説明

溶融金属めっき浴用軸受

【課題】溶融金属めっき浴に浸漬され使用される溶融金属めっき浴用軸受において、自動調芯機能を奏すべき面の使用中における磨耗が少なく、自動調芯機能を長期間に渡り維持できるシンプルな構成の溶融金属めっき浴用軸受を提供する。
【解決手段】溶融金属めっき浴中に浸漬される回転体の軸部27aを回転自在に支承するとともに、互いに直交する二の平面を有する支持部材2で支持される溶融金属めっき浴用軸受3であって、前記軸部の外周面が接触しつつ摺動可能な摺動面3aと、前記摺動面が延びる方向と同一方向に延設されているとともに前記支持部材の二の平面に対面する少なくとも二の面を有し、前記二の面には、各々が対面する平面と頂部が接する凸状部が形成されている溶融金属めっき浴用軸受である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融亜鉛や溶融アルミニウムその他溶融金属を鋼板の表面にめっきする溶融金属めっき装置においてサポートロールやシンクロールを回転可能に支承するため溶融金属めっき浴に浸漬される自動調芯機能を有する溶融金属めっき浴用軸受に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
上記技術分野に係わる溶融金属めっき浴用軸受(以下、単に軸受と言う場合がある。)が組み込まれた溶融金属めっき装置の概略構成図を図5に示す。図5に示すように、溶融金属めっき装置20は、溶融金属めっき浴(以下単に「めっき浴」と言う場合がある。)21が貯留されるめっき槽22と、めっき浴21の表層部分に浸漬されて、めっき浴21の内に導入される鋼板Wの酸化を防止するためのスナウト23と、めっき浴21の中に配置されたシンクロール28と、めっき浴21の内でシンクロール28の上方に位置する一対のサポートロール27と、めっき浴21の表面より僅か上方に位置するガスワイピングノズル26とを有している。シンクロール28自体には外部駆動力が付与されず、走行する鋼板Wとの接触による摩擦力で反時計回りに駆動される。またサポートロール27は、通例、外部のモーター( 図示せず) に連結された駆動ロールである。なお、サポートロール27には外部駆動力が付与されない無駆動タイプもある。溶融金属めっき浴用ロールであるシンクロール28及び一対のサポートロール27は、フレーム24・25に取り付けられた軸受装置1・1により各々回転自在に支持されており、常に一体としてめっき浴21の内に浸漬される。
【0003】
鋼板Wは、スナウト23を経てめっき浴21の内に斜方から進入し、シンクロール28を経由して上方に進行方向を変えられる。めっき浴21の中を上昇する鋼板Wは、当該鋼板Wを一定の力で押し付けた一対のサポートロール27に挟まれ、パスラインが保たれるとともに、反りや振動が防止される。ガスワイピングノズル26は、めっき浴21から出てきた鋼板Wに高速ガスを吹き付け、高速ガスのガス圧により、鋼板Wに付着した溶融金属めっきの厚さを均一に調整する。このようにして、溶融金属めっきが施された鋼板Wを得ることができる。ここで、各々のサポートロール27には、鋼板Wへの押付力より矢印Dで示すように右斜め上方向または左斜め上方向に向かう力が作用しており、シンクロール27を支持する軸受装置1は、その斜め上方向に向かう力を負荷することとなる。また、シンクロール28には、鋼板Wに付与されるテンションにより矢印Gで示すように左斜め上方方向に向かう力が作用しており、シンクロール28を支持する軸受装置1は、その左斜め上方向に向かう力を負荷することとなる。
【0004】
ここで、溶融金属めっき浴(以下、単にめっき浴と言う場合がある。)21に浸漬された回転体であるサポートロール27やシンクロール28(以下、両者を総称してロール27・28という場合がある。)の軸部には、高温のめっき浴21による熱変形や、鋼板Wから負荷される荷重による変形が生じる。そして、変形により軸部が曲がり偏芯すると、当該軸部を支承する軸受の内面に偏磨耗が生じ、ロール27・28に回転不良や振動などの現象が生じる。このような現象は、めっきされた鋼板の表面に擦り疵や押し疵が発生するという品質に係わる問題や、鋼板の走行速度を高めることができないという生産性に係わる問題を招来していた。
【0005】
かかる問題を解消するため自動調芯機能を付与した構成の軸受が従来から提案されたおり、その一例が下記特許文献1・2に開示されている。特許文献1には、「溶融金属めっきラインにおける溶融金属浴中のサポートロールにおいて、前記サポートロールを無駆動とし、該サポートロール軸受と摺動接触するスリーブ外周部に自溶性合金溶射すると共に、内表面を鏡面仕上げした断面形状が凸状をなすブッシュを設け、前記ブッシュの外周を球面軸受としたことを特徴とする無駆動溶融金属浴中のサポートロール」、が開示されており、前記ブッシュが自動調芯軸受として機能する。
【0006】
また、特許文献2に開示された軸受装置は、「溶融メッキ浴内に浸漬配置されるロールを回転自在に支承する軸受装置において、ハウジングに内装されて前記ロールの軸部負荷方向を支承する軸受部材の外周部を、正面視及び側面視のそれぞれが円弧状となるように形成した調芯機能を備えたことを特徴とする軸受装置」、である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2005−248298号公報
【特許文献2】実開平1−119048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1・2に開示された軸受は、その自動調芯機能により、いずれも上記ロールの偏芯にともなう問題を解消することができるものの、以下のような問題があった。すなわち、特許文献1のサポートロールにおいて軸受であるブッシュは、その自動調芯機能を奏する外周面が球状をなしており、その内面がサポートロールの軸部と摺動する摺動面となっている。ここで、溶融金属めっき浴用軸受は、腐蝕性が高いめっき浴中で使用されるため、摺動による摩擦磨耗に加えめっき浴による腐蝕磨耗も進みやすく、使用中に摺動面は大きく磨耗し、粗面化する。摺動面が粗面化すると軸部表面との摩擦係数が大きくなるため、軸部の回転に伴い軸受も回転する、いわゆる連れ回りという現象を招来する。この軸部の連れ回りのために軸受の外周面または当該外周面が接触するアームの内面に磨耗が生じ、軸受が奏すべき自動調芯機能が損なわれるという問題があった。また、特に難加工材であるセラミックス製の軸受においては、特許文献1の軸受のように、外周面を球状に形成することは非常に困難であり、工業生産上、軸受のコストが高くなるという問題があった。
【0009】
一方で、特許文献2に開示された軸受によれば、正面視が半円環状の軸受の底面に接触するように回り止めを配置することにより、上記特許文献1の連れ回りの発生を回避し、連れ回りによる軸受の外周面の磨耗の発生を防止できる。しかしながら、特許文献2の軸受では、軸部の偏芯に対し、その鉛直方向の成分と水平方向の成分との調芯をともに軸受の外周面の頂部のみで負担する。そのため軸受の外周面の頂部または当該頂部が接触するハウジングの内面に局部的に磨耗が生じ、軸受が奏すべき自動調芯機能が損なわれるという問題があった。また、特許文献2の軸受は、正面視および側面視のそれぞれが円弧状となるよう軸受の外周面を形成する必要があり、特許文献1の軸受と同様に、工業生産上、軸受のコストが高くなるという問題があった。
