説明

混雑予測装置、混雑予測方法、及び混雑予測プログラム

【課題】精度の高い混雑予測を行うことができる。
【解決手段】混雑予測装置300は、混雑予測の所定の基準時よりも前の実際の混雑量を取得する実際混雑量取得部としての手続情報収集機能340と、実際の混雑量の変動を示す実際変動パターンを算出する実際変動パターン算出部としての当日混雑パターン管理機能350と、算出した実際変動パターンと事象別変動パターン情報DBとしての混雑パターンDB240に格納される事象別変動パターンとを基準時よりも前で比較することで、実際変動パターンに近似する事象別変動パターンを決定する補正変動パターン決定部としての補正混雑パターン決定機能360と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混雑予測を行う、混雑予測装置、混雑予測方法、及び混雑予測プログラムに関し、特に、顧客に対してサービスを提供する店舗の混雑予測を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、実際に発生した事象に基づいて、事前に予測した混雑予測を補正することで、より精度の高い混雑予測を行うことが提案されている。
例えば、任意の駐車場の混雑予測を行う場合で、周辺の駐車場の混雑量が平均よりも多いとき、すなわち、周辺の駐車場の平均的な混雑量に対するプラスの差分が認められたときに、任意の駐車場の混雑予測を多めに補正する技術があった(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−211253号公報(段落0043〜0056)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載される技術では、混雑予測を照会したときに、照会時点である1時点のみの情報を利用して混雑予測を補正しているため、補正後の混雑予測と実際の混雑量との間に大きな開きがある場合が多かった。例えば、特定店舗の地域で行われる地域イベントが午前中に行われるときには、午後の混雑量が増加したり、その地域イベントが午後に行われるときには、午後の混雑量が低減したりすることがある。そのため、精度の高い混雑予測を十分に行うことができないという問題があった。
【0005】
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、精度の高い混雑予測を行うことができる、混雑予測装置、混雑予測方法、及び混雑予測プログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の発明者は、混雑予測と実際の混雑量との差分(変動)が種々の事象の影響を受けて発生することに着目し、過去の混雑予測と過去の実際の混雑量との差分(変動)を事象別にパターン化(以下、「事象別変動パターン」と呼ぶ場合がある)し、事象別変動パターンに基づいて、混雑予測を補正することを考え出した。ここで、影響を与える事象としては、例えば、店舗が存在する地域の気象条件、店舗が存在する地域の特性、店舗が存在する地域のイベントの発生、店舗内に設置される機器の故障等が考えられ、事象別変動パターンは、これらの事象の一つ又は複数を考慮して算出することができる。
【0007】
すなわち、前記課題を解決するため、本発明に係る混雑予測装置は、店舗の混雑状況を時刻毎の混雑量として予測する混雑予測装置であって、前記店舗の混雑状況の予測である混雑予測が予め格納される混雑予測情報DBと、一つ又は複数の事象を考慮して算出された前記混雑予測に対する変動のパターンである事象別変動パターンが少なくとも1つ以上、予め格納される事象別変動パターン情報DBと、を有し、前記混雑予測の所定の基準時よりも前の実際の混雑量を取得する実際混雑量取得部と、前記実際の混雑量の変動を示す実際変動パターンを算出する実際変動パターン算出部と、前記算出した実際変動パターンと前記事象別変動パターン情報DBに格納される事象別変動パターンとを前記基準時よりも前で比較することで、実際変動パターンに近似する事象別変動パターンを決定する補正変動パターン決定部と、前記決定された事象別変動パターンを用いて、前記混雑予測情報DBに格納された混雑予測の前記基準時よりも後ろの部分を補正した補正後混雑予測を出力する混雑予測補正部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る混雑予測方法は、店舗の混雑状況を時刻毎の混雑量として予測する混雑予測装置が実行する混雑予測方法であって、前記店舗の混雑状況の予測である混雑予測が予め格納される混雑予測情報DBと、一つ又は複数の事象を考慮して算出された前記混雑予測に対する変動のパターンである事象別変動パターンが少なくとも1つ以上、予め格納される事象別変動パターン情報DBと、を有し、前記混雑予測の所定の基準時よりも前の実際の混雑量を取得し、前記実際の混雑量の変動を示す実際変動パターンを算出し、前記算出した実際変動パターンと前記事象別変動パターン情報DBに格納される事象別変動パターンとを前記基準時よりも前で比較することで、実際変動パターンに近似する事象別変動パターンを決定し、前記決定された事象別変動パターンを用いて、前記混雑予測情報DBに格納された混雑予測の前記基準時よりも後ろの部分を補正した補正後混雑予測を出力する、ことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る混雑予測プログラムは、上記の混雑予測方法をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、精度の高い混雑予測を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態に係る混雑予測システムの構成図である。
【図2】第1実施形態に係る手続情報DB(業務システムサーバが保有)のデータ構成図である。
【図3】第1実施形態に係るデータベースサーバ及び混雑照会サーバの構成図である。
【図4】第1実施形態に係る店舗情報DBのデータ構成図である。
【図5】第1実施形態に係る混雑予測情報DBのデータ構成図である。
【図6】第1実施形態に係る混雑パターンDBのデータ構成図である。
【図7】第1実施形態に係る当日混雑パターンDBのデータ構成図である。
