説明

液滴堆積のための方法及び装置

インクジェットプリントヘッドのような装置を用いて基材に液滴堆積する方法であって、該装置は流体チャンバーとして機能するチャンネルの配列を備え、該チャンネルは、間隔をおいて配置された壁で区画され、チャンネル内に含まれるインクのような流体の液滴を放出する開口部又はノズルと連通する。前記各壁は隣接する2つのチャンネルを区画し、また、前記各壁は、第1の電圧に応答して変形して、一方のチャンバーの体積を減少させ、他方のチャンバーの体積を増加させ、第2の電圧に応答して変形して、前記隣接するチャンバーに反対の効果をもたらすように動作する。該方法は、画像のピクセルデータのような入力データを受け付ける工程と、前記入力データに基づいて、前記配列内の全ての前記チャンバーを発射チャンバーあるいは非発射チャンバーのいずれかに割り当てて、1つ又は複数の隣接する非発射チャンバーのグループによって隔離された1つ又は複数の隣接する発射チャンバーのグループを生成する工程と、前記各非発射チャンバーにおいては、両側の前記壁がいずれも同一の方向に動くか、いずれも動かないように、前記各発射チャンバーにおいては、両方の前記壁が互いに反対の方向に動くか、いずれか一方が動いて、他方が動かないように、前記チャンバーの特定の前記壁を動作させる工程とを含み、その動作の結果、前記各発射チャンバーは少なくとも1つの液滴を放出し、該液滴は前記基材上に一線に配置されてドットを形成し、該ドットは前記一線上に前記非発射チャンバーに対応する間隔をおいて配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴堆積のための方法及び装置に関し、可動壁によって分けられた流体チャンバーを備える装置において際立った用途がある。
【0002】
特に例を挙げるならば、本発明はインクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0003】
液滴堆積装置の分野では、複数の圧電性の壁によって分けられた流体チャンバーの配列を含むアクチュエータを構築することが知られている。このような構造の多くでは、壁は、電気信号に応答して動くことができ、各壁が接する2つのチャンバーのうちの一方に向かって動く。このような動きは、壁を介して隣接する両方のチャンバーにおける流圧に影響を及ぼし、一方の圧力の増加と他方の圧力の減少をもたらす。
【0004】
流体の塊をチャンバーから排出するために、ノズル又は開口部が、流体が流通するようにチャンバーに設けられる。開口部の流体は、表面張力効果によるメニスカスを形成する傾向があるが、流体の十分な摂動があれば、この表面張力は乗りこえられ、液滴又は流体の塊が開口部を通じてチャンバーから放出される。このため、開口部付近で過剰な陽圧が印加されると、上記のような流体の塊の放出を引き起こす。
【0005】
可動壁によって分けられた細長いチャンバーの配列を備える構造の例が図1に示されている。チャンバーは、可動壁と接するカバー部材によって片側を囲われたチャンネルとして形成される。流体排出のためのノズルは、該カバー部材に設けられる。カバー部材は、金属又はセラミックのカバープレートを含むことが多く、該カバープレートは、カバー部材を構造的に支持して、ノズルが形成されたノズルプレートを薄く覆う。
【0006】
図1に示すように、チャンバーの壁が動作すると、開口部を通じてチャンバーから流体が放出される。図1に示された場合には、所定のチャンバーの両方の壁が内側に変形し、この動きによって、そのチャンネル内の流圧が増加し、隣接する2つのチャンネルの圧力が低下する。チャンバー内の圧力の増加は、そのチャンバーの開口部を通る流体の液滴の放出に役立つ。
【0007】
図1のような構造では、全てのチャンバーに開口部が設けられ、いずれのチャンバーも流体を放出できる。しかし、所定の壁の動作は、隣接する2つのチャンネルにおける圧力に異なる影響を及ぼすため、所定の壁で分けられたチャンネルの両方からの流体の同時放出の実現が困難であることは明らかである。
【0008】
異なる時に放出された液滴が同時に基材に到達できるように、装置のデザインにはいくらかの非対称性がある。例えば、ノズルはチャンネルによって異なる位置に置かれる。液滴堆積の間、配列は基材に対して動かされるので、2つのノズルは、動きの方向に間隔を開けられ、間隔をあけて配置することによって、液滴放出の時間のずれを小さくする。しかし、このような構造上の変更は、アクチュエータで固定されて変更できないので、液滴放出タイミングの特定のパターンだけについて補正を行う。このために、アクチュエータの壁を駆動する、この方法は制限を受ける。
【0009】
2つのチャンバーに共有された壁の動作を原因とするさらなる問題は、動作後に、余った圧力の乱れがチャンバーに留まることである。出願人が実施した実験によれば、図2に示すようなデータ、すなわち隣接する2つのチャンバーを区画する障壁が1回動いた後に続いて発生する該2つのチャンバー内の流体の移動量(流体内の圧力の代用)に関するデータが導かれた。これらのデータから、各チャンバーの圧力は平衡圧(壁が変形していないチャンバーにおける圧力)から振れていて、時間経過に伴って振れの振幅が0に減衰していることが明らかである。振幅が0に減衰するまでにかかる時間は、以下において、システムの緩和時間(T)とされる。
【0010】
理論に縛られるつもりはないが、出願人は、圧力の振れは流体チャンバーの末端で反射された音圧波によって生じると考えている。それら定常波の周期(T)は、例えば図2などのグラフから導かれ、チャンバーの音周期として知られる。細長いチャンネルの場合、この周期は、L/cにほぼ等しい。ここで、Lはチャンネルの長さであり、cはチャンネルに沿った該流体中の音伝播の速さである。
