説明

液晶表示装置

【課題】垂直配向モードを採用するとともに表示ムラを低減して、マルチプレックス駆動に好適な液晶表示装置を提供する。
【解決手段】液晶表示装置1を、水平方向に伸びるコモン電極3を有する液晶表示パネル10と、出力端子C1〜C6からコモン電極3のそれぞれに走査信号を出力する駆動IC4と、コモン電極3と駆動IC4の出力端子C1〜C6とを接続する配線CL1〜CL6とを用いて構成する。コモン電極3は、配線取り出しの方向が互いに異なるコモン電極3−1、3−3、3−5とコモン電極3−2、3−4、3−6とが、1つずつ交互に配置されるように構成され、配線CL1〜CL6は、駆動IC4の走査信号が、コモン電極3−1、3−3、3−5のそれぞれに出力された後、コモン電極3−2、3−4、3−6のそれぞれに出力されるように配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、液晶表示パネルを用いて構成される。液晶表示パネルは、観察者の側に配置される透明な基板と、この透明な基板に対向して観察者とは反対側に配置される透明な基板との間に、液晶層が挟持されて構成される。液晶表示パネルの液晶層は、例えば、ネマチック相の液晶(以下、ネマチック液晶とも言う。)からなる。各基板の内面には、パターニングされた、例えばITO(Indium Tin Oxide:酸化インジウムスズ)などからなる透明な電極が設けられている。各基板上の電極と液晶層との間には、液晶の均一な初期配向を実現する配向制御層として配向膜が設けられる。そして、電極間に印加される電界に応じて、液晶層が初期配向状態から配向変化し、液晶層を透過する光の偏光状態が制御される。液晶層を挟んで対向する2枚の基板の外面には、2枚の基板を挟んで、観察者の側とその反対側に一対の偏光板が配置される。
【0003】
液晶表示装置は、液晶層の初期配向状態並びに電圧印加時の液晶の動作などから、いくつかのモードに分類される。例えば、液晶テレビや、自動車などの車両のインストルメントパネルなどいわゆる車載用に利用される液晶表示装置には、垂直配向(Vertical Alignment:VA)モードが用いられ、垂直配向型の液晶表示装置が構成される(例えば、特許文献1および特許文献2を参照のこと。)。
【0004】
垂直配向型の液晶表示装置では、液晶表示パネルの2枚の基板間に、初期配向状態が基板と概ね垂直(垂直配向)となるように配向された負の誘電率異方性(Δε)を有する液晶層が設けられる。偏光板については、2枚の基板の外面に、液晶層を挟んでクロスニコルを構成するように一対の偏光板が配置されるのが通常である。そして、電極を介して液晶層に電圧を印加すると、液晶の配向が変化し、液晶は電界に対して垂直になろうとする。その結果、液晶層は基板に対して平行な方向に配向するようになる。こうした液晶層の配向変化により、電圧が印加された領域では、初期の状態と比較して、液晶の屈折率異方性(Δn)と液晶層の厚み(d)との積(Δn・d)によって定まる光の透過特性が変化する。垂直配向型の液晶表示装置では、電圧の印加部分における光の透過特性の変化を利用して、所望とする表示が行われる。
【0005】
垂直配向型の液晶表示装置は、正面から見たときのコントラスト比が高く、視野角が広いという特性を有し、視認性に優れるという特徴を備える。したがって、画素毎にTFTなどのスイッチング素子を設けたアクティブマトリクス液晶表示装置に適用され、上述のように、テレビ用などに広く用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−113561号公報
【特許文献2】特開平10−123576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
垂直配向型の液晶表示装置は、以上の優れた特徴を備え、より広い範囲での応用が求められている。具体的には、より製造が簡便で生産性の高い、マルチプレックス駆動を用いたパッシブマトリクス液晶表示装置に応用することが求められている。例えば、携帯電話や携帯コンピュータなどの携帯用電子機器のディスプレイへの使用が求められている。
しかしながら、垂直配向型のパッシブマトリクス液晶表示装置の応用は、現状では限定的であり、用途も限定されている。その理由の1つに、マルチプレックス駆動を用いた垂直配向型のパッシブマトリクス液晶表示装置に発生する特有の表示ムラの問題がある。
【0008】
マルチプレックス駆動されるパッシブマトリクス液晶表示装置では、ドットマトリクス表示に対応するよう、液晶表示パネルの電極が、水平方向(行方向)または垂直方向(列方向)に伸びる複数の細長いコモン電極(走査電極とも言う。)と、コモン電極と交差するように垂直方向(列方向)または水平方向(行方向)に伸びるセグメント電極(信号電極とも言う。)とから構成されるのが通常である。そして、各コモン電極を順次選択して駆動するとともに、各コモン電極の選択期間と同期して、画像表示に対応する電圧をセグメント電極に印加し、コモン電極とセグメント電極との交差領域にある液晶層の配向変化を促して所望の画像表示を行う。こうしたマルチプレックス駆動を行うことにより、高密度のドットマトリクス表示を可能とする。
【0009】
このとき、垂直配向型のパッシブマトリクス液晶表示装置の場合では、特に高Duty駆動を行ったときに顕著であるが、液晶表示パネルの液晶層において液晶の流れが発生する。この液晶の流れは、液晶層における配向の乱れを生じさせる。そして、この配向乱れは表示ムラとして視認されることになり、液晶表示装置の表示品位の低下を引き起こす原因となる。
【0010】
こうした表示ムラによる表示品位の低下は、上述のように、垂直配向型のパッシブマトリクス液晶表示装置の用途を拡大する上での妨げとなる。そのため、垂直配向モードの優れた特徴を備えるとともに、表示ムラを低減し、マルチプレックス駆動に好適な液晶表示装置が求められている。
【0011】
本発明は、こうした点に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明の目的は、垂直配向モードを採用するとともに表示ムラを低減した、マルチプレックス駆動に好適な液晶表示装置を提供することである。
【0012】
本発明の他の目的および利点は、以下の記載から明らかとなるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の第1の態様は、水平方向または垂直方向に伸びる複数のコモン電極とそのコモン電極と交差するように垂直方向または水平方向に伸びるセグメント電極とを有する液晶表示パネルと、
複数の出力端子を有し、複数のコモン電極のそれぞれに走査信号を出力する駆動ICと、
液晶表示パネルのコモン電極と駆動ICの出力端子とを接続する複数の配線とを有する液晶表示装置であって、
複数のコモン電極は、配線取り出しの方向が互いに異なるそれぞれ複数の第1コモン電極と第2コモン電極とが、1つずつ交互に配置されるように構成されており、
配線は、駆動ICからの走査信号が、複数の第1コモン電極のそれぞれに出力された後、複数の第2コモン電極のそれぞれに出力されるように配置されることを特徴とする液晶表示装置に関する。
【0014】
本発明の第2の態様は、水平方向または垂直方向に伸びる複数のコモン電極とそのコモン電極と交差するように垂直方向または水平方向に伸びるセグメント電極とを有する液晶表示パネルと、
複数の出力端子を有し、複数のコモン電極のそれぞれに走査信号を出力する駆動ICと、
液晶表示パネルのコモン電極と駆動ICの出力端子とを接続する複数の配線とを有する液晶表示装置であって、
複数の配線は、少なくとも1つが、絶縁層を介して他の前記配線または当該他の配線に接続するコモン電極と交差する交差部を形成するよう配置され、
駆動ICからの走査信号の出力が、直前に走査信号が出力されたコモン電極と隣接するコモン電極を除いたコモン電極に行われるように構成されたことを特徴とする液晶表示装置に関する。
【0015】
本発明の第2の態様において、駆動ICは、液晶表示パネル上に配置され、
交差部が液晶表示パネル上に形成されることが好ましい。
【0016】
本発明の第2の態様において、駆動ICは、液晶表示パネルに接続するプリント基板の上に配置されており、
複数の配線の一部が、プリント基板上に配置されるとともに、交差部がそのプリント基板上に形成されることが好ましい。
【0017】
本発明の第2の態様において、プリント基板は、フレキシブルなプリント基板であることが好ましい。
【0018】
