説明

液体またはペースト含有ルウ製品及びその製造方法

【課題】十分な賞味期間、保存安定性を有し、工業レベルで製造可能である、内部に液状またはペースト状の材料を含有するルウ製品およびその製造方法を提供する。
【解決手段】固形ルウの内部に液状またはペースト状の材料を封入してなるルウ製品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形ルウの内部に液状またはペースト状の材料を有するルウ製品、その製造方法並びにルウ製品の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、カレー、シチュー、ハッシュドビーフ等のルウ製品は、油脂と小麦粉を100℃以上に加熱混合して小麦粉ルウを製造した後に、香辛料、砂糖、食塩、調味料およびその他の風味原材料などを加え、混合後、容器に充填し、冷却固化して製造されている。
【0003】
また、一般に、ルウ製品の風味に対しては、乾燥粉砕物よりも、比較的水分含量が高く素材そのものの風味の変化が少ないエキス、ペースト(磨砕物)のほうが寄与するところが大きい。このような水分含量の高い原料は、乾燥粉砕物よりも風味に寄与する成分の濃縮度が低いため、乾燥粉砕物よりも多量に配合することが必要である。しかし、液状またはペースト状の水分含量の高い原料を多量に使う場合、ルウの混合撹拌処理および充填処理の適性に合うように原料(特に牛肉、豚肉、鶏肉、魚介類、野菜、果実等、ルウ製品の風味向上に大きく寄与する原料)の水分含量を調整するのに多大な加熱混合処理時間を要する。従って、水分含量の比較的高い原料を多量に使う場合は、カレールウ、ハヤシルウなどの固形ルウには練り込まずに、液状またはペースト状の材料を固形ルウとは別に添付し、固形ルウにこれら液状またはペースト状の材料を併用することで、風味を向上させるのが一般的であった。
【0004】
このような液状またはペースト状の材料は、固形ルウとは別々の容器に入れられており、各容器から固形ルウと液状またはペースト状の材料を取り出す必要があり、取り扱いが煩雑であった。
【0005】
また、調理の際に2種以上の固形ルウを併用することがしばしば行われており、このような場合、液状またはペースト状の材料が固形ルウとは別の容器に充填されていると、固形ルウは小分けにして使用できるが、液状またはペースト状の材料は小分けにして使用するのが困難である不具合があった。
【0006】
このような欠点を解消するために、特許文献1〜3は、液状またはペースト状の材料を固形ルウの中に含ませたものを開示している。
【0007】
しかしながら、例えば特許文献3では、実施例においてルウの水分活性が0.65,ペーストの水分活性が0.625のペースト含有ルウを製造しており、このようなルウ製品では、ルウの水分活性が高いため、油脂の酸化や化学変化により風味劣化が早くなり、賞味期限が短すぎて実用化はできないことが判明した。
【0008】
また、特許文献1〜3では、予め箱状の固形ルウを製造し、その中に液体乃至ペーストを充填する方法を開示している。従来からチョコレート、飴菓子、あるいは合成樹脂製の人形、置物等の中空成形品が知られている。これらの中空成形品は、成形品の形状に応じて剛体からなる複数の分割成形型を用いて成形していた。すなわち、分割成形型の内容積より少ない容量の成形材料を該分割成形型内にその開口部から注入し、開口部を閉じた後、この分割成形型をスピナーに装着させ、全方向に回転させながら冷却し、成形材料を分割成形型内表面に沿って中空上に固化させたのち、分割成形型を分割して中空の成形品を取り出す方法が採用されている。しかしながら、このような分割成形型を用いて製造した中空成形品は、その表面に分割成形型の割り線が生じてしまい、中空成形品の商品価値を低下させる欠点がある。また分割成形型を用いて固形ルウの中空成形品を製造した場合、一般に固形ルウは冷却固化後の収縮率が少ない油脂を使用するということと香辛料、野菜、調味料、畜肉加工品等、粒度が100μm以上の固形物を多量に使用するため、分割成形型から固形ルウは取り出しにくく、割れやすいという問題点があった。またこのような方法は、予め箱状の固形ルウを充填・冷却する工程、液体乃至ペーストを充填する工程、さらに中空成形品にするためには固形ルウの蓋を被せて冷却する工程が必要になり効率が悪いことと設備が大掛りになる。そのため、工業レベルでルウを製造する場合、実際にはこのような方法を採ることは好ましくない。
【特許文献1】特開平3−147769号公報
【特許文献2】特開平3−147770号公報
【特許文献3】特開平4−63578号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、十分な賞味期間、保存安定性を有し、工業レベルで製造可能である、内部に液状またはペースト状の材料を含有するルウ製品およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一般に、2種又はそれ以上の材料を1つの製品に別々に且つ同時に組み込む場合、該材料の物性(特に比重)を揃えることが行われており、特に比重差のある2種類の材料の同時充填において、重い材料を軽い材料で包み込むことは困難であった。