【0011】
上述のように、余った圧力波が、壁の両側の2つのチャンバーに、壁の動作後に存在する。このような余った波の存在は、図2に示された、2番目および3番目以下に大きい移動量から明らかである。したがって、所定のチャンバーから流体が放出されたとき、圧力の乱れが隣接するチャンバーの片方又は両方に存在する。例えば、ある動作方式において、所定のチャンバーに接する2つの壁の内側への動きによって流体がそのチャンバーから放出され、隣接する両方のチャンバーの圧力に影響する。これらの圧力の乱れは、「クロストーク」として知られる過程で隣接するチャンバーからの流体放出を妨げることがある。
【0012】
「クロストーク」の問題を改善するために、アクチュエータの構造が提案された。例えば、交互に開口部のないチャンバーが形成され、これらの「非発射」チャンバーは、圧力の乱れから開口部を備えるチャンバー(「発射」チャンバー)を保護する役割を果たす。もちろん、これは、所定のチャンバーのサイズにおいて利用可能な解像力が半減するといった望ましくない結果を招くことが明らかであろう。
【0013】
欧州特許公報0422870号によれば、クロストークを改善するために、3つ又はそれ以上からなるグループ、あるいは「周期」の内の1つに各チャンバーを事前に割り当てる動作方式が提案されている。すなわち、これらグループの中の1つが周期的に当番チャンバーとして割り付けられるので、各グループは一定の間隔をあけたチャンバーの副配列となる。動作中は、常時、1つのグループだけが機能していて、流体を堆積させるチャンバーは、常に、少なくとも2つのチャンバーによって間隔があけられ、その間隔は、グループの数に依存する。使用者が入力したデータが、各グループ内のどのチャンバーが動作されるかを決める。より詳細には、周期チャンバー内のチャンバーは、それぞれチャンバーによって放出される液滴の数に対応する異なる数のパルスを受け取り、各チャンバーからの液滴は、基材上の1つの点又は印刷画素を形成するために混合される。
【0014】
この方式では、常に、チャンバーの総数の1/3(又は1/nであって、nは周期の数)だけが動作するため、処理速度が大幅に低下することが明らかであろう。
【0015】
加えて、異なるグループの発射間の時間を遅らせることによって、基材上の対応するドットが、基材と開口部の相対的な動きの方向に間隔をあけることができる。上記で簡単に述べたように、ある構造を備える装置では、この問題を解決するために、各周期においてノズルをずらして配置する。そのため、各周期に属する複数のノズルは、それぞれ1直線に配列され、該ノズルの配列は、基材の動きの方向に間隔を置いて配置される。多くの場合、この特別な問題の影響は十分に弱められるが、一般的に、この構造は、ノズルを順々に配列して発射する方式に限定される。
【0016】
欧州特許公報0422870号もまた、アクチュエータを提案しており、該アクチュエータでは、チャンバーが2つのグループに、つまり奇数と偶数のチャンバーに分けられている。チャンバーの各グループは、グループ内のどのチャンバーが発射されるべきかを規定する所定の入力データで、同時に発射するように同期されている。その開示によれば、チャンバーの共鳴周波数での2つのグループ間の切り替えも検討されており、隣接するチャンバーは逆位相で発射する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】欧州特許公報0422870号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
上記文献によれば、この方式によって高速処理が可能なことが記載されているが、生成されるパターンは制限される。例えば、この方式では、白−黒−白を印刷することはできるが、黒−白−黒を印刷することはできない。
【0019】
そのために、処理速度が向上されて、生成されるパターンの制限が少ない液滴堆積装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
そこで、本発明の第1の観点によれば、間隔をおいて配置された壁で区画された流体チャンバーの配列を備え、前記各流体チャンバーは、流体の液滴を放出する開口部と連通し、前記各壁は、隣接する2つのチャンバーを区画し、また、前記各壁は、第1の電圧に応答して変形して、一方のチャンバーの体積を減少させ、他方のチャンバーの体積を増加させ、第2の電圧に応答して変形して、前記隣接するチャンバーに反対の効果をもたらすように動作する装置を用いて、基材に液滴堆積する方法であって、入力データを受け付ける工程と、前記入力データに基づいて、前記配列内の全てのチャンバーを、発射チャンバーあるいは非発射チャンバーのいずれかに割り当てて、1つ又は複数の隣接する非発射チャンバーのグループによって隔離された1つ又は複数の隣接する発射チャンバーのグループを生成する工程と、前記各非発射チャンバーにおいては、両側の前記壁がいずれも同一の方向に動くか、いずれも動かないように、前記各発射チャンバーにおいては、両方の前記壁が互いに反対の方向に動くか、いずれか一方が動いて、他方が動かないように、前記チャンバーの特定の前記壁を動作させる工程とを含み、その動作の結果、前記各発射チャンバーは少なくとも1つの液滴を放出し、該液滴は前記基材上に一線に配置されてドットを形成し、該ドットは前記一線上に前記非発射チャンバーに対応する間隔をおいて配置される、方法が提供される。
【発明の効果】
【0021】
発射チャンバーの壁を動かす方法がいくつか提案されているが、これらの開示は、一般に、非発射チャンバーの壁の動作については言及していない。
