説明

温度管理入浴装置

【課題】
入浴に適する湯温を早く確実に得られる温度管理入浴装置を提供すること。
【解決手段】
タンク2と、浴槽3と、湯移動機構6と、給湯部7と、制御部8と、操作部9と、タンク温度センサ10と、流量計23とからなり、制御部8は、湯移動機能部4と、給湯機能部32とを有し、湯移動機能部4は、湯移動機構6を制御するものであって、タンク2と浴槽3間に湯を移動させ湯移動制御部29と、タンク2又は浴槽3の湯を排水させる排水制御部31とを有し、給湯機能部32は、給湯部7を制御するものであって、タンク2内の非満水貯湯に、新湯水でなる追加給湯をなしてタンク2の湯量を満水貯湯にする追加給湯機能部5と、前記満水貯湯の温度が設定温度になる様に追加給湯の熱量計算を行なう温度計算機能部24とを有するものであり、前記制御部8はタンク2の満水貯湯の温度を設定温度になすことを特徴とする温度管理入浴装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体障害者及び高齢者(以下、要介護者)、特に要介護度の高い要介護者の介護入浴を行なう温度管理入浴装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来装置の特許文献1のものは、
浴槽(4)又はタンク(5)に付帯されるものであって、湯温の範囲を設定する設定器(2)と、湯温を検出する温度検出機能(13)と、湯を加熱及び冷却する加熱冷却器(16)と、検出した湯温が設定した温度範囲外になった時、湯温を、設定した範囲に補正するか又は湯を排出する補正排出処理機能(3)とからなる安全機能付入浴付帯装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−347091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された構成では、湯温補正の場合は、該安全機能付入浴付帯装置が付帯される浴槽3内又はタンク2内の湯温を早期に設定範囲に戻し、入浴者が入っている浴槽3へ熱湯を注ぐことなく安全を図って入浴ができ、又、入浴者が入っている浴槽3へ冷水を注ぐことなく不快感を与えずに入浴できる効果がある。
しかし、特許文献1に記載された浴槽3は、加熱冷却器をもって貯湯を加熱及び冷却するので、目的の温度に至らせるまでに多くの時間が掛かる欠点があった。又、従来技術では加熱・冷却器のような機構が必要であり、その分製作コストが嵩むものであった。
又、従来の機器は、製作コストが嵩むため、通常は加熱・冷却器を付けていないものが殆どであり、その場合、予め設定した貯湯温度で、初期貯湯を行なっても貯まったお湯は設定した貯湯温度より下がってしまう(特に冬場)ため、季節に応じて貯湯温度設定を変更する必要があった。
【0005】
又、予め設定した貯湯温度で初期貯湯を行なった場合に貯まったお湯の温度の予測が困難なため(=季節によって室温が変わり、室温により下がる湯温がかわるので困難)、お湯を溜めた後に、増し湯や足し湯などで、溜まったお湯の温度を、温度計を見ながら適温に調節する必要があり手間が掛かるなどの問題を有していた。即ち、お湯を溜める時、貯湯の途中で、追加給湯の熱量計算をしないで満水貯湯し、その後に足し湯水で温度調節していたので手間が掛かかった。或いは、外気温による影響考慮した推定値を決めて温度設定するなどの手段を用いないで満水貯湯し、その後に足し湯水で温度調節していたので手間が掛かかった。
【0006】
本発明の目的は、入浴に適する湯温を早く確実に得られる温度管理入浴装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を実現する本発明は、タンク2と、浴槽3と、湯移動機構6と、給湯部7と、制御部8と、操作部9と、タンク温度センサ10と、流量計23とからなり、制御部8は、湯移動機能部4と、給湯機能部32とを有し、湯移動機能部4は、湯移動機構6を制御するものであって、タンク2と浴槽3間に湯を移動させる湯移動制御部29と、タンク2又は浴槽3の湯を排水させる排水制御部31とを有し、給湯機能部32は、給湯部7を制御するものであって、タンク2内の非満水貯湯に、新湯水でなる追加給湯をなしてタンク2の湯量を満水貯湯にする追加給湯機能部5と、前記満水貯湯の温度が設定温度になる様に追加給湯の熱量計算を行なう温度計算機能部24とを有するものであり、前記制御部8はタンク2の満水貯湯の温度を設定温度になすことを特徴とする温度管理入浴装置である。
