説明

混捏装置

【課題】良質な混捏後の生地を安定的に生成することができる混捏装置を提供する。
【解決手段】原料粉を貯蔵するホッパ本体4を有するホッパ2と、原料粉を含有する被混捏体を混捏するミキサ3とを備える混捏装置1であって、ホッパ2は、ホッパ本体4内の原料粉を攪拌する攪拌装置5と、調温された空気をホッパ本体4内に供給する調温空気供給装置6とを備える混捏装置1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混捏装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、パンや菓子等を製造する際、原料となる小麦粉などの粉と水とを混ぜ合わせた被混捏体を混捏して生地を形成する必要がある。被混捏体を混捏する装置として、特許文献1に開示されている混捏装置が知られている。
【0003】
この混捏装置は、図6に示すように、小麦粉などの原料粉を貯蔵するホッパ101と、ホッパ101から供給された原料粉に捏ね水や糖類、油脂、イースト等を混合して被混捏体を形成し、この被混捏体を混捏するミキサ102とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−320438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パンや菓子等の生地として良質なものを生成するには、原料粉の温度が重要な要素となる。原料粉として、例えば小麦粉を使用する場合、小麦粉温度の好ましい温度範囲は20℃〜25℃の範囲であるといわれているが、上述の混捏装置を用いた場合、このような温度範囲に原料粉の温度を維持することが困難であるという問題があった。つまり、夏場においては、気温の上昇に伴ってホッパ内の原料粉の温度も上昇して30℃以上の温度となってしまい、また、冬場においては、逆に原料粉の温度が低下して20℃以下の温度となってしまい、良質の生地を安定的に生成することが困難であった。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであって、良質な混捏後の生地を安定的に生成することができる混捏装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の上記目的は、原料粉を貯蔵するホッパ本体を有するホッパと、原料粉を含有する被混捏体を混捏するミキサとを備える混捏装置であって、前記ホッパは、前記ホッパ本体内の原料粉を攪拌する攪拌装置と、調温された空気を前記ホッパ本体内に供給する調温空気供給装置とを備える混捏装置により達成される。
【0008】
また、この混捏装置において、前記攪拌装置は、前記ホッパ本体内に略水平に配置される回転シャフトと、前記回転シャフト上に配置される攪拌体とを備えており、前記回転シャフトは、その軸線周りに回転可能に構成されていることが好ましい。
【0009】
また、前記攪拌体は、回転方向を向く平面を備えると共に、前記平面の法線と前記回転シャフトの軸線とが略垂直となるように配置されていることが好ましい。
【0010】
また、前記ホッパ本体は、前記調温空気供給装置から供給される空気が導かれる空気供給口と、内部の空気を外部に導く空気排出口とを備えており、前記空気供給口及び前記空気排出口は、前記回転シャフトの一端側及び他端側にそれぞれ配置されていることが好ましい。
【0011】
また、前記攪拌装置は、前記ホッパ本体内に略垂直に配置される回転シャフトと、前記回転シャフトに設けられた攪拌体とを備えた構成にすることもできる。この構成において、前記調温空気供給装置は、調温された空気を前記ホッパ本体内に水平接線方向に導入することができる。
【0012】
また、前記調温空気供給装置は、調温された空気を前記回転シャフトに形成された流路の下端側から前記ホッパ本体内に導入するように構成することができる。この構成において、前記攪拌体は、前記回転シャフトの流路に連通する流路を備えることが好ましく、下部に形成された噴射口から調温された空気を噴射するように構成することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、良質な混捏後の生地を安定的に生成することができる混捏装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る混捏装置を示す概略構成正面図である。