本発明の第1の態様または第2の態様において、液晶表示パネルは、一対の基板間に垂直配向する液晶を挟持して構成された垂直配向型の液晶表示パネルであることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、垂直配向モードを採用するとともに表示ムラを低減して、マルチプレックス駆動に好適な液晶表示装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態の液晶表示装置の構造を模式的に説明する平面図である。
【図2】本実施形態の液晶表示装置の断面構造を模式的に説明する図である。
【図3】本実施形態における画像表示の方法を説明する図であり、(a)は、従来の液晶表示装置を用いて行う画像表示の方法を説明する図であり、(b)は、本実施形態の液晶表示装置を用いて行う画像表示の方法を説明する図である。
【図4】本発明の第2実施形態の液晶表示装置の構造を模式的に説明する平面図である。
【図5】本発明の第3実施形態の液晶表示装置の構造を模式的に説明する平面図である。
【図6】本発明の第4実施形態の液晶表示装置の構造を模式的に説明する平面図である。
【図7】従来の配線構造を有する従来の液晶表示装置の構造を模式的に説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明者らは、垂直配向型の液晶表示装置をマルチプレックス駆動したときに生じる表示ムラについて検討を行い、本発明をするに至った。以下で、図面を用い、適宜、従来構造の液晶表示装置を参照しながら、本発明の実施形態の液晶表示装置について説明する。尚、各図面の記載において、共通する構成要素については同一の符号を付するようにし、重複する説明は省略する。
【0022】
図7は、従来の配線構造を有する従来の液晶表示装置の構造を模式的に説明する平面図である。
【0023】
図7に示す従来の液晶表示装置1000は、垂直配向モードの液晶表示パネル1001を用いた垂直配向型の液晶表示装置1000である。液晶表示装置1000は液晶表示パネル1001上に配置された駆動IC1004と、駆動IC1004に接続する複数の配線CL1001〜CL1006とを有して構成される。
垂直配向モードの液晶表示パネル1001は、液晶層(図示されない)を挟持する一対の基板1011、1012上に、水平方向(行方向)に伸びる複数のコモン電極1003と、コモン電極1003と交差するように垂直方向(列方向)に伸びるセグメント電極(図7中、図示されない。)とを配置して有する。基板1011と基板1012は、シール部1005によって互いに固定されている。液晶表示装置1000は、垂直配向モードの液晶表示パネル1001を有し、垂直配向型のパッシブマトリクス液晶表示装置を構成する。
【0024】
液晶表示パネル1001上に配置された駆動IC1004は、液晶表示パネル1001の複数のコモン電極1003のそれぞれに対して走査信号を順次出力する出力端子C1001〜C1006を有する。
【0025】
図7に示すように、液晶表示パネル1001の複数のコモン電極1003−1〜1003−6は、それぞれ水平方向に伸びる形状を有しており、左側にある一方の端部が用いられて配線取り出しが行われる。
【0026】
複数の配線CL1001〜CL1006は、コモン電極1003のそれぞれと駆動IC1004の出力端子C1001〜C1006との間をそれぞれ接続する。すなわち、配線CL1001は、駆動IC1004の出力端子C1001に接続し、他の配線CL1002〜CL1006も同様に、対応する駆動IC1004の出力端子C1002〜C1006に接続する。そして、配線CL1001〜CL1006は、それぞれがコモン電極1003に接続し、駆動IC1004の出力端子C1001〜C1006から出力される走査信号がコモン電極1003のそれぞれに入力される配線構造を有する。
【0027】
より詳しくは、液晶表示装置1000では、走査信号が、駆動IC1004の出力端子C1001〜C1006から、出力端子C1001〜出力端子C1006の順番で順次出力される。そして、液晶表示パネル1001の垂直方向に配列されたコモン電極1003のそれぞれに対し、最上部にあるコモン電極1003−1からその下方にある他のコモン電極1003−2〜1003−6に向けて走査信号が順次入力される線順次走査を実現する。
【0028】
こうした構造を有する従来の垂直配向型の液晶表示装置1000では、上述したように、特有の表示ムラが発生する。この表示ムラの発生には、上述した従来方法による線順次走査が影響している。すなわち、従来方法による線順次走査では、複数配置されたコモン電極1003のそれぞれに対し、配置の順番通りに走査信号を出力し、選択を行う。そのため、複数のコモン電極のうちの1つのコモン電極に走査信号の出力がなされた後、それに続く走査信号の出力が、その1つのコモン電極に隣接するコモン電極で行われる。こうした方法は、1つのコモン電極の選択によって液晶(図示されない)の流れを誘起し、それに続く隣接コモン電極の選択が、その液晶の流れを助長させることになる。その結果、垂直配向型の液晶表示装置1000において、表示ムラを発生させることになる。
【0029】
そこで、本実施形態の液晶表示装置では、マルチプレックス駆動したときに線順次走査により誘発される液晶の流れを低減可能な新規な構造を有する。以下、本実施形態の液晶表示装置について説明する。
【0030】
[実施形態1]
図1は、本発明の第1実施形態の液晶表示装置の構造を模式的に説明する平面図である。
【0031】
図1に示す本実施形態の液晶表示装置1は、垂直配向モードの液晶表示パネル10と、液晶表示パネル10上に配置されて複数の出力端子C1〜C6から走査信号を順次出力する駆動IC4と、液晶表示パネル10のコモン電極3と駆動IC4との間を接続する複数の配線CL1〜CL6とを有する。
【0032】
図2は、本実施形態の液晶表示装置の断面構造を模式的に説明する図である。
【0033】
図2では、本実施形態の液晶表示装置1の各部の構造と各部間の接続構造を説明するため、模式的に配線CL1と駆動IC4も含むように記載している。
【0034】
図2に示すように、本実施形態の液晶表示装置1の液晶表示パネル10は、観察者(図示されない)の側に配置される透明な基板11と、基板11に対向して観察者とは反対側に配置され、基板11より大きく形成された透明な基板12との間に、液晶層13が挟持されて構成される。そして、液晶層13の周囲にはシール部5が設けられ、液晶層13を挟持する基板11と基板12とを互いに固定する。液晶表示パネル10の液晶層13は、ネマチック液晶からなる。本実施形態の液晶表示装置1では液晶層13を、初期配向状態が基板11、12と概ね垂直(垂直配向)となるように配向された負の誘電率異方性(Δε)を有する液晶層13とすることが可能である。その場合、液晶表示パネル10は、上述したように、垂直配向モードとなる。また、基板11から突出された基板12の端子部には、駆動IC4が実装されている。
【0035】
図2に示すように、液晶層13を挟持する2枚の基板11、12のそれぞれの内面には複数のコモン電極3と複数のセグメント電極14が配置されている。
図1および図2に示される垂直配向モードの液晶表示パネル10は、水平方向(行方向)に伸びる複数の細長い短冊状のコモン電極3と、コモン電極3と交差するように垂直方向(列方向)に伸びる複数のセグメント電極14(図1中には図示されない。)とを有する。コモン電極3は基板11上に配置され、セグメント電極14(図1中には図示されない。)は基板12上に配置される。尚、コモン電極3とセグメント電極14は、例えば、ITOなどの透明な導電性材料からなる透明導電膜をパターニングして形成される。
【0036】
図1に示すように、複数のコモン電極3−1〜3−6は、例えば、それぞれ水平方向に伸びる形状を有しており、その両端のうちのいずれか一方の端部が使用され、配線取り出しが行われる構造を有する。
【0037】
図1に示す本実施形態の液晶表示装置1の液晶表示パネル10において、複数のコモン電極3−1〜3−6は、配線取り出しの方向が同じコモン電極3−1、3−3,3−5と、それらとは異なるコモン電極3−2、3−4、3−6とからなる。すなわち、図1の液晶表示パネル10では、コモン電極3−1、3−3、3−5とコモン電極3−2、3−4、3−6との間で、配線取り出しの行われる端部が異なっている。複数のコモン電極3−1、3−3、3−5では、行方向の左側の端部で配線取り出しが行われ、複数のコモン電極3−2、3−4、3−6では、行方向の右側の端部で配線取り出しが行われている。その結果、液晶表示パネル10の複数のコモン電極3−1〜3−6は、配線取り出しの方向が等しいコモン電極3−1、3−3、3−5と、配線取り出しの方向がそれらと異なり逆方向となるコモン電極3−2、3−4、3−6とが、1つずつ交互に配置されるように構成されている。