又、浴槽3の湯をタンク2へ移動させる際に、湯移動制御部29は浴槽3の湯をタンク2へ移動してタンク2を非満水貯湯にし、排水制御部31はタンク2が非満水貯湯となった後の浴槽3の湯を排水し、又は、湯移動制御部29は浴槽3の湯をタンク2へ非満水貯湯を超えて移動し、その後排水制御部31は、タンク2の湯が非満水貯湯になるようタンク2の湯を排水し、温度計算機能部24は、タンク2の湯の温度と量からの現在の熱量を計算し、満水貯湯の温度が設定温度になるために必要な追加給湯の熱量を計算をし、その必要な熱量を、追加給湯の量で除して給湯温度を計算するものであり、追加給湯機能部5は、算出した給湯温度を当てはめてなる追加給湯をタンク2へ供給するものであり、タンク2の満水貯湯の温度を設定温度に至らせる。
更に、タンク2の湯に係る設定温度を変更すると、必要に応じて制御部8が作動し、排水制御部31がタンク2の湯を非満水貯湯になるまで排水するか、又は、湯移動制御部29がタンク2の湯を非満水貯湯になるまで浴槽3へ移動させ同時に排水制御部31が浴槽3の湯を排水させ、タンク2に非満水貯湯を確保し、温度計算機能部24は、満水貯湯の温度が変更した設定温度になるために必要な追加給湯の熱量計算をし、追加給湯機能部5は、算出した給湯温度を当てはめてなる追加給湯をタンク2へ供給し、タンク2の満水貯湯の温度を設定温度に至らせる。
更に又、最初にタンク2へ湯を溜める際に、追加給湯機能部5は、タンク2を非満水貯湯となし、次に、温度計算機能部24は、満水貯湯の温度が設定温度になるために必要な追加給湯の熱量計算をし、追加給湯機能部5は、算出した給湯温度を当てはめてなる追加給湯をタンク2へ供給し、タンク2の満水貯湯の湯温を設定温度に至らせる。
又、温度計算機能部24は、タンク2の湯の温度と量からの現在の熱量を計算し、満水貯湯の温度が設定温度になるために必要な追加給湯の熱量を計算し、その必要な熱量を、追加給湯の量で除して給湯温度を計算し、一方、室温センサ28を設け、熱伝導率と経過時間とから温度低下量を予め推測し、その推測値を温度計算機能部24に記録し、前記計算値に、室温に基づき前記記録値を読み出しその値を加え、温度低下を加味した値となし、追加給湯機能部5は、温度低下を加味した値を当てはめてなる追加給湯をタンク2へ供給するものであり、タンク2の満水貯湯の温度を設定温度に至らせる。
更に、タンク2に溜まった湯の循環を行ない、ポンプ、バルブ等を含んでなる循環部を有し、循環部は、追加給湯中又は追加給湯の後に、タンク2に溜まった湯を攪拌し、湯の温度分布を一定にした後、タンク2に溜まった湯を温度測定及び入浴供与する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る追加給湯機能部5は、タンク2内の非満水貯湯に、新たな湯水を追加してなる追加給湯をもってタンク2の湯量を満水貯湯にする機能であり、更に、本発明は、満水貯湯の温度が設定温度になる様に追加給湯の温度の温度計算をする温度計算機能部24を有するものである。
この構成では、最初にタンク2へ湯を溜める(=以下、初期給湯という)時は、非満水貯湯状態から追加給湯を行ない、湯移動後の追加給湯時は、湯の一部を排水し、予め準備された高温湯、低温水又はミキシング湯をタンク2へ投入(=追加給湯)するので、貯湯を加熱器で加熱し又は冷却器で冷却するものに比して、早く設定温度の湯水を得ることができ、好都合である。
又、比例制御によるものに比べて、目標設定温度への到達が短時間で、且つ、オーバーシュートやアンダーシュートを抑えることができ、好都合である。