【0011】
本発明者は、上記課題に鑑み検討を重ねた結果、固形ルウと液状またはペースト状の材料の水分活性、見かけ比重、物性、容器への充填方法を工夫することにより、実用的な液状またはペースト状材料を含有するルウが得られることを見出した。
【0012】
本発明は、以下のルウ製品及びその製造方法を提供するものである。
1. 固形ルウの内部に液状またはペースト状の材料を封入してなるルウ製品。
2. 固形ルウの水分活性と液状またはペースト状の材料の水分活性の差が0.4以下であり、液状またはペースト状の材料の水分活性が0.65以下である項1に記載のルウ製品。
3. 固形ルウの見かけ比重と液状またはペースト状の材料の見かけ比重の差が0.4以下である項1または2に記載のルウ製品。
4. 液状またはペースト状の材料が、グリセリン、塩類、糖類及び食用油脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む項1〜3のいずれかに記載のルウ製品。
5. ルウ製品がカレールウ、ハッシュドビーフルウ、ハヤシルウ、シチュールウ、スープルウまたはソースルウである項1〜4のいずれかに記載のルウ製品。
6. 液状またはペースト状の材料が固形ルウの4倍量以下である項1〜5のいずれかに記載のルウ製品。
7. 2つのホッパーから別々に供給される液状のルウと液状またはペースト状の材料を、前記材料が前記液状ルウの内部になるように、ノズルから容器に充填し、固化することを特徴とする、固形ルウの内部に液状またはペースト状の材料が封入された構造を有するルウ製品の製造方法。
8. 容器内に予め液状ルウを一部充填して底部にルウの層を形成し、次に前記材料を内部に有する液状ルウを容器に充填することを特徴とする項7に記載の方法。
9. 前記容器に対して前記ノズルを移動しながら容器内に充填することを特徴とする項7または8に記載の方法。
10. 固形ルウの見かけ比重と液状またはペースト状の材料の見かけ比重の差が0.4以下である項7〜9のいずれかに記載の方法。
11. 液状またはペースト状の材料が固形ルウの4倍量以下である項7〜10のいずれかに記載の方法。
12. 液状またはペースト状の材料を、固形ルウで包み込んだ二重構造を有するルウ製品の製造装置であって、液状またはペースト状の材料を吐出する内ノズルと溶融ルウを吐出する外ノズルとからなる二重構造の吐出ノズルと、液状またはペースト状の材料と溶融ルウを各々収容する第一ホッパーと第二ホッパーと、第一ホッパーと内ノズル並びに第二ホッパーと外ノズルの間の流路に設けられた第一切替バルブと第二切替バルブとを備え、前記第一切替バルブと内ノズルの流路および/または前記第二切替バルブと外ノズルの流路にバックサクション装置を接続したことを特徴とする、製造装置。
13. 液状またはペースト状の材料を、固形ルウで包み込んだ二重構造を有するルウ製品の製造装置であって、液状またはペースト状の材料を吐出する内ノズルと溶融ルウを吐出する外ノズルとからなる二重構造の吐出ノズルを有し、外ノズルの先端が内ノズルの先端よりも外ノズルの口径の少なくとも0.1倍下方に位置することを特徴とする製造装置。
14. 液状またはペースト状の材料を、固形ルウで包み込んだ二重構造を有するルウ製品の製造装置であって、液状またはペースト状の材料を吐出する内ノズルと溶融ルウを吐出する外ノズルとからなる二重構造の吐出ノズルを有し、内ノズルからの液状またはペースト状の材料の吐出と外ノズルからの溶融ルウの吐出の各々のタイミングを数値で設定可能な数値設定タイミング装置を備えることを特徴とする製造装置。
15. 液状またはペースト状の材料を、固形ルウで包み込んだ二重構造を有するルウ製品の製造装置であって、液状またはペースト状の材料を吐出する内ノズルと溶融ルウを吐出する外ノズルとからなる二重構造の吐出ノズルを有する食品充填装置と、該食品を充填する容器を移送可能に載置した容器搬送装置を備え、該容器の冷却機構を備えることを特徴とする製造装置。
16. 液状またはペースト状の材料を、固形ルウで包み込んだ二重構造を有するルウ製品の製造装置であって、液状またはペースト状の材料を吐出する内ノズルと溶融ルウを吐出する外ノズルとからなる二重構造の吐出ノズルと、液状またはペースト状の材料と溶融ルウを各々収容する第一ホッパーと第二ホッパーと、第一ホッパーと内ノズル並びに第二ホッパーと外ノズルの間の流路に設けられた第一切替バルブと第二切替バルブとを備え、前記第一切替バルブと内ノズルの流路および/または前記第二切替バルブと外ノズルの流路に接続したバックサクション装置と、ルウ製品を充填する容器を移送可能に載置した容器搬送装置と、内ノズルからの液状またはペースト状の材料の吐出と外ノズルからの溶融ルウの吐出の各々のタイミングを数値で設定可能な数値設定タイミング装置と、前記容器の冷却機構を設け、外ノズルの先端が内ノズルの先端よりも外ノズルの口径の少なくとも0.1倍下方に位置することを特徴とする項12〜15のいずれかに記載の製造装置。
17. 前記二重構造の吐出ノズルを前後又は左右、並びに、上下に移動させることができる装置をさらに設けることを特徴とする項12〜16のいずれかに記載の製造装置。
