液体クロマトグラフ装置
【課題】液体クロマトグラフ装置では、自動化がひとつの重要課題である。近年のユーザー層には、液体クロマトグラフィーに関する特別な教育訓練を受けなくとも、比較的簡単に装置を運転したいというニーズが高まってきている。
【解決手段】パージとバブリングの自動化は、それぞれ高圧切替バルブおよび電磁弁をタイムプログラムで制御することにより実現できる。但し、常時、一定のタイムプログラムにより制御することにすると、余計にパージしたり、過剰にバブリングしたりと、インテリジェントな自動化装置ではなくなってしまう。インテリジェント化するためには、熟練者の知恵を取り込むような処理フローを考案する必要がある。パージの場合、ポンプが停止している時間に応じて、停止時間が短ければパージ時間も短く、停止時間が長ければ十分にパージ時間を長く取ってコントロールすることが望ましい。
【解決手段】パージとバブリングの自動化は、それぞれ高圧切替バルブおよび電磁弁をタイムプログラムで制御することにより実現できる。但し、常時、一定のタイムプログラムにより制御することにすると、余計にパージしたり、過剰にバブリングしたりと、インテリジェントな自動化装置ではなくなってしまう。インテリジェント化するためには、熟練者の知恵を取り込むような処理フローを考案する必要がある。パージの場合、ポンプが停止している時間に応じて、停止時間が短ければパージ時間も短く、停止時間が長ければ十分にパージ時間を長く取ってコントロールすることが望ましい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体クロマトグラフ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動化液体クロマトグラフ装置としては、アミノ酸分析計,グリコヘモグロビン分析計,カテコールアミン分析計などが代表的である。汎用液体クロマトグラフ装置ではユーザーが詳細にプログラミングしなければならないところが、自動化液体クロマトグラフ装置では、例えば、サンプルの希釈工程,プレカラム誘導体化反応工程,スタンバイ(ハードウエア立ち上げ)工程,コンディショニング(カラム平衡化)工程,カラム再生工程,流路洗浄終了工程などが予めプログラムされ、ユーザーは特に詳細の設定することなしに最適な様々な自動化処理工程を実現できる。
【0003】
また、試薬の現在量計算や、消費量予測,消耗部品/カラムの使用回数カウントなどの使い勝手サポート機能も考案され、これらの計算に伴うエラー/ウォーニング/アラーム発生など警告機能に関しても強化されている。さらにカラムなど流路接続部を取り外すガイダンスを表示しながら圧力上限/下限リミッタエラー発生後の原因究明をサポートする非定常現象対応機能なども充実してきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−130271号公報
【特許文献2】特開平5−322870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液体クロマトグラフ装置では、自動化がひとつの重要課題である。近年のユーザー層には、液体クロマトグラフィーに関する特別な教育訓練を受けなくとも、比較的簡単に装置を運転したいというニーズが高まってきている。例えば、アミノ酸分析計の場合、ユーザーは従来から、週明けの装置の立ち上げ時など、ポンプの周辺流路の液体置換を目的としてポンプ洗浄(パージ)を実施している。また、ニンヒドリン反応試薬を新品に交換する際には、試薬ボトル中に入り込んだ酸素を追い出すために、窒素ガスを送り込む(バブリング)必要がある。このようなパージやバブリング操作が自動化されれば、ユーザーは特にこの操作を覚える必要がないわけである。
【0006】
また、液体クロマトグラフ装置の場合、ポンプやオートサンプラ用シールなど定期交換部品を適時、交換することにより装置を安定的に運転し続けることができる。いわゆる良く保守管理された装置として維持されている状態である。従来からユーザーはこのような保守面にも気を使いながら装置を運転しなければならず、ユーザー教育が必要である。装置が何らかの機能を持ち最終的にこの種の教育が低減できれば、装置の利点となる。
【0007】
第三の課題として、分析の日程管理の効率化が揚げられる。たとえば、午前11:00に20本サンプルの分析をスタートして、次の日の朝何時に分析が終了するかが事前に知ることができれば、次の日になってから試薬を交換するか、あるいは分析の本数を変更するか事前に考えることができる。ユーザーが分析終了時刻を知りたいと思うのは自然な要求である。
【0008】
第四の課題を述べる。分析装置のオペレータが自動化された液体クロマトグラフ装置を運転することになる。自動化された装置は、だれでも良好なデータが取得できる利点があるが、その反面、自動化処理工程をスキップできないなど、フレキシビリティに欠ける面がある。熟練度の低いオペレータには過剰なフレキシビリティを与える必要はないが、熟練者やオペレータを管理する者は、ある程度のフレキシビリティが必要になる。この自動化の利点とフレキシビリティをいかに両立させるかが、本発明最後の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
パージとバブリングの自動化は、それぞれ高圧切替バルブおよび電磁弁をタイムプログラムで制御することにより実現できる。但し、常時、一定のタイムプログラムにより制御することにすると、余計にパージしたり、過剰にバブリングしたりと、インテリジェントな自動化装置ではなくなってしまう。インテリジェント化するためには、熟練者の智恵を取り込むような処理フローを考案する必要がある。パージの場合、ポンプが停止している時間に応じて、停止時間が短ければパージ時間も短く、停止時間が長ければ十分にパージ時間を長く取ってコントロールすることが望ましい。
【0010】
一方、バブリングの時間は、試薬の残量に応じて調整することになる。長時間のバブリングが必要な開封直後の試薬は1Lびんに満ちているので、残量1Lの時に長時間バブリングを実施する。残量が減ってくればそれに応じてバブリング時間を短くし不必要なバブリングを排除できる。残量の管理には二通りあり、第一の方法は残量センサを用いて実測する管理方法がある。残量センシングには、質量を測定するもの、液体の電気抵抗や静電容量を測定するもの、フロートを用いて液面変位を測定するものなどがある。第二の試薬残量の管理方法は、ユーザーが初期量を入力しポンプの送液運転分の消費量を減算し、現在量を算出する方法である。いずれの残量管理の方法でも適正なバブリング時間を設定することができる。
【0011】
保守対応に対しては、交換部品の使用回数が閾値を超えた場合に警告を発することにより、ユーザーが部品交換することを促すことができる。また注入回数を確定した段階、即ちサンプルテーブルを登録したタイミングで、注入回数分を加算し警告閾値を超えるか判定することも可能である。
【0012】
分析の日程管理の効率化に対しては、終了時刻を表示することにより解決できる。現時刻から全ての工程の所要時間を加算し終了時刻を表示する。コンディショニング工程,RG工程、全ての注入回数分の分析工程、および洗浄工程の所要時間を分析条件ファイルのグラジエント溶出プログラムを参照して加算し、PCディスプレイなどにリアルタイムで表示する。
【0013】
自動化とフレキシビリティの両立に対しては、パスワードを用いて管理者権限のあるユーザーのみにフレキシビリティのある機能動作を許可することができる。たとえば、コンディショニング工程でポンプパージをスキップしたい場合に、ユーザーはPC画面上でスキップ・ボタンを押す。このときパスワード入力を要求し、パスワードが正しければ管理者権限のあるユーザーであると認識され、スキップすることが許可させる。管理者権限のないユーザーがスキップ・ボタンを押しても、パスワード入力画面から先に進めず、ポンプパージのスキップができない。即ち一般ユーザーに対しては、自動化工程から逸脱した動作が禁止されているという装置対応になる。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、自動化が強化された液体クロマトグラフ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】アミノ酸分析計の流路原理図。
【図2】アミノ酸分析計の処理工程図。
【図3】ポンプシールの交換部品管理画面の図。
【図4】オートサンプラ関連シールとシリンジの交換部品管理画面の図。
【図5】検出器用ランプの交換部品管理画面の図。
【図6】カラムの交換部品管理画面の図。
【図7】液体クロマトグラフ装置の自動化された分析工程における交換部品確認工程の配置図。
【図8】複数回注入分析の指定画面の図。
【図9】分析条件テーブルの編集画面と分析テーブル概念図。
【図10】分析条件テーブルの一試薬成分の一注入分析での試薬消費量の計算式と出力画面の図。
【図11】部品交換回数閾値の設定画面の図。
【図12】消耗到達回数が部品交換回数閾値を越えると判定された場合の警告の図。
【図13】窒素ガス供給装置から制御バルブを介し試薬びんに至る窒素ガスの流路とバブリング工程時状態を示す概念図。
【図14】試薬びんの計測装置と液体クロマトグラフ装置内での設置を示した図。
【図15】試薬びん計測結果の出力機器への出力の図。
【図16】現在試薬量を入力によって指定する場合の設定画面の図。
【図17】バブリング工程の動作時間の決定とバブリング工程の動作フローチャート。
【図18】液体クロマトグラフ装置の自動化された分析工程における試薬消費量計算とバブリング工程の配置図。
【図19】分析条件テーブルの編集画面と分析テーブル概念図。
【図20】分析条件テーブルの一試薬成分の一注入分析での試薬消費量の計算式と出力画面の図。
【図21】分析工程での複数回の注入分析の指定と注入回数分の予想試薬消費量計算式の図。
【図22】(現試薬量−予想試薬消費量)の出力機器への出力の図。
【図23】ポンプと排出バルブを使用した排出工程と非排出工程時の状態を示す概念図。
【図24】分析工程の遷移とポンプ送液停止時間の決定方法のフローチャート。
【図25】ポンプ送液停止時間から排出工程の送液時間の決定方法フローチャート。
【図26】排出工程におけるポンプの送液条件の指定値入力と確認表示出力の図。
【図27】排出工程における時間経過を示す出力機器への確認表示出力の図。
【図28】排出工程において装置操作者が操作する場合の手順と出力機器に表示される操作案内の図。
【図29】自動化液体クロマトグラフ装置の自動化実行工程のフローチャート。
【図30】自動化工程からの機能逸脱の要求を行う画面の図。
【図31】パスワード確認する画面の図。
【図32】パスワードを設定する画面の図。
