説明

消耗電極ガスシールドアーク溶接トーチ

【課題】本発明はワイヤ矯正装置が大型化しない溶接トーチを提供する。
【解決手段】溶接トーチ21の第1のワイヤ変位部材1は、トーチボディ22の外周から半径方向にねじ込まれたワイヤ変位ねじ1aと、このワイヤ変位ねじ1aとの間で溶接ワイヤ25を押圧するワイヤ押圧ピン1cとからなる。第1のワイヤ変位部材1と同じ第2のワイヤ変位部材2と第3のワイヤ変位部材3とを備える。これらの3つのワイヤ変位部材1〜3のそれぞれのワイヤ変位ねじの長手軸方向が平行となるように設けられ、3つのワイヤ変位部材1〜3のそれぞれのワイヤ押圧部がトーチボディ22の長手軸心から予め定めた距離だけ交互にずれている。この結果、矯正装置が大きくなることがなく溶接トーチ21を小型化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、改良された消耗電極ガスシールドアーク溶接トーチ(以下、溶接トーチという)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
今日、溶接の作業能率を向上させるために、溶接用ロボットを用いて溶接を自動化することが広く行われている。この場合、多関節ロボットのマニピュレータの手首部に溶接トーチが取り付けられ、ワイヤリールに巻かれた溶接ワイヤが溶接トーチに送給されて、電力及びシールドガスが溶接トーチに供給されて溶接が行われる。
【0003】
溶接トーチに送給される溶接ワイヤは、ペイルパックに保存されたりワイヤリールに巻かれたりしているために曲がり癖がついている。この溶接ワイヤの曲がり癖は一定ではないために、溶接トーチの先端に取り付けた給電チップから送出される溶接ワイヤの先端位置を、所望の溶接狙い位置に一致させることが困難である。
【0004】
そこで、上述した課題を解決するために、従来の溶接ロボットや自動溶接機においては、溶接ワイヤの曲がり癖を矯正する方法として、複数個のロールを用いたワイヤ矯正装置をペイルパックの引き出された直後に設けて溶接ワイヤの曲り癖を矯正したり、ワイヤ矯正装置をワイヤ送給装置の前後の位置に設けてワイヤの曲り癖を矯正したりしていた。(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−311413号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の溶接ロボットや自動溶接機は、ワイヤ矯正装置と溶接トーチとの間をガイドするコンジットケーブルが曲がっていると、矯正された溶接ワイヤに新たな曲り癖が付いて溶接トーチの先端部から送出されて、溶接ワイヤの先端部の狙い位置がずれるという不具合があった。コンジットケーブルの曲がりによる溶接ワイヤの曲がりを少なくして溶接ワイヤ先端部の狙い位置がずれないようにするためには、ワイヤ矯正装置を溶接トーチの後端部に取り付けることが望ましい。しかしワイヤ矯正装置には複数個のロールが取り付けられていたためにワイヤ矯正装置が大きくなり、被加工物や治具と干渉して溶接姿勢が制限されるという不具合があった。
【0007】
本発明は、ワイヤ矯正装置が大型化しない溶接トーチを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、請求項1の発明は、
トーチボディと、
前記トーチボディの先端部に取り付けられたチップボディと、
前記チップボディの先端部に取り付けられた給電チップと、
前記給電チップを取り囲むノズルとを備えた消耗電極ガスシールドアーク溶接トーチにおいて、
前記トーチボディの外周から半径方向にねじ込まれた第1のワイヤ変位ねじ及び基端部に第1のばねが設けられて前記トーチボディの外周から半径方向に設けられて前記第1のワイヤ変位ねじとの間の第1のワイヤ押圧部で溶接ワイヤを押圧する第1のワイヤ押圧ピンからなる第1のワイヤ変位部材と、
前記トーチボディの外周から半径方向にねじ込まれた第2のワイヤ変位ねじ及び基端部に第2のばねが設けられて前記トーチボディの外周から半径方向に設けられて前記第2のワイヤ変位ねじとの間の第2のワイヤ押圧部で前記溶接ワイヤを押圧する第2のワイヤ押圧ピンからなる第2のワイヤ変位部材と、
前記トーチボディの外周から半径方向にねじ込まれた第3のワイヤ変位ねじ及び基端部に第3のばねが設けられて前記トーチボディの外周から半径方向に設けられて前記第3のワイヤ変位ねじとの間の第3のワイヤ押圧部で前記溶接ワイヤを押圧する第3のワイヤ押圧ピンからなる第3のワイヤ変位部材と、
から成る第1のワイヤ矯正部を備え、
前記第1のワイヤ変位ねじ及び前記第1のワイヤ押圧ピンと前記第2のワイヤ変位ねじ及び前記第2のワイヤ押圧ピンと前記第3のワイヤ変位ねじ及び前記第3のワイヤ押圧ピンとの長手軸方向が平行となるように設けられ、
前記第1のワイヤ押圧部と前記第2のワイヤ押圧部と前記第3のワイヤ押圧部とが前記トーチボディの長手軸心から予め定めた距離だけ交互にずれていることを特徴とする消耗電極ガスシールドアーク溶接トーチである。
【0009】
請求項2の発明は、
