説明

液体飛翔現像装置、および液体飛翔現像装置を備える画像形成装置

【課題】
現像液滴の飛翔速度の大幅な増加を抑制することによって、現像液滴の分裂、着弾時の飛び散りなどを防止する液体飛翔現像装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】
液体現像剤dvを貯留する現像槽63と、帯電した現像液滴Fを液体現像剤dvから形成し、現像液滴Fを担持しながら搬送する現像ローラ66と、現像ローラ66から静電潜像Dが形成された感光体ベルト1へ、現像液滴Fを供給するための飛翔電界を発生させる金属ローラ66bおよび回転軸66cとを備える現像装置6に、現像ローラ66の表面に担持された現像液滴Fが金属ローラ66bに電荷を誘起することを抑制する、現像ローラ表面層66aを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体現像剤からなる液滴を飛翔させることによって静電潜像を現像する液体飛翔現像装置、および液体飛翔現像装置を備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真方式を用いる画像形成装置は、感光体などの像担持体の表面を帯電させる帯電工程と、画像データに基づいて、帯電した像担持体に光を照射することによって、像担持体の表面に静電潜像を形成する露光工程と、像担持体上の静電潜像に、現像装置の現像ローラ表面に担持された現像剤を接触させることによって、静電潜像を現像する(トナー像を形成する)現像工程と、記録用紙上にトナー像を転写する転写工程と、トナー像を加熱して記録用紙に定着させる定着工程とを行って、所望の画像を形成する。
【0003】
定着工程を行う画像形成装置は、トナーを溶融するために大量の電力を消費する。この問題に対して、特許文献1および特許文献2は、液体現像剤を用いて現像を行う現像装置を備える画像形成装置を開示している。液体現像剤を用いる画像形成装置は、像担持体上に、液体現像剤によって現像液像を形成し、該現像液像を記録用紙に転写し、記録用紙に現像液像を浸透させた後、現像液像を乾燥させることによって画像を形成する。したがって、この画像形成装置は、トナー像の加熱定着が不要であり、大量の電力を必要としない。
【0004】
液体現像剤を用いる画像形成装置として、特許文献3には、静電潜像とのクーロン力により現像ローラ上の液体現像剤を飛翔させることによって、静電潜像を現像する現像装置を備える画像形成装置が記載されている。特許文献3に記載の現像装置によれば、撥水処理された現像ローラ表面から、現像液滴が安定して飛翔するので、液体現像剤による現像を安定して行うことができるとされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−5456号公報
【特許文献2】特開2004−341140号公報
【特許文献3】特開平6−295131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献3に記載の現像装置には、いくつかの問題点がある。特許文献3に記載の現像装置は、液供給ローラなどの規制部材を、現像ローラに押圧接触させることによって、現像ローラ上に現像液滴を形成している。規制部材の押付け力を弱めると、現像液滴が凝集して粗大化してしまう。また、規制部材の押付け力を強めると、現像液滴の数密度が減少してしまう。したがって、特許文献3に記載の現像装置では、現像ローラ上に、液滴径の小さな現像液滴を高い数密度で担持させることが難しく、高濃度で高精細な画像が得られない。
【0007】
また、特許文献3に記載の現像装置は、安定して液滴の形成を行うために、現像ローラ表面に凹凸が設けられ、凹部に液体現像剤を押し込むことによって現像液滴を形成している。しかしながら、このようにして現像液滴を形成すると、形成される現像液滴の液滴径、および現像液滴同士の間隔は、凹凸の形状によって決定されてしまう。そのため、現像ローラ表面は、凹凸が、等間隔で高密度に形成される必要がある。しかしながら、現像ローラ表面に、凹凸を、等間隔かつ高密度に形成することは難しいので、結果として、高濃度で高精細な画像が得がたい。
【0008】
さらに、特許文献1に記載の現像装置には、現像液滴が、飛翔時に分裂したり、像担持体への着弾時に飛び散ったりして、高精細な画像を得られないという問題がある。この問題を、図9および図10を用いて、より詳細に説明する。
【0009】
特許文献3に記載の現像装置において、現像液滴の分裂等が生じるのは、現像液滴の飛翔速度が大き過ぎるからであると考えられる。そこで、本件出願人は、像担持体に着弾する直前における、現像液滴の飛翔速度の予測値を、以下のシミュレーション1により求めた。図9は、シミュレーションモデルを示す図である。図9(a)はシミュレーションモデルを説明するための図であり、図9(b)は1次の鏡像電荷を説明するための図であり、図9(c)は2次の鏡像電荷を説明するための図である。
【0010】
<シミュレーション1>
(シミュレーション1の条件)
導電性を有する基材Aの上に誘電率3、厚み20μmの感光層Bが設けられた、感光体ベルトと、該感光体ベルトの感光層Bの鉛直下方200μmの位置に設けられる、導電性を有する現像ローラCとを備える画像形成装置を考える。感光体ベルトは−600Vに帯電した後、露光されて所定の静電潜像Dが形成される。また、現像ローラCと感光体ベルトとの間には電圧が印加されており、現像ローラC表面に垂直で、かつ、現像ローラと感光体ベルトとの間において一様な飛翔電界Eが発生する。
【0011】
(シミュレーションモデル)
図9(a)に示すように、感光体ベルトと現像ローラCとが平行平板となる2次元のモデルを考える。x方向を現像ローラCの表面に平行な方向とし、y方向を現像ローラCの表面から感光体ベルトの表面へ向かう、該表面に垂直な方向とする。現像ローラCの表面の位置がy方向における原点とする。
【0012】
現像ローラCに担持された1つの現像液滴F(直径R=8[μm]、帯電量Q=−5.36×10−15[C]、密度ρ=1.0[g/cm]、質量m=2.68×10−10[g]が、静電潜像に向かって飛翔することを考える。ここで、現像液滴Fは、剛体球として扱う。また、実際の画像形成装置では、感光層Bの未露光部に負電荷が存在し、静電潜像Dには電荷が存在しない負帯電の反転現像であるのに対して、シミュレーションにおける計算を簡略化するために、未露光部に負電荷がある状態を、静電潜像Dに正電荷Pが存在する状態へ置き換えることにより、負帯電の反転現像と等価の状態とした。ここで、静電潜像Dの幅Lを5.0mmとし、感光体の比誘電率ε=3.0、膜厚20μm、帯電電位−600Vより、電荷Pの線密度を、−8.0×10−4C/mとする。
【0013】
(現像液滴に加わる力の計算)
飛翔電界Eによって現像液滴Fに加わるクーロン力は、y方向のクーロン力|Q・E|である。これ以外にも、現像液滴Fにかかるクーロン力が存在する。1つ目のクーロン力は、現像液滴Fと、現像液滴Fによって基材A表面および現像ローラC表面に誘起される正電荷との間のクーロン力である。各表面に誘起される正電荷を直接求めるには複雑な計算が必要となるので、直接求める代わりに鏡像法を用いて、誘起される正電荷と現像液滴Fとの間のクーロン力の近似値を求める。鏡像法によれば、図9(b)に示すように、現像ローラC表面を中心として、現像液滴Fと対称な位置に、正の鏡像電荷Q’が存在すると仮定することができる。また、基材A表面を中心として、現像液滴Fと対称な位置に、正の鏡像電荷Q’’が存在すると仮定することができる。鏡像電荷Q’,Q’’は、現像液滴Fの負電荷Qと絶対値が等しい電荷である。
【0014】
また鏡像法によれば、1次の鏡像電荷Q’,Q’’によって、基材A表面および現像ローラC表面に負電荷が誘起されることになる。したがって、図9(c)に示すように、現像ローラC表面を中心として、1次の鏡像電荷Q’’と対称な位置に、2次の鏡像電荷である負の鏡像電荷Q’が存在すると仮定することができる。また、基材A表面を中心として、1次の鏡像電荷Q’と対称な位置に、2次の鏡像電荷である負の鏡像電荷Q’’が存在すると仮定することができる。2次の鏡像電荷Q’,Q’’も、現像液滴Fの負電荷Qと絶対値が等しい電荷である。
【0015】
このように、仮想的な電荷である鏡像電荷を順次求めることで、基材A表面および現像ローラC表面に誘起される真の正電荷と、現像液滴Fとの間のクーロン力の近似値を求めることができる。シミュレーション1では、10次までの鏡像電荷を考慮して、基材A表面および現像ローラC表面に誘起される正電荷と現像液滴Fとの間の、y方向のクーロン力の近似値F(Y)を算出した。F(Y)は、現像液滴Fのy座標Yに依存する力である。0[μm]≦Y<<100[μm]であるとき、F(Y)<0、すなわち、現像液滴Fは現像ローラC表面に引き寄せられる。100[μm]<<Y≦200[μm]であるとき、F(Y)>0、すなわち、現像液滴Fは感光層B表面に引き寄せられる。
【0016】
現像液滴Fにかかる2つ目のクーロン力は、静電潜像Dの正電荷Pと現像液滴Fとの間で生じる、y方向のクーロン力F(Y)である。F(Y)は、現像液滴Fのy座標Yに依存する力である。F(Y)は常に正である。すなわち、現像液滴Fは静電潜像Dの正電荷Pによって、常に感光層B表面に引き寄せられる。F(Y)は、Yが大きくなるにつれて大きくなる。
【0017】
現像液滴Fにかかる3つ目のクーロン力は、現像液滴Fと、静電潜像Dの正電荷Pによって基材A表面および現像ローラC表面に誘起される負電荷との間の、y方向のクーロン力F(Y)である。F(Y)は、F(Y)と同様に、鏡像法を用いて、10次までの鏡像電荷を考慮して、近似値として算出される。F(Y)は、現像液滴Fのy座標Yに依存する力である。
【0018】
飛翔電界Eと上述した3つのクーロン力とから、現像液滴Fにかかるy方向の電界E(Y)は、E(Y)=E+(F(Y)+F(Y)+F(Y))/|Q|となり、現像液滴Fにかかるy方向のクーロン力の総和は、Q・E(Y)となる。また、水平方向への飛翔では問題とならないけれども、鉛直方向へ現像液滴Fを飛翔させる際には、現像液滴Fにかかるy方向下向きの重力m・gが減速力として作用する(重力加速度g=9.8[m/s])。したがって、現像液滴Fにかかる力の総和は、Q・E(Y)−m・gである。ここで、飛翔電界Eは、現像液滴Fが飛翔でき、かつ、現像液滴Fの飛翔速度Vが可能な限り小さくなるように設定される。すなわち、飛翔電界Eは、現像ローラC付近における、現像液滴Fにかかる力の総和Q・E(Y)−m・gが、0に近く、現像ローラCから離れる向きの力となるように設定される。さらに、現像ローラC表面の撥水処理が不十分な場合あって、該表面と現像液滴Fとの間に分子間力が作用し、該分子間力が無視できない場合には、重力と同様に分子間力を配慮すればよい。
【0019】
(シミュレーション結果)
図10は、シミュレーション1の結果を示す図である。図10(a)に、E(Y)、E、およびE(Y)=(F(Y)+F(Y)+F(Y))/|Q|と、現像液滴Fのy座標Yとの関係を示す。グラフGは電界E(Y)を示し、グラフGは電界Eを示し、グラフGは電界E(Y)を示す。縦軸は、現像ローラCから感光体ベルトへ向かう方向を正とした電界の大きさ[V/m]を表し、横軸は、現像液滴Fのy座標Y[μm]を表す。
【0020】
電界E(Y)は、現像ローラC表面付近では正となるので、飛翔電界Eが形成されなければ、負電荷Qを有する現像液滴Fは、現像ローラC表面から飛翔することができない。現像液滴Fを飛翔させるために、シミュレーション1では、飛翔電界E=1.5×10[V/m]が形成される。これによって、グラフGが示すように、E(Y)=−2.0×10[V/m]となる。したがって、現像液滴Fにかかるクーロン力の総和は、現像ローラCから離れる向きに、|Q・E(Y)|=1.08×10−9[N]となり、現像液滴Fを鉛直方向に飛翔させる際の飛翔力となる。一方、現像液滴Fを鉛直方向に飛翔させる際に現像液滴Fにかかる重力は、現像ローラCへ向かう向きにm・g=2.63×10−12[N]である。よって、現像液滴Fは、鉛直方向において飛翔することができる。