18. ルウがカレールウ、ハッシュドビーフルウ、ハヤシルウ、シチュールウ、スープルウまたはソースルウである項17に記載の装置。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、液状ないしペースト状の材料をルウ内部に容易に充填することができ、風味、香りが改善されたルウ製品を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明において、ルウ製品とは、カレー、シチュー、ハッシュドビーフ、スープ、ソース、グラタンなどのルウ製品であって、必要により、ルウ製品に野菜、肉などの具材と水を加えて煮込むことにより調理される。
固形ルウとは、常温(20℃)で固形であるルウを意味し、通常40℃以下の温度では固形状である。
【0015】
本発明のルウ製品は、固形ルウの内部に液状またはペースト状の材料を含むものであれば特に限定されず、図3に示されるような、固形ルウの内部に1つの液状またはペースト状材料が含まれるものが好ましく例示されるが、液状またはペースト状材料は2以上に分かれて含まれていてもよい。
【0016】
固形ルウは、小麦粉及び油脂を主成分としており、香辛料、砂糖、食塩、アミノ酸、エキス類等の調味料を適宜加えて調製することができる。
【0017】
液状またはペースト状の材料は、常温(20℃)で液状またはペースト状であり、香味野菜、フルーツ、各種エキス類、酒類、乳製品、ハーブ等の精油、香辛料、油脂、寒天、ゼラチン、カラギーナン等の増粘剤等を適宜加えて製造することができる。
【0018】
本発明の固形ルウ及び液状またはペースト状の材料は、所定の水分活性を有するものである。
【0019】
固形ルウの水分活性は、0.50〜0.25、好ましくは0.40〜0.25、より好ましくは0.35〜0.25である。固形ルウの水分活性が高すぎると充填時にルウの流動性が無くなるため、充填できなくなる。また油脂の酸化や化学変化により風味劣化が早くなる。
【0020】
液状またはペースト状の材料の水分活性は、0.65〜0.20、好ましくは0.60〜0.20、より好ましくは0.55〜0.20、より好ましくは0.50〜0.20、より好ましくは0.45〜0.20、より好ましくは0.40〜0.20、である。該材料の水分活性が高すぎると保存時において微生物の繁殖等が起こり易く、賞味期間が短くなる。また、水分活性が少なすぎると、素材そのものの風味が弱くなり良いものができない。
さらに、固形ルウと液状またはペースト状の材料の水分活性の差は、0.4以下、好ましくは0.3以下、より好ましくは0.2以下である。水分活性の差が0.4を超えると、両者間で水分移行が多くなり、食品の風味劣化が早くなるため好ましくない。
本発明のルウ製品では、固形ルウの水分活性は、液状またはペースト状材料の水分活性と同じかそれよりも小さいのが特に好ましい。
【0021】
固形ルウの粘度は、5000cps〜10000cps、好ましくは6000cps〜9500cps、より好ましくは7000cps〜9000cpsである。該ルウの粘度が低すぎると、固形ルウで液体またはペースト状の材料を包み込むことが困難になる。また充填時にノズルからの液だれの問題が生じることがある。また該ルウの粘度が高すぎると、流動性が悪くなり重量バラツキが生じる、あるいは充填出来なくなる。
【0022】
固形ルウは、配合している主成分の食用油脂の上昇融点以上であれば充填することができるが、上昇融点+7℃〜上昇融点+17℃で充填するのが固形ルウの粘度が安定し粘度低下しにくいので好ましい。
【0023】
液状またはペースト状の材料は、容器への充填適性の点でペースト状であるのが好ましい。液状またはペースト状材料の粘度は、5000cps以上、好ましくは8000cps以上、より好ましくは10000cps以上である。該材料の粘度が低すぎると、固形ルウで液状またはペースト状の材料を包み込むことが困難になる。また充填時にノズルからの液だれの問題が生じることがある。液状またはペースト状の材料は、糸引きしないのが好ましい。糸引きがあると、固形ルウで液状またはペースト状の材料を包み込むのが困難であるからである。
【0024】
固形ルウの見かけ比重は、25℃で1.10〜1.30g/ml、好ましくは1.15〜1.25g/ml、より好ましくは1.20〜1.25g/mlである。液状またはペースト状材料の見かけ比重は、25℃で1.10〜1.50、好ましくは1.20〜1.30、より好ましくは1.20〜1.25である。また、固形ルウと液状またはペースト状の材料の見かけ比重の差は、通常0.40以下、好ましくは0.30以下、より好ましくは0.1以下、より好ましくは0.05以下、特に好ましくは一致する。固形ルウと液状またはペースト状の材料の見かけ比重の差が大きすぎると、容器への充填時において、液状またはペースト状の材料が浮き上がるかまたは沈み、該材料が固形ルウから漏出する危険があるため好ましくない。