前記トーチボディの外周から半径方向にねじ込まれた第4のワイヤ変位ねじ及び基端部に第4のばねが設けられて前記トーチボディの外周から半径方向に設けられて前記第4のワイヤ変位ねじとの間の第4のワイヤ押圧部で前記溶接ワイヤを押圧する第4のワイヤ押圧ピンからなる第4のワイヤ変位部材と、
前記トーチボディの外周から半径方向にねじ込まれた第5のワイヤ変位ねじ及び基端部に第5のばねが設けられて前記トーチボディの外周から半径方向に設けられて前記第5のワイヤ変位ねじとの間の第5のワイヤ押圧部で前記溶接ワイヤを押圧する第5のワイヤ押圧ピンからなる第5のワイヤ変位部材と、
前記トーチボディの外周から半径方向にねじ込まれた第6のワイヤ変位ねじ及び基端部に第6のばねが設けられて前記トーチボディの外周から半径方向に設けられて前記第6のワイヤ変位ねじとの間の第6のワイヤ押圧部で前記溶接ワイヤを押圧する第6のワイヤ押圧ピンからなる第6のワイヤ変位部材と、
から成る第2のワイヤ矯正部を備え、
前記第4のワイヤ変位ねじ及び前記第4のワイヤ押圧ピンと前記第5のワイヤ変位ねじ及び前記第5のワイヤ押圧ピンと前記第6のワイヤ変位ねじ及び前記第6のワイヤ押圧ピンとの長手軸方向が平行となるように設けられ、
前記第4のワイヤ押圧部と前記第5のワイヤ押圧部と前記第6のワイヤ押圧部とが前記トーチボディの長手軸心から予め定めた距離だけ交互にずれていて、
前記第2のワイヤ矯正部が前記第1のワイヤ矯正部に対して前記トーチボディの長手軸心を中心として90度回転した位置に設けられ、
前記第1のワイヤ変位部材、前記第2のワイヤ変位部材及び前記第3のワイヤ変位部材と前記第4のワイヤ変位部材、前記第5のワイヤ変位部材及び前記第6のワイヤ変位部材とが交互に設けられたことを特徴とする請求項1記載の消耗電極ガスシールドアーク溶接トーチである。
【0010】
請求項3の発明は、
前記チップボディの先端部に取り付けられたチップホルダと、
前記トーチボディの内部で前記トーチボディの先端部側に設けられたスプリングと、
前記スプリングのばね力によって前記給電チップを押圧する加圧シャフトとを備え、
前記給電チップが前記チップボディの先端部と前記チップホルダとの間に設けられて、先端部側面にテーパ形状が形成され、先端部からワイヤ挿通孔に沿って延びる縦すり割りが形成され、この縦すり割りの基端部側面の肉厚を薄くし、
前記スプリングのばね力によって前記加圧シャフトが前記給電チップを押圧して前記給電チップの前記テーパ形状が前記チップホルダの基端部に押圧されて、前記給電チップの前記ワイヤ挿通孔が縮径して前記溶接ワイヤを加圧し給電することを特徴とする請求項1又は2記載の消耗電極ガスシールドアーク溶接トーチである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の溶接トーチは、従来技術のように複数個のロールを使用した矯正装置を溶接トーチの後端部に取り付けることなく、ワイヤ矯正部がトーチボディ内に設けられているので、従来技術のように矯正装置が大きくなることがなく溶接トーチを小型化することができ、被加工物や治具と干渉して溶接姿勢が制限されることもない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1の溶接トーチの断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1の溶接トーチの部分断面図、ワイヤ変位ねじ及びワイヤ押圧ピンを示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1の溶接トーチの部分断面図である。
【図4】本発明の実施の形態2の溶接トーチの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[実施の形態1]
発明の実施の形態を実施例に基づき図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施の形態1の溶接トーチの断面図であり、図2(A)は、本発明の実施の形態1の溶接トーチの部分断面図であり、図2(B)は、本発明の実施の形態1の溶接トーチのワイヤ変位ねじ又はワイヤ押圧ピンを示す図であり、図3は、本発明の実施の形態1の溶接トーチの部分断面図である。
【0014】
図1及び図2において、溶接トーチ21のトーチボディ22の先端部(X1方向)に、チップボディ23が取り付けられ、チップボディ23の先端部(X1方向)に、給電チップ24が取り付けられている。これらのトーチボディ22、チップボディ23及び給電チップ24は、軸芯部にワイヤ挿通孔が形成されている。給電チップ24のワイヤ挿通孔の内面に溶接ワイヤ25が接触して給電される。図示を省略したワイヤ送給装置から送給された溶接ワイヤ25をガイドするワイヤガイドライナ14の先端部が、トーチボディ22の基端部に挿入されている。
【0015】
オリフィス11がチップボディ23の下方に設けられて、ノズル12がオリフィス11と給電チップ24とを取り囲んでいる。シールドガスがオリフィス11の噴出孔を通して噴出されて、このシールドガスがアーク、溶融池及びその周辺を大気中の窒素及び酸素から遮蔽している。チップボディ23の周りに絶縁ブッシュ13が設けられていて、この絶縁ブッシュ13は、内部が樹脂で形成され、外部が金属で形成されている。
【0016】
