説明

液体害虫防除配合物

本発明は、害虫防除活性成分としての合成ピレスロイドと、合成ピレスロイドの感覚異常症を軽減又は除去するための薬剤であって、精製ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ニコチン酸トコフェロール及びコハク酸トコフェロール、及びそれらの組合せから成る群から選択される薬剤とを含む、液体害虫防除系に関する。この系は合成ピレスロイドを効率的且つ均一に放出する。この害虫防除系は、従来技術の系よりも、動物の皮膚、特に小型種の犬に対する刺激が少ない。この系は液体スポットオン治療薬、スプレイなどを作成するのに有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本特許出願は2010年9月4日提出の、米国特許非仮出願第12/876,122号及び2009年10月8日提出の、米国特許仮出願第61/249,968号の利益を主張するものであり、当該出願の開示全体を引用として本明細書に含める。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、害虫防除活性成分としての合成ピレスロイドと、合成ピレスロイドの感覚異常症を軽減又は除去するための薬剤とを含む液体害虫防除系に関する。この系は合成ピレスロイドを効率的且つ均一に放出する。この害虫防除系は、従来技術の系よりも、動物の皮膚、特に小型種の犬に対する刺激が少ない。この系は液体スポットオン治療薬、スプレイなどを作成するのに有用である。
【0003】
(背景技術)
多くの害虫防除活性成分は、温血動物(ヒトを含む)に対して、刺激(感覚異常症)を引き起こす。この温血動物の皮膚や目に対する刺激が、これらの害虫防除活性成分の使用を妨げている。この刺激因子は、害虫防除活性成分がポリマーと配合され、あるいは他の配合物(顆粒、粉末、ディップ、液体、乳化剤など)の中に配合され、活性成分がかなり希釈されているような場合であっても発生する。
【0004】
合成ピレスロイド級の殺虫剤は、皮膚に接触するように処方されると、感覚異常症を起こすことで知られており、その感覚異常症の程度は合成ピレスロイドに依存して様々である。一般に感覚異常症の程度が高いほど、様々な害虫に対してピレスロイドの活性が高くなる。また分子構造中にシアノ基を持つものは、より高い程度の感覚異常症を引き起こす。感覚異常症は一時的現象であるが、より高い程度の感覚異常症は、適用した動物の皮膚に重度の外傷を引き起こし、そして苦痛が治まるまでに数日、皮膚自体が修復するのには数週間必要であることが知られている。そのため、いくつかの最も有益且つ効果的なピレスロイドは、動物に与える皮膚疾患が許容不能であるという理由から、その動物に使用されないという結果になっている。
【0005】
ピレスロイドの感覚異常症の影響を予防又は軽減するための努力がなされてきており、いくつか成功している。しかしこれらの技術を全種類の犬集団に対して市場開発するにあたり、全犬集団の内、小さい割合を占める最小犬種が他の一般的な犬集団よりもピレスロイドが引き起こす感覚異常症に罹りやすいこと、そしてこの種類の小型犬の感覚異常症は受け入れがたいものであるということがわかった。
【0006】
小型の犬種の感覚異常症も含めた感覚異常症を軽減するだけでなく除去する合成ピレスロイド含有製品が提供され、そして動物の治療に適切であろう液体の合成ピレスロイド含有製品が提供されることは望ましいことであろう。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、害虫防除活性薬剤の温血哺乳類、特に犬に対する刺激を軽減又は除去しつつ、害虫防除活性薬剤又は活性薬剤の混合物を制御送達する方法及び組成物に向けられたものである。いかなる犬もこの組成物の使用によって利益を受けるであろうが、特に注目するのは、チワワ、シーズー犬、ジャックラッセル及び他の小型テリア、パピリオン、ブリュッセルグリフォン、ラサアプソー、日本チン、プラッキークリサリクなどを含むがそれに限定されない小型種の犬であり、これらは一般的にピレスロイドが誘発する感覚異常症の影響を最も受けやすい。更に特に、本発明の害虫防除系は、害虫防除活性薬剤としての合成ピレスロイドと、感覚異常症を軽減又は除去する薬剤(本明細書及び付属の請求項においては、「感覚異常症軽減剤」と識別する)とを含有する。この薬剤は、精製ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ニコチン酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、及びそれらの組合せから成る群から選択される。
