説明

液体充填機

【課題】ビール、清涼飲料等の飲料液体をたる等の液体容器に充填する液体充填機であって、飲料液体を充填する際、滞留部に滞留した飲料液体の滞留液を品質の劣化を起こさせずに充填する。
【解決手段】液体容器2に口金3を通して下方向から飲料液体を充填する液体充填機1であって、液体容器2の口金3に当接し、上下に移動自在なシリンダーロッド4と、このシリンダーロッド4の中心長手方向に貫通された排気孔7と、シリンダーロッド4の周辺に設けられた滞留部5と、滞留部5に連通された供給配管6と、滞留部5に上下に摺動自在に嵌着され、滞留部5に滞留された飲料液体を液体容器2内に押し込む押込みシリンダー8とを備えて構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はビール、清涼飲料等の飲料液体をたる等の液体容器に充填する液体充填機に係り、詳細には、飲料液体を充填する際、液体通過部の滞留部を残留させないようにした液体充填機に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の液体充填機として、従来、図5に示すものが知られている。これを図5に従って詳述すると、図5の液体充填機1は液体容器2を逆さにし、下方向から口金3を通して飲料液体を充填する形式のものであって、口金3と当接するシリンダーロッド4と、このシリンダーロッド4の口金3側周辺に設けられた、口金3から充填する液体等を通過させる滞留部5と、飲料液体を図示しない供給源から液体容器2内に送液する供給配管6とを主に備えて構成される。
【0003】
図5の液体充填機1は操作に当たり、充填前の空の液体容器2を図示しない搬送装置で搬送の後、図2に示されるようにシリンダーロッド4を押し上げて液体容器2の口金3を開くと同時に、シリンダーロッド4を液体容器2に接続する。次いで、充填液制御バルブ11を開き、飲料液体の供給配管6を液体容器2内に連通して飲料液体を液体容器2内に矢印方向に充填し、同時に液体容器2に封入されている気体を液体容器2内の気体抜き管10、シリンダーロッド4の中央長手方向に貫通して設けられた排気孔7、次いで排気ライン13を通して液体容器2内から矢印方向に排気する。このとき、充填中の飲料液体が滞留部5に充満している。
【0004】
充填が所定量に達したら、図4に示されるようにシリンダーロッド4を引き下げて液体容器2の口金3を閉じ、飲料液体の充填を完了する。滞留部5に滞留している滞留液は滞留部5に連通している図5の排出ライン9を通して排出される。
【0005】
排出ライン9へ排出された飲料液体は外気と接触するため、品質が劣化してしまい、これを製品として再生するためには大きなコストをかけて複雑な処理を行なうか、または廃却を余儀なくされていた。また、滞留を小さくすべく、液体充填機の改良もなされているが、今だに充分なものではない。
【特許文献1】特開平8−230988
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする課題はビール、清涼飲料等の飲料液体をたる等の液体容器に口金を通して下方向から充填する際, 滞留部に滞留した飲料液体を液体容器内へ充填することにより、上述の公知技術に存する欠点を改良した液体充填機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するため、本発明によれば、液体容器に口金を通して下方向から飲料液体を充填する飲料液体において、前記液体容器の口金に当接し、上下に移動自在なシリンダーロッドと、このシリンダーロッドの中心長手方向に貫通された排気孔と、前記シリンダーロッドの周辺に設けられた滞留部と、この滞留部に連通された飲料液体の供給配管と、前記滞留部に上下に摺動自在に嵌着され、滞留部に滞留された飲料液体を液体容器内に押し込む押込みシリンダーとを備えてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
上述構成からなる本発明の液体充填機は滞留部に押込みシリンダーを上下に摺動自在に嵌着し、この押込みシリンダーを上方に摺動することにより、滞留部に滞留している飲料液体を外気に触れさせずに液体容器内に押し込むようにしたから、滞留液を品質の劣化を招かずに液体容器内に充填でき、無駄が生じない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を添付図面を用いて詳述する。
図1は本発明にかかる液体充填機の一具体例の断面図であって、口金を開いて飲料液体を液体容器に充填している状態を表す。図2は口金を開いた状態の部分拡大断面図である。図3は押込みシリンダーを上方に摺動して滞留部に滞留している飲料液体を液体容器内に押し込み、次いでシリンダーロッドを引き下げて口金を閉じた状態の断面図である。図4は口金を閉じた状態の部分拡大断面図である。図5は従来の公知液体充填機の断面図である。
【0010】
図1〜図4に示されるように、本発明の液体充填機1はビールだる等の液体容器2を逆さにして下方向から口金3を通してビール、発泡清涼飲料等の飲料液体を充填する形式のものであって、液体容器2の口金3に当接し、上下に移動自在なシリンダーロッド4と、このシリンダーロッド4の中心長手方向に貫通された排気孔7と、シリンダーロッド4の周辺に設けられた飲料液体の滞留部5と、滞留部5に連通された飲料液体の供給配管6と、滞留部5に上下に摺動自在に嵌着された滞留液の押込みシリンダー8とを備えて構成される。
【0011】