第1のワイヤ矯正部7を説明する。トーチボディ22の半径方向に第1のねじ用貫通孔1bが形成されて、この第1のねじ用貫通孔1bに第1のワイヤ変位ねじ1aがトーチボディ22の外周からねじ込まれている。第1のワイヤ変位ねじ1aは外周からねじ込み量を調整できる。トーチボディ22の半径方向の第1のねじ用貫通孔1bの長手軸方向で、第1のねじ用貫通孔1bと対向する位置に第1のピン用貫通孔1dが形成されている。この第1のピン用貫通孔1dに第1のワイヤ押圧ピン1cがトーチボディ22の外周から挿入されている。第1のワイヤ押圧ピン1cは、中間部に段部1fが形成されている。第1のワイヤ押圧ピン1cの基端部(Y2方向)には第1のばね1eが設けられていて、第1のワイヤ押圧ピン1cは第1のばね1eによって第1のワイヤ押圧ピンの段部1fが第1のピン用貫通孔の係止部1gに引っ掛かっている。
【0017】
第1のワイヤ変位ねじ1aと第1のワイヤ押圧ピン1cとは、材質が耐摩耗性を有する部材、例えばセラミックで、それぞれの先端部が、図2(B)に示すように、溶接ワイヤ25との摩擦を減少させるために半球状に形成されている。溶接ワイヤ25をトーチボディ22に挿通していないときに、第1のワイヤ変位ねじ1aと第1のワイヤ押圧ピン1cとのそれぞれの先端部が接触する位置を第1のワイヤ押圧部1hとし、この第1のワイヤ押圧部1hは、溶接ワイヤ25の材質や直径に対応してトーチボディ22の長手軸から予め定めた距離だけ変位するように第1のねじ用貫通孔1b及び第1のワイヤ変位ねじ1aと、第1のピン用貫通孔1d及び第1のワイヤ押圧ピン1cとの形状が決定される。トーチボディ22に挿通された溶接ワイヤ25は、第1のワイヤ変位ねじ1aと第1のワイヤ押圧ピン1cとの間で挟まれて押圧される。第1のワイヤ変位部材1は、第1のねじ用貫通孔1b、第1のワイヤ変位ねじ1a、第1のピン用貫通孔1d、第1のワイヤ押圧ピン1c及び第1のばね1eから成る。
【0018】
トーチボディ22の半径方向に第2のねじ用貫通孔2bが形成されて、この第2のねじ用貫通孔2bに第2のワイヤ変位ねじ2aがトーチボディ22の外周からねじ込まれている。第2のワイヤ変位ねじ2aは外周からねじ込み量を調整できる。トーチボディ22の半径方向の第2のねじ用貫通孔2bの長手軸方向で、第2のねじ用貫通孔2bと対向する位置に第2のピン用貫通孔2dが形成されている。この第2のピン用貫通孔2dに第2のワイヤ押圧ピン2cがトーチボディ22の外周から挿入されている。第2のワイヤ押圧ピン2cは、中間部に段部2fが形成されている。第2のワイヤ押圧ピン2cの基端部(Y2方向)には第2のばね2eが設けられていて、第2のワイヤ押圧ピン2cは第2のばね2eによって第2のワイヤ押圧ピンの段部2fが第2のピン用貫通孔の係止部2gに引っ掛かっている。
【0019】
第2のワイヤ変位ねじ2aと第2のワイヤ押圧ピン2cとは、材質が耐摩耗性を有する部材、例えばセラミックで、それぞれの先端部が、図2(B)に示すように、溶接ワイヤ25との摩擦を減少させるために半球状に形成されている。溶接ワイヤ25をトーチボディ22に挿通していないときに、第2のワイヤ変位ねじ2aと第2のワイヤ押圧ピン2cとのそれぞれの先端部が接触する位置を第2のワイヤ押圧部2hとし、この第2のワイヤ押圧部2hは、溶接ワイヤ25の材質や直径に対応してトーチボディ22の長手軸から予め定めた距離だけ変位するように第2のねじ用貫通孔2b及び第2のワイヤ変位ねじ2aと、第2のピン用貫通孔2d及び第2のワイヤ押圧ピン2cとの形状が決定される。トーチボディ22に挿通された溶接ワイヤ25は、第2のワイヤ変位ねじ2aと第2のワイヤ押圧ピン2cとの間で挟まれて押圧される。第2のワイヤ変位部材2は、第2のねじ用貫通孔2b、第2のワイヤ変位ねじ2a、第2のピン用貫通孔2d、第2のワイヤ押圧ピン2c及び第2のばね2eから成る。
【0020】
トーチボディ22の半径方向に第3のねじ用貫通孔3bが形成されて、この第3のねじ用貫通孔3bに第3のワイヤ変位ねじ3aがトーチボディ22の外周からねじ込まれている。第3のワイヤ変位ねじ3aは外周からねじ込み量を調整できる。トーチボディ22の半径方向の第3のねじ用貫通孔3bの長手軸方向で、第3のねじ用貫通孔3bと対向する位置に第3のピン用貫通孔3dが形成されている。この第3のピン用貫通孔3dに第3のワイヤ押圧ピン3cがトーチボディ22の外周から挿入されている。第3のワイヤ押圧ピン3cは、中間部に段部3fが形成されている。第3のワイヤ押圧ピン3cの基端部(Y2方向)には第3のばね3eが設けられていて、第3のワイヤ押圧ピン3cは第3のばね3eによって第3のワイヤ押圧ピンの段部3fが第3のピン用貫通孔の係止部3gに引っ掛かっている。
【0021】
第3のワイヤ変位ねじ3aと第3のワイヤ押圧ピン3cとは、材質が耐摩耗性を有する部材、例えばセラミックで、それぞれの先端部が、図2(B)に示すように、溶接ワイヤ25との摩擦を減少させるために半球状に形成されている。溶接ワイヤ25をトーチボディ22に挿通していないときに、第3のワイヤ変位ねじ3aと第3のワイヤ押圧ピン3cとのそれぞれの先端部が接触する位置を第3のワイヤ押圧部3hとし、この第3のワイヤ押圧部3hは、溶接ワイヤ25の材質や直径に対応してトーチボディ22の長手軸から予め定めた距離だけ変位するように第3のねじ用貫通孔3b及び第3のワイヤ変位ねじ3aと、第3のピン用貫通孔3d及び第3のワイヤ押圧ピン3cとの形状が決定される。トーチボディ22に挿通された溶接ワイヤ25は、第3のワイヤ変位ねじ3aと第3のワイヤ押圧ピン3cとの間で挟まれて押圧される。第3のワイヤ変位部材3は、第3のねじ用貫通孔3b、第3のワイヤ変位ねじ3a、第3のピン用貫通孔3d、第3のワイヤ押圧ピン3c及び第3のばね3eから成る。