【0008】
本発明の配合物は、選択された特定の合成ピレスロイドや、最終製品の形状及び使用目的に依存して所要または所望となる他の成分を随意的に含みうる。そのような随意的な成分としては、付加的な非−合成ピレスロイドの殺虫性活性薬剤;水、溶剤等の系キャリア;共力剤;香料;着色剤;保存料;酸化防止剤;光安定剤;等があるが、限定されることはない。その結果作成される液体害虫防除系の例としては、ディップ、スプレイ、又はスポットオンが含まれるがそれに限定されない。
【0009】
本発明は更に、液体害虫防除系中の液体合成ピレスロイドによって温血動物、特に犬、具体的には小型種の犬に対して引き起こされる刺激を軽減又は除去するための方法に向けられる。この方法は感覚異常症軽減剤(精製ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ニコチン酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、及びそれらの組合せ、から成る群から選択される)を、害虫防除配合物中の合成ピレスロイドに結合させる工程を含む。感覚異常症軽減剤(類)の存在量は、合成ピレスロイドの温血動物に対する刺激を軽減又は除去するために有効な量である。多くの実験を行うことなく、当業者であれば誰でも本明細書の説明に従ってそのような量を決定することができる。
【0010】
本発明の系は、感覚異常症−誘発性ではない、安定な配合物を提供するもので、1つの実施態様において、それは高率の合成ピレスロイドを含みうる。本発明は更に、通常は合成ピレスロイドによって引き起こされるであろう刺激を軽減又は除去しつつ、室温において安定な液体配合物中で高濃度の合成ピレスロイドを可能にする。本発明の配合物は、合成ピレスロイドの生物活性を低下させないので、有効である。本発明はピレスロイドが誘発する感覚異常症にもっとも罹りやすい小型の犬種を含む犬に対する合成ピレスロイドの刺激を軽減又は除去するのに特に有用である。
(発明の詳細な説明)
【0011】
「1種」は、本明細書中に用いられる場合は、特に指定されない限り1種又はそれ以上を意味する。
【0012】
「約」及び「およそ」という用語は、本明細書中に用いられる場合は、その値が統計学上有意な範囲内であることを示す。そのような範囲とは、代表的には所与の値又は範囲の、20%以内、より代表的には10%、更により一代表的には5%範囲でありうる。用語「約」及び「およそ」によって包含される変化量の許容範囲は、検討する特定の系に依存するものであり、当業者であれば誰でも容易に理解できる。
【0013】
用語「感覚異常症」は、本明細書中及び付属の請求項中に用いられる場合は、主として、皮膚における感覚(例えば、ほてり感、ヒリヒリ感、しびれ感、及び/又はチクチク感の原因となる一時的な状態として定義される。
【0014】
「感覚異常症を除去する」という語句は、本明細書中及び付属の請求項中において用いられる場合は、以下の実施例において記載されるように、ヒトの耳による分析(Human Ear Assay)での、配合物の感覚異常症評価(Paresthesia Rating)が、少なくとも24時間の間、1未満であることを意味する。
【0015】
「感覚異常症軽減剤」は、本明細書中に用いられる場合は、犬及び特に小型種の犬を含む動物における感覚異常症を軽減又は除去する薬剤であって、精製ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ニコチン酸トコフェロール及びコハク酸トコフェロール、及びそれらの組合せから成る群から選択される薬剤を意味する。
【0016】
感覚異常症などの状態の「治療(treatment)」又は「治療工程(treating)」という用語は、本明細書中に用いられる場合は、その状態を阻止する、又は進行を止める;あるいはその状態を改善する、又は退行を引き起こすことを含む。
