説明

漁網支持索、漁網支持システム及び漁網支持ロープ集結具

【課題】 海中に定常的に設置される漁網を支持しつつも疲労破壊が生じない漁網支持索、漁網支持システム及び漁網支持ロープ集結具を提供する。
【解決手段】 本発明に係る漁網支持索11は、海中に定常的に設置される漁網を支持するロープ2と、ロープ2の一端に直列に結合された緩衝材3とを備え、緩衝材3が、棒状の弾性体33と、隣接するリンク32同士に間隙31aを設けつつ直線状に配列されて弾性体33の内部に埋設されるとともに、間隙31aに弾性体33が充填されたリンクチェーン31とを有する。漁網支持システムは、複数の漁網支持索11が一つの結合具に結合されて成り、漁網支持ロープ集結具は、複数の緩衝材3が一つの結合具に結合されて成る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海中に定常的に設置される漁網を支持する漁網支持索、漁網支持システム及び漁網支持ロープ集結具に関する。
【背景技術】
【0002】
回遊性の魚介類を捕獲するため海中の一定の場所に漁具を定常的に設置して営む漁業として定置網漁業が知られている。定置網漁業では、一漁期の間は定置網を設置して自然に定置網に進入してきた魚介類を漁獲する。海中に定常的に設置された定置網の例を、順に斜視図、平面図及び側面図として図5〜7に示す。図5〜7に示す定置網5は二段落網と呼ばれ、垣網51、囲網52、昇網53及び箱網54から構成されている。垣網51により誘導された魚群は、入網口Eを通り囲網52内の運動場Fに進入し、そこから昇網53を昇って箱網54に落とし入れられる。そして箱網54のみを引き揚げることで漁獲されるよう構成されている。
【0003】
定置網構造には、これら網の支持又は形状の保持のためのロープが複数設けられている。これらのロープは主に、網を海水面Sから吊り下げるよう支持するため複数の浮子71が結束された側張61、網の形状を保持するための型綱62、及び海底面Gに沈む錨73に繋がれた錨綱63に分類される。通常の定置網には、複数のロープが一か所で集結するような集結部が何箇所か存在し、例えば図5,6において破線Aで示す箇所においては四方向から延びるロープが一つの集結部に繋がれている。
【0004】
ロープは漁網を支持する構造物であるため、ロープが切れると漁網が流出するという重大な事態を招くおそれがあるところ、近年このような集結部の近傍において、疲労破壊とみられる原因でロープが切れるという事象が報告されている。そのため、ロープの疲労破壊に対して早急な対策が求められている。
【0005】
図8は、図5,6において破線Aで示された、複数のロープの集結部を拡大して示す拡大平面図である。図示するように、集結部では四本のロープ2,・・・,2が一つのリング状の結合具41に結合されている。各々のロープ2の端部は、スリーブ21を使用した圧縮加工が施されてアイ2aが形成されており、アイ2aと結合具41とは、シャックル34により結合されている。ここでシャックル34による結合であるならば、本来的には結合具41とロープ2のアイ2aとが互いに回転を拘束し合うことは無く、波浪や潮位の変動等に起因してロープ2の端部に曲げモーメントが作用することは、本来的には無い。
【0006】
しかし、漁網が長期間海中に設置される場合、ロープの集結部も長期間海中に置かれることになるが、その間にシャックル34の近傍に、藻類が着生する、貝殻が付着する、金属部分に錆が発生するなどして、結合具41とアイ2aとの結合が固着する可能性がある。すると結合具41とアイ2aとの間での自由な回転が阻害されて剛結合とほぼ同様となり、ロープ2の端部近傍に曲げモーメントが作用し得るようになる。そして波浪や潮流の影響により集結部に多方向からの荷重が作用すると集結部には曲げモーメントが作用し、その曲げモーメントはロープ2の端部まで伝達することになる。さらにロープ2の端部にはスリーブ21の近傍に剛性急変部Cが存在するため、曲げモーメントによる曲げ応力は剛性急変部Cに集中する。
【0007】
また、ロープ2が伸縮し難いワイヤーロープ等の材料からなる場合、ロープ2に衝撃荷重が作用して弛緩状態から急激に緊張状態に遷移すると、ロープ2にはピーク的な高いレベルの引張応力が発生する。そして、この引張応力もまた剛性急変部Cに集中することになる。
【0008】
これらの曲げ応力及び引張応力が、剛性急変部Cに集中して繰り返し作用する結果、ロープ2が疲労破壊により切断すると考えられる。
【0009】
なお、図8に示すロープ2は、アイ2aが圧縮加工により形成されているため、スリーブ21の根元に剛性急変部Cが存在するが、例えばサツマ加工によりアイが形成されている場合においてもロープに剛性急変部は存在するため、疲労破壊の危険性は存在する。そしてこのようなロープの集結部及びロープにおける剛性急変部は、定置網の構造の中に複数存在させざるを得ない。