見かけ比重の差が大きい場合、例えば液状またはペースト状材料の見かけ比重が大きい場合には、容器の底部を冷却し、液状またはペースト状材料の沈み込みを防止することができる。また、ルウ製品の見かけ比重が上記の比重差の範囲内において比較的大きい場合には、液状またはペースト状材料をルウで包み込んだ後、製品の上部を例えば冷風を送ることにより冷却し、液状またはペースト状材料の浮きを防止することができる。
固形ルウは、複数に分割するためのガイド(例えば凹部ないし溝)を備えていることが好ましい。ガイドの位置は、ガイドに沿って固形ルウを分割した際にペーストが露出する位置であることが好ましい。これは、固形ルウの使用者が、固形ルウの内部のペーストを視覚および嗅覚で確認することができるからである。
【0025】
固形ルウの水分活性の調整は、乾燥、糖類、塩類、食用油脂を配合することにより行うことができる。本明細書において、糖類とは、単糖、二糖、オリゴ糖、糖アルコール、水飴、澱粉分解物および水溶性植物繊維をいう。糖類としては、当該分野で市販される任意の糖類が使用され得る。糖類の例としては、砂糖、異性化糖、ぶどう糖、麦芽糖、果糖、乳糖、トレハロース、マルチトール、ソルビトール、パラチニット、ハチミツ、リン酸化オリゴ糖、黒砂糖、糖蜜、水飴、デキストリン等の澱粉分解物;ポリデキストロース等の食物繊維が挙げられる。
【0026】
本明細書において、塩類とは、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩をいう。塩類としては、当該分野で市販される任意の塩類が使用され得る。塩類の例としては、食塩、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウム、塩化カリウム、グルコン酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。食用油脂としては、任意の植物油脂および動物油脂ならびにこれらを原料として得られた硬化油を用い得る。植物油脂の例としては、菜種油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、コーン油、サフラワー油、パーム油および米油が挙げられる。動物油脂の例としては、牛脂、ギー、バター、バターオイルおよびラードが挙げられる。油脂は好ましくは、菜種油、コーン油、パーム油、牛脂、ラードおよびバターからなる群より選択され、より好ましくはパーム油、牛脂、ラードおよびバターからなる群より選択される。これらの油脂は、単独であるいは混合して用いることができる。
【0027】
固形ルウ、液状またはペースト状材料の見かけ比重の調整は、配合の調整、エアレーションなど公知の方法で実施することができる。一般に、固形分を多く含む配合であれば見かけ比重は大きくなり、油脂を多く含む配合であれば見かけ比重は小さくなる。また、固形ルウ、液状またはペースト状材料をエアレーションすることにより、見かけ比重は小さくなる。
【0028】
液状またはペースト状材料の水分活性の調整は、乾燥、グリセリン等の多価アルコール、糖類、塩類、食用油脂の添加など公知の方法で実施することができる。多価アルコールとしては、グリセリン、エチレングリコール等が挙げられる。糖類としては、砂糖、異性化糖、ぶどう糖、麦芽糖、果糖、乳糖等が挙げられる。塩類としては、食塩が挙げられる。食用油脂としては、パーム油、パーム核油、ラード、バター、牛脂、などが挙げられる。
【0029】
液状またはペースト状材料の配合量は固形ルウの4倍量以下、好ましくは3倍量以下、より好ましくは2倍量以下、より好ましくは1倍量以下、より好ましくは1/2倍量以下、より好ましくは1/3倍量以下、より好ましくは1/4倍量以下、より好ましくは1/5倍量以下である。
固形ルウの含量が少なすぎると、液状またはペースト状材料の封入が難しくなり、固形ルウの含量が多すぎると、液状またはペースト状材料による効果が得られにくくなる。
【0030】
液状またはペースト状材料が固形ルウの内部に含まれる本発明のルウ製品は、以下のようにして製造することができる。
【0031】
本発明の好ましい実施形態の1つである充填装置を用いた充填方法を以下に示すが、本発明は、これらの充填方法に限定されないことはいうまでもない。
【0032】
図1には、本発明の固形ルウの製造装置の1つの実施形態が示されている。該製造装置1は、溶融ルウ用の第二ホッパー2、液状またはペースト状材料用の第一ホッパー3,二重構造の吐出ノズル4を備え、吐出ノズル4は、前後および上下に移動可能な装置(図示せず)で移動可能に構成されている。吐出ノズルは、図2に示されるように、溶融ルウ用の外ノズル4aと液状またはペースト状材料用の内ノズル4bから構成され、内ノズルと外ノズルの間の空間4cから溶融ルウが吐出され、内ノズルの内部4dから液状またはペースト状材料が吐出される。このようにノズルを二重構造とすることで、液状またはペースト状材料を内部に包含する溶融ルウを容器に吐出して、液状またはペースト状材料5を固形ルウ6の内部に包含するルウ製品7を製造することができる。
【0033】
