説明

清掃用布帛

【課題】床、じゅうたん、畳、家具の表面その他の清掃対象物を清掃するための清掃用布帛に関し、埃やゴミの吸着により使用不可となった場合にも洗浄して再利用することができ、また埃やゴミのみならず、床に付着した汚れ等も好適に吸着して清掃することができる清掃用布帛を提供する。
【解決手段】清掃用布帛11は、単糸繊度が0.05〜0.5デシテックス(dtX)の極細繊維で織成又は編成され、清掃用液が含浸されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床、じゅうたん、畳、家具の表面その他の清掃対象物を清掃するための清掃用布帛に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、清掃用布帛としては、種々のものが用いられており、たとえば拭き布のようなものは最も一般的なものである。最近では、いわゆるモップと称されているような清掃具の先端部に清掃用布帛を取り付けて使用することも行われている。このように、清掃用布帛を先端部の清掃用ヘッドに取り付け、その清掃用布帛が取り付けられた面を清掃面として清掃を行う清掃具に関する特許出願として、たとえば下記特許文献1、2に示すような特許出願がなされている。
【0003】
これらの清掃具は、把手の先端部に清掃用ヘッドが設けられ、該清掃用ヘッドに清掃用布帛を止着するための切り込みや孔等の止着部が形成された構成からなるもので、清掃時においては、清掃用布帛を清掃対象物との接触面となる清掃用ヘッドの表面側に接触させ、その清掃用ヘッドの表面側から裏面側に清掃用布帛を折り返し、清掃用布帛の両端部を清掃用ヘッドの止着部で止着することによって清掃用布帛を清掃具の清掃用ヘッドに固定して使用される。
【0004】
そして、清掃用ヘッドに固定される清掃用布帛としては、下記特許文献3に記載されているような不織布からなる清掃用布帛が使用されている。
【0005】
しかしながら、このような清掃用布帛は、不織布で構成されているために洗浄することができず、従って一定期間使用して埃やゴミの吸着により使用不可となった場合には、再利用できないために使い捨てを前提として使用せざるを得ないものであった。また、不織布で構成された清掃用布帛を用いる場合、埃やゴミは除去することができるが、床等に付着した汚れは除去し難いという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第3027345号公報
【特許文献2】特許第3234147号公報
【特許文献3】特許第2765690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、これらの問題点を解決するためになされたもので、埃やゴミの吸着により使用不可となった場合にも洗浄して再利用することができ、また埃やゴミのみならず、床に付着した汚れ等も好適に吸着して清掃することができる清掃用布帛を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、単糸繊度が0.05〜0.5デシテックス(dtX)の極細繊維で織成又は編成され、清掃用液が含浸されていることを特徴とする清掃用布帛を提供するものである。
【0009】
清掃用液としては、たとえばアロエエキス、シブガキエキス、防カビ・抗菌剤、及びアルコールの少なくともいずれかを含有するような清掃用液が用いられることが好ましい。かかる清掃用液を用いることによって、アロエエキスの保湿効果、コンディショニング効果(潤い感)、シブガキエキスの消臭、抗菌、艶出し効果、防カビ・抗菌剤の防カビ効果、抗菌効果、アルコールの除菌、乾燥、除タンパクの効果等が得られることとなる。
【0010】