【0021】
図10(b)に、現像液滴Fの飛翔速度Vとy座標Y、y座標Yと飛翔開始からの時間tとの関係を示す。図10(b)では、左縦軸が飛翔速度V[m/s]を表し、右縦軸が時間t[sec]を表し、横軸が現像液滴Fのy座標Y[μm]を表している。グラフGは、飛翔速度Vと時間tとの関係を示すグラフであり、グラフGは、y座標Yと時間tとの関係を示すグラフである。グラフGおよびグラフGは、グラフGで示す電界E(Y)を用いて、現像液滴Fに対する運動方程式m・dV/dt=−Q・E(Y)−m・gを解くことによって得られる。グラフGが示すように、現像液滴Fは、感光層Bへの着弾直前において、飛翔速度Vが4.3m/sとなっている。
【0022】
シミュレーション1においては、現像液滴Fを剛体球と仮定して飛翔速度Vを計算したけれども、実際には現像液滴Fは剛体ではなく、所定の表面エネルギーを有する液滴である。そこで、表面張力τ=55[dyn/cm]として、現像液滴Fの表面エネルギーUs=τ×π×Rを求めると、Us=1.11×10−11Jとなる。一方、現像液滴Fの運動エネルギーUvは、Uv=1/2×ρ×π/6×R×V=2.48×10−12Jとなる。
【0023】
このように、現像液滴Fの運動エネルギーUvが、表面エネルギーUsに近付くと、剛体ではない現像液滴Fは、飛翔中に分裂すると考えられる。現像液滴Fが分裂すると、分裂によって感光体ベルト上における現像液滴Fの着弾位置がずれたり、分裂に伴って発生するサテライト滴によって画像に汚れが生じたりする。さらに、現像液滴Fの質量、電荷のばらつきによっては飛翔速度Vはさらに大きくなり、運動エネルギーUvが表面エネルギーUsを超えるものも現れると考えられる。たとえば、飛翔速度Vが10.0m/sであるときの運動エネルギーUvは、Uv=1.34×10−11Jであり、表面エネルギーUs=1.11×10−11とJよりも大きい。このような場合には、現像液滴Fは細かく分裂し、広い範囲に飛び散ってしまうと考えられる。このように、特許文献3に記載の現像装置は、現像液滴の飛翔速度Vが大き過ぎるために、現像液滴Fの分裂、着弾時の飛び散りが生じ、高精細な画像を形成することができない。
【0024】
また、シミュレーション1の結果から、飛翔速度Vの大幅な増加は、電界E(Y)、特に、現像液滴Fにより基材A表面および現像ローラC表面に誘起される電荷によって形成される電界である、F(Y)/|Q|に起因することがわかる。
【0025】
上述したように、電界F(Y)/|Q|は、現像ローラC付近では現像液滴Fを現像ローラC側に引き寄せるような電界となり、感光層B付近では現像液滴Fを感光層B側に引き寄せるような電界となる。電界F(Y)/|Q|の、このような特性から、図10(a)に示すように、電界E(Y)は、現像ローラC付近では正の値となり、現像ローラCから離れるにつれて、絶対値が大きな負の値となる。
【0026】
したがって、現像液滴Fを可能な限り小さな飛翔速度Vで飛翔させるために、飛翔電界Eを調節して、現像ローラC付近における現像液滴Fにかかる力の総和Q・E(Y)−m・gを、0に近く、現像ローラCから離れる向きの力となるように調節しても、現像液滴Fが現像ローラCを離れるにつれて、現像液滴Fにかかる力は、現像ローラCから離れる向きの大きな力となる。これによって、現像液滴Fは、感光層Bに向かって大きく加速されることになり、その結果、分裂などが生じてしまう。
【0027】
なお、現像液滴Fの分裂は、実際に、ストロボ観察で観察される。運動エネルギーUvおよび表面エネルギーUsは、飛翔する現像液滴Fに対しストロボ観察を行い、現像液滴Fの形状および飛翔速度Vを測定することで算出される。測定した形状から現像液滴Fの質量が算出され、該質量と飛翔速度Vとから運動エネルギーUvが算出される。また、測定した形状から現像液滴Fの表面積が算出され、該表面積と予め表面張力計によって求められた液体現像剤の表面張力τとから表面エネルギーUsが算出される。
【0028】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであって、現像液滴の飛翔速度の大幅な増加を抑制することによって、現像液滴の分裂、着弾時の飛び散りなどを防止する液体飛翔現像装置および画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明は、着色剤を含有する液体状の現像剤を貯留する現像槽と、
帯電した現像液滴を前記現像剤から形成し、該現像液滴を担持しながら搬送する現像ローラと、
前記現像ローラから静電潜像が形成された像担持体へ、前記現像液滴を飛翔させて供給するための電界である、飛翔電界を発生させる飛翔電界発生手段とを備え、
前記現像ローラは、該現像ローラの表面に担持された現像液滴が該現像ローラに電荷を誘起することを抑制する、現像ローラ電荷抑制手段を有することを特徴とする液体飛翔現像装置である。
【0030】
また本発明は、前記現像ローラが、導電性を有する現像ローラ基材と、該現像ローラ基材の表面に設けられる、誘電体からなる現像ローラ表面層とを有し、
前記現像ローラ電荷抑制手段が、前記現像ローラ表面層であることを特徴とする。
【0031】
また本発明は、前記現像ローラの表面が、前記現像剤に対して、撥液性を有することを特徴とする。
【0032】
また本発明は、着色剤を含有する液体状の現像剤を貯留する現像槽と、
帯電した現像液滴を前記現像剤から形成し、該現像液滴を担持しながら搬送する供給ローラと、
前記供給ローラから供給された現像液滴を、担持しながら搬送する現像ローラと、
前記供給ローラから前記現像ローラへ、前記現像液滴を飛翔させて供給するための電界である、中間飛翔電界を発生させる中間飛翔電界発生手段と、
前記現像ローラから静電潜像が形成された像担持体へ、前記現像液滴を飛翔させて供給するための電界である、飛翔電界を発生させる飛翔電界発生手段とを備え、
前記供給ローラは、該供給ローラの表面に担持された現像液滴が該供給ローラに電荷を誘起することを抑制する、供給ローラ電荷抑制手段を有することを特徴とする液体飛翔現像装置である。
【0033】
また本発明は、前記供給ローラが、導電性を有する供給ローラ基材と、該供給ローラ基材の表面に設けられる、誘電体からなる供給ローラ表面層とを有し、
前記供給ローラ電荷抑制手段が、前記供給ローラ表面層であることを特徴とする。
【0034】
また本発明は、前記供給ローラの表面が、前記現像剤に対して、撥液性を有することを特徴とする。
【0035】
また本発明は、前記現像ローラが、該現像ローラの表面に担持された現像液滴が該現像ローラに電荷を誘起することを抑制する、現像ローラ電荷抑制手段を有することを特徴とする。
【0036】
また本発明は、前記供給ローラの周速度をS1[m/s]、前記現像ローラの周速度をS2[m/s]とするとき、下記式(1)を満たすように、前記供給ローラおよび前記現像ローラを制御する第1周速度比制御手段を備えることを特徴とする。
|S1/S2| > 1 …(1)
【0037】
また本発明は、前記現像液滴の表面エネルギーをUs[J]、該現像液滴の質量をM[kg]、該現像液滴の飛翔速度の最大値をVmax[m/s]とするとき、下記式(2)を満たすように飛翔電界を制御する飛翔電界制御手段を備えることを特徴とする。
Us > (1/2)MVmax …(2)
【0038】
また本発明は、感光層を有する像担持体と、
前期液体飛翔現像装置とを備えることを特徴とする画像形成装置である。
【0039】
また本発明は、導電性を有する導電性基材と感光層とを有する像担持体と、
着色剤を含有する液体状の現像剤から形成された、帯電した現像液滴を、飛翔させることによって、前記像担持体に供給する液体飛翔現像装置とを備え、
前記像担持体は、前記感光層の表面へと飛翔する現像液滴が該導電性基材に電荷を誘起することを抑制する、中間層を有することを特徴とする画像形成装置である。
【0040】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記中間層が、前記感光層と前記導電性基材との間に設けられる誘電体であることを特徴とする。
【0041】
また、本発明に係る画像形成装置は、液体飛翔現像装置として、上記の、液体飛翔現像装置を備えることを特徴とする。
【0042】
また、本発明に係る画像形成装置は、前記現像ローラの周速度をS2[m/s]、前記像担持体の周速度をS3[m/s]とするとき、下記式(3)を満たすように、前記現像ローラおよび前記像担持体を制御する第2周速度比制御手段を備えることを特徴とする。
|S2/S3| > 1 …(3)
【発明の効果】
【0043】
本発明によれば、現像ローラは、現像ローラ電荷抑制手段を有する。これによって、現像ローラは、該現像ローラの表面上の、帯電した現像液滴による該現像ローラへの電荷の誘起を抑制することができる。すなわち、現像ローラは、現像液滴が有する電荷に対する、いわゆる鏡像電荷を小さくすることができる。したがって、現像ローラは、鏡像電荷によって形成される電界(現像ローラ鏡像電界)を小さくすることができるので、現像液滴が現像ローラの表面から離脱するために最低限必要な電界を小さくすることができる。
【0044】
よって、本発明に係る液体飛翔現像装置は、飛翔電界の大きさを低減することができるので、現像の際の現像液滴の飛翔速度(現像飛翔速度)の大幅な増加を防止することができる。したがって、本発明に係る液体飛翔現像装置は、現像ローラからの飛翔(現像飛翔)時における現像液滴の分裂、および像担持体への着弾時における現像液滴の飛び散りを防ぐことができる。これによって、良好な画質の画像を得ることができる画像形成装置を実現することができる。
【0045】
また本発明によれば、誘電体からなる現像ローラ表面層は、現像ローラ電荷抑制手段として機能する。したがって、現像ローラ表面層は、現像ローラ鏡像電界を小さくすることができる。よって、安定して現像ローラ鏡像電界を緩和できる液体飛翔現像装置を、廉価で提供することができる。
【0046】
また本発明によれば、現像ローラ表面は、現像剤に対して撥液性を有する。これによって、現像ローラ表面は、現像液滴が現像ローラ表面から離脱するのに必要な電界を小さくすることができる。したがって、本発明に係る液体飛翔現像装置は、飛翔電界の大きさをさらに低減することができる。これによって、本発明に係る液体飛翔現像装置は、現像液滴の現像飛翔速度の大幅な増加をさらに防止することができる。
【0047】
また本発明によれば、供給ローラは、供給ローラ電荷抑制手段を有する。これによって、供給ローラは、該供給ローラの表面上の、帯電した現像液滴による該供給ローラへの電荷の誘起を抑制することができる。すなわち、供給ローラは、現像液滴が有する電荷に対する鏡像電荷を小さくすることができる。したがって、供給ローラは、鏡像電荷によって形成される電界(供給ローラ鏡像電界)を小さくすることができるので、現像液滴が供給ローラの表面から飛翔するために最低限必要な電界を小さくすることができる。
【0048】
よって、本発明に係る液体飛翔現像装置は、中間飛翔電界の大きさを低減することができるので、供給ローラからの飛翔(中間飛翔)の際の現像液滴の飛翔速度(中間飛翔速度)の大幅な増加を防止することができる。したがって、本発明に係る液体飛翔現像装置は、中間飛翔時における現像液滴の分裂、および現像ローラへの着弾時における現像液滴の飛び散りを防ぐことができる。これによって、良好な画質の画像を得ることができる画像形成装置を実現することができる。
【0049】
また本発明によれば、誘電体からなる供給ローラ表面層は、供給ローラ電荷抑制手段として機能する。したがって、供給ローラ表面層は、供給ローラ鏡像電界を小さくすることができる。よって、安定して供給ローラ鏡像電界を緩和できる液体飛翔現像装置を、廉価で提供することができる。
【0050】