【0010】
疲労破壊は繰り返し応力の累積により発生するが、作用する応力が疲労限以下であれば疲労破壊は発生しない。そのため、ロープの径を大きくして作用する応力を疲労限以下に下げれば疲労破壊を回避することはできる。しかし、大径のロープで定置網を支持するためには結束すべき浮子の数量も増え、定置網全体の重量の増加を招き、さらには網の運搬、設置や引き揚げの際の労力が増大するなどの弊害が生ずる、という問題がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】「日本漁具・漁法図説」、成山堂書店、平成17年6月8日、p.359
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、海中に定常的に設置される漁網を支持しつつも疲労破壊が生じない漁網支持索、漁網支持システム及び漁網支持ロープ集結具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、海中に定常的に設置される漁網を支持するロープと、前記ロープの一端に直列に結合された緩衝材とを備え、前記緩衝材が、棒状の弾性体と、隣接するリンク同士に間隙を設けつつ直線状に配列されて前記弾性体の内部に埋設されるとともに、前記間隙に前記弾性体が充填されたリンクチェーンとを有することを特徴とする漁網支持索である。
【0014】
請求項1に記載の発明によれば、弾性体とリンクチェーンとを備える緩衝材により曲げ荷重および衝撃荷重が吸収されるため、長期間海中に設置しても疲労破壊が生じにくい漁網支持索を提供することができる。なお、「海中に定常的に設置される漁網」は定置網に限られるものではなく、例えば生簀をも含む。また「索」は、一次元状の部材の概念を示す。
【0015】
請求項2に記載の発明は、一つの前記ロープの一端に複数の前記緩衝材が結合されていることを特徴とする請求項1に記載の漁網支持索である。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、緩衝材の数量を変更することにより、作用する荷重に応じて適切な強度を有する漁網支持索を提供することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、前記リンクチェーンの表面に亜鉛系メッキ層が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の漁網支持索である。なお、ここで「亜鉛系メッキ層」とは、亜鉛又は亜鉛合金からなるメッキ層をいい、亜鉛合金には例えば亜鉛−アルミニウム合金及び亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金等が含まれる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、長期間海中に設置しても錆や腐食が生じにくい漁網支持策を提供することができる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、複数の請求項1〜3のいずれかに記載の漁網支持索が、それぞれの前記緩衝材の前記ロープと反対側の端部の前記リンクを介して、一つの結合具に結合されて成ることを特徴とする漁網支持システムである。
【0020】
請求項4に記載の発明によれば、長期間海中に設置しても疲労破壊が生じにくい漁網支持システムを提供することができる。
【0021】
請求項5に記載の発明は、棒状の弾性体と、隣接するリンク同士に間隙を設けつつ直線状に配列されて前記弾性体の内部に埋設されるとともに、前記間隙に前記弾性体が充填されたリンクチェーンとを有する複数の緩衝材が、それぞれの端部の前記リンクを介して一つの結合具に結合されて成ることを特徴とする漁網支持ロープ集結具である。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、それぞれの他端にロープを結合することにより漁網を支持することが可能となるような、長期間海中に設置しても疲労破壊が生じにくい漁網支持ロープ集結具を提供することができる。
【0023】
請求項6に記載の発明は、前記リンクチェーンの表面に亜鉛系メッキ層が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の漁網支持ロープ集結具である。
【0024】
