説明

清掃具とちり取りのセット

【課題】清掃具を起立させるように支持可能であり、ゴミの出し入れが容易なちり取りと、このちり取りと組み合わさって起立するような清掃具とからなる、清掃具とちり取りとのセットを提供する。
【解決手段】本発明に係る清掃具とちり取りのセットA1は、略直線状に延びる柄11と、この柄11における下端部14寄りの側面に植設されたブラシ13と、を有する清掃具10、および、把持部21と、この把持部21から延出するちり受け板部22とを有し、把持部21が清掃具10の柄11に嵌合してこの清掃具10と組み合わされるちり取り20を備えており、ちり取り20の把持部21を清掃具10の柄11に嵌合させて組み合わせ状態としたとき、ちり受け板部22の先端縁23と柄11の下端部14が設置面に接することにより、清掃具10とちり取り20とが設置面に対して起立する起立状態とすることができるようにしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床などを掃くための箒や机の上を掃くための卓上用ブラシなどの清掃具と、これらの清掃具と組み合わせ可能なちり取りとからなる清掃具とちり取りのセットに関する。
【背景技術】
【0002】
箒などの清掃具は、ちり取りと一緒に使用されることが多いため、収納や持ち運びの便宜上、清掃具とちり取りとは、一纏めにして取り扱うことができれば好都合である。このような事情に対応すべく、従来から清掃具をちり取りに分離自在に支持させる構成が種々採用されている。
【0003】
たとえば、特許文献1には、図8に示すような清掃具とちり取りのセットが記載されている。この清掃具とちり取りのセットBは、柄911とブラシ913からなる箒910と、この箒910を直立姿勢で保持することができるちり取り920とで構成されている。箒910の柄911は図8中の上下方向に沿う直線棒状であり、柄911の下端にブラシ913が連設されている。このブラシ913は、合成樹脂製の線材、竹の枝、箒草、シュロ等を束ねたものである。ちり取り920は弾性変形可能な軟質樹脂で成形されており、略半筒形状の把持部921の先端に略半円錐筒形のちり受け板部922を一体連設して構成されている。
【0004】
このような清掃具とちり取りのセットBにおいては、ちり受け板部922は箒910を支持するためのスタンドとして機能するためと、ゴミがこぼれにくいようにするために略半円錐形状となっており、ちり受け板部922の先端は半円状に湾曲している。しかしながら、ゴミをちり受け板部922へ掃き入れる場合には、このちり受け板部922の先端を直線状にするのが望ましい。このちり受け板部922は弾性変形可能な樹脂で形成されているが、半円状のちり受け板部922の先端を直線状に近づけるのは困難であった。また、箒910をちり取り920に組み合わせる際に、ちり取り920に対する箒910の位置を決めるための指標がなく組み合わせにくかった。このように箒910とちり取り920との位置決めを行うことができないので、組み合わせた際に箒910の先端部が床面にあたり、箒910の先端部にクセがつく可能性があった。
【0005】
【特許文献1】特開2004−8267号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の事情によって考え出されたものであり、清掃具を起立させるように支持可能であり、ゴミの出し入れが容易なちり取りと、このちり取りと組み合わさって起立するような清掃具とからなる、清掃具とちり取りとのセットの提供を課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を採用した。
【0008】
本発明に係る清掃具とちり取りのセットは、一端部から他端部まで略直線状に延びる柄と、この柄における上記他端部寄りの側面に植設されたブラシと、を有する清掃具、および、把持部と、この把持部から延出するちり受け板部とを有し、上記把持部が上記清掃具の柄に嵌合してこの清掃具と組み合わされるちり取りを備える清掃具とちり取りのセットであって、上記ちり取りの上記把持部を上記清掃具の上記柄に嵌合させて組み合わせ状態としたとき、上記ちり受け板部の先端縁と上記柄の他端部が設置面に接することにより、上記清掃具と上記ちり取りとが設置面に対して起立する起立状態とすることができるようにしたことを特徴とする。
【0009】
このような構成によれば、上記ちり受け板部の先端部の湾曲がゆるやかであっても、上記清掃具と上記ちり取りとを組み合わせ状態とすることで、上記柄を設置面に対して起立させることができる。すなわち、上記ちり受け板部の先端部を大きく湾曲させる必要がないため、上記ちり取りにゴミを掃き入れるのが容易となる。また、このように上記清掃具と上記ちり取りとを組み合わせて起立させることができると、これらを机上等に起立状態で保管しておくことができ、上記清掃具と上記ちり取りとが一体となっているので持ち運びにも便利である。
