説明

温水を供給するために要するエネルギーを削減できる貯湯システムおよび建造物

【課題】 温水を供給するために必要なエネルギーを削減できる貯湯システムを提供すること。
【解決手段】 温水を貯湯する主貯湯槽44と、主貯湯槽44に貯湯する温水を生成する熱源42と、主貯湯槽44よりも上方に設置される副貯湯槽46と、主貯湯槽44および副貯湯槽46を接続する配管システム52と、配管システム52に設けられる弁48と、副貯湯槽46に貯湯されている温水の熱量が不足するときに、弁48を開放することにより主貯湯槽44から副貯湯槽46へ熱量を移動させる制御部50とを備えた。配管システム52は、主貯湯槽44および副貯湯槽46のそれぞれの下部を接続する下部配管56と、主貯湯槽44および副貯湯槽46のそれぞれを、下部よりも上方の位置で接続する上部配管54を有する。弁48は、上部配管54および下部配管56の少なくとも一方に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水を供給するために必要なエネルギーを削減できる貯湯システムおよび建造物に関する。特に本発明は、副貯湯槽に貯湯されている温水の熱量が不足するときに、主貯湯槽から副貯湯槽へ熱量を移動させる、貯湯システムおよび建造物に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池等を用いた分散型電源においては、燃料電池等の発電に伴う排熱を利用するコージェネレーションシステムがある。このようなシステムにおいては、例えば、燃料電池等の発電に伴って生成される熱を用いて貯湯槽に温水を蓄積して、貯湯槽に蓄積された温水を熱需要に供給する(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003-199254号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来のシステムにおいて、例えば集合住宅等に設置された一の貯湯槽に蓄積された温水を各住宅が消費する場合、全住宅に温水を供給するための長い配管を必要とする。したがって、配管経路の下流にも十分な温度の温水を供給するためには温水を常に循環させておく必要がある。このとき、配管から定常的に熱損失が発生する。したがって、配管経路の下流の温水温度を維持するために、配管経路の上流の温水温度を高く保つと、熱損失がさらに増加する。また、温水を循環させるポンプを駆動するエネルギーが定常的に必要であり、温水を循環させる配管が長くなるほどポンプを駆動するエネルギーがさらに必要となる。
【0004】
また、例えば集合住宅の最下層の階に設置された貯湯槽から全住宅に温水を供給する場合は、最上層の階の住宅にも十分な圧力の温水を提供する必要があるので、温水を貯湯槽からより高い圧力で供給する必要がある。したがって、最下層の階で温水が消費された場合であっても、最上層の階に供給する温水の圧力を維持するためのエネルギーが必要になる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題を解決するために、本発明の第1の形態における貯湯システムは、温水を貯湯する主貯湯槽と、主貯湯槽に貯湯する温水を生成する熱源と、主貯湯槽よりも上方に設置される副貯湯槽と、主貯湯槽および副貯湯槽を接続する配管システムと、配管システムに設けられる弁と、副貯湯槽に貯湯されている温水の熱量が不足するときに、弁を開放することにより主貯湯槽から副貯湯槽へ熱量を移動させる制御部とを備えた。このため、熱損失の発生が間欠的になり、温水を供給するために必要なエネルギーを削減できる。
【0006】
副貯湯槽は、建造物の複数の階にそれぞれ設けられている。主貯湯槽は、建造物における副貯湯槽が設置された階よりも下の階に設けられている。このため、主貯湯槽が設置されている階より上の階の副貯湯槽への熱量の移動を容易に行うことができる。
【0007】
また本形態における貯湯システムは、副貯湯槽が設置された複数の階のそれぞれに設置される燃料電池と、燃料電池が生成した温水を、当該燃料電池と同じ階に設置された副貯湯槽へ受け渡す燃料電池配管とを更に備えた。このため、燃料電池配管から副貯湯槽に熱量を移動させる間の熱損失を低減できる。また、燃料電池が生成した熱量を副貯湯槽へ供給させるために必要なエネルギーを低減できる。
【0008】
配管システムは、主貯湯槽および副貯湯槽のそれぞれの下部を接続する下部主配管と、主貯湯槽および副貯湯槽のそれぞれを、下部よりも上方の位置で接続する上部主配管を有する。また、弁は、上部主配管および下部主配管の少なくとも一方に設けられている。このため、主貯湯槽と副貯湯槽の間で容易に温水を移動させることができる。
【0009】
また本形態における貯湯システムは、副貯湯槽に貯湯された温水を、当該副貯湯槽より下の階にある温水需要に、供給する副配管を更に備えた。このため、副貯湯槽から温水需要へ温水を供給するために必要なエネルギーを低減できる。
【0010】
また本形態における貯湯システムは、副貯湯槽および他の副貯湯槽のそれぞれの下部を接続する下部副配管と、副貯湯槽および他の副貯湯槽のそれぞれを、下部よりも上方の位置で接続する上部副配管と、下部副配管または上部副配管の少なくとも一方に設けられる弁とを更に備えた。制御部は、第一の副貯湯槽に貯湯されている温水の熱量が不足するときに、弁を開放することにより、第一の副貯湯槽よりも下の階にある第二の副貯湯槽から第一の副貯湯槽へ熱量を移動させる。このため、副貯湯槽が蓄積する熱量が不足することを未然に防ぐことができる。