請求項6に記載の発明によれば、長期間海中に設置しても錆や腐食が生じにくい漁網支持策を提供することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、弾性体とリンクチェーンとを備える緩衝材により曲げ荷重および衝撃荷重が吸収されるため、長期間海中に設置しても疲労破壊が生じにくい漁網支持索、漁網支持システム及び漁網支持ロープ集結具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る漁網支持索の第一の実施形態を示す部分断面平面図である。
【図2】本発明に係る漁網支持索の第二の実施形態を示す平面図である。
【図3】本発明に係る漁網支持システムの実施形態を示す平面図である。
【図4】本発明に係る漁網支持ロープ集結具の実施形態を示す平面図である。
【図5】海中に定常的に設置された漁網の一例である定置網を示す斜視図である。
【図6】海中に定常的に設置された漁網の一例である定置網を示す平面図である。
【図7】海中に定常的に設置された漁網の一例である定置網を示す正面図である。
【図8】海中に定常的に設置された漁網の一例である定置網において、複数のロープが一点に集結する従来の集結部を拡大して示す拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、本発明の実施形態について図面に基づき説明する。なお、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な実施形態であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0028】
(漁網支持索の第一の実施形態)
本発明に係る漁網支持索の第一の実施形態について、図1に基づき説明する。図1は、第一の実施形態の漁網支持索11の部分断面平面図である。
【0029】
漁網支持索11は、海中に定常的に設置される漁網を支持するロープ2と、ロープ2の一端に直列に結合された緩衝材3とを備える。ロープ2は漁網を支持するロープであって、図5〜7に示す定置網における側張61、型綱62や錨綱63等として機能する。ロープ2の一端にはアイ2aが形成されており、これはロープ2を巻き反してスリーブ21で圧縮することによって形成されている。なお、ロープ2は典型的にはワイヤーロープであるがこれに限らず、例えば合成繊維からなるロープを使用することも勿論可能である。また、スリーブによる圧縮に代えて、サツマ加工等によってアイを形成することも勿論可能である。さらに、アイ2aの形状を保持するためにシンブルを挿入することも適宜行うことができる。
【0030】
緩衝材3は、リンクチェーン31と棒状の弾性体33とを備えている。リンクチェーン31は、隣接するリンク32同士の間に間隙31aが設けられつつ直線状に配列された状態で弾性体33の内部に埋設されており、間隙31aにも弾性体33が充填されている。すなわち、隣接するリンク同士は直接接触しておらず、リンクチェーン31における引張荷重の伝達は、間隙31aに充填された弾性体33を介して行われる。そしてリンクチェーン31の両端のリンク32a,32bは、それぞれ一部が弾性体33から外に露出している。リンクチェーン31の材質は、典型的には合金鋼であり、リンク32の線径等の寸法は、作用する荷重に応じて適宜設定することができる。弾性体33の材質は、合成ゴムや天然ゴム等適宜選択することができる。また、図1に図示する弾性体33の形状は円柱形であって、円柱の径を適宜選択することにより緩衝材3が有する剛性を設定することができるが、弾性体33の形状も任意に選択することができる。なお、全ての隣接するリンク32同士の間に間隙を設ける必要は無く、間隙の個数やその幅は適宜設定することができる。
【0031】
なお、緩衝材3はリンクチェーン31と弾性体33との複合体であるため全体として弾性を有し、曲げモーメントを吸収することができる。また、リンクチェーン31はリンク同士が離れて配置されているものの、リンクチェーン31が埋設される弾性体33は弾性を有するため、緩衝材3に作用する張力が小さくても弛むことなく緩衝材3の形状は保持される。さらに、緩衝材3における荷重の伝達は、リンク同士の間に存在する弾性体33を介してなされるため、突発的な衝撃荷重によりロープに作用する応力のレベルを緩和することができる。
【0032】
緩衝材3の一端のリンク32aは、合金鋼から成るシャックル34,34及びリンクチェーン35を介して結合具41に連結されており、他端のリンク32bは、シャックル34を介してロープ2の一端に設けられているアイ2aに連結されている。なお、シャックル34に代えてフックやサルカン等の適宜な連結部材を選択することも勿論可能であり、リンクチェーン35の長さも適宜決定することができる。
【0033】