【0010】
本発明は、上記従来技術の問題点を発明者が鋭意検討してなされたものであり、溶融金属めっき浴に浸漬され使用される溶融金属めっき浴用軸受において、自動調芯機能を奏すべき面の使用中における磨耗が少なく、自動調芯機能を長期間に渡り維持できるシンプルな構成の溶融金属めっき浴用軸受を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成する本発明の一態様は、溶融金属めっき浴中に浸漬される回転体の軸部を回転自在に支承するとともに、互いに直交する二の平面を有する支持部材で支持される溶融金属めっき浴用軸受であって、前記軸部の外周面が接触しつつ摺動可能な摺動面と、前記摺動面が延びる方向と同一方向に延設されているとともに前記支持部材の二の平面に対面する少なくとも二の面を有し、前記二の面には、各々が対面する平面と頂部が接する凸状部が形成されていることを特徴とする溶融金属めっき浴用軸受である。
【0012】
前記支持部材は、前記二の平面に替え、互いに直交する四の平面を有し、前記溶融金属めっき浴用軸受は、前記二の面に替え、前記摺動面が延びる方向と同一方向に延設されているとともに前記支持部材の四の平面に対面する四の面を有し、前記四の面には、各々が対面する支持平面と頂部が接する凸状部が形成されていてもよい。
【0013】
さらに、前記支持部材の平面は、前記支持部材に替え前記軸受に形成されており、前記軸受の面は、前記軸受に替え前記支持部材に形成されていてもよい。
【0014】
前記支持部材は、当該支持部材の平面の一端側に置かれた支持面を有し、さらに前記溶融金属めっき浴用軸受は、前記支持面に頂部が接する凸状部を有することが好ましい。
【0015】
前記軸受の面に形成された凸状部の頂部と、当該軸受の面が相対する前記支持部材の平面との間には間隙が設けられていることが好ましい。
【0016】
前記摺動面が延びる方向における前記凸状部の外縁形状は、円弧状であることが好ましい。この外縁形状が円弧状である前記凸状部は、前記摺動面が延びる方向において前記軸受の面の一端から他端に渡り形成されていることがなお好ましい。さらに、外縁形状が円弧状である前記凸状部は、前記摺動面が延びる方向において、その頂部が、前記軸受の面の中心より一端側に偏位した位置に配置されていることが望ましい。
【0017】
さらに、前記凸状部の外縁形状が円弧状である場合に、前記軸受の面のうち隣接する面の間には各々を接続する接続面が介在されていることが好ましい。前記接続面の形状は、前記摺動面が延びる方向に対し直交する方向に沿う断面視において、外側に膨出した円弧状であることが望ましい。
【0018】
前記支持部材には、外縁形状が円弧状である前記凸状部の頂部に通じる貫通孔が形成されていることが好ましい。
【0019】
前記摺動面が延びる方向において、前記軸受の面の一端および他端の少なくとも一方の角部には、R面またはC面が形成されていることが好ましい。
【0020】
前記摺動面が延びる方向において、前記摺動面の一端および他端の少なくとも一方の角部には、R面またはC面が形成されていることが望ましい。
【0021】
前記軸受の摺動面は、セラミックスで構成されていることが望ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、下記で詳細に述べるように、本発明の目的を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係わる第1態様の軸受が組み込まれた軸受装置の斜視図である。
【図2】図1の軸受の軸芯に対し鉛直な平面Aおよび水平な平面Hに沿う断面図である。
【図3】図2のB−B断面図である。
【図4】図1の正面図、背面図、右側面図である。
【図5】図1の軸受装置が組み込まれた溶融金属めっき装置の概略構成図である。
【図6】図1の軸受の第1変形例、第2変形例の軸受が組み込まれた軸受装置の図である。
【図7】図1の軸受の第3変形例〜第5変形例の軸受が組み込まれた軸受装置の図である。
【図8】本発明に係わる第2態様の軸受が組み込まれた軸受装置の正面図である。
【図9】本発明に係わる第3態様および第4態様の軸受が組み込まれた軸受装置の図である。
【図10】本発明に係わる第5態様の軸受が組み込まれた軸受装置の側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係わる軸受について、その第1態様および第1態様の複数の変形例、ならびに第2〜第5態様に基づき、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、上記第1〜第5態様の軸受は、いずれも軸受装置に内蔵され、上記図5を参照して説明した溶融金属めっき装置に組み込まれて使用されるが、本発明はこれに限定されることなく、その作用効果を奏する限り、同一性の範囲内で適宜変形して実施することができる。また、第1〜第5態様の軸受の各構成要素は、本発明の作用効果を奏する限り、適宜互いに組み合わせて実施することができる。さらに、以下の説明では、めっき浴中に浸漬される回転体としてサポートロールの軸部を回転自在に支承する軸受を例として説明するが、本発明は、シンクロールその他溶融金属めっき浴中に浸漬される回転体において、同様に実施することができる。
【0025】
[第1実施形態]
第1態様の軸受について、図1〜4を参照して説明する。ここで、図1は、第1態様の軸受3が組み込まれた軸受装置1の斜視図、図2は、図1の軸受3の軸芯Iに対し鉛直な平面Aおよび水平な平面Hに沿う軸受装置1の断面図、図3は、図2のB−B断面である正断面図、図4(a)は、図1の軸受装置の正面図、図4(b)は、その背面図、図4(c)は、その側面図である。なお、図1〜3に示すように、以下の説明では、軸受3の摺動面3aが延びる方向である、軸受3の軸芯Iに沿う軸をX軸、X軸に直交するとともに軸芯Iに水平に交わる軸をY軸、X軸・Y軸に共に直交する軸芯Iに垂直に交わる軸をZ軸と称する。
【0026】
第1態様の軸受3が組み込まれた軸受装置1は、図1に示すように、めっき浴中に浸漬される回転体であるサポートロールの軸部27aを回転自在に支承する軸受3と当該軸受3を支持する支持部材2とで構成されている。以下、支持部材2、軸受3の順にその構造を詳細に説明する。なお、軸受装置1は、サポートロールの両端に2組配置されているが、両者の構成は同一であるので、一方の軸受装置1についてのみ説明し、他方の軸受装置1の説明は省略する。
【0027】
[支持部材]
第1態様の支持部材2は、図3に詳細を示すように、互いに直交する四の平面(以下、理解しやすいように支持平面と言う。)、具体的に上方の支持平面2a、下方の支持平面2c、右方の支持平面2dおよび左方の支持平面2bを有しており、これら四の支持平面2a〜2dは、各々平板状部材2e〜2hの内面(一面)となっている。この4枚の平板状部材2e〜2hは、支持平面2a〜2dを構成する各々の内面が互いに直交し、各面により断面が略矩形状(本態様の場合には正四角形状)の収納室2qを形成するよう、各々固定されている。さらに、本発明において必須の構成ではないが、図2に示すように、本態様の支持部材2には、X軸方向において支持平面2a〜2hの一端に、支持平面2a〜2hと直交する平面または円弧面の支持面2mが配置されるよう、その支持面2mを内面(一面)として有する平板状部材2iが収納室2qを塞ぐ状態で、平板状部材2e〜2hの一端に固定されている。そして、図1に示すように、軸受3は、X軸方向において、平板状部材2iに相対する収納室2qの一端開口から収納室2qに収納され、X軸方向に移動しないよう、その端部が、平板状部材2f・2hの端面に接合された一対の固定部材2nで固定される。