又、増し湯や足し湯などで、貯まったお湯の温度を調節するといった作業が必要なくその調節の手間が解消され、好都合である。
又、加熱・冷却器のような機構が不要であり、その分製作コストを低減できて有利である。
【0009】
本発明は、浴槽3の湯をタンク2へ移動させる際に、湯移動制御部29は浴槽3の湯をタンク2へ戻して非満水貯湯を確保し、排水制御部31は非満水貯湯が溜まった後の浴槽3の湯を排水し、温度計算機能部24は、満水貯湯の温度が設定温度になるために必要な熱量と、追加給湯の湯量とから熱量計算をし、追加給湯機能部5は、前記熱量計算で得た温度及び量を実行する追加給湯をタンク2へ供給するものであるから、入浴者が連続で入浴する際には湯温が、低下するがそれを防げ上記構成でタンク2の湯を適温に復元でき、好都合である。
又、浴槽3の湯の一部を排水し、湯温調節を兼ねて新湯を少量補給するので、タンク2に短時間で湯を満水にできると共に新湯を供給した分だけ湯を新鮮にでき、好都合である。
【0010】
本発明はタンク2の湯の設定温度を変更した際に、必要に応じて制御部8が作動し、排水制御部31がタンク2の湯を排水し、タンク2に予め設定した一定量の非満水貯湯を残し、次に、温度計算機能部24は、変更した設定温度になるまでに必要な熱量と、追加給湯の量とから熱量計算をし、追加給湯機能部5は、前記熱量計算で得た温度及び量の追加給湯をタンク2へ供給するものであるから、入浴温度を入浴者に合わせて変更する事ができ、各入浴者は快適な温度で入浴でき、好都合である。
【0011】
本発明は、初期給湯の際に、追加給湯機能部5は、タンク2に予め設定した一定量の非満水貯湯を行ない、次に、温度計算機能部24は、満水貯湯が設定温度になるために必要な熱量と、追加給湯の量とから熱量計算をし、追加給湯機能部5は、前記熱量計算で得た温度及び量の追加給湯をタンク2へ供給するものであるから、タンク2において、設定温度と初期給湯温度が異なることを防ぐ事ができ、好都合である。特に冬場などは設定温度よりも初期貯湯温度が低くなる事が多いがそれを防ぐ事ができ、好都合である。
【0012】
本発明は、室温センサ28を設け、熱伝導率と経過時間とから温度低下量を予め推測し、その推測値を温度計算機能部24に記録し、前記計算値に、室温に基づき前記記録値を読み出しその値を加え、温度低下を加味した値となし、追加給湯機能部5は、温度低下を加味した値を当てはめてなる追加給湯をタンク2へ供給するものであるから、給湯中に生じる温度低下を補うことができ、室温からの悪影響を受けることなく、タンク2に設定温度の湯を得ることが出来、好都合である。
【0013】
本発明は、タンク2に溜まった湯の循環を行ない、ポンプ、バルブ等を含んでなる循環部を有し、循環部は、追加給湯中又は追加給湯の後に、タンク2に溜まった湯を攪拌し、湯の温度分布を一定にした後、タンク2内の温度測定及び入浴供与を行なうものであるから、タンク2に溜まった湯の測定温度が正確であり、適切な温度の湯を入浴者に提供でき、好都合である。
又、循環部を湯湯移動機構6で実施した場合には、湯湯移動機構6の稼動率が上がり、構成を簡素化でき、好都合である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例1を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0015】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施例1を説明する。
図1に示す温度管理入浴装置1は、タンク2と浴槽3の間に湯を移動させる湯移動機構6からなる入浴装置に、給湯機能部32が設けられたものである。
温度管理入浴装置1は、タンク2と、浴槽3と、湯移動機構6と、給湯部7と、制御部8と、操作部9とからなる。
【0016】
タンク2には、タンク上限水位スイッチ11と、タンク中位水位スイッチ12と排水弁13と、タンク温度センサ10と、給湯口15とが設けられる。
浴槽3は、入浴に供するものであり、正面に扉26を有し、浴槽排水弁27が設けられる。
