説明

液散布機

【課題】対象物である果物等に液付着させつつ、遠くに液が飛散しない液散布機を提供することである。
【解決手段】液散布機1は、車両本体5と、車両本体5に搭載され、液を貯蔵している液タンク59と、車両本体5に搭載される液散布部3と、を有し、液散布部3は、取り入れた空気を車両本体5の前方向へ延びる中心軸Oに対して、直角方向成分を有して送風可能な送風部31と、送風部31によって送風された経路中に設けられ、液タンク59からの液を放出可能な複数のノズル35と、を有し、複数のノズル35は、車両本体5の外周よりも液を散布する対象物側に突出した位置に配設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、果物等に液を散布するための液散布機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1〜5には、薬液散布機であるスピードスプレーヤが開示されている。
特許文献6には、2方向ノズルを有する噴霧装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007―313483号公報
【特許文献2】特開2006―205126号公報
【特許文献3】特開2005―021775号公報
【特許文献4】特開平8―141457号公報
【特許文献5】特開平8―066645号公報
【特許文献6】特開2008―238021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1〜特許文献6に記載の方法においては、散布された液が遠くに飛散するとう不利益がある。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的の一例は、対象物である果物等に液付着させつつ、遠くに液が飛散しない液散布機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液散布機は、車両本体と、前記車両本体に搭載され、液を貯蔵している液タンクと、前記車両本体に搭載される液散布部と、を有し、前記液散布部は、取り入れた空気を前記車両本体の前方向へ延びる中心軸に対して、直角方向成分を有して送風可能な送風部と、前記送風部によって送風された経路中に設けられ、前記液タンクからの液を放出可能な複数のノズルと、を有し、複数の前記ノズルは、前記車両本体の外周よりも液を散布する対象物側に突出した位置に配設されている。
【0007】
好適には、複数の前記ノズルはノズル保持部によって保持され、前記ノズル保持部は、複数の前記ノズルの位置を、液を散布する対象物側と前記車両本体側に位置変更可能に形成される。
【0008】
好適には、前記ノズル保持部は、前記車両本体の前方向へ延びる軸に対して垂直方向に移動可能な基部と、前記基部に接続される第1アーム部と、前記第1アーム部に接続される第2アーム部と、を有する。
【0009】
好適には、前記第1アーム部と前記基部との接続は、前記基部を中心に搖動可能に形成されている。
【0010】
好適には、前記第1アーム部と前記第2アーム部との接続は、前記車両本体の前方方向に延びる中心軸の後方側にも屈曲可能に形成されている。
【0011】
好適には、前記ノズルは、前記車両本体の前方位置に形成された前方側ノズルと、前記車両本体の後方位置に形成された後方側ノズルと、を有し、前記前方側ノズルと前記後方側ノズルとは、放出される液の放出状況が異なるように形成される。
【0012】
好適には、前記前方側ノズルは、前記後方側ノズルより、放出される液の到達距離が遠くとなるように形成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明における液散布機によって、対象物である果物等に液付着させつつ、遠くに液が飛散しない液散布機を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】液散布機の概要の説明図である。
【図2】液散布部の拡大説明図である。
【図3】液散布部の斜視図である。
【図4】ノズルのより好適な実施形態(第2の実施形態)の説明図である。
【図5】第2の実施形態による効果の説明図である。
【図6】第1の実施形態及び第2の実施形態における効果を、従来の液散布機と比較して説明する図である。
【図7】第2の実施形態の概要の説明図である。
【図8】第2の実施形態のダンパ付基部の正面図、上面図、側面図である。
【図9】第2の実施形態のダンパ付基部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<第1の実施形態>
図1は、液散布機1の概要の説明図である。
【0016】
以下、本発明の第1の実施形態を、図1を用いて詳細に説明する。