【0022】
第2のワイヤ変位ねじ2a及び第2のワイヤ押圧ピン2cの長手軸は、第1のワイヤ変位ねじ1a及び第1のワイヤ押圧ピン1cの長手軸と平行の位置に設けられ、第3のワイヤ変位ねじ3a及び第3のワイヤ押圧ピン3cの位置は、第1のワイヤ変位ねじ1a及び第1のワイヤ押圧ピン1cのそれぞれの位置と平行の位置に設けられている。しかし、第2のワイヤ変位ねじ2a及び第2のワイヤ押圧ピン2cと第1のワイヤ変位ねじ1a及び第1のワイヤ押圧ピン1cとの位置は逆の位置に設けられている。第1のワイヤ矯正部7は、第1のワイヤ変位部材1、第2のワイヤ変位部材2及び第3のワイヤ変位部材3から成る。
【0023】
上記の第1のワイヤ変位部材1、第2のワイヤ変位部材2及び第3のワイヤ変位部材3のトーチボディ22の周囲には樹脂から成るばねカバー10が設けられていて、ばねカバー10によって第1のばね1eと第2のばね2eと第3のばね3eとが押さえられている。第1のワイヤ押圧部1hと第2のワイヤ押圧部2hと第3のワイヤ押圧部3hとが、トーチボディ22の長手軸心から予め定めた距離だけ交互にずれている。この結果、図2に示すように、トーチボディ22に挿通された溶接ワイヤ25はS字を描くように第1のワイヤ押圧部と第2のワイヤ押圧部と第3のワイヤ押圧部を通過する。
【0024】
次に第2のワイヤ矯正部8を説明する。図3において、トーチボディ22の半径方向に第4のねじ用貫通孔4bが形成されて、この第4のねじ用貫通孔4bに第4のワイヤ変位ねじ4aがトーチボディ22の外周からねじ込まれている。第4のワイヤ変位ねじ4aは外周からねじ込み量を調整できる。トーチボディ22の半径方向の第4のねじ用貫通孔4bの長手軸方向で、第4のねじ用貫通孔4bと対向する位置に第4のピン用貫通孔4dが形成されている。この第4のピン用貫通孔4dに第4のワイヤ押圧ピン4cがトーチボディ22の外周から挿入されている。第4のワイヤ押圧ピン4cは、中間部に段部4fが形成されている。第4のワイヤ押圧ピン4cの基端部(Y2方向)には第4のばね4eが設けられていて、第4のワイヤ押圧ピン4cは第4のばね4eによって第4のワイヤ押圧ピンの段部4fが第4のピン用貫通孔の係止部4gに引っ掛かっている。
【0025】
第4のワイヤ変位ねじ4aと第4のワイヤ押圧ピン4cとは、材質が耐摩耗性を有する部材、例えばセラミックで、それぞれの先端部が、図2(B)に示すように、溶接ワイヤ25との摩擦を減少させるために半球状に形成されている。溶接ワイヤ25をトーチボディ22に挿通していないときに、第4のワイヤ変位ねじ4aと第4のワイヤ押圧ピン4cとのそれぞれの先端部が接触する位置を第4のワイヤ押圧部4hとし、この第4のワイヤ押圧部4hは、溶接ワイヤ25の材質や直径に対応してトーチボディ22の長手軸から予め定めた距離だけ変位するように第4のねじ用貫通孔4b及び第4のワイヤ変位ねじ4aと、第4のピン用貫通孔4d及び第4のワイヤ押圧ピン4cとの形状が決定される。トーチボディ22に挿通された溶接ワイヤ25は、第4のワイヤ変位ねじ4aと第4のワイヤ押圧ピン4cとの間で挟まれて押圧される。第4のワイヤ変位部材4は、第4のねじ用貫通孔4b、第4のワイヤ変位ねじ4a、第4のピン用貫通孔4d、第4のワイヤ押圧ピン4c及び第4のばね4eから成る。
【0026】
トーチボディ22の半径方向に第5のねじ用貫通孔5bが形成されて、この第5のねじ用貫通孔5bに第5のワイヤ変位ねじ5aがトーチボディ22の外周からねじ込まれている。第5のワイヤ変位ねじ5aは外周からねじ込み量を調整できる。トーチボディ22の半径方向の第5のねじ用貫通孔5bの長手軸方向で、第5のねじ用貫通孔5bと対向する位置に第5のピン用貫通孔5dが形成されている。この第5のピン用貫通孔5dに第5のワイヤ押圧ピン5cがトーチボディ22の外周から挿入されている。第5のワイヤ押圧ピン5cは、中間部に段部5fが形成されている。第5のワイヤ押圧ピン5cの基端部(Y1方向)には第5のばね5eが設けられていて、第5のワイヤ押圧ピン5cは第5のばね5eによって第5のワイヤ押圧ピンの段部5fが第5のピン用貫通孔の係止部5gに引っ掛かっている。
【0027】
第5のワイヤ変位ねじ5aと第5のワイヤ押圧ピン5cとは、材質が耐摩耗性を有する部材、例えばセラミックで、それぞれの先端部が、図2(B)に示すように、溶接ワイヤ25との摩擦を減少させるために半球状に形成されている。溶接ワイヤ25をトーチボディ22に挿通していないときに、第5のワイヤ変位ねじ5aと第5のワイヤ押圧ピン5cとのそれぞれの先端部が接触する位置を第5のワイヤ押圧部5hとし、この第5のワイヤ押圧部5hは、溶接ワイヤ25の材質や直径に対応してトーチボディ22の長手軸から予め定めた距離だけ変位するように第5のねじ用貫通孔5b及び第5のワイヤ変位ねじ5aと、第5のピン用貫通孔5d及び第5のワイヤ押圧ピン5cとの形状が決定される。トーチボディ22に挿通された溶接ワイヤ25は、第5のワイヤ変位ねじ5aと第5のワイヤ押圧ピン5cとの間で挟まれて押圧される。第5のワイヤ変位部材5は、第5のねじ用貫通孔5b、第5のワイヤ変位ねじ5a、第5のピン用貫通孔5d、第5のワイヤ押圧ピン5c及び第5のばね5eから成る。