【図2】図1の混捏装置の要部拡大断面図である。
【図3】図2のA−A断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る混捏装置を示す要部拡大断面図である。
【図5】図4の平面図である。
【図6】従来の混捏装置の一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明に係る混捏装置について添付図面を参照して説明する。図1は、本発明に係る混捏装置1の概略構成側面図であり、図2はその要部拡大断面図である。図3は、図2のA−A断面図である。本発明に係る混捏装置1は、図1に示すように、ホッパ2と、原料粉を含有する被混捏体を混捏するミキサ3とを備えている。ここで、原料粉としては、小麦粉、強力粉、薄力粉、大麦粉、ライ麦粉、オーツ粉、コーンフラワー等の従来から公知のものを例示することができる。
【0016】
ホッパ2は、図2に示すように、原料粉を貯蔵するホッパ本体4と、ホッパ本体4内の原料粉を攪拌する攪拌装置5と、調温された空気をホッパ本体4内に供給する調温空気供給装置6と、ホッパ本体4内の原料粉の温度を計測する図示しない複数の温度センサーを備えている。
【0017】
ホッパ本体4は、パンや菓子の材料となる小麦粉等の原料粉をミキサ3で混捏する前に一時的に貯蔵するためのものであって、図1に示すように、ミキサフレーム31に設けられた枠体32に支持されている。このホッパ本体4の上部には、図示しないコンベアにより導かれた原料粉をホッパ本体4内に導入するための原料粉導入口41が設けられている。この原料粉導入口41には、コンベアにより移送された原料粉が流送される配管が接続されている。また、ホッパ本体4の下部は、下方に向けて縮径する形状を有しており、下端が、貯蔵された原料粉を排出するための原料粉排出口42を構成している。この原料粉排出口42には、当該排出口を開閉自在に閉塞するバタフライ弁のような閉塞体43が設けられており、この閉塞体43を開くことによって、ホッパ本体4に貯留されている原料粉がミキサ3に移送できるように構成されている。
【0018】
攪拌装置5は、図2に示すように、棒状の回転シャフト51と、回転シャフト51上に配置される複数の攪拌体52と、回転シャフト51をその軸線周りに回転させるためのモータ53とを備えている。回転シャフト51は、略水平となるようにホッパ本体4内に配置されており、その両端部は、ホッパ本体4の側壁に設けられる軸受54,54により回転自在に支持されている。軸受54,54によって支持される回転シャフト51の支持姿勢は、その軸線が水平線と平行であることが好ましいが、必ずしも回転シャフト51の軸線が水平線と平行である必要はなく、例えば、回転シャフト51の軸線が、水平線に対して0°〜90°の傾きの範囲となるように支持されていればよい。特に、ホッパ本体4内において、回転シャフト51に設けられる攪拌体52が、回転シャフト51の回転に伴って、原料粉を効率よく上方に巻き上げるという観点からは、回転シャフト51の軸線が、水平線に対して0°〜20°の傾きの範囲となるように支持することが好ましい。
【0019】
各攪拌体52は、回転シャフト51の軸線方向に沿って、所定間隔をあけて配置されている。また、各攪拌体52は、回転方向(図3中の矢印Bで示される方向)を向く平面52aを備えると共に、この平面52aの法線と前記回転シャフト51の軸線とが略垂直となるように配置されている。攪拌体52の構造について更に詳しく述べると、攪拌体52は、棒状の軸部521と、軸部521の先端に設けられるブレード部522とを備えている。軸部521は、回転シャフト51の軸線に対して垂直となるように回転シャフト51に取り付けられている。ブレード部522は、平板状の形状を有しており、回転シャフト51の回転方向を向く一方面は、平面52aを構成している。このブレード部522は、上記平面52aの法線と回転シャフト51の軸線とが略垂直となるように軸部521に取り付けられている。モータ53は、回転シャフト51の一方の端部に接続しており、電力の供給を受けて回転シャフト51をその軸線周りに回転させる。
【0020】