図1のように、液散布機1は、液散布部3と車両本体5とを有している。
ここで、車両本体5が、ハンドル51を切らずに進む方向を前方向と定義し、その逆を後方向と定義する。
また、車両本体5の中心を通り、車両本体5の前方向へ延びる軸を中心軸Oと定義し、この中心軸に対して直角な方向を法線方向と定義する。
車両本体5の前方向に対して右手方向を右方向と定義し、その逆を左手方向と定義する。
さらに、車両本体5の上側方向を上方向と定義し、地面側方向を下方向と定義する。
【0017】
車両本体5は、操舵するためのハンドル51、ユーザが着座するためのシート53、前55、後輪57及び液タンク59を有している。
液タンク59には、水、薬が溶解された水(薬液)等が貯蔵可能である。液タンク59に薬液が貯蔵され、この薬液が散布される場合には、液散布機1は薬液散布機として機能する。
【0018】
液散布部3は、送風部31、ノズル35及びこのノズルを保持するためのノズル保持部33を有する。
ノズル35は複数配置されており、散布対象物対(果物、葉)に液タンク59の水、薬液を散布する機能を有している。
ノズル保持部33は、このノズル35を所定(所望)の位置に保持する機能を有する。
【0019】
図2は、液散布部3の拡大説明図である。図2の(a)は、図1のII−A側からの裏面図であり、図2の(b)は図1と同じ位置からの液散布部3の拡大説明図である。
【0020】
図2の(a)のように、複数の羽根311を有する軸流の送風部31が車両の中心軸Oを中心に回転する。
そして、この送風部31の中心軸Oの上方向位置において、ノズル保持部33が送風部31に接続されている。
ノズル保持部33は、基部335、この基部335と接続される第1アーム部331と、この第1アーム部331に接続される第2アーム部333とを有する。
第1アーム部331は、基部335(車両本体5)の右側に設けられる右側第1アーム部331Rと、基部335(車両本体5)の左側に設けられる左側第1アーム部331Lと、を有する。
第2アーム部333は、基部335(車両本体5)の右側に設けられる右側第2アーム部333Rと、基部335(車両本体5)の左側に設けられる左側第2アーム部333Lと、を有する。
第1アーム部331及び第2アーム部333は、断面形状が四角形の棒状の形状を有している。また、第1アーム部331及び第2アーム部333の長手方向の長さはほぼ同一である。
また、送風部31に一方サイド、第1アーム部331に他方サイドが接続されたシリンダ37が配設される。このシリンダ37は、基部335の右側に設けられる右側シリンダ37Rと、基部335の左側に設けられる左側シリンダ37Lと、を有する。
以下、右側第1アーム部331Rと左側第1アーム部とは左右対称であるにすぎないことから、右側第1アーム部331Rの説明のみとし、左側第1アーム部331Lの説明は省略する。なお、右側第2アーム部333Rと左側第2アーム部333Lも同様である。
【0021】
基部335は、上方向及び下方向に移動させ、その後、送風部31とボルト等で接続させることが可能である。この移動及び移動後の接続によって、基部335を、ユーザの所望に応じて中心軸O側に接近させる又は離間させることが可能である。
基部335の右側において、右側第1アーム部331Rが搖動自在に接続されている。
右側第1アーム部331Rの、基部335と接続されている端部とは反対側端部において、右側第1アーム部331Rと右側第2アーム部333Rとが一定の範囲で搖動可能に接続されている。
右側第1アーム部331Rが右側第2アーム部333Rと接続されている側の端部近傍において、右側シリンダ37Rと右側第1アーム部331Rが回動自在に接続されている。
右側シリンダ37Rが伸長又は縮短することによって、右側第1アーム部331Rが、基部335と右側第1アーム部331Rの接続部分を中心として、搖動する。より具体的には、右側シリンダ37Rが伸長した場合には、右側第1アーム部331Rが、基部335と右側第1アーム部331Rの接続部分を中心として、上側方向(図2の(a)において反時計回り)に回転する。逆に、右側シリンダ37Rが縮短した場合には、基部335と右側第1アーム部331Rの接続部分を中心として、下側方向(図2の(a)において時計回り)に回転する。
【0022】
右側第2アーム部333Rと右側第1アーム部331Rとの間の搖動可能な接続は、ユーザによる力で、その接続角度を自在に変更可能である。
このように、基部335と第1アーム部331との回転はシリンダ37によってなされるのに対して、第1アーム部331と第2アーム部333との回転はユーザの力によってなされ得るように設計しているのは以下の理由による。