結合具41はリング状の合金鋼の部材で構成されており、型綱、側張同士の連結点等のように複数の索が集結する集結部に設置される。したがって、結合具41には複数の漁網支持索11,・・・,11が同様に連結されている。
【0034】
次に、本実施形態に係る漁網支持索11を使用した場合の構成及び作用について以下に説明する。漁網支持索11のロープ2は、漁網を支持又は漁網の形状を保持するよう、適宜浮子が結束されて海中又は海面に配置されている。そしてさらに漁網支持索11は、その緩衝材3におけるロープ2と反対側の端部のリンクから延出するリンクチェーン35を介して、シャックル34によって結合具41に連結されている。長期間に亘る海中への設置による藻類の着生、貝殻の付着、金属部分への錆の発生などにより、シャックル34及びリンクチェーン35による連結部が固着すると、潮位の変動、潮流や波浪の発生により漁網支持索11の端部に曲げモーメントが作用する。しかし、前述のように曲げモーメントは緩衝材3が吸収するため、ロープ2のアイ2a近傍に作用する曲げ荷重は緩和され、したがって応力集中部に作用する曲げ応力も緩和される。これにより、ロープ2の疲労寿命が伸長することになる。また前述のように、引張荷重の伝達がリンク同士の間の間隙31aに存在する弾性体33を介してなされて衝撃荷重により生じる応力のレベルを緩和することも、ロープの疲労寿命の伸長に寄与する。
【0035】
さらに、漁網支持索11に予め張力を与えて、すなわち緩衝材3を弾性的に伸ばして結合具41と結合すると、常時ロープ2に張力が作用することになるので、ロープ2が弛緩状態から緊張状態に急激に遷移することによるピーク的な応力の発生を回避することができるため、好適である。
【0036】
なお、リンクチェーン31は弾性体33に埋設されているため海水に直接触れる箇所が少なく錆びるおそれは少ないが、さらにリンクチェーン31の表面に亜鉛系メッキ層を形成することも可能である。その構成によりリンクチェーン31のうち弾性体33から外部に露出する部分についても耐腐食性が向上するため、好適である。また、シャックル34、リンクチェーン35及び結合具41の表面にも亜鉛系メッキ層を形成することも勿論可能である。なお、ここで「亜鉛系メッキ層」とは、亜鉛又は亜鉛合金からなるメッキ層をいい、亜鉛合金には例えば亜鉛−アルミニウム合金や亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金等が含まれる。メッキ層を形成する方法として、電気メッキや溶融メッキ等の適宜の方法が適用可能である。
【0037】
(漁網支持索の第二の実施形態)
次に、本発明に係る漁網支持索の第二の実施形態について、図2に基づき説明する。図2は本発明に係る第二の実施形態の漁網支持索12の平面図である。
【0038】
本実施形態に係る漁網支持索12と、第一の実施形態に係る漁網支持索11との相違点は、一本のロープ2と結合具41との間に、二本の緩衝材3a,3bが並列して介在するという点である。緩衝材3a,3bは第一の実施形態に係る緩衝材と同様な構成を有しているが、それぞれの端部におけるシャックル34,34が一つのリンク42に連結されており、リンク42がシャックル43を介してロープ2又は結合具41に結合されている。
【0039】
なお、図2に示す漁網支持索12は、一本のロープ2と結合具41との間に介在する緩衝材の本数が二本であるが、三本以上とすることも勿論可能である。このように構成することによって、緩衝材の本数を変更することで、漁網支持索12の結合具41との連結部における強度及び剛性を調整することができる。すなわち、ロープ2に作用する荷重に応じて様々な大きさの弾性体を有する緩衝材を各種用意しておく必要はなくなる。
【0040】
本実施形態に係る漁網支持索12を使用した場合の構成及び作用は、第一の実施形態と同様である。また、第一の実施形態と同様に、漁網支持索11に予め張力を与えて結合具41と結合するとピーク的な応力の発生を回避することができ、またリンクチェーン31、シャックル34、リンク42、シャックル43及び結合具41の表面に亜鉛系メッキ層を形成すると耐腐食性が向上するため、好適である
【0041】
(漁網支持システムの実施形態)
次に、本発明に係る漁網支持システムの実施形態について、図3に基づき説明する。図3は本発明に係る漁網支持システム13の実施形態の平面図であって、複数の前述の漁網支持索11が結合具41に連結されて構成されている。これにより、疲労寿命の長い複数の漁網支持索11が一点の結合具41から延出するような点を構成することができる。
【0042】