【0028】
平板状部材2e〜2iは、化学的腐蝕性の高いめっき浴に対し耐蝕性を有する材料で構成することが望ましく、セラミックスやステンレス鋼などの金属を選択するとよい。また、自動調芯の際に軸受3と接触しつつ傾動する支持平面2a〜2dおよび支持面2mには耐摩耗性が要求されるので、平板状部材2e〜2iを金属で構成する場合には、硬度の高く耐摩耗性に優れたセラミックスやサーメットなどの皮膜を支持平面2a〜2dおよび支持面2mに形成しておくことが望ましい。
【0029】
さらに、平板状部材2e〜2iの内面全体を支持平面2a〜2dまたは支持面2mとする必要はなく、後述する軸受3の凸状部3f・3kが接触する部分に支持平面2a〜2dまたは支持面2mを設けておけばよい。その点、本態様の支持部材2は、好ましい態様として、比較的密閉された空間である収納室2qからめっき浴を排出するため、当該収納室2qに連なるめっき浴の排出口を平板状部材2e〜2iに設けており、平板状部材2e〜2iの各々の内面(一面)の一部である中央部が支持平面2a〜2dおよび支持面2mとなっている。
【0030】
具体的には、本態様の支持部材2におけるめっき浴の排出口は、図1および図4に示すように、四隅を切り欠かれ略十の字形状をなす各平板状部材2e〜2iの、四隅の開口2o・2pとして構成してある。そして、軸受装置1をめっき浴に浸漬した際に収納室2qに浸入しためっき浴は、軸受装置1の引き上げ時に、この開口2o・2pから排出される。かかる構成の支持部材2によれば、収納室2q、特にその支持平面2a〜2dと軸受3の外周面との間の間隙に浸入しためっき浴は、メンテナンス等のために軸受装置1を引上げた際、開口2o・2pを通じて容易に外部に流出する。したがって、軸受装置1の引上げ後に、上記間隙に残留し冷却固化しためっき浴が、収縮変形する支持部材2で軸受3に押し付けられ、軸受3を破損することを効果的に防止することが可能となる。
【0031】
なお、図1において、符号2Lは、軸受3の凸状部3fの頂部3gに位置に対応し、平板状部材2f・2hのほぼ中央部に形成された貫通孔状のめっき浴の排出口である。かかる排出口2j・2Lの作用効果については、下記軸受3の説明の欄で詳細に説明する。
【0032】
本態様の軸受装置1において、めっき浴の排出口は上記のとおり平板状部材2e〜2iの四隅を切り欠き形成しているが、当該排出口は収納室2qに連なっていればよく、四隅の排出口を貫通孔状に構成してもよい。また、収納室2qから円滑にめっき浴を排出するという観点から、支持平面2a〜2dまたはめっき浴排出口2o・2p・2j・2Lの表面にめっき浴が付着しがたいことが望ましく、めっき浴との濡れ性の低いセラミックスやサーメットなどの皮膜をこれらに形成しておくことが望ましい。さらに、同様な観点から、上方の平板状部材2eの中央部に貫通孔状の開口2jを設け、めっき浴が収納室2qから円滑に排出されるように支持部材2を構成することが望ましい。
【0033】
[軸受]
次に、軸受3について説明する。第1態様の軸受3は、図1〜3に示すように、外観が略円柱形状をなすサポートロールの軸部27aの外周面が摺動する、X軸方向に延びる摺動面3aと、摺動面3aが延びる方向と同一方向であるX軸方向に延設されているとともに支持部材2の四の支持平面2a〜2dに各々対面する四の面(以下、理解しやすいように外面と言う。)3b〜3eを有している。そして、その四の外面3b〜3eには、図2に示すように、各々が対面する支持平面2a〜2dと頂部3gが接する凸状部3fが形成されている。
【0034】
かかる構成の軸受3が組み込まれた軸受装置1によれば、図3において矢印Eで示すように左回りに回転するサポートロールの軸部27aの外周面は、軸受3の摺動面3aに接しつつ摺動する。なお、図3に示すようにサポートロールには矢印Dで示す負荷が作用しているため、軸受3は、その摺動面3aの左方上部で軸部27aを支持しており、その外面3b〜3eのうち少なくとも上方の外面3bおよび左方の外面3cの2面に設けられた凸状部3fの頂部3gが、これらと対面する支持部材2の支持平面2a・2bと接する状態となっている。
【0035】
そして、高温のめっき浴による加熱、鋼板から負荷される荷重により軸部27aが変形してその軸芯が偏芯すると、軸受3には、軸部27aの偏芯量に応じ、Y軸およびZ軸回りの回転モーメントが作用する。ここで、支持部材2の支持平面2a・2bには、軸受3の外面3b・3cに各々設けられた凸状部3fの頂部3gが接している。しかして、Y軸回り方向において、軸受3は、Y軸回りの回転モーメントのために、外面3bに設けられた凸状部3fの頂部3gを支点として、外面3bが支持平面2aに対し偏芯量に応じ傾動する。また、Z軸回り方向において、軸受3は、Z軸回りの回転モーメントのために、外面3cに設けられた凸状部3fの頂部3gを支点として、外面3cが支持平面2bに対し偏芯量に応じ傾動する。このように、軸部27aの偏芯にともない軸受3に作用する回転モーメントのうち、Y軸回りの成分を外面3bに設けられた凸状部3fの表面3bで、Z軸回りの成分を外面3cに設けられた凸状部3fの表面3cで、2面で分離して受け、それぞれの方向に傾動せしめることにより、軸受3の傾動による支持部材2の支持平面2a・2bの磨耗を抑制しつつ軸部27aの偏芯量に応じた軸受3の自動調芯が可能となる。さらに、外面3bと外面3cの各々に形成された凸状部3fの頂部3gは、互いに直交する支持平面2aおよび2bと接しているので、軸部27aの外周面と軸受3の摺動面3aとの摺動時の摩擦抵抗により軸芯I回りに軸受3が連れ回りすることもない。
【0036】
次いで、まず、軸受3を正面から見た態様について、図3を参照して説明する。図に示すように、本態様の軸受3は、大略矩形状(本態様の場合には正四角形状)の断面形状を有し、上方の外面3bが支持平面2a、左方の外面3cが支持平面2b、下方の外面3dが支持平面2c、右方の外面3eが支持平面2dと対面するよう、支持部材2の収納室2qに挿着されている。この軸受3の中央部には、軸部27aよりも大きな内径の略円柱形状の中空部3sが形成されており、中空部3sの内周面が摺動面3aとして機能している。なお、上記説明した第1態様の軸受の作用効果からすると、軸受3は、少なくとも直交する二の外面3b・3cを備えていれば足りる。しかしながら、操業条件などの変化により、サポートロールに作用する負荷の方向が変動し、図3に示す矢印Dと反対方向に負荷が作用する可能性がある場合には、この負荷により反対方向に移動するサポートロールを支持するため当該外面3b・3cと相対する外面3d・3eを備えておくことが好ましい。
【0037】