【0011】
また本形態における貯湯システムは、主貯湯槽および全ての副貯湯槽の、それぞれの下部を接続する下部配管と、主貯湯槽および全ての副貯湯槽のそれぞれを、下部よりも上方の位置で接続する上部配管とを備えた。上部主配管または下部主配管の少なくとも一方に設けられた弁を制御することによって、主貯湯槽と副貯湯槽とが、それぞれの下部および下部よりも上方の位置で接続された場合に、上部配管は上部主配管として機能し、下部配管は下部主配管として機能する。また、上部副配管または下部副配管の少なくとも一方に設けられた弁を制御することによって、副貯湯槽と他の副貯湯槽とが、それぞれの下部および下部よりも上方の位置で接続された場合に、上部配管は上部副配管として機能し、下部配管は下部副配管として機能する。このため、主貯湯槽および副貯湯槽の任意の組み合わせで、熱量を移動させることができる。
【0012】
本発明の他の形態における建造物は、温水を貯湯する主貯湯槽と、主貯湯槽に貯湯する温水を生成する熱源と、主貯湯槽よりも上方に設置される副貯湯槽と、主貯湯槽および副貯湯槽を接続する配管システムと、配管システムに設けられる弁と、副貯湯槽に貯湯されている温水の熱量が不足するときに、弁を開放することにより主貯湯槽から副貯湯槽へ熱量を移動させる制御部とを備えた。
【0013】
また本形態における建造物は、複数の住宅を更に備え、燃料電池は複数の住宅のそれぞれに設けられている。
【0014】
なお上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションも又発明となりうる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、温水を供給するために必要なエネルギーを削減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、又実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の開発手段に必須であるとは限らない。
【0017】
図1は、本発明の実施形態に係る貯湯システムを備えた建造物32の構成の一例を示す図である。本実施形態は、温水を供給するために必要なエネルギーを削減できる貯湯システムを提供することを目的とする。
【0018】
建造物32は、例えば複数の住居を有する集合住宅であって、複数の階(66a〜66d、以下66と総称する)を有し、それぞれの階66に住宅68が設けられている。それぞれの住宅68には、温水を消費する熱負荷60と、電力によって駆動する電力負荷62が設けられる。建造物32において、階66aは最下層の階であり、階66dは最上層の階である。
【0019】
熱負荷60に温水を供給する貯湯システムは、熱源42と、複数の燃料電池40と、複数の燃料電池配管58と、主貯湯槽44と、複数の副貯湯槽46と、配管システム52と、複数の副配管64と、制御部50とを備える。また、配管システム52は、下部配管56と、上部配管54と、複数の弁48とを備える。
【0020】
燃料電池40は、複数の住宅68のそれぞれに設けられ、それぞれの住宅68に設けられた電力負荷62に電力を供給する。また、燃料電池40の発電によって生成された熱量は、燃料電池配管58を経由して、当該燃料電池40と同じ階66に設置された副貯湯槽46または主貯湯槽44へ運ばれる。主貯湯槽44または副貯湯槽46は、例えば燃料電池40を冷却するための冷却水を循環させることにより、燃料電池40からの排熱を受け取る。本実施形態の貯湯システムの燃料電池配管58は、各階66に設置された燃料電池40と、当該燃料電池40と同じ階66に設置された副貯湯槽46または主貯湯槽44とを結べばよいので、例えば建造物32に備えられた一の貯湯槽に燃料電池40が生成した熱量を供給するための配管を設置する場合に比べて、燃料電池配管58の経路を短くできる。
【0021】
主貯湯槽44は、階66aに設けられ、副貯湯槽46は、階66a以外の複数の階66にそれぞれ設けられる。また、副貯湯槽46は、階66dの上方にも設けられる。すなわち、主貯湯槽44は、いずれの副貯湯槽46が設置された階66よりも下方の階66に設けられている。主貯湯槽44は、熱源42が生成した温水および階66aに設けられた燃料電池40によって生成された温水を貯湯する。副貯湯槽46は、当該副貯湯槽46と同じ階66に設置された燃料電池40が生成した温水を蓄積する。熱源42は、例えばバーナーであって、主貯湯槽44はバーナーの燃焼によって加温された温水を蓄積してよい。また、熱源42は、建造物32の共通の機器の電源である燃料電池であって、主貯湯槽44は当該燃料電池の排熱によって加温された温水を蓄積してもよい。このように、熱源42が、主貯湯槽44に貯湯する温水を生成するので、階66aの燃料電池40が生成する熱量が少ない場合に、熱源42を用いて主貯湯槽44に熱量を供給できる。
【0022】