なお、漁網支持システム13に用いられている漁網支持索11は、第一の実施形態に係る漁網支持索であり、ロープ2と結合具41との間に介在する緩衝材3は一本であるが、前述の第二の実施形態に係る漁網支持索を適用して、一本のロープ2と結合具41との間に複数の緩衝材が介在するよう構成することも勿論可能である。
【0043】
また、漁網支持システム13を使用した場合の構成及び作用は、前述の第一の実施形態に係る漁網支持索11又は第二の実施形態に係る漁網支持索12を使用した場合と同様であり、さらにこれらの漁網支持索11,12と同様に適宜好適に構成することも可能である。
【0044】
(漁網支持ロープ集結具の実施形態)
次に、本発明に係る漁網支持ロープ集結具の実施形態について、図4に基づき説明する。図4は本発明に係る漁網支持ロープ集結具14の実施形態の平面図であって、三つの前述の複数の緩衝材3がそれぞれシャックル34,34及びリンクチェーン35を介して一つの結合具41に結合されて構成されている。緩衝材3及び結合具41の構成は、前述の漁網支持索の実施形態と同様である。なお、図示の漁網支持ロープ集結具14は、三本の緩衝材3が結合具41に連結されて構成されているが、定置網が有する集結部の構成に応じて本数は変更することができる。
【0045】
この漁網支持ロープ集結具14を用いて定置網におけるロープの集結部を構成するには、ロープ2と漁網支持ロープ集結具14との連結作業のみを行えばよい。したがって、疲労寿命の長いロープを有する定置網を、少ない作業量で構築することができる。
【0046】
なお、ロープ2と漁網支持ロープ集結具14との連結の際に、ロープ2に予め張力を与えて、すなわち緩衝材3を弾性的に伸ばして漁網支持ロープ集結具14と結合すると、緩衝材3が有する弾性により常時ロープ2に張力が作用することになるので、ロープ2が弛緩状態から緊張状態に急激に遷移することによるピーク的な応力の発生を回避することができるため、好適である。
【0047】
また、リンクチェーン31は弾性体33に埋設されているため海水に直接触れる箇所が少なく錆びるおそれは少ないが、さらにリンクチェーン31の表面に亜鉛系メッキ層を形成することも可能である。その構成によりリンクチェーン31のうち弾性体33から外部に露出する部分についても耐腐食性が向上するため、好適である。また、シャックル34、リンクチェーン35及び結合具41の表面にも亜鉛系メッキ層を形成することも勿論可能である。
【符号の説明】
【0048】
11,12 漁網支持索
13 漁網支持システム
14 漁網支持ロープ集結具
2 ロープ
3 緩衝材
31 リンクチェーン
31a 間隙
32,32a,32b リンク
33 弾性体
41 結合具
5 定置網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
海中に定常的に設置される漁網を支持するロープと、
前記ロープの一端に直列に結合された緩衝材とを備え、
前記緩衝材が、棒状の弾性体と、隣接するリンク同士に間隙を設けつつ直線状に配列されて前記弾性体の内部に埋設されるとともに、前記間隙に前記弾性体が充填されたリンクチェーンとを有する
ことを特徴とする漁網支持索。
【請求項2】
一つの前記ロープの一端に複数の前記緩衝材が結合されている
ことを特徴とする請求項1に記載の漁網支持索。
【請求項3】
前記リンクチェーンの表面に亜鉛系メッキ層が形成されている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の漁網支持索。
【請求項4】
複数の請求項1〜3のいずれかに記載の漁網支持索が、それぞれの前記緩衝材の前記ロープと反対側の端部の前記リンクを介して、一つの結合具に結合されて成る
ことを特徴とする漁網支持システム。
【請求項5】
棒状の弾性体と、隣接するリンク同士に間隙を設けつつ直線状に配列されて前記弾性体の内部に埋設されるとともに、前記間隙に前記弾性体が充填されたリンクチェーンとを有する複数の緩衝材が、それぞれの端部の前記リンクを介して一つの結合具に結合されて成る
ことを特徴とする漁網支持ロープ集結具。
【請求項6】
前記リンクチェーンの表面に亜鉛系メッキ層が形成されている
ことを特徴とする請求項5に記載の漁網支持ロープ集結具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−13366(P2013−13366A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148389(P2011−148389)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(390038830)昭和機械商事株式会社 (18)
【Fターム(参考)】