軸受3の各外面3b〜3eは、支持平面2a〜2dに対し全てが密着するよう構成してもよいが、図示するように、軸受3が収納室2qに挿着されたとき、各々の間に、Z軸方向の隙間aまたはY軸方向の隙間bが形成されるように構成することが望ましい。このように隙間a・bを設けることで以下の利点が生じる。まず、第1に、収納室2qへの軸受3の挿着が容易になる。第2に、相対する二の外面、すなわち外面3bと3dおよび外面3cと3eの各々の凸状部3fを同一形状とし、その頂部3gをX軸方向において同一位置に配置する必要がなく、軸受3を低コストで形成することが可能となり、さらに軸部27aの偏芯の態様に応じ凸状部3fを各々異なる形状とすることも可能となる。なお、外面3b〜3eが支持平面2a〜2dと全て密着させる場合、軸受3が自動調芯機能を発揮するためには、相対する外面3bと3dおよび外面3cと3eが軸芯を介し対称となるよう、各々の凸状部3fを同一形状とし、その頂部3gをX軸方向において同一位置に配置する必要がある。第3に、間隙a・bを設けることにより、自動調芯のため外面3b・3cが支持平面2a・2bと傾動し、その結果磨耗により寿命を迎えた場合でも、支持部材2から軸受3を一旦取り外し、X軸周りに180°、軸受3を回転させ収納室2qに再挿着すれば、未使用の外面3d・3eにより自動調芯を機能せしめることができ、1個の軸受3の長寿命化を図ることができる。
【0038】
次いで、第4に、外面3b〜3eと支持平面2a〜2dとの間に浸入しためっき浴は隙間a・bを通じ排出されるので、軸受装置1の引上げ時における軸受3の破損を防止できる。なお、外面3b〜3eの各々の凸状部3fの頂部3gは、支持平面2a〜2dと接するよう構成されているため、頂部3gと支持平面2a〜2dの接触部に浸入しためっき浴は排出され難い可能性がある。この接触部に浸入しためっき浴を排出するため、上記支持部材2の項で説明したように、頂部3gに位置に対応し、平板状部材2f・2hのほぼ中央部に形成された貫通孔状のめっき浴の排出口2j〜2Lが設けられている。
【0039】
さらに、図3に示すように、軸受3には、隣接する外面3b〜3eの間に、各々を接続する接合面3o〜3rを設けることが好ましい。具体的には、軸芯Iに直交するY−Z平面に沿う断面視において、外面3bと外面3cとはその端部において接続面3oで接続され、外面3cと外面3dとは接続面3pで接続されおり、外面3dと外面3e、外面3eと外面3bについても同様である。ここで、隣接する外面3b〜3eが直接接続していても、軸受3は自動調芯機能を発揮することは可能であるが、外面3b〜3eが直接接続すると接続部に鋭角な角部が生じる。この角部には、軸受装置1のめっき浴への浸漬および引き上げ時の急激な加熱・冷却によりクラック等が生じ、軸受3の破損の原因となりやすい。一方で、本態様の軸受3のように隣接する外面3の間に接続面3o〜3rを設け鋭角な角部を消滅せしめることにより、軸受3の破損を抑制することができる。また、隣接する外面3b〜3eの間に接続面3o〜3rを設けることにより、軸受3と支持部材2との間に浸入しためっき浴を効果的に排出することも可能となる。なお、接続面の形態は特段限定されず、摺動面3aが延びる方向であるX軸に直交する断面視、すなわちY−Z平面において、直線状のC面、軸芯I側に引っ込んだ凹面、複数の平面や曲面で構成された多角面その他各種の形態とすることができる。しかしながら、肉厚の急変部を減じ、加熱・冷却により発生する熱応力を低減するため、図3に示すように、接続面3o〜3rの形状は、外側に膨出する円弧状とすることが望ましい。
【0040】
次に、軸受3を側面から見た態様について、図2を参照して説明する。図2に示すように、本態様の軸受3は、X軸方向において、中空部3sの左端の開口から軸部27aが挿入される、X軸に沿う断面視が略コの字状である。この軸受3の各々の外面3b〜3eに形成された凸状部3fのX軸に沿った断面視における外縁形状は、外側に凸をなす円弧状である。本態様の軸受3において、外縁が円弧状をなす凸状部3fは、当該外縁が外面3b〜3eの左端(一端)から右端(他端)を結ぶように両端に渡り形成されており、X軸方向においてその中央に頂部3gは位置している。つまり、本態様の軸受3では、凸状部3fの表面が、実質的に軸受3の外面3b〜3eとなっている。なお、各凸状部3fの外縁形状は同一であるが、上記説明したように軸受3と支持部材2との間には隙間a・bが設けてあるので、完全に同一とする必要はなく、異なる外縁形状としてもよい。
【0041】
上記軸受3において、上記凸状部3fのX軸に沿う断面形状は、Z軸上およびY軸上のいずれの箇所でも図2で示す形状と同一である。すなわち、凸状部3fは、全体として略蒲鉾形状をなしており、凸状部3fの表面(外面3b〜3eでもある。)は外側に凸の一つの曲面となっている。このように、凸状部3fを略蒲鉾形状とすることにより、支持部材2の支持平面2a〜2dとの接触面積が増加し、調芯動作の際の支持平面2a〜2dとの摩擦による凸状部3fの表面の磨耗が抑制され、軸受3を長寿命化できるので好ましい。
【0042】
ここで、第1態様の軸受3と凸状部の形態が異なる軸受について、図6および図7を参照しつつ説明する。なお、凸状部の形態のみが異なる第1態様の軸受3の第1〜第5変形例に係わる軸受4〜8が組み込まれた軸受装置1を示す図6・7において、支持部材2や軸受の摺動面3aその他第1態様の軸受3と同一の構成要素については同一符号を付しており、詳細な説明を省略する(図8〜10を参照しつつ以下説明する第2〜第5態様の軸受についても同様である。)。
【0043】
第1変形例に係わる軸受4が組み込まれた軸受装置1の正面図である図6(a)に示す。本態様の軸受4は、X軸方向に延びるとともに支持平面2a〜2dに各々対面する平面状の四の外面4b〜4eと、各外面4b〜4eの中央部に突起するよう形成された半球状の凸状部4fとを有する点で第1態様の軸受3と相違している。かかる軸受4によれば、半球状の各凸状部4fの頂部3gが、支持部材2の支持平面2a〜2dと接するよう配置されているので、軸部27aの偏芯に対応し頂部3gを支点として軸受4は傾動し、軸芯I回りの軸受4の連れ回りを防止しつつ自動調芯機能を奏することとなる。なお、軸受4は、その凸状部4fを半球状としており、凸状部4fの表面と支持平面2a〜2dとの接触面積が少なく、第1態様の軸受3に比べ耐摩耗性の点では幾分不利であるが、その外面4b〜4eと支持平面2a〜2dとの間の間隙が広く、めっき浴の排出性の面からは有利である。
【0044】
第2変形例に係わる軸受5が組み込まれた軸受装置1の側断面図を図6(b)に示す。なお、図6(b)において、軸受5の右端部は側面図となっている。図に示すように、本態様の軸受5は、X軸方向に延設されるとともに支持部材2の支持平面2a〜2d(支持平面2b・2dは不図示)に対面する平面状の四の外面5b〜5e(外面5cは不図示)と、各外面5b〜5eにおいてZ軸またはY軸に沿い突起するように形成された一条の凸状部5fとを有する点で、第1態様の軸受3と相違している。かかる軸受5においても、軸芯I回りの軸受5の連れ回りを防止しつつ自動調芯機能を発揮することができ、さらに上記第1変形例に係わる軸受4に比べ支持平面2a〜2dとの接触長が長いので耐磨耗性を向上することができる。なお、軸受5の外面5eに形成された凸状部5sのように、種々の形態で生じる可能性のある軸部27aの偏芯に対応できるようX軸方向において他の凸状部5fと異なる位置に凸状部を設けてもよい。
