演算型流量計
【課題】 水蒸気を含んだガスの流量値から該水蒸気を低減させた前記ガス単独の流量値を算出させることができる演算型流量計の提供。
【解決手段】 湿りを含む可能性の有るガス体を計測流体とする流量計であって、
ガス流量抽出回路を具備し、このガス流量抽出回路は、少なくとも、計測されたガスのモル分率を求める演算手段と、該モル分率から前記ガスのモル質量を求める演算手段と、該モル質量から前記ガスの密度値を求める演算手段と、該密度値から前記ガスの湿り分を除いた質量流量値を求める演算手段と、該質量流量値から前記ガスの湿り分を除いた容積流量値を求める演算手段とから構成され、
かつ、このガス流量抽出回路からの前記容積または質量流量値に相当する情報を当該流量計以外の他の機器に出力させる出力端子を備える。
【解決手段】 湿りを含む可能性の有るガス体を計測流体とする流量計であって、
ガス流量抽出回路を具備し、このガス流量抽出回路は、少なくとも、計測されたガスのモル分率を求める演算手段と、該モル分率から前記ガスのモル質量を求める演算手段と、該モル質量から前記ガスの密度値を求める演算手段と、該密度値から前記ガスの湿り分を除いた質量流量値を求める演算手段と、該質量流量値から前記ガスの湿り分を除いた容積流量値を求める演算手段とから構成され、
かつ、このガス流量抽出回路からの前記容積または質量流量値に相当する情報を当該流量計以外の他の機器に出力させる出力端子を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は演算型流量計に係り、たとえば水素ガス等の流量を計測するのに好適な演算型流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、燃料電池はその空気極(プラス極)に空気が供給され燃料極(マイナス極)に水素が供給されることにより構成される。このような構成からなる燃料電池は空気中の酸素と前記水素を反応させ、この反応から直接電気エネルギーを生成するため極めて変換効率の優れた電池であるとして知られるに至っている。
【0003】
そして、燃料電池の燃料極への水素供給のための経路において、該水素の供給量の制御を行うため、たとえば水素ボンベからの配管の途中に流量計が設けられ、この流量計の計測値に基づき実運用を行うのが通常である。
【0004】
この場合、該燃料電池はその変換効率が高いがゆえに、その被反応物質である水素の流量も正確な値が期され、したがって、前記流量計の計測値において正確な値が要求されることはいうまでもない。
【0005】
なお、このような燃料電池システムにおける水素供給経路はたとえば下記の特許文献1等に詳述されている。
【特許文献1】特開平7−37598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した流量計による水素ガスの流量計測において、その計測値が正確でなく、その原因が該水素ガスに含まれてしまう水蒸気に原因があることが見いだされるに至った。
【0007】
水蒸気が含まれることによる流量計測の誤差は、ガス体がたとえば窒素(N2)の場合において弊害とは見いだされなかった。それは窒素ガスのモル質量は水蒸気よりも大きく、多湿状態のガスでもたとえば容積比率で考えれば5%程度であり誤差要因とならなかったからである。
【0008】
しかし、上述のようにガス体が水素の場合にあっては、そのモル質量は水蒸気の1/10であり、該水蒸気は充分な誤差要因となり得るものとなっている。
【0009】
したがって、通常の燃料電池への水素供給経路において、水素ボンベから配管を通して得られる水素ガスは実際には該配管内に残留する水蒸気を含み、たとえそれが微量であったとしても、計測された流量値は水素のみの流量値と比較してずれが生じることが判明する。
【0010】
このずれは、たとえば気温20℃の時に露点温度が0℃の水素ガスが、水蒸気を含まない純ガス状態時と比較して密度が+4%の増大を伴い、これがそのまま測定流量値に影響して現れることを鑑みれば、無視し得ないことが判明する。
【0011】
ここで、対象となるガスが水素の場合にあって、上述したような不都合が生じるが、水素に限らず他のガスであってもそれが湿りを含む可能性がある場合、該湿りの影響を低減させたガスの流量値を得ることが好都合となる場合が多々ある。
【0012】
本発明は、このような事情に基づいてなされたもので、その目的は、湿りを含む可能性のあるガス体の流量値から該湿りの影響を低減させた当該ガスの流量値を算出させることができる演算型流量計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0014】
(1)本発明による演算型流量計は、たとえば、湿りを含む可能性の有るガス体を計測流体とする流量計であって、
ガス流量抽出回路を具備し、このガス流量抽出回路は、少なくとも、計測されたガスのモル分率を求める演算手段と、該モル分率から前記ガスのモル質量を求める演算手段と、該モル質量から前記ガスの密度値を求める演算手段と、該密度値から前記ガスの湿り分を除いた質量流量値を求める演算手段と、該質量流量値から前記ガスの湿り分を除いた容積流量値を求める演算手段とから構成され、
かつ、このガス流量抽出回路からの前記容積または質量流量値に相当する情報を当該流量計以外の他の機器に出力させる出力端子を備えることを特徴とするものである。
【0015】
(2)本発明による演算型流量計は、たとえば、湿りを含む可能性の有るガス体を計測流体とする流量計であって、