副配管64は、それぞれの副貯湯槽46に貯湯された温水を、当該副貯湯槽46より下方の階66にあり、かつ、当該副貯湯槽46より下方の階66に設けられた他の副貯湯槽46または主貯湯槽44が温水を供給する熱負荷60よりも上方の階66にある熱負荷60に温水を供給するよう設けられる。本実施形態の貯湯システムでは、それぞれの副貯湯槽46は、当該副貯湯槽46が設置された階66の一つ下の階66の熱負荷60に温水を供給する。また、本実施形態の貯湯システムでは、副貯湯槽46は、副貯湯槽46から供給される温水を循環させずに熱負荷60に供給する。これにより、建造物32における副配管64の全経路の長さを短縮できるので、熱損失が減少する。また、熱負荷60に供給する温水を循環させるためのポンプ等を駆動するエネルギーが不要になる。なお、副配管64には断熱を施してあることが望ましい。
【0023】
主貯湯槽44および副貯湯槽46は、配管システム52によって互いに接続される。また、いずれの副貯湯槽46も、配管システム52によって他の副貯湯槽46と接続される。また、配管システム52は、下部配管56と上部配管54とを有する。下部配管56は、主貯湯槽44および副貯湯槽46のそれぞれの下部を接続する。上部配管54は、主貯湯槽44および副貯湯槽46のそれぞれを、下部配管56が接続された位置よりも上方の位置で接続する。また、上部配管54および下部配管56には、弁48が設けられている。このような配管システム52を備えることで、弁48を制御することによって、主貯湯槽44といずれの副貯湯槽46とが、それぞれの下部、および当該下部よりも上方の位置において、流路で接続される。また、副貯湯槽46と、他のいずれの副貯湯槽46は、それぞれの下部、および当該下部よりも上方の位置において、流路で接続される。したがって、主貯湯槽44に蓄積された熱量を、いずれの副貯湯槽46に提供できる。また、いずれの副貯湯槽46に蓄積された熱量をも、他の全ての副貯湯槽46に提供できる。また、副貯湯槽46と、他の副貯湯槽46または主貯湯槽44との間の流路を必要に応じて切断することができる。
【0024】
制御部50は、主貯湯槽44の熱蓄積量、副貯湯槽46の熱蓄積量、燃料電池40の熱生成量、熱負荷60の熱消費量、および電力負荷62の消費電力量に基づいて、主貯湯槽44、副貯湯槽46、弁48を制御する。すなわち、制御部50は、副貯湯槽46に貯湯されている温水の熱量が不足するときに、弁48を開放することにより主貯湯槽44から副貯湯槽46へ熱量を移動させる。例えば、制御部50は、熱負荷60の消費する熱量が、燃料電池40が副貯湯槽46に提供する熱量に比べて大きく、かつ、副貯湯槽46に蓄積されている熱量が十分でない場合に、主貯湯槽44から熱量を副貯湯槽46に供給するよう弁48を制御する。これによって、副貯湯槽46に蓄積された熱量が不足する場合にのみ間欠的に熱量を移動させることになるので、定常的に温水を循環させる場合と比べて、損失する熱量を低減できる。また、各階66の副貯湯槽46に、各階66の熱負荷60が消費する熱量に応じて適切な量の熱量を蓄積させておくことができる。
【0025】
以上説明したような構成をもつことで、本実施形態の貯湯システムでは、燃料電池40は、当該燃料電池40と同じ階66に設けられた主貯湯槽44または副貯湯槽46に熱量を供給するので、燃料電池配管58の経路を短くすることができる。したがって、燃料電池40の生成した温水が燃料電池配管58を移動する間に損失する熱量を低減でき、かつ、燃料電池配管58を通過する間に損失する圧力を低減できるので、温水を移動させるためのポンプ等を駆動するためのエネルギーを削減することができる。すなわち、燃料電池40が生成した熱量を、エネルギー効率良く副貯湯槽46あるいは主貯湯槽44に提供することができる。
【0026】
また、建造物32の複数の階66に設けられた副貯湯槽46が、当該副貯湯槽46を備える階66の一つ下の階66の熱負荷60に温水を供給するよう副配管64を設置すればよいので、副配管64の経路を短くすることができる。したがって、温水を熱負荷60まで移動させる間に生じる熱損失を低減できるので、副貯湯槽46から供給する温水の温度を低くできる。さらに、副配管64からの熱損失量を低減できるので、熱負荷60に供給する温水を常に循環させておく必要がない。また、副貯湯槽46より下方に設けられた熱負荷60に温水を供給するので、温水を熱負荷60に供給するためのポンプ等が不要となる。ポンプ等が必要な場合であっても、ポンプ等を駆動するためのエネルギーを少なくできる。
【0027】
また、副貯湯槽46の温水を熱負荷60が消費した場合に、副貯湯槽46が供給する水圧を維持するためのエネルギー量を削減することができる。例えば、各階66の熱負荷60に3気圧の水圧で温水を供給する必要があるとき、例えば階66aに設置された一の貯湯槽から温水を循環させて全ての階66の熱負荷60に温水を供給する場合においては、階66dに3気圧で温水を供給するために、階66aから供給する温水の圧力を3気圧より高くする必要がある。例えば20メートル程度の高さをもつ建造物32では、最下層の階66から供給する温水の圧力は5気圧程度必要である。したがって、いずれの階66の熱負荷60が温水を消費した場合であっても、5気圧程度の水圧を維持するためのエネルギーが必要である。
【0028】
しかしながら、本実施形態の貯湯システムでは、各階66の副貯湯槽46または主貯湯槽44から3気圧程度の水圧で温水を供給すればよいので、熱負荷60が温水を消費した場合に、水圧を維持するために必要となるエネルギー量は、各階66の副貯湯槽46がそれぞれ3気圧程度で温水を供給するためのエネルギー量でよい。すなわち、最上層の階66dより下方の階66の副貯湯槽46においては、水圧を維持するために必要となるエネルギー量を低減できる。
