説明

液晶表示装置

【課題】円形や多角形の偏光板における吸収軸や透過軸の方向についての精度を高める。
【解決手段】基板1Aの周縁部は直線部1aを含む。基板1Bも同様である。偏光板2の周縁部は、曲線部により形成され且つ直線部2aを含む。背面の偏光板も同様である。偏光板2や背面偏光板が基板1A、1Bに貼り付けられた後においては、例えば、基板1Aの直線部1aの方向を基準方向として、この基準方向と偏光板2の直線部2aとが平行か否かについての検査がなされる。また、基板1Bの直線部の方向を基準方向として、この基準方向と背面の偏光板の直線部とが平行か否かについての検査がなされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円形や多角形の液晶表示装置に関し、詳しくは液晶層に対して偏光板の透過軸乃至は吸収軸の軸角度の配置精度を高め、表示性能を向上する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
旧来のノート型コンピュータ、携帯型のテレビジョン映像受像機、携帯電話端末などは、液晶表示装置で構成した四角形の表示部を備える。
【0003】
この液晶表示装置では、図5に示すように、基板1Aの前面に四角形の偏光板2が設けられ、図示しない背面には同じく四角形の偏光板(図示せず。以下、「背面偏光板」という)が設けられている。
【0004】
偏光板2の吸収軸2FKは、背面偏光板の吸収軸2RKに対して垂直になるように配置される。図5は、対角方向に配置した最長の吸収軸2FK、2RKを示しており、その長さ並びにこれら吸収軸に垂直な透過軸の長さが比較的に長い。
【0005】
一般に、高温や高温高湿の状況下では、偏光板2や背面偏光板のPVA(ポリビニルアルコール)層が偏光板の吸収軸方向に収縮する。
【0006】
偏光板2や背面偏光板に、各々位相差板が付いている場合、PVA層の収縮により、位相差板と偏光板の軸角度が、特に周縁部でズレが大きくなる。結果周縁部(いわゆる額縁)に表示ムラが生じてしまう。
【0007】
図6は、対辺方向に配置した吸収軸2FK、2RHを示しており、その長さならびに透過軸の長さは一様で且つ図5のものより短いので、PVA層の収縮が小さい。
【0008】
偏光板2や背面偏光板に、各々位相差板が付いている場合、PVA層の収縮により、位相差板と偏光板の軸角度のズレは小さく、結果として周縁部(額縁)の表示ムラを低減することができる。
【0009】
一方、近年では、高コントラスト化や高画質化を目的として、液晶層に対して偏光板の透過軸乃至は吸収軸の配置精度を高めたいという要望が多い。
【0010】
四角形の偏光板を使用する場合、基準の一辺と偏光板の吸収軸乃至は透過軸が所望の角度をなすか否かについての検査がなされる。この検査を通過した偏光板が基板に貼り付けられた後においては、基板における基準方向と偏光板の基準の一辺とがなす角度ついても同様の検査がなされる。
【0011】
こうした検査により、偏光板の吸収軸乃至は透過軸の軸角度の配置についての精度を担保することができる。
【特許文献1】特開2005−326831号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところで、近年の携帯電話端末には、円形や5角以上の多角形の表示部を備えるものがある。このような表示部は、例えば四角形の表示部の背面側に設けられる。
【0013】
また、自動車の表示メーターや、フロントパネルにも、液晶表示装置で構成した表示部を設けようという機運がある。よって、今後、多様な形状の表示部が要望されると予測される。
【0014】
しかし、円形の偏光板を使用した場合、その偏光板には基準の辺が存在しないので、上記のような検査が行えず、偏光板の吸収軸乃至は透過軸の軸角度の配置について高い精度が得られない可能性がある。
【0015】
また、多角形の偏光板を使用した場合であっても、基準の辺を定めなければ、同様に検査が行えず、偏光板の吸収軸乃至は透過軸の軸角度の配置について高い精度が得られない可能性がある。
【0016】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、円形や多角形の偏光板における吸収軸や透過軸の方向についての精度を高めることができる液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の課題を解決するために、第1の本発明に係る液晶表示装置は、一対の基板と、一対の基板間に挟持された液晶層と、各基板上に設けられ、曲線部により形成され且つ1つの直線部を含む周縁部を有する偏光板とを備える。
【0018】
第1の本発明によれば、偏光板の周縁部が直線部を含むので、その直線部により、偏光板の吸収軸乃至は透過軸の方向が適切か否かを検査でき、よって、その方向についての精度を高めることができる。
【0019】
第2の本発明に係る液晶表示装置は、第1の本発明において、偏光板の周縁部が、直線部以外の直線部を含み、前記1つの直線部が該直線部以外の直線部に対して目視で識別可能になっていることを特徴とする。
【0020】
第2の本発明によれば、1つの直線部が該直線部以外の直線部に対して目視で識別可能になっているので、その1つの直線部により、偏光板の吸収軸や透過軸の方向が適切か否かを検査でき、よって、その方向についての精度を高めることができる。
【0021】