ガス流量抽出回路を具備し、このガス流量抽出回路は、少なくとも、計測されたガスのモル分率を求める演算手段と、該モル分率から前記ガスのモル質量を求める演算手段と、該モル質量から前記ガスの密度値を求める演算手段と、該密度値から前記ガスの湿り分を除いた質量流量値を求める演算手段と、該質量流量値から前記ガスの湿り分を除いた容積流量値を求める演算手段とから構成され、
かつ、このガス流量抽出回路からの前記容積または質量流量値に相当する情報を表示させる表示装置を備えることを特徴とするものである。
【0016】
(3)本発明による演算型流量計は、たとえば、湿りを含む可能性の有るガス体を計測流体とする流量計であって、
ガス流量抽出回路を具備し、このガス流量抽出回路は、少なくとも、計測されたガスのモル分率を求める演算手段と、該モル分率から前記ガスのモル質量を求める演算手段と、該モル質量から前記ガスの密度値を求める演算手段と、該密度値から前記ガスの湿り分を除いた質量流量値を求める演算手段と、該質量流量値から前記ガスの湿り分を除いた容積流量値を求める演算手段とから構成され、
かつ、このガス流量抽出回路からの前記容積または質量流量値に相当する情報を当該流量計以外の他の機器に出力させる出力端子と、
前記ガス流量抽出回路からの前記容積または質量流量値に相当する情報を表示させる表示装置を備えることを特徴とするものである。
【0017】
なお、本発明は以上の構成に限定されず、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【発明の効果】
【0018】
上記(1)に記載された本発明に係る演算型流量計は、ガス流量抽出回路を備え、その各演算手段によって水蒸気を含まぬガスの容積または質量流量値が算出されるようになっている。すなわち、水蒸気等の湿りによる影響を低減させたガスの流量値を得ることができるようになっている。
【0019】
そして、湿りの影響を低減させた前記ガスの流量値に相当する情報を当該演算型流量計以外の他の機器に出力させる出力端子を備えたものとして構成されている。このことは、前記情報を他の機器に出力させ、該他の機器によって前記情報を有効に活用させることができることを意味する。
【0020】
このため、このように構成される演算型流量計を用い、たとえば他の流量計であって同様に水蒸気の影響をも含めた前記ガスの計測において、その計測値に補正を施こすことにより、該他の流量計においても湿りの影響を低減させた前記ガスの流量値を算出させることができる効果を奏する。
【0021】
また、上記(2)に記載された本発明に係る演算型流量計は、(1)に記載した流量計と同様に、ガス流量抽出回路を備え、湿りの影響を低減させたガスの流量値を得ることができるようになっている。そして、該ガス流量抽出回路からの前記容積流量値に相当する情報を表示装置に表示させることができるようになっている。
【0022】
このため、この演算型流量計をそれ単独で用いることができ、湿りを含んだ前記ガスの計測にあって、該湿りの影響を除いた前記ガスのみの流量を直接に認識できる計測を行うことができるようになる。
【0023】
さらに、上記(3)に記載された本発明に係る流量計は、上記(1)、(2)に記載された演算型流量計の効果を併せもつように構成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明による演算型流量計の実施例を図面を用いて説明をする。
【0025】
図1は、本発明による演算型流量計の一実施例を燃料電池試験システムに適用させて用いた場合において示した構成図である。そして、本発明による演算型流量計はその計測流体(対象ガス)を水素とする流量計となっている。
【0026】
図1において、該燃料電池試験システムは、まず、水素ガスボンベ1と、この水素ガスボンベ1からの水素が燃料電池(図示しない)側に供給される途中の管体2において、該水素ガスボンベ1側から順に配置される汎用形の流量計F、加湿源3、および標準流量計SF(演算型流量計)とから構成されている。ここで、前記標準流量計SFは本発明に係る流量計として把握される。
【0027】
そして、この燃料電池試験システムにあっては、前記標準流量計SFはたとえば前記燃料電池の設置個所に代替されて取り付けられ、この標準流量計SFから得られる演算値に基づいて前記流量計Fからの計測値を補正し、この補正された該流量計Fの演算値は水蒸気を含まない水素のみの流量値として検出できるようになっている。
【0028】
このため、前記標準流量計SFは前記流量計Fにおいて補正された流量値が得られるようになった後に前記管体2から取り外され(その個所に前記燃料電池が配置され)るようになっているのに対し、前記流量計Fは該管体2に常時設置されるものとして構成される。流量計Fは計測値として水蒸気を含まない水素のみの流量を表示するようになる。
【0029】
前記標準流量計SFは、前記流量計Fと比較して、流量を極めて正確に測定できるように構成され、併せて流体の圧力、温度、湿度を検出し、水蒸気を含まぬガス流量を抽出する機能を備えることから、その構成は該流量計Fよりも複雑で、かつ価格も高価となっている。したがって、燃料電池試験システムにおいて、その水素ガスの計測を精度よく行うため該標準流量計SFを該燃料電池試験システムに組み込んだままとして用いることは極めて好都合となるが、高価格となってしまうことを免れず、上述したように、前記流量計Fにおいて補正された流量値が得られた後は、該標準流量計SFを取り外すようにしている。なお、この標準流量計SFはその名が示す通りある規定以上の精度を有するものとして構成されるのが通常であるが、この発明の適用にあって前記流量計Fよりも測定精度が良好のものであれば充分となる。後の説明から明らかとなるように、この燃料電池システムにおける純水素ガス(ここでは水蒸気を含まない水素ガスの意味。以下同様)の正確な流量測定は該標準流量計SFの精度にそのまま依存する関係にあるからである。
