り部20における該夾雑物溜り部22より上方の側壁には複数の透水孔24が設けられている。また、図2,3に示すように、該ます本体12の下部には、該雨水溜り部20を囲むようにして、有底筒状の浸透部14が設けられている。さらに該浸透部14の側面には、複数の透水孔15が設けられている。
【0023】
また、該雨水溜り部20の上端部には、取手部28が設けられており、該取手部28には、前記透水管40が接続される管接続口13Bを内側から覆うフィルタ26が設けられている。そして、図3bに示すように、作業者が該取手部28を把持して引き上げると、該雨水溜り部20がます本体12から離脱する。また、逆の操作をすることにより、該雨水溜り部20がます本体12に装着される。
【0024】
また、前記ます本体12において、流出管としての透水管40が接続される管接続口13Bの開口面積Xと、前記雨水溜り部20における透水孔24の開口面積の和Yとは、X≦Yの関係が成立するように寸法設定されている。また、該開口面積Xと、前記浸透部14における透水孔15の開口面積の和Zとは、X≦Zの関係が成立するように寸法設定されている。
【0025】
図4に示すように、下流側の浸透ます30は、逆止弁機能を有している。該逆止弁付きの浸透ます30は、ます本体32を備え、該ます本体32の上端には、点検口33Aが形成され、該ます本体32の側部には、管接続口33Bが2つ設けられている。そして、一方の該管接続口33Bには側溝5に接続される排水管5Aが接続され、他方の該管接続口33Bには前記透水管40が接続されている。また、該ます本体32の下部34には複数の浸透孔35が設けられている。また、該ます本体32内であって、前記側溝5に繋がる管接続口33Bには、該側溝5から該ます本体32内に排水が逆流するのを防止する逆止弁38が配設されている。なお、該逆止弁付きの浸透ます30は、公知技術のものが好適に用いられる。
【0026】
これまでに述べた浸透トレンチシステム1Aにあって、図3に示すように、前記上流側の浸透ます10のます本体12内に雨水流入管41を介して雨水が流入すると、該雨水は、まず雨水溜り部20に案内され、該雨水溜り部20の夾雑物溜り部22に一旦滞留する。このように、雨水が該夾雑物溜り部22に一時的に蓄えられると、該雨水に含まれる夾雑物Pが該夾雑物溜り部22の底に沈殿して堆積していくこととなる。さらに継続して雨水が該夾雑物溜り部22に流入し続け、該夾雑物溜り部22の夾雑物Pの堆積と共に水位Qが次第に上昇し、該夾雑物溜り部22における雨水の上澄みが該雨水溜り部20の透水孔24の高さに達すると、該雨水の上澄みが該透水孔24を介して該雨水溜り部20の外へ排水される。そして、該雨水溜り部20の外に排水された雨水は、次いで前記浸透部14の透水孔15を介して該浸透ます10の外の砕石槽50へ排水される。このように、該浸透ます10においては、雨水に含まれる夾雑物Pが夾雑物溜り部22に残留して堆積し、夾雑物がほとんど含まれない上澄みのみが排水されるため、前記砕石槽50へは夾雑物が流出しない。このため、該砕石槽50の目詰まりを防止すべく該砕石槽50の外側に浸透ますを配置するために新たなスペースを設けたり、浸透機能を持たない雨水ますを用いることにより該砕石槽50の空間の一部を非浸透スペースとして該砕石槽50の浸透量を減じたりする必要がない。このように、該浸透ます10は、該砕石槽50が目詰まりしてしまうことを抑制するため、該浸透トレンチシステム1A全体の浸透機能が低下しにくい。したがって、該浸透トレンチシステム1Aは、従来の浸透トレンチシステムに比べてはるかに長期に渡って高い浸透性能を保持できる。なお、雨水溜り部20の夾雑物溜り部22に夾雑物Pが十分に堆積した場合は、図3bに示すように該雨水溜り部20をます本体12から取り出して該夾雑物Pを廃棄することができる。このように簡易なメンテナンス作業を行うだけで、該浸透トレンチシステム1Aの性能を安定して維持することができる。
【0027】
また、上記のように、前記透水管40が接続される管接続口13Bの開口面積Xと、前記雨水溜り部20における透水孔24の開口面積の和Yと、前記浸透部14における透水孔15の開口面積の和Zとは、X≦Y、X≦Zの関係が成立するようにそれぞれ寸法設定されているため、適切に雨水がます本体12の外へ排水される。