【0017】
湯移動機構6は、タンク2と浴槽3間の湯の移動と、タンク2の貯湯の循環とを行なうものである。湯移動機構6は、甲・乙・丙・丁弁16・17・18・19と、ポンプ20と、管路21とからなる。
湯移動機構6は、浴槽3の湯をタンク2へ移動させる際に、浴槽3の湯をタンク2へ移動してタンクに非満水貯湯を確保させるものである。
【0018】
タンク中位水位スイッチ12は、湯を移動中に、タンク2に非満水貯湯が溜まると作動しポンプ20を止めるものである。
湯移動機構6は、タンク中位水位スイッチ12が作動すると、ポンプ20を停止し、湯の移動を止めると共に、浴槽排水弁27を開け、浴槽3の残湯を排水するものである。
非満水貯湯を得る他の例では、湯移動制御部29は浴槽3の湯をタンク2へ非満水貯湯を超えて移動し(浴槽3の湯をタンク2へ全部移動することを含む)、その後排水制御部31は、タンク2の湯が非満水貯湯になるよう排水弁13からタンク2の湯を排水する。
【0019】
制御部8は、湯移動機能部4と、給湯機能部32とを有する。
湯移動機能部4は、湯移動機構6を制御するものであって、
湯移動制御部29はタンク2と浴槽3間に湯を移動させ、及びタンク2の湯を循環させるものである。
【0020】
湯移動機構6は、タンク2に溜まった湯の循環を行ない、ポンプ、バルブ等を含んでなる循環部を兼ねる。前記循環部は、追加給湯中又は追加給湯の後に、タンク2に溜まった湯を攪拌し、湯の温度分布を一定にする。
図示を省略するが、湯移動機構6が循環部を兼ねない場合は、循環部は、タンク2に接続され、ポンプ、バルブ等を含んでなり、タンク2に溜まった湯をタンク2の下位で取水し上位で吐出し循環させ、攪拌する。
排水制御部31はタンク2又は浴槽3の湯を排水させるものである。
給湯機能部32は、追加給湯機能部5と、温度計算機能部24とを有する。
【0021】
追加給湯機能部5は、タンク2内の非満水貯湯に、追加給湯なる湯をもってタンク2の湯量を満水貯湯にすると共に、満水貯湯の温度を設定温度に到達させるものである。
非満水貯湯は、タンク2内に非満水状態に溜まった所定量の湯であり、湯量はタンク中位水位スイッチ12の取り付け位置により決まる。
尚、非満水貯湯の湯量を決める他の実施例では、初期給湯時は流量計23で検出してもよい。又、流量計23と排水配管の途中に設けた排水流量計(図示省略)とをもって所定の非満水貯湯を確保することもできる。
追加給湯は、タンク2内の非満水貯湯に、新たな湯水を追加・給湯する湯であり、増加分である。
追加給湯機能部5は、タンク上限水位スイッチ11の出力とタンク中位水位スイッチ12の出力とを得、給湯部7へ出力を付与し、タンク2を適温の湯で満水状態(=満水貯湯)になすものである。
追加給湯機能部5の出力は電動ミキシング14に付与される。
【0022】
温度計算機能部24は、湯が空の時に測るタンク温度センサ10の出力と、タンク中位水位スイッチ12の出力と、追加給湯の湯量値とを基に、熱量計算を行なう。
熱量計算は、外気温に伝熱による影響を考慮して、非満水貯湯の現在の熱量と、満水貯湯が設定温度になるに必要な追加給湯の熱量を計算するものである。熱量は湯水の温度と量の積と定義している。
温度計算機能部24は、前述の必要な熱量を追加可能な貯湯量(=満水になるまで追加できる湯の量であり、追加給湯の量である)で割った温度を算出し、追加給湯の温度を計算するものである。
【0023】
温度計算機能部24は、その出力を追加給湯機能部5を介して電動ミキシング14に与え、タンク2に供給する湯に熱量計算値を実行するものである。
即ち、温度計算機能部24は、タンク2の満水貯湯の温度が設定温度になる様に追加給湯の熱量計算をするものである。
追加給湯機能部5は、熱量計算値を給湯部7に付与し、追加給湯にその算出カロリーを当てはめ算出カロリーを発現させるものである。
【0024】
給湯部7は、電動ミキシング14と、電磁弁22と、流量計23と、湯水をタンク2へ注ぐ給湯口15とからなる。