【0030】
なお、前記加湿源3はそれを備えることにより燃料電池を安定して動作させることができるようになる。該燃料電池の水素と酸素を反応させる部分(セルスタック)は湿潤環境下で安定動作するからである。しかし、他の実施例として該加湿源3は必ずしも前記管体2に備えられたものでなくてもよい。該加湿源3が存在しない場合であっても、管体2には完全に除去できない水蒸気が存在し、この場合にも拘わらず、純水素ガスの流量を精度よく計測しようとするものであるからである。
【0031】
このような構成において、まず、前記標準流量計SFは、それが取り付けられた管体2内の水素ガス(水蒸気を含む)の流量Qの他に、該水素ガスの圧力P、温度T、および絶対湿度haをそれぞれ検出する検出回路13と、これら流量Q、圧力P、温度T、および絶対湿度haに基づいて演算をして前記流量から水蒸気を除いた純水素ガスのみの流量値(ノルマル容量流量値Qgvn)を算出する純ガス流量抽出回路14と、この純ガス流量抽出回路14によって算出された流量値の情報を前記流量計F側へ送出させるための出力端子15を備えて構成されている。
【0032】
ここで、前記純ガス流量抽出回路14は、たとえばマイクロコンピュータから構成され、図2に示すステップで順次演算がなされるようになっている。以下、ステップ順に該純ガス流量抽出回路14の動作を説明する。
【0033】
ステップST1:湿りガスのモル分率Xvを求める。ここで、湿りガスは水蒸気を含む水素ガスをいう。
【0034】
湿りガスのモル分率Xvは次式(1)に基づいて算出される。
【0035】
Xv=(ha・Ru・T)/(P・Nvap) ……(1)
ここで、Nvapは水蒸気のモル質量(=0.0180150kg/mol)、Ruは普遍気体定数(=8.31451J/(K・mol))、Pはガス圧力(Pa[abs])、Tはガス温度(K)、haは絶対湿度(kg/m3)である。
【0036】
ガス圧力P、ガス温度T、絶対湿度haはそれぞれ標準流量計SFに設けられたセンサからの出力から算出される。
【0037】
ステップST2:湿りガス中の純ガスのモル質量Ngasを求める。まず、ステップST1で得られたモル分率Xvより、湿りガスのモル質量Nは次式(2)に示すように分解できる。
【0038】
N=Ndry×(1−Xv)+Nvap・Xv ……(2)
ここで、Ndryは乾燥ガスのモル質量(kg/mol)である。この乾燥ガスは不純物を含まない水素ガスであることから、既定値として定まっている値である。
【0039】
そして、純ガスのみのモル質量Ngasは次式(3)に基づいて算出される。
【0040】
Ngas=Ndry×(1−Xv) ……(3)
ステップST3:純ガスの実際の密度値ρgasを求める。この密度値ρgasは次式(4)に基づいて算出される。
【0041】
ρgas=(Ngas・P)/(Ru・Z・T) ……(4)
ここで、Zは圧縮係数である。
【0042】
ステップST4:純ガスの質量流量値Qgmを求める。この質量流量値Qgmは次式(5)に基づいて算出される。
【0043】
Qgm=ρgas×Q ……(5)
ここで、Qは容積流量値(L/min)であり、前記標準流量計SFから得られる流量値である。
【0044】
ステップST5:純ガスのノルマル容積流量値Qgvnを求める。このノルマル容積流量値Qgvnは次式(6)に基づいて算出される。
【0045】
Qgvn=Qgm/ρgn ……(6)
ここで、ρgnはガスの標準(ノルマル)条件時の密度(g/L)であり、既定値として定まっている。
【0046】
このようにして得られたノルマル容積流量値Qgvnは純ガス流量抽出回路14の出力情報として出力端子15を介して前記流量計F側に送出されるようになっている。該ノルマル容積流量値Qgvnによって前記流量計Fによって得られる計測値を補正し、この補正された該流量計Fの演算値を水蒸気を含まない水素のみの流量値として算出させるためである。
【0047】
なお、この実施例では、前記純ガス流量抽出回路14をマイクロコンピュータが行う演算回路として示したものであるが、これに限定されることはなく、専用のデジタル回路として構成してもよいことはいうまでもない。
【0048】
また、図1に示すように、標準流量計SFに設けられている前記出力端子15には、信号伝送線16の一端が接続され、この信号伝送線16の他端は前記流量計F側に接続されるように構成されている。該信号伝送線16を介して前記標準流量計SFによって算出されたノルマル容積流量値Qgvnに相当する情報が該流量計F側に送出されるようになっている。
【0049】
このことから、前記出力端子15は、標準流量計SFによって算出された前記ノルマル容積流量値Qgvnに相当する情報を当該標準流量計SF以外の他の機器に出力させるための端子として機能することになる。
【0050】
この場合、前記信号伝送線16は、前記出力端子15を介することなく標準流量計SFに取り付けられ、該標準流量計SFの構成部材の一部として構成されたものであってもよい。この場合、該信号伝送線16の流量計Fに接続される側が出力端子として機能することになる。
【0051】