【0028】
また、下流側に配置された浸透ます30においては、該浸透ます30内に雨水が流入すると、該雨水は側溝5へ向けて排水される。ここで、該浸透ます30内には、逆止弁38が取り付けられているため、ゲリラ豪雨などにより雨水が急激に増水した場合であっても側溝5から浸透トレンチシステム1Aへ向かって排水が逆流してしまうことがない。したがって逆流した排水に含まれる夾雑物等によって浸透トレンチシステム1Aの砕石槽50が目詰まりをすることが抑制されている。
【0029】
なお、上記雨水溜り部20における夾雑物溜り部22の高さH(図3a参照)は、雨水溜り部20の内底より150mm以上の範囲に設定されることが好ましい。かかる構成とすることで、好適に夾雑物Pを沈殿させ、雨水の上澄みのみを該雨水溜り部20から排出することが可能となる。
【0030】
また、上記実施例では排水設備として側溝5を例に挙げて説明したが、これに代えて、例えば雨水本管、あるいは下水管等の排水を処理するための設備であってもよい。
【0031】
(実施例2)
以下、実施例2にかかる浸透トレンチシステム1Bを図5に従って説明する。なお、実施例1と共通する構成については、説明を簡略または省略する。
【0032】
図5に示す浸透トレンチシステム1Bは、雨水管としての雨とい42が接続された浸透ます10,10を2つ備え、該浸透ます10,10同士が透水管40を介して連結されている。該浸透ます10,10は、共に、上記した雨水溜り部20を備えた構成の浸透ます10が用いられる。なお、該透水管40は、水平に設けられていてもよいし、適宜管勾配が形成されて設けられていてもよい。
【0033】
かかる構成にあっては、雨とい42を介して該浸透ます10内に雨水が流入すると、該雨水に含まれる夾雑物が、前記雨水溜り部20の夾雑物溜り部22に堆積し、夾雑物が除かれた雨水の上澄みが砕石槽50へ浸透する。このため、雨とい42から流入する雨水を、夾雑物を除去した上で砕石槽50へ排水することができる。
【0034】
なお、図5に示す構成は、浸透ます10に雨水管としての雨とい42が直結されている構成であるが、該浸透ます10に、雨とい42に接続されている雨水管としての雨水流入管が接続されている構成であっても勿論よい。
【0035】
(実施例3)
以下、実施例3にかかる浸透ます60を図6に従って説明する。なお、実施例1,2と共通する構成については、説明を簡略または省略する。
【0036】
図6に示す浸透ます60は、ます本体12の下部に、有底筒状の雨水溜り部64が設けられている。さらに詳述すると、該雨水溜り部64の下端部には、該雨水溜り部64の底部64Aと該底部64Aを囲繞する所定高さの側壁64Bとによって構成された夾雑物溜り部22が設けられている。さらに、該雨水溜り部64における該夾雑物溜り部22より上方の側壁には複数の透水孔24が設けられている。
【0037】
かかる構成にあって、流入管接続口13Bから該雨水溜り部64内に流入した雨水は、該雨水溜り部64の夾雑物溜り部22に一旦滞留し、該夾雑物溜り部22における雨水の上澄みが該雨水溜り部64の該透水孔24を介して該浸透ます60の外へ排水される。
【0038】
なお、該雨水溜り部64における夾雑物溜り部22の高さH(図6参照)は、該雨水溜り部64の内底より150mm以上の範囲に設定されることが好ましい。かかる構成とすることで、好適に夾雑物Pを夾雑物溜り部22に沈殿させ、雨水の上澄みのみを該雨水溜り部64から排出することが可能となる。
【0039】
また、前記ます本体12における流出管としての透水管40が接続された管接続口13Bの開口面積X、及び該雨水溜り部64における透水孔24の開口面積の和Yは、X≦Yである構成が好ましい。かかる構成とすることで、円滑に雨水を浸透ます60の外へ排水することができる。
【0040】
これまでに述べた実施例1〜3にかかる浸透ます10,30,60は、製造、加工が容易な樹脂製のものが好ましく、例えば硬質塩化ビニル樹脂製のものが強度も高く、特に好ましい。また、該浸透ます10,60の雨水溜り部20,64における透水孔24の形状、あるいは該浸透ます10の浸透部14における透水孔15の形状は、丸孔状でも縦長のスリット状でもよく、適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0041】