【0028】
トーチボディ22の半径方向に第6のねじ用貫通孔6bが形成されて、この第6のねじ用貫通孔6bに第6のワイヤ変位ねじ6aがトーチボディ22の外周からねじ込まれている。第6のワイヤ変位ねじ6aは外周からねじ込み量を調整できる。トーチボディ22の半径方向の第6のねじ用貫通孔6bの長手軸方向で、第6のねじ用貫通孔6bと対向する位置に第6のピン用貫通孔6dが形成されている。この第6のピン用貫通孔6dに第6のワイヤ押圧ピン6cがトーチボディ22の外周から挿入されている。第6のワイヤ押圧ピン6cは、中間部に段部6fが形成されている。第6のワイヤ押圧ピン6cの基端部(Y2方向)には第6のばね6eが設けられていて、第6のワイヤ押圧ピン6cは第6のばね6eによって第6のワイヤ押圧ピンの段部6fが第6のピン用貫通孔の係止部6gに引っ掛かっている。
【0029】
第6のワイヤ変位ねじ6aと第6のワイヤ押圧ピン6cとは、材質が耐摩耗性を有する部材、例えばセラミックで、それぞれの先端部が、図2(B)に示すように、溶接ワイヤ25との摩擦を減少させるために半球状に形成されている。溶接ワイヤ25をトーチボディ22に挿通していないときに、第6のワイヤ変位ねじ6aと第6のワイヤ押圧ピン6cとのそれぞれの先端部が接触する位置を第6のワイヤ押圧部6hとし、この第6のワイヤ押圧部6hは、溶接ワイヤ25の材質や直径に対応してトーチボディ22の長手軸から予め定めた距離だけ変位するように第6のねじ用貫通孔6b及び第6のワイヤ変位ねじ6aと、第6のピン用貫通孔6d及び第6のワイヤ押圧ピン6cとの形状が決定される。トーチボディ22に挿通された溶接ワイヤ25は、第6のワイヤ変位ねじ6aと第6のワイヤ押圧ピン6cとの間で挟まれて押圧される。第6のワイヤ変位部材6は、第6のねじ用貫通孔6b、第6のワイヤ変位ねじ6a、第6のピン用貫通孔6d、第6のワイヤ押圧ピン6c及び第6のばね6eから成る。
【0030】
第5のワイヤ変位ねじ5a及び第2のワイヤ押圧ピン5cの長手軸は、第4のワイヤ変位ねじ4a及び第4のワイヤ押圧ピン4cの長手軸と平行の位置に設けられ、第6のワイヤ変位ねじ及び第6のワイヤ押圧ピンの位置は、第4のワイヤ変位ねじ4a及び第4のワイヤ押圧ピン4cのそれぞれの位置と平行の位置に設けられている。しかし、第5のワイヤ変位ねじ5a及び第5のワイヤ押圧ピン5cと第4のワイヤ変位ねじ4a及び第4のワイヤ押圧ピン4cとの位置は逆の位置に設けられている。第2のワイヤ矯正部8は、第4のワイヤ変位部材4、第5のワイヤ変位部材5及び第6のワイヤ変位部材6から成る。
【0031】
上記の第4のワイヤ変位部材4、第5のワイヤ変位部材5及び第6のワイヤ変位部材6のトーチボディ22の周囲には樹脂から成るばねカバー10が設けられていて、ばねカバー10によって第4のばね4eと第5のばね5eと第6のばね6eとが押さえられている。第4のワイヤ押圧部4hと第5のワイヤ押圧部5hと第6のワイヤ押圧部6hとが、トーチボディ22の長手軸心から予め定めた距離だけ交互にずれている。この結果、図3に示すように、トーチボディ22に挿通された溶接ワイヤ25はS字を描くように第4のワイヤ押圧部4hと第5のワイヤ押圧部5hと第6のワイヤ押圧部6hを通過する。
【0032】
トーチボディ22内において、第2のワイヤ矯正部8は、第1のワイヤ矯正部7に対してトーチボディ22の長手軸心を中心として90度回転した位置に設けられている。また、第1のワイヤ変位部材1と第2のワイヤ変位部材2との間に第4のワイヤ変位部材4を設け、第2のワイヤ変位部材2と第3のワイヤ変位部材3との間に第5のワイヤ変位部材5を設け、第3のワイヤ変位部材3のトーチボディ22の基端部側(X2方向)に第6のワイヤ変位部材6を設けている。
【0033】
以下、動作を説明する。本発明の実施の形態1の溶接トーチは、材質が金属で直径が1.2mmの溶接ワイヤ25が図示を省略したワイヤ送給装置から送給されてワイヤガイドライナ14によってガイドされ、トーチボディ22内に設けられた第1のワイヤ矯正部7及び第2のワイヤ矯正部8を挿通して、チップボディ23、給電チップ24のワイヤ挿通孔を挿通して給電チップ24の先端部から送出されている。
【0034】
トーチボディ22に供給された電力が、チップボディ23を流れて給電チップ24へ電力が供給され、溶接ワイヤ25に供給される。シールドガスがオリフィス11の噴出孔を通して噴出されて、このシールドガスがアーク、溶融池及びその周辺を大気中の窒素及び酸素から遮蔽している。
【0035】