前記流量計Fは、たとえばマスフローメータ(熱式流量計)からなり、その測定精度は前記標準流量計SFの測定精度よりも高いものを用いる必要のないものとなっている。この流量計Fにおいて、管体2内に配置される該熱式流量計の検出電極からの出力は、検出回路4に入力され、この検出回路4によって前記流量計Fに流れる水素ガスの流量が算出されるようになっている。ここで、この流量計Fによって算出された水素ガスの流量値は、水素ガスボンベ1内の水蒸気を含まない純水素ガスの流量値ではなく、該水素ガスボンベ1から流量計Fにまで至る管体2内に存在する水蒸気の影響を受けた流量値となっている。燃料電池システムの制御においては、水蒸気を含まない純水素ガスのみの流量値に基づいて行うのが極めて好都合であることから、前記検出回路4によって算出された流量値を、その後において、補正回路5によって補正されるように構成されている。なお、この実施例では、前記検出回路4および補正回路5からなる回路を純ガス流量検出回路6と称する。この純ガス流量検出回路6は前記検出回路4からの出力を得るのが目的でなく、該出力を補正して純ガスの流量値を出力させるのが目的だからである。
【0052】
該補正回路5はたとえば第1メモリ7、第1演算回路8、第2メモリ9、および第2演算回路10とから構成されている。そして、第1メモリ7には標準流量計SFからの出力によって前記純ガス流量抽出回路14からの出力値(流量値)が格納されるようになっており、この格納された流量値に相当する情報は、第1演算回路8に入力されるようになっている。
【0053】
一方、第1演算回路8には前記検出回路4からの検出された流量値に相当する情報も入力されており、この情報の流量値と前記第1メモリ7に格納されている情報の流量値との差分値がこの第1演算回路8によって演算されるようになっている。そして、この差分値は第2メモリ9に出力されて格納されるようになっている。その後において、前記検出回路4からの流量値は第2演算回路10に入力されるようになり、この第2演算回路10によって、該流量値から第2メモリ9に格納された前記差分値を減算させ、この減算させた値を前記補正回路5の出力として、すなわち、純ガス流量検出回路6の出力として、出力させるようになっている。これにより、前記補正回路5によって補正された流量値は、水蒸気を含まない純水素ガスのみの流量値となり、その値は、表示装置11に表示されるように構成される。
【0054】
なお、後述の純ガス流量抽出回路14からの出力値を前記純ガス流量検出回路6の第1メモリ7に格納した後は、前記標準流量計SFを必要としなくなるものであり、図3に示すように、該標準流量計SFを取り除いた構成として燃料電池試験システムを構成するようになっている。この時点で、流量計Fは前記標準流量計SFの計測精度に準拠した計測精度を備えたものとして校正されたからである。
【0055】
以上説明したことから明らかとなるように、前記標準流量計SFは、それに具備された純ガス流量抽出回路14の各演算手段によって水素ガス単体でのノルマル容積流量値Qgvnが算出されるようになっている。すなわち、水蒸気の影響を排除させた水素ガスのみでの流量値を得ることができるようになっている。
【0056】
そして、該ノルマル容積流量値Qgvnに相当する情報を当該標準流量計SF以外の他の流量計Fに出力させる出力端子15を備えたものとして構成されている。このことは、前記情報を該流量計Fに出力させ、該流量計Fによって前記情報を有効に活用させることができることを意味し、すなわち、その計測値に補正を施こすことにより、該流量計Fにおいても水蒸気を低減させた水素ガスの流量値を算出させることができる効果を奏するようになる。
【0057】
図4は、本発明による流量計の他の実施例を示す構成図で、図1に対応した図となっている。
【0058】
図1と比較して異なる構成は、まず、標準流量計SFにおいて、表示装置17が設けられ、この表示装置17には、純ガス流量抽出回路14からの出力値、すなわち、前記ノルマル容積流量値Qgvnが表示されるようになっている。
【0059】
したがって、水蒸気の影響が除かれた水素ガスの流量値は、表示装置17を目視することによって認識することができることになる。この場合、図1に示したように標準流量計SFが算出したノルマル容積流量値Qgvnに基づいて流量計Fからの計測値を補正できるように構成する場合、図4に示すように、該流量計Fにおいてデータ入力手段20を具備させるようにすればよい。このデータ入力手段20は、数値を入力できるキーボード等のデータ入力手段として構成し、このデータ入力手段20から入力された数値に相当する情報は前記補正回路5内の第1メモリ7に格納されるようになっている。
【0060】
すなわち、図1では、標準流量計SFが算出したノルマル容積流量値Qgvnに相当する情報を、信号伝送線16を介して流量計F側の第1メモリ7に格納させるのに対し、図4では、該ノルマル容積流量値Qgvnを目視で認識した操作者が該ノルマル容積流量値Qgvnに相当する情報を流量計Fのデータ入力手段20の操作を介して第1メモリ7に格納させることに相違を有する。また、流量計Fの構造が、該補正回路5を非搭載な簡易なものであった場合、直接その流量出力値Qm(F)を校正値Qgmに合わせて調整してもよいことはいうまでもない。
【0061】
しかし、図4に示した標準流量計SFは、必ずしも図4に示したように流量計Fの計測値を補正するために用いる必要はなく、前記流量計Fの存在に関わりなく、該標準流量計SFをそれ単独で用いるようにしてもよいことはもちろんである。このようにした場合、水蒸気を含んだ水素ガスの計測にあって、該水蒸気の影響を除いた水素ガスのみの流量を表示器17によって直接に認識できる計測を行うことができるようになる。
【0062】