【図33】自動化工程からの逸脱機能の選択と設定を行う画面の図。
【図34】自動化液体クロマトグラフ装置の自動化工程からの逸脱が設定された場合の実行工程のフローチャート。
【図35】準備工程の進行状態と装置状態を示す画面の図。
【図36】注入分析工程の進行状態と装置状態を示す画面の図。
【図37】一回の注入分析における分析条件から分析所要時間の計算方法を示す図。
【図38】複数回の注入分析の指定と注入回数設定分の予想分析所要時間計算の図。
【図39】液体クロマトグラフ装置の自動化された分析工程における分析開始の配置図。
【図40】分析終了時刻の出力機器への出力の図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、上記及びその他の本発明の新規な特徴と効果について、図面を参酌して説明する。
【実施例】
【0017】
本発明の実施形態の例として、アミノ酸分析計を挙げる。本分析計は、たん白加水分解物アミノ酸,血清,尿などの生体液等に含まれるアミノ酸類縁物等を自動的に定性,定量する装置である。その分析原理を図1の流路図を用いて示す。溶離液3は、窒素ガス4で加圧された試薬ビンから脱気装置を経て電磁弁でいずれか1つが選ばれ、溶離液ポンプ1によりカラム11に送られる。カラム11はカラム恒温装置10により一定温度に恒温される。またカラム温度については、分析法に応じてタイムプログラムによる設定が可能である。カラム11の直前にあるオートサンプラ9には多数のサンプルがセットされ、一定時間ごとに自動的に分離カラム11に導入される。アミノ酸分析の場合、溶離液3中のアンモニアが検出を妨害するためポンプ1直後にアンモニアフィルタカラム8を設置する。イオン交換クロマトグラフィーによってそれぞれのアミノ酸成分に分離展開され時間差を伴い溶出される。その後、反応液ポンプ2により送液される反応試薬ニンヒドリン6と混合され、反応装置12で加熱される。洗浄液7は、反応系流路洗浄用の蒸留水または5%エタノール水溶液である。発色したアミノ酸は、色素(DYDA)になり、順次に可視検出器14に送られ、570nm,440nmの波長で比色される。可視吸光度がPCデータ処理部にとり入れられ、計算処理されてレポート出力される。
【0018】
ユーザー操作を図2を用いて説明する。ユーザーは、PCデータ処理部を起動し本体の電源を投入する(開始21)。分析動作を選択し、検体数を設定し候補サンプルテーブルを作成する。修正がなければ、確定したサンプルテーブルを登録する(条件設定工程41)。ポンプシールなど各種交換部品の現在の使用回数に登録検体数を加算し、予測使用回数を求める。この予測使用回数が所定の限界閾値を超えれば交換を促す《1》「交換部品ウォーニング」を表示する(装置確認工程42の消耗部品チェック工程25)。ユーザーは指定部品を交換するかあるいはこの回は交換を無視して、分析を開始する。一連の動作は、PCにより自動制御され、まずコンディショニング(準備工程43の準備運転工程30)を開始する。コンディショニング工程30は、《2》「自動バブリング」(N2ガスバブリング工程26)から《3》「自動ポンプパージ」(排出工程29)に遷移し、ポンプ流量を徐々に上げていくウォーミングアップ工程を実施する。このコンディショニング工程43では、バブリングやポンプパージを時間節約のため自動工程を逸脱しスキップすることができる。ただし、管理者権限を有するものが、予め登録しておいたパスワードを入力することにより、この《4》「パスワード許可逸脱動作」を実施することができる。
次にカラム再生(RG)工程へ移行し、登録検体数に従い分析シーケンスを周期的に繰り返す。この注入分析工程44を進行している間のモニタ画面は、《5》「分析終了時刻表示」の機能を有する。すなわちリアルタイムで分析終了時刻を予測し表示する。分析が終わると、カラムが自動的に洗浄され(洗浄工程45の洗浄34)、一定時間後、ポンプ等が停止する(洗浄工程45のポンプ停止35)。
【0019】
本発明の実施例として、前述の《1》交換部品ウォーニング,《2》自動バブリング,《3》自動ポンプパージ,《4》パスワード許可逸脱動作,《5》分析終了時刻表示の順に各機能を説明する。
【0020】
[交換部品ウォーニングの実施例]
交換部品であるポンプ1およびポンプ2のシールの消耗はそれぞれ交換日からの使用総送液量または使用時間によって管理される。操作者は図3画面の出力値を確認することによって、交換日,使用総送液量,交換目安使用総送液量の情報を得ることができる。ユーザー(操作者)がポンプシールの交換作業を行ったことを図3画面のリセット入力で通知すると、交換日は制御装置上で管理される現在年月日に設定され、使用総送液量または使用時間は初期値(通常ゼロ)に設定される。この情報は図3画面で確認することができる。
【0021】
オートサンプラの消耗部品は図4画面の注入ポートシール,注入バルブシール,シリンジ1シール,シリンジ1バルブシールの交換日からの動作回数が消耗量として管理される。操作者は図4画面の出力値を確認することによって、交換日,使用回数,交換目安回数の情報を得ることができる。操作者が目的とする部品の交換作業を行ったことを図4画面のリセット入力で通知すると、交換日は制御装置上で管理される現在年月日に設定され、使用回数は初期値(通常0)に設定される。この情報は図4画面で確認することができる。交換作業の通知は目的とする部品毎に実行できるように各目的部品に異なるリセット入力が設けられている。
【0022】
検出器用ランプの消耗は交換日からの使用総時間によって管理される。操作者は図5画面の出力値を確認することによって、交換日,使用総時間,交換目安使用総時間の情報を得ることができる。操作者が検出器用ランプの交換作業を行ったことを図5画面のリセット入力で通知すると、交換日は制御装置上で管理される現在年月日に設定され、使用総時間は初期値に設定される。この情報は図5画面で確認することができる。
【0023】
カラムの部品管理はガードカラム,メインカラム,アンモニアフィルタカラム,反応カラム,ラインフィルタなどに分類されて管理される。複数の使用カラムの部品管理が実現できるように、各々のカラムが名称とIDで管理できる。カラムの消耗はガードカラム,メインカラム,アンモニアフィルタカラム,ラインフィルタでは注入回数で行われ、反応カラムでは使用開始日からの経過時間または注入回数によって管理される。操作者は図6画面の出力値を確認することによって、管理している全てのカラムの名称,ID,ガードカラム,メインカラム,アンモニアフィルタカラムでは注入回数、反応カラムでは使用開始日と各々の交換目安の情報を得ることができる。操作者が反応カラムの交換作業を行ったことを図6画面の反応カラムリセット入力で通知すると、交換日は制御装置上で管理される現在年月日に設定される。
【0024】
操作者がガードカラム,メインカラム,アンモニアフィルタカラム,反応カラムを新たに使用する場合に名称とIDによって管理するカラムを増やすことが可能である。使用されなくなったカラムは削除操作により管理部品から外すことが可能である。各カラムの交換目安を設定し、カラムの名称,IDと供に記憶し表示することが可能である。更新された情報は図6画面で確認することができる。
【0025】
図7のフローチャートで示すように液体クロマトグラフ装置の自動化された準備工程43または分析工程44では、交換部品確認は消耗部品チェックとして準備運転または注入分析が行われる前に実行される。消耗部品チェックでは、注入分析回数(既にカウントされている回数)に対して分析終了までに消耗されると予想される消耗量を加算し、加算したものが予め設定された部品交換回数閾値を越えないことを確認し、閾値を越える場合は出力装置に警告を出力する。従来、既注入回数を用いて消耗部品チェックをしていたことに対し、既注入回数にこれから分析する設定注入回数をも加算する消耗回数予測処理は、新規な発明部分である。従来は、これから分析される回数をたとえば50回分の固定値で持って加算したり、初期値に50回分のオフセットをかけておいたり、交換目安の閾値を50回分予め減算しておいたりした。これらの従来方法はいずれも、比較するものと比較されるもの50回分の加減算として等価であり、注入前にユーザーにより設定された実検体数を考慮するか否かにおいて、本発明と質を異にする。
【0026】
分析工程44で複数回の注入分析を実行するため、操作者は図8画面で連続分析テーブルを設定する。連続分析テーブルとして注入試料の分析順序,バイアル,注入量,注入回数,分析条件,種別,サンプル名,希釈倍率などを設定することができる。本装置では従来のように操作者が全ての情報を入力装置から個別入力するのではなく、検体数と分析法など最小限の特定情報と条件を入力することのみで、制御装置部が連続分析テーブルを自動的に作成する。ユーザーは図8画面で自動生成した連続分析テーブルを確認および編集することが可能である。
【0027】
一注入あたりの分析使用送液量をポンプシール交換の単位量(一回分)に用いる。本単位量の予測は、図8で連続分析テーブルに指定された分析条件の流量プログラムを考慮して計算される。
【0028】
図9に分析条件テーブルとその情報の概念図を示す。分析条件テーブルは分析中の経過時間における液体クロマトグラフ装置の制御条件を示しており、TIMEは経過時間、FLOW1はその時間の流量、%B1−%Bjは流量に対する試薬の比率である。
【0029】
図10は分析条件テーブルを使用して各々の一注入分析の時間内(t0からtn)における各試薬の消費量の計算式とその出力結果を示す。
【0030】
一注入分析でのポンプの使用送液量は試薬毎に計算し、各ポンプの消費量の和で得られる。
【0031】
図8の連続分析テーブルで設定された分析工程のおける複数回の注入分析の指定から分析工程終了までの各試薬の予想試薬消費量を得る。
【0032】
注入ポートシール,注入バルブシール,シリンジ1シール,シリンジ1バルブシールの予想注入回数は図8画面の注入分析情報の注入回数(単位量)の総和である。この場合、注入量が0または負の数の場合は、注入回数に加算しないルールを用いている。
【0033】
検出器用ランプの一注入分析使用時間(単位量)は図9の分析条件テーブルの終了時間とする。図8画面の注入分析情報に指定された分析条件は注入分析毎に異なる設定も可能であるため、各々の分析条件において得られた一注入分析での使用時間と、その分析条件を使用した注入分析回数の積を図8画面の注入分析情報分の総和したものが分析工程の終了までの予想総使用時間となる。
【0034】
ガードカラム,メイン(分離)カラム11,アンモニアフィルタカラム8の予想注入回数は図8画面の注入分析情報の注入回数の総和である。この場合、注入量が0または負の数の場合は、注入回数に加算しないルールを用いている。
【0035】