【0045】
第3変形例に係わる軸受6が組み込まれた軸受装置1の側断面図を図7(a)に示す。本態様の軸受6は、X軸に沿う断面形状が外側に凸の略三角形状の凸状部6fを有している点で、第1態様の軸受3と相違している。この凸状部6fのX軸に沿う断面形状は、上記第1態様の凸状部3fと同様に、Z軸上およびY軸上のいずれの箇所でも図7(a)で示す形状と同一であり、凸状部6fは、全体として略山形状をなしている。そして、支持部材2の支持平面2a〜2d(支持平面2b・2dは不図示)と対面する凸状部6fの2面が外面6b〜6eであり(外面6c・6eは不図示)、凸状部6fの2面が交わる交点が頂部3gとなっている。なお、頂部3gおよび当該頂部3gが接する支持平面2a〜2dの損傷を抑制するため、凸状部6fの2面の交点は、丸めておくことが望ましい。かかる軸受6においても、軸芯I回りの軸受5の連れ回りを防止しつつ自動調芯機能を発揮することができる。
【0046】
第4変形例に係わる軸受7が組み込まれた軸受装置1の側断面図を図7(b)に示す。本態様の軸受7は、X軸に沿い延設されるとともに支持部材2の支持平面2a〜2d(支持平面2b・2dは不図示)に対面する平面状の四の外面7b〜7e(外面7c・7eは不図示)と、X軸方向において外面7b〜7eの一部、具体的には外面7b〜7eの中央部に形成されたX軸に沿う断面形状が外側に凸の円弧状をなす凸状部7fを有する点で、第1態様の軸受3と相違している。なお、凸状部7fの断面形状は、Z軸上およびY軸上のいずれの箇所でも図7(b)で示す形状と同一であり、凸状部7fは、全体として略蒲鉾形状をなしている。かかる軸受7においても、軸芯I回りの軸受7の連れ回りを防止しつつ自動調芯機能を発揮することができる。
【0047】
第5変形例に係わる軸受8が組み込まれた軸受装置1の側断面図を図7(c)に示す。本態様の軸受8は、基本的には、第1態様の軸受3と同一の構成であるが、その外面8b〜8e(外面8c・8eは不図示)に配置された凸状部8fの頂部3gが、X軸方向において軸受8の中心Fより距離cだけ左側(軸部27aが挿入される中空部3sの開口側)に偏位した位置に配置されている点で、軸受3と相違している。かかる軸受8によれば、軸芯I回りの軸受8の連れ回りを防止しつつ自動調芯機能を発揮することができるとともに、中空部3sへの軸部27aの挿入や軸部27aの変形により比較的損傷を受けやすい軸受8の左端部の厚みdを厚くでき、軸受8の長寿命化の面で有利である。
【0048】
次いで、好ましい態様である第1態様の軸受3において、軸受3と軸部27aとの間に介在する潤滑媒体であるめっき浴の循環に関する構成および軸部27aの偏芯にともない生じる可能性のある軸受3の破損を防止する構成ついて説明する。まず、前者であるが、本態様の軸受3には、稼動中にX軸方向へ移動するサポートロールに対し、その軸部27aの右端面を受けX軸方向の移動を規制するため、スラスト受けとしての軸受端部3nが右端に配置されている。一方で、このように軸受端部3nを設け軸受3の右端を閉塞すると、潤滑媒体であるめっき浴が軸受3と軸部27aの摺動面に円滑に供給されず、またドロスなどの異物が軸受3の内部に滞留する可能性がある。このため、中空部3sの右端から軸受端部3nに至るまでの領域に配置された、中空部3sと比べて内径の大きな湯溜まり部3Lと、X軸方向に沿い軸受端部3nを貫通するように形成された貫通孔3mとを軸受3に設けておくことが好ましい。この構成により、軸受3に軸部27aが挿入された場合であっても、めっき浴は、貫通孔3mを通じて湯溜まり部3Lと外部の間を循環し、ドロスを円滑に排除しつつ潤滑媒体として機能することとなる。また、軸受端部3nを設け軸受3の右端を閉塞すると、軸受装置1を引上げた際にその内部にめっき浴が残留し、残留しためっき浴が冷却凝固する過程で軸受3を破損せしめる可能性がある。このため、図に示すように、貫通孔3mは、その下面を、Z軸方向において摺動面3a(中空部3sの内面)の下面より下方に位置するよう配置し、軸受3の内部に流入しためっき浴が貫通孔3mを通じて外部に排出されるよう構成することが望ましい。
【0049】
さらに、上記のように軸受3の右端に軸受端部3nを配置する場合には、軸受端部3nが対面する支持部材2の平板状部材2iの支持面2mに、頂部が接する凸状部3kを軸受端部3nに設けることが好ましい。これにより、軸部27aの偏芯に対する軸受3の調芯がより円滑に実施される。
【0050】
次に、軸部27aの偏芯にともない生じる可能性のある軸受3の破損を防止する構成について説明する。図2に示す軸受3のように、X軸方向において、摺動面3aの左端(一端)または右端(他端)に存する角部、すなわち中空部3sの開口端の角部には、R面3jを設けておくことが好ましい。これにより、偏芯時の変形により傾いた軸部27aの外周面が、中空部3sの開口端の角部に押し付けられ、その角部を破損させることを防止することができる。また、自動調芯時に矢印C方向に傾動する軸受3においても、支持部材2の支持平面2a〜2dとの衝突を防止するため、X軸方向において、軸受3の外面の3b〜3eの左端または右端の角部には、R面3h・3iを設けておくことが好ましい。上記R面3h〜3jは、C面であってもよい。
【0051】
[材料構成]
めっき浴中に浸漬され軸部27aと摺動する軸受3には、めっき浴に対する耐蝕性と摺動に対する耐摩耗性が要求される。そのため、軸受3の少なくとも摺動面3aの部分は、セラミックスで構成することが望ましい。以下、軸受3をセラミックスで構成する場合について、その好適な例を説明する。なお、上記第1〜第5変形例に係わる軸受、下記第2〜第5態様の軸受をセラミックスで構成する場合でも同様である。
【0052】
セラミックスとしては、サポートロールが使用される雰囲気その他の操業条件の要請による耐熱衝撃性・耐蝕性などに応じ、アルミナ・ジルコニア・シリカその他の酸化物系セラミックス、硼化ジルコニウム・硼化チタン・硼化ボロンその他の硼化物系セラミックス、炭化シリコン・炭化ボロンその他の炭化物系セラミックス、またはカーボンなどの無機材料を利用してよい。そして、軸受3は、めっき浴への浸漬および取出しの際に急熱・急冷されるため、耐熱衝撃性に優れている必要がある。そのため、軸受3を構成するセラミックスとしては、熱伝導率が高い窒化珪素・窒化アルミその他の窒化物系セラミックスが好ましく、めっき浴である溶融金属に対し高い耐溶損性および耐磨耗性を有し、高温強度に優れた窒化珪素系セラミックスが特に好ましい。以下、軸受3を構成するに好適な窒化珪素セラミックスについては、特開2001−335368号に記載のものと同じでよい。
【0053】
窒化珪素セラミックス中に存在するアルミニウム及び酸素はフォノン散乱源となり、熱伝導率を低減させる。窒化珪素セラミックスは、窒化珪素粒子とその周囲の粒界相とから構成され、アルミニウム及び酸素はこれらの相に含有される。アルミニウムは珪素に近いイオン半径を有するため、窒化珪素粒子内に容易に固溶する。アルミニウムの固溶により窒化珪素粒子自身の熱伝導率が低下し、窒化珪素セラミックスの熱伝導率は著しく低下する。従って、窒化珪素セラミックス中におけるアルミニウムの含有量はできるだけ少なくすることが望ましい。
【0054】