【0010】
好ましい実施の形態においては、上記把持部は、上記柄の一端部をその長手方向一定長さにわたって抱持するように側方から弾性嵌合可能な略C型断面部として形成されている。このような構成によれば、上記柄を上記把持部に嵌め込んだり取り外したりする作業が簡単となり、この嵌め込みと取り外し作業が煩雑であるために清掃作業性が低下することはない。
【0011】
好ましい実施の形態においては、上記柄の一端部には、大径部が形成されており、この大径部が、上記把持部に嵌合させられる上記柄の長手方向の位置を規定する。このような構成によれば、上記大径部が上記把持部の一端に引っかかるように上記柄を上記把持部へ嵌め込めばよいので、より一層嵌め込み作業が効率よくなる。
【0012】
好ましい実施の形態においては、上記ちり受け板部は、上記把持部との接続部を頂点とする略第2等辺三角形の正面視形状を有している。このような構成によれば、ちり受け板部の先端部の幅が比較的長く取れるのでゴミを掃き入れる際に便利である。
【0013】
好ましい実施の形態においては、上記ちり受け板部は、上記組み合わせ状態において上記清掃具を向くちり受け面側が、上記把持部との接続部から上記先端縁に至るどの横断面においても凹に湾曲しており、この湾曲曲率半径は、上記接続部が最も小さく、上記先端縁に向かうにつれて連続的に大きくなっている。このような構成によれば、凹に湾曲した上記ちり受け板部の凹んだ部分にゴミが掃き入れられるので、ゴミがこぼれにくくなり、このゴミをゴミ箱に移し変えるのも容易となる。
【0014】
上記ちり受け板部は、弾性変形可能な樹脂によって形成されており、その先端縁付近の凸側を平面的な清掃面に押し付けることにより、上記先端縁が略直線状に変形可能である。このように、上記先端縁を略直線状に変形させると、上記ちり受け板部へゴミを掃き入れる際に有利である。
【0015】
上記ちり受け板部は、その先端縁側の一定範囲が、その余の部分よりも剛性が低い樹脂で形成されている。このような構成によると、把持部の剛性をある程度高く維持してこの部を把持したちり取りの取り扱い性や清掃具の柄に対する適正な嵌合状態を維持することができつつも、上記ちり受け板部の先端縁を上記のように略直線状に変形させるのがより容易となる。
【0016】
上記ブラシは、上記組み合わせ状態において、上記ちり受け板部のちり受け面に接触しないか、わずかに接触する程度に形成されている。このような構成によると、上記清掃具と上記ちり取りとを組み合わせた際に、上記ブラシが上記ちり受け板部に当たって障害となることはなく、また、上記ブラシの毛先も痛みにくい。
【0017】
本発明のその他の特徴および利点は、図面を参照して以下に行う詳細な説明から、より明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の第1実施形態に係る清掃具とちり取りのセットA1の斜視図を図1に示し、平面図を図3に示す。図4は図3のIV-IV線に沿う断面図である。この清掃具とちり取りのセットA1は、清掃具10とちり取り20とで構成されており、図1、図3、図4においては、清掃具10とちり取り20とを組み合わせた状態を示している。なお、図1および図3では、図中の下方側が、たとえば床面や机面などの設置面となっている。また、図2には清掃具とちり取りのセットA1の清掃具10とちり取り20を分離した状態を示している。清掃具10は、たとえば机の上のゴミなどを掃き集めるための道具であり、ちり取り20へ掃き入れて一時的にゴミを溜めておき、ゴミ箱へ移すための道具である。
【0019】
清掃具10は、略直線状の柄11と、この柄11の上端部に形成されたリング状の大径部12と、柄11に植設されたブラシ13と、を備えて構成されている。図1において、柄11の下端部14は上記設置面に当接している。ブラシ13は、柄11の下端部14寄りの側面に植設されており、たとえば、合成樹脂製の線材を複数束ねたものである。
【0020】
ちり取り20は、把持部21と、この把持部21から延出するちり受け板部22とを備えており、たとえば、ポリプロピレンなどのある程度弾性変形可能な樹脂によって形成されている。把持部21は、柄11の大径部12直下を柄11の長手方向一定長さにわたって抱持するように側方から弾性嵌合可能な略C型断面部として形成されている。ちり受け板部22は、図3に示すように、把持部21の下端部を頂点とする正面視略2等辺三角形状である。このちり受け板部22は、上記組み合わせ状態において清掃具10を向くちり受け面側が、把持部21との接続部から先端縁23に至るどの横断面においても、図4に示すように凹に湾曲している。この湾曲曲率半径は、上記接続部が最も小さく、先端縁23に向かうにつれて連続的に大きくなっている。また、このちり受け板部22は、設置面に対して垂直に起立する柄11に対して一定角度傾いており、上記組み合わせ状態において、ブラシ13の毛先が、ちり受け板部22のちり受け面と接触しないか、わずかに接触する程度であるように形成されている。