容器8には、液状またはペースト状材料を内部に包含する溶融ルウを直接吐出してもよいが、予め容器に固形ルウに対応する加熱溶融したルウのみを吐出して容器の底部に固形ルウの底部層6aを形成し、その後、液状またはペースト状材料を内部に包含する溶融ルウを吐出して、本発明のルウ製品を製造するのが好ましい。このように、固形ルウの底部層6aを形成するのは、液状またはペースト状材料が固形ルウよりも見かけ比重が大きい場合、液状またはペースト状材料が容器の底に沈み、固形ルウの底部層から液状またはペースト状材料が漏出するのを防止するためである。なお、容器は、液状またはペースト状の材料の容器の底への沈み込みを防止し、固形ルウの底部層の固化を促進するために冷却装置(例えば冷却プレート)により冷却することができる。もちろん溶融ルウと液状またはペースト状材料の比重差が小さい場合においても、冷却装置を使用してもよい。
【0034】
ノズルは、図3に示されるように、容器の長手方向(9a、9b)に沿って動かしながら、溶融ルウあるいは液状またはペースト状材料を内部に包含する溶融ルウを吐出するのが好ましい。これは、ノズルを固定して容器の中心付近から溶融ルウあるいは液状またはペースト状材料を内部に包含する溶融ルウを吐出した場合、容器の吐出口付近と周縁部においてルウの厚みが異なり、液状またはペースト状材料が漏出する可能性が高くなるからである。
【0035】
本発明の好ましい1つの実施形態では、溶融ルウのみをノズルを一定方向(通常前後方向であるが、容器の位置によっては左右方向でもよい)に動かしながら(往路9a)容器に充填して底部層6aを予め形成し、次いで、ノズルの位置を底部層の厚みに対応するように高くして液状またはペースト状材料を内部に包含する溶融ルウを、吐出ノズル4を反対方向(復路9b)に動かしながら(即ちノズルは1往復することになる)充填する。このような充填を可能にするために、吐出ノズル4を含む充填装置を前後(又は左右)および上下に移動可能にする装置を備えるのが好ましい。
ノズルの断面積は大きい方が作業効率がよいが、断面積が大きすぎる場合、ノズル部で液状またはペースト状の材料あるいは溶融ルウを保持できずにノズルからの液だれが起こる場合がある。
内ノズルと外ノズルの間の空間と内ノズルの断面の面積比は、溶融ルウと液状またはぺースト状材料の射出量の比と射出時間の比の商に一致するのが最も好ましい。例えば溶融ルウ42g、液状またはペースト状材料8g、の射出時間の比=2:1の場合、面積比は42:16が最もよい。
【0036】
射出速度は、速すぎると乱流が起こり、ペーストの形が乱れ、遅すぎると生産効率が低下するため、これらを勘案して最適な射出速度を決定する。
【0037】
内ノズルは、外ノズルの中心付近にあってもよく、偏心した位置に設けられていてもよい。
【0038】
ノズルは、長すぎるとノズルが詰まり、液だれなどの問題が発生する可能性があるため、短い方がよい。
本発明のルウ製品の製造装置の別の好ましい実施形態を図4および図5に示す。
該製造装置は、吐出ノズル4、溶融ルウ及び液状またはペースト状材料の充填機本体10、バックサクション装置11付きノズルプレート12、及び数値設定タイミング装置(図示せず)及びこれらを上下及び前後に移動させる装置(図示せず)を備えた充填装置1と、容器の冷却プレート(図示せず)を備えた容器搬送装置13からなる。
吐出ノズル4は、内ノズル4bと外ノズル4aからなり、内ノズルは外ノズルよりも短く、内ノズルの先端と外ノズルの先端との差hは、外ノズルの直径dの少なくとも0.1倍以上(h≧約0.1d)、好ましくは0.5〜2倍程度(約2d≧h≧約0.5d)、より好ましくは1〜1.5倍程度(約1.5d≧h≧約1.0d)である。このように外ノズル先端を内ノズル先端よりも下方に位置させることで、溶融ルウによる液状またはペースト状材料の包み込みを効率よく行うことができる。内ノズルの先端と外ノズルの先端との差hが小さすぎる(特にh<0.1d)場合には、ノズルからの液だれの影響を受けやすくなり、溶融ルウによる液状またはペースト状材料を安定的に包み込むことができない。
充填機本体10は、溶融ルウと液状またはペースト状の材料の2種類の材料を同時に充填するための装置であり、液状またはペースト状の材料と溶融ルウを各々収容する第一ホッパー3と第二ホッパー2と、第一ホッパー3と内ノズル4b並びに第二ホッパー2と外ノズル4aの間の流路に設けられた第一切替バルブ14aと第二切替バルブ14bと、第一充填シリンダー15a,15bを備えている。
ノズルプレート12には、バックサクション装置11及び吐出ノズル4が設けられている。前記第一切替バルブ14aと内ノズル4bの流路および前記第二切替バルブ14bと外ノズル4aの流路にバックサクション装置11を接続することで、液状またはペースト状の材料を内包した溶融ルウを容器に充填する場合に液状またはペースト状材料が溶融ルウの外に出ないようにしてある。バックサクション装置11は充填する食品の液だれを防止するためのものであり、例えばシリンダーを好ましく使用できる。また、内ノズル4bからの液状またはペースト状材料の吐出と外ノズル4aからの溶融ルウの吐出の各々のタイミングを数値で設定可能な数値設定タイミング装置を設けることで、二種類の材料の充填タイミングを自由に調整することができ、二種類の材料の物性に応じて充填タイミングを調整することで、液状またはペースト状材料が溶融ルウの外に出ないように調整することができる。
