説明

温風暖房装置

【課題】未燃ガスや臭気の少ない快適な温風暖房装置を提供する。
【解決手段】
燃焼筒11の上部に設けた整流穴15を有した整流板16の上部に、酸化触媒20を有する触媒体19を設け、前記酸化触媒20を整流穴15と同じ大きさで整流穴15の真上の位置に設けたので、燃焼筒11内を上昇して整流板16の整流穴15を通過した燃焼ガスはそのまま整流穴15の上部に位置する触媒体19の酸化触媒20を通過するので、燃焼中及び消火動作時の臭気低減を図ることが出来き、また、酸化触媒20は整流穴15と同じ大きさなので、整流穴15を通過して上昇してきた燃焼ガスは酸化触媒20全体を均一に通過し、酸化触媒20全体を活性温度域に保って良好な触媒作用を発揮することができるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、燃焼ガスをそのまま室内に温風として放出し室内の暖房を行う温風暖房装置の臭気低減に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からこの種のものに於いては、図3に示すように電磁ポンプ101で圧送される燃料を気化ヒータ102で気化する気化筒103で気化した気化ガスと、燃焼ファン104によって供給される燃焼一次空気とを予混合し、炎孔を形成したバーナ105で燃焼させると共に、バーナ105とヒートバック部106とは本体107内を区画する上仕切板108と下仕切板109と側面板(図示せず)とで構成された送風ボックス110内に突出して設けられている。
【0003】
また下仕切板109上のバーナ105を囲んで設けられた燃焼筒111は、前面中央に燃焼確認窓112,背面下部に燃焼二次空気取り入れ口113を有していると共に、燃焼筒111上端の係止爪114を介して大小複数の整流穴115を有した整流板116が固定されている。
【0004】
そして、この整流板116周縁上部の取付片117によって整流板116と間隙118を有した状態で前方に傾斜して触媒体119が取り付けられており、この触媒体119に燃焼ガスが通過することでこの燃焼ガス中の一酸化炭素や炭化水素類を酸化させ窒素酸化物を低減すると共に、燃焼ガス中の臭い成分も同じように除去して臭気を低減するものである。
【0005】
そして燃焼を開始すると、燃焼中にバーナ105の燃焼で発生した火炎は、対流ファン120からの送風の一部を燃焼二次空気取り入れ口113から流入させた燃焼二次空気によって完全燃焼するが、この燃焼により発生した燃焼排ガスは、燃焼筒111内を上昇して整流板116を通過し触媒体119にて未燃ガスと臭気が除去され、温風吹出口121より室内に吹き出されるものであった。(例えば、特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−97495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところでこの従来のものでは、燃焼ガス中の窒素酸化物を抑えたり、温風温度を均一にしたり、炎が局所的に燃焼筒111から噴き出さないようにするために、燃焼筒111上端に整流穴115を有した整流板116を固定しているが、触媒体119で整流穴115の真上の部分は燃焼ガスが常時通過するので高温になり、触媒体119で整流穴115の真上以外の部分は真上の部分に比べて燃焼ガスが通過しないので真上の部分よりも温度が低くなっていた。
【0008】
そのため、触媒体119が均一の高温状態にならず、そのため燃焼ガス中の一酸化炭素や炭化水素類を酸化させ窒素酸化物を低減させたり、燃焼ガス中の臭い成分を除去して臭気を低減することが触媒体119全体で安定して行うことができないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明はこの点に着目し上記課題を解決する為、特にその構成を請求項1では、燃料を気化する気化筒と、この気化ガスと燃焼ファンによって供給される燃焼一次空気とを予混合し、形成した炎孔で燃焼させるバーナと、該バーナを囲んで設けられた燃焼筒とを有し、該燃焼筒の上部には整流穴を有した整流板を設けると共に、該整流板の上部に酸化触媒を有する触媒体を設けた温風暖房装置に於いて、前記酸化触媒は整流穴と同じ大きさで整流穴の真上の位置に設けたものである。
【0010】