上記のような清掃用布帛は、たとえば把手の先端部に清掃用ヘッドが取り付けられた清掃具の当該清掃用ヘッドに取り付けて使用することができ、より具体的には、前記清掃用布帛は、清掃用ヘッドの清掃対象物との接触面となる表面側に接触させることができ、且つ該清掃用ヘッドの表面側から裏面側に折り返して前記清掃用ヘッドの裏面側に設けられた布帛用止着部に止着することができる大きさに形成することが好ましい。かかる構成によれば、清掃用布帛を清掃用ヘッドの表面側から裏面側に折り返して、その両端部を布帛用止着部に確実に止着することができ、その結果、清掃用布帛は清掃用ヘッドに確実に固定されることとなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の清掃用布帛は、上述のように、単糸繊度が0.05〜0.5デシテックス(dtX)の極細繊維で織成又は編成されたものであるので、微細な埃やゴミを好適に吸着させることができることはもちろん、床に付着した汚れ等も好適に吸着させることができる。また、清掃用布帛に清掃用液が含浸されているので、埃やゴミを吸着して清掃対象物の清掃面から除去する効果が一層良好となる。
【0012】
また、上記特許文献3のように不織布で構成されたものではなく、繊維を織成又は編成して清掃用布帛が構成されているので、埃やゴミの吸着により使用不可となった場合にも洗浄して再利用することができる。従って、使い捨てではなく、繰り返して使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の清掃用布帛を取り付ける清掃具の一例としての斜視図。
【図2】清掃具の要部拡大斜視図。
【図3】清掃用布帛を取り付けた清掃具の使用状態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について説明する。
【0015】
本実施形態の清掃用布帛は、単糸繊度が0.05〜0.5デシテックス(dtX)の極細繊維で織成又は編成され、清掃用液が含浸されているものである。
【0016】
本実施形態の清掃用布帛を構成する極細繊維としては、単糸繊度が0.05〜0.5デシテックス(dtX)のものが用いられる。単糸繊度が0.5デシテックス(dtX)を超えると、清掃対象物の清掃面に存在していた埃やゴミを吸着する作用が低下するおそれがあるからである。一方、0.05デシテックス(dtX)未満になると、製造が困難になるおそれがあるからである。
【0017】
さらに、極細繊維による織成又は編成の態様も、平織、綾織、パイル織、パイル編み等、その種類は問うものではない。パイル織若しくはパイル編みに織成若しくは編成する場合には、上記タオル地を構成する場合のように粗い編み目ではなく、細かい織目又は編み目とする必要がある。いずれの織成又は編成の態様であっても、25〜35本/インチ程度の織目密度、又は25〜35ウェール/インチ程度(縦密度)及び25〜35コース/インチ程度(横密度)の編み目密度とするのが望ましい。
【0018】
また清掃用布帛を構成する繊維の素材としては、たとえばポリエチレンテレフタレート等のポリエステルからなるものが用いられる。ポリエステルからなる繊維の他に、ポリエステルとポリアミドとの複合繊維、或いはポリエステルと、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンとの複合繊維等を用いることもできる。
【0019】
さらに、繊維の横断面形状が、複数個に分割されたいわゆる分割型繊維を用いることも可能である。
【0020】
また、清掃用布帛11に含浸される清掃用液としては、アロエエキス、シブガキエキス、防カビ・抗菌剤、及びアルコールの少なくともいずれかを含有する清掃用液を用いることができ、好ましくはこれらの含有成分の全部を含有する清掃用液を用いることができる。その際、水を含有させることもできる。
【0021】
アロエエキスは、保湿効果、コンディショニング効果(潤い感)を付与するものである。またシブガキエキスは、消臭、抗菌、艶出し効果を付与するものである。
さらに、防カビ・抗菌剤は防カビ効果、抗菌効果を付与するものである。さらにアルコールは、除菌、乾燥、除タンパクの効果を付与するものである。
【0022】
本実施形態の清掃用布帛は、把手の先端部に清掃用ヘッドが設けられ、該清掃用ヘッドに布帛用止着部が設けられた清掃具の清掃用ヘッドに取り付けられるものである。布帛用止着部としては、たとえば布帛の両端部を押し込んで係入することができる切り込みを具備するように構成されたものを採用することができる。
【0023】
このような汎用性の清掃具の一例について図1及び図2に従って説明する。一例としての清掃具は、図1及び図2に示すように、把手1と、該把手1の先端部に自在継手3を介して取り付けられた清掃用ヘッド2とで構成されている。清掃用ヘッド2は、清掃用布帛を保持する保持板4と、該保持板4の清掃面側に付設された弾性体5とで構成されている。そして、清掃用布帛が保持板4で保持された際には、弾性体5に清掃用布帛が被せられた状態となる。