給湯部7は、前記熱量計算で得た温度及び量を追加給湯に実現しその追加給湯をタンク2へ供給するものである。あるいは、初期給湯の場合は、給湯部7の給湯口15から新湯をタンク2へ給湯するものである。
タンク上限水位スイッチ11は、給湯部7から湯をタンク2へ給湯している時、タンク2が満水になると作動するものである。
タンク中位水位スイッチ12は、給湯部7から湯をタンク2へ給湯している時、又は、タンク2へ浴槽3から湯が戻る時、タンク2が非満水貯湯になると作動するものである。
電動ミキシング14は、詳しい図示を省略するが、可動弁とモータとポテンショと温度センサーとサーモスタットとからなり、湯と水を入力して、指示した温度の湯を出力するものである。
【0025】
介助者が、タンク2の湯に係る設定温度を変更した際には、必要に応じて制御部8が作動し、排水制御部31がタンク2の湯を非満水貯湯になるまで排水弁13から排水する。
タンク2に非満水貯湯を確保し、温度計算機能部24は、満水貯湯の温度が変更した設定温度になるために必要な追加給湯の熱量計算をし、追加給湯機能部5は、算出した給湯温度を当てはめてなる追加給湯をタンク2へ給湯し、タンク2の満水貯湯の温度を設定温度に至らせる。
上述のタンク2に非満水貯湯を確保する他の実施例は、湯移動制御部29がタンク2の湯を非満水貯湯になるまで浴槽3へ移動させ、同時に排水制御部31が浴槽3の湯を浴槽排水弁27から排水させる。
変更した設定温度が、測定温度と異なる場合は、湯の温度の修正が必要と判断し制御部8は作動する。しかし、変更した設定温度が、測定温度と同一又は許容範囲の微差の場合は、湯の温度の修正は不要と判断し制御部8は作動しない。
又、一定量を排水するには、タンク中位水位スイッチ12により排水湯量計測し排水する他に、排水流量計により排水湯量計測し排水する方法がある。(図示省略)
【0026】
温度計算機能部24の更なる機能を述べる。装置に温度センサ28を設け、熱伝導率と経過時間とから温度低下量を予め推測し、その推測値を温度計算機能部24に記録し、前記計算値に、現在の室温を基に前記記録値を読み出しその値を加え、温度低下を加味した値となすものである。
温度低下量は、1分当たりの低下温度を言う。1分当たり何度湯の温度が下がるかを予め実験から特定できる。実験から、全体湯量、材質や、室温、湿度等を考慮して概略値を特定する。設定温度と、室温とから湯の低下温度を特定し、温度計算機能部24に記録している。例えば、室温がA度なら10分間に湯はB度低下する。従って、10分後に適温を得る場合は、湯の給湯温度はB度高目にした値となる。
【0027】
初期給湯の際には、給湯部7はその給湯口15から湯をタンク2へ給湯し、タンク中位水位スイッチ12は、貯湯の水位が上がり、予め設定した一定量の非満水貯湯が溜まると作動し、熱量計算が開始され、続いて、給湯部7が作動する。
給湯部7は、熱量計算された追加給湯をタンク2へ供給し、タンク2の満水貯湯の温度を設定温度に至らせるものである。
【0028】
操作部9は、介助者がタンク2の温度を設定する給湯温度設定器25を有する。
28は室温センサである。
【0029】
実施例1を使用する。
初期給湯の際に、給湯部7は、予め設定した一定量の非満水貯湯を行ない、次に、温度計算機能部24で熱量計算し、続いて、追加給湯機能部5はその熱量計算値を追加給湯に具体化し、具体化した追加給湯を前記非満水貯湯に加える。
給湯機能部32は、タンク2を満水貯湯になすと共にその湯の温度を設定温度に至らせる。
【0030】
湯移動機構6で、タンク2に溜まった湯の循環を行なう。前記湯移動機構6は、追加給湯中又は追加給湯の後に、タンク2に溜まった湯を攪拌し、湯の温度分布を一定にする。湯の温度分布を一定にした後、タンク2内の温度測定を行ない温度調節し入浴供与に備える。
初期給湯の時は、流量計23で所定量の給湯が行なわれたことを計測した時、又はタンク中位水位スイッチ12が作動した時に上記循環を行なう。
車椅子(図示省略)で入浴者を搬送し、前記車椅子と入浴者を、開扉した浴槽3に入れ、閉扉する。
【0031】