基部335と第1アーム部331との間の接続は、基部335と第1アーム部331によるトルクがかかっており、比較的大きなトルクがかかっている。そのため、第1アーム部331が基部335に対して一定の角度を保持するためには、多くの力がいる。
その結果、第1アーム部331は、大きなトルク力に対抗できるシリンダ37による保持が必要である。
また、このように大きなトルクが必要であるということは、第1アーム部331と回転させるための力も大きなものが必要であり、大きな回転トルクを発生させることが可能なシリンダ37が適切である。
他方、第1アーム部331と第2アーム部333との接続部分は、第2アーム部333のみのトルクが加わっているにすぎず、シリンダ37ではなくても保持可能であるから、ユーザの力によって角度を変化できるのが適切である。
【0023】
基部335と第1アーム部331との間の角度を変化させるためにシリンダ37を用いたことによって、ユーザがシート53に乗ったままでも、基部335と第1アーム部331との間の角度を変化させることも可能となっている。
【0024】
右側第1アーム部331Rには、3つのノズル35が配設されている。また、右側第2アーム部333Rにも、3つのノズル35が配設されている。
【0025】
図2の(b)のように、第1アーム部331と第2アーム部333との接続は、前方向から力が加わった場合には、第2アーム部333が後方向に回動するように形成されている。
この回動を可能としたことによって、第2アーム部333が何らかの障害物と衝突した場合にも、第2アーム部333が逃げることができ、第2アーム部333等の破損を防ぐことが可能となる。
さらに、この回動によって、果物の木の幹などに衝突した場合にも、果物の木の幹などを痛めることが無いという効果がある。
とくに、第2アーム部333は、車両本体5の外周から法線方向側に突出が大きいため、果物の木等に衝突しやすい部分である(図5の(b)も参照のこと)ためこのようにする必要性が高く、効果が高い。
【0026】
図2の(b)のように、中心軸O方向を有する吸入風a1は、送風部31に吸入され、そのまま中心軸O方向に送出される。その送出風a2は車両本体5の後方向側の後面39に衝突することよって、法線方向に導風される。
このように、送出風a2が法線方向成分を有していることから、この送出風a2の途中に配置されたノズル35から放出された薬液が、この送出風a2にのって薬液を散布する対象物に到達する。
つまり、薬液が、果物等の薬液を散布する対象物に散布されることになる。
【0027】
図3は、液散布部3の斜視図である。
【0028】
図3のように、車両本体5の後部には後面39が配置される。
また、第2アーム部333(左側第2アーム部333L)の前方向には、ガード337(左側ガード337L)が、配置されている。
このガード337はノズル35に果物の木の幹などが引っ掛かって、折れることを防止するために設けられている。
より具体的には、もしこのガード337がないと、たとえ、第2アーム部333が何らかの果物の木の幹等と衝突した場合にも、第2アーム部333が逃げることができたとしても、ノズル35部分に引っ掛かって、果物の木の幹等が折れてしまうおそれがあるからである。
【0029】
<第2の実施形態>
図4は、ノズル35のより好適な実施形態(第2の実施形態)の説明図である。
なお、第2の実施形態と第1の実施形態と異なる点は、ノズル35の形状が異なる点のみである。
【0030】
第1の実施形態において、ノズル35は、図3のように、一つの放出口のみを有していた。しかし図4のように、第2の実施形態の2方ノズル350は、前方側ノズル351と後方側ノズル353有している。
なお、この第2の実施形態での2方ノズル350は、前方側ノズル351が車両本体5の前方向側の位置となり、後方側ノズル353が車両本体5の後方向側の位置となるように取付けられる。
前方側ノズル351と後方側ノズル353は、基幹部355に接続されている。この基幹部355は、図3に示したノズル35の場合と接続部357において同一の形状を有している。そのため、図3に示したノズル35を取り外して、図4の前方側ノズル351と後方側ノズル353を有する2方ノズル350をそのまま取り付け可能である。
【0031】
そして、前方側ノズル351は、後方側ノズル353よりも、遠方に薬液が届くよう(到達距離が遠くとなる)に形成される。
また、後方側ノズル353は、前方側ノズル351はよりも、広範囲に薬液が広がるように形成される。
具体的な一例としては、前方側ノズル351から噴射される薬液の平均粒径が200〜300μm、挟角が30〜45°であり、後方側ノズル353から噴射される薬液の平均粒径が100〜200μm、挟角が70〜80°である。なお、平均粒径が大きいほど到達距離が遠くなる。
【0032】
図5は、第2の実施形態による効果の説明図である。
【0033】