【0024】
保持板4の4角には、止着部6が設けられている。止着部6は、図2に示すように、3本の線状部分を中央で交差させた形態からなる切り込み7を具備している。詳細に図示はしないが、前記止着部6は、保持板4に穿設された略楕円状の孔内に、該保持板4とは別体の止着部構成部材を嵌入することによって構成されている。
【0025】
自在継手3は、図2に示すようにパイプアダプタ8と、該パイプアダプタ8の下部に装着された軸部9と、該軸部9を保持する軸受10とで構成されている。このように自在継手3が構成される結果、該自在継手3によって把手1と保持板2とは回動自在に連結されている。
【0026】
次に、上記構成からなる清掃具に清掃用布帛を取り付ける態様について説明する。先ず、図3に示すように、清掃対象物との接触面となる清掃用ヘッド2の表面側に清掃用布帛11を接触させ、同図のように清掃用布帛11の両端部を、該清掃用ヘッド2の表面側から、把手1が取り付けられる清掃用ヘッド2の裏面側に折り返す。これによって弾性体5は、同図のように清掃用布帛11に包まれるような状態となり、該清掃用布帛11の両端部を保持板4の4ケ所の止着部6に押し込むことによって、清掃用布帛11の両端部が止着部6に係止されることとなる。
【0027】
この場合、止着部6は、3本の線状部分を中央で交差させた形態からなる切り込み7を具備して構成されているので、これらの切り込み7によって、押し込まれた清掃用布帛11は清掃具の清掃用ヘッド2に固定されることとなる。
【0028】
この場合において、清掃用布帛11は、清掃用ヘッド2の清掃面である表面側に接触させることができ、且つ該清掃用ヘッド2の表面側から裏面側に折り返して保持板4の4角の止着部6に止着することができる大きさに形成されているため、上記のように清掃用布帛11の両端部を保持板4の4角の止着部6に押し込んで確実に止着することができ、その結果、清掃用布帛11は清掃用ヘッド2に確実に固定されることとなる。
【0029】
このようにして清掃用布帛11を清掃具の清掃用ヘッド2に取り付けた状態で、該清掃用布帛11を、たとえば床、じゅうたん、畳、家具等の清掃対象物に接触させた状態で、把手1を移動させると、それに伴って清掃用ヘッド2も移動し、該清掃用ヘッド2に取り付けられた清掃用布帛11によって、清掃対象物が清掃されることとなる。
【0030】
この場合において、清掃用布帛11は単糸繊度が0.05〜0.5デシテックス(dtX)の極細繊維で織成又は編成されているため、清掃対象物の清掃面に存在する埃やゴミを好適に吸着することができる。また、清掃用布帛に上記のような清掃用液が含浸されているので、埃やゴミを吸着して清掃対象物の清掃面から除去する効果がより良好となる。
【0031】
一方、清掃用布帛11を清掃具の清掃用ヘッド2から取り外す場合には、清掃用布帛11の両端部を、止着部6の切り込み7から抜き取ることによって、清掃用布帛11を止着部6から容易に取り外すことができる。
【0032】
この場合において、清掃用布帛11は、上記のような単糸繊度が0.05〜0.5デシテックス(dtX)のポリエチレンテレフタレートからなる極細繊維で織成又は編成されているので、たとえばパイル糸を起毛させてタオル地のように構成された清掃用布帛を用いる場合のように、糸がほつれるおそれもないのである。
【0033】
以上のように、本実施形態においては、清掃具の清掃用ヘッド2に容易に取り付けることができ、且つ清掃対象物の清掃面に存在する埃やゴミを好適に吸着することができ、しかも、止着部6から取り外すときに、糸のほつれを生じさせないような清掃用布帛11を提供することが可能となった。
【0034】
尚、清掃用布帛に含浸させる清掃用液の種類も、上記のようなアロエエキス、シブガキエキス、防カビ・抗菌剤、アルコールの少なくともいずれかを含有するものに限定されるものではない。
【0035】