【0017】
「殺虫剤」又は「殺虫性」という用語は、本明細書中に用いられる場合は、害虫の蔓延を予防、軽減又は除去することが可能な薬剤を含有する薬剤、又は組成物を意味する。本発明の好ましい殺虫剤は、合成ピレスロイドを含む。
【0018】
「害虫」及び「虫」という用語は、本明細書中に用いられる場合は、ノミ、ダニ(ticks)、ハエ、ヒツジシラミバエ、蚊、及びダニ(mites)を含むがそれに限定されない、任意の外部寄生虫を意味する。
【0019】
「動物」又は「動物類」という用語は、本明細書中に用いられる場合は、温血哺乳類又は哺乳類、特に小型犬を含む犬を意味する。
【0020】
「小型の犬」「小型種の犬」及び「小型の犬種」という用語は、本明細書中に用いられる場合は、体重が22ポンド未満、又は身長が16インチ未満の犬又は犬の種類を意味する。
【0021】
本発明において用いられる害虫防除活性薬剤は、温血動物において感覚異常症を引き起こすとして知られる任意の活性薬剤、例えば合成ピレスロイドを含むがそれに限定されない、から選択されるものでありうる。例えば合成ピレスロイドは神経に有毒として認識されている、強力な脂肪親和性の殺虫剤であり、殺虫剤に接触する害虫の神経系に影響を与える。ピレスロイドは、哺乳類に対するより、虫に対して有害性が高く、虫は化合物に接触すると死ぬ;しかし、ピレスロイドを用いて治療される哺乳類が一時的な感覚異常症に罹ることもまれなこどではない。一定の感覚異常症軽減剤に加えて、合成ピレスロイドを含有する配合物を用いて哺乳類を治療することは、哺乳類に対するピレスロイドの影響を軽減又は除去する。
【0022】
本発明は、配合物中の高濃度の液体合成ピレスロイドを送達するために特に有用であるものの、それに限定されることなく、任意の濃度の合成ピレスロイドを用いて、活性薬剤の殺虫剤の効果を維持しながら、感覚異常症を引き起こす活性薬剤の感覚異常症の影響を軽減又は除去するという望ましい結果を得るためにも本発明は有用である。本発明の配合物の中に、1種又はそれ以上の殺虫活性薬剤が含まれうる。それは合成ピレスロイド以外の活性薬剤及び、感覚異常症を引き起こさない活性薬剤を含有しうるが、配合物中の少なくとも1種の活性薬剤が合成ピレスロイドである。害虫や虫に対して有効である例示的な殺虫剤及び防虫剤は、ピレスリン(pyrethrin)、サイパーメスリン(cypermethrin)、デカメスリン(decamethrin)、サイハロスリン(cyhalothrin)、フルメスリン(flumethrin)、サイフルスリン(cyfluthrin)、フェンバレレート(fenvalerate)、デルタメスリン(deltamethrin)、フェムプロパスリン(fempropathrin)、フルバリネート(fluvalinate)、フルシトリネート(flucythrinate)、サイフルスリン(cyfluthrin)、アルファメスリン(alphamethrin)、トラロメスリン(tralomethrin)、サイクロプロスリン(cycloprothrin)、カレート(karate)、サイフェノスリン(cyphenothrin)(GokilahtTM)、又は、その分子構造中にシアノ基を持つ任意の合成ピレスロイドである。1つの実施態様において、害虫防除活性薬剤は、その分子構造にシアノ基を持つ合成ピレスロイドである。
【0023】
いくつかの実施態様において、合成ピレスロイドは、配合物の少なくとも約1wt%、2wt%、10wt%,、20wt%、30wt%、40wt%、45wt%、又は50wt%を構成する。例えば、配合物中に存在する合成ピレスロイドの量は、約1wt%〜約50wt%の範囲、好ましくは約20wt%〜約45wt%の範囲で変化しうる。他の実施態様において、配合物中に存在する合成ピレスロイドの量は、約1wt%〜約30wt%の範囲でありうる。更に別の実施態様において、配合物中に存在する合成ピレスロイドの量は、約10wt%〜約20wt%の範囲でありうる。更に別の実施態様において、配合物中に存在する合成ピレスロイドの量は約30wt%〜約50wt%の範囲でありうる。
【0024】