【0038】
尚、図1に示す液晶表示パネル10は、コモン電極3が水平方向に伸びる構造を有するが、本実施形態においてはこうした構造に限られず、液晶表示パネル10のコモン電極が垂直方向(列方向)に伸びる構造とすることも可能である。その場合、セグメント電極は水平方向(行方向)に伸びる構造となる。
【0039】
また、図1に示すように、液晶表示パネル10は、コモン電極3が6つ配置された構造を有するが、これは一例であり、本実施形態においてはこうした構造に限られず、液晶表示パネル10をより多数のコモン電極3を配置した構造とすることが可能である。同様に、駆動IC4についても、出力端子数をより多い数とすることが可能である。
【0040】
液晶表示パネル10において、各基板11、12上のコモン電極3およびセグメント電極14と液晶層13との間には、液晶の均一な初期配向を実現する配向膜(図示されない)が設けられる。液晶層13を挟んで対向する2枚の基板11、12の外面には、2枚の基板11、12を挟んで、観察者の側とその反対側に一対の偏光板(図示されない)が配置される。偏光板は、液晶層13を挟んでクロスニコルを構成するように配置される。
液晶表示装置1は、垂直配向モードの液晶表示パネル10を用いた垂直配向型のパッシブマトリクス液晶表示装置を構成する。
【0041】
図1および図2に示すように、液晶表示パネル10の基板12上の周縁部には駆動IC4が配置されている。駆動IC4は、上述したように、液晶表示パネル10の複数のコモン電極3−1〜3−6のそれぞれに対して、走査信号を順次出力する出力端子C1〜C6を有する。
【0042】
尚、駆動IC4は、出力端子が6個配置された構造を有するが、これは一例であり、本実施形態においてはこうした構造に限られず、駆動IC4をより多数の出力端子を配置した構造とすることが可能である。そして、駆動IC4の形状および出力端子C1〜C6の配置構造についても、図1に示す形状に限られず、走査信号を順次出力する複数の出力端子を有する構造であれば多様な構造とすることが可能である。
【0043】
そして、複数の配線CL1〜CL6はそれぞれ、一方の先端部で駆動IC4の出力端子C1〜C6に接続する。図2に示すように、液晶表示パネル10のシール部5には、シール部5を貫通するように導電性部材からなるトランスファ15が設けられている。したがって、複数の配線CL1〜CL6はそれぞれ、他方の先端部で、シール部5の内部に設けられたトランスファ15を介して、コモン電極3−1〜3−6の端部に接続する。
【0044】
そして、図2に示すように、コモン電極3およびセグメント電極14を介して液晶層13に電圧を印加すると、液晶の配向が変化し、液晶は電界に対して垂直になろうとする。その結果、液晶層13は基板11、12に対して平行な方向に配向するようになる。こうした液晶層13の配向変化により、電圧が印加された領域では、初期の状態と比較して、液晶の屈折率異方性(Δn)と液晶層13の厚み(d)との積(Δn・d)によって定まる光の透過特性が変化する。垂直配向型である本実施形態の液晶表示装置1では、電圧の印加部分における光の透過特性の変化を利用して表示が行われる。
【0045】
以上の構成を有する本実施形態の液晶表示装置1は、駆動IC4による各コモン電極3−1〜3−6の選択の期間と同期して、画像表示に対応する電圧をセグメント電極14に印加し、コモン電極3−1〜3−6とセグメント電極14との交差領域にある液晶層13の配向変化を促して光の透過特性を変化させる。そして、その変化を利用して高密度のドットマトリクス表示を実現して所望の画像表示を可能とする。
【0046】
本実施形態の液晶表示装置1は、垂直配向型とすることにより、正面から見たときのコントラスト比が高く、視野角が広いという特性を有し、視認性に優れるという特徴を備える。そして、本実施形態の液晶表示装置1は、マルチプレックス駆動したときに誘発される液晶の流れを低減して、表示ムラを低減することができる。このような効果は、本実施形態の液晶表示装置1における上述の特徴的な配線構造による。以下、本実施形態の液晶表示装置1の配線構造について、さらに説明する。
【0047】
図1に示すように、本実施形態の液晶表示装置1において、配線CL1〜CL6は、上述したように、それぞれがトランスファ15を介して、液晶表示パネル10の対応するコモン電極3−1〜3−6に接続する。そのとき、液晶表示パネル10では、コモン電極3からの配線引き出し方法が、上述したように、図7の従来の液晶表示装置1000と異なっている。
【0048】
本実施形態の液晶表示パネル10では、コモン電極3において配線引き出しの方向が一様ではない。複数のコモン電極3の一部であるコモン電極3−1、3−3、3−5が、水平方向に伸びる左側の端部で引き出される。そして、コモン電極3−1は配線CL1と接続し、コモン電極3−3は配線CL2と接続し、コモン電極3−5は配線CL3と接続する構造を有する。一方、残りの複数のコモン電極3−2、3−4、3−6では、水平方向に伸びる右側の端部で引き出され、コモン電極3−2は配線CL4と接続し、コモン電極3−4は配線CL5と接続し、コモン電極3−6は配線CL6と接続する構造を有する。その結果、液晶表示パネル10では、垂直方向に複数配置されたコモン電極3−1〜3−6において、水平方向に伸びる左側の端部で引き出されるものと、右側の端部で引き出されるものとが1つずつ互い違いに配置される構成となる。すなわち、液晶表示パネル10は、引き出される端部の形成方向が、隣接するコモン電極3−1〜3−6の間で互いに異なる方向となるように構成される。さらに詳述すると、引き出される端部の形成方向は反対方向となるように構成されている。
【0049】
このとき、液晶表示装置1では、走査信号が、駆動IC4の出力端子C1〜C6から、出力端子C1〜出力端子C6の順番で順次出力される。その結果、液晶表示パネル10の垂直方向に配列されたコモン電極3−1〜3−6に対し、まず最上部にあるコモン電極3−1に走査信号が出力され、その後、コモン電極3−3、コモン電極3−5の順で出力される。そして、さらにその後、コモン電極3−2、コモン電極3−4およびコモン電極3−6の順番で走査信号が順次出力されることになる。すなわち、配線取り出しの方向が等しいコモン電極3−1、3−3、3−5に対し、駆動IC4の出力端子C1〜C3から、順次、走査信号が出力された後、配線取り出しの方向がそれらと異なる残りのコモン電極3−2、3−4、3−6に対し、駆動IC4の出力端子C4〜C6から、順次、走査信号が出力されることになる。
【0050】
したがって、液晶表示装置1では、駆動IC4の出力端子C1〜C6から順次出力される走査信号が、それぞれ水平方向に伸びる形状を有して垂直方向に配列された複数のコモン電極3に対し、1つのコモン電極おきに出力される配線CL1〜CL6の配置構造を有することになる。すなわち、本実施形態の液晶表示装置1は、例えば、1つのコモン電極3−1への走査信号の出力の後に続く走査信号の出力が、そのコモン電極3−1と隣接するコモン電極3−2ではない、コモン電極3−3に対して行われる配線CL1〜CL6の配置構造を備える。
【0051】
図3は、本実施形態における画像表示の方法を説明する図であり、図3(a)は、本実施形態の液晶表示装置を用いて行う画像表示の方法を説明する図であり、図3(b)は、従来の液晶表示装置を用いて行う画像表示の方法を説明する図である。
【0052】
図3(b)に示す画像表示に用いた従来の液晶表示装置1000−1は、例えば、図7に例示された構造を有する。そして、コモン電極COM1〜COM6が6つ、セグメント電極SEG1〜SEG7が7つ配設されて、6行7列のドットマトリクス表示を可能とする。図3(b)では、上述の従来の液晶表示装置1000−1を用いて、「Y」字パターンを表示する方法を示す。従来の液晶表示装置1000−1を用いた画像表示では、走査信号がコモン電極COM1〜COM6に対し、COM1、COM2、COM3、COM4、COM5、およびCOM6の順番で出力される。そして、各コモン電極COM1〜COM6の選択期間と同期して、「Y」字パターンの表示に対応する電圧をセグメント電極SEG1〜SEG7に印加し、コモン電極COM1〜COM6とセグメント電極SEG1〜SEG7との交差領域にある画素をON状態にして「Y」字パターンの表示を行う。尚、図3(b)では、○印の付された画素がON状態にされた画素を表す。
【0053】