また本発明によれば、供給ローラ表面は、現像剤に対して撥液性を有する。これによって、供給ローラ表面は、現像液滴が供給ローラ表面から離脱するのに必要な電界を小さくすることができる。したがって、本発明に係る液体飛翔現像装置は、中間飛翔電界の大きさをさらに低減することができる。これによって、本発明に係る液体飛翔現像装置は、現像液滴の中間飛翔速度の大幅な増加をさらに防止することができる。
【0051】
また本発明によれば、現像ローラは、現像ローラ電荷抑制手段を有する。これによって、現像ローラは、現像ローラ鏡像電界を小さくすることができるので、現像液滴が現像ローラの表面から離脱するために最低限必要な電界を小さくすることができる。よって、本発明に係る液体飛翔現像装置は、飛翔電界の大きさを低減することができるので、現像液滴の現像飛翔速度の大幅な増加を防止することができる。したがって、本発明に係る液体飛翔現像装置は、現像飛翔時における現像液滴の分裂、および像担持体への着弾時における現像液滴の飛び散りを防ぐことができる。
【0052】
また、現像ローラは、現像液滴が該現像ローラへ近づくことによって発生する現像ローラ鏡像電界を小さくすることができるので、現像液滴が該現像ローラへ到達する際に、中間飛翔速度が大幅に増加することを防止することができる。したがって、本発明に係る液体飛翔現像装置は、現像ローラへの着弾間際における現像液滴の分裂、および現像ローラへの着弾時における現像液滴の飛び散りを防ぐことができる。
【0053】
また本発明によれば、第1周速度比制御手段は、供給ローラの周速度S1の絶対値が、現像ローラの周速度S2の絶対値を上回るように制御する。これによって、本発明に係る液体飛翔現像装置は、現像ローラ表面上に、現像液滴を密に付着させることができる。したがって、本発明に係る液体飛翔現像装置は、現像ローラ上に形成される画像の画像濃度を高めることができる。
【0054】
また本発明によれば、飛翔電界制御手段は、現像飛翔の際の現像液滴の運動エネルギーの最大値(1/2)MVmaxが、現像液滴の表面エネルギーUs未満であるように制御する。これによって、本発明に係る液体飛翔現像装置は、現像飛翔時における現像液滴の分裂、および像担持体への着弾時における現像液滴の飛び散りを防ぐことができる。
【0055】
また本発明によれば、液体飛翔現像装置は、現像飛翔時または中間飛翔時における現像液滴の分裂、および像担持体または現像ローラへの着弾時における現像液滴の飛び散りを防ぐことができる。したがって、良好な画質の画像を得ることができる画像形成装置を提供することができる。
【0056】
また本発明によれば、像担持体は中間層を有する。これによって、像担持体は、感光層の表面に近づく現像液滴による導電性基材への電荷の誘起を抑制することができる。すなわち、像担持体は、現像液滴が有する電荷に対する鏡像電荷を小さくすることができる。したがって、像担持体は、鏡像電荷によって形成される鏡像電界(像担持体鏡像電界)を小さくすることができる。
【0057】
これによって、像担持体は、現像液滴が像担持体へ到達する際に、現像飛翔速度が大幅に増加することを防止することができるので、像担持体への着弾間際における現像液滴の分裂、および像担持体への着弾時における現像液滴の飛び散りを防ぐことができる。したがって、良好な画質の画像を得ることができる画像形成装置を実現することができる。
【0058】
また本発明によれば、中間層は誘電体からなる。したがって、像担持体は、像担持体の帯電特性および露光特性を確保しながら、像担持体鏡像電界を小さくすることができる。
【0059】
また本発明によれば、液体飛翔現像装置は、現像飛翔時または中間飛翔時における現像液滴の分裂、および像担持体または現像ローラへの着弾時における現像液滴の飛び散りを防ぐことができる。したがって、本発明に係る画像形成装置は、良好な画質の画像を得ることができる。
【0060】
また本発明によれば、第2周速度比制御手段は、現像ローラの周速度S2の絶対値が、像担持体の周速度S3の絶対値を上回るように制御する。これによって、本発明に係る画像形成装置は、現像ローラ表面上に、現像液滴を密に付着させることができる。したがって、本発明に係る画像形成装置は、現像ローラ上に形成される画像の画像濃度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】画像形成装置100の断面を概略的に示す模式図である。
【図2】感光体ベルト1および像形成部3の断面を概略的に示す模式図である。
【図3】供給ローラ64の鉛直方向最上部分の平面図および断面図である。
【図4】シミュレーション2の結果を示す図である。
【図5】現像装置6aの断面を概略的に示す模式図である。
【図6】画像形成装置200の断面を概略的に示す模式図である。
【図7】感光体ベルト1の断面の一部を示す断面図である。
【図8】シミュレーション3の結果を示す図である。
【図9】シミュレーションモデルを示す図である。
【図10】シミュレーション1の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0062】
本発明に係る画像形成装置は、本発明に係る液体飛翔現像装置を備える。以下では、図1、図2、および図3を用いて、本発明に係る画像形成装置の第1実施形態である画像形成装置100と、本発明に係る液体飛翔現像装置の第1実施形態である現像装置6とについて説明する。図1は、画像形成装置100の断面を概略的に示す模式図である。図2は、感光体ベルト1および像形成部3の断面を概略的に示す模式図である。図3は、供給ローラ64の鉛直方向最上部分の平面図および断面図である。
【0063】
画像形成装置100は、感光体ベルト1と、支持ローラ2a,2bと、像形成部3y,3m,3c,3kと、感光体クリーニングユニット7と、ピックアップローラ8と、搬送ローラ9a,9bと、転写ローラ10と、図示しない制御部とを備える。画像形成装置100は、制御部が記憶する画像情報に基づいて、記録用紙P上に画像を形成する。
【0064】
感光体ベルト1は、感光層1cと導電性基材とを有する無端ベルト状の像担持体である。感光体ベルト1は、感光層1cが感光体ベルト1の外周側になり、導電性基材が感光体ベルト1の内周側になるように、支持ローラ2a,2bに張架される。感光層1cは、比誘電率ε3.0、厚さ20μmの、透明のOPC(Organic PhotoConductor、有機光導電体)からなる。ここで、透明とは、後述する露光部5から照射される光を透過することができることを指す。透明のOPCとしては、電荷輸送層と電荷発生層とを積層してなる積層型感光体、または、バインダー中に電荷発生層を分散させた単層型感光体のいずれであってもよい。
【0065】
導電性基材は、導電性を有する導電層1bと、導電層1bよりも内周側に設けられる誘電体層1aとからなる。導電層1bは、ITO(Indium Tin Oxide)からなる透明の電極である。本実施形態では、導電層1bは、接地される。導電層1bは、接地される代わりに、所定の電位に設定されてもよい。誘電体層1aは、透明のポリエステルフィルムからなる。透明の意味は、前述したとおりである。
【0066】
支持ローラ2a,2bは、感光体ベルト1を、水平方向に張架するローラ状部材である。支持ローラ2a,2bは、図示しない駆動手段によって右回りに回転するように設けられる。支持ローラ2a,2bが右回りに回転することによって、感光体ベルト1の鉛直方向下部分は、矢符bで示す像搬送方向に移動する。
【0067】
像形成部3y,3m,3c,3kは、像搬送方向bの上流から、この順に1列に並んで設けられる。像形成部3y,3m,3c,3kは、現像液像の形成に用いる液体現像剤が異なること以外は、同一の構成である。像形成部3yはイエロー液体現像剤からイエロー(y)の現像液像を形成し、像形成部3mはマゼンタ液体現像剤からマゼンタ(m)の現像液像を形成し、像形成部3cはシアン液体現像剤からシアン(c)の現像液像を形成し、像形成部3kは黒色液体現像剤から黒色(k)の現像液像を形成する。像形成部3y,3m,3c,3kおよび像形成部3y,3m,3c,3kを構成する各部材を、色ごとに区別するときのみ、各色を表すy,m,c,kのいずれかのアルファベットを、参照符号の末尾に付すことにする。
【0068】
像形成部3は、帯電部4と、露光部5と、現像装置6と、塗布ローラ電源11と、供給ローラ電源12と、除電ローラ電源13と、現像ローラ電源14と、クリーニングブレード電源15と、濃度検出部16とを備える。
【0069】
帯電部4は、感光層1c表面を所定の電位に均一に帯電させるための、スコロトロン方式の帯電器である。帯電部4は、感光体ベルト1の外周側において感光体ベルト1から離隔して設けられる。本実施形態では、感光層1cは、帯電部4によって、−500V〜−600Vに帯電する。
【0070】
露光部5は、感光体ベルト1の内周側において感光体ベルト1から離隔して設けられ、感光体ベルト1の内周側から、感光層1cに所定の光を照射する部材である。露光部5は、制御部から入力された画像情報に基づいて、帯電状態の感光層1cを露光することにより、露光された部分のみ帯電状態を解除する。これによって、感光層1c表面には、画像情報に応じた静電潜像Dが形成される。露光部5yは、イエローに対応する静電潜像Dを形成し、露光部5mは、マゼンタに対応する静電潜像Dを形成し、露光部5cは、シアンに対応する静電潜像Dを形成し、露光部5kは、黒色に対応する静電潜像Dを形成する。
【0071】
静電潜像Dの電位は、−100V以上であることが好ましい。本実施形態では、静電潜像Dの電位は約−50Vである。露光部5としては、レーザ照射部および反射ミラーを備えたレーザスキャニングユニット(LSU)、EL(Electro Luminescence)またはLED(Light Emitting Diode)等の発光素子をアレイ状に並べた書込み装置(たとえば、書込みヘッド)などを使用することができる。
【0072】
現像装置6は、感光体ベルト1のから鉛直方向下部分から、鉛直方向下方に離隔して設けられる液体飛翔現像装置である。現像装置6は、塗布ローラ61と、規制部材62と、現像槽63と、供給ローラ64と、除電ローラ65と、現像ローラ66と、クリーニングブレード67と、回収容器68と、図示しない飛翔電界制御手段と、図示しない中間飛翔電界制御手段と、図示しない第1周速度比制御手段と、図示しない第2周速度比制御手段とを備える。
【0073】
現像装置6は、着色剤を含有する液体状の現像剤(液体現像剤dv)から、帯電した現像液滴Fを形成し、現像液滴Fを、飛翔させることによって感光層1c表面の静電潜像Dに供給する。現像液滴Fの帯電方式としては、液体現像剤dvから液滴を形成することでゼータ電位に基づいて現像液滴Fに電荷が出現する自発帯電方式、液滴にコロナ帯電を行う放電方式、および導電性の液滴に電圧を印加することによって液滴表面に電荷を誘起させる電荷注入方式のいずれの方式であってもよい。
【0074】
本実施形態では、現像装置6は自発帯電方式を採る。したがって、供給ローラ64に現像液滴Fが形成された時点で、現像液滴Fは帯電している。現像装置6が放電方式を採る場合は、コロナ放電に伴って、着色剤の析出および析出した着色剤の供給ローラ64への電着が生じやすいので、後述する塗布ローラ61および除電ローラ65によって供給ローラ64のクリーニングを行うとよい。
【0075】
現像槽63は、液体現像剤dvを貯留する容器状部材である。現像槽63に貯留される液体現像剤dvは、所定の液面高さに保たれるように調整される。液体現像剤dvとしては、絶縁性溶媒に、顔料分散剤によって負帯電した顔料が分散したものを用いることができる。たとえば、溶媒(パームヤシ脂肪酸エステル60重量部とナフテン溶剤25重量部とを混合したもの)に、顔料(カーボンブラックまたはチタンブラック5重量部)、および顔料分散剤(AgriSperse DFA(カネダ株式会社)10重量部)が分散したものを、黒色液体現像剤として用いることができる。この黒色液体現像剤の粘度は、20℃において、約300cpである。
【0076】