【図8】第1実施形態に係る手続情報DB(混雑照会サーバが保有)のデータ構成図である。
【図9】第1実施形態に係る混雑予測補正情報DBのデータ構成図である。
【図10】第1実施形態に係る当日混雑パターンの生成の動作を示すシーケンス図である。
【図11】第1実施形態に係る補正混雑パターンの決定の動作を示すシーケンス図である。
【図12】第1実施形態に係る混雑予測情報の照会の動作を示すシーケンス図である。
【図13】第2実施形態に係るデータベースサーバ及び混雑照会サーバの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態につき詳細に説明する。
なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。なお、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0013】
[第1実施形態]
≪第1実施形態に係る混雑予測システムの構成≫
図1を参照して、第1実施形態に係る混雑予測システム1の構成を説明する。図1は、第1実施形態に係る混雑予測システム1の構成図である。
【0014】
混雑予測システム1は、店舗に設置される業務システムサーバ100と、センターに設置されるデータベースサーバ200と、同じくセンターに設置される混雑予測装置としての混雑照会サーバ300と、がLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)や専用線等を介して通信可能に接続されている。これにより、業務システムサーバ100、データベースサーバ200、及び混雑照会サーバ300は、相互にデータの送信を行うことができる。
【0015】
また、データベースサーバ200は、LANや専用線等を介してデータベースサーバ200を管理する管理者2が所有する管理端末3に通信可能に接続される。これにより、管理端末3は、データベースサーバ200にアクセスすることができる。
また、混雑照会サーバ300は、インターネットや公衆電話網(PSTN:Public Switched Telephone Network)等のネットワーク4を介して店舗の混雑状況の照会を行う顧客5が所有する顧客端末6に通信可能に接続される。これにより、顧客端末6は、ネットワーク4経由で混雑照会サーバ300にアクセスすることができる。
【0016】
管理端末3は、本部やセンター等に設置し管理者が使用する汎用的なPC(Personal Computer)である。管理端末3は、Webブラウザ等のクライアントソフトウェアを搭載し、詳細は後記する混雑照会サーバ300が備える混雑予測管理機能320(図3参照)や混雑パターン管理機能330(図3参照)にアクセスし、混雑予測情報DB230(図3参照)の入力、混雑パターンDB240(図3参照)の登録を行う。
【0017】
顧客端末6は、汎用的なPC,携帯電話などの端末装置である。顧客端末6は、Webブラウザ等のクライアントソフトウェアを搭載し、詳細は後記する混雑照会サーバ300の混雑予測提供機能380(図3参照)にアクセスし、混雑予測の照会を行う。
なお、上記および以下で説明する各機能とは、制御部等によって実行、管理されるプログラムないしはプログラムに含まれるモジュールとして実現される、実体を持った機能部である。本実施の形態の説明においては簡略化のため単に機能と記載するものである。
【0018】
<業務システムサーバ>
業務システムサーバ100は、制御部110と、記憶部150とを備える。制御部110は、CPU(Central Processing Unit)によるプログラム実行処理や、専用回路等により実現される。記憶部150は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等の記憶媒体から構成される。
【0019】
制御部110は、店舗が実施する業務手続の受付を行う機能(手続受付機能120)、店舗が実施する業務手続の処理を行う機能(処理機能130)、及び手続情報DB160に格納される手続情報を提供する機能(手続情報提供機能140)を実現する。
記憶部150には、手続受付機能120が手続きを受け付けたタイミングや処理機能130が処理を完了したタイミングで更新される手続情報DB160が記憶される。
【0020】
(手続情報DB)
図2は、第1実施形態に係る手続情報DB160のデータ構成図である。手続情報DB160は、手続ID161、手続名162、受付件数163、完了件数164、及び更新時刻165で構成される。以下では、手続ID161、手続名162、受付件数163、完了件数164、及び更新時刻165を合わせて手続情報と呼ぶ場合がある。
【0021】
手続ID161の欄には、手続受付機能120が受け付けた手続きを識別する識別情報が格納される。手続名162の欄には、手続ID161により識別される手続きの名称が格納される。受付件数163の欄には、手続受付機能120が受け付けた手続きの件数が格納される。完了件数164の欄には、手続受付機能120が受け付けた手続きのうち、処理機能130が処理を完了させた手続きの件数が格納される。更新時刻165の欄には、手続ID161により識別されるレコードの最終更新時刻が「hh(時間):mm(分)」の形式で格納される。
以上で、業務システムサーバ100の説明を終了する。
【0022】
<データベースサーバ>
次に、図3を参照して、第1実施形態に係るデータベースサーバ200の構成を説明する。図3は、第1実施形態に係るデータベースサーバ200及び混雑照会サーバ300の構成図である。
データベースサーバ200は、記憶部210を備える。記憶部210は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリ等の記憶媒体から構成される。記憶部210には、店舗情報DB220、混雑予測情報DB230、混雑パターンDB240、当日混雑パターンDB250、手続情報DB260、及び混雑予測補正情報DB270が記憶される。
【0023】
(店舗情報DB)
次に、図4を参照して、第1実施形態に係る店舗情報DB220について説明する。図4は、第1実施形態に係る店舗情報DB220のデータ構成図である。店舗情報DB220には、店舗に関する情報が格納される。店舗情報DB220は、店舗ID221、店舗名222、営業開始時刻223、及び営業終了時刻224で構成される。