【0022】
一方、発射チャンバーと非発射チャンバー両方の壁の動作を制御する本方法によれば、発射チャンバーの間に非発射チャンバーがあって、空所ができるので、「黒−白−黒」のパターンが形成される。非発射チャンバーは発射チャンバーの領域を隔離するので、高い処理速度を達成するためには、非発射チャンバーは周囲にあって動作している発射チャンバーが発する効果に対して高い抵抗性を備えなければならないこと、そしてそれらの壁の制御が非常に重要であることに、出願人は気付いた。
【0023】
これは、きめ細かいパターンの場合に顕著である。なぜなら、このような場合には、少数の非発射チャンバーが発射チャンバーの領域を隔離するので、「境界効果」が顕著に非発射チャンバーに影響するからである。
【0024】
本発明に係る1つの実施形態によれば、非発射チャンバーの壁は動かないが、各発射チャンバーについて1枚の壁だけが動作して、液滴を放出する。
【0025】
より好ましくは、前記動作は、2つの半周期を含み、全発射チャンバーの半分が第1の半周期に割り当てられ、全発射チャンバーの残りの半分が第2の半周期に割り当てられ、各半周期の発射チャンバーは、実質的には同時に、液滴を放出する。したがって、全ての動作が1つの周期内で終わり、それ故に、欧州特許公報0422870号に記載されたような複数の周期過程と比較して、処理速度が劇的に向上する。
【0026】
また、非発射チャンバーの壁は、都合良く動かされて、この動きは非発射チャンバーの開口部にある摂動流体に作用する。開口部に形成されたメニスカスの動きは、流体の沈滞を阻害する。さもなければ、この沈滞によって流体内で粒子が形成され、開口部に蓄積し、流体排出を妨げる。
【0027】
上記既知の装置とは違って、都合のよいことに、本発明に係る方法を実行するように適合された装置は、一列に配列された流体チャンバーの実質的に全てに、開口部を備える。そのため、プリントヘッド又はその他の液滴堆積装置を、プリンタ又はその他の大きなシステムに組み込むことがとても簡単であり、また、本発明の範囲に属する各種の動作方式を使用することができる。
【0028】
これより、添付の図面を参照しながら本発明が説明される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】既知の液滴堆積装置の構造を示す。
【図2】隣接する2つのチャンバーにおいて、チャンバーを区画する壁の変形に続いて生じる圧力の応答を示す。
【図3】図3(a)は、異なる一連の動作を行う図1の液滴堆積装置を示す。図3(b)は、同じ一連の動作を簡略化した図である。
【図4】図4(a)は、各チャンバーの対向する両端をマニホールドに向けて開放した液滴堆積装置に係る代表的な構造の端面図を示す。図4(b)は、その側面図を示す。
【図5】図5(a)は、各チャンバーの一端だけをマニホールドに向けて開放した液滴堆積装置に係る代表的な構造の端面図を示す。図5(b)は、その側面図を示す。
【図6】図6(a)は、小さな通路が各チャンバーをマニホールドにつなぐ液滴堆積装置に係る代表的な構造の端面図を示す。図6(b)は、その側面図を示す。
【図7】図7は、本発明に係る第1の実施形態における第1のパターンを生成する液滴堆積装置の操作方法を示し、全ての壁が継続的に機能している。
【図8】図8は、本発明に係る他の実施形態における図7と同じパターンを生成する液滴堆積装置の操作方法を示す。
【図9】図9は、本発明に係るさらに他の実施形態における図7と同じパターンを生成する液滴堆積装置の操作方法を示す。
【図10】図10は、第2のパターンを生成するために用いられたときの図7に示された液滴堆積装置の操作方法を示す。
【図11】図11は、図10と同じパターンを生成するために用いられたときの図8に示された液滴堆積装置の操作方法を示す。
【図12】図12は、図10と同じパターンを生成するために用いられたときの図9に示された液滴堆積装置の操作方法を示す。
【図13】図13は、発射チャンネルの壁に適用される排出波形を示す。
【図14】図14は、非排出パルスを含む他の排出波形を示す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1に示された装置は、本発明に係る液滴堆積方法を実行するために使用される。該装置は、チャンネルあるいは細長いチャンバーを形成する流体チャンバーの配列を備え、該配列は配列方向に拡がる。該流体チャンバーのそれぞれは、チャンネルが伸びる方向に伸びる長軸を備え、各チャンネルはこの方向に伸びる。該チャンネルが伸びる方向は、前記配列の方向に垂直であることが望ましい。チャンネルは、対応する細長い壁の配列によって区画され、該壁は圧電性物質(例えば、PZT)で形成される。その結果、各チャンネルには、それぞれ、2面の対向配置された壁が備えられ、該壁はチャンバーの長さ方向に動く。
【0031】
液滴堆積の密度を最大にするために、使用中の配列の全てのチャンネルあるいはチャンバーは、例えばインクのような、排出流体で満たされると好ましく、また、該流体を排出するために開口部又はノズルが設けられる。
【0032】
図1の特定の構造においては、このようなチャンネルはそれぞれ、その内面に金属層がメッキされ、該金属層は電極として機能する。該電極はチャンバーの壁の電圧に印加するために使用され、そのため、該壁は圧電効果によって、歪んだり動いたりする。そのため、該壁に印加される電圧によって、隣接するチャンネルの間で当該チャンネルに働く信号に違いが生じる。壁が変形していない場合は、その壁の表面と裏面との間で電位差がない。言うまでもなく、このような状態は、隣接するチャンネル電極のいずれにも信号を印加しないことによって作り出されるが、両方のチャンネルにも同じ信号を印加することによっても作り出される。