反応カラムの予想総使用時間は検出器用ランプの予想総使用時間と等しい。
【0036】
図8画面で操作者が確認するための表示は特に設けないが、分析上必要な注入分析情報から得られる消耗量(注入回数に比例しないオフセット/切片/固定値分)も各々の交換部品の総使用量に加算される。部品の性能及び保守規則等によって部品交換閾値の記憶値の変更ができる。
【0037】
図6画面でガードカラム,メインカラム,アンモニアフィルタカラム,反応カラムの交換目安を変更することができる。その他の交換部品の部品交換閾値は図11画面の設定操作によって変更可能である。この変更は操作者の中で部品管理の権限を有するパスワードを入力できる操作者のみが変更可能である。さもなければ、管理指標の不注意な書き換えや、誤操作による管理指標のリセットがなされてしまう。あるいはパスワード認証は、改ざん防止にも貢献できる。
【0038】
反応カラム以外の交換部品では現在消耗量に予想使用量を加算した値が部品交換閾値と等しいか超えた場合に警告を出力する。
【0039】
反応カラムの部品交換閾値は年単位であるため、現在日時に使用時間を加算して分析工程終了日時としたものが使用開始日時に日時換算された部品交換閾値を加算した日時と等しいか、超えていた場合に警告を表示する。
【0040】
図12は消耗到達回数が部品交換回数閾値を越えると判定された場合の警告の画面である。消耗到達回数が部品交換回数閾値を越える部品名と予想到達使用量と部品交換閾値が出力装置に出力される。複数の部品が部品交換回数閾値を越える場合には複数の情報が図11画面に出力される。操作者は図12画面の警告を確認して分析工程の停止と続行の選択入力が可能である。
【0041】
[自動バブリングの実施例]
図13の窒素ガス供給装置から窒素ガスが試薬びんに供給されている状態には窒素ガス流入と排気との状態によりの3つの状態がある。窒素ガス供給用バルブを閉じることにより窒素ガスが試薬びんに流入せず、排気がされている状態は試薬びん内に窒素ガスがかかっていない状態(オープン状態)で試薬びんの交換や試薬の補充に用いられる図13−(a)。窒素ガス供給用バルブを全て閉じ、窒素ガスが試薬びんに流入、排気がされていない状態は試薬びん内に窒素ガスが充填されている状態(分析状態)で試薬びんの分析中や平衡状態で使用される図13−(b)。窒素ガスが試薬びんに流入しており、排気がされている状態は試薬びん内の試薬に対して脱気処理が行われている図13−(c)(バブリング状態)。一定時間の間バブリング状態で試薬に対して脱気処理を行う工程をバブリング工程26とする。窒素ガス供給装置から試薬びんへの流路は分割して接続され、同時に複数の試薬びんに対してバブリング工程が実施できる。本発明では窒素の代わりにヘリウムのような不活性なガスも用いることができる。
【0042】
バブリング工程の対象となる試薬びんは現在試薬量が判別できるため計測装置に設置されている。図14の計量装置は分析に使用する複数の試薬びんに対して設置される。試薬びんを計量することにより、試薬びん内の試薬量を計量することを可能とする。各々の計測装置の出力は集中制御装置が認識できる数値として取得される。
【0043】
装置操作者は一定間隔で更新される図15の出力装置の表示によって試薬びんの現在計測値を知ることができる。現在試薬量は容量変換式により容量として出力される。現在の計測値を試薬残量として算出する際の風袋量として記憶させることが可能である。計測値を風袋量としない場合は、各々の試薬の風袋量を入力装置から与えることができる。各々の試薬びんの計量装置を有さない液体クロマトグラフ装置では、現在試薬量を入力によって与えることができる(図16)。
【0044】
図17はバブリング工程の動作をフローチャートで示す。バブリング工程のバブリング工程時間(Tb)ニンヒドリン試薬の現在試薬量によって決定する。バブリング開始時刻(t1)からバブリング工程の動作時間(Tb)が経過した時間がバブリング工程の終了時刻(t2)となり、この時刻に到達するとバブリング工程の動作は終了し動作は終了し窒素ガス制御バルブを分析状態にして次の工程に進む。
【0045】
図18の自動化液体クロマトグラフ装置の分析工程ではバブリング工程は注入分析操作の前に行われる。試薬消費量チェックはバブリング工程の前で行われ、現在の試薬残量が予想試薬消費量よりも少ない場合には試薬の補充の案内が出力装置に出力される。試薬の補充が行われた場合には、案内に従って操作者が試薬の補充を行った後の再計測値か、または図16の入力によって与えられた補充後の更新された結果からバブリング工程の時間が決定される。
【0046】
試薬消費量は分析条件で一注入分析あたり消費される試薬消費量にその分析条件で分析される注入分析回数分の消費量の総和で計算される。
【0047】
図19に分析条件テーブルとその情報の概念図を示す。分析条件テーブルは分析中の経過時間における液体クロマトグラフ装置の制御条件を示しており、TIMEは経過時間、FLOW1はその時間の流量、%B1−%Bjは流量に対する試薬の比率である。
【0048】
図20は分析条件テーブルを使用して各々の一注入分析の時間内(t0からtn)における各試薬の消費量の計算式とその出力結果を示す。
【0049】
図21の連続分析テーブルで設定された分析工程のおける複数回の注入分析の指定から分析工程終了までの各試薬の予想試薬消費量を得る。
【0050】
現在の試薬残量から予想試薬消費量を減じた値が図22画面に出力される。この時、現在の試薬残量と比較して予想試薬消費量が現試薬量より多い場合には視認できるように、その試薬の予想試薬消費量を赤文字で表示し、試薬びんのイメージ表示も警告色とイメージを用いて表示する。現在の試薬残量と比較して予想試薬消費量が現試薬量より多い場合、バブリング工程は実行されずに操作者に対して試薬の補充作業または、分析回数の再入力のための連続分析テーブルの再編集作業を実行するように次の入力可能操作を限定する。操作者の作業終了後に再び予想試薬消費量を算出し、予想試薬消費量が現試薬量と同じか小さくなるまでバブリング工程は開始されない。
【0051】
従来から、アミノ酸分析計や液体クロマトグラフ装置では、窒素ガスバブリングは手動で行われていた。これを自動化することを検討している際に、一定時間固定のバブリング時間ではいつでも約30分間かけてしまう。新品のニンヒドリン試薬を交換する場合以外には約5分で良いため、約30分間は過剰時間であることが想定された。このため制御装置部に試薬の新品か否かを識別させる必要があり、試薬残量を実測あるいは、ポンプ送液量から計算させることを考案した。本発明では、試薬残量を認識することにより、過剰なバブリング時間/無用な窒素ガスの消費を防止する効果がある。
【0052】
加えて、試薬残量をバブリング時間の判定基準とする以外に、たとえば前回のバブリング処理と時間が約5日間空いた場合に、約15分間バブリングするなど、バブリング間隔時間を参照し、処理時間を少し長めに伸ばすことも有効である。
【0053】
[自動ポンプパージの実施例]
溶離液を送液するためのポンプ(溶離液ポンプ1および反応液ポンプ2)内に気泡が混入していると溶離液の送液が不安定になる。
【0054】
本装置はポンプ内に自動パージバルブを装備しており、送液を開始する前に、自動パージバルブがOPEN(廃液排出側)に切り替わり、ポンプ流量が最大流量(0.999ml/min)に設定されパージを行う。パージ実行時間は装置の停止期間により自動で5,10,15分が設定される。また、パージ時の溶離液混合比は、あらかじめ環境設定プログラムで設定しておく。
【0055】
パージ終了後、ポンプ流量および溶離液混合比が初期設定値に戻り、自動パージバルブがCLOSE(オートサンプラ側)に切り替わり通常送液が開始される。
【0056】
図23に示す排出(自動パージ)バルブの切り替えによって流路内の液体を一定時間排出するパージ処理を排出工程とし、分析流路側に送液する処理を非排出工程とする。送液を行うポンプは吸引する液の選択を可能とするバルブを有し、排出工程および非排出工程で流路内の液の組成を変化させることが可能である。
【0057】
図24のフローチャートに分析工程における実行工程の遷移とポンプ送液停時間の算定式を示す。前回の分析終了時のポンプ停止時刻を取得して停止代表時刻(t1)とする。
今回の分析において排出工程の開始時刻を取得しこれを開始代表時刻(t2)とする。開始代表時刻(t2)と停止代表時刻(t1)の差がポンプ送液停止時間(Tw)となる。ここで停止代表時刻と呼んだのは、停止代表時刻とは必ずしも厳密にポンプの停止時刻でなくとも、ポンプ停止を実行する処理工程のなんらかの特徴的な(キャラクタリスティックな)管理時間を該当させるための表記である。
【0058】
排出工程の動作時間決定は図25のフローチャートに従って決定される。排出工程の動作時間(Tp)はポンプ送液停止時間(Tw)を規定された値と比較して決定される。動作開始現在時刻から排出工程の動作時間(Tp)が経過した時間が排出工程の終了時刻(t3)となり、この時刻に到達すると排出工程の動作を停止させる。
【0059】
排出工程の動作時間(Tp)内に液の組成を変化させるために、動作時間に対する液の組成を指定することができる。図26では排出工程の動作時間(Tp)内に行うべきポンプの送液条件を2種類用意し各送液条件の動作順序と排出工程での時間配分を指定している。送液条件1の動作時間経過後に送液条件2が実行され、送液条件2の動作時間は送液条件1の動作時間の指定によって自動的に決定される。ポンプ送液停止時間(Tw)によって排出工程の動作時間(Tp)が増減した場合、各送液条件の指定動作時間の比率に排出工程の動作時間(Tp)を積算した時間が動作時間となる。
【0060】
図27は排出工程の動作時の出力装置への状態表示であり、ポンプ送液停止時間(Tw)によって排出工程の動作時間(Tp)が異なることから、今回行われる排出工程の動作時間(Tp)が出力装置上に示される。
【0061】
排出バルブの制御が集中制御装置によって自動で行われていない液体クロマトグラフ装置では、操作者が排出工程での排出バルブの開閉とパージ開始および停止操作を行う。排出工程の開始時に操作者は図28の案内1によって排出バルブの開操作を促される。排出バルブの開操作を行った操作者はパージ開始入力を行い排出工程の開始を指示する。排出工程中は図28の案内2が出力装置に表示される。排出工程の動作時間(Tp)が経過後に図28の案内3が表示されパージ停止操作と排出バルブの閉操作が促される。排出バルブの閉操作を行った操作者は操作完了の入力を行い、分析工程44を次の工程へと進ませる。
【0062】