また、ホッパ本体4には、当該ホッパ本体4の内外を連通する空気供給口44および空気排出口45が形成されている。本実施形態においては、空気供給口44および空気排出口45は、ホッパ本体4の上面4aに形成されている。また、空気供給口44は、回転シャフト51の一端部の上方に配置されており、空気排出口45は、回転シャフト51の他端部の上方に配置されている。空気供給口44には、後述する調温空気供給装置6の移送配管46が接続し、空気排出口45には、後述する調温空気供給装置6から供給された調温された空気を外部に導くための空気排出配管47が接続している。この空気排出配管47の途中には、ホッパ本体4内の空気を外部に排出するためのポンプ(図示せず)が設置されている。また、空気排出口45には、ホッパ本体4内に貯蔵される原料粉が空気の流れに伴って外部に排出されることを防止するバッグフィルターのような濾過部材48が設置されている。
【0021】
調温空気供給装置6は、外部の空気を取り込んで所定の温度に調温した後、排出する装置であり、熱風発生器や冷風発生装置等を例示することができる。この調温空気供給装置6は、調温後の排出空気の温度を計測する温度センサーや、調温後の空気の温度を設定するコントローラーを備えている。また、調温空気供給装置6には、所定温度に調温した空気をホッパ本体4内に供給するために、ホッパ本体4に形成された空気供給口44に連結する移送配管46が接続している。
【0022】
ホッパ本体4内の原料粉の温度を計測する複数の温度センサー(図示せず)は、例えば熱電対のようなセンサーであり、原料粉をホッパ本体4内に貯蔵した場合に原料粉に埋没される位置であって、攪拌装置5を構成する各部材に干渉しない位置に設けられている。これら複数の温度センサーによって計測された温度は、平均化処理されて、例えば、ホッパ本体4の外表面に設置される表示部(図示せず)に表示されるように構成されている。
【0023】
ミキサ3は、ホッパ2の下方に配置されており、ホッパ2から供給された原料粉を貯留するミキシングドラム33と、ミキシングドラム33の内部空間に設けられる混捏用攪拌装置34とを備えている。ミキシングドラム33の上部には開口部が形成されており、当該開口部が、ホッパ本体4の下端に形成される原料粉排出口42に設置される原料粉供給通路7に接続している。また、ミキシングドラム33の下部には、混捏終了後の被混捏体を取り出すことが可能な被混捏体取出口(図示せず)が形成されている。なお、ミキシングドラム33には、図示しない水供給装置から導かれる捏ね水や、バター、ショートニング、マーガリン等の油脂や、卵、膨張材等を原料粉に混ぜるための各種混入口(図示せず)が設けられている。水供給装置から供給される捏ね水には、予め、砂糖、麦芽糖、乳糖等の糖類や食塩、イースト等を溶解させておくことが好ましい。混捏用攪拌装置34は、原料粉や水等を混合した被混捏体を混捏し、パンや菓子等の生地を生成するための装置であり、ミキシングドラム33内に略水平に設置される混捏攪拌軸341と、混捏攪拌軸341上に設置される複数の混捏攪拌羽根342とを備えている。混捏攪拌軸341の両端はミキサフレーム内に設けられる軸受により回転自在に支持されている。また、混捏攪拌軸341の一端側にはモータが取り付けられており、このモータの駆動により混捏攪拌軸341が回転可能に構成されている。
【0024】
次に、本実施形態に係る混捏装置1の作動について説明する。まず、ホッパ本体4の下端の原料粉排出口42に設置されているバタフライ弁等の閉塞体43を閉状態に維持した状態で、図示しないコンベアにより所定量の原料粉をホッパ本体4内に供給する。ホッパ本体4内に供給される原料粉の体積は、ホッパ本体4の内部容積の70%〜80%程度とすることが好ましい。これは、後述するように、攪拌装置5による原料粉の攪拌時において、原料粉を巻き上げて、調温空気供給装置6から供給された調温後の空気との間で効果的に熱交換を行うことができるようにするためである。
【0025】
ホッパ本体4内への原料粉の供給を停止した後、攪拌装置5のモータ53を駆動し、回転シャフト51をシャフト軸周りに回転させると共に、調温空気供給装置6を駆動して所定温度に調温された調温空気をホッパ本体4内に供給する。回転シャフト51の回転により攪拌体52がホッパ本体4内において回転し、貯留される原料粉を攪拌する。攪拌時においては、ブレード部522が原料粉をホッパ本体4内で巻き上げることになる。巻き上げられた原料粉は、調温空気供給装置6から供給された調温空気との間で熱交換を行う。攪拌装置5による原料粉の攪拌と、調温空気供給装置6からの調温後の空気の供給を継続することにより、ホッパ本体4内の原料粉は、均一に加熱又は冷却される。