焼結助剤として添加する酸化物中の酸素の多くは粒界相に存在する。窒化珪素セラミックスの高熱伝導率化を達成するには、窒化珪素粒子に比べて熱伝導率が低い粒界相の量を低減することが必要である。焼結助剤の添加量の下限は、8.5%以上の相対密度を有する焼結体が得られる量である。焼結助剤の添加量をこの範囲内でできるだけ少なくすることにより、粒界相中の酸素量を低減させることが望ましい。
【0055】
酸素量の少ない窒化珪素粉末を原料とすると、粒界相中の酸素量が低減できるために粒界相の量自体を低減でき、焼結体の高熱伝導率化が達成されるが、焼結過程で生成するSiOの量の減少により難焼結性となる。ところが、他の酸化物より焼結性に優れたMgOを焼結助剤として用いると、焼結助剤の添加量を少なくして、緻密な焼結体を得ることができる。その結果、焼結体の熱伝導率は飛躍的に高くなる。
【0056】
マグネシウムとともに添加し得る焼結助剤としては、Y、La、Ce、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Dy、Ho、Er、Tm、Yb,Lu等の周期律表第3族(後述)が挙げられる。なかでも、焼結温度及び圧力が高くなり過ぎないという点で、Y、La、Ce、Gd、Dy、Ybが好ましい。
【0057】
軸受3を構成する窒化珪素セラミックスの常温における熱伝導率は50W/(m・K)以上であり、より好ましくは60W/(m・K)以上である。従って、窒化珪素系セラミックス中の酸素含有量は、50W/(m・K)以上の熱伝導率を得るには5重量%以下であり、60W/(m・K)以上の熱伝導率を得るには3重量%以下である。また窒化珪素粒子中の酸素含有量は、50W/(m・K)以上の熱伝導率を得るには2.5重量%以下であり、60W/(m・K)以上の熱伝導率を得るには1.5重量%以下である。さらに窒化珪素系セラミックス中のアルミニウムの含有量は、50W/(m・K)以上の熱伝導率を得るには0.2重量%以下であり、60W/(m・K)以上の熱伝導率を得るには0.1重量%以下である。
【0058】
窒化珪素セラミックス中のマグネシウムMgOと周期律表第3族元素酸化物の合計量は0.6〜7重量%であるのが好ましい。その合計量が0.6重量%未満では、焼結体の相対密度が95%未満と不十分である。一方7重量%を超えると、熱伝導率の低い粒界相の量が過剰となり、焼結体の熱伝導率が50W/(m・K)未満となる。MgO+第3族元素酸化物は0.6〜4重量%であるのがより好ましい。
【0059】
MgO/第3族元素酸化物の重量比は1〜70が好ましく、1〜10がより好ましく、1〜5が最も好ましい。MgO/第3族元素酸化物が1未満では、粒界相中の希土類酸化物の割合が多すぎるため、難焼結性となり緻密な焼結体が得られない。また、MgO/第3族元素酸化物が70を超えると焼結時におけるMgの拡散を抑制できず、焼結体表面に色むらが生じる。MgO/第3族元素酸化物が1〜70の範囲にあると、1650〜1850℃での焼結により高熱伝導率化が著しい。焼結体を1800〜2000℃で熱処理すると、さらに高熱伝導率化される。熱処理による高熱伝導率化は、窒化珪素粒子の成長と蒸気圧の高いMgOの揮発による。
【0060】
窒化珪素粒子中のアルミニウム、マグネシウム及び周期律表第3族元素の合計量は1.0重量%以下であるのが好ましい。
【0061】
窒化珪素焼結体中のβ型窒化珪素粒子のうち、短軸径が5μm以上のβ型窒化珪素粒子の割合が10体積%超では、焼結体の熱伝導率は向上するが、組織中に導入された粗大粒子が破壊の起点として作用するため破壊強度が著しく低下し、700Mpa以上の曲げ強度が得られない。従って、窒化珪素焼結体中のβ型窒化珪素粒子のうち、短軸径が5μm以上のβ型窒化珪素粒子の割合は10体積%以下であるのが好ましい。同様に、組織中に導入された粗大粒子が破壊の起点として作用することを抑えるために、β型窒化珪素粒子のアスペクト比は15以下であるのが好ましい。
【0062】
軸受3を形成する窒化珪素セラミックスは、急激な温度変化に対して十分な抵抗力を有する必要がある。急激な温度変化に対する抵抗力は下記式(1):
R=αc(1−ν)/Eα ・・・(1)
( 但し、αc:常温における4点曲げ強度(MPa)、ν:常温におけるポアソン比、E:常温におけるヤング率(MPa)、α:常温から800℃までの平均熱膨張係数)
により表される係数で表される係数Rは600以上であるのが好ましく、700以上であるのがより好ましい。係数Rが600未満であると軸受3が破壊するおそれがある。係数Rは、軸受3から切り出した試験片に対して測定した常温における4点曲げ強度αc(MPa)、常温におけるポアソン比ν、常温におけるヤング率E(MPa)及び常温から800℃までの平均熱膨張係数αから求める。
【0063】
[第2実施形態]
本発明に係わる第2態様の軸受について図8を参照しつつ説明する。図8は、第2態様の軸受18が組み込まれた軸受装置9の正面図である。本態様の軸受18は、上記第1態様の軸受装置1に組み込まれた軸受3に対し、自動調芯機能を奏する凸状部が形成される外面が二の外面3b・3cのみであるという点で相違している。以下、本態様の軸受装置9を構成する支持部材10および軸受18について詳細に説明する。
【0064】
[支持部材]
第2態様の支持部材10は、図8に示すように、互いに直交する二の支持平面、具体的には、上方の支持平面10a、左方の支持平面10bを有しており、この二の支持平面10a・10bは、略直交するよう組み合わされた平板状部材10c・10dの内面(一面)となっている。そして、支持部材10は、めっき浴中に伸ばされたフレーム25の先端部25aに、支持平面10aが下方に、支持平面10bが右方に向く姿勢で固定されている。
【0065】
[軸受]
第2態様の軸受18は、基本的には、第1態様の軸受3と同様な構成である。すなわち、外観が略円柱形状をなすサポートロールの軸部27aの外周面が摺動する、X軸方向に延びる摺動面3aと、摺動面3aが延びる方向と同一方向であるX軸方向に延設されているとともに上記第1態様の軸受3と同様な形態の凸状部3fが形成された外面3b・3cを有している。しかしながら、軸受18において、凸状部3fが形成された外面は、上方と左方の二の外面3b・3cのみであり、当該外面3b・3cは支持部材10の二の支持平面10a・10bに各々対面している。なお、外面3b・3cに相対する軸受18の表面、すなわち下方の表面および右方の表面にも凸状部を形成してもよいが、自動調芯機能を奏する外面は、支持平面3b・3cに対面する外面3b・3cのみとなる。
【0066】
上記構成の軸受18は、外面3bが支持平面10aに、外面3cが支持平面10bに対面した状態で、各々の凸状部3fの頂部3gが支持平面10a・10bに接するように支持部材10に装着される。そして、支持部材10に装着された軸受18は、好ましくは、フレーム25の先端部25aの下端から右方に延設されたアーム25bの右端に設けられた、平板状の固定部材25cにより、その右下部分が押し付けられ支持部材10に固定される。アーム25bと固定部材25cの間には圧縮バネなどを利用した弾性体25dが介在しており、伸縮可能な状態で軸受18を固定している。なお、めっき浴中に浸漬されたサポートロールには、鋼板に付与される張力により図において矢印Dで示す力が作用しているため、軸受18を固定する上記固定部材25c・弾性体25dは必須の構成ではないが、軸受18を安定して支持部材10に固定しておくためには、設けておくことが好ましい。