なお、前記表示装置17は、図1に示した標準流量計SFにも取り付けてもよいことはもちろんである。図5はこのようにして構成した標準流量計SFを示す図である。
【0063】
なお、上述した実施例では、標準流量計SFによって水蒸気を含む水素ガスのうち該水蒸気の影響をほとんど除き、高い精度で水素ガスの流量を算出するようにしたものである。しかし、本発明はあくまでも前記ガスの流量抽出値を得ることが目的であるため、厳密な湿度の測定まで行う必要はなく、流量抽出値に及ぼす水蒸気の影響を減少させる程度であってもよいことはいうまでもない。本発明に係る流量計の使用される環境下において、水蒸気の影響をほぼ完全に除去する必要はなく、ある程度で充分であるという場合があるからである。
【0064】
さらに、上述した実施例において、本発明による演算型流量計は水素ガスを計測流体とする流量計としたものであるが、これに限定されることはなく、水素ガス以外のガス体であって、湿りを含む可能性のあるものであっても適用できることはいうまでもない。水素ガス以外のガスであっても、それに含まれる湿りの影響を低減させた該ガスの流量値を得ることが好都合となる場合が多々あるからである。
【0065】
そして、前記演算型流量計として水素ガスを計測流体とした流量計を示したことから、上記実施例では、その用途の一例として燃料電池試験システムを背景として説明したものである。しかし、本発明による演算型流量計は、燃料電池試験システム以外の他の用途において適用されるようなことがあってもよいことはもちろんである。
【0066】
図6ないし図14は、本発明による演算型流量計のいくつかの好適な用途を、上記実施例で示した用途をも含めて、纏めて示した説明図である。そして、これら各図において、計測流体は一般的に湿りを含む可能性のあるガス体を対象としたものとしている。このことから、前記水素ガスボンベ1に対応するものとしては対象ガス供給源1’とし、流量計Fに対応するものとしては汎用流量計等の受検体F’とし、前記管体2のうち特に加湿器を備えた配管又は加湿の可能性の有る配管に対応するものとして配管2’とし、前記標準流量計SFに対応するものとして対象ガス流量抽出機能付流量計SF’としてそれぞれ示している。そして、この対象ガス流量抽出機能付流量計SF’には、前記純ガス流量抽出回路14に対応するものとして対象ガス流量抽出演算器14’が備えられている。
【0067】
また、上述した標準流量計SFはその表示装置としてガス流量値を示す表示装置17のみを備えるものであったが、該対象ガス流量抽出機能付流量計SF’には、たとえば、対象ガス抽出流量値(Qgvn)を表示する表示装置17a、ガス流量値(Q)を表示する表示装置17b、ガス湿度値(ha)を表示する表示装置17c、ガス温度値(T)を表示する表示装置17d、およびガス圧力値(P)を表示する表示装置17eが備えられたものとして構成されている。
【0068】
まず、図6は、配管を通して対象ガス供給源1’、汎用流量計等の受検体F’、対象ガス流量抽出機能付流量計SF’が順次配置され、該配管のうち加湿器、又は加湿の可能性のある配管2’が対象ガス供給源1’と受検体F’の間に存在しており、前記受検体F’からの検出出力値と対象ガス流量抽出機能付流量計SF’からの検出出力値がいずれもデータ集計装置30に入力されるようになっている。このように構成した場合、たとえば、該データ集計装置30によって、受検体F’からの検出出力値が、対象ガス流量抽出機能付流量計SF’からの検出出力値に対して、どのように変化するかの過程(挙動)を測定でき、加湿流体が流れた時の受検体F’の出力特性を検出(校正)することができるような効果を奏するようになる。
【0069】
図7は、図6の事例とは反対に、ドライ流体を流した時の受検体F’の出力特性を検出(校正)する事例の図で、図6の場合と比較して異なる構成は、加湿器、又は加湿の可能性のある配管2’が受検体F’と対象ガス流量抽出機能付流量計SF’の間に存在することにある。このような構成は、たとえば、図1で上述した燃料電池試験システムによく見られるが、前記受検体F’が配管から取り外しができない状態(外すと湿気が入る等の理由から)で、しかも加湿源2’を間に挟んでいるにも拘わらず、該受検体F’に対し、ドライ流体を流した時の定期的な校正が必要となる場合に好適となる。
【0070】
図8は、図6と対応する図であり、図6の場合と比較して異なる機能は、加湿流体を受検体F’に流すことは同様だが、受検体F’に加湿ガス体からドライガス流量値を抽出する機能を与えること特化した事例である。図6の場合と比較して異なる構成は、配管を通して対象ガス供給源1’、対象ガス流量抽出機能付流量計SF’、受検体F’が順次配置されているとともに、加湿器、又は加湿の可能性のある配管2’は対象ガス供給源1’と対象ガス流量抽出機能付流量計SF’の間、および対象ガス流量抽出機能付流量計SF’と受検体F’の間と配管上の至る所に加湿源が存在することにある。このような構成であった場合でも、対象ガス流量抽出機能付流量計は常にドライガス流量値を演算出力できるため、たとえば、受検体F’を燃料電池とし、水素ガスX(NL/min)消費時の該燃料電池の出力はY(w)というようなドライガス流量に基づく結果(校正された出力値)を得ることができる。そして、供給ガス源、および配管上の残存湿度に影響されないため、より高精度の測定を可能とすることができる。
【0071】
図9ないし図11は、それぞれ、汎用流量計等の受検体F’に表示装置11が設けられ、その表示値を対象ガス流量抽出機能付流量計SF’の表示装置17aないし17eの表示値と比較することにより、前記図6ないし図8に示したと同様な効果を得ようとするものである。ここで、図9は図6に示した用途に対応し、図10は図7に示した用途に対応し、図11は図8に示した用途に対応して、それぞれ描いたものとなっている。