【0024】
店舗ID221の欄には、店舗を識別する識別情報が格納される。店舗名222の欄には、店舗ID221により識別される店舗の名称が格納される。営業開始時刻223の欄には、店舗ID221により識別される店舗が営業を開始する時刻が「hh(時間):mm(分)」の形式で格納される。営業終了時刻224の欄には、店舗ID221により識別される店舗が営業を終了する時刻が格納される。
【0025】
(混雑予測情報DB)
次に、図5を参照して、第1実施形態に係る混雑予想情報DB230について説明する。図5は、第1実施形態に係る混雑予測情報DB230のデータ構成図である。混雑予想情報DB230には、店舗の混雑予測が格納される。
ここで、「混雑予測」とは、店舗における任意の営業日の窓口や手続き等の混雑量を時間の経過と共に表したものであり、所定の期間で一つの予測を構成する。混雑予測は、店舗の過去の混雑状況から、時間帯別の混雑量を予測して定義することができる。
【0026】
また、「混雑量」とは、混雑状況を数値化したものであり、複数の段階(レベル)で表現する。例えば、店舗のある窓口における手続きの混雑状況について、「混雑量」は以下のように定義する。
本実施形態では、単位時間当たりの処理可能な手続きの最大件数をTmaxとした場合の混雑量を以下のように「低(Tlow)」/「中(Tmid)」/「高(Thigh)」として求めることにする。
1.混雑量「低(Tlow)」:Tlow < Tmax×0.5
2.混雑量「中(Tmid)」:Tmax×0.5 ≦ Tmid < Tmax×0.7
3.混雑量「高(Thigh)」:Thigh ≧ Tmax×0.7
なお、以下では、便宜的に混雑量「低」を「1」として、混雑量「中」を「2」として、混雑量「高」を「3」として表す場合がある。
【0027】
上記で定義した混雑量を用いて、店舗のある営業日の混雑予測xiを以下のように集合で表現する。
xij={ti1,ti2,・・・,tij}
ここで、iは日付を表す変数であり、jは時間帯を表す変数であり、また、混雑予測xiの要素(tij)は、変数i及び変数jに対応する混雑量である。その為、混雑予測xiの第一要素(ti1)はある日のn時台の混雑量を表し、第二要素(ti2)は(n+1)時台の混雑量を表し、・・・、第j要素は(n+j−1)時台の混雑量を表している。
なお、以下の具体例では、jを省略してxiと記載することがある。
【0028】
本実施形態では、A支店の9月11日の混雑予測x1を、9時台の混雑量が「低=1」、10時台の混雑量が「中=2」、11時台の混雑量が「高=3」、12時台の混雑量が「高=3」、13時台の混雑量が「高=3」、14時台の混雑量が「中=2」とする。その場合、j=6を省略して、9月11日の混雑予測x1は以下のようになる。
x1={1,2,3,3,3,2}
【0029】
また、A支店の9月12日の混雑予測x2を、9時台の混雑量が「中=2」、10時台の混雑量が「中=2」、11時台の混雑量が「中=2」、12時台の混雑量が「高=3」、13時台の混雑量が「低=1」、14時台の混雑量が「低=1」とする。その場合、9月12日の混雑予測x2は以下のようになる。
x2={2,2,2,3,1,1}
【0030】
混雑予測情報DB230は、店舗ID231、日付232、時間帯233、及び混雑量234で構成される。
店舗ID231の欄には、店舗を識別する識別情報が格納される。日付232の欄には、店舗ID231により識別される店舗が業務を行う予定の所定の日付が「MM月DD日」の形式で格納される。時間帯233の欄には、店舗ID231により識別される店舗が業務を行う予定の日付232の所定の時間帯が「hh時台(hh時〜(hh+1)時前までの間)」の形式で格納される。混雑量234の欄には、時間帯233における混雑量の予測値が格納される。
【0031】
また、混雑予測情報DB230のレコードは、混雑予測xiの各要素に対応する。例えば、A支店の9月11日の混雑予測x1で説明すると、レコード2311は混雑予測x1の第一要素(t11)を表し、レコード2312は第二要素(t12)を表し、レコード2313は第三要素(t13)を表し、レコード2314は第四要素(t14)を表し、レコード2315は第五要素(t15)を表し、レコード2316は第六要素(t16)を表している。そのため、混雑予測x1は、レコード2311〜レコード2316で構成されることになる。
【0032】
(混雑パターンDB)
次に、図6を参照して、第1実施形態に係る混雑パターンDB240について説明する。図6は、第1実施形態に係る混雑パターンDB240のデータ構成図である。事象別変動パターンDBとしての混雑パターンDB240には、事象別変動パターンとしての混雑パターンが格納される。
「事象別変動パターン」としての「混雑パターン」とは、混雑予測xiに対する変動のパターンであって、一つ又は複数の事象を考慮して算出される。ここで、混雑パターンの算出に考慮される事象としては、店舗が存在する地域の気象条件、店舗が存在する地域の特性、店舗が存在する地域の特有のイベントの発生、又は店舗内に設置される機器の故障等がある。
【0033】
混雑パターンは、例えば、店舗の過去の混雑予測に対する時間帯別の変動を基にして(集計等して)、変動の傾向を把握することにより定義することができる。
本実施形態では、「変動」を混雑予測xiの混雑量に対する差分を用いて以下のように定義する。
1.過去の混雑予測のある時間帯の混雑量が「高=3」なのに対し、過去の実際の混雑量が「低=1」だった場合に変動を「−2」とし、過去の実際の混雑量が「中=2」だった場合に変動を「−1」とし、過去の実際の混雑量が「高=3」だった場合に変動を「+0」とする。
【0034】
2.過去の混雑予測のある時間帯の混雑量が「中=2」なのに対し、過去の実際の混雑量が「低=1」だった場合に変動を「−1」とし、過去の実際の混雑量が「中=2」だった場合に変動を「+0」とし、過去の実際の混雑量が「高=3」だった場合に変動を「+10」とする。
3.過去の混雑予測のある時間帯の混雑量が「低=1」なのに対し、過去の実際の混雑量が「低=1」だった場合に変動を「+0」とし、過去の実際の混雑量が「中=2」だった場合に変動を「+1」とし、過去の実際の混雑量が「高=3」だった場合に変動を「+2」とする。