図4のところで説明したように、前方側ノズル351は、後方側ノズル353よりも、遠方に薬液が届くよう、かつ、後方側ノズル353は、前方側ノズル351はよりも、広範囲に薬液が広がるように形成される。
その結果、液散布部3による散布は、図5の(a)及び図5の(b)のようになる。
このように構成したことによって、前方側ノズル351によって、新梢L1の先端まで薬液を到達させ、良好な状態で薬液を新梢L1に付着させることができる。
さらに、後方側ノズル353によって粒径の小さな薬液の粒子を広角で噴射し、かつ、小さい風量によって近接散布することによって、棚面Pの近くの葉L2等に薬液を良好に付着させることが可能となる。
また、前方側ノズル351から噴射される薬液の粒径平均が従来のノズル35の薬液のものよりも大であるため、従来のものに比して、送風部31による風、自然風によるドリフトを抑えることが可能となる。
【0034】
図6は、第1の実施形態及び第2の実施形態における効果を、従来の液散布機1と比較して説明する図である。
【0035】
図6の(b)は、特許文献1及び特許文献2などの従来の液散布機における、薬液の散布状態である。
この図6のように、ノズル35が車両本体5の外周よりも内部側に設けられていると、ノズル35の位置から散布する散布の対象物までの距離が遠くなってしまう。そうすると、ノズル35から噴射された薬液を散布の対象物まで到達させるためには、送風部31の風速を上げる必要が生ずる。
そのようにすると、薬液の粒が高速で移動することになり、途中に散布の対象物があっても付着が良好にならない。
さらに、散布の対象物に付着しなかった薬液は、高速で飛び散り、近隣の家などにまで飛散してしまうことになる。
また、送風部31の回転数が大きいため、送風部31の騒音、送風音が大きくなり、近隣の家などに大きな迷惑がかかる可能性がある。
【0036】
他方、図6の(a)は第1の実施形態及び第2の実施形態の薬液の散布状態を表す図である。第1の実施形態及び第2の実施形態の薬液の散布では、ノズル35が散布の対象物の近傍にあるため、送風部31の送風の流速が低くて足りることになる。
その結果、送風部31の回転数を下げることができ、送風部31が発生する騒音、送風部31が送風する風の騒音が低減する。
さらに、薬液を早い流速を有する送出風で散布する必要がなくなるため、薬液が、不必要に遠くにまで吹き飛ばされることが無くなり、近隣への不必要な飛散を防止することが可能となる。
加えて、散布の対象物への薬液の付着もより確実にすることができる。これは、高い流速の送出風によって散布がなされていると、散布の対象物への付着が困難となるうえに、送風の流速が高い場合には一度薬液が付着してもこれを吹き飛ばしてしまうが、これを抑制することが可能となる。
【0037】
<第2の実施形態>
図7は、第2の実施形態の概要の説明図である。
【0038】
第1の実施形態と特に異なる点は、基部335の構造が異なる点である。
後述するが、基部335内にガスダンパを設けたダンパ付基部335aによって、ダンパ付基部335aが位置を高さを少ないユーザの力によって調節可能としている。
【0039】
図8は、第2の実施形態のダンパ付基部335aの正面図、上面図、側面図である。
図9は、第2の実施形態のダンパ付基部335aの断面図である。
より具体的には、図8の(a)は上面図であり、図8の(b)は正面図であり、図8の(c)は側面図である。
また、図9の(a)は図8の(b)のIXa―IXaにおける断面図であり、図9の(b)は図8の(a)のIXb―IXbにおける断面図であり、図9の(c)は図8の(b)のIXc―IXcにおける断面図である。
【0040】
図8及び図9(特に、図9の(a)及び図9の(b))のように、ダンパ付基部335aは、断面コ字形状の外側構造体103、断面コ字形状の内側構造体105、内側構造体105の内部に配置されるガスダンパ113(ダンパシリンダ113b、ロッド113a)が配置されている。
外側構造体103の上方向位置には、外側構造体103の断面コ字形状の外形と同一の形状を有する四角い板であるプレート101が配置される(特に、図8の(a)、図9の(b)及び図9(c)参照のこと)。
そして、このプレート101の上方向位置に、第1アーム331部(左側第1アーム部331L、右側第1アーム部331R)を保持するための保持部107が配置されている(特に、図8の(b)及び図8の(a)参照のこと)。
保持部107は、左側第1アーム331部L及び右側第1アーム部331Rをピン109(左側ピン109L、右側ピン109R)等で保持して、搖動可能に保持している。
なお、左側第1アーム部331L及び右側第1アーム部331Rには、ノズル35がそれぞれ配置されている。
また、内側構造体105の下方向端部は、送風部と接続されている
【0041】