第3の本発明に係る液晶表示装置は、第1または2の本発明において、各偏光板に位相差板が設けられ、各偏光板の吸収軸は、該偏光板の前記1つの直線部に垂直または平行であることを特徴とする。
【0022】
第3の本発明によれば、例えば、一方の偏光板の吸収軸はその偏光板の直線部に垂直なので、傾斜している場合との比較で、吸収軸は短い。よって、偏光板のPVA層の収縮が少ない。
【0023】
また、他方の偏光板の吸収軸はその偏光板の直線部に平行なので、傾斜している場合との比較で、吸収軸に垂直な透過軸は短い。よって、背面偏光板のPVA層の収縮が少ない。
【0024】
したがって、周縁部での位相差板と偏光板の軸角度の配置ズレが小さいことから表示ムラを少なくすることができる。
【0025】
第4の本発明に係る液晶表示装置は、一対の基板と、一対の基板間に挟持された液晶層と、各基板上に設けられ、5以上の直線部により形成され且つ1つの直線部が該直線部以外の直線部に対して目視で識別可能になっている偏光板とを備える。
【0026】
第4の本発明によれば、1つの直線部が該直線部以外の直線部に対して目視で識別可能になっているので、その1つの直線部により、偏光板の吸収軸乃至は透過軸の方向が適切か否かを検査でき、よって、その軸角度の配置についての精度を高めることができる。
【0027】
第5の本発明に係る液晶表示装置は、第2ないし4のいずれかの本発明において、1つの直線部の長さが該直線部以外の直線部の長さに対して異なることを特徴とする。
【0028】
第5の本発明によれば、1つの直線部の長さが該直線部以外の直線部の長さに対して異なるので、1つの直線部が該直線部以外の直線部に対して目視で識別可能になり、よって、偏光板の吸収軸や透過軸の軸角度の配置についての精度を高めることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、偏光板の周縁部に目視で識別可能な直線部を1つだけ設けることで、その直線部により、偏光板の吸収軸乃至は透過軸の方向が適切か否かを検査でき、よって、その方向についての精度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
【0031】
図1は、一実施の形態に係る液晶表示装置の概略的な平面図である。
【0032】
液晶表示装置は、ほぼ円形の周縁部を有する基板1A、1Bと、基板1A、1B間に挟持された液晶層(図示せず)と、基板1Aの前面に貼り付けられた偏光板2と、基板1Bの背面に貼り付けられた偏光板(図示せず。以下、「背面偏光板」という)と、背面偏光板の背面側に設けられたバックライト(図示せず)とを備える。基板1A、1Bは、ガラスなどにより形成される。
【0033】
基板1Aの周縁部は直線部1aを含む。基板1Bも同様である。各基板1A、1Bの直線部は同位置にある。
【0034】
基板1Aの直線部1aには、OLB(Outer lead bonding)によりフレキシブル基板FBが接続される。
【0035】
偏光板2の周縁部は、曲線部により形成され且つ直線部2aを含む。背面偏光板も同様である。各偏光板の直線部は同位置にある。
【0036】
偏光板2の液晶層側の面には、液晶層を通過した楕円偏光を直線偏光にする位相差板(図示せず)が設けられている。
【0037】
偏光板2の吸収軸2FKは、直線部2aに垂直になっている。また、背面偏光板の吸収軸2RKは、背面偏光板の直線部に平行になっている。
【0038】
つまり、偏光板2の透過軸(図示せず)は、直線部2aに平行になっている。また、背面偏光板の透過軸(図示せず)は、背面偏光板の直線部に垂直になっている。
【0039】
偏光板2が基板1Aに貼り付けられる前においては、直線部2aが吸収軸2FKに対して垂直か否かについての検査がなされる。また、背面偏光板が基板1Bに貼り付けられる前においては、背面偏光板の直線部が吸収軸2RKに対して平行か否かについての検査がなされる。
【0040】
この検査を通過した偏光板2や背面偏光板が基板1A、1Bに貼り付けられた後においては、例えば、基板1Aの直線部1aの方向を基準方向として、この基準方向と偏光板2の直線部2aとが平行か否かについての検査がなされる。また、基板1Bの直線部の方向を基準方向として、この基準方向と背面偏光板の直線部とが平行か否かについての検査がなされる。また、偏光板2の周縁部と基板1Aの周縁部との距離Lと反対側での偏光板2の周縁部と基板1Aの周縁部との距離が適切か否かについての検査がなされる。
【0041】
したがって、この実施の形態によれば、偏光板2の直線部2aと背面偏光板の直線部を設けたので、その直線部2aにより、偏光板の吸収軸の方向が適切か否かを検査でき、よって、その方向についての精度を高めることができる。
【0042】
なお、偏光板2や背面偏光板の透過軸は、吸収軸2FK、2RKに垂直なので、これらの透過軸の方向についての精度を高めることもできる。
【0043】
また、この実施の形態によれば、吸収軸2FKは直線部2aに垂直なので、傾斜している場合との比較で、吸収軸2FKは短い。よって、偏光板2に設けられた位相差板においてはポリビニルアルコールの収縮が少ない。
【0044】
また、吸収軸2RKは背面偏光板の直線部に平行なので、傾斜している場合との比較で、吸収軸2RKに垂直な背面偏光板の透過軸は短い。よって、背面偏光板に設けられた位相差板においてはポリビニルアルコールの収縮が少ない。
【0045】