又請求項2に係る温風暖房装置では、特にその構成を請求項1に於いて、前記整流板は整流穴を複数有すると共に、触媒体は前記各整流穴の真上の位置に各整流穴と同じ大きさの酸化触媒を設けたものである。
【発明の効果】
【0011】
この発明の請求項1によれば、燃焼筒の上部に設けた整流穴を有した整流板の上部に酸化触媒を有する触媒体を設け、前記酸化触媒を整流穴と同じ大きさで整流穴の真上の位置に設けたので、燃焼筒内を上昇して整流板の整流穴を通過した燃焼ガスはそのまま整流穴の上部に位置する触媒体の酸化触媒を通過するので、燃焼中及び消火動作時の臭気低減を図ることが出来るものである。
【0012】
また、触媒体の酸化触媒は整流板の整流穴と同じ大きさなので、整流板の整流穴を通過して上昇してきた燃焼ガスは触媒体の酸化触媒全体を均一に通過し、それにより酸化触媒全体が高温になって酸化触媒全体を活性温度域に保って良好な触媒作用を発揮することができるものである。
【0013】
又、本発明の請求項2に記載の温風暖房装置によれば、整流板は整流穴を複数有すると共に、触媒体は前記各整流穴の真上の位置に各整流穴と同じ大きさの酸化触媒を設けたので、燃焼ガス中の窒素酸化物を抑えたり、温風温度を均一にしたり、炎が局所的に燃焼筒から噴き出さないようにするために整流板の整流穴を大きさを変えて複数設けても、各々の整流穴と同じ大きさの酸化触媒が各々の整流穴から上昇してきた燃焼ガスに対応するので、各酸化触媒が全体を活性温度域に保って良好な触媒作用を発揮することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】この発明の一実施形態を示す温風暖房装置の断面図
【図2】同燃焼筒の斜視図図。
【図3】従来の温風暖房装置の断面図。
【図4】同燃焼筒の斜視図図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
次に、本発明に係る発明の1実施形態を図面に基づいて説明する。
1は電磁ポンプ2で圧送される燃料を気化ヒータ3で気化する気化筒で、この気化ガスと燃焼ファン4によって供給される燃焼一次空気とを予混合し、上部のネットで炎孔を形成したバーナ5で燃焼させると共に、ヒートバック部6で燃焼中の気化ヒータ3の負荷を軽減しており、前記バーナ5とヒートバック部6とは本体7内を区画する上仕切板8と下仕切板9と側面板(図示せず)とで構成された送風ボックス10内に突出して設けられている。
【0016】
11は下仕切板9上のバーナ5を囲んで設けられた燃焼筒で、前面中央に燃焼確認窓12,背面下部に燃焼二次空気取り入れ口13を有していると共に、燃焼筒11上端の係止爪14を介して整流穴15を有した整流板16が固定されている。
【0017】
この整流板16周縁上部の取付片17によって整流板16と間隙18を有した状態で前方に傾斜して触媒体19が取り付けられ、前記整流板16の整流穴15と間隙18とによって前記バーナ5の火炎の安定化と前記第1の触媒体19の適性温度化を行っている。
【0018】
前記触媒体19はカルシウムアルミネート、溶融シリカ等を押し出し形成して焼成したハニカム状フィルタに熱触媒用酸化鉄を配合した触媒液を含浸加工して形成した円盤状の酸化触媒20と、該酸化触媒20を略中央の触媒取付穴21に取り付ける円盤状の触媒取付金具22からなり、整流板16の整流穴15から上昇してきた燃焼ガスが触媒体19の酸化触媒20を通過することで、燃焼ガス中の一酸化炭素や炭化水素類を酸化させ窒素酸化物を低減すると共に、燃焼ガス中の臭い成分も同じように除去して臭気を低減するものである。
【0019】
23は前記送風ボックス10の前面下部に開口され多数のルーバ24が設けられた温風吹出口であり、25は前記送風ボックス10背面に開口され前記温風吹出口23よりも上方に開口部を有する温風空気取り入れ口であって、この温風空気取り入れ口25には薄板をパンチング加工で多孔状に形成した対流ファンガード26を介して対流ファン27が取り付けられている。
【0020】
前記送風ボックス10内で燃焼筒11の上方には案内板28が設けられ、上仕切板8との間に対流ファン27からの送風を通過させて本体7の加熱を防止する冷却路29を形成しているものである。
【0021】
30は前記電磁ポンプ2,気化ヒータ3,燃焼ファン4,対流ファン27,点火器(図示せず)などを制御する燃焼制御部である。
【0022】
次に本発明の一実施例の作動について説明する。