【0035】
上記で定義した変動(差分)を用いて、混雑パターンKmを以下のように集合で表現する。
Kmj={um1,um2,・・・,umj}
ここで、mは混雑パターンの種類を表す変数であり、jは時間帯を表す変数であり、また、混雑パターンKmjの要素(umj)は、変数m及び変数jに対応する混雑量の変動である。その為、混雑パターンKmの第一要素(um1)はパターンIDがmで特定されるn時台の混雑量の変動を表し、第二要素(um2)は(n+1)時台の混雑量の変動を表し、・・・、第j要素は(n+j−1)時台の混雑量の変動を表している。なお、以下の具体例では、jを省略して、Kmと記載することがある。
【0036】
本実施形態では、午後の手続きが予測より混雑する混雑パターンKaを、9時台の変動が「+0」、10時台の変動が「−1」、11時台の変動が「−1」、12時台の変動が「+1」、13時台の変動が「+2」、14時台の変動が「+2」とする。その場合、混雑パターンKaは以下のようになる。
Ka={+0,−1,−1,+1,+2,+2}
【0037】
また、午前中の手続きが予測より混雑する混雑パターンKbを、9時台の変動が「+1」、10時台の変動が「+2」、11時台の変動が「+2」、12時台の変動が「−1」、13時台の変動が「−1」、14時台の変動が「+0」とする。その場合、混雑パターンKbは以下のようになる。
Kb={+1,+2,+2,−1,−1,+0}
【0038】
また、10時台〜13時台が予測より混雑する混雑パターンKcを、9時台の変動が「+0」、10時台の変動が「+1」、11時台の変動が「+2」、12時台の変動が「+2」、13時台の変動が「+2」、14時台の変動が「+0」とする。その場合、混雑パターンKcは以下のようになる。
Kc={+0,+1,+2,+2,+2,+0}
【0039】
混雑パターンDB240は、パターンID241、時間帯242、及び混雑量の変動243で構成される。
パターンID241の欄には、混雑パターンKmを識別する識別情報が格納される。本実施形態では、パターンID241が「Ka」の変動パターンは午後の手続きが予測より混雑するパターンを表し、パターンID241が「Kb」の変動パターンは午前中の手続きが予測より混雑するパターンを表し、パターンID241が「Kc」の変動パターンは10時台〜13時台が予測より混雑するパターンを表す。時間帯242の欄には、所定の時間帯が「hh時台(hh時〜(hh+1)時前までの間)」の形式で格納される。混雑量の変動243の欄には、本実施形態では、「−2」,「−1」,「0」,「+1」,「+2」の値が格納される。なお、以下では「混雑量の変動」を単に「変動」と呼ぶ場合がある。また、「+」表記については、省略する場合がある。
【0040】
また、混雑パターンDB240のレコードは、混雑パターンKmの各要素に対応する。例えば、混雑パターンKaで説明すると、レコード2411は事象別変動パターンKaの第一要素(ua1)を表し、レコード2412は第一要素(ua2)を表し、レコード2413は第一要素(ua3)を表し、レコード2414は第一要素(ua4)を表し、レコード2415は第一要素(ua5)を表し、レコード2416は第一要素(ua6)を表している。そのため、混雑パターンKaは、レコード2411〜レコード2416で構成されることになる。
【0041】
(当日混雑パターンDB)
次に、図7を参照して、第1実施形態に係る当日混雑パターンDB250について説明する。図7は、第1実施形態に係る当日混雑パターンDB250のデータ構成図である。実際変動パターンDBとしての当日混雑パターンDB250には、実際変動パターンとしての当日混雑パターンが格納される。
「実際変動パターン」としての「当日混雑パターン」は、混雑予測xiに対する変動のパターンであって、店舗の実際の混雑量から算出される。当日混雑パターンの構成は、混雑パターンと同様である。
【0042】
例えば、A支店の9月11日の当日混雑パターンKtを、9時台の変動が「+0」、10時台の変動が「−1」、11時台の変動が「−1」、12時台〜14時台の変動を「未算出(null)」とした場合に、当日混雑パターンKtは以下のようになる。
Kt={+0,−1,−1,null,null,null}
【0043】
次に、当日混雑パターンDB250は、店舗ID251、日付252、時間帯253、及び混雑量の変動254で構成される。
店舗ID251の欄には、店舗を識別する識別情報が格納される。日付252の欄には、店舗ID251により識別される店舗が業務を行った所定の日付が「MM月DD日」の形式で格納される。時間帯253の欄には、店舗ID251により識別される店舗が業務を行った日付252の所定の時間帯が「hh時台(hh時〜(hh+1)時前までの間)」の形式で格納される。混雑量の変動254の欄には、本実施形態では、「−2」,「−1」,「0」,「+1」,「+2」,「null」の値が格納される。「null」は初期値を表し、実際の混雑量を取得していないことにより、変動が「未算出」であることを示す。
【0044】
また、当日混雑パターンDB250のレコードは、当日混雑パターンKtの各要素に対応する。レコード2511は当日混雑パターンKtの第一要素(ut1)を表し、レコード2512は第一要素(ut2)を表し、レコード2513は第一要素(ut3)を表し、レコード2514は第一要素(ut4)を表し、レコード2515は第一要素(ut5)を表し、レコード2516は第一要素(ut6)を表している。そのため、当日混雑パターンKtは、レコード2511〜レコード2516で構成されることになる。
【0045】
(手続情報DB)
次に、図8を参照して、第1実施形態に係る手続情報DB260について説明する。図8は、第1実施形態に係る手続情報DB260のデータ構成図である。
手続情報DB260は、手続ID261、手続名262、受付件数263、完了件数264、及び更新時刻265で構成される。手続情報DB260の構成は、手続情報DB160の構成と同様なので、説明を省略する。
【0046】
(混雑予測補正情報DB)
次に、図9を参照して、第1実施形態に係る混雑予測補正情報DB270について説明する。図9は、第1実施形態に係る混雑予測補正情報DB270のデータ構成図である。