【0039】
ルウ製品を充填する容器は、容器搬送装置13に設けられた冷却機構としての冷却プレート(図示せず)上に載置されている。該冷却機構としては、液状またはペースト状の材料が溶融ルウよりも比重が重い場合、液状またはペースト状の材料の容器の底への沈み込みを防止するために冷却プレートを使用でき、液状またはペースト状の材料が溶融ルウよりも比重が軽い場合には、液状またはペースト状の材料の浮き上がりを防止するために上部を冷却するための冷風供給装置を使用できる。
吐出ノズルを含む充填装置を前後(及び/又は左右)および上下に移動可能にすることで、容器の形状に合わせて食品を充填することができる。
なお、ノズルの前後(左右)または上下動とバックサクション装置を連動させることで、充填表面をより平らにすることが可能である。
【0040】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、固形ルウは、充填時(50〜60℃)での粘度が7000〜9000cps程度であり、ペースト材料の粘度は10000cps以上である。このように、溶融ルウ及び液状ないしペースト状材料の粘度が高い方が、ペーストの漏れなどの問題が少なくなる。
【実施例】
【0041】
以下、本発明を実施例に基づきより詳細に説明する。
実施例1
図4の装置を使用する。
(1)予め加熱した開放型の加熱釜に油脂30重量部を投入し、油脂を溶解させた。このとき溶解した油脂の品温は、約60℃であった。次いで、この溶解した油脂に小麦粉30重量部を投入し、混合しながら約50分間かけて、到達品温が130℃になるように加熱して小麦粉ルウを製造した。
(2)上記(1)で得られた小麦粉ルウにカレー粉9重量部、砂糖10重量部、食塩9重量部、グルタミン酸ナトリウム塩4重量部、ビーフパウダー3重量部、オニオンパウダー0.5重量部、おろしニンニク0.3重量部、チャツネ2重量部及びカラメル2重量部を順次加え、約50分間かけて品温が60℃になるまで冷却混合処理し、カレールウを製造した。冷却は、原料の添加による冷却及び冷却釜による強制冷却であった。また、得られたカレールウの水分活性は0.28であり、見かけ比重は1.20g/mlであった。
(3)上記(1)とは別に開放型の加熱釜にビーフペースト20重量部、トマトペースト15重量部、オニオンペースト12重量部、コーンスターチ3重量部、油脂10重量部及びグリセリン40重量部を順次加え、約50分間かけて、品温が100℃になるまで加熱混合処理し、ペースト状材料を製造した。得られたペースト状材料の水分活性は0.52であり、見かけ比重は1.25g/mlであった。
(4)上記(2)で得られたカレールウ75重量部、上記(3)で得られたペースト状材料25重量部を、充填機を用いて、ペースト状材料を中心部に包含するようにカレールウを容器に充填し、20℃になるまで冷却することにより、ペースト状材料を含有するカレールウが得られた。また充填時のルウの粘度は7500cpsで充填中に粘度低下は生じなかった。また充填時のペーストの粘度は11000cpsであった。また充填時にノズルからの液だれは認められなかった。
得られたペースト含有ルウを容器から取り出したところ、ペースト状材料は固形ルウの底部層から漏れ出ていなかった。またペースト含有ルウを分割したところペースト状材料が固形ルウの中心部に含有されていた。
得られたペースト含有ルウを常法により調理してカレーソースを得た。また、このカレーソースを喫食したところ、カレーソースの風味はペースト状材料を含有していないカレーソースに比べ香り立ちがよく、カレーソースにコクを与え、風味、香りの面でも良好であった。また、調理時にはペースト状材料を含有していないカレールウに比べ、煮汁に溶けやすかった。
【0042】
また得られたペースト含有ルウの容器の開口部をシート状の蓋材で密閉し、30℃の恒温器に4ヶ月間静置保管し、保管後常法により調理してカレーソースを得た。また、このカレーソースを喫食したところ、カレーソースの風味はペースト状材料を含有していないカレーソースに比べ香り立ちがよく、カレーソースにコクを与え、風味、香りの面でも良好であった。
(比較例1)
(1)実施例1と同じようにカレールウを製造した。
(2)上記(1)とは別に開放型の加熱釜にビーフペースト20重量部、トマトペースト15重量部、オニオンペースト12重量部、コーンスターチ3重量部、水7重量部及び砂糖43重量部を順次加え、約50分間かけて、品温が100℃になるまで加熱混合処理し、ペースト状材料を製造した。得られたペースト状材料の水分活性は0.53であり、見かけ比重は1.62g/mlであった。
(3)上記(1)で得られたカレールウ75重量部、上記(2)で得られたペースト状材料25重量部を、実施例1と同じ充填機を用いて、ペースト状材料を中心部に包含するようにカレールウを容器に充填し、20℃になるまで冷却することにより、ペースト状材料を含有するカレールウが得られた。また充填時のルウの粘度は7500cpsで充填中に粘度低下は生じなかった。また充填時のペーストの粘度は12500cpsであった。