一方、図3(a)に示す画像表示の方法を用いて「Y」字パターンの表示を行う本実施形態の液晶表示装置1は、図1に示された構造を有する。このとき、セグメント電極は、7つのセグメント電極s1〜s7が配設され、本実施形態の液晶表示装置1は、図3(b)の従来の液晶表示装置1000−1と同様の6行7列のドットマトリクス表示を可能とする。図3(a)では、本実施形態の液晶表示装置1を用い、図3(b)に示した従来の液晶表示装置1000−1を用いた場合と同様の「Y」字パターンを表示する表示方法を示す。
【0054】
図3(a)に示すように、液晶表示装置1では、走査信号がコモン電極3−1〜3−6に対し、最上部にあるコモン電極3−1に出力された後、コモン電極3−3、コモン電極3−5の順番で出力され、その後、コモン電極3−2、コモン電極3−4およびコモン電極3−6の順番で順次出力される。そして、各コモン電極3−1〜3−6の選択期間と同期して、「Y」字パターンの表示に対応する電圧をセグメント電極s1〜s7に印加し、コモン電極3−1〜3−6とセグメント電極s1〜s7との交差領域にある画素をON状態にする。こうして、ON状態にされた各画素から「Y」字パターンを合成し、画像表示を行う。尚、図3(a)では、○印の付された画素がON状態にされた画素を表す。
【0055】
こうした配線構造と画像の形成方法を有する本実施形態の液晶表示装置1は、1つのコモン電極の選択によって液晶(図示されない)の流れが誘起されても、それに続くコモン電極の選択が、隣接したコモン電極で行われず、コモン電極1つを挟んで隔離された場所で行われるため、発生した液晶の流れを助長させることがない。その結果、例えば、図7に示したような、垂直配向型の従来の液晶表示装置1000において、マルチプレックス駆動したときに誘発される液晶の流れを低減することができて、表示ムラを低減することができる。
【0056】
[実施形態2]
図4は、本発明の第2実施形態の液晶表示装置の構造を模式的に説明する平面図である。
【0057】
図4に示す本実施形態の液晶表示装置101は、垂直配向モードの液晶表示パネル110と、液晶表示パネル110上に配置されて走査信号を複数の出力端子C101〜C106から順次出力する駆動IC104と、液晶表示パネル110のコモン電極103と駆動IC104とを接続する複数の配線CL101〜CL106とを有する。
【0058】
液晶表示パネル110は、配線CL101〜CL106と接続するコモン電極103の端部の構造が異なる以外、上述した第1実施形態の液晶表示パネル10と同様の構造を有している。そして、液晶表示装置101は、液晶表示パネル110と複数の配線CL101〜CL106とにおける、配線引き出しの構造や配線構造が異なる以外は、上述した第1実施形態の液晶表示装置1と同様の構造を有している。以下、本実施形態の液晶表示装置101の説明において、上述した第1実施形態の液晶表示装置1と重複する説明は省略するようにする。
【0059】
図4に示すように、本実施形態の液晶表示装置101の液晶表示パネル110は、観察者(図示されない)の側に配置される透明な基板111と、基板111に対向して観察者とは反対側に配置される透明な基板112との間に、液晶層(図示されない)が挟持されて構成される。そして、液晶層の周囲にはシール部105が設けられ、液晶層を挟持する基板111と基板112とを互いに固定する。液晶表示パネル110の液晶層は、ネマチック液晶からなる。本実施形態の液晶表示装置101では液晶表示パネル110の液晶層を、初期配向状態が基板111、112と概ね垂直(垂直配向)となるように配向された負の誘電率異方性(Δε)を有する液晶層とすることが可能である。その場合、液晶表示パネル110は、上述したように、垂直配向モードとなる。
【0060】
図4に示すように、液晶層を挟持する2枚の基板111、112のそれぞれの内面には複数のコモン電極103と複数のセグメント電極(図示されない)が配置されている。
図4に示される垂直配向モードの液晶表示パネル110は、水平方向(行方向)に伸びる複数の細長い短冊状のコモン電極103と、コモン電極103と交差するように垂直方向(列方向)に伸びる複数のセグメント電極(図示されない)とを有する。コモン電極103は基板111上に配置され、セグメント電極(図示されない)は基板112上に配置される。尚、コモン電極103とセグメント電極は、例えば、ITOなどの透明な導電性材料からなる透明導電膜をパターニングして形成される。
【0061】
図4に示すように、複数のコモン電極103−1〜103−6は、例えば、それぞれ水平方向に伸びる形状を有しており、その両端のうちの一方の端部が使用され、それぞれ配線取り出しが行われる構造を有する。図4に示す液晶表示パネル110では、コモン電極103のそれぞれにおいて、観察者から向かって左側の端部で配線取り出しが行われる。
【0062】
尚、図4に示す液晶表示パネル110は、コモン電極103が水平方向に伸びる構造を有するが、本実施形態においてはこうした構造に限られず、液晶表示パネル110のコモン電極が垂直方向(列方向)に伸びる構造とすることも可能である。その場合、セグメント電極は水平方向(行方向)に伸びる構造となる。
【0063】
また、図4に示すように、液晶表示パネル110は、コモン電極103が6つ配置された構造を有するが、これは一例であり、本実施形態においてはこうした構造に限られず、液晶表示パネル110をより多数のコモン電極103を配置した構造とすることが可能である。
【0064】
液晶表示パネル110において、各基板111、112上のコモン電極103およびセグメント電極と液晶層との間には、液晶の均一な初期配向を実現する配向膜(図示されない)が設けられる。液晶層を挟んで対向する2枚の基板111、112の外面には、2枚の基板111、112を挟んで、観察者の側とその反対側に一対の偏光板(図示されない)が配置される。偏光板は、液晶層を挟んでクロスニコルを構成するように配置される。
液晶表示装置101は、垂直配向モードの液晶表示パネル110を用いた垂直配向型のパッシブマトリクス液晶表示装置を構成する。
【0065】
図4に示すように、液晶表示パネル110の基板112上の周縁部には駆動IC104が配置されている。駆動IC104は、上述したように、液晶表示パネル110の複数のコモン電極103−1〜103−6に対して、走査信号を順次出力する複数の出力端子C101〜C106を有する。
【0066】
尚、駆動IC104は、出力端子が6個配置された構造を有するが、これは一例であり、本実施形態においてはこうした構造に限られず、駆動IC104をより多数の出力端子を配置した構造とすることが可能である。そして、駆動IC104の形状および出力端子の配置構造についても、図4に示す形状に限られず、走査信号を順次出力する複数の出力端子を有する構造であれば多様な構造とすることが可能である。
【0067】
そして、基板112上に配置された複数の配線CL101〜CL106はそれぞれ、一方の先端部で駆動IC104の出力端子C101〜C106に接続する。図4に示すように、液晶表示パネル110のシール部105には、上述した第1実施形態の液晶表示パネル10のトランスファ15と同様の、シール部105を貫通するように導電性部材から形成されたトランスファ115が設けられている。したがって、複数の配線CL101〜CL106はそれぞれ、他方の先端部で、シール部105の内部に設けられたトランスファ115を介して、基板111上に配置されたコモン電極103−1〜103−6の端部に接続する。換言すると、トランスファ115は、基板111に配置されたコモン電極103と基板112に配置された配線CL101〜CL106とを電気的に接続する接続部である。
【0068】
そして、図4に示すように、コモン電極103およびセグメント電極(図示されない)を介して液晶層(図示されない)に電圧を印加すると、液晶の配向が変化し、液晶は電界に対して垂直になろうとする。その結果、液晶層は基板111、112に対して平行な方向に配向するようになる。こうした液晶層の配向変化により、電圧が印加された領域では、初期の状態と比較して、液晶の屈折率異方性(Δn)と液晶層の厚み(d)との積(Δn・d)によって定まる光の透過特性が変化する。垂直配向型である本実施形態の液晶表示装置101では、電圧の印加部分における光の透過特性の変化を利用して表示が行われる。
【0069】
そして、以上の構成を有する本実施形態の液晶表示装置101は、駆動IC104による各コモン電極103−1〜103−6の選択の期間と同期して、画像表示に対応する電圧をセグメント電極に印加し、コモン電極103−1〜103−6とセグメント電極との交差領域にある液晶層の配向変化を促して光の透過特性を変化させ、その変化を利用して高密度のドットマトリクス表示を実現して所望の画像表示を可能とする。