1A,1B 浸透トレンチシステム
5 側溝(排水設備)
10,60 浸透ます
12 ます本体
13A 点検口
13B 管接続口(流入管接続口、流出管接続口)
14 浸透部
15 透水孔
20 雨水溜り部(着脱式容器)
21A 底部
21B 側壁
22 夾雑物溜り部
24 透水孔
30 逆止弁付きの浸透ます
40 透水管
42 雨とい(雨水管)
64 雨水溜り部
64A 底部
64B 側壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流入管接続口、流出管接続口、及び点検口が形成されたます本体と、該ます本体の下部に配された雨水溜り部と、を備えた浸透ますであって、
該雨水溜り部には、該雨水溜り部の底部と該底部を囲繞する側壁とによって構成された夾雑物溜り部が設けられていると共に、該夾雑物溜り部より上方の側壁には複数の透水孔が設けられており、
該雨水溜り部内に流入した雨水は、夾雑物溜り部に一旦滞留し、該夾雑物溜り部における雨水の水位が該透水孔の高さに達すると該雨水が該透水孔を介して該雨水溜り部の外へ排水される
ことを特徴とする浸透ます。
【請求項2】
前記ます本体の下部には、前記雨水溜り部を囲むように、側面に複数の透水孔を有する有底筒状の浸透部が設けられており、
前記雨水溜り部は、該浸透部内に配置された着脱式の容器であり、
該容器の下端部には前記夾雑物溜り部が設けられていると共に、該容器における該夾雑物溜り部より上方の側壁には複数の前記透水孔が設けられており、
前記流入管接続口から該ます本体内に流入した雨水は、該容器の夾雑物溜り部に一旦滞留し、該容器の該透水孔を介して該容器の外へ排水され、該容器の外へ排水された雨水は、次いで該浸透部に形成された透水孔を介して該浸透部の外へ排水される
請求項1に記載の浸透ます。
【請求項3】
前記ます本体の流出管接続口の開口面積X、及び、前記雨水溜り部における透水孔の開口面積の和Yは、
X≦Y
である請求項1に記載の浸透ます。
【請求項4】
前記ます本体の流出管接続口の開口面積X、前記雨水溜り部における透水孔の開口面積の和Y、及び、前記浸透部における透水孔の開口面積の和Zは、
X≦Y、X≦Z
である請求項2に記載の浸透ます。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の浸透ますを用いた浸透トレンチシステムであって、
排水設備と、
該排水設備に接続される下流側の浸透ますと、
該下流側の浸透ますに、水平に又は下流側が低位となるように管勾配が形成されて設けられた透水管を介して接続される上流側の浸透ますと、
を備え、
該上流側の浸透ますは、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の浸透ますであり、
該下流側の浸透ますは、該排水設備内の排水が該下流側の浸透ます内に流入することを阻止する逆止弁付きの浸透ますである
ことを特徴とする浸透トレンチシステム。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の浸透ますを用いた浸透トレンチシステムであって、
雨水管が接続された浸透ますを複数備え、該浸透ます同士が、水平に又は管勾配が形成されて設けられた透水管を介して連結されており、
該浸透ますは、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の浸透ますである
ことを特徴とする浸透トレンチシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2013−19218(P2013−19218A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−154932(P2011−154932)
【出願日】平成23年7月13日(2011.7.13)
【出願人】(000000505)アロン化成株式会社 (317)
【Fターム(参考)】