【0026】
また、調温空気供給装置6から供給された空気は、原料粉と間での熱交換を終了した後、ホッパ本体4に形成されている空気排出口45を介して外部に排出される。このとき、ホッパ本体4内に貯蔵される原料粉の一部が、空気の流れに伴って空気排出口45に導かれることになるが、空気排出口45には、バッグフィルターのような濾過部材48が設置されているため、原料粉が外部に排出されてしまうような事態は防止される。濾過部材48により濾過された原料粉は、その自重により落下するので、濾過部材48を完全に閉塞させることはない。濾過部材48の閉塞をより確実に防止するためには、例えば自動洗浄装置を備えるバグフィルターとすることで、パルスジェット(圧力空気)による逆洗等によりろ過部材に付着・堆積した原料粉を払い落とすことができる。
【0027】
原料粉全体の温度が均一な所定温度(例えば、原料粉が小麦粉の場合、20℃〜25℃の温度範囲)に到達した後、ホッパ本体4の下端の原料粉排出口42に設置されている閉塞体43を開くことにより、所定温度に加熱または冷却された原料粉をミキサ3に導く。このとき、ホッパ本体4内に貯留されている原料粉は、その自重によって自動的にミキシングドラム33内へと供給されることになるが、原料粉は、攪拌装置5の駆動によって流動化しており、且つ当該攪拌装置5によって強制的に原料粉排出口42からミキサ3側へと払い出されるため、より速やかな供給が可能になる。
【0028】
ミキシングドラム33への原料粉供給が終了した場合、再度、図示しないコンベアを介して原料粉をホッパ本体4内に収容して攪拌装置5及び調温空気供給装置6を駆動する。これにより、ミキサ3において調温後の原料粉が混捏されている間に、次にミキサ3で混捏される原料粉の温度を所定温度に加熱又は冷却することができるので、効率よく原料粉の調温作業を行うことができ、結果として混捏作業の作業効率を高めることが可能になる。
【0029】
ミキサ3においては、混捏用の水や、所定の糖類、油脂、イースト等をミキシングドラム33内に所定量供給して、原料粉を含有する被混捏体を形成し、混捏用攪拌装置34を駆動する。混捏用攪拌装置34を所定時間駆動して被混捏体を混捏することにより、パンや菓子用の生地が生成される。混捏終了後は、混捏用攪拌装置34の駆動を停止し、生成された生地を図示しない被混捏体取出口から取り出し、その後の成形加工に供される。
【0030】
本実施形態に係る混捏装置1によれば、ホッパ2が、攪拌装置5及び調温空気供給装置6を有し、ミキサ3によって混捏される直前の原料粉の温度を均一な所定温度(例えば、原料粉が小麦粉の場合、20℃〜25℃の温度範囲)となるように加熱または冷却することができるため、パンや菓子等の生地を生成するのに適した温度となるように原料粉の温度を維持することができる。この結果、良質の生地を安定的に生成することが可能になる。
【0031】
また、攪拌装置5は、回転シャフト51と、この回転シャフト51上に設けられる攪拌体52を備えているため、ホッパ本体4内に収容される原料粉を効率よく巻き上げることが可能になるため、調温空気供給装置6から供給される調温後の空気との間での熱交換を効率よく行うことが可能になり、ホッパ本体4内の原料粉の温度が所定温度になるまでの時間を短縮することが可能になる。
【0032】
また、本実施形態に係る混捏装置1においては、攪拌体52が、回転方向を向く平面52aを備えると共に、この平面52aの法線と回転シャフト51の軸線とが略垂直となるように配置されているため、回転シャフト51の回転に伴って、攪拌体52がより一層効率よく原料粉を上方に巻き上げることが可能になる。この結果、調温空気供給装置6から供給される調温後の空気に対して、原料粉を効率よく接触させることができるので、調温後の空気と原料粉との間で行われる熱交換を効率的に行うことが可能になる。
【0033】