これらの活性薬剤の多くは、殺虫剤及び防虫剤の両方として有効であり、そして、共力剤を含むことによって、多くの薬剤の活性が強化される。適切な共力剤は、当業者には公知であり、あるいは多くの実験を行うことなく決定することができる。これらのものの例としては、ピペロニルブトキシド及びN−オクチルビシクロヘプテンジカルボキシミド(octyl bicycloheptene dicarboximide)があるが、それに限定されない。
【0025】
本発明の組成物の第2の成分は、精製ジエチレングリコールモノエチルエーテル(CTFA/INCI名:エトキシジグリコール)、ニコチン酸トコフェロール及びコハク酸トコフェロール、及びそれらの組合せから成る群から選択される感覚異常症軽減剤である。1つの実施態様において、1種の感覚異常症軽減剤だけが配合物中に存在する。1つの実施態様において、2種の感覚異常症軽減剤の組合せが配合物中に存在する。1つの実施態様において、3種の感覚異常症軽減剤がすべて配合物中に存在する。
【0026】
ジエチレングリコールモノエチルエーテルは、本発明で用いるためには、「精製」として指定される以下の仕様を満たすものでなければならない:

【0027】
このエーテルは、高濃度(最大約30wt%又はそれ以上、あるいは最大約50wt%又はそれ以上、あるいは最大約90wt%又はそれ以上)の液体合成ピレスロイドと相溶性がある。
【0028】
合成ピレスロイドに対する、配合物中における感覚異常症軽減剤の総量は、合成ピレスロイドによって、引き起こされる刺激又は感覚異常症を軽減又は除去するために有効な量である。有効量は、本明細書の記載に沿った通常の実験によって容易に決定可能である。一般的に、活性薬剤の刺激値を低下させるためには、配合物中の感覚異常症軽減剤(類)の総量は、合成ピレスロイドの量と等しい量以上であり、多くの場合、配合物中の感覚異常症軽減剤(類)の量は、配合物中の合成ピレスロイドの量の2倍から数倍であるべきである。したがって、1つの実施態様において、感覚異常症軽減剤(類)対合成ピレスロイドの比率は、約1:1〜約99.9:0.1でありうる。別の実施態様において、該比率は、約1:1〜約5:1でありうる。更に別の実施態様において、該比率は、約1:1〜約2:1でありうる。ニコチン酸トコフェロール及びコハク酸トコフェロールの両方が配合物中に存在する場合は、ニコチン酸対コハク酸の比率は、約1:1〜約3:1である。
【0029】
感覚異常症軽減剤の量は、配合物中に用いられる特定の薬剤又は薬剤の組合せに依存して変化しうる。いくつかの実施態様において、感覚異常症軽減剤は、配合物の、約0.1wt%、1wt%、2wt%、5wt%、10wt%、20wt%、30wt%、40wt%、45wt%、50wt%、55wt%、60wt%、65wt%、70wt%、75wt%、80wt%、85wt%、90wt%、95wt%、98wt%、又は99wt%以上を構成する。例えば配合物中に存在する感覚異常症軽減剤量のは、約1wt%〜約99wt%の範囲でありうる。1つの実施態様において、配合物中に存在する感覚異常症軽減剤の量は、約50wt%〜約99wt%の範囲でありうる。別の実施態様において、配合物中に存在する感覚異常症軽減剤の量は約1wt%〜約50wt%の範囲でありうる。更に別の実施態様において、配合物中に存在する感覚異常症軽減剤の量は約0.1wt%〜約30wt%の範囲でありうる。更に別の実施態様において、配合物中に存在する感覚異常症軽減剤の量は約5wt%〜約40wt%の範囲でありうる。
【0030】
1つの実施態様において、感覚異常症軽減剤はニコチン酸トコフェロールであり、それは好ましくは、約1%〜約50wt%の量で配合物中に存在する。別の実施態様において、感覚異常症軽減剤はコハク酸トコフェロールであり、それは好ましくは約1wt%〜約30wt%の量で配合物中に存在する。更に別の実施態様において、感覚異常症軽減剤は、ジエチレングリコールモノエチルエーテル及びニコチン酸トコフェロールの組合せであり、ジエチレングリコールモノエチルエーテルは、好ましくは約1wt%〜約98wt%の量で配合物中に存在し、ニコチン酸トコフェロールは好ましくは約1wt%〜約50wt%の量で配合物中に存在する。更に別の実施態様において、感覚異常症軽減剤はジエチレングリコールモノエチルエーテル及びコハク酸トコフェロールの組合せであり、ジエチレングリコールモノエチルエーテルは好ましくは約1wt%〜約98wt%の量で配合物中に存在し、コハク酸トコフェロールは好ましくは約0.1wt%〜約30wt%の量で配合物中に存在する。更に別の実施態様において、感覚異常症軽減剤はニコチン酸トコフェロール及びコハク酸トコフェロールの組合せであり、好ましくは、約5wt%〜約40wt%の量で配合物中に存在し、ニコチン酸対コハク酸の比率は約1:1〜約3:1である。別の実施態様において、感覚異常症軽減剤はジエチレングリコールモノエチルエーテルであり、それは好ましくは約1wt%〜約99wt%の量で配合物中に存在する。