【0033】
圧電性の壁は、上半部と下半部で構成されるのが好ましく、上半部と下半部は、配列方向とチャンネルが伸びる方向でもって定義される平面で分けられる。圧電性の壁の上半部と下半部は、チャンネルが伸びる方向及び配列方向に垂直な方向に互いに逆向きに分極し、配列方向に垂直な壁に電圧が印加されると、上半部と下半部は、「剪断モード」で、流体チャンバーの一方に向かって歪む。歪みによって生じる形状は山形紋に似ている。
【0034】
電極と分極した壁を提供する他の方法が提案されていて、同様の曲げ動作で壁を歪めることができる。例えば、各壁が、配列方向に垂直な平面で2つの半部に分割され、該半部が互いに逆方向に分極される。このような構造では、各壁の最上部と最下部に電極が取り付けられる。当業者は、種々の電極機構に取り替えても所望の効果が得られること、及び、特定の用途における要求に応じて、複数の電極が備えられることを理解するだろう。
【0035】
図3(a)は、一連の異なる動作を行う図1の装置を示し、2つのチャンバーは、両方の壁が内側に動くことによって該チャンバーの体積が減少し、圧力が増加する。また、この図に示されるところでは、この内側の動きは、隣接するチャンバーの圧力の減少を引き起こす。なぜなら、この壁の動きは、それらチャンバーの体積を増加するように作用するからである。図3(b)は、簡略化した表現で同じ一連の動作を示し、壁が斜めの又は垂直の線で表されている。壁の歪みの方向は、線が引かれた方向によって表され、変形してない壁は、垂直の線で表されている。
【0036】
本発明が、特定の構造を備えるアクチュエータで使用されるものに限定されず、むしろ一般的に、配列内にあって隣接するチャンバーに共有されて、変形可能な壁を備える液滴堆積装置の動作に、関係することは、抽象概念のレベルにおいて明らかである。変形の本質は、あるチャンバーにおいて他のチャンバーよりも大きな体積が排除されることにある。言い換えると、変形していない、又は歪みが生じていない形状と比べると、このように変形した壁は、他方のチャンバーにおける空間よりも大きな空間を一方のチャンバーで占有する。
【0037】
図1に示されたような装置は、流体チャンバーのほぼ側面にノズルがあるために、一般に、「サイドシュータ」と呼ばれる。一般に、該ノズルは、各末端から等距離に設けられる。このような構造では、チャンネルの末端は、多くの場合、開放されていて、全てのチャンネルが1つ又は複数の共通の流体マニホールドに通じている。さらにこれによって、装置の使用中に、チャンネルの長さに沿って流れが調整され、流体の沈滞が防止され、ノズルから放出された流体内の残渣を一掃できる。チャンネルの長さに沿ったこの流れを、流体放出によってノズルを通過する最大の流量より大きくすることは、有利であることが多い。言い換えると、装置が最大排出頻度で動作するとき、各ノズルを通過する流体の平均流量は、各チャンネルに沿った流量よりも小さい。この流れは、流体放出によってノズルを通過する最大の流量の少なくとも5倍かそれ以上が好ましく、10倍以上がさらに好ましい。
【0038】
図4(a)と図4(b)は、「サイドシュータ」構造の他の例を示し、カバープレートがチャンバーの配列を囲み、ノズルプレートがこのカバープレートを覆っている。各チャンバーでは、対応する排出ポートがカバープレートに設けられ、該排出ポートは、チャンバーとノズルに通じていて、そのチャンバーからノズルを介して流体を排出できる。チャンバーは、その両端が共通の流体供給マニホールドに向けて開放されていて、該流体供給マニホールドは、各端部にそれぞれ取り付けられる共通マニホールド、又は両端に取り付けられる単一の共通マニホールドに分類される。チャンバーの配列を区画する圧電性の壁が動くと、チャンバー内で音波が発生し、該音波は、断面積の違いにより、チャンバーと共通のマニホールドの間の境界で反射される。これらの反射波は、境界の「開放した」性質のために、チャンネル末端に入射する波に対して反対方向の波になる。また、各チャンバーに沿った流体の流れは、図1に記載されたように調整され、図4(b)には、チャンネルの配列に沿った図が示されている。
【0039】
図5(a)と図5(b)は、「エンドシュータ」構造の例を示し、ノズルは、各チャンバーの一端に近いノズルプレートに形成され、各チャンバーの他端は、全チャンバーに共通の流体供給マニホールドに向けて開放されている。特定「エンドシュータ」構造、例えば、国際公開公報WO2007/007074号に開示されたものでは、小さなチャンネルが、チャンバーからの流体の出口のためのノズル付近の基部に形成される。チャンネルは、チャンバーよりもずっと小さい横断面を備え、チャンバー内の音波を効果的に防げる。流体の流れは、各チャンバーの長さに沿って調整され、流体が共通のマニホールドから流入し、各ノズル付近に設けられた小さいチャンネルを介して流出する。
【0040】
図6(a)と図6(b)は、液滴堆積装置のさらに他の例を示し、該装置が本発明に応じて用いられる。この構造は、図4(a)と図4(b)に記載されたものに類似するノズルプレート及びカバープレートを備えるが、各ノズルは、対応するチャンバーの側面の一端に与えられる。支持部材は、各チャンネルの土台部分を形成し、チャンバーの長軸の両端を、ノズルとは反対側のチャンバーの端部に設けられた小チャンネルを除いて、実質的に閉鎖する。小チャンネルは、ノズルを介してチャンバーから排出される流体の進入を可能にするが、音波がチャンバー内で供給マニホールドに達することを妨げるために、チャンバーそのものよりもずっと小さい横断面を備える。このため、圧電性の壁の動きによって発生した音波はいずれも、同じ方向の波としてチャンバーの両端で反射される。