第1のワイヤ矯正部7において、第1のワイヤ変位部材1の長手軸と第2のワイヤ変位部材2の長手軸との距離、及び第2のワイヤ変位部材2の長手軸と第3のワイヤ変位部材3の長手軸との距離は、例えば1cm〜2cmで、第1のワイヤ押圧部1h、第2のワイヤ押圧部2h及び第3のワイヤ押圧部3hがトーチボディ22の長手軸心から変位した距離は、1mm〜2mmである。このようにすることによって図2に示すように、トーチボディ22に挿通された溶接ワイヤ25は第1のワイヤ矯正部7をS字を描くように通過する。
【0036】
第2のワイヤ矯正部8においても、第4のワイヤ変位部材4の長手軸と第5のワイヤ変位部材5の長手軸との距離、及び第5のワイヤ変位部材5の長手軸と第6のワイヤ変位部材6の長手軸との距離は、例えば1cm〜2cmで、第4のワイヤ押圧部4h、第5のワイヤ押圧部5h及び第6のワイヤ押圧部6hがトーチボディ22の長手軸心から変位した距離は、1mm〜2mmである。このようにすることによって図2に示すように、トーチボディ22に挿通された溶接ワイヤ25は第2のワイヤ矯正部8をS字を描くように通過する。
【0037】
この結果、本発明の実施の形態1の溶接トーチ21は、第1のワイヤ矯正部7及び第2のワイヤ矯正部8が溶接ワイヤ25の曲り癖を矯正することができるので、溶接ワイヤ25の先端位置の狙いずれが起こらず、高品質な溶接結果を得ることができる。さらに、従来技術のように複数個のロールを使用した矯正装置を溶接トーチの後端部に取り付けることなく、耐摩耗性のある部材、例えばセラミックを使用した第1のワイヤ矯正部7及び第2のワイヤ矯正部8がトーチボディ22内に設けられているので、従来技術のように矯正装置が大きくなることがなく溶接トーチ21を小型化することができ、被加工物や治具と干渉して溶接姿勢が制限されることもない。
【0038】
また、トーチボディ22内において、絶縁性を有する部材、例えばセラミックからなる第1のワイヤ変位ねじ1a及び第1のワイヤ押圧ピン1cと第2のワイヤ変位ねじ2a及び第2のワイヤ押圧ピン2cと第3のワイヤ変位ねじ3a及び第3のワイヤ押圧ピン3cと第4のワイヤ変位ねじ4a及び第4のワイヤ押圧ピン4cと第5のワイヤ変位ねじ5a及び第5のワイヤ押圧ピン5cと第6のワイヤ変位ねじ6a及び第6のワイヤ押圧ピン6cとで溶接ワイヤ25がガイドされているので、この部分での溶接ワイヤ25がトーチボディ22のワイヤ挿通孔と内接触することを減少させることができ、給電チップ24での給電をより安定させることができる。
【0039】
[実施の形態2]
図4は、本発明の実施の形態2の溶接トーチの断面図である。同図において、溶接トーチ31のトーチボディ32の先端部(X1方向)に、第1のチップボディ33a及び第2のチップボディ33bから成るチップボディ33が取り付けられ、このチップボディ33の先端部にチップホルダ36が取り付けられている。このチップホルダ36の先端部には耐熱部材37が設けられている。これらのトーチボディ32、チップボディ33、チップホルダ36、耐熱部材37は、軸芯部にワイヤ挿通孔が形成されている。また、上述した耐熱部材37は、溶接ワイヤ25がチップホルダ36のワイヤ挿通孔に接触したとき、溶接ワイヤ25に給電することを防止している。
【0040】
スプリング38がトーチボディ32の内部に設けられている。加圧シャフト39がチップボディ33の内部に設けられて、加圧シャフト39のX2方向の基端部がスプリング38の先端部に当接している。これらのスプリング38及び加圧シャフト39は、軸芯部にワイヤ挿通孔が形成されている。図示を省略したワイヤ送給装置から送給された溶接ワイヤ25をガイドするワイヤガイドライナ40の先端部が、トーチボディ32の基端部に挿入されている。
【0041】
給電チップ34は、軸芯部にワイヤ挿通孔が形成されていて、給電チップ34の基端部(X2方向)が第2のチップボディ33bの先端部に挿入されて、加圧シャフト39の先端部に当接していて、給電チップ34の先端部(X1方向)がチップホルダ36に挿入されている。即ち、給電チップ34は、加圧シャフト39とチップホルダ36とで押圧されている。また、この給電チップ34は、先端部からワイヤ挿通孔に沿って延びる縦すり割り41が形成されていて、給電チップ34の側面で縦すり割り41の基端部近傍の肉厚を薄くして、給電チップ34が曲がり易くしている。
【0042】
また、給電チップ34の側面には、チップホルダ36の基端部に形成された傾斜面46と当接するテーパ形状42が形成されている。このために、上述したように縦すり割り41が形成されているので、給電チップ34の先端部をチップホルダ36に挿入して、加圧シャフト39とチップホルダ36とで給電チップ34を押圧すると、給電チップ34のワイヤ挿通孔の先端部が縮径して、ワイヤ挿通孔の内面が、溶接ワイヤ25を加圧して給電する。
【0043】
オリフィス43が第1のチップボディ33aの下方に設けられて、ノズル44がチップホルダ36とオリフィス43とを取り囲んでいる。シールドガスがオリフィス43の噴出孔を通して噴出されて、このシールドガスがアーク、溶融池及びその周辺を大気中の窒素及び酸素から遮蔽している。第1のチップボディ33aの周りに絶縁ブッシュ45が設けられている。第1のワイヤ矯正部7の第1のワイヤ変位部材1、第2のワイヤ変位部材2及び第3のワイヤ変位部材3と第2のワイヤ矯正部8の第4のワイヤ変位部材4、第5のワイヤ変位部材5及び第6のワイヤ変位部材6とは、図2及び図3に示した本発明の実施の形態1の溶接トーチ21の同機能に同符号を付して説明を省略する。