【0029】
このように、本実施形態の貯湯システムでは、副貯湯槽46から熱負荷60に温水をエネルギー効率良く提供することができる。
【0030】
また、いずれの副貯湯槽46も、主貯湯槽44よりも上方の階66に設けられ、配管システム52によって副貯湯槽46と主貯湯槽44とが接続されているので、主貯湯槽44に蓄積された高温の温水は、対流によって副貯湯槽46へと移動する。これにより、ポンプを要せずに副貯湯槽46へ熱量を移動させることができる。また、副貯湯槽46と主貯湯槽44とが、下部配管56と上部配管54とで接続されており、主貯湯槽44と副貯湯槽46の比較的低温度の部分が下部配管56で結合され、主貯湯槽44の高温の部分を、副貯湯槽46の部分よりも高温の部分とが上部配管54で結合されている。したがって、主貯湯槽44から副貯湯槽46への間の熱量の移動が促進される。
【0031】
また、弁48が配管システム52に設けられているので、熱量が不足する副貯湯槽46にのみ主貯湯槽44から熱量を移動させることができる。また、熱量が不足する副貯湯槽46と、当該副貯湯槽46より下方の階66の副貯湯槽46との間のみを流路で結合して、当該副貯湯槽46に熱量を移動させることもできる。また、弁48によって主貯湯槽44とそれぞれの副貯湯槽46との流路を遮断できるため、副貯湯槽46が熱負荷60に温水を供給しているときに、他の副貯湯槽46または主貯湯槽44が圧力を損失することを防ぐことができる。したがって、熱負荷60が温水を消費した場合に、熱負荷60に供給する温水の圧力を維持するためのエネルギー量を低減できる。このように、本実施形態の貯湯システムでは、副貯湯槽46が蓄積した温水を維持するときに発生するエネルギーのロスを削減できる。
【0032】
このように、本実施形態の貯湯システムでは、燃料電池40が生成した熱量を主貯湯槽44または副貯湯槽46に提供する過程と、主貯湯槽44または副貯湯槽46において蓄積される温水を維持する過程と、温水を副貯湯槽46から熱負荷60に提供する過程のそれぞれの過程において、エネルギーの損失量を低減できる。
【0033】
また、本実施形態によれば、以下の課題をも解決できる。従来のコージェネレーションシステムでは、例えば燃料電池が生産する熱量を、それぞれの燃料電池に備えられた貯湯槽に蓄積して、貯湯槽に接続された熱需要にのみ熱量を供給していた。したがって、貯湯槽に蓄積される熱量が、貯湯槽に蓄積できる熱量の上限に達した場合には、燃料電池の運転を停止するか、燃料電池の運転を継続させるために貯湯槽から熱量を廃棄する必要があった。このため、エネルギー効率が低下する場合があった。また、貯湯槽に蓄積される熱量が、熱需要が必要とする熱量に比べて不足することによって、熱需要が必要とする熱量を消費できできない場合があった。
【0034】
しかしながら、本実施形態によれば、主貯湯槽44といずれの副貯湯槽46との間で、熱量を移動させることができる。また、副貯湯槽46と他のいずれの副貯湯槽46との間でも、熱量を移動させることができる。したがって、副貯湯槽46が蓄積できる熱量の上限に達しないよう、熱量を上方の階66の副貯湯槽46に移動させることによって、副貯湯槽46から熱量を廃棄することなく、燃料電池40の運転を継続することができる。また、副貯湯槽46に蓄積される熱量が不足しないよう、下方の副貯湯槽46または主貯湯槽44から熱量を移動させることによって、熱負荷60は熱量を消費し続けることができる。
【0035】
図2は、副貯湯槽46に熱量を下方から移動させる場合の制御部50の動作の詳細を示す図である。以下、副貯湯槽46が貯蓄する熱量が、熱負荷60によって消費される熱量に比べて不足する場合の、制御部50の動作の詳細を説明する。制御部50は、熱量の移動元の主貯湯槽44または副貯湯槽46を選択する(S202)。このとき、制御部50は、熱量が不足した副貯湯槽46より下方の、最も近い階66に備えられた主貯湯槽44または副貯湯槽46を選択することを第一の条件としてよい。また制御部50は、熱量が不足した副貯湯槽46より下方にある主貯湯槽44または副貯湯槽46のうち、蓄積した熱量に最も余裕がある主貯湯槽44または副貯湯槽46を選択することを第二の条件としてよい。
【0036】
制御部50は、S202において選択した主貯湯槽44または副貯湯槽46から移動させる熱量を計算する(S204)。制御部50は、S202において選択した主貯湯槽44または副貯湯槽46と、熱量が不足する副貯湯槽46とが流路で結合されるよう弁48を開放する(S206)。
【0037】
さらに、制御部50は、熱量の移動が完了したか否かを判定する(S208)。S208において、熱量の移動が完了していない場合は、S208の判定を繰り返す。S208において、熱量の移動が完了した場合は、S202において選択した主貯湯槽44または副貯湯槽46との間の流路が遮断されるよう弁48を閉じる(S210)。さらに制御部50は、熱量の不足が解消したか否かを判定する(S212)。S212において熱量の不足が解消した場合には、処理を終了する。S212において熱量の不足が解消していない場合には、S202に処理を移行させる。
【0038】
また制御部50は、主貯湯槽44または副貯湯槽46が蓄積する熱量が過剰である場合に、当該主貯湯槽44または当該副貯湯槽46に蓄積された熱量を、当該主貯湯槽44または当該副貯湯槽46が設置された階66よりも上方の階66に設置された副貯湯槽46に熱量を移動させてもよい。この場合は、S202およびS212以外のステップは、図2に示した制御と同様の制御を行う。また、図2のS202においては、熱量の移動先の副貯湯槽46を選択する。また、S212においては、熱量の過剰が解消したか否かを判定する。