【0041】
本発明は、上述された全ての装置、さらに一般的には、可動壁によって分けられるチャンバーの配列を含み、各チャンバーには、液滴排出のための開口部が設けられている装置での使用が可能であることが理解されるであろう。
【0042】
上記のように、可動壁によって分けられる流体チャンバーにおける配列のノズルから流体を排出するために、多くの方式が提案された。以前提案された、周期の概念に基づく排出方式では、常に、チャンバーのあらかじめ決められたグループだけが動作する。グループ内のチャンバーは、一般に、(n−1)の非発射チャンバーによって間隔があけられ、nは、周期の数である。装置が受け付けた入力データに基づいて動作して、グループ内の所定のチャンバーが液滴を生成する。
【0043】
したがって、異なる周期からの液滴は、異なる時間に放出されることが理解されるであろう。通常、これは、基質の動く方向であって、各グループにおいてノズルが配列される線における間隔によって修正される。各グループにおいてノズルの列が出現する順番は、グループが動作する順番と同じ順番である。間隔は、全てのグループからの液滴が1列に配置されるように選択される。このため、所定のチャンバーが属するグループがそのノズルの位置によって固定されることが理解されるであろう。
【0044】
同様に、欧州特許公報0422870号に示された例では、チャンバーの数が偶数あるいは奇数に決められる。特定の装置について、チャンバーの数を偶数又は奇数に決める決定は、電極構造を形成するときになされ、変更することができない。
【0045】
一方、本発明によれば、どのチャンバーであっても液滴堆積のために選択することが可能で、入力データと生成されるパターンとの間で正確な整合をとることができ、その一方で、処理速度の高いレベルでの維持が可能である。
【0046】
図7は、本発明に係る第1の実施形態による方法を示し、アクチュエータ内の全ての壁は、どのチャンネルが液滴を放出するかに関わらず動かされる。入力データに基づいて、配列内の所定のチャンバーが発射チャンバーに割り当てられ、液滴を堆積する。一方、残りのチャンバーが非発射チャンバーに割り当てられる。図において、チャンバーの下の水平線は、発射チャンバーを示すものである。アクチュエータの壁はそれぞれ、ほとんど変形しないで振動し、また、2つのグループのいずれか一方に属する。該2つのグループは、逆位相、同一周期で振動する。
【0047】
図7(a)は、動作周期のある時点を示し、両グループの壁がそれらの動きの一方の最大端にある。一方、図7(b)は、その半周期後の時点を示し、それらの壁が反対の最大端にある。各非発射チャンバーの2つの壁が、動作を通じて同位相のままであることが明らかであって、それらは同じ方向に動いている。このため、非発射チャンバーの体積に減少はほとんどなく、排出が起こらない。一方、各発射チャンバーの壁は、逆位相で動作するため、これらは、完全に反対方向に動き、発射チャンバーの体積を増加あるいは減少させる。明らかに、発射チャンバーの逆位相の動作は、チャンネルの至るところでの流体の圧力に振れを生じさせる。その振幅に応じて、この圧力の振れは、チャンネルから放出される流体の堆積を生じさせ、あるいは堆積に寄与する。もちろん、その振幅は、直接、壁の振動の程度に関連するので、大きい振動は液滴放出を起こす。しかし、圧電性物質の寿命は、振動の程度が大きくなると短くなることが知られている。
【0048】
したがって、液滴放出のために必要なエネルギー量を減らすために、アクチュエータ構造内のモード効果を考慮することは有益である。明らかに、流体を含むチャンバーはいずれも、圧力の振れに対して1つ又は複数の固有振動数を有していて、該固有振動数は、種々の因子、例えば、チャンバーの適合性や形状などに起因する。特に、壁が変形すると、音圧波がチャンバー内で発生する。具体的に言うと、壁がチャンバーから離れる動きでそのチャンバーの体積が増加するとき、陰圧波がチャンバーのノズルで発生し、ノズルから離れて伝播する。
【0049】
端部が開放された細長いチャンバーの場合、その開放端は、音響インピーダンスが不整合であって、波を反射する音響境界のように機能する。よって、チャンネルの長さに沿って伝播する音波は、それら境界によって反射されるが、境界の「開放した」性質のために、反射された波は元の波と反対の方向になる。チャンバー壁の振動を、チャンバーの開口部で、又はその近くにおいて、到着した音波と同期することによって、壁の変形によって発生した圧力が音波圧と組み合わさり、排出を制御することが可能となる。端部が開放された細長いチャンバーの場合、音波が、開放端から、その端部から等距離にある開口部に伝わるまでに、時間にしてL/2c(Lは、チャンネルの長さであって、cは、流体とチャンバーの特定の組み合わせにおける音の速さ)がかかる。そのため、これらの波の振動の頻度は、だいたいL/cであって、様々な頻度でチャンバーの壁を動作することによって、投入エネルギーを削減して、液滴の放出を制御することができる。一般に、頻度が高ければ高いほど、装置の動作が速くなるため、だいたいL/cの頻度が望ましい。
【0050】
各非発射チャンネルの壁の同位相の振動は、チャンネルの圧力を十分に大きくして液滴を排出することはできないが、チャンバーの開口部で流体のメニスカスを乱し、流体の沈滞と、開口部の妨害を防止する。
【0051】