さらに、上記のような清掃用布帛は、たとえば開口部の近辺にチャックを具備する包装用袋内に収納することができる。その場合、チャックの上側はシーラー等でシールするのが望ましく、そのようにシールすることで、包装用袋を密封することができる。このようにシールされた状態の包装用袋入りの清掃用布帛は、流通段階では密封性が維持されており、そのような包装用袋入りの清掃用布帛を購入した使用者は、シール部分とチャック部分との間を切断する等によって、以後はチャックによって包装用袋の開閉を行うことができ、必要に応じて清掃用布帛を包装用袋から取り出すことができる。このようにして密封状態の包装用袋内に清掃用布帛を収納した場合には、清掃用布帛に含浸させる清掃用液、特にアルコールのような揮発性成分が揮発するのを好適に防止することができるという利点がある。
【0036】
尚、上記実施形態においては、本発明の清掃用布帛を清掃具に取り付けて使用する場合について説明したが、このような清掃具に取り付けずに、清掃用布帛のみを拭布のようにして使用することもできる。
【実施例】
【0037】
以下、本発明の実施例について説明する。一実施例の清掃用布帛として、パイル部及びグランド部で構成された清掃用布帛を用いた。
【0038】
パイル部は、110デシテックス(dtX)のポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)からなる合撚糸で編成して構成した。この合撚糸は、77デシテックス(dtX)の極細繊維と33デシテックス(dtX)のハイパー糸とを、1mあたり200回の撚りをかけて合撚したものである。
【0039】
この合撚糸は、60本の単糸(フィラメント)からなる。より具体的には、極細繊維が48本の単糸(フィラメント)からなり、ハイパー糸が12本の単糸(フィラメント)からなる。
【0040】
このパイル部を構成する合撚糸の極細繊維は、アルカリ処理を施すことによって、8分割された、いわゆる分割型繊維によって構成されている。極細繊維の繊度である上記77デシテックス(dtX)は、アルカリ処理を施す前の繊度であり、アルカリ処理が施されて8分割された後は、約62デシテックス(dtX)となる。この62デシテックス(dtX)は、48本の単糸(フィラメント)からなる極細繊維の繊度である。一方、極細繊維は上記アルカリ処理によって8分割されているので、分割後の極細繊維の単糸繊度は62/48×8≒0.16デシテックス(dtX)となり、上記0.05〜0.5デシテックス(dtX)の範囲内のものである。
【0041】
一方、グランド部は、48本のフィラメントからなる繊度165デシテックス(dtX)のポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)と、48本のフィラメントからなる繊度110デシテックス(dtX)の上記パイル部を構成していたポリエステル(ポリエチレンテレフタレート)の2種の糸を編成して構成した。
【0042】
本実施例の清掃用布帛の編目密度は、縦密度が32ウェール/インチ、横密度が31コース/インチであった。
【符号の説明】
【0043】
1 把手
2 清掃用ヘッド
6 止着部
11 清掃用布帛

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単糸繊度が0.05〜0.5デシテックス(dtX)の極細繊維で織成又は編成され、清掃用液が含浸されていることを特徴とする清掃用布帛。
【請求項2】
清掃用液が、アロエエキス、シブガキエキス、防カビ・抗菌剤、及びアルコールの少なくともいずれかを含有するものである請求項1記載の清掃用布帛。
【請求項3】
把手(1)の先端部に清掃用ヘッド(2)が取り付けられた清掃具における、前記清掃用ヘッド(2)の清掃対象物との接触面となる表面側に接触させることができ、且つ該清掃用ヘッド(2)の表面側から裏面側に折り返して前記清掃用ヘッド(2)の裏面側に設けられた布帛用止着部に止着することができる大きさに形成されている請求項1又は2記載の清掃用布帛。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−143507(P2012−143507A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−6204(P2011−6204)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(506145441)
【Fターム(参考)】