塗布ローラ61は、液体現像剤dvを担持して、後述する供給ローラ64に液体現像剤dvを塗布するローラ状部材である。塗布ローラ61は、ステンレス製の回転軸61bを、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエンゴム)、シリコンゴム、フッ素樹脂などのゴム部材からなる弾性層61aによって被覆してなる。弾性層61aは、金属などであってもよい。回転軸61bは、塗布ローラ電源11と接続され、所定の電位に調整される。回転軸61bの電位は、供給ローラ64と同電位であってもよく、現像液滴Fの帯電量を制御するために供給ローラ64との電位差があってもよく、フローティングであってもよい。
【0077】
塗布ローラ61は、所定の線圧で供給ローラ64に圧接して設けられる。塗布ローラ61は、塗布ローラ61と供給ローラ64との近接領域において、塗布ローラ61の表面と供給ローラ64の表面とが反対方向に移動するように、図示しない駆動手段によって右回りに回転するように設けられる。これによって、供給ローラ64の表面に、所定の液滴径、液滴密度の現像液滴Fが形成される。
【0078】
なお、塗布ローラ61の表面が後述する撥液性を有し、各表面が反対方向に移動するように塗布ローラ61が回転すると現像液滴Fの形成が困難である場合は、各表面が同一方向に移動するように所定の周速度で塗布ローラ61を回転させることによって、現像液滴Fの形成を行ってもよい。
【0079】
塗布ローラ61の表面には、規制部材62が圧接して設けられる。規制部材62は、塗布ローラ61に担持される液体現像剤dvが所定の量以下となるように規制するブレード状部材である。
【0080】
供給ローラ64は、液体現像剤dvから帯電した現像液滴Fを形成し、現像液滴Fを担持しながら搬送する部材である。供給ローラ64は、回転軸64cと金属ローラ64bとを有する供給ローラ基材、および供給ローラ表面層64aからなる。供給ローラ64は、その鉛直方向下部分が、液体現像剤dvに浸るように設けられる。
【0081】
回転軸64cは、図示しない供給ローラ駆動手段によって右回りに回転する金属製の棒状部材である。回転軸64cは、中間飛翔電界発生手段である。中間飛翔電界発生手段である回転軸64cは、供給ローラ電源12と接続されることによって、供給ローラ64から後述する現像ローラ66へ、現像液滴Fを飛翔(中間飛翔)させて供給するための電界である、中間飛翔電界を発生させる。回転軸64cに供給バイアス電圧が印加されることによって、中間飛翔電界が安定して形成される。回転軸64cに印加される供給バイアス電圧は、50〜100Vのマージンが付与された状態で、たとえば中間飛翔開始電圧が−800Vの場合は、−850V〜−900Vである。
【0082】
金属ローラ64bは、図示しない金属製軸受けを介して、回転軸64cに固定される金属製のローラ状部材である。したがって、金属ローラ64bは、回転軸64cの回転に伴って、右回りに回転する。また、金属ローラ64bと回転軸64cとは、金属製軸受けを介して導通する。金属ローラ64b、回転軸64c、および金属製軸受けには、ステンレスを用いることができる。
【0083】
供給ローラ表面層64aは、金属ローラ64b表面を覆う誘電体である。供給ローラ表面層64aは、供給ローラ電荷抑制手段である。供給ローラ電荷抑制手段である供給ローラ表面層64aは、供給ローラ64の表面に担持された現像液滴Fによる金属ローラ64bの表面への電荷の誘起を抑制する。供給ローラ表面層64aには、フッ素樹脂、たとえば、PETFE(4フッ化エチレン−エチレン共重合体)、PFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PFE(4フッ化エチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)などを用いることができる。また、これらのいずれかが重ね合わされた状態で用いられてもよい。
【0084】
供給ローラ表面層64aの厚さは50μm〜500μmであることが好ましい。厚さが50μm未満であると、供給ローラ電荷抑制手段としての機能が低下し、金属ローラ64b表面への電荷の誘起を抑えることが難しくなる。厚さが500μmを超えると、供給ローラ64と現像ローラ66との近接領域(中間飛翔領域)が広くなり過ぎて、現像ローラ66へ位置精度良く現像液滴Fを飛翔させることが難しくなる。本実施形態では、供給ローラ表面層64aとして、比誘電率2.1、厚さ210μmのPTFEが用いられる。
【0085】
供給ローラ表面層64aは、液体現像剤dvに対して撥液性を有するように表面処理される。ここで、撥液性を有するとは、現像液滴Fを担持する部材の表面(ここでは、供給ローラ表面層64aの表面)と、現像液滴Fとの接触角が90度以上となることを意味する。接触角とは、現像液滴Fの底面と側面との間の角度である。現像液滴Fの体積が同じであれば、接触角が大きくなるほど、現像液滴Fの底面積は小さくなる。このような表面処理は、たとえば、旭硝子社製感光性コーティング・フッ素樹脂「AL−Polymer」を用いて行うことができる。
【0086】
供給ローラ表面層64aには、液滴形成孔Hが設けられる。本実施形態では、液滴形成孔Hは、辺lが2.83μm、高さlが2μmの正四角錐状である。図3に示すように、液滴形成孔Hは、千鳥配置で設けられ、像搬送方向bにおけるピッチpは35μmである。液滴形成孔の寸法およびピッチはこれに限らず、深さlは2μm〜20μmの範囲内から、ピッチpは35μm〜340μm(725DPI〜75DPI程度)の範囲内から、選択することができる。また、液滴形成孔Hは、千鳥配置ではなく、最密配列で設けられてもよい。最密配列の場合、各液滴形成孔Hの中心は、正三角形の頂点上に配置される。この場合は、最も近い液滴形成孔Hの中心間距離をピッチとする。
【0087】
また、液滴形成孔Hは、供給ローラ64ではなく、塗布ローラ61に設けてもよい。液滴形成孔Hは、正四角錐状である必要はなく、曲面を有する谷状であってもよく、数μmに粗面化された側面を有する円筒状であってもよい。
【0088】
現像ローラ66は、供給ローラ64から現像された現像液滴Fを、担持しながら搬送する部材である。現像ローラ66は、回転軸66cと金属ローラ66bとを有する現像ローラ基材、および現像ローラ表面層66aからなる。現像ローラ66は、現像ローラ66の鉛直方向最下部分が、供給ローラ64の鉛直方向最上部分から鉛直方向上方200μmの位置にあるように設けられる。また、現像ローラ66は、現像ローラ66の鉛直方向最上部分が、感光体ベルト1の鉛直方向最下部分から鉛直方向下方200μmの位置にあるように設けられる。供給ローラ64および現像ローラ66は、水平方向に並ぶように設けられてもよいけれども、本実施形態のように、鉛直方向に並ぶように設けられることで、感光体ベルト1の静電潜像D以外の部分に現像液滴Fが付着すること(現像液滴Fのかぶり)が抑えられる。
【0089】
回転軸66cは、図示しない現像ローラ駆動手段によって左回りに回転する金属製の棒状部材である。回転軸66cは、飛翔電界発生手段である。飛翔電界発生手段である回転軸66cは、現像ローラ電源14と接続されることによって、現像ローラ66から静電潜像Dが形成された感光体ベルト1へ、現像液滴Fを飛翔(現像飛翔)させて供給するための電界である、飛翔電界を発生させる。回転軸66cに現像バイアス電圧が印加されることによって、飛翔電界が安定して形成される。回転軸66cに印加される現像バイアス電圧は、現像開始電圧が−600Vの場合、−50〜−100Vのマージンを付与して、−650V〜−700Vである。
【0090】
金属ローラ66bは、図示しない金属製軸受けを介して、回転軸66cに固定される金属製のローラ状部材である。したがって、金属ローラ66bは、回転軸66cの回転に伴って、左回りに回転する。また、金属ローラ66bと回転軸66cとは、金属製軸受けを介して導通する。金属ローラ66b、回転軸66c、および金属製軸受けには、ステンレスを用いることができる。
【0091】
現像ローラ表面層66aは、金属ローラ66b表面を覆う誘電体である。現像ローラ表面層66aは、現像ローラ電荷抑制手段である。現像ローラ電荷抑制手段である現像ローラ表面層66aは、現像ローラ66の表面に担持された現像液滴Fによる金属ローラ66bの表面への電荷の誘起を抑制する。現像ローラ表面層66aには、フッ素樹脂、たとえば、PETFE,PFA,PFE,PTFEなどを用いることができる。また、これらのいずれかが重ね合わされた状態で用いられてもよい。
【0092】
現像ローラ表面層66aの厚さは50μm〜500μmであることが好ましい。厚さが50μm未満であると、現像ローラ電荷抑制手段としての機能が低下し、金属ローラ66b表面への電荷の誘起を抑えることが難しくなる。厚さが500μmを超えると、現像ローラ66と感光体ベルト1との近接領域(飛翔領域)が広くなり過ぎて、静電潜像Dへ位置精度良く現像液滴Fを飛翔させることが難しくなる。本実施形態では、現像ローラ表面層66aとして、比誘電率2.1、厚さ210μmのPTFEが用いられる。
【0093】
現像ローラ表面層66aは、液体現像剤dvに対して撥液性を有するように表面処理される。このような表面処理は、たとえば、旭硝子社製感光性コーティング・フッ素樹脂「AL−Polymer」を用いて行うことができる。
【0094】
除電ローラ65は、供給ローラ64に接するように配置されるローラ状部材である。除電ローラ65は、現像液滴Fの形成の際、および現像液滴Fの中間飛翔の際に、供給ローラ64に電荷が繰り返し蓄積されて悪影響を及ぼすことを防止するために、供給ローラ表面層64aをAC(交流)除電する。除電ローラ65は、ステンレス製の回転軸65bを、ゴム部材からなる弾性層65aによって被覆してなる。回転軸65bは、除電ローラ電源13と接続され、交流電流が印加される。除電ローラ65としては、このようなものに限られず、非接触で除電を行う部材であったり、除電とクリーニングとを兼ねた部材であったりしてもよい。
【0095】
クリーニングブレード67は、現像ローラ表面層66aに圧接して設けられるブレード状部材である。クリーニングブレード67は、現像ローラ表面層66aを除電し、現像後の現像ローラ表面層66aに残存する現像液滴Fを除去することによって、現像装置6の安定した連続動作を可能にする。リーニングブレード67は、導電性ウレタンゴムからなり、現像ローラ表面層66aを掻きとることによって、現像液滴Fを除去する。クリーニングブレード67の鉛直方向下方には、クリーニングブレード67によって除去された現像液滴Fを回収する容器状部材である回収容器68が設けられる。また、クリーニングブレード67は、クリーニングブレード電源15と接続され、クリーニングブレード電源15から交流電流が印加されることによって、現像ローラ表面層66aをAC除電する。
【0096】
濃度検出部16は、現像ローラ66の表面上の画像の画像濃度、および感光体ベルト1の表面上の画像の画像濃度を測定するための部材である。濃度検出部16は、発光部と受光部とを備える。濃度検出部16は、発光部によって画像を形成する現像液滴Fに光を照射し、現像液滴Fによって反射された光を受光部で受光することによって、画像濃度を測定する。
【0097】
以上のように構成される現像装置6による現像動作を説明する。制御部から現像を行うよう命令が入力されると、まず、塗布ローラ61および供給ローラ64が回転を始める。本実施形態では、塗布ローラ61および供給ローラ64の周速度をS1とするとき、|S1|=1200mm/sである(以下では、周速度は、右回りを正の値、左周りを負の値とする。)。これによって、供給ローラ64の表面上には、質量m=2.7×10−10g/個、帯電量Q=−5.4×10−15C/個の現像液滴Fが35μmのピッチpで形成される。このとき、現像液滴Fの液滴径は、液滴形成孔Hの寸法と同一か、またはそれ以下である。
【0098】