【0044】
以下、動作を説明する。本発明の実施の形態2の溶接トーチ31は、図示を省略したワイヤ送給装置から送給された溶接ワイヤ25が、ワイヤガイドライナ40によってガイドされて、スプリング38、加圧シャフト39、給電チップ34及びチップホルダ36を挿通する。そして、スプリング38が加圧シャフト39を押圧して、この加圧シャフト39とチップホルダ36とで給電チップ34を押圧する。このとき、この給電チップ34には、縦すり割り41が形成されているので、給電チップ34のワイヤ挿通孔の内面が、溶接ワイヤ25を加圧し給電する。
【0045】
また、トーチボディ32に供給された電力が、チップボディ33を流れて、チップホルダ36に流れて給電チップ34へ電力が供給され、溶接ワイヤ25に供給される。シールドガスがオリフィス43の噴出孔を通して噴出されて、このシールドガスがアーク、溶融池及びその周辺を大気中の窒素及び酸素から遮蔽している。第1のワイヤ矯正部7及び第2のワイヤ矯正部8における動作は、本発明の実施の形態1の溶接トーチの動作と同じであるので、説明を省略する。
【0046】
この結果、本発明の実施の形態2の溶接トーチは、実施の形態1の溶接トーチが有する効果を奏することができ、さらに溶接ワイヤ25の給電チップ34による給電をより安定させることができるので、溶接品質をより向上させることができる。
【0047】
なお、上述した本発明の実施の形態1の溶接トーチ21及び実施の形態2の溶接トーチ31において、第2のワイヤ変位ねじ2a及び第2のワイヤ押圧ピン2cと第1のワイヤ変位ねじ1a及び第1のワイヤ押圧ピン1cとの位置は逆の位置に設けられているが、第2のワイヤ変位ねじ2a及び第2のワイヤ押圧ピン2cと第1のワイヤ変位ねじ1a及び第1のワイヤ押圧ピン1cとの位置を同じ向きに設け、第1のワイヤ押圧部1hと第2のワイヤ押圧部2hと第3のワイヤ押圧部3hとが、トーチボディ22の長手軸心から予め定めた距離だけ交互にずれるように、第2のワイヤ変位ねじ2a及び第2のワイヤ押圧ピン2cのそれぞれの長さを調整しても良い。
【0048】
また、上述した本発明の実施の形態1の溶接トーチ21及び実施の形態2の溶接トーチ31において、第5のワイヤ変位ねじ5a及び第5のワイヤ押圧ピン5cと第4のワイヤ変位ねじ4a及び第4のワイヤ押圧ピン4cとの位置は逆の位置に設けられているが、第5のワイヤ変位ねじ5a及び第5のワイヤ押圧ピン5cと第4のワイヤ変位ねじ4a及び第4のワイヤ押圧ピン4cとの位置を同じ向きに設け、第4のワイヤ押圧部4hと第5のワイヤ押圧部5hと第6のワイヤ押圧部6hとが、トーチボディ22の長手軸心から予め定めた距離だけ交互にずれるように、第5のワイヤ変位ねじ5a及び第5のワイヤ押圧ピン5cのそれぞれの長さを調整しても良い。
【0049】
また、上述した本発明の実施の形態1の溶接トーチ21及び実施の形態2の溶接トーチ31において、第1のワイヤ矯正部7及び第2のワイヤ矯正部8を設けた場合を説明したが、第1のワイヤ矯正部7のみを設けた場合でも溶接ワイヤ25の矯正を行うことができるが、第2のワイヤ矯正部8も設けた方が、より矯正の精度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0050】
1 第1のワイヤ変位部材
1a 第1のワイヤ変位ねじ
1b 第1のねじ用貫通孔
1c 第1のワイヤ押圧ピン
1d 第1のピン用貫通孔
1e 第1のばね
1f 第1のワイヤ押圧ピンの段部
1g 第1のピン用貫通孔の係止部
1h 第1のワイヤ押圧部
2 第1のワイヤ変位部材
2a 第2のワイヤ変位ねじ
2b 第2のねじ用貫通孔
2c 第2のワイヤ押圧ピン
2d 第2のピン用貫通孔
2e 第2のばね
2f 第2のワイヤ押圧ピンの段部
2g 第2のピン用貫通孔の係止部
2h 第1のワイヤ押圧部
3 第3のワイヤ変位部材
3a 第3のワイヤ変位ねじ
3b 第3のねじ用貫通孔
3c 第3のワイヤ押圧ピン
3d 第3のピン用貫通孔
3e 第3のばね
3f 第3のワイヤ押圧ピンの段部
3g 第3のピン用貫通孔の係止部
3h 第1のワイヤ押圧部
4 第1のワイヤ変位部材
4a 第1のワイヤ変位ねじ
4b 第1のねじ用貫通孔
4c 第1のワイヤ押圧ピン
4d 第1のピン用貫通孔
4e 第1のばね
4f 第1のワイヤ押圧ピンの段部
4g 第1のピン用貫通孔の係止部
4h 第1のワイヤ押圧部
5 第1のワイヤ変位部材
5a 第2のワイヤ変位ねじ
5b 第2のねじ用貫通孔
5c 第2のワイヤ押圧ピン
5d 第2のピン用貫通孔
5e 第2のばね
5f 第2のワイヤ押圧ピンの段部
5g 第2のピン用貫通孔の係止部
5h 第1のワイヤ押圧部
6 第3のワイヤ変位部材
6a 第3のワイヤ変位ねじ
6b 第3のねじ用貫通孔
6c 第3のワイヤ押圧ピン
6d 第3のピン用貫通孔
6e 第3のばね
6f 第3のワイヤ押圧ピンの段部
6g 第3のピン用貫通孔の係止部
6h 第1のワイヤ押圧部
7 第1のワイヤ矯正部
8 第2のワイヤ矯正部
10 カバー
11 オリフィス
12 ノズル
13 絶縁ブッシュ
14 ワイヤガイドライナ
21 溶接トーチ