湯移動機構6を作動させて、タンク2の貯湯を浴槽3へ移動する。
浴槽3に湯を満たす。浴槽3内にセッティングされた入浴者は入浴する。
暫時後、浴槽3の湯をタンク2へ移動させる。浴槽3が空になると、介助者は、前記車椅子と共に入浴者を浴槽3から退出し、入浴を終わる。
介助者は、入浴に供した湯を、浴槽3からタンク2へ戻し、タンク2で湯温を適温になし、その湯を再使用しながら、複数の入浴者を連続的に入浴させる。
【0032】
実施例1を連続使用の状況下で、浴槽3の湯をタンク2へ移動させる際に、湯移動制御部29の指示で湯移動機構6は、浴槽3の湯をタンク2へ戻し、タンク2を非満水貯湯になし、排水制御部31の指示で湯移動機構6は、非満水貯湯となった後の湯は排水する。
即ち、湯移動機構6は、湯を移動中に、タンク中位水位スイッチ12が作動すると、移動を止める。そして、浴槽排水弁27を開け浴槽3の残湯を排水する。
この排水は、フィルター(図示省略)洗浄にも使用できる。又、ポンプ20が停止している時、管路21に残った湯は管路排水弁30から排水する。
温度計算機能部24は、満水貯湯の温度が設定温度になるために必要な追加給湯の熱量計算を行なう。
【0033】
追加給湯機能部5は、前記熱量計算で得た温度及び量を追加給湯に対して実施する。追加給湯機能部5の指示で給湯部7は、前記熱量計算で得た温度及び湯量を追加給湯に実現化しその追加給湯をタンク2へ供給する。
給湯機能部32は、非満水貯湯に追加給湯をなして満水貯湯となし、満水貯湯の湯温を設定温度に至らせる。
排水制御部31は、移動して来る湯が、所定の非満水貯湯に至った後の湯は排水し、所定の非満水貯湯に満たない場合は、追加給湯機能部5は給湯口15から新湯を補給し所定の非満水貯湯を確保する。
【0034】
温度計算機能部24の更なる作用は、予め記録した温度低下量に係る推測値を、現在の室温を基に読み出しその値を、前述の温度計算機能部24が算出した値に加え、温度低下を加味した値となす。追加給湯機能部5の指示で給湯部7は、温度低下を加味した値を当てはめてなる追加給湯をタンク2へ供給する。
又、循環に係る例として、連続入浴を実施している時、タンク2の満水貯湯はタイマー(図示省略)により湯移動機構6を定期的に作動させて循環する。
【0035】
介助者が、入浴者の容態に合わせてタンク2の湯に係る設定温度を変更すると、必要に応じて制御部8が作動し、排水制御部31がタンク2の湯を非満水貯湯になるまで排水する。タンク2に非満水貯湯を確保し、温度計算機能部24は、満水貯湯の温度が変更した設定温度になるために必要な追加給湯の熱量計算をし、追加給湯機能部5は、算出した給湯温度を当てはめてなる追加給湯をタンク2へ供給し、タンク2の満水貯湯の温度を設定温度に至らせる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、身体障害者及び要介護者、特に要介護度の高い要介護者の介護入浴を行なう温度管理入浴装置1に適用できる。
又、タンク2内の非満水貯湯に、新たな湯水を追加してなる追加給湯をもってタンク2の湯量を満水貯湯にすると共に、満水貯湯の温度を設定温度に到達させる追加給湯機能部5と、前記満水貯湯の温度が設定温度になる様に追加給湯の温度の熱量計算を行なう温度計算機能部24とを有し、満水貯湯を設定温度になすことを特徴とする温度管理入浴装置に適用できる。
【符号の説明】
【0037】
1 温度管理入浴装置
2 タンク
3 浴槽
4 湯移動機能部
5 追加給湯機能部
6 湯移動機構
7 給湯部
8 制御部
9 操作部
10 タンク温度センサ
24 温度計算機能部
25 給湯温度設定器
28 室温センサ
29 湯移動制御部
31 排水制御部