【0031】
本発明に記載の害虫防除系を調製するには、合成ピレスロイド害虫防除活性薬剤及びエーテル成分を、選択した個々の活性薬剤、及び最終製品の形態や使用目的に依存して所要または所望となる他の成分と共に混合する。次に、その結果生成された配合物を加工して所望の害虫防除系にする。
【0032】
例えば、1種又はそれ以上の害虫防除薬剤(類)及び1種又はそれ以上の感覚異常症軽減剤を、適切な有機溶剤、水性溶剤、又はそれらの混合物と共に混合する。活性薬剤(類)が任意の随意的な付加成分と共に液体の最終製品を形成するように液体キャリアを選択する。
【0033】
以下の実施例は、本発明を更に説明及び記述するために意図されたものである。したがって、本発明は、これら実施例の細部のいかなる部分にも限定されるべきではない。各部は、特に記載がない場合、パーセント及び華氏温度として表示する。
(実施例)
【実施例1】
【0034】
(製造手順)
配合物A〜LL(下の表1参照)を次のように調製した:全成分を秤量し、加熱容器に添加した。次に容器を140°Fまで加熱し、そして成分を均質な混合物が得られるまで攪拌した。混合物を室温まで冷却した。
【表1】


注* GokilahtTM テクニカル 94.5%(d−サイフェノスリン(cyphenothrin); 合成ピレスロイド); MGK Company社から入手可能。
注** NylarTM テクニカル 100%(虫成長制御剤;およそ50wt%のピリプロキシフェン(pyriproxyfen)及びおよそ50wt%のコーンオイルを含む);MGK Company社から入手可能。
注^ Isopar MTM (Exxon Chemicals社から入手可能)のような脂肪族溶剤。
注+ Transcutol CGは精製ジエチレングリコールモノエチルエーテルである;Gattefosse´Corp社から供給。
注# ニコチン酸トコフェロール及びコハク酸トコフェロールは、Sigma−Aldrich Corporation社から入手可能である。
【0035】
(試験):
ヒト耳アッセイは各配合物の効果の差異を識別することが可能である。耳たぶに活性薬剤が急激に浸透することと、耳たぶの三叉神経系の下顎骨の存在とが、アッセイの感度を増大する傾向がある。総体積10μLの配合物を、活性体積(%)を4μLの技術活性に調整し、ヒトの耳たぶに適用することによって、長時間にわたり、配合物の感覚異常症を評価する許容可能な方法が提供されると判断されている。
【0036】
本発明の発見を評価する目的のために、そして感覚異常症軽減剤に対する活性薬剤の有用な比率の決定を補助するために、以下のスクリーニング手順を設定した。:
【0037】
1. 評価のための配合物を選択する。
【0038】
2.評価すべき配合物を10μL試料をピペットで取り、ヒトの耳たぶの上に乗せ、物理的に不かく乱状態で放置する。この試料の感覚異常症の影響を24時間の間、評価する。
【0039】
3. 配合物を耳たぶに適用した後、15分、30分、45分、1時間、そして、その後、24時間までの各時間間隔で「感覚異常症評価」を行う。
【0040】
4. 刺激又は感度の値は、以下のスケール(「感覚異常症評価」)に従って、割り当てる。:
0 = 感覚がない(no sensation)
1 = 僅かに感覚がある(slight sensation)
2 = 感覚がある/違和感はない(sensation / no discomfort)
3 = 顕著な感覚がある(noticeable sensation)
4 = 僅かに違和感がある(slight discomfort)
5 = 顕著に違和感がある(noticeable discomfort)
6 = 不快感がある (uncomfortable)