【0039】
このように制御部50は、副貯湯槽46が蓄積する熱量に不足が生じた場合、あるいは主貯湯槽44または副貯湯槽46が蓄積する熱量に過剰が生じた場合に、弁48の開閉を制御することによって、当該主貯湯槽44または当該副貯湯槽46における熱量の過不足を解消させる。また制御部50は、主貯湯槽44から副貯湯槽46に熱量を補給した場合に、主貯湯槽44が蓄積する熱量に不足する場合は、熱源42が主貯湯槽44へ供給する熱量を増加させるべく、熱源42を制御する。
【0040】
また、制御部50は、副貯湯槽46が蓄積する熱量が過剰である場合に、当該副貯湯槽46に蓄積された熱量を、当該副貯湯槽46が設置された階66よりも下方の階66に設置された副貯湯槽46または主貯湯槽44に熱量を移動させてもよい。
【0041】
図3は、副貯湯槽46から熱量を下方に移動させる場合の制御部50の動作の詳細を示す図である。制御部50は、副貯湯槽46が貯蓄する熱量が、予め定めた熱量を越える場合、熱量の移動先の主貯湯槽44または副貯湯槽46を選択する(S222)。このとき制御部50は、熱量が過剰である副貯湯槽46より下方の、最も近い階66が備える主貯湯槽44または副貯湯槽46を選択することを第一の条件としてよい。また、蓄積した熱量が最も少ない主貯湯槽44または副貯湯槽46を選択することを第二の条件としてよい。
【0042】
制御部50は、S222において選択した主貯湯槽44または副貯湯槽46に移動させる熱量を計算する(S224)。制御部50は、S222において選択した主貯湯槽44または副貯湯槽46の上部を開放する(S226)。S226において制御部50は、例えばS222において選択した主貯湯槽44または副貯湯槽46の上部を大気開放してよい。さらに、制御部50は、S222において選択した主貯湯槽44または副貯湯槽46と、熱量が過剰である副貯湯槽46とが流路で結合されるよう弁48を開放して、熱量が過剰である副貯湯槽46から温水を移動させる(S228)。
【0043】
さらに制御部50は、熱量の移動が完了したか否かを判定する(S230)。S230において、熱量の移動が完了していない場合は、S230の判定を繰り返す。S230において、熱量の移動が完了した場合は、S222において選択した主貯湯槽44または副貯湯槽46との間の流路が遮断されるよう弁48を閉じる(S232)。さらに制御部50は、熱量の過剰が解消したか否かを判定する(S236)。S236において熱量の過剰が解消した場合には、処理を終了する。S236において熱量の過剰が解消していない場合には、S222に処理を移行させる。
【0044】
また制御部50は、副貯湯槽46が蓄積する熱量が不足する場合に、当該副貯湯槽46より下方の階66に設置された主貯湯槽44または副貯湯槽46から熱量の供給を受けることができない場合、当該副貯湯槽46が設置された階66よりも上方の階66に設置された副貯湯槽46から熱量を移動させてもよい。この場合は、S222およびS236以外のステップは、図3に示した制御と同様の制御を行う。また、図3のS222においては、熱量の移動元の副貯湯槽46を選択する。また、S236においては、熱量の不足が解消したか否かを判定する。
【0045】
また、制御部50は、熱負荷60の将来の熱消費量の予測と、電力負荷62の将来の消費電力の予測に基づいて、副貯湯槽46に将来において蓄積される熱量の過不足を判断してよい。さらに制御部50は、副貯湯槽46に将来において蓄積される熱量に過不足が生じると判断した場合に、将来の過不足を予め解消するよう制御してもよい。例えば、制御部50は、将来予測される熱の蓄積量が不足する副貯湯槽46に、将来予測される熱の蓄積量に最も余裕がある主貯湯槽44または副貯湯槽46から熱量を移動させるよう制御してよい。また、制御部50は、将来予測される熱の蓄積量が過剰となる副貯湯槽46から、将来予測される熱の蓄積量が最も少ない主貯湯槽44または副貯湯槽46に熱量を移動させるよう制御してよい。
【0046】
制御部50は、熱負荷60の過去における熱消費量の履歴と、電力負荷62の過去における電力消費量の履歴とに基づいて、将来の予め定めた期間において予測される熱消費量および電力消費量を予測することで、将来の予め定めた期間における将来の熱の蓄積量を計算して、熱量の過不足を判断する。
【0047】
図4は、将来の熱量の過不足を判断する場合の、制御部50の動作の詳細を示す図である。制御部50は、各階66の副貯湯槽46に対して図4に示される動作を行う。制御部50は、予め定めた期間内に副貯湯槽46に供給される熱量の積算量を計算し、当該積算量と、現在副貯湯槽46に蓄積されている熱量との和を、将来の熱の蓄積量として予め定めた期間にわたって計算する(S242)。S242において、制御部50は、予め定めた期間内に電力負荷62が消費する将来の消費電力量を計算して、燃料電池40が生成する熱量を計算することで、予め定めた期間内に副貯湯槽46に供給される熱量の積算量を計算する。
【0048】