【0072】
図12ないし図14は、前記図6ないし図9に示した構成と、前記図9ないし図11に示した構成とを合わせ用いた構成となっているもので、それらの各構成を必要に応じて別個にあるいは合わせて利用できるようになる。ここで、図12は図6および図9に示した用途に対応し、図13は図7および図10に示した用途に対応し、図14は図8および図11に示した用途に対応して、それぞれ描いたものとなっている。
【0073】
上述した各実施例はそれぞれ単独に、あるいは組み合わせて用いても良い。それぞれの実施例での効果を単独であるいは相乗して奏することができるからである。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明による演算型流量計の一実施例を燃料電池試験システムに適用させて用いた場合において示した構成図である。
【図2】図1に示す純ガス流量抽出回路における演算過程の一実施例を示すフロー図である。
【図3】本発明による演算型流量計を取り除いた際の燃料電池試験システムの一実施例を示す図である。
【図4】本発明による演算型流量計の他の実施例を燃料電池試験システムに適用させて用いた場合において示した構成図である。
【図5】本発明による演算型流量計の他の実施例を燃料電池試験システムに適用させて用いた場合において示した構成図である。
【図6】本発明による演算型流量計の用途の一形態を示した説明図である。
【図7】本発明による演算型流量計の用途の他の形態を示した説明図である。
【図8】本発明による演算型流量計の用途の他の形態を示した説明図である。
【図9】本発明による演算型流量計の用途の他の形態を示した説明図である。
【図10】本発明による演算型流量計の用途の他の形態を示した説明図である。
【図11】本発明による演算型流量計の用途の他の形態を示した説明図である。
【図12】本発明による演算型流量計の用途の他の形態を示した説明図である。
【図13】本発明による演算型流量計の用途の他の形態を示した説明図である。
【図14】本発明による演算型流量計の用途の他の形態を示した説明図である。
【符号の説明】
【0075】
F……流量計(管体2に常備)、F’……汎用流量計等の受検体、SF……標準流量計(管体に対して取り外し可能)、SF’……対象ガス流量抽出機能付流量計、1……水素ガスボンベ、1’……対象ガス供給源、2……管体、3……加湿源、4、13……検出回路、5……補正回路、6……純ガス流量検出回路、7……第1メモリ、8……第1演算回路、9……第2メモリ、10……第2演算回路、11、11’、17、17a、17b、17c、17d、17e……表示装置、14……純ガス流量抽出回路、14’……対象ガス流量抽出演算器、15……出力端子、16……信号伝送線、20……データ入力手段、30……データ集計装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は演算型流量計に係り、たとえば水素ガス等の流量を計測するのに好適な演算型流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、燃料電池はその空気極(プラス極)に空気が供給され燃料極(マイナス極)に水素が供給されることにより構成される。このような構成からなる燃料電池は空気中の酸素と前記水素を反応させ、この反応から直接電気エネルギーを生成するため極めて変換効率の優れた電池であるとして知られるに至っている。
【0003】
そして、燃料電池の燃料極への水素供給のための経路において、該水素の供給量の制御を行うため、たとえば水素ボンベからの配管の途中に流量計が設けられ、この流量計の計測値に基づき実運用を行うのが通常である。
【0004】
この場合、該燃料電池はその変換効率が高いがゆえに、その被反応物質である水素の流量も正確な値が期され、したがって、前記流量計の計測値において正確な値が要求されることはいうまでもない。
【0005】
なお、このような燃料電池システムにおける水素供給経路はたとえば下記の特許文献1等に詳述されている。
【特許文献1】特開平7−37598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した流量計による水素ガスの流量計測において、その計測値が正確でなく、その原因が該水素ガスに含まれてしまう水蒸気に原因があることが見いだされるに至った。
【0007】
水蒸気が含まれることによる流量計測の誤差は、ガス体がたとえば窒素(N2)の場合において弊害とは見いだされなかった。それは窒素ガスのモル質量は水蒸気よりも大きく、多湿状態のガスでもたとえば容積比率で考えれば5%程度であり誤差要因とならなかったからである。
【0008】
しかし、上述のようにガス体が水素の場合にあっては、そのモル質量は水蒸気の1/10であり、該水蒸気は充分な誤差要因となり得るものとなっている。
【0009】
したがって、通常の燃料電池への水素供給経路において、水素ボンベから配管を通して得られる水素ガスは実際には該配管内に残留する水蒸気を含み、たとえそれが微量であったとしても、計測された流量値は水素のみの流量値と比較してずれが生じることが判明する。
【0010】
このずれは、たとえば気温20℃の時に露点温度が0℃の水素ガスが、水蒸気を含まない純ガス状態時と比較して密度が+4%の増大を伴い、これがそのまま測定流量値に影響して現れることを鑑みれば、無視し得ないことが判明する。