得られた固形ルウを容器から取り出したところ、ペーストが容器の底に沈み、固形ルウの底部層からペーストが一部漏れ出ていた。またペースト含有ルウを分割したところペースト状材料が固形ルウの底部に沈み込んでいた。
(比較例2)
(1)予め加熱した開放型の加熱釜に油脂32重量部を投入し、油脂を溶解させた。このとき溶解した油脂の品温は、約60℃であった。次いで、この溶解した油脂に小麦粉30重量部を投入し、混合しながら約50分間かけて、到達品温が130℃になるように加熱して小麦粉ルウを製造した。
(2)上記(1)で得られた小麦粉ルウにカレー粉9重量部、砂糖10重量部、食塩9重量部、グルタミン酸ナトリウム塩4重量部、ビーフパウダー3重量部、オニオンパウダー0.5重量部、おろしニンニク0.3重量部及びカラメル2重量部を順次加え、約50分間かけて品温が60℃になるまで冷却混合処理し、カレールウを製造した。冷却は、原料の添加による冷却及び冷却釜による強制冷却であった。また、得られたカレールウの水分活性は0.26であり、見かけ比重は1.21g/mlであった。
(3)上記(1)とは別に開放型の加熱釜にビーフペースト55重量部、トマトペースト15重量部、オニオンペースト10重量部及びグリセリン20重量部を順次加え、約50分間かけて、品温が100℃になるまで加熱混合処理し、ペースト状材料を製造した。得られたペースト状材料の水分活性は0.67であり、見かけ比重は1.28g/mlであった。
(4)上記(2)で得られたカレールウ75重量部、上記(3)で得られたペースト状材料25重量部を、充填機を用いて、ペースト状材料を中心部に包含するようにカレールウを容器に充填し、20℃になるまで冷却することにより、ペースト状材料を含有するカレールウが得られた。また充填時のルウの粘度は7700cpsで充填中に粘度低下は生じなかった。また充填時のペーストの粘度は12800cpsであった。
得られたペースト含有ルウを容器から取り出したところ、ペースト状材料は固形ルウの底部層から漏れ出ていなかった。またペースト含有ルウを分割したところペースト状材料が固形ルウの中心部に含有されていた。
得られたペースト含有ルウを常法により調理してカレーソースを得た。また、このカレーソースを喫食したところ、カレーソースの風味はペースト状材料を含有していないカレーソースに比べ香り立ちがよく、カレーソースにコクを与え、風味、香りの面でも良好であった。
また実施例1と同じように得られたペースト含有ルウの容器の開口部をシート状の蓋材で密閉し、30℃の恒温器に4ヶ月間静置保管し、保管後常法により調理してカレーソースを得た。また、このカレーソースを喫食したところ、カレーソースの風味は風味劣化が進行し好ましくない香味を有するものであった。
(比較例3)
バックサクション装置がない以外は実施例1と同じようにして、カレールウ75重量部、ペースト状材料25重量部を、充填機を用いて、ペースト状材料を中心部に包含するようにカレールウを容器に充填し、20℃になるまで冷却することにより、ペースト状材料を含有するカレールウが得られた。得られたペースト含有ルウのルウ表面及び容器のフランジ部分を確認した結果、充填数量の約1.5%にノズルからの液だれによるルウとペースト状材料の付着が確認された。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の充填機の概略図。
【図2】充填機ノズル部の構造を示す断面図である。
【図3】本発明のルウの構造を示す図である。
【図4】本発明の充填装置の構造を示す断面図である。
【図5】本発明の充填装置のノズル部の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 充填装置
2 固形ルウ用第二ホッパー
3 液状またはペースト状材料用の第一ホッパー
4 吐出ノズル
4a 外ノズル
4b 内ノズル
4c 内ノズルと外ノズルの間の空間
4d 内ノズルの内部空間4d
5 液状またはペースト状材料
6 固形ルウ
6a 固形ルウの底部層
7 ルウ製品
8 容器
9a ノズルの移動方向(往路)
9b ノズルの移動方向(復路)
10 充填機本体
11 バックサクション装置
12 ノズルプレート
13 容器搬送装置
14a 第一切替バルブ
14b 第二切替バルブ
15a 第一充填シリンダー
15b 第二充填シリンダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形ルウの内部に液状またはペースト状の材料を封入してなるルウ製品。
【請求項2】
固形ルウの水分活性と液状またはペースト状の材料の水分活性の差が0.4以下であり、液状またはペースト状の材料の水分活性が0.65以下である請求項1に記載のルウ製品。
【請求項3】
固形ルウの見かけ比重と液状またはペースト状の材料の見かけ比重の差が0.4以下である請求項1または2に記載のルウ製品。
【請求項4】
液状またはペースト状の材料が、グリセリン、塩類、糖類及び食用油脂からなる群から選ばれる少なくとも1種を含む請求項1〜3のいずれかに記載のルウ製品。
【請求項5】