【0067】
かかる構成の軸受18が組み込まれた軸受装置9によれば、図8において矢印Eで示すように左回りに回転するサポートロールの軸部27aの外周面は、軸受18の摺動面3aに接しつつ摺動する。なお、図8に示すようにサポートロールには矢印Dで示す負荷が作用しているため、軸受18は、その摺動面3aの左方上部で軸部27aを支持しており、その外面3b・3cの2面に設けられた凸状部3fの頂部3gが、これらと対面する支持部材2の支持平面10a・10bと接する状態となっている。
【0068】
そして、高温のめっき浴による加熱、鋼板から負荷される荷重により軸部27aが変形してその軸芯が偏芯すると、軸受18には、軸部27aの偏芯量に応じ、Y軸およびZ軸回りの回転モーメントが作用する。ここで、支持部材2の支持平面10a・10bには、軸受18の外面3b・3cに各々設けられた凸状部3fの頂部3gが接している。しかして、Y軸回り方向において、軸受18は、Y軸回りの回転モーメントのために、外面3bに設けられた凸状部3fの頂部3gを支点として、外面3bが支持平面10aに対し偏芯量に応じ傾動する。また、Z軸回り方向において、軸受18は、Z軸回りの回転モーメントのために、外面3cに設けられた凸状部3fの頂部3gを支点として、外面3cが支持平面10bに対し偏芯量に応じ傾動する。なお、傾動にともなう軸受18の変位は、伸縮可能な弾性体25dで許容している。このように、軸部27aの偏芯にともない軸受18に作用する回転モーメントのうち、Y軸回りの成分を外面3bに設けられた凸状部3f、Z軸回りの成分を外面3cに設けられた凸状部3fで分離して受け、それぞれを傾動せしめることにより、軸部27aの偏芯量に応じた軸受18の自動調芯が可能となる。さらに、外面3bと外面3cの各々に形成された凸状部3fの頂部3gは、互いに直交する支持平面10aおよび10bと接しているので、軸部27aの外周面と軸受18の摺動面3aとの摺動時の摩擦抵抗により軸芯I回りに軸受18が連れ回りすることもない。さらに、本態様の軸受装置10では、軸受18の外面3b・3cと対面する支持平面10a・10b以外の面は開放されているため、軸受装置10の引上げた際にめっき浴がそれらの間に残留しがたく、第1態様の軸受装置1よりも更に軸受18の破損を抑制することが可能となる。
【0069】
[第3実施形態]
本発明に係わる第3態様の軸受について図9(a)を参照しつつ説明する。図9(a)は、第3態様の軸受12が組み込まれた軸受装置10の側断面図である。本態様の軸受12は、基本的には上記第1態様の軸受3と同様に、軸部37aの偏芯に対応し自動調芯機能を発揮するとともに軸受12の連れ回りを防止するよう構成されているが、サポートロールのX軸方向の移動を規制するスラスト受けである軸受端部が右端に無く、軸部37aが挿入される中空部3sが軸受12の左端(一端)から右端(他端)に渡り通じており、右端も開放されている点で相違している。また、この軸受12が支持される支持部材11についても、右端に配置される平板状部材が無く、めっき浴がより円滑に支持部材11の内部に流通するように構成されている。なお、軸受12は、左端面と同様に、支持部材11に配置された不図示の固定部材2n(図1参照)で右端面も固定され、X軸方向の移動が規制されている。
【0070】
ここで、軸受端部を設けない軸受12が組み込まれた本態様の軸受装置10では、以下の構成によりサポートロールのX軸方向の移動を規制している。すなわち、軸部37aには、X軸方向において、その右方と左方に形成された大径部37bおよび37cと、左右の大径部37bと37cの間に形成された小径部37dとを有しており、小径部37dの両端にはZ軸方向に延びる規制面37e・37fが形成されている。小径部37dは、その左右の規制面37eおよび37fの間に、軸受12の中空部3sの両端面が挿入可能な長さで形成されている。そして、軸受装置10では、上記のように構成された軸部37aは、その大径部37eよりも大きな径を有する中空部3sに通され、左右の規制面37eと37fとの間に中空部3sが位置するよう配置されている。上記の構成により、サポートロールがX軸方向に移動した場合には、軸受12の中空部3sの両端面に接する左右の規制面37eおよび37fでその移動を規制することとなる。
【0071】
[第4実施形態]
本発明に係わる第4態様の軸受について図9(b)を参照しつつ説明する。図9(b)は、第4態様の軸受14が組み込まれた軸受装置13の側断面図である。本態様の軸受14は、基本的には上記第1態様の軸受3と同様の機能を奏するよう構成されているが、軸部27aが摺動する摺動面3aが形成された本体部14cと、本体部14cを保持するとともに 凸状部3fが設けられた四の外面3b〜3eを有する保持部14aの二の部材の組合せにより構成されている点で相違している。この軸受14の場合には、本体部14cと保持部14aを別個の材料で構成できるという利点があり、例えば、めっき浴に対する耐蝕性と軸部27aの摺動に対する耐摩耗性の高いセラミックスで本体部14cを、加工の容易なステンレスなどの金属で凸状部3fを形成する保持部14aを形成するとよい。なお、保持部14cを金属で構成する場合には、めっき浴に対する耐蝕性を高めるため、その表面にセラミックスやサーメットなどの皮膜をその表面に形成しておくことが望ましい。以下、軸受14の本体部14cおよび保持部14aについて詳細に説明する。なお、支持部材の構成は、第1態様の支持部材2と同一であるので、説明を省略する。
【0072】
[本体部]
上記したように軸部27aの外周面が摺動する摺動面3aを有する本体部14cは、軸芯Iに直交するZ−Y平面における断面形状が略扇形状をなしており、その内面が摺動面3aとなっている。なお、本体部14cの形状は上記に限定されず、半円環状であってもよいし、円環状であってもよい。すなわち、本体部14cは、摺動面3aを有していればよい。
【0073】
[保持部]
上記本体部14cを保持する保持部14aの外観形状は、第1態様の軸受3と同一であり、X軸方向に延設されるとともに支持部材2の互いに直交する四の支持平面2a〜2dに各々対面する四の外面3b〜3eを有し、その外面3b〜3eには、頂部3gが支持平面2a〜2dと接する凸状部3fが各々設けられている。そして、保持部14aの中央には軸部27aが挿通可能な中空部14dがX軸に沿い形成されており、サポートロールが負荷を受ける矢印Dの方向に対応し、中空部14dの左上方の隅部に本体部14cが挿着される断面形状が略扇形状の挿着凹部14bが設けられている。ここで、挿着凹部14bに挿着された本体部14cは、その内面である摺動面3aが中空部14dの内面から突出するよう固定されており、その突出した摺動面3aに軸部27aは接触しつつ円滑に回転することとなる。
【0074】
かかる構成の軸受14が組み込まれた軸受装置13によれば、サポートロールの軸部27aの外周面は、本体部14cの摺動面3aに接しつつ摺動する。サポートロールには矢印Dで示す負荷が作用しているため、保持部14aの外面3b・3cの2面に設けられた凸状部3fの頂部3gが、これらと対面する支持部材2の支持平面2a・2bと接する状態となる。