上述の構成からなる本発明にかかる液体充填機1は図1および図2に示されるように、シリンダーロッド4を押し上げて液体容器2の口金3を開き、かつ押込みシリンダー8を下方に摺動し、供給配管6を滞留部5を通して液体容器2内に連通するとともに、排気孔7を気体抜き管10を通して液体容器2内に連通し、これにより、飲料液体を供給配管6から滞留部5を介して液体容器2内に充填し、かつ液体容器2に封入されている気体を排気孔7から排気する。
【0012】
次いで、図3および図4に示されるように、押込みシリンダー8を上方に摺動して移動し、滞留部に滞留している飲料液体を液体容器2内に押し込んだ後、シリンダーロッド4を引き下げて液体容器2の口金3を閉じ、滞留部5および排気孔7を液体容器2内から遮断する。
【0013】
本発明の特徴は滞留部5に押込みシリンダー8を上下に摺動自在に嵌着したことに存する。これにより押込みシリンダー8を上方に摺動し、滞留部5に滞留している飲料液体を外気に触れさせずに液体容器2内に押し込むことができ、滞留液を品質の劣化を招かずに液体容器2内に充填でき、無駄が生じない。
【0014】
上述の本発明液体充填機1は操作に当たり、まず、充填前の空の液体容器2を図示しない搬送装置で搬送し、図1および図2に示されるようにセットの後、シリンダーロッド4を押し上げて液体容器2の口金3を開き、滞留部5を液体容器2内に連通する。図1は口金3を開いた状態の液体充填機1全体の断面図、図2は口金3の開いた状態の拡大部分断面図である。
【0015】
次いで、充填液制御バルブ11および排気制御バルブ12を開き、飲料液体の供給配管6を液体容器2内に連通して図示しない供給源から飲料液体を供給配管6および滞留部5を通して液体容器2内に矢印方向に充填する。同時に液体容器2内に封入されている気体を、液体容器2内の気体抜き管10、シリンダーロッド4の中央長手方向に貫通して設けられた排気孔7、次いで排気ライン13を通して液体容器2内から矢印方向に排気する。飲料液体の充填量が図示しない流量計に設定した所定量に達したときに、供給配管6の充填液制御バルブ11と、排気ライン13の排気制御バルブ12とを閉じる。これにより液体容器2への飲料液体の充填が完了する。このとき、滞留部5には飲料液体が充満している。
【0016】
次いで、図3に示されるように、押込みシリンダー8を上方に摺動し、滞留部5に滞留している飲料液体を外気に触れさせずに液体容器2内に押し込んだ後、図4に示されるように、シリンダーロッド4を引き下げて液体容器2の口金3を閉じ、これにより液体容器2の内部と液体充填機1が切り離される。
【産業上の利用可能性】
【0017】
上述構成からなる本発明の液体充填機1は滞留部5に押込みシリンダー8を上下に摺動自在に嵌着し、この押込みシリンダー8を上方に摺動することにより、滞留部5に滞留している飲料液体を外気に触れさせずに液体容器2内に押し込むようにしたから、滞留液を品質の劣化を招かずに充填でき、飲料液体の無駄が生じない。したがって、本発明はビール製造工場、清涼飲料製造工場等、飲料を扱う食品工場において利用可能性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明にかかる液体充填機の一具体例の断面図であって、口金を開いて飲料液体を液体容器に充填している状態を表す。
【図2】口金を開いた状態の部分拡大断面図である。
【図3】押込みシリンダーを上方に摺動して滞留部に滞留している飲料液体を液体容器内に押し込み、シリンダーロッドを引き下げて口金を閉じた状態の断面図である。
【図4】口金を閉じた状態の部分拡大断面図である。
【図5】従来の公知液体充填機の断面図である。
【符号の説明】
【0019】
1 液体充填機
2 液体容器
3 口金
4 シリンダーロッド
5 滞留部
6 供給配管
7 排気孔
8 押込みシリンダー
10 気体抜き管
13 排気ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体容器に口金を通して下方向から飲料液体を充填する液体充填機において、前記液体容器の口金に当接し、上下に移動自在なシリンダーロッドと、このシリンダーロッドの中心長手方向に貫通された排気孔と、前記シリンダーロッドの周辺に設けられた飲料液体の滞留部と、この滞留部に連通された飲料液体の供給配管と、前記滞留部に上下に摺動自在に嵌着され、滞留部に滞留された飲料液体を液体容器内に押込む押込みシリンダーとを備えてなる液体充填機。
【請求項2】
請求項1において、前記シリンダーロッドを押し上げて液体容器の口金を開き、かつ、押込みシリンダーを下方に摺動して供給配管を滞留部を通して液体容器内に連通するとともに、排気孔を液体容器内と連通し、これにより飲料液体を供給配管から滞留部を介して液体容器内に充填し、かつ、液体容器に封入されている気体を排気孔から排気し、次いで、押込みシリンダーを上方に摺動して滞留部に滞留している飲料液体を液体容器内に押し込んだ後、シリンダーロッドを引き下げて液体容器の口金を閉じることを特徴とする請求項1に記載の液体充填機。
【請求項3】
請求項1において、飲料液体がビール、または発泡清涼飲料である請求項1に記載の液体充填機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−36339(P2006−36339A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−222902(P2004−222902)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【出願人】(000145149)株式会社滋賀山下 (25)
【Fターム(参考)】