混雑予測補正情報DB270は、店舗ID271、日付272、時間帯273、及び補正情報274で構成される。
【0047】
店舗ID271の欄には、店舗を識別する識別情報が格納される。日付272の欄には、店舗ID271により識別される店舗が業務を行った所定の日付が「MM月DD日」の形式で格納される。時間帯273の欄には、店舗ID271により識別される店舗が業務を行った日付272の所定の時間帯が「hh時台(hh時〜(hh+1)時前までの間)」の形式で格納される。補正情報274の欄には、混雑予測xiを補正するための情報が、変動(差分)として格納される。本実施形態では、「−2」,「−1」,「0」,「+1」,「+2」の値が格納される。
以上で、データベースサーバ200の説明を終了する。
【0048】
<混雑照会サーバ>
次に、図3を参照して、第1実施形態に係る混雑照会サーバ300の構成について説明する。混雑予測装置としての混雑照会サーバ300は、制御部310を備える。
制御部310は、CPU(Central Processing Unit)によるプログラム実行処理や、専用回路等により実現される。なお、混雑照会サーバ300をプログラム実行処理により実現する場合、図示しない記憶部には、この混雑照会サーバ300の機能を実現するための混雑予測プログラムが格納される。
【0049】
制御部310は、混雑予測管理機能320と、混雑パターン管理機能330と、手続情報収集機能340と、当日混雑パターン管理機能350と、補正混雑パターン決定機能360と、混雑予測補正機能370と、混雑予測提供機能380と、を実現する。以下では、各機能について詳細に説明する。
【0050】
(混雑予測管理機能)
混雑予測管理機能320は、混雑予測情報DB230を管理する。具体的には、混雑予測管理機能320は、管理者2(図1参照)が操作する管理端末3(図1参照)によるアクセスを受け付け、管理者2が入力した店舗ID231、日付232、時間帯233、及び混雑量234についての情報を混雑予測情報DB230に反映する。
ここで、管理者2は、店舗の個別具体的な事象を考慮しない過去の混雑予測xiに基づいて、予め混雑予測情報DB230を更新するものとする。例えば、管理者2は、店舗を市街地店、郊外店、地方店のように大きなくくりに分類して混雑予測xiを行う。
【0051】
(混雑パターン管理機能)
混雑パターン管理機能330は、混雑パターンDB240を管理する。具体的には、混雑パターン管理機能330は、管理者2(図1参照)が操作する管理端末3(図1参照)によるアクセスを受け付け、管理者2が入力したパターンID241、時間帯242、及び混雑量の変動243についての情報を混雑パターンDB240に反映する。
【0052】
ここで、管理者2は、混雑予測xiに対する変動のパターンである混雑パターンKmを一つ又は複数の事象を考慮して算出し、算出した混雑パターンKmに基づいて予め混雑パターンDB240を更新するものとする。混雑パターンKmの算出に考慮される事象としては、例えば、店舗が存在する地域の気象条件、店舗が存在する地域の特性、店舗が存在する地域の特有のイベントの発生、又は店舗内に設置される機器の故障等がある。
例えば、管理者2は、混雑パターンKmを、店舗の過去の混雑予測xiに対する時間帯別の変動を基にして(集計等して)、変動の傾向を把握することにより算出する。ここで、事象と混雑パターンKmの関係は必ずしも明確でなくてもよい。そのため、複数の事象により発生する変動のパターンであっても、混雑パターンKmとすることができる。
【0053】
(手続情報収集機能)
手続情報収集機能340は、業務システムサーバ100(図1参照)から、当日の手続き等の情報を収集する。具体的には、手続情報収集機能340は、業務システムサーバ100が記憶する手続情報DB160(図1参照)の内容を所定周期(例えば、1時間)毎に受信し、受信した内容を手続情報DB260に反映する。
【0054】
(当日混雑パターン管理機能)
当日混雑パターン管理機能350は、当日混雑パターンDB250を管理する。具体的には、当日混雑パターン管理機能350は、混雑予測情報DB230、及び手続情報収集機能340が反映した手続情報DB260に基づいて当日混雑パターンDB250を所定周期(例えば、1時間)毎に更新する。
【0055】
例えば、A支店の9月11日の9時台の受け付けの待ち件数(受付人数263−完了件数264)が「9件」、10時台の待ち件数が「7件」、11時台の待ち件数が「13件」であったとする。また、窓口の単位時間帯あたりの処理件数の最大数(Tmax)が20件であったとする。当日混雑パターン管理機能350は、これらの数値を用いて、各時間帯の混雑量を以下の定義に当てはめて求める。
1.混雑量「低(Tlow)」:Tlow < Tmax×0.5
2.混雑量「中(Tmid)」:Tmax×0.5 ≦ Tmid < Tmax×0.7
3.混雑量「高(Thigh)」:Thigh ≧ Tmax×0.7
【0056】
当日混雑パターン管理機能350は、A支店の実際の9時台の混雑量が「低=1」であり、10時台の混雑量が「低=1」であり、11時台の混雑量が「中=2」であることを算出する。
次に、当日混雑パターン管理機能350は、当日混雑パターンKtを、混雑予想x1からの時間的な変動(差分)の情報として、当日混雑パターンDB250に蓄積し管理する。具体的には、当日混雑パターン管理機能350は、算出した実際の9時台の混雑量「低=1」と混雑予測情報DB230のレコード2311(図5参照)の混雑量「低=1」との差分「0」をレコード2511(図7参照)の混雑量の変動254に格納し、実際の10時台の混雑量「低=1」とレコード2312の混雑量「中=2」との差分「−1」をレコード2512の混雑量の変動254に格納し、実際の11時台の混雑量「中=2」とレコード2313の混雑量「高=3」との差分「−1」をレコード2513の混雑量の変動254に格納する。
【0057】
これにより、A支店の9月11日の12時時点ての当日混雑パターンKtは、以下のように表される。
Kt={+0,−1,−1,null,null,null}
【0058】
(補正混雑パターン決定機能)