制御部50は、予め定めた期間内に熱負荷60が消費する熱量の積算量を計算する(S244)。さらに制御部50は、S244で計算した、熱負荷60が消費する熱量の積算量が、S242において計算した副貯湯槽46の熱の蓄積量を、予め定めた期間内に越えるか否かを判定する(S246)。S246において、熱負荷60が消費する熱量の積算量が、副貯湯槽46の熱の蓄積量を予め定めた期間内に越える場合、S202またはS222に処理を移行する。すなわち、当該副貯湯槽46より下方の階66の主貯湯槽44または副貯湯槽46から熱量を移動させる場合はS202に処理を移行し、当該副貯湯槽46より上方の階66の副貯湯槽46から熱量を移動させる場合はS222に処理を移行する。
【0049】
S246において、熱負荷60が消費する熱量の積算量が、副貯湯槽46の熱の蓄積量を予め定めた期間内に超えない場合、制御部50は、予め定めた期間内に副貯湯槽46に蓄積される熱量が過剰となるか否かを判断する(S248)。S248において、副貯湯槽46に蓄積される熱の蓄積量が過剰か否かを判断するとき、制御部50は、例えば、副貯湯槽46に蓄積される熱量が予め定めた基準値を越える場合に、熱の蓄積量が過剰であると判断し、副貯湯槽46に蓄積される熱量が予め定めた基準値を越えない場合に、熱の蓄積量は過剰ではないと判断する。
【0050】
S248において熱の蓄積量が過剰となると判断した場合、制御部50は、S202またはS222に処理を移行する。すなわち、当該副貯湯槽46より上方の階66の副貯湯槽46に熱量を移動させる場合はS202に処理を移行させ、当該副貯湯槽46より下方の階66の主貯湯槽44または副貯湯槽46に熱量を移動させる場合はS222に処理を移行させる。S248において熱の蓄積量が過剰にならないと判断した場合、処理を終了する。
【0051】
制御部50は、各階66の主貯湯槽44または副貯湯槽46に将来において蓄積される熱量を予測するため、熱負荷60の熱消費量の履歴と、電力負荷62の消費電力量の履歴とを、各階66ごとに管理してよい。例えば、制御部50は、一日を複数の時間帯に分割して、それぞれの時間帯毎に、それぞれの階66における、熱負荷60の熱消費量の履歴と、電力負荷62の消費電力量の履歴を管理してよい。
【0052】
また、制御部50は、熱消費量および電力消費量の履歴のうち、前年、又は前月の同日の、熱消費量の履歴および消費電力量の履歴に基づいて、当日の熱負荷60における予測熱消費量および、電力負荷62における予測電力消費量を算出してよい。また、制御部50は、一日を複数の時間帯に分割したそれぞれの時間帯における熱消費量の履歴および消費電力量の履歴の、予め定めた日数の平均値を、当日のそれぞれの時間帯における、熱負荷60の予測熱消費量および電力負荷62の予測電力消費量として算出してもよい。また、制御部50は、予め定めた期間における熱消費量の履歴および電力消費量の履歴を曜日毎に分類して、曜日毎に予測熱消費量および予測電力消費量を算出してもよい。この場合においても、それぞれの曜日を複数の時間帯に分割したそれぞれの時間帯における予測熱消費量および予測電力消費量を算出してよい。
【0053】
このように、制御部50は、熱負荷60の熱消費量の過去の履歴と、電力負荷62の電力消費量の過去の履歴とに基づいて、主貯湯槽44または副貯湯槽46の将来における熱量の過不足を予測することで、将来における熱量の過不足が生じないよう予め熱量を移動させておくことができる。
【0054】
このように、本実施形態の貯湯システムでは、それぞれの階66に設置された副貯湯槽46と、主貯湯槽44または他の副貯湯槽46との間で熱量を移動させている間でのみ熱量の損失が発生するので、熱量の損失を低減しつつ、熱負荷60に温水を提供できる。例えば、建造物32に設けられた一の貯湯槽から温水を熱負荷60に供給する場合、熱負荷60が必要とする熱量を即時に提供するためには温水を常に循環させる必要があるが、このような場合は定常的に熱損失が発生する。しかしながら本実施形態の貯湯システムでは、例えば、制御部50が、現在から1時間後までの間に副貯湯槽46に蓄積される熱量の過不足を適切に判断することで、副貯湯槽46と、主貯湯槽44または他の副貯湯槽46との間で熱量を移動させる頻度を、1時間に1回程度の割合にまで低減できる。したがって、熱量の損失の発生は間欠的となる。
【0055】
なお、本実施形態の貯湯システムでは、副貯湯槽46は、温水を循環させずに熱負荷60に温水を供給するが、他の方法では、副貯湯槽46から熱負荷60に供給する温水を循環させてもよい。このような場合であっても、各階66の副貯湯槽46は、それぞれの副貯湯槽46が備えられた階66の近傍で温水を循環させればよいので、循環経路の上流と下流における温度差は、全ての階66に温水を循環させる間に損失する熱量より小さい。したがって、循環させる温水の温度をより低く設定できる。また、副貯湯槽46の温水が消費された場合に、熱負荷60に供給する温水の圧力を維持するために補給するエネルギー量も低減できる。
【0056】
図5は、貯湯システムを機能させるコンピュータ500の構成の一例を示す図である。本例において、コンピュータ500は、貯湯システムを図1から図4において説明した貯湯システムとして機能させるプログラムを格納する。また、コンピュータ500は、貯湯システムの制御部50として更に機能してもよい。
【0057】
コンピュータ500は、CPU700と、ROM702と、RAM704と、通信インターフェース706と、ハードディスクドライブ710と、フレキシブルディスクドライブ712と、CD−ROMドライブ714とを備える。CPU700は、ROM702、RAM704、ハードディスクドライブ710、フレキシブルディスク720、及び/又はCD−ROM722に格納されたプログラムに基づいて動作する。