【0021】
このような清掃具とちり取りのセットA1は、略C型断面の把持部21に柄11を嵌め込むことで、清掃具10とちり取り20とを図1に示すように組み合わせることができる。この組み合わせ状態においては、清掃具10の下端部14とちり取り20の先端縁23とが上記設置面に接し、清掃具10を直立姿勢に保持して立てておくことができる。この組み合わせの際に、大径部12と把持部21の上端が接するように組み合わせると、清掃具10を直立させることができるように構成されている。また、ちり受け板部22の先端縁23における湾曲曲率は比較的大きくなっており、先端縁23は緩やかな凹状に形成されている。
【0022】
図5に、ちり取り20を床面F上のゴミを掃き入れる際の使用例を示す。清掃具とちり取りのセットA1を使用する際には、片手で把持部21もしくはちり受け板部22の斜辺を持って先端縁23を床面Fに接触させ、もう一方の手で清掃具10を持ってゴミを掃くのがよい。ちり取り20は、把持部21を持って、ちり受け板部22が床面Fに対して一定角度傾くように先端縁23の一部を床面Fに当接させて用いる。さらに、把持部21を持って、ちり取り20を床面Fに向けて押し下げる方向に力を加えると、図5に示すように、先端縁23が弾性変形して直線状となって床面Fと接触する。
【0023】
このような清掃具とちり取りのセットA1においては、ちり受け板部22の先端縁23が緩やかな凹状であるため、先端縁23を容易に直線状に変形させることができる。このため、清掃具10を用いてちり取り20へゴミを掃きいれる作業を、より少ない労力で行うことができる。また、先端縁23に力を加えない状態ではちり受け板部22は、凹状に湾曲しているので、ちり取り20に溜められたゴミがちり受け板部22の側面からこぼれにくくなっている。このため、ちり取り20にゴミを入れて運ぶ際や、ゴミをゴミ箱に移す際などに、ちり取り20からゴミがこぼれたりせずにすむ。また、ちり受け板部22の先端縁23を、上記のように直線状に変形させるのとは逆に、U字状に変形させることもでき、ゴミ箱の投入口が小さい場合などにおいてよりゴミを捨てやすくすることもできる。
【0024】
さらに、大径部12と把持部21の上端が接するように把持部21に柄11を嵌め込むことで、容易にかつ迅速に、清掃具10を直立姿勢に保持して立てておくことができる。このため、清掃具10とちり取り20とは簡単に組み合わせて起立状態とすることができ、机上などに保管することができる。また、図1に示すように、この大径部12には穴が開いており、この穴をフックなどに引っ掛けることによって、清掃具10とちり取り20を吊り下げて保管することができる。
【0025】
図6に、本発明の第2実施形態に係る清掃具とちり取りのセットA2を平面図で示す。この清掃具とちり取りのセットA2においては、ちり取り20の先端縁23付近の一定範囲が、その余の部分よりも剛性が低い樹脂24で形成されている。この樹脂24としては、たとえば、サーモプラスチックエラストマ等が好適である。この清掃具とちり取りのセットA2のその他の構成は上記した清掃具とちり取りのセットA1と同様である。
【0026】
このような清掃具とちり取りのセットA2においては、先端縁23付近が軟質な樹脂24で形成されているので、湾曲している先端縁23を直線状に変形させるのがより一層簡単となる。このため、上記した清掃具とちり取りのセットA2を用いると、上記した清掃具とちり取りのセットA1を用いるよりもさらに少ない労力で掃除を行うことが可能となる。なお、この場合、把持部21付近の剛性をある程度高く維持しておくことにより、この把持部21を把持したちり取り20の取り扱い性が減殺されることがなく、また、清掃具10の柄11に対する把持部12の嵌合状態の確実性を維持することができる。
【0027】
図7に、本発明の第3実施形態に係る清掃具とちり取りのセットA3を平面図で示す。ただし、図7においては清掃具とちり取りのセットA3の要部のみを示している。この清掃具とちり取りのセットA3においては、清掃具10の柄11に新たに大径部15が形成されている。なお、その他の構成は清掃具とちり取りのセットA1と同様である。この大径部15は、図7のように清掃具10とちり取り20とを組み合わせた際に、把持部21の下端部分と係合するように形成されている。すなわち、大径部12と大径部15との間に把持部21を嵌め込むと、清掃具10が直立姿勢となるように清掃具10とちり取り20とが組み合わされる。このため、清掃具10とちり取り20との組み合わせをより正確に行うことができる。