また、ホッパ本体4に形成される空気供給口44及び空気排出口45が、回転シャフト51の一端側及び他端側にそれぞれ配置されているので、調温後の空気がホッパ本体4内を通過する距離と、ホッパ本体4内における回転シャフト51の長さとが略同一となる。これにより、攪拌装置5により巻き上げられる原料粉と、調温後の空気とが熱交換する時間を長くすることができるため、原料粉の加熱または冷却をより一層効率よく行うことが可能になる。但し、空気供給口44の配置は本実施形態のものに限定されず、例えば、ホッパ本体4の下部に空気供給口44を配置して、貯蔵された原料粉の内部に調温された空気を吹き込むように構成することもできる。また、空気供給口44は、例えば図1に示すホッパ本体4の左右両側等、複数個所に配置してもよい。
【0034】
また、本実施形態に係る混捏装置1によれば、例えば、強力粉と薄力粉等との混合粉を原料粉として用いる場合、ミキサ3における混捏前に、混合粉(原料粉)を攪拌装置5によって攪拌することができるため、強力粉と薄力粉等との混合粉が均等に混合され、製品の品質を安定的に維持することが可能になる。
【0035】
本実施形態の混捏装置1は、攪拌装置5の回転シャフト51が略水平方向に延びるように配置されており、攪拌体52によって原料粉を下方から上方に持ち上げて攪拌することができるので、低速回転であっても攪拌を良好に行うことができる。したがって、原料粉を混捏装置1内で造粒する場合に、造粒物を壊すことなく混捏することができる。
【0036】
一方、攪拌装置の回転シャフトは、略垂直方向に延びるように配置することもできる。図4及び図5は、それぞれ図2に示すホッパ2の変形例を示す断面図および平面図である。図4及び図5において、図2と同様の構成部分には同一の符号を付している。
【0037】
ホッパ12は、攪拌装置15を備えており、この攪拌装置15は、棒状の回転シャフト151と、回転シャフト151に設けられた複数の攪拌体152とを備えている。回転シャフト151は、ホッパ本体14の上面14aを貫通して垂直方向に延びるように配置されており、上部が軸受154により回転自在に支持されている。回転シャフト151の内部には、調温空気供給装置6(図1参照)から供給される圧縮空気が通過する流路151aが形成されており、回転シャフト151の上端側から供給される調温空気を下端側からホッパ本体14の内部に噴射可能に構成されている。回転シャフト151がホッパ本体14の上面14aから突出する部分には、単式のロータリジョイント153が取り付けられており、回転する回転シャフト151に対して調温空気を供給することができる。回転シャフト151には、直交中空軸型駆動モータから直接、或いは一般的な駆動モータからプーリおよびプーリベルト(いずれも図示せず)を介して回転駆動力を伝達することができる。
【0038】
攪拌体152は、回転シャフト151を挟んで両側に2つ設けられており、ホッパ本体14の下部に形成された傾斜面14bとの間に若干の隙間を形成している。攪拌体の数や形状は、特に限定されるものではない。
【0039】
ホッパ本体14の側壁には、調温空気供給装置6(図1参照)から移送配管46を介して調温空気を導入する空気供給口144が形成されている。本実施形態においては、空気供給口144は、調温空気をホッパ本体14の内部に水平接線方向に導入するように、回転シャフト151を挟んで2箇所にそれぞれ形成されている。
【0040】
このように構成されたホッパ12を有する混捏装置についても、ホッパ本体14の下端の原料粉排出口42に設置されているバタフライ弁等の閉塞体43を閉状態に維持した状態で、所定量(例えば、ホッパ本体14の内部容積の70%〜80%程度)の原料粉を、原料粉導入口141からホッパ本体14内に供給した後、攪拌装置15及び調温空気供給装置6を駆動することができる。ホッパ本体14に貯蔵された原料粉は垂直方向に延びる回転シャフト151の周りに攪拌されると共に、空気供給口144から導入される調温空気がホッパ本体14の内部で旋回流となって原料粉と熱交換するため、原料粉の攪拌及び調温を良好に行うことができる。また、回転シャフト151の下端部151bから噴射される調温空気が原料粉の内部に吹き込まれることにより、やはり原料粉の攪拌及び調温を良好に行うことができる。ホッパ本体14に導入された調温空気は、ホッパ本体4の上部に形成された空気排出口45から濾過部材48を経て排出される。
【0041】