現像液滴Fの1個あたりの帯電量Qと質量mの比|Q/m|は、液体現像剤dvの種類および現像液滴Fの液滴径によって異なるけれども、5μC/g〜50μC/gの範囲内であることが好ましい。本実施形態では、比|Q/m|=20μC/g、である。また、液滴形成孔Hが最密配列で設けられる場合、液滴形成孔Hの中心間距離(ピッチ)を35μmとすると、現像液滴Fの1個あたりの質量m=2.7×10−10gから、単位面積あたりの液体現像剤dvの質量は、
2.7×10−10g/(35×10−4cm×35×10−4cm×√3/2)
=2.53×10−5g/cm
=0.0253mg/cm
となる。
【0099】
次に、静電潜像Dの飛翔領域への到達と、現像液滴Fの飛翔領域への到達とを同期させるように、現像ローラ66が回転する。本実施形態では、現像ローラ66の周速度をS2とするとき、|S2|=200mm/sである。このとき、回転軸64cおよび回転軸66cには、それぞれ供給バイアス電圧および現像バイアス電圧が印加されており、これによって、中間飛翔領域には、中間飛翔電界が発生している。
【0100】
現像液滴Fは、中間飛翔電界によって、供給ローラ64から現像ローラ66へ飛翔する。上述したように、供給ローラの周速度S1の絶対値は、1200mm/sであり、現像ローラ66の周速度S2の大きさは200mm/sである。したがって、周速比|S1/S2|=6となる。すなわち、周速比|S1/S2|>1となる。第1周速度比制御手段は、このように、周速比|S1/S2|>1となるように制御する手段である。第1周速度比制御手段は、画像形成装置100の制御部の一部であってもよいし、現像装置6に備えられてもよい。
【0101】
これによって、現像ローラ66の表面上には、供給ローラ64の表面上の現像液滴Fの6倍の数密度の現像液滴Fが付着することになる。このとき、現像ローラ66上の現像液滴Fの液滴径は、供給ローラ64上の現像液滴Fの液滴径と同一である。また、現像ローラ66上の、単位面積あたりの液体現像剤dvの質量は、0.15mg/cmとなる。
【0102】
また、このとき、中間飛翔電界制御手段は、現像液滴Fの表面エネルギーをUs[J]、現像液滴Fの質量をM[kg]、供給ローラ64からの飛翔(中間飛翔)の際の現像液滴Fの飛翔速度(中間飛翔速度)の最大値をV’max[m/s]とするとき、下記式(1)を満たすように、供給ローラ電源12および現像ローラ電源14を制御し、中間飛翔電界を制御する。
Us > (1/2)MV’max …(1)
【0103】
このとき、中間飛翔電界制御手段は、供給ローラ64上の現像液滴Fにかかる力の総和が、0に近く、供給ローラ64から離れる向きの力となるように、中間飛翔電界を制御する。これによって、上記式(1)を満たしながら、現像液滴Fを中間飛翔させることが容易になる。中間飛翔電界制御手段は、画像形成装置100の制御部の一部であってもよいし、現像装置6に備えられてもよい。
【0104】
また、中間飛翔電界制御手段は、環境要因、供給ローラ64の状態、および液体現像剤dvの濃度によって変動する、現像ローラ66上の画像濃度が、常に所定の値になるように、中間飛翔電界を補正する。この補正は、現像動作を停止した状態で、濃度検出部16が現像ローラ66表面に形成されたテストパターンの画像濃度を検出することによって行われる。濃度検出部16からの検出信号は中間飛翔電界制御手段へ送信され、中間飛翔電界制御手段は画像濃度が所定の範囲内であるか否かを判定する。中間飛翔電界制御手段は、画像濃度が下限値よりも低い場合には、中間飛翔電界を増加させる。また、中間飛翔電界制御手段は、画像濃度が上限値よりも高い場合には、中間飛翔電界を減少させる。
【0105】
最後に、現像ローラ66から現像液滴Fを飛翔させることによって、感光体ベルト1上の静電潜像Dを現像する。本実施形態では、感光体ベルト1の周速度をS3とするとき、|S3|=100mm/sである。このとき、回転軸66cには現像バイアス電圧が印加されており、導電層1bは接地されている。これによって、飛翔領域には、飛翔電界が発生している。
【0106】
現像液滴Fは、飛翔電界によって、現像ローラ66から感光層1cへ飛翔する。上述したように、現像ローラの周速度S2の絶対値は、200mm/sであり、感光体ベルト1の周速度S3の絶対値は100mm/sである。したがって、周速比|S2/S3|=2となる。すなわち、周速比|S2/S3|>1となる。第2周速度比制御手段は、このように、周速比|S2/S3|>1となるように制御する手段である。第2周速度比制御手段は、画像形成装置100の制御部の一部であってもよいし、現像装置6に備えられてもよい。
【0107】
これによって、感光体ベルト1の表面上には、現像ローラ66の表面上の現像液滴Fの2倍の数密度の現像液滴Fが付着することになる。このとき、感光体ベルト1上の現像液滴Fの液滴径は、現像ローラ66上の現像液滴Fの液滴径と同一である。また、感光体ベルト1上の、単位面積あたりの液体現像剤dvの質量は、0.30mg/cmとなる。
【0108】
また、このとき、飛翔電界制御手段は、現像液滴Fの表面エネルギーをUs[J]、現像液滴Fの質量をM[kg]、現像ローラ66からの飛翔(現像飛翔)の際の現像液滴Fの飛翔速度(現像飛翔速度)の最大値をVmax[m/s]とするとき、下記式(2)を満たすように、現像ローラ電源14を制御し、飛翔電界を制御する。
Us > (1/2)MVmax …(2)
【0109】
このとき、飛翔電界制御手段は、現像ローラ66上の現像液滴Fにかかる力の総和が、0に近く、現像ローラ66から離れる向きの力となるように、飛翔電界を制御する。これによって、上記式(2)を満たしながら、現像液滴Fを現像飛翔させることが容易になる。飛翔電界制御手段は、画像形成装置100の制御部の一部であってもよいし、現像装置6に備えられてもよい。
【0110】
また、飛翔電界制御手段は、環境要因、現像ローラ66の状態、および液体現像剤dvの濃度によって変動する、感光体ベルト1上の画像濃度が、常に所定の値になるように、飛翔電界を補正する。この補正は、濃度検出部16が感光体ベルト1表面に形成されたテストパターンの画像濃度を検出することによって行われる。濃度検出部16からの検出信号は飛翔電界制御手段へ送信され、飛翔電界制御手段は画像濃度が所定の範囲内であるか否かを判定する。飛翔電界制御手段は、画像濃度が下限値よりも低い場合には、飛翔電界を増加させる。また、飛翔電界制御手段は、画像濃度が上限値よりも高い場合には、飛翔電界を減少させる。
【0111】
テストパターンとしては、一般的に、ベタ画像パターンが用いられる。しかしながら、ベタ画像パターンでは安定した細線再現性を確保することが難しいので、ベタ画像パターンの代わりに、細線または海島状のパターンを用いることが好ましい。
【0112】
以上のように現像動作を行う現像装置6によれば、供給ローラ表面層64aは、供給ローラ64の表面上の帯電した現像液滴Fによる金属ローラ64bへの電荷の誘起を抑制することができる。すなわち、供給ローラ表面層64aは、現像液滴Fが有する電荷に対する、いわゆる鏡像電荷を小さくすることができる。したがって、供給ローラ表面層64aは、鏡像電荷によって形成される電界(供給ローラ鏡像電界)を小さくすることができるので、現像液滴Fが供給ローラ64の表面から離脱するために最低限必要な電界を小さくすることができる。よって、現像装置6は、中間飛翔電界の大きさを低減することができる。これによって、現像装置6は、中間飛翔速度の大幅な増加を防止することができる。したがって、現像装置6は、中間飛翔時における現像液滴Fの分裂、および現像ローラ66への着弾時における現像液滴Fの飛び散りを防ぐことができる。
【0113】
また、現像装置6は、誘電体からなる供給ローラ表面層64aが、供給ローラ電荷抑制手段として機能する。これによって、安定して供給ローラ鏡像電界を緩和できる液体飛翔現像装置を、廉価で提供することができる。
【0114】
供給ローラ表面層64aに、誘電体の代わりに、イオン導電化剤を添加した樹脂などからなる、高抵抗の半導電層を用いることも可能である。しかしながら、半導電層は、高抵抗部分に抵抗値のばらつきがあったり、環境変化または経時劣化による抵抗値の変動があったりする。抵抗値のばらつきおよび変動は飛翔電界に悪影響を及ぼす。したがって、供給ローラ表面層64aには誘電体を用いることが好ましい。
【0115】
また、供給ローラ64表面は、液体現像剤dvに対して撥液性を有する。これによって、供給ローラ表面層64aは、現像液滴Fが供給ローラ64表面から離脱するのに必要な電界をさらに小さくすることができる。したがって、現像装置6は、中間飛翔電界の大きさをさらに低減することができる。よって、現像装置6は、現像液滴Fの中間飛翔速度の大幅な増加をさらに防止することができる。
【0116】
また、現像装置6によれば、第1周速度比制御手段は、周速比|S1/S2|>1となるように制御する。第1周速度比制御手段は、より好ましくは、1<|S1/S2|≦6となるように制御する。このとき、周速度|S1|は、100mm/s〜4800mm/sの範囲内、周速度|S2|は、100mm/s〜800mm/sの範囲内から選択される。
【0117】
このように、第1周速度比制御手段は、供給ローラ64の周速度S1の絶対値が、現像ローラ66の周速度S2の絶対値を上回るように制御する。これによって、現像装置6は、現像ローラ66表面上に、現像液滴Fを密に付着させることができる。このとき、上述したように、中間飛翔速度が抑えられるので、液滴形成孔Hのピッチpが小さ過ぎたり、供給ローラ64の周速度S1の絶対値が大き過ぎたりしても、現像装置6は、現像液滴F同士の静電反発力によって、現像液滴Fの凝集、複合化を回避することができる。したがって、現像装置6は、現像ローラ66上に、高濃度、高精細な画像を形成することができる。
【0118】
また、現像装置6によれば、中間飛翔電界制御手段は、中間飛翔の際の現像液滴Fの運動エネルギーの最大値(1/2)MV’maxが、現像液滴Fの表面エネルギーUs未満であるように制御する。これによって、現像装置6は、中間飛翔時における現像液滴Fの分裂、および現像ローラ66への着弾時における現像液滴Fの飛び散りを防ぐことができる。
【0119】
また、現像装置6によれば、現像ローラ表面層66aは、現像ローラ66の表面上の帯電した現像液滴Fによる金属ローラ66bへの電荷の誘起を抑制することができる。すなわち、現像ローラ表面層66aは、現像液滴Fが有する電荷に対する鏡像電荷を小さくすることができる。したがって、現像ローラ表面層66aは、鏡像電荷によって形成される電界(現像ローラ鏡像電界)を小さくすることができるので、現像液滴Fが現像ローラ66の表面から離脱するために最低限必要な電界を小さくすることができる。よって、現像装置6は、飛翔電界の大きさを低減することができる。これによって、現像装置6は、現像飛翔速度の大幅な増加を防止することができる。したがって、現像装置6は、現像飛翔時における現像液滴Fの分裂、および感光体ベルト1への着弾時における現像液滴Fの飛び散りを防ぐことができる。
【0120】
また、現像ローラ表面層66aは、現像液滴Fが現像ローラ66へ近づくことによって発生する現像ローラ鏡像電界を小さくすることができるので、現像液滴Fが現像ローラ66へ到達する際に、中間飛翔速度が大幅に増加することを防止することができる。したがって、現像装置6は、現像ローラ66への着弾間際における現像液滴Fの分裂、および現像ローラ66への着弾時における現像液滴Fの飛び散りを防ぐことができる。
【0121】
また、現像装置6は、誘電体からなる現像ローラ表面層66aが、現像ローラ電荷抑制手段として機能する。これによって、安定して現像ローラ鏡像電界を緩和できる液体飛翔現像装置を、廉価で提供することができる。
【0122】
現像ローラ表面層66aに、誘電体の代わりに、イオン導電化剤を添加した樹脂などからなる、高抵抗の半導電層を用いることも可能である。しかしながら、半導電層は、高抵抗部分に抵抗値のばらつきがあったり、環境変化または経時劣化による抵抗値の変動があったりする。抵抗値のばらつきおよび変動は飛翔電界に悪影響を及ぼす。したがって、現像ローラ表面層66aには誘電体を用いることが好ましい。