補正混雑パターン決定機能360は、当日混雑パターンDB250に格納される当日混雑パターンKtと、混雑パターンDB240に格納される混雑パターンKm(例えば、Ka,Kb,Kc)との各要素を比較して一致する混雑パターンKmを算出し、算出した混雑パターンKmを混雑予測xiの補正を行う補正混雑パターンKnに決定する。なお、当日混雑パターンKtと、混雑パターンKmとを比較した場合に、近似する混雑パターンKmを補正混雑パターンKnに決定してもよい。この近似度は、例えば、当日混雑パターンKtと混雑パターンKmとの内積を演算することにより評価することができる。補正混雑パターン決定機能360は、補正混雑パターンKnに決定した混雑パターンKmを用いて混雑予測補正情報を生成し、混雑予測補正情報DB270を更新する。
【0059】
例えば、当日混雑パターンKt={+0,−1,−1,null,null,null}と、混雑パターンKa={+0,−1,−1,+1,+2,+2},Kb={+1,+2,+2,−1,−1,+0},Kc={+0,+1,+2,+2,+2,+0}との第一要素、第二要素、第三要素を比較した場合、当日混雑パターンKtの第一要素、第二要素、第三要素と、混雑パターンKaの第一要素、第二要素、第三要素とが一致するので、混雑パターンKaを補正混雑パターンKnに決定する。これにより、A支店の12時以降の当日混雑パターンKtの第四要素、第五要素、第六要素は、混雑パターンKaの第四要素、第五要素、第六要素ように変動することが予測できる。それは、混雑パターンKaと同一の事象が発生したことにより、変動の傾向が一致(又は近似)したと考えられるからである。
【0060】
ここで、補正混雑パターンKnを決定するために、当日混雑パターンKtと混雑パターンKmとで比較を行った要素(上記では、第一要素、第二要素、第三要素)を判定対象部分と呼び、補正混雑パターンKnに基づいて当日混雑パターンKtの変動が予想される要素(上記では、第四要素、第五要素、第六要素)を補正対象部分と呼ぶことがある。また、判定対象部分と補正対象部分との間の境界時刻を基準時と呼ぶ場合がある。
【0061】
(混雑予測補正機能)
混雑予測補正機能370は、補正混雑パターンKn(具体的には、混雑予測補正情報DB270に格納される補正情報274(図9参照))を用いて混雑予測情報DB230に格納される混雑予測xiを補正し、補正後の混雑予測xiを後記する混雑予測提供機能380を用いて顧客端末6に出力する。ここで、補正後の混雑量が、最小の混雑量「低(1)」を下回った場合は補正後の混雑量を「低(1)」とし、最大の混雑量「高(3)」を上回った場合は補正後の混雑量を「高(3)」とする。
例えば、補正混雑パターンKn={+0,−1,−1,+1,+2,+2}を用いて混雑予測x1={1,2,3,3,3,2}を補正し、補正後の混雑予測x1={低(1),低(1),中(2),高(3),高(3),高(3)}を出力する。
【0062】
(混雑予測提供機能)
混雑予測提供機能380は、顧客5が操作する顧客端末6によるアクセスを受け付け、混雑予測補正機能370が補正を行った混雑予測x1を例えばHTML(Hypertext Markup Language)形式のデータとして、顧客端末6に対して送信する。
以上で、混雑照会サーバ300の説明を終了する。また、混雑予測システム1の構成の説明を終了する。
【0063】
≪第1実施形態に係る混雑予測システムの動作≫
以下では、混雑予測システム1の主な動作について説明する。
<当日混雑パターンの生成>
図10を参照して、混雑予測システム1の当日混雑パターンの生成の動作について説明する。
混雑照会サーバ300の手続情報収集機能340は、例えばタイマを用いて1時間毎に起動される(ステップS10)。次に、手続情報収集機能340は、手続情報の取得要求を業務システムサーバ100に対して行う(ステップS20)。次に、業務システムサーバ100の手続情報提供機能140は、ステップS20の要求に対する応答として、手続情報DB160に格納される手続情報を提供する(ステップS30)。
【0064】
次に、混雑照会サーバ300の手続情報収集機能340は、ステップS30で提供を受けた手続情報の格納要求をデータベースサーバ200に対して送信する(ステップS40)。次に、データベースサーバ200は、ステップS40の要求に応じて、手続情報を手続情報DB260に格納する(ステップS50)。
【0065】
次に、混雑照会サーバ300の当日混雑パターン管理機能350は、当日混雑パターンKtの算出を行う(ステップS60)。次に、当日混雑パターン管理機能350は、ステップS60で算出した当日混雑パターンKtの格納要求をデータベースサーバ200に対して行う(ステップS70)。次に、データベースサーバ200は、ステップS70の要求に応じて、当日混雑パターンKtを当日混雑パターンDB250に格納する(ステップS80)。
以上で、当日混雑パターンの生成の動作の説明を終了する。
【0066】
<補正混雑パターンの決定>
図11を参照して、混雑予測システム1の補正混雑パターンの決定の動作について説明する。
混雑照会サーバ300の補正混雑パターン決定機能360は、例えばタイマを用いて1時間毎に起動される(ステップS110)。次に、補正混雑パターン決定機能360は、当日混雑パターンDB250の検索を行う(ステップ120)。データベースサーバ200は、ステップS120の検索条件に合う当日混雑パターンKtを提供する(ステップS130)。
【0067】
次に、補正混雑パターン決定機能360は、ステップS130で提供を受けた当日混雑パターンKtに一致する混雑パターンKmを混雑パターンDB240から検索する(ステップS140)。次に、データベースサーバ200は、ステップS140の検索条件に合う混雑パターンKmを提供する(ステップS150)。
【0068】
次に、補正混雑パターン決定機能360は、ステップS150で提供を受けた混雑パターンKmを補正混雑パターンKnに決定する(ステップS160)。次に、補正混雑パターン決定機能360は、ステップS160で決定した補正混雑パターンKnを用いて混雑予測補正情報を生成する(ステップS170)。次に、補正混雑パターン決定機能360は、ステップS170で生成した混雑予測補正情報の格納要求をデータベースサーバ200に対して行う(ステップS180)。次に、データベースサーバ200は、ステップS180の要求に応じて、混雑予測補正情報を混雑予測補正情報DB270に格納する(ステップS190)。