【0028】
本発明に係る清掃具とちり取りのセットは、上述した実施形態に限定されるものではない。たとえば、第2実勢形態におけるちり取りと第3実施形態における清掃具とをセットにしてもよいし、また、ブラシの線材の本数なども自在に設定可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態に係る清掃具とちり取りのセットの斜視図である。
【図2】図1の清掃具とちり取りとを分離した図である。
【図3】図1の清掃具とちり取りのセットの正面図である。
【図4】図3のIV-IV線に沿う断面図である。
【図5】本発明に係るちり取りの使用方法を説明するための図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る清掃具とちり取りのセットの正面図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る清掃具とちり取りのセットの一部正面図である。
【図8】従来の清掃具とちり取りのセットの斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
A1,A2,A3 清掃具とちり取りのセット
F 床面
10 清掃具
11 柄
12 大径部
13 ブラシ
14 下端部
15 大径部
20 ちり取り
21 把持部
22 ちり受け板部
23 先端縁
24 樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部から他端部まで略直線状に延びる柄と、この柄における上記他端部寄りの側面に植設されたブラシと、を有する清掃具、および、把持部と、この把持部から延出するちり受け板部とを有し、上記把持部が上記清掃具の柄に嵌合してこの清掃具と組み合わされるちり取りを備える清掃具とちり取りのセットであって、
上記ちり取りの上記把持部を上記清掃具の上記柄に嵌合させて組み合わせ状態としたとき、上記ちり受け板部の先端縁と上記柄の他端部が設置面に接することにより、上記清掃具と上記ちり取りとが設置面に対して起立する起立状態とすることができるようにしたことを特徴とする、清掃具とちり取りのセット。
【請求項2】
上記把持部は、上記柄の一端部をその長手方向一定長さにわたって抱持するように側方から弾性嵌合可能な略C型断面部として形成されている、請求項1に記載の清掃具とちり取りのセット。
【請求項3】
上記柄の一端部には、大径部が形成されており、この大径部が、上記把持部に嵌合させられる上記柄の長手方向の位置を規定する、請求項2に記載の清掃具とちり取りのセット。
【請求項4】
上記ちり受け板部は、上記把持部との接続部を頂点とする略2等辺三角形の正面視形状を有している、請求項1ないし3のいずれかに記載の清掃具とちり取りのセット。
【請求項5】
上記ちり受け板部は、上記組み合わせ状態において上記清掃具を向くちり受け面側が、上記把持部との接続部から上記先端縁に至るどの横断面においても凹に湾曲しており、この湾曲曲率半径は、上記接続部が最も小さく、上記先端縁に向かうにつれて連続的に大きくなっている、請求項4に記載の清掃具とちり取りのセット。
【請求項6】
上記ちり受け板部は、弾性変形可能な樹脂によって形成されており、その先端縁付近の凸側を平面的な清掃面に押し付けることにより、上記先端縁が略直線状に変形可能である、請求項5に記載の清掃具とちり取りのセット。
【請求項7】
上記ちり受け板部は、その先端縁側の一定範囲が、その余の部分よりも剛性が低い樹脂で形成されている、請求項6に記載の清掃具とちり取りのセット。
【請求項8】
上記ブラシは、上記組み合わせ状態において、上記ちり受け板部のちり受け面に接触しないか、わずかに接触する程度に形成されている、請求項5ないし6のいずれかに記載の清掃具とちり取りのセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−312989(P2007−312989A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−145261(P2006−145261)
【出願日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【出願人】(000133928)株式会社テラモト (62)
【Fターム(参考)】