各半周期において、発射チャンバーの半分は液滴を放出することが、図7(a)と図7(b)とから明らかである。配列にわたって液滴の放出を同期するために、この放出が実質的に同時に行われることが有利である。もちろん、発射チャンネルの「半分」の同期は、奇数の発射チャンネルが連続領域としてあるために、この領域の「半分」各々に含まれる発射チャンバーの数が1個違うという状態を含むことを目的としている。例えば、5個の連続する発射チャンバーを含む領域では、第1の半周期において2個が液滴を放出し、第2の半周期において残りの3個が液滴を放出し、逆もまた、同様である。
【0052】
図8(a)と図8(b)は、本発明に係る他の実施形態による液滴堆積装置の動作方法を示す。これらの図に示された発射及び非発射チャンバーのパターンは、図7(a)と図7(b)に示されたものと同じである。本実施形態では、各壁が2つのグループのいずれか1つに割り当てられる。この2つのグループは、振動するグループと、静止状態もしくは比較的に無視できる程度の振幅で振動するグループである。第1のグループに属する壁の動きは、図8(a)と図8(b)との間での違いから明らかであって、図8(a)と図8(b)は半周期ずれた時点のアクチュエータを示す。図7(a)と図7(b)の実施形態のように、発射チャンバーの壁は異なるグループに割り当てられ、一方、非発射チャンバーの壁は同じグループに割り当てられる。このため、各非発射チャンバーの壁は、同じ方向に動くか、又は動かないので、どちらの場合でも、非発射チャンバーの体積に実質的な変化はない。一方、発射チャンバーでは、一方の壁が動かされるのに対して、他方の壁は動かないので、体積が変化し、液滴の排出が起きる。
【0053】
動かない壁が配列内に存在し、壁の両側の振動は同位相である必要がないことは、当業者にとって明らかである。したがって、図9(a)と図9(b)の実施形態では、静止した壁で区画された1対の発射チャンバーに外壁(複数)を備え、この外壁(複数)が逆位相で動く。本実施形態においては、該外壁は3つのグループ、すなわち、逆位相で動く2つのグループと、静止状態もしくは比較的に無視できる程度の振幅で振動するグループ静止状態もしくは比較的に無視できる程度の振幅で振動する第3のグループからなる3つのグループのいずれかに割り当てられる。
【0054】
さらに他の実施形態では、壁が割り当てられるグループの数がさらに増えてもよい。例えば、一方の壁の全てを静止させて、残りの壁の位相を方式にしたがって決定、あるいはランダムに決定する。残りの壁の位相をランダムにすると、発射チャンネル間のモード干渉を減らすのに役立つ。
【0055】
図10(a)と図10(b)は、図7(a)と図7(b)に示された液滴堆積装置の動作方法を示し、異なるパターンの液滴堆積が適用される。そのパターンは、1つのチャンバーによって区画された5つの発射チャンバーを含む2つのグループで構成されるように選択された。重要なことに、チャンバー1つ分の間隔を含む当該パターンは、欧州特許公報0422870号に開示されたシステムを用いても印刷できない。上述のように、間隔をあけるチャンバーの壁は、同位相で振動し、チャンバーの体積の正味の減少は起こらず、そのため、液滴放出が避けられるが、壁の動作によって起きる小さな圧力の変化は、流体の沈滞を防止し、後に要求されたときの液滴放出を促進する。
【0056】
図11(a)と図11(b)は、図8(a)と図8(b)のような動作方法を示し、図10(a)と図10(b)と同じパターンの液滴堆積が適用される。同様に、図12(a)と図12(b)は、図9(a)と図9(b)に示された動作方法で同じパターンの形成を示す。
【0057】
図13は、排出波形を示し、該排出波形は、例えば、図4に示されたような装置における2つの発射チャンネルを区画する壁に印加される波形を示す。この波形は、近接する電極の信号の間の電位差に相当する。このような構造において壁の表面と裏面の間に2極性の電圧を生成することが要求される場合、この要求は、隣接する電極のそれぞれに、1つの単極信号を印加することによって実現され、一方の信号は壁に電圧の正の部分を与え、他方の信号は負の部分を与える。
【0058】
壁に印加される電圧と壁の位置との間には直接的な関係がある。電圧差が0に保持された場合、壁は変形しない。電圧差が正の値に保持された場合、壁は第1のチャンバーに向かって変形し、電圧差が負の値に保持された場合、壁は第2のチャンバーに向かって変形する。壁の動作は、システムの応答時間のために電圧信号に遅れる。
【0059】
排出波形は、2つの方形波領域を含む。第1の領域は、第1のチャンネルに向かう動きと第1の時間周期後の変形してない位置に戻る動きに対応し、第2の領域は、第2のチャンネルに向かう動きと第2の時間周期後の変形していない状態に立ち戻る動きに対応する。動作の間、第1の領域は、第1のチャンバーからの液滴の放出に寄与し、一方、第2の領域は、第2のチャンバーからの液滴の放出に寄与する。
【0060】
第1と第2の領域間の時間間隔がシステムの応答時間の長さと同じような場合、壁は、第1のチャンバーの方への変形から第2のチャンバーの方への変形に直接移行し、未変形の状態にほとんど止まらず、第1のチャンバーから第2のチャンバーへの1つの連続的な動作とみなされる。
【0061】
他の波形は、似たような領域(前パルス)に先行される同様の領域を含み、この似たような領域は、直接排出の原因にならないが、むしろ音波のきっかけとなり、この音波は、主要な波形領域によって発生されるさらなる圧力パルスによって強化される。
【0062】
上記で議論したように、壁の動作は、ノズルにおける音波パルスの出現と同時に起こるように調節され、排出に要求されるエネルギーが抑制される。例えば、これは、第1の波形領域の前縁のほぼL/c時間後に第2の波形領域の前縁があることによって成し遂げられる。
【0063】