以上で、補正混雑パターンの決定の動作の説明を終了する。
【0069】
<混雑予測情報の照会>
図12を参照して、混雑予測システム1の混雑予測情報の照会の動作について説明する。
混雑照会サーバ300の混雑予測補正機能370は、顧客5からの要求に応じて、その都度起動される(ステップS210)。次に、混雑予測補正機能370は、混雑予測情報DB230の検索を行う(ステップ220)。次に、データベースサーバ200は、ステップS220の検索条件に合う混雑予測xiに関する情報を提供する(ステップS230)。
【0070】
次に、混雑予測補正機能370は、混雑予測補正情報DB270の検索を行う(ステップ240)。次に、データベースサーバ200は、ステップS240の検索条件に合う補正情報274(図9)を提供する(ステップS250)。次に、混雑予測補正機能370は、ステップS250で提供を受けた補正情報274を用いて、ステップS230で提供を受けた混雑予測xiの補正を行い、補正後の混雑予測xiを、混雑予測提供機能380を用いて顧客端末6に出力する。
以上で、混雑予測情報の照会の動作の説明を終了する。
【0071】
以上のように、第1実施形態に係る混雑予測システム1、及び混雑予測装置としての混雑照会サーバ300は、当日の手続き等の情報を収集し、収集した情報に基づいて自動的に混雑量の予測値を変動させることで、混雑予測のメンテナンス(補正)を行うことができる。そのため、第1実施形態に係る混雑予測システム1、及び混雑予測装置としての混雑照会サーバ300は、より精度の高い予測情報をすることができる。
【0072】
例えば、特定店舗の地域で行われる地域イベントが午前中に行われるときには、混雑照会サーバ300は、基準時を正午に設定し、午前の混雑量が低減した混雑パターンKmを決定し、午後の混雑量を増加させるように予測値を補正する。一方、その地域イベントが午後に行われるときには、混雑照会サーバ300は、午前の混雑量が増加した混雑パターンKmを決定し、午後の混雑量を低減させるように予測値を補正する。
ところで、雨天の場合は、午前中の混雑量が低減し、午後の混雑量も低減することが予測される。午前中開催の地域イベントの場合と雨天の場合とでは、午前中の混雑量の変動(混雑量の差分)が異なるので、混雑照会サーバ300は、適切な混雑パターンKmを決定することができる。
【0073】
[第2実施形態]
第1実施形態に係る混雑照会サーバ300は、当日混雑パターンKtに一致(又は近似)する混雑パターンKmを用いて混雑予測xiの補正を自動的に行うようにしていた。これに対して、第2実施形態に係る混雑照会サーバ300aは、当日混雑パターンKtに一致(近似)する少なくとも1つ以上の混雑パターンKmを近似する確率と共に表示し(例えば、店舗内の端末に表示する)、混雑パターンKmを選択してもらうようにする。これにより、第2実施形態に係る混雑照会サーバ300aは、人の実感に伴う混雑量の補正が可能になる。
【0074】
<第2実施形態に係る混雑照会サーバ>
図13を参照して、第2実施形態に係る混雑照会サーバ300aの構成を説明する。図13は、第2実施形態に係るデータベースサーバ及び混雑照会サーバの構成図である。
第1実施形態に係る混雑照会サーバ300と、第2実施形態に係る混雑照会サーバ300aとの違いは、補正混雑パターン決定機能360(図3参照)が補正候補混雑パターン決定機能360aに変更されている点と、混雑予測補正機能370(図3参照)が混雑予測補正候補出力機能370aに変更されている点である。以下では、第2実施形態に係る混雑照会サーバ300aの構成の内、第1実施形態から変更されている機能のみを説明する。
【0075】
(補正候補混雑パターン決定機能)
補正候補混雑パターン決定機能360aは、当日混雑パターンDB250に格納される当日混雑パターンKtと、混雑パターンDB240に格納される混雑パターンKm(例えば、Ka,Kb,Kc)とが近似する確率を算出し、算出した確率が所定値以上である混雑パターンKmを、混雑予測xiを補正する候補である補正候補混雑パターンKnとして決定する。
【0076】
(混雑予測補正候補出力機能)
混雑予測補正候補出力機能370aは、補正候補混雑パターンKnを近似する確立と共に出力する。そして、出力した補正候補混雑パターンKnのうち、選択されたパターンを用いて、混雑予測xiの補正を行う。
以上で、第2実施形態に係る混雑照会サーバ300aの説明を終了する。
【0077】
以上のように、第2実施形態に係る混雑予測装置としての混雑照会サーバ300aは、当日混雑パターンKtに近似する少なくとも1つ以上の混雑パターンKmを近似する確率と共に表示し(例えば、店舗内の窓口業務を担当する担当者の端末に表示する)、担当者により選択された混雑パターンKmを用いて混雑予測xiの補正を行う。これにより、第2実施形態に係る混雑照会サーバ300aは、人の実感に伴う混雑量の補正が可能になる。
【0078】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を変えない範囲で実施することができる。実施形態の変形例を以下に示す。
【0079】
(マッチング)
第1実施形態及び第2実施形態では、当日混雑パターンKtの連続した複数の要素と、混雑パターンKmの対応する連続した複数の要素との比較を行うことで、補正混雑パターンKnや補正候補混雑パターンKnを決定していたが、当日混雑パターンKtの連続した複数の要素で表される関数と混雑パターンKmの対応する連続した複数の要素で表される関数との比較を比較することで、補正混雑パターンKnや補正候補混雑パターンKnを決定してもよい。
【0080】
(混雑量)
第1実施形態及び第2実施形態では、混雑量を「低(Tlow)」/「中(Tmid)」/「高(Thigh)」の3段階(レベル)で表していたが、その他の段階(例えば5段階や10段階等)を用いてもよい。
【0081】
(混雑照会システム)
第1実施形態及び第2実施形態に係る混雑照会システム1は、店舗、及び店舗における手続き等のサービスの混雑量を予測し、情報として提供する分野であれば応用できる。また、混雑量を参照して、窓口の増減などの業務量の調整を行う仕組みにも応用できる。その場合、混雑照会システム1の構成を適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 混雑予測システム