【0011】
ここで、対象となるガスが水素の場合にあって、上述したような不都合が生じるが、水素に限らず他のガスであってもそれが湿りを含む可能性がある場合、該湿りの影響を低減させたガスの流量値を得ることが好都合となる場合が多々ある。
【0012】
本発明は、このような事情に基づいてなされたもので、その目的は、湿りを含む可能性のあるガス体の流量値から該湿りの影響を低減させた当該ガスの流量値を算出させることができる演算型流量計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0014】
(1)本発明による演算型流量計は、たとえば、湿りを含む可能性の有るガス体を計測流体とする流量計であって、
ガス流量抽出回路を具備し、このガス流量抽出回路は、少なくとも、計測されたガスのモル分率を求める演算手段と、該モル分率から前記ガスのモル質量を求める演算手段と、該モル質量から前記ガスの密度値を求める演算手段と、該密度値から前記ガスの湿り分を除いた質量流量値を求める演算手段と、該質量流量値から前記ガスの湿り分を除いた容積流量値を求める演算手段とから構成され、
かつ、このガス流量抽出回路からの前記容積または質量流量値に相当する情報を当該流量計以外の他の機器に出力させる出力端子を備えることを特徴とするものである。
【0015】
(2)本発明による演算型流量計は、たとえば、湿りを含む可能性の有るガス体を計測流体とする流量計であって、
ガス流量抽出回路を具備し、このガス流量抽出回路は、少なくとも、計測されたガスのモル分率を求める演算手段と、該モル分率から前記ガスのモル質量を求める演算手段と、該モル質量から前記ガスの密度値を求める演算手段と、該密度値から前記ガスの湿り分を除いた質量流量値を求める演算手段と、該質量流量値から前記ガスの湿り分を除いた容積流量値を求める演算手段とから構成され、
かつ、このガス流量抽出回路からの前記容積または質量流量値に相当する情報を表示させる表示装置を備えることを特徴とするものである。
【0016】
(3)本発明による演算型流量計は、たとえば、湿りを含む可能性の有るガス体を計測流体とする流量計であって、
ガス流量抽出回路を具備し、このガス流量抽出回路は、少なくとも、計測されたガスのモル分率を求める演算手段と、該モル分率から前記ガスのモル質量を求める演算手段と、該モル質量から前記ガスの密度値を求める演算手段と、該密度値から前記ガスの湿り分を除いた質量流量値を求める演算手段と、該質量流量値から前記ガスの湿り分を除いた容積流量値を求める演算手段とから構成され、
かつ、このガス流量抽出回路からの前記容積または質量流量値に相当する情報を当該流量計以外の他の機器に出力させる出力端子と、
前記ガス流量抽出回路からの前記容積または質量流量値に相当する情報を表示させる表示装置を備えることを特徴とするものである。
【0017】
なお、本発明は以上の構成に限定されず、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【発明の効果】
【0018】
上記(1)に記載された本発明に係る演算型流量計は、ガス流量抽出回路を備え、その各演算手段によって水蒸気を含まぬガスの容積または質量流量値が算出されるようになっている。すなわち、水蒸気等の湿りによる影響を低減させたガスの流量値を得ることができるようになっている。
【0019】
そして、湿りの影響を低減させた前記ガスの流量値に相当する情報を当該演算型流量計以外の他の機器に出力させる出力端子を備えたものとして構成されている。このことは、前記情報を他の機器に出力させ、該他の機器によって前記情報を有効に活用させることができることを意味する。
【0020】
このため、このように構成される演算型流量計を用い、たとえば他の流量計であって同様に水蒸気の影響をも含めた前記ガスの計測において、その計測値に補正を施こすことにより、該他の流量計においても湿りの影響を低減させた前記ガスの流量値を算出させることができる効果を奏する。
【0021】
また、上記(2)に記載された本発明に係る演算型流量計は、(1)に記載した流量計と同様に、ガス流量抽出回路を備え、湿りの影響を低減させたガスの流量値を得ることができるようになっている。そして、該ガス流量抽出回路からの前記容積流量値に相当する情報を表示装置に表示させることができるようになっている。
【0022】
このため、この演算型流量計をそれ単独で用いることができ、湿りを含んだ前記ガスの計測にあって、該湿りの影響を除いた前記ガスのみの流量を直接に認識できる計測を行うことができるようになる。
【0023】
さらに、上記(3)に記載された本発明に係る流量計は、上記(1)、(2)に記載された演算型流量計の効果を併せもつように構成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明による演算型流量計の実施例を図面を用いて説明をする。
【0025】
図1は、本発明による演算型流量計の一実施例を燃料電池試験システムに適用させて用いた場合において示した構成図である。そして、本発明による演算型流量計はその計測流体(対象ガス)を水素とする流量計となっている。
【0026】
図1において、該燃料電池試験システムは、まず、水素ガスボンベ1と、この水素ガスボンベ1からの水素が燃料電池(図示しない)側に供給される途中の管体2において、該水素ガスボンベ1側から順に配置される汎用形の流量計F、加湿源3、および標準流量計SF(演算型流量計)とから構成されている。ここで、前記標準流量計SFは本発明に係る流量計として把握される。