外側構造体103と内側構造体105は、留め具111(上側留め具111a及び下側留め具111b)によって係止されている。
具体的には、図9の(b)のように、外側構造体103に、上下方向に4つの貫通穴(第1外側貫通穴115a、第2外側貫通穴115b、第3外側貫通穴115c、第4外側貫通穴115d)が形成されている。
また、内側構造体105に、上下方向に2つの貫通穴(第1内貫通穴117a、第2内側貫通穴117b)が形成されている。
そして、第2外側貫通穴115bと第1内側貫通穴117aを貫通するように、上側留め具111aが挿入されている。
同様に、第3外側貫通穴115cと第2内側貫通穴117bを貫通するように、下側留め具111bが挿入されている。
これによって、外側構造体103と内側構造体105との相対移動が制限され、上下方向に移動しない状態で保持されることになる。
【0042】
また、第1アーム部331(第2アーム部333)全体を上方向側にシフトさせたい場合には、上側留め具111a及び下側留め具111bを抜き取り、外側構造体103を上方向に移動させる。
その後、第1外側貫通穴115aと第1内側貫通穴117aを貫通するように、上側留め具111aを挿入し、第2外側貫通穴115bと第2内側貫通穴117bを貫通するように、下側留め具111bを挿入する。
【0043】
逆に、第1アーム部331(第2アーム部333)全体を下方向側にシフトさせたい場合には、上側留め具111a及び下側留め具111bを抜き取り、外側構造体103を下方向に移動させる。
その後、第3外側貫通穴115cと第1内側貫通穴117aを貫通するように、上側留め具111aを挿入し、第4外側貫通穴115dと第2内側貫通穴117bを貫通するように、下側留め具111bを挿入する。
【0044】
ところで、外側構造体103を上下方向に移動させるためには、外側構造体103のみならず、第1アーム部331、第2アーム部333等の一体化した部材も移動させなければならないため、ユーザはそのままでは多くの力を必要とする。
このように、多くのちからを必要とする作業はユーザの作業負荷を増大させるため好ましくない。
そこで、ガスダンパ113を利用して、ユーザに必要とされる力を低減化している。
具体的には、外側構造体103と一体化したプレート101にガスダンパ113のロッド113aが接続されており、送風部31にダンパシリンダ113bが接続されている。
【0045】
ここで、留め具111は、ピンであっても良いし、ボルト等であっても良い。
また、ガスダンパ113は、単なるばね等の弾性体であってもよい。
さらに、外側構造体103のコ字形状の内周面と、内側構造体105のコ字形状の外周面は当接して、外側構造体103が摺動して移動するようにすると好適である。
【0046】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、様々な変化した構造、構成、制御を行っていても良い。
【0047】
<実施形態の構成及び効果>
第1の実施形態及び第2の実施形態の液散布機1は、車両本体5と、車両本体5に搭載され、液を貯蔵している液タンク59と、車両本体5に搭載される液散布部3と、を有し、液散布部3は、取り入れた空気を車両本体5の前方向へ延びる中心軸Oに対して、直角方向成分を有して送風可能な送風部31と、送風部31によって送風された経路中に設けられ、液タンク59からの液を放出可能な複数のノズル35と、を有し、複数のノズル35は、車両本体5の外周よりも液を散布する対象物側に突出した位置に配設されている。
このような構成を有することから、騒音の低減、薬液の不必要な飛散、散布の対象物である果物等へ薬液を確実に付着させることが可能となる。
【0048】
複数のノズル35はノズル保持部33によって保持され、ノズル保持部33は、複数のノズル35の位置を、液を散布する対象物側と車両本体5側に位置変更可能に形成される。
このような構成を有することから、必要に応じてノズル35を散布の対象物に接近させたり、遠ざけたりすることができる。そして、これによって、最も散布し易い、散布が効率的、な状態でユーザが作業することができる。
【0049】
ノズル保持部33は、車両本体5の前方向へ延びる軸に対して垂直方向に移動可能な基部335と、基部335に接続される第1アーム部331と、第1アーム部331に接続される第2アーム部333と、を有する。
このような構成を有することから、果物等の棚等の形状、果物の種類、発育状況に応じて散布するノズル35の位置を任意に変化させることが可能となる。
【0050】
第1アーム部331と基部335との接続は、基部335を中心に搖動可能に形成されている。
このような構成を有することから、果物等の棚等の形状、果物の種類、発育状況に応じて散布するノズル35の位置を任意に変化させることが可能となる。
【0051】