従来は、ポンプパージを自動化する際には、一定の時間パージングをするのみであった。本発明では、ポンプインレット側の流路配管に気泡が発生することを想定し、気泡が発生するとすれば、ポンプの停止時間に依存して気泡発生確率が増すこと、あるいは気泡発生量が増加することを考えた。すなわち、ポンプの停止時間に依存して発生する気泡の除去が課題である。課題が定まれば、ほぼ必然的にポンプの停止時間に応じて、ポンプパージの送液量および送液時間を可変することを検討し、本発明を考案するに至った。
【0063】
加えて、もしポンプ停止時間を計時しないとなれば、気泡そのものの存在を確認する方法あるいは、気泡の体積またはなんらかの量を計測する方法が必要になる。その場合は、ポンプインレットチューブ内の気泡を直接、たとえば光学的屈折率などまたは電気伝導度などを検出する方法を採用する必要があろう。この測定された気泡量に応じて、ポンプパージの送液量を加減することになる。
【0064】
[パスワード許可逸脱動作の実施例]
自動化液体クロマトグラフ装置の自動化された実行工程は図29の分析工程44での動作条件を操作者が予め設定する条件設定工程41,窒素ガス圧力チェック,試薬消費量チェック,消耗部品チェックを行う装置確認工程,N2ガスバブリング,ポンププランジャ洗浄,サンプラ洗浄,ポンプパージ,準備運転を行う準備工程、操作者が予め設定した分析工程条件によって必要回数分繰り返し注入分析を行う注入分析工程44,分析工程の終了後に装置の洗浄を行い、装置を待機状態にする洗浄工程からなる。自動化液体クロマトグラフ装置では、準備工程から洗浄工程までの動作を操作者の指示入力によらず自動で実行する。
【0065】
従来から完全自動化工程は、ユーザー(操作者)による設定操作が一切、不要であるという利点はあるが、その反面、フレキシビリティには欠けるという短所があった。本発明では、一旦設定した自動化実行工程を、実行途中に中断するか、あるいは時間短縮することができる。ただし、誰にでも中断/時間短縮の権利を与えるのではなく、制御装置部はユーザー(操作者)に対し、パスワードの入力を要求し、予め設定されているパスワードに合致した場合にのみ、自動化実行工程を中断/時間短縮を許可するという発明である。すなわち、パスワードを用いることにより、権限のあるものとないものを識別する機能を持たせることができる。ここで入力装置は、たとえばキーボード,タッチパネル,マウスなどである。昨今では、権限識別を目的として、パスワード認証以外に指紋認証や声紋認証などバイオメトリックス技術も応用することができる。特に液体クロマトグラフ装置の場合、熟練者や専門家でなければ、バブリングやポンプパージをスキップすることが可能であるか、あるいはウォーミングアップ工程を時間短縮することができるか、処理工程前後の状況により可否判断することはできない。たとえば、数時間前にバブリングやポンプパージを実行しており、かつ試薬の交換がなければ、それらは不要であると判断できる。また、たとえば、分析工程44を一旦実施した直後であれば、バブリングやポンプパージが不要であると判断できるかもしれない。ただし、ウォーミングアップ工程だけは、カラム保護のため再度実施しておきたい場合もあろう。またあるいは、データの信頼性が多少低くなることは承知の上で、各工程の時間短縮を優先する場合もあろう。このため、一般的ユーザーに逸脱動作を許可することは弊害があるが、専門家にはそれを許可する必要があり、逸脱動作の実行権限認証は極めて重要な機能である。
【0066】
操作者が図30画面の条件設定工程41で、分析工程44での動作条件の一つとして自動化実行工程の機能のうち操作者が選択した機能を実行しないか、または短縮して実行することを設定できる。操作者は図30のコンディショニング条件変更入力によって準備工程43と洗浄工程45の機能を自動化された分析工程から逸脱させることができる。
【0067】
操作者は図30のコンディショニング条件変更入力を行うと出力機器には図31のパスワードを確認する画面が表示され、操作者が自動化された分析工程に対して機能逸脱の権限を有するかを確認する入力を促す。
【0068】
操作者の権限については予め設定,保存,管理されており、図32のパスワードを設定する画面で変更することができる。操作者が権限の取得のために入力するパスワードは権限の種類や与えられる権限の範囲によって異なって管理されている。分析工程に対して機能逸脱の権限を与えるパスワードは管理者である必要がある。
【0069】
図32画面の表示においても所定の権限を有するパスワードを入力する必要がある。
【0070】
図31画面で権限を持つパスワードを操作者が正しく入力すれば、図33の自動化工程からの逸脱機能の選択と設定を行う画面が表示される。入力されたパスワードが権限を有しないものならば出力装置に警告が表示される。
【0071】
図33画面では、N2ガスバブリング,ポンププランジャ洗浄,サンプラ洗浄,ポンプパージ,準備運転の機能と洗浄工程が個別に設定,確認できる入力を設けている。
【0072】
自動化実行工程に機能の逸脱がないときは全ての機能が実行されるため、画面の初期設定値は全ての機能が選択されていることを示すチェック状態で表示される。操作者は逸脱する機能に対してチェック状態を解除する入力を行い、設定入力により機能逸脱の設定を確定させる。設定入力後は図30画面が表示される。
【0073】
図34のフローチャートは準備工程と洗浄工程の機能の逸脱が指定された場合の自動化された分析工程の動作遷移を表す。N2ガスバブリング,ポンププランジャ洗浄,サンプラ洗浄,ポンプパージ,洗浄工程が逸脱された場合は、その機能は実行されず次の機能を実行する。準備運転の機能が逸脱された場合は、短縮された準備運転機能を行う。
【0074】
準備工程43が逸脱して実行されていることは、図35の準備工程43の進行状態と装置状態を示す画面の準備運転の総所要時間,バブリング時間,パージ時間,ウォーグアップ時間の各所要時間と進行状態の表示によって操作者が確認することができる。
【0075】
洗浄工程が逸脱されて実行されたことは、図36の注入分析工程44の進行状態と装置状態を示す画面で進行状態が分析終了時にポンプ流量が送液状態である、検知器ランプエネルギーが点灯状態であることで操作者が確認することができる。
【0076】
[分析終了時刻表示の実施例]
図37の分析条件テーブルは分析中の経過時間における液体クロマトグラフ装置の制御条件を示しておりその終了時間は一注入分析での装置の分析所要時間(Tc)になる。図38の連続分析テーブルに設定された複数回の注入分析の情報から得られた注入回数と図37で得られた分析所要時間(Tc)から分析総所要時間(Ta)を計算する。分析方法が一種類の場合、注入回数に分析所要時間(Tc)を乗じて、分析総所要時間(Ta)を計算する。分析方法が複数種の場合、分析方法ごとに注入回数に分析所要時間(Tc)を乗じて、最終的に総和として分析総所要時間(Ta)を計算する。この際、分析法の移行タイミングに再生(RG)工程があれば、それも加算する。
【0077】
図39の液体クロマトグラフ装置の自動化された分析工程44では分析開始時刻(t1)として、装置起動の処理が終了し、連続した注入分析が開始される時刻を記憶する。
【0078】
処理工程が自動的に進行せずに操作者の実行命令によって進行する液体クロマトグラフ装置では、操作者の分析実行命令によって連続した注入分析が開始された時刻を分析開始時刻(t1)とする。分析開始時刻(t1)から分析総所要時間(Ta)を経過した時間が分析終了時刻(te)となる。
【0079】
計算で得られた分析終了時刻(te)は分析中の状態(分析モニタ)の一項目として図40の終了予定時間と称してPC液晶ディスプレイやCRTなどの出力機器へ出力する。
【0080】
操作者の再設定によって分析中に図38の連続分析テーブルへの設定値が改められた場合には、分析所要時間(Tc)から予想分析総所要時間(Ta)の算出がやり直され、新たな分析総所要時間(Ta)から得られた分析終了時刻(te)が図40の終了予定時間として出力し直される。
【0081】
終了時刻表示そのものは技術的にはさほど困難ではないと言えようが、本発明では課題発見が重要であった。すなわち、ユーザーが常に終了時間を気にしていて、それを出力する必要性に気がついた点である。表示すれば、ユーザーは試薬の交換時期を考慮でき、また分析検体数を増減することも検討することができるという効果・利点がある。
【0082】
以上説明した各種実施例により、自動化が強化された液体クロマトグラフ装置を提供することができ、次のような効果をえられる。
(1)ポンプパージおよび窒素ガスバブリングが人を介在せず、自動的に実施できる。ま た、熟練者のように、停止時間に応じてのポンプパージ時間、あるいは試薬残量に 応じたポンプパージ時間が自動設定される。
(2)部品の交換時期が実際の交換時間に達する前に予測できる。本発明では、サンプル テーブルを登録した時点で、その一連の分析を完了するまでに交換時期が来ると予 測される場合、オペレータが装置から離れる前に事前に警告を発することができる 。
(3)洗浄工程まで含めた分析終了時刻が、リアルタイムでモニタされる。
(4)自動化工程からスキップ等の逸脱した動作をさせた場合に、管理者権限のあるもの だけにその動作を許可する機能が実現できる。
【符号の説明】
【0083】
1…溶離液ポンプ、2…反応液ポンプ、3…溶離液(緩衝液)、4…窒素ガス、5…再生液、6…ニンヒドリン反応液、7…(反応系)洗浄液、8…アンモニアフィルタカラム、9…オートサンプラ、10…カラム恒温装置、11…(分離)カラム、12…反応装置、13…反応カラム(反応管)、14…可視検出器。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体クロマトグラフ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動化液体クロマトグラフ装置としては、アミノ酸分析計,グリコヘモグロビン分析計,カテコールアミン分析計などが代表的である。汎用液体クロマトグラフ装置ではユーザーが詳細にプログラミングしなければならないところが、自動化液体クロマトグラフ装置では、例えば、サンプルの希釈工程,プレカラム誘導体化反応工程,スタンバイ(ハードウエア立ち上げ)工程,コンディショニング(カラム平衡化)工程,カラム再生工程,流路洗浄終了工程などが予めプログラムされ、ユーザーは特に詳細の設定することなしに最適な様々な自動化処理工程を実現できる。
【0003】
また、試薬の現在量計算や、消費量予測,消耗部品/カラムの使用回数カウントなどの使い勝手サポート機能も考案され、これらの計算に伴うエラー/ウォーニング/アラーム発生など警告機能に関しても強化されている。さらにカラムなど流路接続部を取り外すガイダンスを表示しながら圧力上限/下限リミッタエラー発生後の原因究明をサポートする非定常現象対応機能なども充実してきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−130271号公報