【0070】
本実施形態の液晶表示装置101は、垂直配向型とすることにより、正面から見たときのコントラスト比が高く、視野角が広いという特性を有し、視認性に優れるという特徴を備える。そして、本実施形態の液晶表示装置101は、マルチプレックス駆動したときに誘発される液晶の流れを低減して、表示ムラを低減することができる。このような効果は、本実施形態の液晶表示装置101における特徴的な配線構造による。以下、本実施形態の液晶表示装置101の配線構造について、さらに説明する。
【0071】
図4に示すように、本実施形態の液晶表示装置101は、駆動IC104とコモン電極103とを接続する複数の配線CL101〜CL106の接続方法が、上述した従来の液晶表示装置1000と比較して異なっており、液晶表示装置1000などと異なる配線CL101〜CL106の配置構造を有する。
【0072】
すなわち、配線CL101〜CL106は、上述したように、それぞれがトランスファ115を介してコモン電極103−1〜103−6に接続する。そして、本実施形態の液晶表示パネル110では、複数の配線CL101〜CL106のうちの少なくとも1つが、絶縁層となるシール部105を介して他の配線、または当該他の配線に接続するコモン電極103と交差し、パネル内であるシール部105の形成領域に、交差部120を形成するよう配置されている。尚、ここで交差部とは、基板112に配置された配線CL101〜CL106と基板111に配置されたコモン電極とが立体的に交差している部位であり、かつ、絶縁性のシール材によって絶縁されている部位である。前記トランスファ115が形成されている部位も配線とコモン電極が立体的に交差しているが、この部位は交差部から除外される。したがって、前記交差部は絶縁交差部と称してもよい。
【0073】
例えば、図4に示すように、複数のコモン電極103−1〜103−6は、水平方向に伸びる左側の端部で配線が引き出される。そして、複数の配線CL101〜CL106は、配線CL101がコモン電極103−1に接続し、配線CL102がコモン電極103−4に接続し、配線CL103がコモン電極103−2に接続し、配線CL104がコモン電極103−5に接続し、配線CL105がコモン電極103−3に接続し、配線CL106がコモン電極103−6に接続する構造を有する。
【0074】
このとき、配線CL101〜CL106およびコモン電極103−1〜103−6の少なくとも一部が、シール部105の形成領域で折れ曲がる構造を有している。例えば、配線CL103、配線CL105、コモン電極103−4およびコモン電極103−5などでは、シール部105の形成領域において、端部などのそれらの一部が屈曲する構造を有している。
【0075】
その結果、図4に示すように、コモン電極103−2に接続する配線CL103とコモン電極103−4とが、シール部105の形成領域で、シール部105を介して交差する交差部120を形成している。同様に、コモン電極103−3に接続する配線CL105が、シール部105を介して、コモン電極103−4およびコモン電極103−5と交差する交差部120を形成している。上述のように、シール部105の材料は絶縁性であり、絶縁層として機能する。したがって、配線CL103とコモン電極103−4との交差部120など、いずれの交差部120においても立体的に交差しているだけであり、導通することのない絶縁交差部である。
【0076】
以上の配線CL101〜CL106の配置構造を有する液晶表示装置101では、走査信号が、駆動IC104の出力端子C101〜C106から、出力端子C101〜出力端子C106の順番で順次出力される。その結果、液晶表示パネル110の垂直方向に配列されたコモン電極103−1〜103−6のうち、最上部にあるコモン電極103−1に走査信号が出力された後、コモン電極103−4、コモン電極103−2、コモン電極103−5、コモン電極103−3およびコモン電極103−6の順番で走査信号が順次出力されることになる。すなわち、コモン電極103−1〜103−6に対し、駆動IC104の出力端子C101〜C106から、順次走査信号が出力され、例えば、コモン電極103−1に出力された後、次の出力はコモン電極2つ分離れたコモン電極103−4に対してなされる。その次には、そのコモン電極103−4とコモン電極1つ分離れて配置されるコモン電極103−2に対してなされることになる。
【0077】
したがって、液晶表示装置101では、駆動IC104の出力端子C101〜C106から順次出力される走査信号が、垂直方向に配置された複数のコモン電極103のうちの1つのコモン電極に対し出力された後、コモン電極を1つ以上挟んで配置された次のコモン電極に対して出力される配線構造を有することになる。すなわち、複数のコモン電極103に対し、1つのコモン電極が選択されて駆動IC104からの走査信号の出力がなされた後、続く走査信号の出力においては、直前に選択された当該1つのコモン電極に隣接するコモン電極103が選択されることはない。当該選択された1つのコモン電極に隣接するコモン電極を除いた他のコモン電極103が選択されて走査信号が出力される。例えば、本実施形態の液晶表示装置101では、1つのコモン電極103−1への走査信号の出力の後に続く走査信号の出力がコモン電極103−4に対して行われ、コモン電極103−1と隣接するコモン電極103−2に対して行われることがないように配線CL101〜CL106の配置構造が形成される。
【0078】
こうした配線構造を有する本実施形態の液晶表示装置101は、1つのコモン電極の選択によって液晶(図示されない)の流れが誘起されても、それに続くコモン電極の選択が、隣接したコモン電極で行われず、コモン電極を1つ以上挟んで隔離された場所で行われるため、発生した液晶の流れを助長させることがない。その結果、垂直配向型の液晶表示装置101において、マルチプレックス駆動したときに誘発される液晶の流れを低減することができ、表示ムラを低減することができる。尚、本実施形態では、シール部105のトランスファ115を局所的に配置する導電性部材として説明したが、シール部自体を異方性導電材料として上下間の導通が可能な形態としてもよい。この場合、各基板に配置されるコモン電極および配線上に絶縁膜を形成し、トランスファ部位のみに絶縁膜の開口を設けると、トランスファ部位では上下導通が可能で、交差部では上下間で絶縁となる。
【0079】
[実施形態3]
図5は、本発明の第3実施形態の液晶表示装置の構造を模式的に説明する平面図である。
【0080】
図5に示す本実施形態の液晶表示装置201は、垂直配向モードの液晶表示パネル210と、液晶表示パネル210に接続するフレキシブルなプリント基板221上に配置されて走査信号を複数の出力端子から順次出力する駆動IC204と、液晶表示パネル210のコモン電極203と駆動IC204とを接続する複数の配線CL201〜CL206とを有する。
【0081】
液晶表示パネル210は、コモン電極203からの配線引き出し構造が異なる以外、上述した第1実施形態の液晶表示パネル10と同様の構造を有している。そして、液晶表示装置201では、上述したように、液晶表示パネル210にフレキシブルなプリント基板221が接続された構造を有する。このプリント基板221は、一方で液晶表示パネル210と接続し、他方で、液晶表示装置201の駆動回路(図示されない)が形成された剛直な板状体からなるプリント基板222と接続している。そして、そのプリント基板221上に駆動IC204が載置されており、液晶表示パネル210のコモン電極203と駆動IC204とを接続する配線CL201〜CL206は、一部がプリント基板221上に配置され、他の部分が液晶表示パネル210上に配置されている。
【0082】
図5に示すように、本実施形態の液晶表示装置201の液晶表示パネル210は、観察者(図示されない)の側に配置される透明な基板211と、基板211に対向して観察者とは反対側に配置される透明な基板212との間に、液晶層(図示されない)が挟持されて構成される。そして、液晶層の周囲にはシール部205が設けられ、液晶層を挟持する基板211と基板212とを互いに固定する。液晶表示パネル210の液晶層は、ネマチック液晶からなる。本実施形態の液晶表示装置201では液晶層を、初期配向状態が基板と概ね垂直(垂直配向)となるように配向された負の誘電率異方性(Δε)を有する液晶層とすることが可能である。その場合、液晶表示パネル210は、上述したように、垂直配向モードとなる。
【0083】