7 = 非常に不快感がある (very uncomfortable)
8 = 中程度の痛みがある (moderate hurting)
9 = 痛みがある (hurting)
10 = ひどい痛みがある (severe hurting)
【0041】
表1の配合物A〜Vは、この手順に従ってスクリーニングしたもので、24時間のうちのいかなる時間においても、感覚異常症評価(「PR」)が1未満であり、24時間においてはPRが0であることがわかった。配合物W及びGGも試験して、24時間のうちのいかなる時間においても、感覚異常症評価(「PR」)が1未満であり、24時間においてはPRが0であることがわかった。
【実施例2】
【0042】
配合物Gは、サイフェノスリンが誘発する感覚異常症に罹りやすい家系を持つ3匹のシーズー犬の子犬で試験した。子犬を検査し元気で健康であることがわかった。子犬に1.5mLの配合物(1.45gm/.655gmのサイフェノスリン(0.687gm テクニカル Gokilaht))を用いて治療した。治療は各子犬の背中に、首の後ろから肩の後ろへ、用量を適用することによって行われた。子犬を目視観察により、刺激の兆候や、配合物の適用に対する反応を調べた。3匹の子犬は、配合物の適用後0〜31時間の間のどの時間においても、感覚異常症反応の兆候を示すことはなかった。
【実施例3】
【0043】
配合物Gを、実施例2の手順に従って2匹のチワワの成犬(2歳)で試験した。どちらの犬も、配合物の適用後0〜31時間の間のどの時間においても、感覚異常症反応の兆候を示すことはなかった。
【0044】
本書中に開示及び主張される組成物及び方法はすべて、本開示に従って、大量の実験を行うこと無しに作成及び実施することができる。本発明の組成物及び方法は、好ましい実施態様に関して説明してきたが、当業者にとっては、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、本書中に記載されたこれらの組成物及び方法に、そして方法の工程や工程の順番に、変更を加えうることは明らかであろう。更に詳細には、化学上及び生理学上の両方とも関連する薬剤類を、本書中に記載される薬剤に置換えて、同様の又は類似した結果を得ることができることは明らかであろう。当業者にとっては明らかであるこれらの類似物による置換及び変更はすべて、以下の請求項によって定義される本発明の精神、範囲及び概念に含まれるものとみなされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成ピレスロイドと、精製ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ニコチン酸トコフェロール、コハク酸トコフェロール、及びそれらの組合せから成る群から選択される感覚異常症軽減剤とを含有する液体害虫防除配合物であって、前記感覚異常症軽減剤は、前記合成ピレスロイドによって、哺乳類に対して引き起こされる、前記感覚異常症を軽減又は除去するために有効な量で存在する液体害虫防除配合物。
【請求項2】
感覚異常症軽減剤対合成ピレスロイドの比率は約1:1〜約99.9:0.1である、請求項1に記載の液体害虫防除配合物。
【請求項3】
前記合成ピレスロイドは、約1wt%〜約50wt%の量で存在し、そして前記感覚異常症軽減剤は約1wt%〜約99wt%の量で存在する、請求項1に記載の液体害虫防除配合物。
【請求項4】
前記感覚異常症軽減剤は精製ジエチレングリコールモノエチルエーテルであり、約1wt%〜約99wt%の量で存在する、請求項3に記載の液体害虫防除配合物。
【請求項5】
前記感覚異常症軽減剤はニコチン酸トコフェロールであり、約1wt%〜約50wt%の量で存在する、請求項3に記載の液体害虫防除配合物。
【請求項6】
前記感覚異常症軽減剤は、精製ジエチレングリコールモノエチルエーテル及びニコチン酸トコフェロールの組合せであり、前記精製ジエチレングリコールモノエチルエーテルは約1wt%〜約98wt%の量で存在し、前記ニコチン酸トコフェロールは約1wt%〜約50wt%の量で存在する、請求項3に記載の液体害虫防除配合物。
【請求項7】
前記感覚異常症軽減剤は精製ジエチレングリコールモノエチルエーテル及びコハク酸トコフェロールの組合せであり、そして前記精製ジエチレングリコールモノエチルエーテルは約1wt%〜約98wt%の量で存在し、前記ニコチン酸トコフェロールは約1wt%〜約30wt%の量で存在する、請求項3に記載の液体害虫防除配合物。