【特許文献2】特開平5−322870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液体クロマトグラフ装置では、自動化がひとつの重要課題である。近年のユーザー層には、液体クロマトグラフィーに関する特別な教育訓練を受けなくとも、比較的簡単に装置を運転したいというニーズが高まってきている。例えば、アミノ酸分析計の場合、ユーザーは従来から、週明けの装置の立ち上げ時など、ポンプの周辺流路の液体置換を目的としてポンプ洗浄(パージ)を実施している。また、ニンヒドリン反応試薬を新品に交換する際には、試薬ボトル中に入り込んだ酸素を追い出すために、窒素ガスを送り込む(バブリング)必要がある。このようなパージやバブリング操作が自動化されれば、ユーザーは特にこの操作を覚える必要がないわけである。
【0006】
また、液体クロマトグラフ装置の場合、ポンプやオートサンプラ用シールなど定期交換部品を適時、交換することにより装置を安定的に運転し続けることができる。いわゆる良く保守管理された装置として維持されている状態である。従来からユーザーはこのような保守面にも気を使いながら装置を運転しなければならず、ユーザー教育が必要である。装置が何らかの機能を持ち最終的にこの種の教育が低減できれば、装置の利点となる。
【0007】
第三の課題として、分析の日程管理の効率化が揚げられる。たとえば、午前11:00に20本サンプルの分析をスタートして、次の日の朝何時に分析が終了するかが事前に知ることができれば、次の日になってから試薬を交換するか、あるいは分析の本数を変更するか事前に考えることができる。ユーザーが分析終了時刻を知りたいと思うのは自然な要求である。
【0008】
第四の課題を述べる。分析装置のオペレータが自動化された液体クロマトグラフ装置を運転することになる。自動化された装置は、だれでも良好なデータが取得できる利点があるが、その反面、自動化処理工程をスキップできないなど、フレキシビリティに欠ける面がある。熟練度の低いオペレータには過剰なフレキシビリティを与える必要はないが、熟練者やオペレータを管理する者は、ある程度のフレキシビリティが必要になる。この自動化の利点とフレキシビリティをいかに両立させるかが、本発明最後の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
パージとバブリングの自動化は、それぞれ高圧切替バルブおよび電磁弁をタイムプログラムで制御することにより実現できる。但し、常時、一定のタイムプログラムにより制御することにすると、余計にパージしたり、過剰にバブリングしたりと、インテリジェントな自動化装置ではなくなってしまう。インテリジェント化するためには、熟練者の智恵を取り込むような処理フローを考案する必要がある。パージの場合、ポンプが停止している時間に応じて、停止時間が短ければパージ時間も短く、停止時間が長ければ十分にパージ時間を長く取ってコントロールすることが望ましい。
【0010】
一方、バブリングの時間は、試薬の残量に応じて調整することになる。長時間のバブリングが必要な開封直後の試薬は1Lびんに満ちているので、残量1Lの時に長時間バブリングを実施する。残量が減ってくればそれに応じてバブリング時間を短くし不必要なバブリングを排除できる。残量の管理には二通りあり、第一の方法は残量センサを用いて実測する管理方法がある。残量センシングには、質量を測定するもの、液体の電気抵抗や静電容量を測定するもの、フロートを用いて液面変位を測定するものなどがある。第二の試薬残量の管理方法は、ユーザーが初期量を入力しポンプの送液運転分の消費量を減算し、現在量を算出する方法である。いずれの残量管理の方法でも適正なバブリング時間を設定することができる。
【0011】
保守対応に対しては、交換部品の使用回数が閾値を超えた場合に警告を発することにより、ユーザーが部品交換することを促すことができる。また注入回数を確定した段階、即ちサンプルテーブルを登録したタイミングで、注入回数分を加算し警告閾値を超えるか判定することも可能である。
【0012】
分析の日程管理の効率化に対しては、終了時刻を表示することにより解決できる。現時刻から全ての工程の所要時間を加算し終了時刻を表示する。コンディショニング工程,RG工程、全ての注入回数分の分析工程、および洗浄工程の所要時間を分析条件ファイルのグラジエント溶出プログラムを参照して加算し、PCディスプレイなどにリアルタイムで表示する。
【0013】
自動化とフレキシビリティの両立に対しては、パスワードを用いて管理者権限のあるユーザーのみにフレキシビリティのある機能動作を許可することができる。たとえば、コンディショニング工程でポンプパージをスキップしたい場合に、ユーザーはPC画面上でスキップ・ボタンを押す。このときパスワード入力を要求し、パスワードが正しければ管理者権限のあるユーザーであると認識され、スキップすることが許可させる。管理者権限のないユーザーがスキップ・ボタンを押しても、パスワード入力画面から先に進めず、ポンプパージのスキップができない。即ち一般ユーザーに対しては、自動化工程から逸脱した動作が禁止されているという装置対応になる。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、自動化が強化された液体クロマトグラフ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】アミノ酸分析計の流路原理図。
【図2】アミノ酸分析計の処理工程図。
【図3】ポンプシールの交換部品管理画面の図。
【図4】オートサンプラ関連シールとシリンジの交換部品管理画面の図。
【図5】検出器用ランプの交換部品管理画面の図。
【図6】カラムの交換部品管理画面の図。
【図7】液体クロマトグラフ装置の自動化された分析工程における交換部品確認工程の配置図。
【図8】複数回注入分析の指定画面の図。
【図9】分析条件テーブルの編集画面と分析テーブル概念図。
【図10】分析条件テーブルの一試薬成分の一注入分析での試薬消費量の計算式と出力画面の図。
【図11】部品交換回数閾値の設定画面の図。
【図12】消耗到達回数が部品交換回数閾値を越えると判定された場合の警告の図。
【図13】窒素ガス供給装置から制御バルブを介し試薬びんに至る窒素ガスの流路とバブリング工程時状態を示す概念図。
【図14】試薬びんの計測装置と液体クロマトグラフ装置内での設置を示した図。
【図15】試薬びん計測結果の出力機器への出力の図。
【図16】現在試薬量を入力によって指定する場合の設定画面の図。
【図17】バブリング工程の動作時間の決定とバブリング工程の動作フローチャート。
【図18】液体クロマトグラフ装置の自動化された分析工程における試薬消費量計算とバブリング工程の配置図。
【図19】分析条件テーブルの編集画面と分析テーブル概念図。
【図20】分析条件テーブルの一試薬成分の一注入分析での試薬消費量の計算式と出力画面の図。
【図21】分析工程での複数回の注入分析の指定と注入回数分の予想試薬消費量計算式の図。
【図22】(現試薬量−予想試薬消費量)の出力機器への出力の図。
【図23】ポンプと排出バルブを使用した排出工程と非排出工程時の状態を示す概念図。
【図24】分析工程の遷移とポンプ送液停止時間の決定方法のフローチャート。
【図25】ポンプ送液停止時間から排出工程の送液時間の決定方法フローチャート。
【図26】排出工程におけるポンプの送液条件の指定値入力と確認表示出力の図。
【図27】排出工程における時間経過を示す出力機器への確認表示出力の図。
【図28】排出工程において装置操作者が操作する場合の手順と出力機器に表示される操作案内の図。
【図29】自動化液体クロマトグラフ装置の自動化実行工程のフローチャート。
【図30】自動化工程からの機能逸脱の要求を行う画面の図。
【図31】パスワード確認する画面の図。
【図32】パスワードを設定する画面の図。
【図33】自動化工程からの逸脱機能の選択と設定を行う画面の図。
【図34】自動化液体クロマトグラフ装置の自動化工程からの逸脱が設定された場合の実行工程のフローチャート。
【図35】準備工程の進行状態と装置状態を示す画面の図。
【図36】注入分析工程の進行状態と装置状態を示す画面の図。
【図37】一回の注入分析における分析条件から分析所要時間の計算方法を示す図。
【図38】複数回の注入分析の指定と注入回数設定分の予想分析所要時間計算の図。
【図39】液体クロマトグラフ装置の自動化された分析工程における分析開始の配置図。
【図40】分析終了時刻の出力機器への出力の図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、上記及びその他の本発明の新規な特徴と効果について、図面を参酌して説明する。
【実施例】
【0017】
本発明の実施形態の例として、アミノ酸分析計を挙げる。本分析計は、たん白加水分解物アミノ酸,血清,尿などの生体液等に含まれるアミノ酸類縁物等を自動的に定性,定量する装置である。その分析原理を図1の流路図を用いて示す。溶離液3は、窒素ガス4で加圧された試薬ビンから脱気装置を経て電磁弁でいずれか1つが選ばれ、溶離液ポンプ1によりカラム11に送られる。カラム11はカラム恒温装置10により一定温度に恒温される。またカラム温度については、分析法に応じてタイムプログラムによる設定が可能である。カラム11の直前にあるオートサンプラ9には多数のサンプルがセットされ、一定時間ごとに自動的に分離カラム11に導入される。アミノ酸分析の場合、溶離液3中のアンモニアが検出を妨害するためポンプ1直後にアンモニアフィルタカラム8を設置する。イオン交換クロマトグラフィーによってそれぞれのアミノ酸成分に分離展開され時間差を伴い溶出される。その後、反応液ポンプ2により送液される反応試薬ニンヒドリン6と混合され、反応装置12で加熱される。洗浄液7は、反応系流路洗浄用の蒸留水または5%エタノール水溶液である。発色したアミノ酸は、色素(DYDA)になり、順次に可視検出器14に送られ、570nm,440nmの波長で比色される。可視吸光度がPCデータ処理部にとり入れられ、計算処理されてレポート出力される。
【0018】