100 業務システムサーバ
200 データベースサーバ
220 店舗情報DB
230 混雑予測情報DB
240 混雑パターンDB(事象別変動パターン情報DB)
250 当日混雑パターンDB
260 手続情報DB
270 混雑予測補正情報DB
300,300a 混雑照会サーバ(混雑予測装置)
320 混雑予測管理機能
330 混雑パターン管理機能
340 手続情報収集機能(実際混雑量取得部)
350 当日混雑パターン管理機能(実際変動パターン算出部)
360 補正混雑パターン決定機能(補正変動パターン決定部)
370 混雑予測補正機能
380 混雑予測提供機能
360a 補正候補混雑パターン決定機能(補正候補変動パターン決定部)
370a 混雑予測補正候補出力機能
xi 混雑予測
Km 混雑パターン(事象別変動パターン)
Kt 当日混雑パターン(実際変動パターン)
Kn 補正混雑パターン(補正変動パターン)、補正候補混雑パターン(補正候補変動パターン)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗の混雑状況を時刻毎の混雑量として予測する混雑予測装置であって、
前記店舗の混雑状況の予測である混雑予測が予め格納される混雑予測情報DBと、
一つ又は複数の事象を考慮して算出された前記混雑予測に対する変動のパターンである事象別変動パターンが少なくとも1つ以上、予め格納される事象別変動パターン情報DBと、を有し、
前記混雑予測の所定の基準時よりも前の実際の混雑量を取得する実際混雑量取得部と、
前記実際の混雑量の変動を示す実際変動パターンを算出する実際変動パターン算出部と、
前記算出した実際変動パターンと前記事象別変動パターン情報DBに格納される事象別変動パターンとを前記基準時よりも前で比較することで、実際変動パターンに近似する事象別変動パターンを決定する補正変動パターン決定部と、
前記決定された事象別変動パターンを用いて、前記混雑予測情報DBに格納された混雑予測の前記基準時よりも後ろの部分を補正した補正後混雑予測を出力する混雑予測補正部と、
を備えることを特徴とする混雑予測装置。
【請求項2】
前記事象別変動パターンの算出に考慮される前記事象は、
店舗が存在する地域の気象条件、店舗が存在する地域の特性、店舗が存在する地域の特有のイベントの発生、又は店舗内に設置される機器の故障である、
ことを特徴とする請求項1に記載の混雑予測装置。
【請求項3】
前記混雑量は、混雑状況に応じて複数のレベルで表され、
前記混雑予測は、前記混雑量を要素とする集合で表され、
前記事象別変動パターン及び前記実際変動パターンは、前記混雑予測の前記混雑量に対する差分を要素とする集合で表される、
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の混雑予測装置。
【請求項4】
前記補正変動パターン決定部は、
前記実際変動パターンの連続した複数の要素と前記事象別変動パターンの対応する連続した複数の要素との比較、前記実際変動パターンの連続した複数の要素で表される関数と前記事象別変動パターンの対応する連続した複数の要素で表される関数との比較、により実際変動パターンに近似する事象別変動パターンを決定する、
ことを特徴とする請求項3に記載の混雑予測装置。
【請求項5】
前記実際の混雑量は、
店舗の受付窓口の待ち人数に基づいて算出される、
ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の混雑予測装置。
【請求項6】
店舗の混雑状況を時刻毎の混雑量として予測する混雑予測装置であって、
前記店舗の混雑状況の予測である混雑予測が予め格納される混雑予測情報DBと、
一つ又は複数の事象を考慮して算出された前記混雑予測に対する変動のパターンである事象別変動パターンが少なくとも1つ以上、予め格納される事象別変動パターン情報DBと、を有し、
前記混雑予測の所定の基準時よりも前の実際の混雑量を取得する実際混雑量取得部と、
前記実際の混雑量の変動を示す実際変動パターンを算出する実際変動パターン算出部と、
前記算出した実際変動パターンと前記事象別変動パターン情報DBに格納される事象別変動パターンとを前記基準時よりも前で比較することで、前記実際変動パターンと前記事象別変動パターンとが近似する確率を算出し、前記算出した確率が所定値以上である一つ又は複数の事象別変動パターンを決定する補正候補変動パターン決定部と、
前記決定された一つ又は複数の事象別変動パターンを、前記確率と共に出力する混雑予測補正候補出力部と、
を備えることを特徴とする混雑予測装置。
【請求項7】
店舗の混雑状況を時刻毎の混雑量として予測する混雑予測装置が実行する混雑予測方法であって、
前記店舗の混雑状況の予測である混雑予測が予め格納される混雑予測情報DBと、
一つ又は複数の事象を考慮して算出された前記混雑予測に対する変動のパターンである事象別変動パターンが少なくとも1つ以上、予め格納される事象別変動パターン情報DBと、を有し、
前記混雑予測の所定の基準時よりも前の実際の混雑量を取得し、
前記実際の混雑量の変動を示す実際変動パターンを算出し、
前記算出した実際変動パターンと前記事象別変動パターン情報DBに格納される事象別変動パターンとを前記基準時よりも前で比較することで、実際変動パターンに近似する事象別変動パターンを決定し、
前記決定された事象別変動パターンを用いて、前記混雑予測情報DBに格納された混雑予測の前記基準時よりも後ろの部分を補正した補正後混雑予測を出力する、
ことを特徴とする混雑予測方法。
【請求項8】
請求項7に記載の混雑予測方法をコンピュータに実行させることを特徴とする混雑予測プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−109664(P2013−109664A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255475(P2011−255475)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)