【請求項8】
前記感覚異常症軽減剤はニコチン酸トコフェロール及びコハク酸トコフェロールの組合せであり、約5wt%〜約40wt%の量で存在し、前記組合せにおける、ニコチン酸トコフェロール対コハク酸トコフェロールの比率は、約1:1〜約3:1である、請求項3に記載の液体害虫防除配合物。
【請求項9】
合成ピレスロイドと、精製ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ニコチン酸トコフェロール及びコハク酸トコフェロール、及びそれらの組合せから成る群から選択される感覚異常症軽減剤とを含有する液体害虫防除配合物であって、前記感覚異常症軽減剤は、前記合成ピレスロイドの、小型種の犬に対する、前記感覚異常症を軽減又は除去するために有効な量において存在する、液体害虫防除配合物。
【請求項10】
感覚異常症軽減剤対合成ピレスロイドの比率は、約1:1〜約99.9:0.1である、請求項9に記載の液体害虫防除配合物。
【請求項11】
前記合成ピレスロイドは、約1wt%〜約50wt%の量で存在し、前記感覚異常症軽減剤は約1wt%〜約99wt%の量で存在する、請求項9に記載の液体害虫防除配合物。
【請求項12】
前記感覚異常症軽減剤は精製ジエチレングリコールモノエチルエーテルであり、約1wt%〜約99wt%の量で存在する、請求項11に記載の液体害虫防除配合物。
【請求項13】
前記感覚異常症軽減剤はニコチン酸トコフェロールであり、約1wt%〜約50wt%の量で存在する、請求項11に記載の液体害虫防除配合物。
【請求項14】
前記感覚異常症軽減剤は精製ジエチレングリコールモノエチルエーテル及びニコチン酸トコフェロールの組合せであり、前記精製ジエチレングリコールモノエチルエーテルは約1wt%〜約98wt%の量で存在し、前記ニコチン酸トコフェロールは約1wt%〜約50wt%の量で存在する、請求項11に記載の液体害虫防除配合物。
【請求項15】
前記感覚異常症軽減剤は精製ジエチレングリコールモノエチルエーテル及びコハク酸トコフェロールの組合せであり、前記精製ジエチレングリコールモノエチルエーテルは約1wt%〜約98wt%の量で存在し、前記コハク酸トコフェロールは約1wt%〜約30wt%の量で存在する、請求項11に記載の液体害虫防除配合物。
【請求項16】
前記感覚異常症軽減剤はニコチン酸トコフェロール及びコハク酸トコフェロールの組合せであり、約5wt%〜約40wt%の量で存在し、前記組合せにおける、ニコチン酸トコフェロール対コハク酸トコフェロールの比率は、約1:1〜約3:1である、請求項11に記載の液体害虫防除配合物。
【請求項17】
合成ピレスロイドによって哺乳類に対して引き起こされる感覚異常症を軽減又は除去する方法であって、前記方法は、合成ピレスロイドと、精製ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ニコチン酸トコフェロール及びコハク酸トコフェロール、及びそれらの組合せ、から成る群から選択される感覚異常症軽減剤とを含有する液体害虫防除配合物を用いて、哺乳類を治療する方法であって、前記感覚異常症軽減剤は、前記合成ピレスロイドの前記哺乳類に対する前記感覚異常症を軽減又は除去するために有効な量において存在する、方法。
【請求項18】
前記哺乳類は犬である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記哺乳類は小型種の犬である、請求項17に記載の方法。

【公表番号】特表2013−507387(P2013−507387A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−533351(P2012−533351)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【国際出願番号】PCT/US2010/051999
【国際公開番号】WO2011/044475
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(512071167)
【Fターム(参考)】