ユーザー操作を図2を用いて説明する。ユーザーは、PCデータ処理部を起動し本体の電源を投入する(開始21)。分析動作を選択し、検体数を設定し候補サンプルテーブルを作成する。修正がなければ、確定したサンプルテーブルを登録する(条件設定工程41)。ポンプシールなど各種交換部品の現在の使用回数に登録検体数を加算し、予測使用回数を求める。この予測使用回数が所定の限界閾値を超えれば交換を促す《1》「交換部品ウォーニング」を表示する(装置確認工程42の消耗部品チェック工程25)。ユーザーは指定部品を交換するかあるいはこの回は交換を無視して、分析を開始する。一連の動作は、PCにより自動制御され、まずコンディショニング(準備工程43の準備運転工程30)を開始する。コンディショニング工程30は、《2》「自動バブリング」(N2ガスバブリング工程26)から《3》「自動ポンプパージ」(排出工程29)に遷移し、ポンプ流量を徐々に上げていくウォーミングアップ工程を実施する。このコンディショニング工程43では、バブリングやポンプパージを時間節約のため自動工程を逸脱しスキップすることができる。ただし、管理者権限を有するものが、予め登録しておいたパスワードを入力することにより、この《4》「パスワード許可逸脱動作」を実施することができる。
次にカラム再生(RG)工程へ移行し、登録検体数に従い分析シーケンスを周期的に繰り返す。この注入分析工程44を進行している間のモニタ画面は、《5》「分析終了時刻表示」の機能を有する。すなわちリアルタイムで分析終了時刻を予測し表示する。分析が終わると、カラムが自動的に洗浄され(洗浄工程45の洗浄34)、一定時間後、ポンプ等が停止する(洗浄工程45のポンプ停止35)。
【0019】
本発明の実施例として、前述の《1》交換部品ウォーニング,《2》自動バブリング,《3》自動ポンプパージ,《4》パスワード許可逸脱動作,《5》分析終了時刻表示の順に各機能を説明する。
【0020】
[交換部品ウォーニングの実施例]
交換部品であるポンプ1およびポンプ2のシールの消耗はそれぞれ交換日からの使用総送液量または使用時間によって管理される。操作者は図3画面の出力値を確認することによって、交換日,使用総送液量,交換目安使用総送液量の情報を得ることができる。ユーザー(操作者)がポンプシールの交換作業を行ったことを図3画面のリセット入力で通知すると、交換日は制御装置上で管理される現在年月日に設定され、使用総送液量または使用時間は初期値(通常ゼロ)に設定される。この情報は図3画面で確認することができる。
【0021】
オートサンプラの消耗部品は図4画面の注入ポートシール,注入バルブシール,シリンジ1シール,シリンジ1バルブシールの交換日からの動作回数が消耗量として管理される。操作者は図4画面の出力値を確認することによって、交換日,使用回数,交換目安回数の情報を得ることができる。操作者が目的とする部品の交換作業を行ったことを図4画面のリセット入力で通知すると、交換日は制御装置上で管理される現在年月日に設定され、使用回数は初期値(通常0)に設定される。この情報は図4画面で確認することができる。交換作業の通知は目的とする部品毎に実行できるように各目的部品に異なるリセット入力が設けられている。
【0022】
検出器用ランプの消耗は交換日からの使用総時間によって管理される。操作者は図5画面の出力値を確認することによって、交換日,使用総時間,交換目安使用総時間の情報を得ることができる。操作者が検出器用ランプの交換作業を行ったことを図5画面のリセット入力で通知すると、交換日は制御装置上で管理される現在年月日に設定され、使用総時間は初期値に設定される。この情報は図5画面で確認することができる。
【0023】
カラムの部品管理はガードカラム,メインカラム,アンモニアフィルタカラム,反応カラム,ラインフィルタなどに分類されて管理される。複数の使用カラムの部品管理が実現できるように、各々のカラムが名称とIDで管理できる。カラムの消耗はガードカラム,メインカラム,アンモニアフィルタカラム,ラインフィルタでは注入回数で行われ、反応カラムでは使用開始日からの経過時間または注入回数によって管理される。操作者は図6画面の出力値を確認することによって、管理している全てのカラムの名称,ID,ガードカラム,メインカラム,アンモニアフィルタカラムでは注入回数、反応カラムでは使用開始日と各々の交換目安の情報を得ることができる。操作者が反応カラムの交換作業を行ったことを図6画面の反応カラムリセット入力で通知すると、交換日は制御装置上で管理される現在年月日に設定される。
【0024】
操作者がガードカラム,メインカラム,アンモニアフィルタカラム,反応カラムを新たに使用する場合に名称とIDによって管理するカラムを増やすことが可能である。使用されなくなったカラムは削除操作により管理部品から外すことが可能である。各カラムの交換目安を設定し、カラムの名称,IDと供に記憶し表示することが可能である。更新された情報は図6画面で確認することができる。
【0025】
図7のフローチャートで示すように液体クロマトグラフ装置の自動化された準備工程43または分析工程44では、交換部品確認は消耗部品チェックとして準備運転または注入分析が行われる前に実行される。消耗部品チェックでは、注入分析回数(既にカウントされている回数)に対して分析終了までに消耗されると予想される消耗量を加算し、加算したものが予め設定された部品交換回数閾値を越えないことを確認し、閾値を越える場合は出力装置に警告を出力する。従来、既注入回数を用いて消耗部品チェックをしていたことに対し、既注入回数にこれから分析する設定注入回数をも加算する消耗回数予測処理は、新規な発明部分である。従来は、これから分析される回数をたとえば50回分の固定値で持って加算したり、初期値に50回分のオフセットをかけておいたり、交換目安の閾値を50回分予め減算しておいたりした。これらの従来方法はいずれも、比較するものと比較されるもの50回分の加減算として等価であり、注入前にユーザーにより設定された実検体数を考慮するか否かにおいて、本発明と質を異にする。
【0026】
分析工程44で複数回の注入分析を実行するため、操作者は図8画面で連続分析テーブルを設定する。連続分析テーブルとして注入試料の分析順序,バイアル,注入量,注入回数,分析条件,種別,サンプル名,希釈倍率などを設定することができる。本装置では従来のように操作者が全ての情報を入力装置から個別入力するのではなく、検体数と分析法など最小限の特定情報と条件を入力することのみで、制御装置部が連続分析テーブルを自動的に作成する。ユーザーは図8画面で自動生成した連続分析テーブルを確認および編集することが可能である。
【0027】
一注入あたりの分析使用送液量をポンプシール交換の単位量(一回分)に用いる。本単位量の予測は、図8で連続分析テーブルに指定された分析条件の流量プログラムを考慮して計算される。
【0028】
図9に分析条件テーブルとその情報の概念図を示す。分析条件テーブルは分析中の経過時間における液体クロマトグラフ装置の制御条件を示しており、TIMEは経過時間、FLOW1はその時間の流量、%B1−%Bjは流量に対する試薬の比率である。
【0029】
図10は分析条件テーブルを使用して各々の一注入分析の時間内(t0からtn)における各試薬の消費量の計算式とその出力結果を示す。
【0030】
一注入分析でのポンプの使用送液量は試薬毎に計算し、各ポンプの消費量の和で得られる。
【0031】
図8の連続分析テーブルで設定された分析工程のおける複数回の注入分析の指定から分析工程終了までの各試薬の予想試薬消費量を得る。
【0032】
注入ポートシール,注入バルブシール,シリンジ1シール,シリンジ1バルブシールの予想注入回数は図8画面の注入分析情報の注入回数(単位量)の総和である。この場合、注入量が0または負の数の場合は、注入回数に加算しないルールを用いている。
【0033】
検出器用ランプの一注入分析使用時間(単位量)は図9の分析条件テーブルの終了時間とする。図8画面の注入分析情報に指定された分析条件は注入分析毎に異なる設定も可能であるため、各々の分析条件において得られた一注入分析での使用時間と、その分析条件を使用した注入分析回数の積を図8画面の注入分析情報分の総和したものが分析工程の終了までの予想総使用時間となる。
【0034】
ガードカラム,メイン(分離)カラム11,アンモニアフィルタカラム8の予想注入回数は図8画面の注入分析情報の注入回数の総和である。この場合、注入量が0または負の数の場合は、注入回数に加算しないルールを用いている。
【0035】
反応カラムの予想総使用時間は検出器用ランプの予想総使用時間と等しい。
【0036】
図8画面で操作者が確認するための表示は特に設けないが、分析上必要な注入分析情報から得られる消耗量(注入回数に比例しないオフセット/切片/固定値分)も各々の交換部品の総使用量に加算される。部品の性能及び保守規則等によって部品交換閾値の記憶値の変更ができる。
【0037】
図6画面でガードカラム,メインカラム,アンモニアフィルタカラム,反応カラムの交換目安を変更することができる。その他の交換部品の部品交換閾値は図11画面の設定操作によって変更可能である。この変更は操作者の中で部品管理の権限を有するパスワードを入力できる操作者のみが変更可能である。さもなければ、管理指標の不注意な書き換えや、誤操作による管理指標のリセットがなされてしまう。あるいはパスワード認証は、改ざん防止にも貢献できる。
【0038】
反応カラム以外の交換部品では現在消耗量に予想使用量を加算した値が部品交換閾値と等しいか超えた場合に警告を出力する。
【0039】
反応カラムの部品交換閾値は年単位であるため、現在日時に使用時間を加算して分析工程終了日時としたものが使用開始日時に日時換算された部品交換閾値を加算した日時と等しいか、超えていた場合に警告を表示する。
【0040】
図12は消耗到達回数が部品交換回数閾値を越えると判定された場合の警告の画面である。消耗到達回数が部品交換回数閾値を越える部品名と予想到達使用量と部品交換閾値が出力装置に出力される。複数の部品が部品交換回数閾値を越える場合には複数の情報が図11画面に出力される。操作者は図12画面の警告を確認して分析工程の停止と続行の選択入力が可能である。
【0041】
[自動バブリングの実施例]
図13の窒素ガス供給装置から窒素ガスが試薬びんに供給されている状態には窒素ガス流入と排気との状態によりの3つの状態がある。窒素ガス供給用バルブを閉じることにより窒素ガスが試薬びんに流入せず、排気がされている状態は試薬びん内に窒素ガスがかかっていない状態(オープン状態)で試薬びんの交換や試薬の補充に用いられる図13−(a)。窒素ガス供給用バルブを全て閉じ、窒素ガスが試薬びんに流入、排気がされていない状態は試薬びん内に窒素ガスが充填されている状態(分析状態)で試薬びんの分析中や平衡状態で使用される図13−(b)。窒素ガスが試薬びんに流入しており、排気がされている状態は試薬びん内の試薬に対して脱気処理が行われている図13−(c)(バブリング状態)。一定時間の間バブリング状態で試薬に対して脱気処理を行う工程をバブリング工程26とする。窒素ガス供給装置から試薬びんへの流路は分割して接続され、同時に複数の試薬びんに対してバブリング工程が実施できる。本発明では窒素の代わりにヘリウムのような不活性なガスも用いることができる。
【0042】