図13から明らかなように、第2の領域は長く、振幅が大きい。このため、第2の領域によって与えられるエネルギーは、第1の領域よりも大きい。この結果、第2の液滴は、第1の液滴よりも大きい速度で放出され、2つの液滴の体積も異なる。波領域の長さと振幅を変えることによって、異なる速度なのに同等の体積を与える波形を得ることが可能である。そして、速度の違いは、2つの液滴が実質的に同時に基材に着地することを確実にするために用いられ、このため、2つの液滴は、基材の動きの方向に対して並べられる。この原理を全ての発射チャンバーに展開することで、基材上の液滴の並びの形成を確実にすることができる。
【0064】
実際、流体の各液滴の全てが基材上の列の正確な中心にないことが理解されるが、少なくとも、直線が全ての点を通過する。言い換えると、液滴が1本の線に並べられる。
【0065】
全ての液滴の配置を個別に制御して、このような液滴の線を基材上に何本か置いていくことによって、液滴の2次元配列が形成される。したがって、本発明は、像の印刷又は2次元パターンの形成において特に有益であることが明らかであろう。像形成の場合、液滴の各列は、画像のピクセルデータの線を表し、各線の表現における固有の誤差はいずれも、例えば、ディザリングのような処理を用いて、隣接する線に分配される。
【0066】
さらに他の実施形態によれば、第2の液滴の排出を起こす波形は、付加的な波形領域又は「前パルス」に先行される。図14に示すように、この前パルスは、持続時間が短いので、排出を起こす後発のパルスよりもエネルギーが小さい。前パルスは、直接的に排出を導かないが、第2の液滴の速度を増加するエネルギーを有する音波を発生し、そのため、基材上に2つの液滴を並べる。このような波形は、電圧の大きさを制御できない場合に適用できる。
【0067】
さらに他の実施形態では、連続的な排出の間の時間は、生成された液滴のグループが基材上で単一ドットに混合されるほどに十分に短くてもよい。排出流体の混合は、装置のノズルで行われ、基材に液滴が飛ぶ間に、又は基材そのものの上にある間に行われる。各液滴は、名目上は同一の体積を有し、基材上の流体の点のサイズは量子化され、そのため、対応する波形の振幅と幅の調節によって、液滴のサイズを変更することができる。また、この場合、一連の動作前の前パルス(上述のような)、又は基材上の1つの点となるパケット含むという利点がある。上記のように、適切な前パルスが、各チャンバーに対して選択され、付加的な音波エネルギーが基材上に液滴を並べる。
【0068】
上記の例示的な実施形態は、方形波領域を含む波形に言及したが、三角、台形、又は正弦関数のような様々な形の波形領域が、特定の液滴堆積装置に応じて適切に用いられることが、当業者によって理解されるであろう。
【0069】
また、上述のように本発明は、「サイドシュータ」又は「エンドシュータ」型の装置のどちらにも適用され、より一般的には、可動壁によって区画されたチャンバーの配列を備えるいかなる装置にも適用される。また、特定の電極配置が説明されたが、当業者は、本発明がこれに限定されないことを十分に理解するであろう。
【0070】
もちろん、本発明は、印刷画像が色素又はインクジェットプリンタを用いるインクで形成される場合の描画用途において特定の利益をもたらすが、本発明の利点は、電子部品を形成可能な機能的流体、広い領域の均一なコーティング(例えば、ニス)及び3次元部品の製作を含む、多くの液滴堆積装置、基材及び排出流体に提供されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔をおいて配置された壁で区画された流体チャンバーの配列を備え、
前記各流体チャンバーは、流体の液滴を放出する開口部と連通し、
前記各壁は、隣接する2つのチャンバーを区画し、
また、前記各壁は、第1の電圧に応答して変形して、一方のチャンバーの体積を減少させ、他方のチャンバーの体積を増加させ、第2の電圧に応答して変形して、前記隣接するチャンバーの体積に反対の効果をもたらすように動作する
装置を用いて、基材に液滴を堆積する方法であって、
入力データを受け付ける工程と、
前記入力データに基づいて、前記配列内の全てのチャンバーを、発射チャンバーあるいは非発射チャンバーのいずれかに割り当てて、1つ又は複数の隣接する非発射チャンバーのグループによって隔離された1つ又は複数の隣接する発射チャンバーのグループを生成する工程と、
前記各非発射チャンバーにおいては、両側の前記壁がいずれも同一の方向に動くか、いずれも動かないように、前記各発射チャンバーにおいては、両方の前記壁が互いに反対の方向に動くか、いずれか一方が動いて、他方が動かないように、前記チャンバーの特定の前記壁を動作させる工程とを含み、
その動作の結果、前記各発射チャンバーは少なくとも1つの液滴を放出し、該液滴は前記基材上に一線に配置されてドットを形成し、該ドットは前記一線上に前記非発射チャンバーに対応する間隔をおいて配置される、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記動作は、全ての発射チャンバーの半分が割り当てられる第1の半周期と、残り半分が割り当てられる第2の半周期の2つの半周期とから成り、
各半周期において発射チャンバーは、実質的に同時に液滴を放出する、
ことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記動作は、前記第1の半周期で各発射チャンバーからn(nは、1より大きい整数)個の一連の液滴を放出し、また、前記第2の半周期で各発射チャンバーからm個の一連の液滴を放出し、
mとnの差は最大で1であり、
各一連の液滴は、前記基材上に単一ドットを形成する、
ことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