本実施形態の攪拌装置15は、図5に破線で矢示するように、回転シャフト151が右回りに回転することで、空気供給口144から導入される調温空気の旋回方向と攪拌方向を一致させている。但し、攪拌装置15の回転シャフト151を左回りに回転させて、調温空気の旋回方向とは逆方向に原料粉を攪拌させることで、原料粉の調温の均一化を図ることもできる。
【0042】
本実施形態においては、空気供給口144からホッパ本体14内に調温空気を導入すると共に、回転シャフト151の下端部151bからもホッパ本体14内に調温空気を導入するように構成しているが、調温空気の導入はいずれか一方のみであってもよい。また、空気排出口45から導入される調温空気は、必ずしもホッパ本体14内で旋回流を生じさせる必要はない。例えば、ホッパ本体14の側壁から中心に向けて開口する空気排出口を、ホッパ本体14の周方向に沿って等間隔に複数形成し、調温空気を径方向に導入することも可能である。ホッパ本体14における空気排出口45の高さ位置は特に限定されるものではなく、また、上下方向に多段となるように空気排出口45を形成してもよい。
【0043】
本実施形態においては、図4に示すように、攪拌体152の内部に回転シャフト151の流路151aと連通する流路152aが形成されており、攪拌体152の下部に複数形成された噴射口152bから傾斜面14bに向けて調温空気が噴射される。このような構成により、原料粉の攪拌及び調温をより良好に行うことができる。本実施形態においては、空気供給口144、回転シャフト151の下端部151bおよび攪拌体152の噴射口152bのそれぞれから、調温された空気がホッパ本体14内に導入されるように構成されているが、これらの一部のみから調温空気が導入される構成であってもよい。
【符号の説明】
【0044】
1 混捏装置
2 ホッパ
3 ミキサ
4 ホッパ本体
5 攪拌装置
51 回転シャフト
52 攪拌体
53 モータ
6 調温空気供給装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料粉を貯蔵するホッパ本体を有するホッパと、原料粉を含有する被混捏体を混捏するミキサとを備える混捏装置であって、
前記ホッパは、前記ホッパ本体内の原料粉を攪拌する攪拌装置と、調温された空気を前記ホッパ本体内に供給する調温空気供給装置とを備える混捏装置。
【請求項2】
前記攪拌装置は、前記ホッパ本体内に略水平に配置される回転シャフトと、前記回転シャフト上に配置される攪拌体とを備えており、
前記回転シャフトは、その軸線周りに回転可能に構成されている請求項1に記載の混捏装置。
【請求項3】
前記攪拌体は、回転方向を向く平面を備えると共に、前記平面の法線と前記回転シャフトの軸線とが略垂直となるように配置されている請求項2に記載の混捏装置。
【請求項4】
前記ホッパ本体は、前記調温空気供給装置から供給される空気が導かれる空気供給口と、内部の空気を外部に導く空気排出口とを備えており、
前記空気供給口及び前記空気排出口は、前記回転シャフトの一端側及び他端側にそれぞれ配置されている請求項2又は3に記載の混捏装置。
【請求項5】
前記攪拌装置は、前記ホッパ本体内に略垂直に配置される回転シャフトと、前記回転シャフトに設けられた攪拌体とを備えている請求項1に記載の混捏装置。
【請求項6】
前記調温空気供給装置は、調温された空気を前記ホッパ本体内に水平接線方向に導入する請求項5に記載の混捏装置。
【請求項7】
前記調温空気供給装置は、調温された空気を前記回転シャフトに形成された流路の下端側から前記ホッパ本体内に導入する請求項5又は6に記載の混捏装置。
【請求項8】
前記攪拌体は、前記回転シャフトの流路に連通する流路を備えており、下部に形成された噴射口から調温された空気を噴射する請求項7に記載の混捏装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−11845(P2010−11845A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−132794(P2009−132794)
【出願日】平成21年6月2日(2009.6.2)
【出願人】(000000228)江崎グリコ株式会社 (187)
【出願人】(391040179)ツカサ工業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】