図5に示すように、液晶層を挟持する2枚の基板211、212のそれぞれの内面には複数のコモン電極203と複数のセグメント電極(図示されない)が配置されている。
図5に示される垂直配向モードの液晶表示パネル210は、水平方向(行方向)に伸びる複数の細長い短冊状のコモン電極203と、コモン電極203と交差するように垂直方向(列方向)に伸びる複数のセグメント電極(図示されない)とを有する。コモン電極203は基板211上に配置され、セグメント電極(図示されない)は基板212上に配置される。尚、コモン電極203とセグメント電極は、例えば、ITOなどの透明な導電性材料からなる透明導電膜をパターニングして形成される。
【0084】
図5に示すように、複数のコモン電極203−1〜203−6は、例えば、それぞれ水平方向に伸びる形状を有しており、その両端のうちの一方の端部が使用され、それぞれ配線取り出しが行われる構造を有する。図5に示す液晶表示パネル210では、コモン電極203−1、203−2、203−3において、観察者から向かって左側の端部で配線取り出しが行われ、コモン電極203−4、203−5、203−6において、観察者から向かって右側の端部で配線取り出しが行われている。
【0085】
尚、図5に示す液晶表示パネル210は、コモン電極203が水平方向に伸びる構造を有するが、本実施形態においてはこうした構造に限られず、液晶表示パネル210のコモン電極が垂直方向(列方向)に伸びる構造とすることも可能である。その場合、セグメント電極は水平方向(行方向)に伸びる構造となる。
【0086】
また、図5に示すように、液晶表示パネル210は、コモン電極203が6つ配置された構造を有するが、これは一例であり、本実施形態においてはこうした構造に限られず、液晶表示パネル210をより多数のコモン電極203を配置した構造とすることが可能である。
【0087】
液晶表示パネル210において、各基板211、212上のコモン電極203およびセグメント電極と液晶層との間には、液晶の均一な初期配向を実現する配向膜(図示されない)が設けられる。液晶層を挟んで対向する2枚の基板211、212の外面には、2枚の基板211、212を挟んで、観察者の側とその反対側に一対の偏光板(図示されない)が配置される。偏光板は、液晶層を挟んでクロスニコルを構成するように配置される。
液晶表示装置201は、垂直配向モードの液晶表示パネル210を用いた垂直配向型のパッシブマトリクス液晶表示装置を構成する。
【0088】
図5に示すように、液晶表示パネル210の端部にはフレキシブルなプリント基板221が接続され、そのプリント基板221上には駆動IC204が配置されている。駆動IC204は、上述したように、液晶表示パネル210の複数のコモン電極203−1〜203−6に対して、走査信号を順次出力する複数の出力端子C201〜C206を有する。
【0089】
尚、駆動IC204は、出力端子が6個配置された構造を有するが、これは一例であり、本実施形態においてはこうした構造に限られず、駆動IC204をより多数の出力端子を配置した構造とすることが可能である。そして、駆動IC204の形状および出力端子の配置構造についても、図5に示す形状に限られず、走査信号を順次出力する複数の出力端子を有する構造であれば多様な構造とすることが可能である。
【0090】
そして、複数の配線CL201〜CL206はそれぞれ、一方の先端部で駆動IC204の出力端子C201〜C206に接続する。図5に示すように、液晶表示パネル210のシール部205には、上述した第1実施形態の液晶表示パネル10のトランスファ15と同様の、シール部205を貫通するように導電性部材から形成されたトランスファ215が設けられている。したがって、複数の配線CL201〜CL206はそれぞれ、他方の先端部で、シール部205の内部に設けられたトランスファ215を介して、コモン電極203−1〜203−6の端部に接続する。
【0091】
そして、図5に示すように、コモン電極203およびセグメント電極(図示されない)を介して液晶層(図示されない)に電圧を印加すると、液晶の配向が変化し、液晶は電界に対して垂直になろうとする。その結果、液晶層は基板211、212に対して平行な方向に配向するようになる。こうした液晶層の配向変化により、電圧が印加された領域では、初期の状態と比較して、液晶の屈折率異方性(Δn)と液晶層の厚み(d)との積(Δn・d)によって定まる光の透過特性が変化する。垂直配向型である本実施形態の液晶表示装置201では、電圧の印加部分における光の透過特性の変化を利用して表示が行われる。
【0092】
そして、以上の構成を有する本実施形態の液晶表示装置201は、駆動IC204による各コモン電極203−1〜203−6の選択の期間と同期して、画像表示に対応する電圧をセグメント電極に印加し、コモン電極203−1〜203−6とセグメント電極との交差領域にある液晶層の配向変化を促して光の透過特性を変化させ、その変化を利用して高密度のドットマトリクス表示を実現して所望の画像表示を可能とする。
【0093】
本実施形態の液晶表示装置201は、垂直配向型とすることにより、正面から見たときのコントラスト比が高く、視野角が広いという特性を有し、視認性に優れるという特徴を備える。そして、本実施形態の液晶表示装置201は、マルチプレックス駆動したときに誘発される液晶の流れを低減して、表示ムラを低減することができる。このような効果は、本実施形態の液晶表示装置201における特徴的な配線構造による。以下、本実施形態の液晶表示装置201の配線構造について、さらに説明する。
【0094】
図5に示すように、本実施形態の液晶表示装置201は、駆動IC204とコモン電極203とを接続する複数の配線CL201〜CL206の接続方法が、上述した従来の液晶表示装置1000などと比較して異なっており、液晶表示装置1000などと異なる配線CL201〜CL206の配置構造を有する。
【0095】
すなわち、配線CL201〜CL206は、上述したように、液晶表示パネル210のコモン電極203と駆動IC204とを接続するが、その一部がプリント基板221上に配置されている。そして、本実施形態の液晶表示装置201では、複数の配線CL201〜CL206のうちの少なくとも1つが、絶縁層となるプリント基板221を介して他の配線と交差し、プリント基板221上に交差部を形成するよう配置されている。プリント基板221上に形成される交差部は、プリント基板221上に設けられたスルーホール223を介して、配線の一部がプリント基板221の裏面に回り込み、プリント基板221の上面に形成された他の配線と交差することにより形成される。
【0096】
例えば、図5に示すように、複数のコモン電極203−1〜203−6は、コモン電極203−1〜203−3が水平方向に伸びる左側の端部で引き出され、コモン電極203−4〜203−6が水平方向に伸びる右側の端部で引き出される。そして、複数の配線CL201〜CL206は、配線CL201がコモン電極203−1に接続し、配線CL202がコモン電極203−2に接続し、配線CL203がコモン電極203−3に接続し、配線CL204がコモン電極203−4に接続し、配線CL205がコモン電極203−5に接続し、配線CL206がコモン電極203−6に接続する構造を有する。
【0097】
このとき、例えば、図5に示すように、コモン電極203−3に接続する配線CL203がスルーホール223を用いてプリント基板221の裏面に回り込む。そして、配線CL203は、プリント基板221上、配線CL206との間に、プリント基板221を介して交差する交差部を形成している。同様に、コモン電極203−4に接続する配線CL204が、プリント基板221を介して、配線CL202、CL203、CL205およびCL206と交差する交差部を形成している。プリント基板221は絶縁性であり、絶縁層として機能する。したがって、配線CL203と配線CL206との交差部など、いずれの交差部においても、プリント基板221を介して上下の配線で絶縁交差部となっており、上下の配線で導通することはない。尚、前記スルーホール223は、第2実施形態におけるトランスファ115を同様の機能を有しており、上下の配線において交差している部位であるが、上下の配線を導通させる部位であるため、本明細書における交差部(絶縁交差部)とは異なる定義のものである。
【0098】
以上のような交差部を設けることにより、本実施形態の液晶表示装置201では、配線CL201は駆動IC204の出力端子C201に接続し、配線CL202は駆動IC204の出力端子C203に接続し、配線CL203は駆動IC204の出力端子C205に接続し、配線CL204は駆動IC204の出力端子C202に接続し、配線CL205は駆動IC204の出力端子C204に接続し、配線CL206は駆動IC204の出力端子C206に接続する。