32 給湯機能部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンク2と、浴槽3と、湯移動機構6と、給湯部7と、制御部8と、操作部9と、タンク温度センサ10と、流量計23とからなり、制御部8は、湯移動機能部4と、給湯機能部32とを有し、湯移動機能部4は、湯移動機構6を制御するものであって、タンク2と浴槽3間に湯を移動させる湯移動制御部29と、タンク2又は浴槽3の湯を排水させる排水制御部31とを有し、給湯機能部32は、給湯部7を制御するものであって、タンク2内の非満水貯湯に、新湯水でなる追加給湯をなしてタンク2の湯量を満水貯湯にする追加給湯機能部5と、前記満水貯湯の温度が設定温度になる様に追加給湯の熱量計算を行なう温度計算機能部24とを有するものであり、
前記制御部8はタンク2の満水貯湯の温度を設定温度になすことを特徴とする温度管理入浴装置。
【請求項2】
浴槽3の湯をタンク2へ移動させる際に、
湯移動制御部29は浴槽3の湯をタンク2へ移動してタンク2を非満水貯湯にし、排水制御部31はタンク2が非満水貯湯となった後の浴槽3の湯を排水し、
又は、湯移動制御部29は浴槽3の湯をタンク2へ非満水貯湯を超えて移動し、その後排水制御部31は、タンク2の湯が非満水貯湯になるようタンク2の湯を排水し、
温度計算機能部24は、タンク2の湯の温度と量からの現在の熱量を計算し、満水貯湯の温度が設定温度になるために必要な追加給湯の熱量を計算をし、その必要な熱量を、追加給湯の量で除して給湯温度を計算するものであり、追加給湯機能部5は、算出した給湯温度を当てはめてなる追加給湯をタンク2へ供給するものであり、
タンク2の満水貯湯の温度を設定温度に至らせることを特徴とする請求項1記載の温度管理入浴装置。
【請求項3】
タンク2の湯に係る設定温度を変更すると、必要に応じて制御部8が作動し、排水制御部31がタンク2の湯を非満水貯湯になるまで排水するか、又は、湯移動制御部29がタンク2の湯を非満水貯湯になるまで浴槽3へ移動させ同時に排水制御部31が浴槽3の湯を排水させ、タンク2に非満水貯湯を確保し、温度計算機能部24は、満水貯湯の温度が変更した設定温度になるために必要な追加給湯の熱量計算をし、追加給湯機能部5は、算出した給湯温度を当てはめてなる追加給湯をタンク2へ供給し、
タンク2の満水貯湯の温度を設定温度に至らせることを特徴とする請求項1記載の温度管理入浴装置。
【請求項4】
最初にタンク2へ湯を溜める際に、
追加給湯機能部5は、タンク2を非満水貯湯となし、次に、
温度計算機能部24は、満水貯湯の温度が設定温度になるために必要な追加給湯の熱量計算をし、
追加給湯機能部5は、算出した給湯温度を当てはめてなる追加給湯をタンク2へ供給し、
タンク2の満水貯湯の湯温を設定温度に至らせることを特徴とする請求項1記載の温度管理入浴装置。
【請求項5】
温度計算機能部24は、タンク2の湯の温度と量からの現在の熱量を計算し、満水貯湯の温度が設定温度になるために必要な追加給湯の熱量を計算し、その必要な熱量を、追加給湯の量で除して給湯温度を計算し、
一方、室温センサ28を設け、熱伝導率と経過時間とから温度低下量を予め推測し、その推測値を温度計算機能部24に記録し、
前記計算値に、室温に基づき前記記録値を読み出しその値を加え、温度低下を加味した値となし、追加給湯機能部5は、温度低下を加味した値を当てはめてなる追加給湯をタンク2へ供給するものであり、
タンク2の満水貯湯の温度を設定温度に至らせることを特徴とする請求項1記載の温度管理入浴装置。
【請求項6】
タンク2に溜まった湯の循環を行ない、ポンプ、バルブ等を含んでなる循環部を有し、循環部は、追加給湯中又は追加給湯の後に、タンク2に溜まった湯を攪拌し、湯の温度分布を一定にした後、タンク2に溜まった湯の温度測定及び入浴供与することを特徴とする請求項1乃至5記載の温度管理入浴装置。

【図1】
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【公開番号】特開2011−67467(P2011−67467A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−221699(P2009−221699)
【出願日】平成21年9月26日(2009.9.26)
【出願人】(000103471)オージー技研株式会社 (109)
【Fターム(参考)】