【0058】
例えば、貯湯システムを機能させるプログラムは、コンピュータ500を、図1から図4に関連して説明した制御部50として機能させ、主貯湯槽44、副貯湯槽46、弁48、および熱源42を、図1から図4に関連して説明したように制御することにより、貯湯システムを機能させる。
【0059】
通信インターフェース706は、例えば主貯湯槽44、副貯湯槽46、弁48、熱源42、燃料電池40、電力負荷62および熱負荷60と通信し、それぞれの状態等に関する情報を受信し、またそれぞれを制御する制御信号を送信する。格納装置の一例としてのハードディスクドライブ710、ROM702、又はRAM704は、設定情報、及びCPU700を動作させるためのプログラム等を格納する。また、当該プログラムは、フレキシブルディスク720、CD−ROM722等の記録媒体に格納されていてもよい。
【0060】
フレキシブルディスクドライブ712は、フレキシブルディスク720がプログラムを格納している場合、フレキシブルディスク720からプログラムを読み取りCPU700に提供する。CD−ROMドライブ714は、CD−ROM722がプログラムを格納している場合、CD−ROM722からプログラムを読み取りCPU700に提供する。
【0061】
また、プログラムは記録媒体から直接RAMに読み出されて実行されても、一旦ハードディスクドライブ710にインストールされた後にRAM704に読み出されて実行されてもよい。更に、上記プログラムは単一の記録媒体に格納されても複数の記録媒体に格納されても良い。また記録媒体に格納されるプログラムは、オペレーティングシステムとの共同によってそれぞれの機能を提供してもよい。例えば、プログラムは、機能の一部または全部を行うことをオペレーティングシステムに依頼し、オペレーティングシステムからの応答に基づいて機能を提供するものであってもよい。
【0062】
プログラムを格納する記録媒体としては、フレキシブルディスク、CD−ROMの他にも、DVD、PD等の光学記録媒体、MD等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、フラッシュメモリ、ICカード、ミニチュアーカード等の半導体メモリー等を用いることができる。又、専用通信ネットワークやインターネットに接続されたサーバシステムに設けたハードディスクまたはRAM等の格納装置を記録媒体として使用してもよい。
【0063】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることができることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施形態に係る貯湯システムの構成の一例を示す。
【図2】副貯湯槽46に熱量を下方から移動させる場合の制御部50の動作の詳細を示す。
【図3】副貯湯槽46から熱量を下方に移動させる場合の制御部50の動作の詳細を示す。
【図4】将来の熱量の過不足を判断する場合の、制御部50の動作の詳細を示す。
【図5】貯湯システムを機能させるコンピュータ500の構成の一例を示す。
【符号の説明】
【0065】
32・・・建造物、40・・・燃料電池、42・・・熱源、44・・・主貯湯槽、46・・・副貯湯槽、48・・・弁、50・・・制御部、52・・・配管システム、54・・・上部配管、56・・・下部配管、58・・・燃料電池配管、60・・・熱負荷、62・・・電力負荷、64・・・副配管、66・・・階、500・・・コンピュータ、700・・・CPU、702・・・ROM、704・・・RAM、706・・・通信インターフェイス、710・・・ハードディスクドライブ、712・・・フレキシブルディスクドライブ、714・・・CD−ROMドライブ、720・・・フレキシブルディスク、722・・・CD−ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水を貯湯する主貯湯槽と、
前記主貯湯槽に貯湯する温水を生成する熱源と、
前記主貯湯槽よりも上方に設置される副貯湯槽と、
前記主貯湯槽および前記副貯湯槽を接続する配管システムと、
前記配管システムに設けられる弁と、
前記副貯湯槽に貯湯されている温水の熱量が不足するときに、前記弁を開放することにより前記主貯湯槽から前記副貯湯槽へ熱量を移動させる制御部と
を備える貯湯システム。
【請求項2】
前記副貯湯槽は、建造物の複数の階にそれぞれ設けられており、
前記主貯湯槽は、前記建造物における前記副貯湯槽が設置された階よりも下の階に設けられている請求項1に記載の貯湯システム。
【請求項3】
前記副貯湯槽が設置された複数の階のそれぞれに設置される燃料電池と、
前記燃料電池が生成した温水を、前記燃料電池に対応付けられた階に設置された前記副貯湯槽へ受け渡す燃料電池配管と
を更に備える請求項2に記載の貯湯システム。
【請求項4】
前記配管システムは、前記主貯湯槽および前記副貯湯槽のそれぞれの下部を接続する下部主配管と、前記主貯湯槽および前記副貯湯槽のそれぞれを、前記下部よりも上方の位置で接続する上部主配管を有し、
前記弁は、前記上部主配管および前記下部主配管の少なくとも一方に設けられている請求項3に記載の貯湯システム。
【請求項5】