【0123】
また、現像ローラ66表面は、液体現像剤dvに対して撥液性を有する。これによって、現像ローラ表面層66aは、現像液滴Fが現像ローラ66表面から離脱するのに必要な電界を小さくすることができる。したがって、現像装置6は、飛翔電界の大きさをさらに低減することができる。よって、現像装置6は、現像液滴Fの現像飛翔速度の大幅な増加を防止することができる。
【0124】
また、現像装置6によれば、第2周速度比制御手段は、周速比|S2/S3|>1となるように制御する。第2周速度比制御手段は、より好ましくは、1<|S2/S3|≦4となるように制御する。このとき、周速度|S2|は、100mm/s〜800mm/sの範囲内、周速度|S3|は、100mm/s〜200mm/sの範囲内から選択される。
【0125】
このように、第2周速度比制御手段は、現像ローラ66の周速度S2の絶対値が、感光体ベルト1の周速度S3の絶対値を上回るように制御する。これによって、現像装置6は、感光体ベルト1表面上に、現像液滴Fを密に付着させることができる。このとき、上述したように、現像飛翔速度が抑えられるので、液滴形成孔Hのピッチpが小さ過ぎたり、現像ローラ66の周速度S2の絶対値が大き過ぎたりしても、現像装置6は、現像液滴F同士の静電反発力によって、現像液滴Fの凝集、複合化を回避することができる。したがって、現像装置6は、感光体ベルト1上に、高濃度、高精細な画像を形成することができる。
【0126】
また、現像装置6によれば、飛翔電界制御手段は、現像飛翔の際の現像液滴Fの運動エネルギーの最大値(1/2)MVmaxが、現像液滴Fの表面エネルギーUs未満であるように制御する。これによって、現像装置6は、現像飛翔時における現像液滴Fの分裂、および感光体ベルト1への着弾時における現像液滴Fの飛び散りを防ぐことができる。
【0127】
<シミュレーション2>
現像装置6の作用効果を確認するために、シミュレーション2を行った。図4は、シミュレーション2の結果を示す図である。シミュレーション2は、[発明が解決しようとする課題]に記載のシミュレーション1の条件に、現像ローラCの表面に、誘電率が空気と同じで、厚さが100μmである現像ローラ表面層66aが設けられたという条件を加えて行なったものである。
【0128】
図4(a)は、シミュレーション2における、E(Y)、E、およびE(Y)と、現像液滴Fのy座標Yとの関係を示す。グラフGは電界E(Y)を示し、グラフGは電界Eを示し、グラフGは電界E(Y)を示す。縦軸は、現像ローラCから感光体ベルトへ向かう方向を正とした電界の大きさ[V/m]を表し、横軸は、現像液滴Fのy座標Y[μm]を表す。図4(a)が示すように、現像ローラ表面層66aが設けられることによって、グラフGの場合と比較して、現像ローラC近傍での電界E(Y)の急峻な変化が解消されることがわかる。
【0129】
図4(b)は、シミュレーション2における、現像液滴Fの飛翔速度Vとy座標Y、y座標Yと飛翔開始からの時間tとの関係を示す。図4(b)では、左縦軸が飛翔速度V[m/s]を表し、右縦軸が時間t[sec]を表し、横軸が現像液滴Fのy座標Y[μm]を表している。グラフGは、飛翔速度Vと時間tとの関係を示すグラフであり、グラフG10は、y座標Yと時間tとの関係を示すグラフである。グラフGおよびグラフG10は、グラフGで示す電界E(Y)を用いて、現像液滴Fに対する運動方程式m・dV/dt=−Q・E(Y)−m・gを解くことによって得られる。グラフGが示すように、飛翔速度Vは、グラフGの場合と比較して、現像ローラC近傍において大幅に減少し、全体的にはなだらかに変化している。
【0130】
シミュレーション2では、感光層Bへの着弾直前において、飛翔速度Vが3.6m/sとなっている。また、運動エネルギーUvは1.74×10−12Jとなっており、シミュレーション1における運動エネルギーUvよりも減少している。このように、現像ローラ表面層66aを設けることによって飛翔速度Vの増加を抑制できることが確認された。
【0131】
像形成部3は、像形成部3y,3m,3c,3kの順に現像を行い、感光体ベルト1上に、所定の色の現像液像を積み重ねる。感光体ベルト1上に、4色の現像液像が積み重ねられ、フルカラー現像液像が形成される。フルカラー現像液像は、後述する転写ローラ10と支持ローラ2aとの間の領域(転写領域)に搬送される。
【0132】
ピックアップローラ8は、画像形成装置100に貯留される記録用紙Pを1枚ずつ、搬送ローラ9a,9bに送り出す、ローラ状部材である。ピックアップローラ8は、フルカラー現像液像の転写領域への到達と、記録用紙Pの転写領域への到達とを同期させるように、記録用紙Pを送り出す。搬送ローラ9a,9bは、ピックアップローラ8によって送り出された記録用紙Pを挟持して転写領域に送り出す、1対のローラ状部材である。
【0133】
転写ローラ10は、ピックアップローラ8および搬送ローラ9a,9bによって搬送された記録用紙Pに、現像液像を粘着転写するローラ状部材である。粘着転写の際、転写ローラ10は、記録用紙Pの、フルカラー現像液像が転写される面とは反対側の面に圧接する。粘着転写の際には、転写ローラ10に所定の電圧を印加することによって、記録用紙Pへの現像液像の転写をより確実にしてもよい。転写ローラ10は、フルカラー現像液像が転写された記録用紙Pを、画像形成装置100外へ送り出す。
【0134】
記録用紙Pに転写された液体現像剤dvは、記録用紙Pに浸透した後、乾燥する。これによって、記録用紙Pに画像が形成される。画像形成装置100には、液体現像剤dvの浸透、乾燥を促進するための加熱器または乾燥器が備えられてもよい。
【0135】
感光体クリーニングユニット7は、記録用紙Pに現像液像が転写された後の、感光体ベルト1の表面をクリーニングする部材である。感光体クリーニングユニット7は、支持ローラ2a付近に設けられる。感光体クリーニングユニット7は、たとえば、感光体ベルト1の表面に残存する液体現像剤dvを掻きとるウレタンゴム製クリーニングブレードと、掻きとった液体現像剤dvを回収する現像剤回収容器からなる。
【0136】
本実施形態では、1つの感光体ベルト1上に複数の色の液体現像剤dvが重ね合わされることによって、画像が形成されるけれども、他の実施形態としては、たとえば、各色に対応する4つの感光体と中間転写ベルトとを備え、中間転写ベルト上に液体現像剤dvを重ね合わせる方式の画像形成装置であってもよい。
【0137】
次に、本発明に係る液体飛翔現像装置の第2実施形態である現像装置6aについて説明する。図5は、現像装置6aの断面を概略的に示す模式図である。画像形成装置100は、現像装置6の代わりに、現像装置6aを備えることができる。
【0138】
現像装置6aは、感光体ベルト1のから鉛直方向下部分から、鉛直方向下方に離隔して設けられる液体飛翔現像装置である。現像装置6は、塗布ローラ71と、規制部材72と、現像槽73と、現像ローラ74と、除電ローラ75と、図示しない飛翔電界制御手段と、図示しない第2周速度比制御手段とを備える。
【0139】
現像装置6aは、液体現像剤dvから、帯電した現像液滴Fを形成し、現像液滴Fを、飛翔させることによって感光層1c表面の静電潜像Dに供給する。本実施形態では、現像装置6と同様に、自発帯電方式を採る。
【0140】
現像槽73は、液体現像剤dvを貯留する容器状部材である。現像槽73に貯留される液体現像剤dvは、所定の液面高さに保たれるように調整される。液体現像剤dvとしては、現像装置6に用いたものを用いることができるけれども、顔料を分散させた結着樹脂の微粒子を溶媒に分散させた現像剤を用いることもできる。本実施形態に用いる液体現像剤dvは、現像装置6に用いることもできる。以下に、本実施形態に用いる液体現像剤dvの製造方法を示す。
【0141】
<液体現像剤dvの製造方法>
ガラス転移温度Tg=60℃、1/2フロー軟化温度Tm=110℃の特性を有するポリエステル樹脂(結着樹脂)に対して、40重量%の顔料を加えて予備混練分散させた組成物(マスターバッチ処理された組成物)と、ポリエステル樹脂と、帯電制御剤(アルキルサルチル酸金属塩)とをヘンシェルミキサーに投入し、10分間混合して混合物(原材料混合物)を生成する。なお、この混合物生成の際、製造するカラートナーの所望の顔料濃度Nに応じ、下記に示す条件を満たす各組成材料をそれぞれ投入する。
【0142】
(顔料濃度N重量%のカラートナーを製造する場合の原材料投入量)
ポリエステル樹脂:(98−Z)重量部
組成物:Y重量部
帯電制御剤:2重量部
但し、N/100=0.4×Z/100を満たす。
【0143】
また、上記顔料は、以下の製品を使用する。
(顔料)
イエロー顔料…C.I.ピグメントイエロー74「FAST YELLOW FGOK(山陽色素株式会社製)」
マゼンタ顔料…C.I.ピグメントレッド122「Toner Magennta E-02 (クラリアントジャパン株式会社製)」
シアン顔料…C.I.ピグメントブルー15:3「Hosteaperm Blue B2G (クラリアントジャパン株式会社製)」
【0144】
20重量%の顔料濃度にした混合物を、三井鉱山株式会社製ニーディックスMOS140−800で溶融混練して均一分散させマスタバッチにする。上記マスタバッチ、キャリア液(信越シリコン社製シリコンオイル「KF-96」)、および分散剤を調合し、ボールミルで湿式粉砕して、粒径2μm、固形分濃度20%のトナー分散液(液体現像剤dv)を得る。
【0145】
塗布ローラ71は、液体現像剤dvを担持して、後述する現像ローラ74に液体現像剤dvを塗布するローラ状部材である。塗布ローラ71は、ステンレス製の回転軸71bを、EPDM、シリコンゴム、フッ素樹脂などのゴム部材からなる弾性層71aによって被覆してなる。弾性層71aは、金属などであってもよい。回転軸71bは、塗布ローラ電源11と接続され、所定の電位に調整される。回転軸71bの電位は、現像ローラ74と同電位であってもよく、現像液滴Fの帯電量を制御するために現像ローラ74との電位差があってもよく、フローティングであってもよい。
【0146】
塗布ローラ71は、所定の線圧で現像ローラ74に圧接して設けられる。塗布ローラ71は、塗布ローラ71と現像ローラ74との近接領域において、塗布ローラ71の表面と現像ローラ74の表面とが反対方向に移動するように、図示しない駆動手段によって右回りに回転するように設けられる。これによって、現像ローラ74の表面に、所定の液滴径、液滴密度の現像液滴Fが形成される。
【0147】
なお、塗布ローラ71の表面が撥液性を有し、各表面が反対方向に移動するように塗布ローラ71が回転すると現像液滴Fの形成が困難である場合は、各表面が同一方向に移動するように所定の周速度で塗布ローラ71を回転させることによって、現像液滴Fの形成を行ってもよい。
【0148】
塗布ローラ71の表面には、規制部材72が圧接して設けられる。規制部材72は、塗布ローラ71に担持される液体現像剤dvが所定の量以下となるように規制するブレード状部材である。
【0149】
現像ローラ74は、液体現像剤dvから帯電した現像液滴Fを形成し、現像液滴Fを担持しながら搬送する部材である。現像ローラ74は、回転軸74cと金属ローラ74bとを有する現像ローラ基材、および現像ローラ表面層74aからなる。現像ローラ74は、その鉛直方向下部分が、液体現像剤dvに浸るように設けられる。また、現像ローラ74は、現像ローラ74の鉛直方向最上部分が、感光体ベルト1の鉛直方向最下部分から鉛直方向下方200μmの位置にあるように設けられる。
【0150】
回転軸74cは、図示しない現像ローラ駆動手段によって左回りに回転する金属製の棒状部材である。回転軸74cは、飛翔電界発生手段である。飛翔電界発生手段である回転軸74cは、現像ローラ電源14と接続されることによって、現像ローラ74から静電潜像Dが形成された感光体ベルト1へ、現像液滴Fを飛翔(現像飛翔)させて供給するための電界である、飛翔電界を発生させる。回転軸74cに現像バイアス電圧が印加されることによって、飛翔電界が安定して形成される。回転軸74cに印加される現像バイアス電圧は、たとえば現像開始電圧が−600Vの場合、−50〜−100Vのマージンを付加した状態で、−650V〜−700Vである。