【0099】
以上の配線構造を有する液晶表示装置201では、走査信号が、駆動IC204の出力端子C201〜C206から、出力端子C201〜出力端子C206の順番で順次出力される。その結果、液晶表示パネル210の垂直方向に配列されたコモン電極203−1〜203−6のうち、最上部にあるコモン電極203−1に走査信号が出力された後、コモン電極203−4、コモン電極203−2、コモン電極203−5、コモン電極203−3およびコモン電極203−6の順番で走査信号が順次出力されることになる。
【0100】
すなわち、コモン電極203−1〜203−6に対し、駆動IC204の出力端子C201〜C206から、順次、走査信号が出力され、例えば、コモン電極203−1に出力された後、次の出力はコモン電極2つ分離れたコモン電極203−4に対してなされ、その次には、そのコモン電極203−4とコモン電極1つ分離れて配置されるコモン電極203−2に対してなされることになる。
【0101】
したがって、図5に示す液晶表示装置201では、駆動IC204の出力端子C201〜C206から順次出力される走査信号が、それぞれ水平方向に伸びる形状を有して垂直方向に配列された複数のコモン電極203のうちの1つのコモン電極に対し出力された後、コモン電極を1つ以上挟んで配置された次のコモン電極に対して出力される配線CL201〜CL206の配置構造を有することになる。すなわち、複数のコモン電極203に対し、1つのコモン電極が選択されて駆動IC204からの走査信号の出力がなされた後、続く走査信号の出力においては、直前に選択されたコモン電極に隣接するコモン電極が選択されることはない。当該選択された1つのコモン電極に隣接するコモン電極を除いた他のコモン電極203が選択されて走査信号が出力される。例えば、本実施形態の液晶表示装置201では、1つのコモン電極203−1への走査信号の出力の後に続く走査信号の出力がコモン電極203−4に対して行われ、コモン電極203−1と隣接するコモン電極203−2に対して行われることがないように配線CL201〜CL206の配置構造が形成される。
【0102】
こうした配線構造を有する本実施形態の液晶表示装置201は、1つのコモン電極の選択によって液晶(図示されない)の流れが誘起されても、それに続くコモン電極の選択が、隣接したコモン電極で行われず、コモン電極1つを挟んで隔離された場所で行われるため、発生した液晶の流れを助長させることがない。その結果、垂直配向型の液晶表示装置201において、マルチプレックス駆動したときに誘発される液晶の流れを低減することができて、表示ムラを低減することができる。
【0103】
[実施形態4]
図6は、本発明の第4実施形態の液晶表示装置の構造を模式的に説明する平面図である。
【0104】
図6に示す本実施形態の液晶表示装置301は、垂直配向モードの液晶表示パネル210と、液晶表示パネル210に接続するプリント基板322上に配置されて走査信号を複数の出力端子から順次出力する駆動IC204と、液晶表示パネル210のコモン電極203と駆動IC204とを接続する複数の配線CL301〜CL306とを有する。
プリント基板322は、剛直な板状体からなり、その上には他に液晶表示装置301の駆動回路(図示されない)が形成されている。プリント基板322は、液晶表示パネル210に接続するフレキシブルなプリント基板321を介して液晶表示パネル210と接続する構造を有する。
【0105】
液晶表示装置301は、駆動IC204がプリント基板322上に配置されるため、配線CL301〜CL306の構造が異なる以外、上述した第3実施形態の液晶表示装置201と同様の構造を有している。液晶表示装置301は、垂直配向モードの液晶表示パネル210を有する、垂直配向型のパッシブマトリクス液晶表示装置を構成する。したがって、図6中、第3実施形態の液晶表示装置201と共通する構成要素については、同一の符号を用い、重複する説明は省略する。
【0106】
液晶表示装置301は、上述したように、駆動IC204が載置されるプリント基板322が、フレキシブルなプリント基板321を介して液晶表示パネル210に接続する構造を有している。そのため、液晶表示パネル210のコモン電極203と駆動IC204とを接続する配線CL301〜CL306は、一部がプリント基板322とフレキシブルなプリント基板321上に配置され、他の部分が液晶表示パネル上210上に配置されている。
【0107】
そして、複数の配線CL301〜CL306はそれぞれ、一方の先端部で駆動IC204の出力端子C201〜C206に接続する。図6に示すように、液晶表示パネル210のシール部205には、上述した第1実施形態の液晶表示パネル10のトランスファ15と同様の、シール部205を貫通するように導電性部材から形成されたトランスファ215が設けられている。したがって、複数の配線CL201〜CL206はそれぞれ、他方の先端部で、シール部205の内部に設けられたトランスファ215を介して、コモン電極203−1〜203−6の端部に接続する。
【0108】
そして、図6に示すように、コモン電極203およびセグメント電極(図示されない)を介して液晶層(図示されない)に電圧を印加すると、液晶の配向が変化し、液晶は電界に対して垂直になろうとする。その結果、液晶層は基板211、212に対して平行な方向に配向するようになる。こうした液晶層の配向変化により、電圧が印加された領域では、初期の状態と比較して、液晶の屈折率異方性(Δn)と液晶層の厚み(d)との積(Δn・d)によって定まる光の透過特性が変化する。垂直配向型である本実施形態の液晶表示装置301では、電圧の印加部分における光の透過特性の変化を利用して表示が行われる。
【0109】
そして、以上の構成を有する本実施形態の液晶表示装置301は、駆動IC204による各コモン電極203−1〜203−6の選択の期間と同期して、画像表示に対応する電圧をセグメント電極に印加し、コモン電極203−1〜203−6とセグメント電極との交差領域にある液晶層の配向変化を促して光の透過特性を変化させ、その変化を利用して高密度のドットマトリクス表示を実現して所望の画像表示を可能とする。
【0110】
本実施形態の液晶表示装置301は、垂直配向型とすることにより、正面から見たときのコントラスト比が高く、視野角が広いという特性を有し、視認性に優れるという特徴を備える。そして、本実施形態の液晶表示装置301は、マルチプレックス駆動したときに誘発される液晶の流れを低減して、表示ムラを低減することができる。このような効果は、本実施形態の液晶表示装置301における特徴的な配線構造による。以下、本実施形態の液晶表示装置301の配線構造について、さらに説明する。
【0111】
図6に示すように、本実施形態の液晶表示装置301は、駆動IC204とコモン電極203とを接続する複数の配線CL301〜CL306の接続方法が、上述した従来の液晶表示装置1000などと比較して異なっており、異なる配線CL301〜CL306の配置構造を有する。
【0112】
すなわち、配線CL301〜CL306は、上述したように、液晶表示パネル210のコモン電極203と駆動IC204とを接続するが、その一部がプリント基板322上に配置されている。そして、本実施形態の液晶表示装置301では、複数の配線CL301〜CL306のうちの少なくとも1つが、絶縁層となるプリント基板322を介して他の配線と交差し、プリント基板322上に交差部を形成するよう構成されている。プリント基板322上に形成される交差部は、プリント基板322上に設けられたスルーホール323を介して、配線の一部がプリント基板322の裏面に回り込み、プリント基板322の上面に形成された他の配線と交差することにより形成される。
【0113】
例えば、図6に示すように、複数のコモン電極203−1〜203−6は、コモン電極203−1〜203−3が水平方向に伸びる左側の端部で配線が引き出され、コモン電極203−4〜203−6が水平方向に伸びる右側の端部で配線が引き出される。そして、複数の配線CL301〜CL306は、配線CL301がコモン電極203−1に接続し、配線CL302がコモン電極203−2に接続し、配線CL303がコモン電極203−3に接続し、配線CL304がコモン電極203−4に接続し、配線CL305がコモン電極203−5に接続し、配線CL306がコモン電極203−6に接続する構造を有する。
【0114】