ルウ製品がカレールウ、ハッシュドビーフルウ、ハヤシルウ、シチュールウ、スープルウまたはソースルウである請求項1〜4のいずれかに記載のルウ製品。
【請求項6】
液状またはペースト状の材料が固形ルウの4倍量以下である請求項1〜5のいずれかに記載のルウ製品。
【請求項7】
2つのホッパーから別々に供給される液状のルウと液状またはペースト状の材料を、前記材料が前記液状ルウの内部になるように、ノズルから容器に充填し、固化することを特徴とする、固形ルウの内部に液状またはペースト状の材料が封入された構造を有するルウ製品の製造方法。
【請求項8】
容器内に予め液状ルウを一部充填して底部にルウの層を形成し、次に前記材料を内部に有する液状ルウを容器に充填することを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記容器に対して前記ノズルを移動しながら容器内に充填することを特徴とする請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
固形ルウの見かけ比重と液状またはペースト状の材料の見かけ比重の差が0.4以下である請求項7〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
液状またはペースト状の材料が固形ルウの4倍量以下である請求項7〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
液状またはペースト状の材料を、固形ルウで包み込んだ二重構造を有するルウ製品の製造装置であって、液状またはペースト状の材料を吐出する内ノズルと溶融ルウを吐出する外ノズルとからなる二重構造の吐出ノズルと、液状またはペースト状の材料と溶融ルウを各々収容する第一ホッパーと第二ホッパーと、第一ホッパーと内ノズル並びに第二ホッパーと外ノズルの間の流路に設けられた第一切替バルブと第二切替バルブとを備え、前記第一切替バルブと内ノズルの流路および/または前記第二切替バルブと外ノズルの流路にバックサクション装置を接続したことを特徴とする、製造装置。
【請求項13】
液状またはペースト状の材料を、固形ルウで包み込んだ二重構造を有するルウ製品の製造装置であって、液状またはペースト状の材料を吐出する内ノズルと溶融ルウを吐出する外ノズルとからなる二重構造の吐出ノズルを有し、外ノズルの先端が内ノズルの先端よりも外ノズルの口径の少なくとも0.1倍下方に位置することを特徴とする製造装置。
【請求項14】
液状またはペースト状の材料を、固形ルウで包み込んだ二重構造を有するルウ製品の製造装置であって、液状またはペースト状の材料を吐出する内ノズルと溶融ルウを吐出する外ノズルとからなる二重構造の吐出ノズルを有し、内ノズルからの液状またはペースト状の材料の吐出と外ノズルからの溶融ルウの吐出の各々のタイミングを数値で設定可能な数値設定タイミング装置を備えることを特徴とする製造装置。
【請求項15】
液状またはペースト状の材料を、固形ルウで包み込んだ二重構造を有するルウ製品の製造装置であって、液状またはペースト状の材料を吐出する内ノズルと溶融ルウを吐出する外ノズルとからなる二重構造の吐出ノズルを有する食品充填装置と、該食品を充填する容器を移送可能に載置した容器搬送装置を備え、該容器の冷却機構を備えることを特徴とする製造装置。
【請求項16】
液状またはペースト状の材料を、固形ルウで包み込んだ二重構造を有するルウ製品の製造装置であって、液状またはペースト状の材料を吐出する内ノズルと溶融ルウを吐出する外ノズルとからなる二重構造の吐出ノズルと、液状またはペースト状の材料と溶融ルウを各々収容する第一ホッパーと第二ホッパーと、第一ホッパーと内ノズル並びに第二ホッパーと外ノズルの間の流路に設けられた第一切替バルブと第二切替バルブとを備え、前記第一切替バルブと内ノズルの流路および/または前記第二切替バルブと外ノズルの流路に接続したバックサクション装置と、ルウ製品を充填する容器を移送可能に載置した容器搬送装置と、内ノズルからの液状またはペースト状の材料の吐出と外ノズルからの溶融ルウの吐出の各々のタイミングを数値で設定可能な数値設定タイミング装置と、前記容器の冷却機構を設け、外ノズルの先端が内ノズルの先端よりも外ノズルの口径の少なくとも0.1倍下方に位置することを特徴とする請求項12〜15のいずれかに記載の製造装置。
【請求項17】
前記二重構造の吐出ノズルを前後又は左右、並びに、上下に移動させることができる装置をさらに設けることを特徴とする請求項12〜16のいずれかに記載の製造装置。
【請求項18】
ルウがカレールウ、ハッシュドビーフルウ、ハヤシルウ、シチュールウ、スープルウまたはソースルウである請求項17に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−6314(P2006−6314A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−99996(P2005−99996)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000000228)江崎グリコ株式会社 (187)
【Fターム(参考)】