一連の同数の液滴が全ての発射チャンバーから放出される、
ことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
各非発射チャンバーにおいて、壁が実質的に同位相で動き、各発射チャンバーにおいて、壁が実質的に逆位相で動く、
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記各発射チャンバーの壁は、該チャンバーにおける多重ヘルムホルツ振動数で、又はそれに近い振動数で振動する、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記入力データは、画像のピクセルデータの2次元配列に対応し、
液滴の前記線は、前記2次元配列内の画像のピクセルデータの1つの線の値の描写である、
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
流体の液滴の線による画像のピクセルデータの1つの線の描写における固有の誤差は、画像のピクセルデータの別の線に再分配される、
ことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項9】
間隔をおいて配置された壁で区画された流体チャンバーの配列を備え、
前記各流体チャンバーは、流体の液滴を放出する開口部と連通し、
前記各壁は、隣接する2つのチャンバーを区画し、
また、前記各壁は、第1の電圧に応答して変形して、一方のチャンバーの体積を減少させ、他方のチャンバーの体積を増加させ、第2の電圧に応答して変形して、前記隣接するチャンバーの体積に反対の効果をもたらすように動作する
請求項1乃至8のいずれか一項に記載の方法の実行に適合した液滴堆積装置。
【請求項10】
実質的に全ての流体チャンバーにおける開口部が直線上に配置される、
ことを特徴とする請求項9に記載の液滴堆積装置。

【図1】
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【図2】
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【図3(a)】
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【図3(b)】
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【図4(a)】
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【図4(b)】
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【図5(a)】
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【図5(b)】
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【図6(a)】
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【図6(b)】
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【図7(a)】
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【図7(b)】
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【図8(a)】
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【図8(b)】
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【図9(a)】
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【図9(b)】
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【図10(a)】
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【図10(b)】
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【図11(a)】
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【図11(b)】
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【図12(a)】
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【図12(b)】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2012−508124(P2012−508124A)
【公表日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−535171(P2011−535171)
【出願日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際出願番号】PCT/GB2009/051527
【国際公開番号】WO2010/055345
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(301055608)ザール テクノロジー リミテッド (31)
【Fターム(参考)】