【0151】
金属ローラ74bは、図示しない金属製軸受けを介して、回転軸74cに固定される金属製のローラ状部材である。したがって、金属ローラ74bは、回転軸64cの回転に伴って、左回りに回転する。また、金属ローラ74bと回転軸74cとは、金属製軸受けを介して導通する。金属ローラ74b、回転軸74c、および金属製軸受けには、ステンレスを用いることができる。
【0152】
現像ローラ表面層74aは、金属ローラ74b表面を覆う誘電体である。現像ローラ表面層74aは、現像ローラ電荷抑制手段である。現像ローラ電荷抑制手段である現像ローラ表面層74aは、現像ローラ74の表面に担持された現像液滴Fによる金属ローラ74bの表面への電荷の誘起を抑制する。現像ローラ表面層74aには、フッ素樹脂、たとえば、PETFE,PFA,PFE,PTFEなどを用いることができる。また、これらのいずれかが重ね合わされた状態で用いられてもよい。
【0153】
現像ローラ表面層74aの厚さは50μm〜500μmであることが好ましい。厚さが50μm未満であると、現像ローラ電荷抑制手段としての機能が低下し、金属ローラ74b表面への電荷の誘起を抑えることが難しくなる。厚さが500μmを超えると、現像ローラ74と感光体ベルト1との近接領域(飛翔領域)が広くなり過ぎて、静電潜像Dへ位置精度良く現像液滴Fを飛翔させることが難しくなる。本実施形態では、現像ローラ表面層74aとして、比誘電率2.1、厚さ210μmのPTFEが用いられる。
【0154】
現像ローラ表面層74aは、液体現像剤dvに対して撥液性を有するように表面処理される。このような表面処理は、たとえば、旭硝子社製感光性コーティング・フッ素樹脂「AL−Polymer」を用いて行うことができる。
【0155】
現像ローラ表面層74aには、液滴形成孔が設けられる。本実施形態では、液滴形成孔は、辺が2.83μm、高さが2μmの正四角錐状である。液滴形成孔は、千鳥配置で設けられ、像搬送方向bにおけるピッチは35μmである。液滴形成孔の寸法およびピッチはこれに限らず、深さは2μm〜20μmの範囲内から、ピッチは35μm〜340μm(725DPI〜75DPI程度)の範囲内から、選択することができる。
【0156】
また、液滴形成孔は、現像ローラ74ではなく、塗布ローラ71に設けてもよい。液滴形成孔は、正四角錐状である必要はなく、曲面を有する谷状であってもよく、数μmに粗面化された側面を有する円筒状であってもよい。
【0157】
除電ローラ75は、現像ローラ74に接するように配置されるローラ状部材である。除電ローラ75は、現像液滴Fの形成の際、および現像液滴Fの現像飛翔の際に、現像ローラ74に電荷が繰り返し蓄積されて悪影響を及ぼすことを防止するために、現像ローラ表面層74aをAC除電する。また、除電ローラ75は、除電とクリーニングとを兼ねた部材である。除電ローラ75は、ステンレス製の回転軸75bを、ゴム部材からなる弾性層75aによって被覆してなる。回転軸75bは、除電ローラ電源13と接続され、交流電流が印加される。除電ローラ75としては、このようなものに限られず、非接触で除電を行う部材であってもよい。
【0158】
以上のように構成される現像装置6aによる現像動作を説明する。制御部から現像を行うよう命令が入力されると、まず、塗布ローラ71および現像ローラ74が回転する。本実施形態では、塗布ローラ71および現像ローラ74の周速度をS2とするとき、|S2|=1200mm/sである。これによって、現像ローラ74の表面上には、質量m=2.7×10−10g/個、帯電量Q=−5.4×10−15C/個の現像液滴Fが35μmのピッチで形成される。このとき、現像液滴Fの液滴径は、液滴形成孔の寸法と同一か、またはそれ以下である。
【0159】
現像液滴Fの1個あたりの帯電量Qと質量mの比|Q/m|は、液体現像剤dvの種類および現像液滴Fの液滴径によって異なるけれども、5μC/g〜50μC/gの範囲内であることが好ましい。本実施形態では、比|Q/m|=20μC/gである。また、質量mとピッチとから、単位面積あたりの液体現像剤dvの質量は、0.0253mg/cmとなる。
【0160】
次に、現像ローラ74から現像液滴Fを飛翔させることによって、感光体ベルト1上の静電潜像Dを現像する。本実施形態では、感光体ベルト1の周速度をS3とするとき、|S3|=100mm/sである。このとき、回転軸74cには現像バイアス電圧が印加されており、導電層1bは接地されている。これによって、飛翔領域には、飛翔電界が発生している。
【0161】
現像液滴Fは、飛翔電界によって、現像ローラ74から感光層1cへ飛翔する。上述したように、現像ローラの周速度S2の絶対値は、1200mm/sであり、感光体ベルト1の周速度S3の絶対値は100mm/sである。したがって、周速比|S2/S3|=12となる。すなわち、周速比|S2/S3|>1となる。第2周速度比制御手段は、このように、周速比|S2/S3|>1となるように制御する手段である。第2周速度比制御手段は、画像形成装置100の制御部の一部であってもよいし、現像装置6aに備えられてもよい。
【0162】
これによって、感光体ベルト1の表面上には、現像ローラ74の表面上の現像液滴Fの12倍の数密度の現像液滴Fが付着することになる。このとき、感光体ベルト1上の現像液滴Fの液滴径は、現像ローラ74上の現像液滴Fの液滴径と同一である。また、感光体ベルト1上の、単位面積あたりの液体現像剤dvの質量は、0.30mg/cmとなる。
【0163】
また、このとき、飛翔電界制御手段は、現像液滴Fの表面エネルギーをUs[J]、現像液滴Fの質量をM[kg]、現像ローラ74からの飛翔(現像飛翔)の際の現像液滴Fの飛翔速度(現像飛翔速度)の最大値をVmax[m/s]とするとき、上記式(2)を満たすように、現像ローラ電源14を制御し、飛翔電界を制御する。
【0164】
このとき、飛翔電界制御手段は、現像ローラ74上の現像液滴Fにかかる力の総和が、0に近く、現像ローラ74から離れる向きの力となるように、飛翔電界を制御する。これによって、上記式(2)を満たしながら、現像液滴Fを現像飛翔させることが容易になる。
【0165】
また、飛翔電界制御手段は、環境要因、現像ローラ74の状態、および液体現像剤dvの濃度によって変動する、感光体ベルト1上の画像濃度が、常に所定の値になるように、飛翔電界を補正する。この補正は、濃度検出部16が感光体ベルト1表面に形成されたテストパターンの画像濃度を検出することによって行われる。濃度検出部16からの検出信号は飛翔電界制御手段へ送信され、飛翔電界制御手段は画像濃度が所定の範囲内であるか否かを判定する。飛翔電界制御手段は、画像濃度が下限値よりも低い場合には、飛翔電界を増加させる。また、飛翔電界制御手段は、画像濃度が上限値よりも高い場合には、飛翔電界を減少させる。テストパターンとしては、細線または海島状のパターンを用いることが好ましい。
【0166】
以上のように現像動作を行う現像装置6aによれば、現像ローラ表面層74aは、現像ローラ74の表面上の帯電した現像液滴Fによる金属ローラ74bへの電荷の誘起を抑制することができる。すなわち、現像ローラ表面層74aは、現像液滴Fが有する電荷に対する鏡像電荷を小さくすることができる。したがって、現像ローラ表面層74aは、鏡像電荷によって形成される電界(現像ローラ鏡像電界)を小さくすることができるので、現像液滴Fが現像ローラ74の表面から離脱するために最低限必要な電界を小さくすることができる。よって、現像装置6aは、飛翔電界の大きさを低減することができる。これによって、現像装置6は、現像飛翔速度の大幅な増加を防止することができる。したがって、現像装置6は、現像飛翔時における現像液滴Fの分裂、および感光体ベルト1への着弾時における現像液滴Fの飛び散りを防ぐことができる。
【0167】
また、現像装置6aは、誘電体からなる現像ローラ表面層74aが、現像ローラ電荷抑制手段として機能する。これによって、安定して現像ローラ鏡像電界を緩和できる液体飛翔現像装置を、廉価で提供することができる。
【0168】
現像ローラ表面層74aに、誘電体の代わりに、イオン導電化剤を添加した樹脂などからなる、高抵抗の半導電層を用いることも可能である。しかしながら、半導電層は、高抵抗部分に抵抗値のばらつきがあったり、環境変化または経時劣化による抵抗値の変動があったりする。抵抗値のばらつきおよび変動は飛翔電界に悪影響を及ぼす。したがって、現像ローラ表面層74aには誘電体を用いることが好ましい。
【0169】
また、現像ローラ74表面は、液体現像剤dvに対して撥液性を有する。これによって、現像ローラ表面層74aは、現像液滴Fが現像ローラ74表面から離脱するのに必要な電界をさらに小さくすることができる。したがって、現像装置6aは、飛翔電界の大きさをさらに低減することができる。よって、現像装置6aは、現像液滴Fの現像飛翔速度の大幅な増加をさらに防止することができる。
【0170】
また、現像装置6aによれば、第2周速度比制御手段は、周速比|S2/S3|>1となるように制御する。第2周速度比制御手段は、より好ましくは、1<|S2/S3|≦24となるように制御する。このとき、周速度|S2|は、100mm/s〜4800mm/sの範囲内、周速度|S3|は、100mm/s〜200mm/sの範囲内から選択される。
【0171】
このように、第2周速度比制御手段は、現像ローラ74の周速度S2の絶対値が、感光体ベルト1の周速度S3の絶対値を上回るように制御する。これによって、現像装置6aは、感光体ベルト1表面上に、現像液滴Fを密に付着させることができる。このとき、上述したように、現像飛翔速度が抑えられるので、液滴形成孔のピッチが小さ過ぎたり、現像ローラ74の周速度S2の絶対値が大き過ぎたりしても、現像装置6aは、現像液滴F同士の静電反発力によって、現像液滴Fの凝集、複合化を回避することができる。したがって、現像装置6aは、感光体ベルト1上に、高濃度、高精細な画像を形成することができる。
【0172】
また、現像装置6aによれば、飛翔電界制御手段は、現像飛翔の際の現像液滴Fの運動エネルギーの最大値(1/2)MVmaxが、現像液滴Fの表面エネルギーUs未満であるように制御する。これによって、現像装置6aは、現像飛翔時における現像液滴Fの分裂、および感光体ベルト1への着弾時における現像液滴Fの飛び散りを防ぐことができる。
【0173】
また、現像装置6aは、現像ローラ74によって液体現像剤dvを現像槽73から汲み上げ、これによって形成された現像液滴Fを、供給ローラを介さずに、直接感光体ベルト1へ供給する。したがって、現像装置6aの構成は、現像装置6と比較して単純であり、現像装置を小型化することができるという利点がある。これに対し、現像装置6は、供給ローラ64を介して現像を行うので、現像装置6aと比較して、感光体ベルト1表面上に、現像液滴Fを密に付着させることができるという利点がある。
【0174】
次に、本発明に係る画像形成装置の第2実施形態である画像形成装置200について説明する。図6は、画像形成装置200の断面を概略的に示す模式図である。画像形成装置200は、感光体ベルト1の構成、および露光部5の配置位置が異なること以外は、画像形成装置100と同じ構成である。したがって、感光体ベルト1および露光部5以外についての説明を省略する。
【0175】
図7は、感光体ベルト1の断面の一部を示す断面図である。本実施形態において、感光体ベルト1は、感光層1cと、導電性基材と、中間層1dとを有する無端ベルト状の像担持体である。感光体ベルト1は、感光層1cが感光体ベルト1の外周側になり、導電性基材が感光体ベルト1の内周側になり、中間層1dが感光層1cと導電性基材の間になるように、支持ローラ2a,2bに張架される。
【0176】