バブリング工程の対象となる試薬びんは現在試薬量が判別できるため計測装置に設置されている。図14の計量装置は分析に使用する複数の試薬びんに対して設置される。試薬びんを計量することにより、試薬びん内の試薬量を計量することを可能とする。各々の計測装置の出力は集中制御装置が認識できる数値として取得される。
【0043】
装置操作者は一定間隔で更新される図15の出力装置の表示によって試薬びんの現在計測値を知ることができる。現在試薬量は容量変換式により容量として出力される。現在の計測値を試薬残量として算出する際の風袋量として記憶させることが可能である。計測値を風袋量としない場合は、各々の試薬の風袋量を入力装置から与えることができる。各々の試薬びんの計量装置を有さない液体クロマトグラフ装置では、現在試薬量を入力によって与えることができる(図16)。
【0044】
図17はバブリング工程の動作をフローチャートで示す。バブリング工程のバブリング工程時間(Tb)ニンヒドリン試薬の現在試薬量によって決定する。バブリング開始時刻(t1)からバブリング工程の動作時間(Tb)が経過した時間がバブリング工程の終了時刻(t2)となり、この時刻に到達するとバブリング工程の動作は終了し動作は終了し窒素ガス制御バルブを分析状態にして次の工程に進む。
【0045】
図18の自動化液体クロマトグラフ装置の分析工程ではバブリング工程は注入分析操作の前に行われる。試薬消費量チェックはバブリング工程の前で行われ、現在の試薬残量が予想試薬消費量よりも少ない場合には試薬の補充の案内が出力装置に出力される。試薬の補充が行われた場合には、案内に従って操作者が試薬の補充を行った後の再計測値か、または図16の入力によって与えられた補充後の更新された結果からバブリング工程の時間が決定される。
【0046】
試薬消費量は分析条件で一注入分析あたり消費される試薬消費量にその分析条件で分析される注入分析回数分の消費量の総和で計算される。
【0047】
図19に分析条件テーブルとその情報の概念図を示す。分析条件テーブルは分析中の経過時間における液体クロマトグラフ装置の制御条件を示しており、TIMEは経過時間、FLOW1はその時間の流量、%B1−%Bjは流量に対する試薬の比率である。
【0048】
図20は分析条件テーブルを使用して各々の一注入分析の時間内(t0からtn)における各試薬の消費量の計算式とその出力結果を示す。
【0049】
図21の連続分析テーブルで設定された分析工程のおける複数回の注入分析の指定から分析工程終了までの各試薬の予想試薬消費量を得る。
【0050】
現在の試薬残量から予想試薬消費量を減じた値が図22画面に出力される。この時、現在の試薬残量と比較して予想試薬消費量が現試薬量より多い場合には視認できるように、その試薬の予想試薬消費量を赤文字で表示し、試薬びんのイメージ表示も警告色とイメージを用いて表示する。現在の試薬残量と比較して予想試薬消費量が現試薬量より多い場合、バブリング工程は実行されずに操作者に対して試薬の補充作業または、分析回数の再入力のための連続分析テーブルの再編集作業を実行するように次の入力可能操作を限定する。操作者の作業終了後に再び予想試薬消費量を算出し、予想試薬消費量が現試薬量と同じか小さくなるまでバブリング工程は開始されない。
【0051】
従来から、アミノ酸分析計や液体クロマトグラフ装置では、窒素ガスバブリングは手動で行われていた。これを自動化することを検討している際に、一定時間固定のバブリング時間ではいつでも約30分間かけてしまう。新品のニンヒドリン試薬を交換する場合以外には約5分で良いため、約30分間は過剰時間であることが想定された。このため制御装置部に試薬の新品か否かを識別させる必要があり、試薬残量を実測あるいは、ポンプ送液量から計算させることを考案した。本発明では、試薬残量を認識することにより、過剰なバブリング時間/無用な窒素ガスの消費を防止する効果がある。
【0052】
加えて、試薬残量をバブリング時間の判定基準とする以外に、たとえば前回のバブリング処理と時間が約5日間空いた場合に、約15分間バブリングするなど、バブリング間隔時間を参照し、処理時間を少し長めに伸ばすことも有効である。
【0053】
[自動ポンプパージの実施例]
溶離液を送液するためのポンプ(溶離液ポンプ1および反応液ポンプ2)内に気泡が混入していると溶離液の送液が不安定になる。
【0054】
本装置はポンプ内に自動パージバルブを装備しており、送液を開始する前に、自動パージバルブがOPEN(廃液排出側)に切り替わり、ポンプ流量が最大流量(0.999ml/min)に設定されパージを行う。パージ実行時間は装置の停止期間により自動で5,10,15分が設定される。また、パージ時の溶離液混合比は、あらかじめ環境設定プログラムで設定しておく。
【0055】
パージ終了後、ポンプ流量および溶離液混合比が初期設定値に戻り、自動パージバルブがCLOSE(オートサンプラ側)に切り替わり通常送液が開始される。
【0056】
図23に示す排出(自動パージ)バルブの切り替えによって流路内の液体を一定時間排出するパージ処理を排出工程とし、分析流路側に送液する処理を非排出工程とする。送液を行うポンプは吸引する液の選択を可能とするバルブを有し、排出工程および非排出工程で流路内の液の組成を変化させることが可能である。
【0057】
図24のフローチャートに分析工程における実行工程の遷移とポンプ送液停時間の算定式を示す。前回の分析終了時のポンプ停止時刻を取得して停止代表時刻(t1)とする。
今回の分析において排出工程の開始時刻を取得しこれを開始代表時刻(t2)とする。開始代表時刻(t2)と停止代表時刻(t1)の差がポンプ送液停止時間(Tw)となる。ここで停止代表時刻と呼んだのは、停止代表時刻とは必ずしも厳密にポンプの停止時刻でなくとも、ポンプ停止を実行する処理工程のなんらかの特徴的な(キャラクタリスティックな)管理時間を該当させるための表記である。
【0058】
排出工程の動作時間決定は図25のフローチャートに従って決定される。排出工程の動作時間(Tp)はポンプ送液停止時間(Tw)を規定された値と比較して決定される。動作開始現在時刻から排出工程の動作時間(Tp)が経過した時間が排出工程の終了時刻(t3)となり、この時刻に到達すると排出工程の動作を停止させる。
【0059】
排出工程の動作時間(Tp)内に液の組成を変化させるために、動作時間に対する液の組成を指定することができる。図26では排出工程の動作時間(Tp)内に行うべきポンプの送液条件を2種類用意し各送液条件の動作順序と排出工程での時間配分を指定している。送液条件1の動作時間経過後に送液条件2が実行され、送液条件2の動作時間は送液条件1の動作時間の指定によって自動的に決定される。ポンプ送液停止時間(Tw)によって排出工程の動作時間(Tp)が増減した場合、各送液条件の指定動作時間の比率に排出工程の動作時間(Tp)を積算した時間が動作時間となる。
【0060】
図27は排出工程の動作時の出力装置への状態表示であり、ポンプ送液停止時間(Tw)によって排出工程の動作時間(Tp)が異なることから、今回行われる排出工程の動作時間(Tp)が出力装置上に示される。
【0061】
排出バルブの制御が集中制御装置によって自動で行われていない液体クロマトグラフ装置では、操作者が排出工程での排出バルブの開閉とパージ開始および停止操作を行う。排出工程の開始時に操作者は図28の案内1によって排出バルブの開操作を促される。排出バルブの開操作を行った操作者はパージ開始入力を行い排出工程の開始を指示する。排出工程中は図28の案内2が出力装置に表示される。排出工程の動作時間(Tp)が経過後に図28の案内3が表示されパージ停止操作と排出バルブの閉操作が促される。排出バルブの閉操作を行った操作者は操作完了の入力を行い、分析工程44を次の工程へと進ませる。
【0062】
従来は、ポンプパージを自動化する際には、一定の時間パージングをするのみであった。本発明では、ポンプインレット側の流路配管に気泡が発生することを想定し、気泡が発生するとすれば、ポンプの停止時間に依存して気泡発生確率が増すこと、あるいは気泡発生量が増加することを考えた。すなわち、ポンプの停止時間に依存して発生する気泡の除去が課題である。課題が定まれば、ほぼ必然的にポンプの停止時間に応じて、ポンプパージの送液量および送液時間を可変することを検討し、本発明を考案するに至った。
【0063】
加えて、もしポンプ停止時間を計時しないとなれば、気泡そのものの存在を確認する方法あるいは、気泡の体積またはなんらかの量を計測する方法が必要になる。その場合は、ポンプインレットチューブ内の気泡を直接、たとえば光学的屈折率などまたは電気伝導度などを検出する方法を採用する必要があろう。この測定された気泡量に応じて、ポンプパージの送液量を加減することになる。
【0064】
[パスワード許可逸脱動作の実施例]
自動化液体クロマトグラフ装置の自動化された実行工程は図29の分析工程44での動作条件を操作者が予め設定する条件設定工程41,窒素ガス圧力チェック,試薬消費量チェック,消耗部品チェックを行う装置確認工程,N2ガスバブリング,ポンププランジャ洗浄,サンプラ洗浄,ポンプパージ,準備運転を行う準備工程、操作者が予め設定した分析工程条件によって必要回数分繰り返し注入分析を行う注入分析工程44,分析工程の終了後に装置の洗浄を行い、装置を待機状態にする洗浄工程からなる。自動化液体クロマトグラフ装置では、準備工程から洗浄工程までの動作を操作者の指示入力によらず自動で実行する。
【0065】
従来から完全自動化工程は、ユーザー(操作者)による設定操作が一切、不要であるという利点はあるが、その反面、フレキシビリティには欠けるという短所があった。本発明では、一旦設定した自動化実行工程を、実行途中に中断するか、あるいは時間短縮することができる。ただし、誰にでも中断/時間短縮の権利を与えるのではなく、制御装置部はユーザー(操作者)に対し、パスワードの入力を要求し、予め設定されているパスワードに合致した場合にのみ、自動化実行工程を中断/時間短縮を許可するという発明である。すなわち、パスワードを用いることにより、権限のあるものとないものを識別する機能を持たせることができる。ここで入力装置は、たとえばキーボード,タッチパネル,マウスなどである。昨今では、権限識別を目的として、パスワード認証以外に指紋認証や声紋認証などバイオメトリックス技術も応用することができる。特に液体クロマトグラフ装置の場合、熟練者や専門家でなければ、バブリングやポンプパージをスキップすることが可能であるか、あるいはウォーミングアップ工程を時間短縮することができるか、処理工程前後の状況により可否判断することはできない。たとえば、数時間前にバブリングやポンプパージを実行しており、かつ試薬の交換がなければ、それらは不要であると判断できる。また、たとえば、分析工程44を一旦実施した直後であれば、バブリングやポンプパージが不要であると判断できるかもしれない。ただし、ウォーミングアップ工程だけは、カラム保護のため再度実施しておきたい場合もあろう。またあるいは、データの信頼性が多少低くなることは承知の上で、各工程の時間短縮を優先する場合もあろう。このため、一般的ユーザーに逸脱動作を許可することは弊害があるが、専門家にはそれを許可する必要があり、逸脱動作の実行権限認証は極めて重要な機能である。