22 トーチボディ
23 チップボディ
24 給電チップ
25 溶接ワイヤ
31 溶接トーチ
32 トーチボディ
33 チップボディ
33a 第1のチップボディ
33b 第2のチップボディ
34 給電チップ
36 チップホルダ
37 耐熱部材
38 スプリング
39 加圧シャフト
40 ワイヤガイドライナ
41 給電チップの縦すり割り
42 給電チップのテーパ形状
43 オリフィス
44 ノズル
45 絶縁ブッシュ
46 チップホルダの傾斜面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トーチボディと、
前記トーチボディの先端部に取り付けられたチップボディと、
前記チップボディの先端部に取り付けられた給電チップと、
前記給電チップを取り囲むノズルとを備えた消耗電極ガスシールドアーク溶接トーチにおいて、
前記トーチボディの外周から半径方向にねじ込まれた第1のワイヤ変位ねじ及び基端部に第1のばねが設けられて前記トーチボディの外周から半径方向に設けられて前記第1のワイヤ変位ねじとの間の第1のワイヤ押圧部で溶接ワイヤを押圧する第1のワイヤ押圧ピンからなる第1のワイヤ変位部材と、
前記トーチボディの外周から半径方向にねじ込まれた第2のワイヤ変位ねじ及び基端部に第2のばねが設けられて前記トーチボディの外周から半径方向に設けられて前記第2のワイヤ変位ねじとの間の第2のワイヤ押圧部で前記溶接ワイヤを押圧する第2のワイヤ押圧ピンからなる第2のワイヤ変位部材と、
前記トーチボディの外周から半径方向にねじ込まれた第3のワイヤ変位ねじ及び基端部に第3のばねが設けられて前記トーチボディの外周から半径方向に設けられて前記第3のワイヤ変位ねじとの間の第3のワイヤ押圧部で前記溶接ワイヤを押圧する第3のワイヤ押圧ピンからなる第3のワイヤ変位部材と、
から成る第1のワイヤ矯正部を備え、
前記第1のワイヤ変位ねじ及び前記第1のワイヤ押圧ピンと前記第2のワイヤ変位ねじ及び前記第2のワイヤ押圧ピンと前記第3のワイヤ変位ねじ及び前記第3のワイヤ押圧ピンとの長手軸方向が平行となるように設けられ、
前記第1のワイヤ押圧部と前記第2のワイヤ押圧部と前記第3のワイヤ押圧部とが前記トーチボディの長手軸心から予め定めた距離だけ交互にずれていることを特徴とする消耗電極ガスシールドアーク溶接トーチ。
【請求項2】
前記トーチボディの外周から半径方向にねじ込まれた第4のワイヤ変位ねじ及び基端部に第4のばねが設けられて前記トーチボディの外周から半径方向に設けられて前記第4のワイヤ変位ねじとの間の第4のワイヤ押圧部で前記溶接ワイヤを押圧する第4のワイヤ押圧ピンからなる第4のワイヤ変位部材と、
前記トーチボディの外周から半径方向にねじ込まれた第5のワイヤ変位ねじ及び基端部に第5のばねが設けられて前記トーチボディの外周から半径方向に設けられて前記第5のワイヤ変位ねじとの間の第5のワイヤ押圧部で前記溶接ワイヤを押圧する第5のワイヤ押圧ピンからなる第5のワイヤ変位部材と、
前記トーチボディの外周から半径方向にねじ込まれた第6のワイヤ変位ねじ及び基端部に第6のばねが設けられて前記トーチボディの外周から半径方向に設けられて前記第6のワイヤ変位ねじとの間の第6のワイヤ押圧部で前記溶接ワイヤを押圧する第6のワイヤ押圧ピンからなる第6のワイヤ変位部材と、
から成る第2のワイヤ矯正部を備え、
前記第4のワイヤ変位ねじ及び前記第4のワイヤ押圧ピンと前記第5のワイヤ変位ねじ及び前記第5のワイヤ押圧ピンと前記第6のワイヤ変位ねじ及び前記第6のワイヤ押圧ピンとの長手軸方向が平行となるように設けられ、
前記第4のワイヤ押圧部と前記第5のワイヤ押圧部と前記第6のワイヤ押圧部とが前記トーチボディの長手軸心から予め定めた距離だけ交互にずれていて、
前記第2のワイヤ矯正部が前記第1のワイヤ矯正部に対して前記トーチボディの長手軸心を中心として90度回転した位置に設けられ、
前記第1のワイヤ変位部材、前記第2のワイヤ変位部材及び前記第3のワイヤ変位部材と前記第4のワイヤ変位部材、前記第5のワイヤ変位部材及び前記第6のワイヤ変位部材とが交互に設けられたことを特徴とする請求項1記載の消耗電極ガスシールドアーク溶接トーチ。
【請求項3】
前記チップボディの先端部に取り付けられたチップホルダと、
前記トーチボディの内部で前記トーチボディの先端部側に設けられたスプリングと、
前記スプリングのばね力によって前記給電チップを押圧する加圧シャフトとを備え、
前記給電チップが前記チップボディの先端部と前記チップホルダとの間に設けられて、先端部側面にテーパ形状が形成され、先端部からワイヤ挿通孔に沿って延びる縦すり割りが形成され、この縦すり割りの基端部側面の肉厚を薄くし、
前記スプリングのばね力によって前記加圧シャフトが前記給電チップを押圧して前記給電チップの前記テーパ形状が前記チップホルダの基端部に押圧されて、前記給電チップの前記ワイヤ挿通孔が縮径して前記溶接ワイヤを加圧し給電することを特徴とする請求項1又は2記載の消耗電極ガスシールドアーク溶接トーチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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