第1アーム部331と第2アーム部333との接続は、車両本体5の前方方向に延びる中心軸Oの後方側にも屈曲可能に形成されている。
このような構成を有することから、果物の木の幹などに衝突した場合にも、果物の木の幹などを痛めることが無いという効果がある。
また、第2アーム部333の棄損を防ぐという効果もある。
【0052】
2方ノズル350は、車両本体5の前方位置に形成された前方側ノズル351と、車両本体5の後方位置に形成された後方側ノズル353と、を有し、前方側ノズル351と後方側ノズル353とは、放出される液の放出状況が異なるように形成される。
このような構成を有することから、散布の対象物へより確実に薬液を散布することが可能となる。
【0053】
前方側ノズル351は、後方側ノズル353より、放出される薬液の到達距離が遠くとなるように形成される。
このような構成を有することから、前方側ノズル351によって、新梢L1の先端まで薬液を到達させ、良好な状態で薬液を新梢L1に付着させることができる。
さらに、後方側ノズル353によって粒径の小さな薬液の粒子を広角で噴射し、かつ、小さい風量によって近接散布することによって、棚面Pの近くの葉L2等に薬液を良好に付着させることが可能となる。
また、前方側ノズル351から噴射される薬液の粒径平均が従来のノズル35の薬液のものよりも大であるため、従来のものに比して、送風部31による風、自然風によるドリフトを抑えることが可能となる。
【0054】
<定義等>
本発明の液散布機の一例が薬液を散布する薬液散布機(スピードスプレーヤ)である。本発明の液散布機は必ずしも薬液を散布するものである必要は無く、単に水の散布機であっても良い。
【符号の説明】
【0055】
1 液散布機
3 液散布部
5 車両本体
31 送風部
33 ノズル保持部
35 ノズル
39 後面
59 液タンク
331 第1アーム部
331L 左側第1アーム部
331R 右側第1アーム部
333 第2アーム部
333L 左側第2アーム部
333R 右側第2アーム部
335 基部
350 2方ノズル
351 前方側ノズル
353 後方側ノズル
355 基幹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両本体と、
前記車両本体に搭載され、液を貯蔵している液タンクと、
前記車両本体に搭載される液散布部と、を有し、
前記液散布部は、
取り入れた空気を前記車両本体の前方向へ延びる中心軸に対して、直角方向成分を有して送風可能な送風部と、
前記送風部によって送風された経路中に設けられ、前記液タンクからの液を放出可能な複数のノズルと、を有し、
複数の前記ノズルは、前記車両本体の外周よりも液を散布する対象物側に突出した位置に配設されている
液散布機。
【請求項2】
複数の前記ノズルはノズル保持部によって保持され、
前記ノズル保持部は、複数の前記ノズルの位置を、液を散布する対象物側と前記車両本体側に位置変更可能に形成される
請求項1に記載の液散布機。
【請求項3】
前記ノズル保持部は、
前記車両本体の前方向へ延びる軸に対して垂直方向に移動可能な基部と、
前記基部に接続される第1アーム部と、
前記第1アーム部に接続される第2アーム部と、を有する
請求項2に記載の液散布機。
【請求項4】
前記第1アーム部と前記基部との接続は、前記基部を中心に搖動可能に形成されている
請求項3に記載の液散布機。
【請求項5】
前記第1アーム部と前記第2アーム部との接続は、前記車両本体の前方方向に延びる中心軸の後方側にも屈曲可能に形成されている
請求項3又は4に記載の液散布機。
【請求項6】
前記ノズルは、
前記車両本体の前方位置に形成された前方側ノズルと、
前記車両本体の後方位置に形成された後方側ノズルと、を有し、
前記前方側ノズルと前記後方側ノズルとは、放出される液の放出状況が異なるように形成される
請求項1に記載の液散布機。
【請求項7】
前記前方側ノズルは、前記後方側ノズルより、放出される液の到達距離が遠くとなるように形成される
請求項2に記載の液散布機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−91028(P2013−91028A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234452(P2011−234452)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(501203344)独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構 (827)
【出願人】(397002360)ヤマホ工業株式会社 (14)
【出願人】(000141174)株式会社丸山製作所 (134)
【Fターム(参考)】