感光層1cは、厚さ20μmのOPCからなる。OPCとしては、電荷輸送層と電荷発生層とを積層してなる積層型感光体、または、バインダー中に電荷発生層を分散させた単層型感光体のいずれであってもよい。導電性基材は、カーボンブラックを分散させて導電性を付与した不透明の導電層1bと、導電層1bよりも内周側に設けられる誘電体層1aとからなる。ここで、不透明とは、露光部5から照射される光を透過しないことを指す。
導電層1bは、カーボンブラックを分散させたポリカーボネート樹脂からなる電極である。本実施形態では、導電層1bは、接地される。誘電体層1aは、ポリカーボネート樹脂からなる。
【0177】
中間層1dは、感光層1cの表面へと飛翔する現像液滴Fが導電層1bに電荷を誘起することを抑制する部材である。中間層1dは、比誘電率3、体積固有抵抗2×10[Ω・m]、厚さ200μm、時定数53msecの誘電体である。誘電体としては、ポリカーボネートなどの半導電性の樹脂を用いることができる。また、厚さは、100μm〜200μmの範囲内から選択することができる。
【0178】
ここで、中間層1dの時定数は次のようにして測定される。まず、導電性基材に中間層1dのみを設ける。感光層1cは、設けないでおく。スコロトロン式の帯電器を用い、グリッド(グリッド電圧は−500V)と中間層1dとのギャップを1.0mmに設定して、中間層1dを一様に−510Vに帯電させる。帯電後の中間層1dの表面電位を表面電位計で計測し、表面電位が0.368倍に減衰するまでにかかる時間を求め、その時間を中間層1dの時定数とする。
【0179】
露光部5は、感光体ベルト1の外周側において感光体ベルト1から離隔して設けられ、感光体ベルト1の外周側から、感光層1cに所定の光を照射する部材である。本実施形態では、感光体ベルト1が不透明であるため、画像形成装置100と異なり、露光部5は、感光体ベルト1の外周側に設けられる。ただし、感光体ベルト1は透明であってもよい。
【0180】
以上の点以外は、画像形成装置100と画像形成装置200とは同一の構成であるので、画像形成装置200は、画像形成装置100と同様の現像動作を行う。したがって、感光体ベルト1の周速度S3=100mm/sである。このとき、帯電部4によって帯電が行われる領域(帯電領域)を、感光体ベルト1が通過するのにかかる時間は、140msecである。この値は、中間層1dの時定数より大きい。したがって、中間層1dは誘電分極が進行するので、感光層1cの表面は目的とする電圧に帯電する。
【0181】
その後、露光部5によって静電潜像Dが形成された感光体ベルト1は、飛翔領域へ到達する。飛翔領域では、感光体ベルト1は、現像ローラ66から現像液滴Fが供給される。このとき、現像ローラ66から離脱した現像液滴Fが、感光体ベルト1へ到達するまでの飛翔時間は、0.1msec〜0.3msecである。この時間は、中間層1dの時定数よりも小さい。したがって、現像液滴Fの飛翔中に、中間層1dの誘電分極は進行しない。
【0182】
このように、飛翔時間よりも大きな時定数を有する中間層1dは、感光層1cの表面に近づく現像液滴Fによる導電層1bへの電荷の誘起を抑制することができる。すなわち、中間層1dは、現像液滴Fが有する電荷に対する鏡像電荷を小さくすることができる。したがって、中間層1dは、鏡像電荷によって形成される鏡像電界(像担持体鏡像電界)を小さくすることができる。これによって、画像形成装置200は、現像液滴Fが感光体ベルト1へ到達する際に、現像飛翔速度が大幅に増加することを防止することができる。よって、画像形成装置200は、感光体ベルト1への着弾間際における現像液滴Fの分裂、および感光体ベルト1への着弾時における現像液滴Fの飛び散りを防ぐことができるので、良好な画質の画像を得ることができる。
【0183】
また、上述したように、中間層1dの時定数は、帯電領域通過時間よりも小さいので、感光体ベルト1は、感光体ベルト1の帯電特性および露光特性を確保しながら、像担持体鏡像電界を小さくすることができる。
【0184】
<シミュレーション3>
画像形成装置200の作用効果を確認するために、シミュレーション3を行った。図8は、シミュレーション3の結果を示す図である。シミュレーション3は、シミュレーション2の条件に、基材Aと感光層Bとの間に、比誘電率ε=1.0、体積固有抵抗ρ=1010Ωm、厚さが100μmであり、時定数が89msecである中間層1dが設けられたという条件を加えて行なったものである。
【0185】
図8(a)は、シミュレーション3における、E(Y)、E、およびE(Y)と、現像液滴Fのy座標Yとの関係を示す。グラフG11は電界E(Y)を示し、グラフG12は電界Eを示し、グラフG13は電界E(Y)を示す。縦軸は、現像ローラCから感光体ベルトへ向かう方向を正とした電界の大きさ[V/m]を表し、横軸は、現像液滴Fのy座標Y[μm]を表す。図8(a)が示すように、中間層1dが設けられることによって、グラフGの場合と比較して、感光体ベルト近傍での電界E(Y)の急峻な変化が解消されることがわかる。
【0186】
図8(b)は、シミュレーション3における、現像液滴Fの飛翔速度Vとy座標Y、y座標Yと飛翔開始からの時間tとの関係を示す。図8(b)では、左縦軸が飛翔速度V[m/s]を表し、右縦軸が時間t[sec]を表し、横軸が現像液滴Fのy座標Y[μm]を表している。グラフG14は、飛翔速度Vと時間tとの関係を示すグラフであり、グラフG15は、y座標Yと時間tとの関係を示すグラフである。グラフG14およびグラフG15は、グラフG11で示す電界E(Y)を用いて、現像液滴Fに対する運動方程式m・dV/dt=−Q・E(Y)−m・gを解くことによって得られる。グラフG14が示すように、飛翔速度Vは、グラフGの場合と比較して、感光体ベルト近傍において大幅に減少し、全体的にはなだらかに変化している。
【0187】
シミュレーション3では、感光層Bへの着弾直前において、飛翔速度Vが2.6m/sとなっている。また、運動エネルギーUvは0.91×10−12Jとなっており、シミュレーション1における運動エネルギーUvよりも減少している。このように、中間層1dを設けることによって飛翔速度Vの増加を抑制できることが確認された。
【符号の説明】
【0188】
1 感光体ベルト
1a 感光層
1b 導電層
1c 誘電体層
1d 中間層
3,3c,3k,3m,3y 像形成部
4,4c,4k,4m,4y 帯電部
5,5c,5k,5m,5y 露光部
6,6a,6c,6k,6m,6y 現像装置
61,71 塗布ローラ
63現像槽
64 供給ローラ
64a 供給ローラ表面層
64b,66b,74b 金属ローラ
64c,66c,74c 回転軸
66,74 現像ローラ
66a,74a 現像ローラ表面層
100,200 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色剤を含有する液体状の現像剤を貯留する現像槽と、
帯電した現像液滴を前記現像剤から形成し、該現像液滴を担持しながら搬送する現像ローラと、
前記現像ローラから静電潜像が形成された像担持体へ、前記現像液滴を飛翔させて供給するための電界である、飛翔電界を発生させる飛翔電界発生手段とを備え、
前記現像ローラは、該現像ローラの表面に担持された現像液滴が該現像ローラに電荷を誘起することを抑制する、現像ローラ電荷抑制手段を有することを特徴とする液体飛翔現像装置。
【請求項2】
前記現像ローラは、導電性を有する現像ローラ基材と、該現像ローラ基材の表面に設けられる、誘電体からなる現像ローラ表面層とを有し、
前記現像ローラ電荷抑制手段は、前記現像ローラ表面層であることを特徴とする請求項1に記載の液体飛翔現像装置。
【請求項3】
前記現像ローラの表面は、前記現像剤に対して、撥液性を有することを特徴とする請求項1または2に記載の液体飛翔現像装置。
【請求項4】
着色剤を含有する液体状の現像剤を貯留する現像槽と、
帯電した現像液滴を前記現像剤から形成し、該現像液滴を担持しながら搬送する供給ローラと、
前記供給ローラから供給された現像液滴を、担持しながら搬送する現像ローラと、
前記供給ローラから前記現像ローラへ、前記現像液滴を飛翔させて供給するための電界である、中間飛翔電界を発生させる中間飛翔電界発生手段と、
前記現像ローラから静電潜像が形成された像担持体へ、前記現像液滴を飛翔させて供給するための電界である、飛翔電界を発生させる飛翔電界発生手段とを備え、
前記供給ローラは、該供給ローラの表面に担持された現像液滴が該供給ローラに電荷を誘起することを抑制する、供給ローラ電荷抑制手段を有することを特徴とする液体飛翔現像装置。
【請求項5】
前記供給ローラは、導電性を有する供給ローラ基材と、該供給ローラ基材の表面に設けられる、誘電体からなる供給ローラ表面層とを有し、
前記供給ローラ電荷抑制手段は、前記供給ローラ表面層であることを特徴とする請求項4に記載の液体飛翔現像装置。
【請求項6】
前記供給ローラの表面は、前記現像剤に対して、撥液性を有することを特徴とする請求項4または5に記載の液体飛翔現像装置。
【請求項7】
前記現像ローラは、該現像ローラの表面に担持された現像液滴が該現像ローラに電荷を誘起することを抑制する、現像ローラ電荷抑制手段を有することを特徴とする請求項4〜6のいずれか1つに記載の液体飛翔現像装置。
【請求項8】
前記供給ローラの周速度をS1[m/s]、前記現像ローラの周速度をS2[m/s]とするとき、下記式(1)を満たすように、前記供給ローラおよび前記現像ローラを制御する第1周速度比制御手段を備えることを特徴とする請求項4〜7のいずれか1つに記載の液体飛翔現像装置。
|S1/S2| > 1 …(1)
【請求項9】
前記現像液滴の表面エネルギーをUs[J]、該現像液滴の質量をM[kg]、該現像液滴の飛翔速度の最大値をVmax[m/s]とするとき、下記式(2)を満たすように飛翔電界を制御する飛翔電界制御手段を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つに記載の液体飛翔現像装置。
Us > (1/2)MVmax …(2)
【請求項10】
感光層を有する像担持体と、
請求項1〜9のいずれか1つに記載の液体飛翔現像装置とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
導電性を有する導電性基材と感光層とを有する像担持体と、
着色剤を含有する液体状の現像剤から形成された、帯電した現像液滴を、飛翔させることによって、前記像担持体に供給する液体飛翔現像装置とを備え、
前記像担持体は、前記感光層の表面へと飛翔する現像液滴が該導電性基材に電荷を誘起することを抑制する、中間層を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
前記中間層は、前記感光層と前記導電性基材との間に設けられる誘電体であることを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記液体飛翔現像装置として、請求項1〜9のいずれか1つに記載の液体飛翔現像装置を備えることを特徴とする請求項11または12に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記現像ローラの周速度をS2[m/s]、前記像担持体の周速度をS3[m/s]とするとき、下記式(3)を満たすように、前記現像ローラおよび前記像担持体を制御する第2周速度比制御手段を備えることを特徴とする請求項10または13に記載の画像形成装置。
|S2/S3| > 1 …(3)

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−7887(P2011−7887A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−149227(P2009−149227)
【出願日】平成21年6月23日(2009.6.23)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】