このとき、例えば、図6に示すように、コモン電極203−3に接続する配線CL303がスルーホール323を用いてプリント基板322の裏面に回り込む。そして、配線CL303は、プリント基板322上で配線CL306との間に、プリント基板322を介して交差する交差部を形成している。同様に、コモン電極203−4に接続する配線CL304が、プリント基板322を介して、配線CL302、CL303、CL305およびCL306と交差する交差部を形成している。プリント基板322は絶縁性であり、絶縁層として機能する。したがって、配線CL303と配線CL306との交差部など、いずれの交差部においても導通することはない。
【0115】
以上のような交差部を設けることにより、本実施形態の液晶表示装置301では、配線CL301は駆動IC204の出力端子C201に接続し、配線CL302は駆動IC204の出力端子C203に接続し、配線CL303は駆動IC204の出力端子C205に接続し、配線CL304は駆動IC204の出力端子C202に接続し、配線CL305は駆動IC204の出力端子C204に接続し、配線CL306は駆動IC204の出力端子C206に接続する。
【0116】
以上の配線構造を有する液晶表示装置301では、走査信号が、駆動IC204の出力端子C201〜C206から、出力端子C201〜出力端子C206の順番で順次出力される。その結果、液晶表示パネル210の垂直方向に配列されたコモン電極203−1〜203−6のうち、まず最上部にあるコモン電極203−1に走査信号が出力された後、コモン電極203−4、コモン電極203−2、コモン電極203−5、コモン電極203−3およびコモン電極203−6の順番で走査信号が順次出力されることになる。すなわち、コモン電極203−1〜203−6に対し、駆動IC204の出力端子C201〜C206から、順次、走査信号が出力され、例えば、コモン電極203−1に出力された後、次の出力はコモン電極2つ分離れたコモン電極203−4に対してなされ、その次には、そのコモン電極203−4とコモン電極1つ分離れて配置されるコモン電極203−2に対してなされることになる。
【0117】
したがって、図6に示す液晶表示装置301では、駆動IC204の出力端子C201〜C206から順次出力される走査信号が、垂直方向に配置された複数のコモン電極203のうちの1つのコモン電極に対し出力された後、コモン電極を1つ以上挟んで配置された次のコモン電極に対して出力される配線構造を有することになる。すなわち、複数のコモン電極203に対し、1つのコモン電極が選択されて駆動IC204からの走査信号の出力がなされた後、続く走査信号の出力においては、直前に選択されたコモン電極に隣接するコモン電極203が選択されることはない。当該選択された1つのコモン電極に隣接するコモン電極を除いた他のコモン電極203が選択されて走査信号が出力される。例えば、本実施形態の液晶表示装置201では、1つのコモン電極203−1への走査信号の出力の後に続く走査信号の出力がコモン電極203−4に対して行われ、コモン電極203−1と隣接するコモン電極203−2に対して行われることがないように配線CL301〜CL306の配置構造が形成される。
【0118】
こうした配線構造を有する本実施形態の液晶表示装置301は、1つのコモン電極の選択によって液晶(図示されない)の流れが誘起されても、それに続くコモン電極の選択が、隣接したコモン電極で行われず、コモン電極1つを挟んで隔離された場所で行われるため、発生した液晶の流れを助長させることがない。その結果、垂直配向型の液晶表示装置301において、マルチプレックス駆動したときに誘発される液晶の流れを低減することができ、表示ムラを低減することができる。
【0119】
尚、本発明は上記した各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0120】
1、101、201、301、1000、1000−1 液晶表示装置
3、3−1、3−2、3−3、3−4、3−5、3−6、103、103−1、103−2、103−3、103−4、103−5、103−6、203、203−1、203−2、203−3、203−4、203−5、203−6、1003、1003−1、1003−2、1003−3、1003−4、1003−5、1003−6 コモン電極
4、104、204、1004 駆動IC
5、105、205、1005 シール部
10、110、210、1001 液晶表示パネル
11、12、111、112、211、212、1011、1012 基板
13 液晶層
14、s1、s2、s3、s4、s5、s6、s7 セグメント電極
15、115、215 トランスファ
120 交差部
221、222、321、322 プリント基板
223、323 スルーホール
C1、C2、C3、C4、C5、C6、C101、C102、C103、C104、C105、C106、C201、C202、C203、C204、C205、C206、C1001、C1002、C1003、C1004、C1005、C1006 出力端子
CL1、CL2、CL3、CL4、CL5、CL6、CL101、CL102、CL103、CL104、CL105、CL106、CL201、CL202、CL203、CL204、CL205、CL206、CL301、CL302、CL303、CL304、CL305、CL306、CL1001、CL1002、CL1003、CL1004、CL1005、CL1006 配線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向または垂直方向に伸びる複数のコモン電極と当該コモン電極と交差するように垂直方向または水平方向に伸びるセグメント電極とを有する液晶表示パネルと、
複数の出力端子を有し、前記複数のコモン電極のそれぞれに走査信号を出力する駆動ICと、
前記液晶表示パネルの前記コモン電極と前記駆動ICの出力端子とを接続する複数の配線とを有する液晶表示装置であって、
前記複数のコモン電極は、配線取り出しの方向が互いに異なるそれぞれ複数の第1コモン電極と第2コモン電極とが、1つずつ交互に配置されるように構成されており、
前記配線は、前記駆動ICからの前記走査信号が、前記複数の第1コモン電極のそれぞれに出力された後、前記複数の第2コモン電極のそれぞれに出力されるように配置されることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
水平方向または垂直方向に伸びる複数のコモン電極と当該コモン電極と交差するように垂直方向または水平方向に伸びるセグメント電極とを有する液晶表示パネルと、
複数の出力端子を有し、前記複数のコモン電極のそれぞれに走査信号を出力する駆動ICと、
前記液晶表示パネルの前記コモン電極と前記駆動ICの出力端子とを接続する複数の配線とを有する液晶表示装置であって、
前記複数の配線は、少なくとも1つが、絶縁層を介して他の前記配線または当該他の配線に接続する前記コモン電極と交差する交差部を形成するよう配置され、
前記駆動ICからの前記走査信号の出力が、直前に前記走査信号が出力された前記コモン電極と隣接するコモン電極を除いた前記コモン電極に行われるように構成されたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】
前記駆動ICは、前記液晶表示パネル上に配置され、
前記交差部が前記液晶表示パネル上に形成されることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記駆動ICは、前記液晶表示パネルに接続するプリント基板の上に配置されており、
前記複数の配線の一部が、前記プリント基板上に配置されるとともに、前記交差部が当該プリント基板上に形成されることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記プリント基板は、フレキシブルなプリント基板であることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記液晶表示パネルは、一対の基板間に垂直配向する液晶を挟持して構成された垂直配向型の液晶表示パネルであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−57833(P2013−57833A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196576(P2011−196576)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000103747)京セラディスプレイ株式会社 (843)
【Fターム(参考)】