前記副貯湯槽に貯湯された温水を、前記副貯湯槽より下の階にある温水需要に供給する副配管を更に備える請求項4に記載の貯湯システム。
【請求項6】
前記副貯湯槽および他の前記副貯湯槽のそれぞれの下部を接続する下部副配管と、前記副貯湯槽および他の前記副貯湯槽のそれぞれを、前記下部よりも上方の位置で接続する上部副配管と、
前記下部副配管または前記上部副配管の少なくとも一方に設けられる弁と、
を更に備え、
前記制御部は、第一の前記副貯湯槽に貯湯されている温水の熱量が不足するときに、前記弁を開放することにより、第一の前記副貯湯槽よりも下の階にある第二の前記副貯湯槽から第一の前記副貯湯槽へ熱量を移動させる請求項5に記載の貯湯システム。
【請求項7】
前記主貯湯槽および全ての前記副貯湯槽の、それぞれの前記下部を接続する下部配管と、前記主貯湯槽および全ての前記副貯湯槽のそれぞれを、前記下部よりも上方の位置で接続する上部配管と、
を備え、
前記上部主配管または前記下部主配管の少なくとも一方に設けられた前記弁を制御することによって、前記主貯湯槽と前記副貯湯槽とが、それぞれの下部および前記下部よりも上方の位置で接続された場合に、前記上部配管は前記上部主配管として機能し、前記下部配管は前記下部主配管として機能し、
前記上部副配管または前記下部副配管の少なくとも一方に設けられた前記弁を制御することによって、前記副貯湯槽と他の前記副貯湯槽とが、それぞれの下部および前記下部よりも上方の位置で接続された場合に、前記上部配管は前記上部副配管として機能し、前記下部配管は前記下部副配管として機能する請求項6に記載の貯湯システム。
【請求項8】
温水を貯湯する主貯湯槽と、
前記主貯湯槽に貯湯する温水を生成する熱源と、
前記主貯湯槽よりも上方に設置される副貯湯槽と、
前記主貯湯槽および前記副貯湯槽を接続する配管システムと、
前記配管システムに設けられる弁と、
前記副貯湯槽に貯湯されている温水の熱量が不足するときに、前記弁を開放することにより前記主貯湯槽から前記副貯湯槽へ熱量を移動させる制御部と
を備える建造物。
【請求項9】
前記副貯湯槽は、前記建造物の複数の階にそれぞれ設けられており、
前記主貯湯槽は、前記建造物における前記副貯湯槽が設置された階よりも下の階に設けられている請求項8に記載の建造物。
【請求項10】
前記副貯湯槽が設置された複数の階のそれぞれに設置される燃料電池と、
前記燃料電池が生成した温水を、前記燃料電池に対応付けられた階に設置された前記副貯湯槽へ受け渡す燃料電池配管と
を更に備える請求項9に記載の建造物。
【請求項11】
前記配管システムは、前記主貯湯槽および前記副貯湯槽のそれぞれの下部を接続する下部主配管と、前記主貯湯槽および前記副貯湯槽のそれぞれを、前記下部よりも上方の位置で接続する上部主配管を有し、
前記弁は、前記上部主配管および前記下部主配管の少なくとも一方に設けられている請求項10に記載の建造物。
【請求項12】
前記副貯湯槽に貯湯された温水を、前記副貯湯槽より下の階にある温水需要に供給する副配管を更に備える請求項11に記載の建造物。
【請求項13】
前記副貯湯槽および他の前記副貯湯槽のそれぞれの前記下部を接続する下部副配管と、
前記副貯湯槽および他の前記副貯湯槽のそれぞれを、前記下部よりも上方の位置で接続する上部副配管と、
前記下部副配管または前記上部副配管の少なくとも一方に設けられる弁と、
を更に備え、
前記制御部は、第一の前記副貯湯槽に貯湯されている温水の熱量が不足するときに、前記弁を開放することにより、第一の前記副貯湯槽よりも下の階にある第二の前記副貯湯槽から第一の前記副貯湯槽へ熱量を移動させる請求項12に記載の建造物。
【請求項14】
前記主貯湯槽および全ての前記副貯湯槽の、それぞれの前記下部を接続する下部配管と、前記主貯湯槽および全ての前記副貯湯槽のそれぞれを、前記下部よりも上方の位置で接続する上部配管と、
を備え、
前記上部主配管または前記下部主配管の少なくとも一方に設けられた前記弁を制御することによって、前記主貯湯槽と前記副貯湯槽とが、それぞれの下部および前記下部よりも上方の位置で接続された場合に、前記上部配管は前記上部主配管として機能し、前記下部配管は前記下部主配管として機能し、
前記上部副配管または前記下部副配管の少なくとも一方に設けられた前記弁を制御することによって、前記副貯湯槽と他の前記副貯湯槽とが、それぞれの下部および前記下部よりも上方の位置で接続された場合に、前記上部配管は前記上部副配管として機能し、前記下部配管は前記下部副配管として機能する請求項13に記載の建造物。
【請求項15】
複数の住宅を更に備え、
前記燃料電池は、複数の前記住宅のそれぞれに設けられている請求項14に記載の建造物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−38326(P2006−38326A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−217909(P2004−217909)
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【出願人】(000206211)大成建設株式会社 (1,602)
【出願人】(399059496)コスモ石油ガス株式会社 (4)
【出願人】(000005854)丸紅株式会社 (11)
【出願人】(302064762)株式会社日本総合研究所 (367)
【Fターム(参考)】