【0075】
そして、軸部27aが偏芯すると、その偏芯量に応じ、軸受14にはY軸およびZ軸回りの回転モーメントが作用する。支持部材2の支持平面2a・2bには、保持部14aの外面3b・3cに各々設けられた凸状部3fの頂部3gが接しているので、軸受14は、Y軸回り方向およびZ軸回り方向において、各々の回転モーメントのために、凸状部3fの頂部3gを支点として、外面3bが支持平面2aに対し偏芯量に応じ傾動し、軸部27aの偏芯量に応じた軸受14の自動調芯がなされることとなる。また、外面3bと外面3cの各々に形成された凸状部3fの頂部3gは、支持平面2aおよび2bと接しているので、軸芯I回りに軸受14が連れ回りすることもない。
【0076】
[第5実施形態]
本発明に係わる第5態様の軸受について図10を参照しつつ説明する。図10は、第5態様の軸受17および支持部材16が組み込まれた軸受装置15の側断面図である。本態様の軸受17は、基本的には第1態様の軸受3と同様の機能を奏するよう構成されているが、凸状部が、軸受に替えて支持部材に設けられている点で相違している。以下、軸受17および支持部材16の順にその構成を具体的に説明する。
【0077】
[軸受]
本態様の軸受17は、第1態様の軸受3と同様に、軸部27aが摺動するX軸方向に延設された摺動面3aを有するが、その四の外面17b〜17e(17c・17eは不図示)は互いに直交する平面(以下、理解のため本態様においても便宜的に支持平面と言う。)となっている。すなわち、第1態様の支持部材2の支持平面は、本態様においては支持部材に替え軸受17に設けられている。
【0078】
[支持部材]
本態様の支持部材16は、第1態様の支持部材2と同様に、5枚の平板状部材2e〜2i(平板状部材2f・2hは不図示)の略コの字形状に組合せ、軸受17を収納する収納室2qを形成するよう構成されているが、四の平板状部材2e〜2hのX軸方向に延設された面(以下、理解のため内面と言う。)16a〜16d(16b・16dは不図示)は、各々軸受17の支持平面17b〜17eに対面しており、内面16a〜16dには、各々が対面する支持平面17b〜17eと頂部16sが接する凸状部16rが設けられている。すなわち、第1態様の軸受3の凸状部が設けられる面は、本態様においては軸受に替え支持部材16に設けられている。
【0079】
このように支持平面と凸状部を設ける面とを軸受と支持部材との間で入れ替えた構成によっても、上記第1〜第4態様の軸受と同様に、軸芯I回りの連れ回りを防止しつつ軸受17は自動調芯機能を発揮することができる。なお、本態様の軸受17は、外面17b〜17eが平面であるため加工等で形成することが容易であり、特に軸受17を難加工性のセラミックスで構成する場合に有利である。
【符号の説明】
【0080】
1(9、13、15) 軸受装置
2(10、11、16) 保持部材
2a(2b〜2d、17b〜17e) 平面(支持平面)
2e(2f〜2i) 平板状部材
2j(2k〜2L) 貫通孔
2q 収納室
3(4〜8,12、14、17、18) 軸受
3a 摺動面
3b(3c〜3e、16a〜16d) 面(外面、内面)
3f(3k、16r) 凸状部
3g(16s) 頂部
3L 湯溜まり部
3m 貫通孔
3o(3p〜3r) 接続面
3s 中空部
20 溶融金属めっき装置
21 溶融金属めっき浴
27 サポートロール
28 シンクロール
W 鋼板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融金属めっき浴中に浸漬される回転体の軸部を回転自在に支承するとともに、互いに略直交する二の平面を有する支持部材で支持される溶融金属めっき浴用軸受であって、前記軸部の外周面が摺動する摺動面と、前記摺動面が延びる方向と同一方向に延設されているとともに前記支持部材の二の平面に対面する少なくとも二の面を有し、前記二の面には、各々が対面する平面と頂部が接する凸状部が形成されていることを特徴とする溶融金属めっき浴用軸受。
【請求項2】
前記支持部材は、前記二の平面に替え、互いに直交する四の平面を有し、前記溶融金属めっき浴用軸受は、前記二の面に替え、前記摺動面が延びる方向と同一方向に延設されているとともに前記支持部材の四の平面に対面する四の面を有し、前記四の面には、各々が対面する平面と頂部が接する凸状部が形成されている請求項1に記載の溶融金属めっき浴用軸受。
【請求項3】
前記平面は前記支持部材に替え前記軸受に形成されており、前記面は、前記軸受に替え前記支持部材に形成されている請求項1または2のいずれかに記載の溶融金属めっき浴用軸受。
【請求項4】
前記支持部材は、当該支持部材の平面の一端側に置かれた支持面を有し、さらに前記溶融金属めっき浴用軸受は、前記支持面に頂部が接する凸状部を有する請求項1乃至3のいずれかに記載の溶融金属めっき浴用軸受。
【請求項5】
前記軸受の面に形成された凸状部の頂部と、当該軸受の面が相対する前記支持部材の平面との間には間隙が設けられている請求項2乃至4のいずれかに記載の溶融金属めっき浴用軸受。
【請求項6】
前記摺動面が延びる方向における前記凸状部の外縁形状は、円弧状である請求項1乃至5のいずれかに記載の溶融金属めっき浴用軸受。
【請求項7】
外縁形状が円弧状である前記凸状部は、前記摺動面が延びる方向において前記軸受の面の一端から他端に渡り形成されている請求項6に記載の溶融金属めっき浴用軸受。
【請求項8】
外縁形状が円弧状である前記凸状部は、前記摺動面が延びる方向において、その頂部が、前記軸受の面の中心より一端側に偏位した位置に配置されている請求項6または7のいずれかに記載の溶融金属めっき浴用軸受。
【請求項9】
前記軸受の面のうち隣接する面の間には各々を接続する接続面が介在されている請求項6乃至8のいずれかに記載の溶融金属めっき浴用軸受。
【請求項10】
前記摺動面が延びる方向に対し直交する方向に沿う断面視において、前記接続面の形状は、外側に膨出する円弧状である請求項9に記載の溶融金属めっき浴用軸受。
【請求項11】
前記支持部材には、外縁形状が円弧状である前記凸状部の頂部に通じる貫通孔が形成されている請求項6乃至10のいずれかに記載の溶融金属めっき浴用軸受。
【請求項12】
前記摺動面が延びる方向において、前記軸受の面の一端および他端の少なくとも一方の角部には、R面またはC面が形成されている請求項1乃至11のいずれかに記載の溶融金属めっき浴用軸受。
【請求項13】
前記摺動面が延びる方向において、前記摺動面の一端および他端の少なくとも一方の角部には、R面またはC面が形成されている請求項1乃至12のいずれかに記載の溶融金属めっき浴用軸受。
【請求項14】
前記軸受の摺動面は、セラミックスで構成されている請求項1乃至13に記載の溶融金属めっき浴用軸受。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−53331(P2013−53331A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−191576(P2011−191576)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(000005083)日立金属株式会社 (2,051)
【Fターム(参考)】