したがって、位相差板においてはポリビニルアルコールの収縮が少ないので、表示ムラを少なくすることができる。
【0046】
また、この実施の形態では、直線部2aと直線部1aの間の領域を放熱に利用することができる。つまり、フレキシブル基板FBを基板1Aに接続するときの熱が当該領域で冷却される。したがって、その熱による偏光板2の劣化を防止することができる。
【0047】
また、直線部1aの近傍にICチップ(Chip on board)を搭載する場合においても、当該領域を放熱に利用でき、熱による偏光板2の劣化を防止することができる。
【0048】
なお、図2に示すように、基板1A、1Bと偏光板2と背面偏光板を同時にカットして製造される液晶表示装置においても、偏光板2の直線部2aや背面偏光板の直線部を設けることで、同様に検査ができ、吸収軸や透過軸の方向についての精度を高めることができる。
【0049】
また、図2に示す液晶表示装置においても、偏光板2の吸収軸2FKや背面偏光板の吸収軸2RKを偏光板2の直線部2aや背面偏光板の同様の直線部に平行または垂直とすることで、表示ムラを少なくすることができる。
【0050】
また、図3に示すように、偏光板2の周縁部が、直線部2a以外の直線部2bを含むときは、直線部2aが直線部2bに対して目視で識別可能にしておけばよい。例えば、直線部2aの長さが直線部2bの長さに対して異なるようにすればよい。背面偏光板についても同様である。これにより、例えば、その直線部2aと基板1Aの直線部1aのなす角度により検査ができ、吸収軸や透過軸の方向についての精度を高めることができる。
【0051】
また、図3に示す液晶表示装置においても、偏光板2の吸収軸2FKや背面偏光板の吸収軸2RKを偏光板2の直線部2aや背面偏光板の同様の直線部に平行または垂直とすることで、表示ムラを少なくすることができる。
【0052】
なお、図3や図1では、曲線部を含む偏光板を残したまま、基板の方は多角形としてもよい。
【0053】
また、図4に示すように、基板1A、1Bの周縁部が例えば5以上の直線部により形成され、偏光板2が5以上の直線部を含むときは、その中の1つの直線部2aが直線部2a以外の直線部に対して目視で識別可能にしておけばよい。例えば、直線部2aの長さが直線部2a以外の直線部に対して異なるようにすればよい。背面偏光板についても同様である。これにより、吸収軸乃至は透過軸の軸角度の配置について精度を高めることができる。
【0054】
なお、この実施の形態では、基板1Aの直線部1aの方向を基準方向としたが、基準方向を別な方向に設定し、その方向に応じた基準により、吸収軸や透過軸の方向を検査してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施の形態に係る液晶表示装置の概略的な平面図である。
【図2】基板と偏光板を同時にカットして製造される液晶表示装置の概略的な平面図である。
【図3】曲線部と複数の直線部を含む周縁部を有する偏光板を備えた液晶表示装置の概略的な平面図である。
【図4】複数の直線部のみを含む周縁部を有する偏光板を備えた液晶表示装置の概略的な平面図である。
【図5】従来の対角方向に配置した吸収軸を含む偏光板を備えた液晶表示装置の概略的な平面図である。
【図6】従来の対辺方向に配置した吸収軸を含む偏光板を備えた液晶表示装置の概略的な平面図である。
【符号の説明】
【0056】
1A、1B 基板
2 偏光板
2FK、2RK 吸収軸
1a、2a、2b 直線部
FB フレキシブル基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の基板と、
前記一対の基板間に挟持された液晶層と、
前記各基板上に設けられ、曲線部により形成され且つ1つの直線部を含む周縁部を有する偏光板とを備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記偏光板の周縁部が、前記直線部以外の直線部を含み、
前記1つの直線部が該直線部以外の直線部に対して目視で識別可能になっている
ことを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記各偏光板に位相差板が設けられ、
前記各偏光板の吸収軸は、該偏光板の前記1つの直線部に垂直または平行である
ことを特徴とする請求項1または2記載の液晶表示装置。
【請求項4】
一対の基板と、
前記一対の基板間に挟持された液晶層と、
前記各基板上に設けられ、5以上の直線部により形成され且つ1つの直線部が該直線部以外の直線部に対して目視で識別可能になっている偏光板と
を備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項5】
前記1つの直線部の長さが該直線部以外の直線部の長さに対して異なる
ことを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−128420(P2009−128420A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−300498(P2007−300498)
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【出願人】(302020207)東芝松下ディスプレイテクノロジー株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】