【0066】
操作者が図30画面の条件設定工程41で、分析工程44での動作条件の一つとして自動化実行工程の機能のうち操作者が選択した機能を実行しないか、または短縮して実行することを設定できる。操作者は図30のコンディショニング条件変更入力によって準備工程43と洗浄工程45の機能を自動化された分析工程から逸脱させることができる。
【0067】
操作者は図30のコンディショニング条件変更入力を行うと出力機器には図31のパスワードを確認する画面が表示され、操作者が自動化された分析工程に対して機能逸脱の権限を有するかを確認する入力を促す。
【0068】
操作者の権限については予め設定,保存,管理されており、図32のパスワードを設定する画面で変更することができる。操作者が権限の取得のために入力するパスワードは権限の種類や与えられる権限の範囲によって異なって管理されている。分析工程に対して機能逸脱の権限を与えるパスワードは管理者である必要がある。
【0069】
図32画面の表示においても所定の権限を有するパスワードを入力する必要がある。
【0070】
図31画面で権限を持つパスワードを操作者が正しく入力すれば、図33の自動化工程からの逸脱機能の選択と設定を行う画面が表示される。入力されたパスワードが権限を有しないものならば出力装置に警告が表示される。
【0071】
図33画面では、N2ガスバブリング,ポンププランジャ洗浄,サンプラ洗浄,ポンプパージ,準備運転の機能と洗浄工程が個別に設定,確認できる入力を設けている。
【0072】
自動化実行工程に機能の逸脱がないときは全ての機能が実行されるため、画面の初期設定値は全ての機能が選択されていることを示すチェック状態で表示される。操作者は逸脱する機能に対してチェック状態を解除する入力を行い、設定入力により機能逸脱の設定を確定させる。設定入力後は図30画面が表示される。
【0073】
図34のフローチャートは準備工程と洗浄工程の機能の逸脱が指定された場合の自動化された分析工程の動作遷移を表す。N2ガスバブリング,ポンププランジャ洗浄,サンプラ洗浄,ポンプパージ,洗浄工程が逸脱された場合は、その機能は実行されず次の機能を実行する。準備運転の機能が逸脱された場合は、短縮された準備運転機能を行う。
【0074】
準備工程43が逸脱して実行されていることは、図35の準備工程43の進行状態と装置状態を示す画面の準備運転の総所要時間,バブリング時間,パージ時間,ウォーグアップ時間の各所要時間と進行状態の表示によって操作者が確認することができる。
【0075】
洗浄工程が逸脱されて実行されたことは、図36の注入分析工程44の進行状態と装置状態を示す画面で進行状態が分析終了時にポンプ流量が送液状態である、検知器ランプエネルギーが点灯状態であることで操作者が確認することができる。
【0076】
[分析終了時刻表示の実施例]
図37の分析条件テーブルは分析中の経過時間における液体クロマトグラフ装置の制御条件を示しておりその終了時間は一注入分析での装置の分析所要時間(Tc)になる。図38の連続分析テーブルに設定された複数回の注入分析の情報から得られた注入回数と図37で得られた分析所要時間(Tc)から分析総所要時間(Ta)を計算する。分析方法が一種類の場合、注入回数に分析所要時間(Tc)を乗じて、分析総所要時間(Ta)を計算する。分析方法が複数種の場合、分析方法ごとに注入回数に分析所要時間(Tc)を乗じて、最終的に総和として分析総所要時間(Ta)を計算する。この際、分析法の移行タイミングに再生(RG)工程があれば、それも加算する。
【0077】
図39の液体クロマトグラフ装置の自動化された分析工程44では分析開始時刻(t1)として、装置起動の処理が終了し、連続した注入分析が開始される時刻を記憶する。
【0078】
処理工程が自動的に進行せずに操作者の実行命令によって進行する液体クロマトグラフ装置では、操作者の分析実行命令によって連続した注入分析が開始された時刻を分析開始時刻(t1)とする。分析開始時刻(t1)から分析総所要時間(Ta)を経過した時間が分析終了時刻(te)となる。
【0079】
計算で得られた分析終了時刻(te)は分析中の状態(分析モニタ)の一項目として図40の終了予定時間と称してPC液晶ディスプレイやCRTなどの出力機器へ出力する。
【0080】
操作者の再設定によって分析中に図38の連続分析テーブルへの設定値が改められた場合には、分析所要時間(Tc)から予想分析総所要時間(Ta)の算出がやり直され、新たな分析総所要時間(Ta)から得られた分析終了時刻(te)が図40の終了予定時間として出力し直される。
【0081】
終了時刻表示そのものは技術的にはさほど困難ではないと言えようが、本発明では課題発見が重要であった。すなわち、ユーザーが常に終了時間を気にしていて、それを出力する必要性に気がついた点である。表示すれば、ユーザーは試薬の交換時期を考慮でき、また分析検体数を増減することも検討することができるという効果・利点がある。
【0082】
以上説明した各種実施例により、自動化が強化された液体クロマトグラフ装置を提供することができ、次のような効果をえられる。
(1)ポンプパージおよび窒素ガスバブリングが人を介在せず、自動的に実施できる。ま た、熟練者のように、停止時間に応じてのポンプパージ時間、あるいは試薬残量に 応じたポンプパージ時間が自動設定される。
(2)部品の交換時期が実際の交換時間に達する前に予測できる。本発明では、サンプル テーブルを登録した時点で、その一連の分析を完了するまでに交換時期が来ると予 測される場合、オペレータが装置から離れる前に事前に警告を発することができる 。
(3)洗浄工程まで含めた分析終了時刻が、リアルタイムでモニタされる。
(4)自動化工程からスキップ等の逸脱した動作をさせた場合に、管理者権限のあるもの だけにその動作を許可する機能が実現できる。
【符号の説明】
【0083】
1…溶離液ポンプ、2…反応液ポンプ、3…溶離液(緩衝液)、4…窒素ガス、5…再生液、6…ニンヒドリン反応液、7…(反応系)洗浄液、8…アンモニアフィルタカラム、9…オートサンプラ、10…カラム恒温装置、11…(分離)カラム、12…反応装置、13…反応カラム(反応管)、14…可視検出器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力機器、出力機器及び制御装置部を具備する液体クロマトグラフ装置において、
前記制御装置部は、前記出力機器にパスワードの入力画面を表示し、
前記入力機器で入力されたパスワードが予め設定されたパスワードに合致した場合に、前記液体クロマトグラフ装置の自動化実行工程の中断及び/又は時間短縮の変更を可能とすることを特徴とする液体クロマトグラフ装置。
【請求項2】
請求項1の液体クロマトグラフ装置において、
前記制御装置部は、前記液体クロマトグラフ装置の自動化実行工程のうち、選択された工程を実行せずに又は時間を短縮して実行することを特徴とする液体クロマトグラフ装置。
【請求項3】
請求項1の液体クロマトグラフ装置において、
前記制御装置部は、前記出力機器に前記液体クロマトグラフ装置の自動化実行工程の変更を設定する設定画面を表示することを特徴とする液体クロマトグラフ装置。
【請求項4】
請求項1の液体クロマトグラフ装置において、
前記液体クロマトグラフ装置の自動化実行工程が変更されて実行されたことを示す検知器を備えることを特徴とする液体クロマトグラフ装置。
【請求項1】
入力機器、出力機器及び制御装置部を具備する液体クロマトグラフ装置において、
前記制御装置部は、前記出力機器にパスワードの入力画面を表示し、
前記入力機器で入力されたパスワードが予め設定されたパスワードに合致した場合に、前記液体クロマトグラフ装置の自動化実行工程の中断及び/又は時間短縮の変更を可能とすることを特徴とする液体クロマトグラフ装置。
【請求項2】
請求項1の液体クロマトグラフ装置において、
前記制御装置部は、前記液体クロマトグラフ装置の自動化実行工程のうち、選択された工程を実行せずに又は時間を短縮して実行することを特徴とする液体クロマトグラフ装置。
【請求項3】
請求項1の液体クロマトグラフ装置において、
前記制御装置部は、前記出力機器に前記液体クロマトグラフ装置の自動化実行工程の変更を設定する設定画面を表示することを特徴とする液体クロマトグラフ装置。
【請求項4】
請求項1の液体クロマトグラフ装置において、
前記液体クロマトグラフ装置の自動化実行工程が変更されて実行されたことを示す検知器を備えることを特徴とする液体クロマトグラフ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図2】
【図3】
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【図19】
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【図23】
【図24】
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【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【公開番号】特開2012−145595(P2012−145595A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−105591(P2012−105591)
【出願日】平成24年5月7日(2012.5.7)
【分割の表示】特願2010−7677(P2010−7677)の分割
【原出願日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(000000066)味の素株式会社 (887)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年5月7日(2012.5.7)
【分割の表示】特願2010−7677(P2010−7677)の分割
【原出願日】平成17年8月4日(2005.8.4)
【出願人】(000000066)味の素株式会社 (887)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
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