今燃焼中にバーナ5の燃焼で発生した火炎は、対流ファン27からの送風の一部を燃焼二次空気取り入れ口13から流入させた燃焼二次空気によって完全燃焼するが、この対流ファン27の慣性力によってねじれを有した燃焼二次空気によって火炎が片寄ったり不安定にならないように整流板16及びこの整流板16と触媒体19との間の間隙18とが設計されており、この燃焼により発生した燃焼排ガスは、燃焼筒11内を上昇して整流板16の整流穴15を通過し触媒体19の酸化触媒20にて未燃ガスと臭気が除去されて浄化脱臭される。
【0023】
触媒体19の酸化触媒20は通過する燃焼排ガスで高温に加熱され、触媒体19の上部と下部の間隙18とを通過する対流ファン24の送風によって酸化触媒20全体が高温の活性温度域内に保たれて良好な触媒作用を発揮する。
【0024】
次に図示しない消火スイッチを入れると燃焼制御部30は消火動作に入り、まず対流ファン27にブレーキを掛けて停止させ、遅延時間後に電磁ポンプ2及び燃焼ファン4を停止し、気化筒1内の残留ガスを燃焼し尽くす。
【0025】
この時対流ファン27は停止しているので、残留ガスが燃焼して未燃ガスや臭気を多く含んだ燃焼ガスが発生し、燃焼筒11を自然上昇する燃焼ガスは触媒体19の酸化触媒20を通過して未燃ガスと臭気とを除去されて送風ボックス10背面の温風空気取り入れ口22から室内に自然放出されるので、消火時にも大幅に臭気低減できるものである。
【0026】
そして残留ガスを燃焼し尽くした後に対流ファン27及び燃焼ファン4は再び一定時間作動してバーナ5付近の冷却を行って消火終了となるものである。
【0027】
従って本発明は、燃焼筒11内を上昇して整流板16の整流穴15を通過した燃焼ガスはそのまま整流穴15の上部に位置する触媒体19の酸化触媒20を通過するので、燃焼中及び消火動作時の臭気低減を図ることが出来るものである。
【0028】
また、触媒体19の酸化触媒20は整流板16の整流穴15と同じ大きさなので、整流板16の整流穴15を通過して上昇してきた燃焼ガスは触媒体19の酸化触媒20全体を均一に通過し、それにより酸化触媒20全体が高温になって酸化触媒20全体を活性温度域に保って良好な触媒作用を発揮することができるものである。
【0029】
尚本実施例に於いては、整流板16の整流穴15を1つにし、それに対応して触媒体19の酸化触媒20も1つにしたが、これに限らず整流板16の整流穴15が複数形成されているときは触媒体19の酸化触媒20を各整流穴15の上部に位置するように複数設けてもよいものである。
【0030】
それにより燃焼ガス中の窒素酸化物を抑えたり、温風温度を均一にしたり、炎が局所的に燃焼筒11から噴き出さないようにするために整流板16の整流穴15を大きさを変えて複数設けても、各々の整流穴15と同じ大きさの酸化触媒20が各々の整流穴15から上昇してきた燃焼ガスに対応するので、各酸化触媒20が全体を活性温度域に保って良好な触媒作用を発揮することができるものである。
【符号の説明】
【0031】
1 気化筒
4 燃焼ファン
5 バーナ
11 燃焼筒
15 整流穴
16 整流板
19 触媒体
20 酸化触媒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を気化する気化筒と、この気化ガスと燃焼ファンによって供給される燃焼一次空気とを予混合し、形成した炎孔で燃焼させるバーナと、該バーナを囲んで設けられた燃焼筒とを有し、該燃焼筒の上部には整流穴を有した整流板を設けると共に、該整流板の上部に酸化触媒を有する触媒体を設けた温風暖房装置に於いて、前記酸化触媒は整流穴と同じ大きさで整流穴の真上の位置に設けたこと特徴とする温風暖房装置。
【請求項2】
前記整流板は整流穴を複数有すると共に、触媒体は前記各整流穴の真上の位置に各整流穴と同じ大きさの酸化触媒を設けたこと特徴とする請求項1記載の温風暖房装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−2697(P2013−2697A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133262(P2011−133262)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)
【Fターム(参考)】