【0027】
そして、この燃料電池試験システムにあっては、前記標準流量計SFはたとえば前記燃料電池の設置個所に代替されて取り付けられ、この標準流量計SFから得られる演算値に基づいて前記流量計Fからの計測値を補正し、この補正された該流量計Fの演算値は水蒸気を含まない水素のみの流量値として検出できるようになっている。
【0028】
このため、前記標準流量計SFは前記流量計Fにおいて補正された流量値が得られるようになった後に前記管体2から取り外され(その個所に前記燃料電池が配置され)るようになっているのに対し、前記流量計Fは該管体2に常時設置されるものとして構成される。流量計Fは計測値として水蒸気を含まない水素のみの流量を表示するようになる。
【0029】
前記標準流量計SFは、前記流量計Fと比較して、流量を極めて正確に測定できるように構成され、併せて流体の圧力、温度、湿度を検出し、水蒸気を含まぬガス流量を抽出する機能を備えることから、その構成は該流量計Fよりも複雑で、かつ価格も高価となっている。したがって、燃料電池試験システムにおいて、その水素ガスの計測を精度よく行うため該標準流量計SFを該燃料電池試験システムに組み込んだままとして用いることは極めて好都合となるが、高価格となってしまうことを免れず、上述したように、前記流量計Fにおいて補正された流量値が得られた後は、該標準流量計SFを取り外すようにしている。なお、この標準流量計SFはその名が示す通りある規定以上の精度を有するものとして構成されるのが通常であるが、この発明の適用にあって前記流量計Fよりも測定精度が良好のものであれば充分となる。後の説明から明らかとなるように、この燃料電池システムにおける純水素ガス(ここでは水蒸気を含まない水素ガスの意味。以下同様)の正確な流量測定は該標準流量計SFの精度にそのまま依存する関係にあるからである。
【0030】
なお、前記加湿源3はそれを備えることにより燃料電池を安定して動作させることができるようになる。該燃料電池の水素と酸素を反応させる部分(セルスタック)は湿潤環境下で安定動作するからである。しかし、他の実施例として該加湿源3は必ずしも前記管体2に備えられたものでなくてもよい。該加湿源3が存在しない場合であっても、管体2には完全に除去できない水蒸気が存在し、この場合にも拘わらず、純水素ガスの流量を精度よく計測しようとするものであるからである。
【0031】
このような構成において、まず、前記標準流量計SFは、それが取り付けられた管体2内の水素ガス(水蒸気を含む)の流量Qの他に、該水素ガスの圧力P、温度T、および絶対湿度haをそれぞれ検出する検出回路13と、これら流量Q、圧力P、温度T、および絶対湿度haに基づいて演算をして前記流量から水蒸気を除いた純水素ガスのみの流量値(ノルマル容量流量値Qgvn)を算出する純ガス流量抽出回路14と、この純ガス流量抽出回路14によって算出された流量値の情報を前記流量計F側へ送出させるための出力端子15を備えて構成されている。
【0032】
ここで、前記純ガス流量抽出回路14は、たとえばマイクロコンピュータから構成され、図2に示すステップで順次演算がなされるようになっている。以下、ステップ順に該純ガス流量抽出回路14の動作を説明する。
【0033】
ステップST1:湿りガスのモル分率Xvを求める。ここで、湿りガスは水蒸気を含む水素ガスをいう。
【0034】
湿りガスのモル分率Xvは次式(1)に基づいて算出される。
【0035】
Xv=(ha・Ru・T)/(P・Nvap) ……(1)
ここで、Nvapは水蒸気のモル質量(=0.0180150kg/mol)、Ruは普遍気体定数(=8.31451J/(K・mol))、Pはガス圧力(Pa[abs])、Tはガス温度(K)、haは絶対湿度(kg/m3)である。
【0036】
ガス圧力P、ガス温度T、絶対湿度haはそれぞれ標準流量計SFに設けられたセンサからの出力から算出される。
【0037】
ステップST2:湿りガス中の純ガスのモル質量Ngasを求める。まず、ステップST1で得られたモル分率Xvより、湿りガスのモル質量Nは次式(2)に示すように分解できる。
【0038】
N=Ndry×(1−Xv)+Nvap・Xv ……(2)
ここで、Ndryは乾燥ガスのモル質量(kg/mol)である。この乾燥ガスは不純物を含まない水素ガスであることから、既定値として定まっている値である。
【0039】
そして、純ガスのみのモル質量Ngasは次式(3)に基づいて算出される。
【0040】
Ngas=Ndry×(1−Xv) ……(3)
ステップST3:純ガスの実際の密度値ρgasを求める。この密度値ρgasは次式(4)に基づいて算出される。
【0041】
ρgas=(Ngas・P)/(Ru・Z・T) ……(4)
ここで、Zは圧縮係数である。
【0042】
ステップST4:純ガスの質量流量値Qgmを求める。この質量流量値Qgmは次式(5)に基づいて算出される。
【0043】
Qgm=ρgas×Q ……(5)
ここで、Qは容積流量値(L/min)であり、前記標準流量計SFから得られる流量値である。
【0044】
ステップST5:純ガスのノルマル容積流量値Qgvnを求める。このノルマル容積流量値Qgvnは次式(6)に基づいて算出される。
【0045】
Qgvn=Qgm/ρgn ……(6)
ここで、ρgnはガスの標準(ノルマル)条件時の密度(g/L)であり、既定値として定まっている。
【0046】
このようにして得られたノルマル容積流量値Qgvnは純ガス流量抽出回路14の出力情報として出力端子15を介して前記流量計F側に送出されるようになっている。該ノルマル容積流量値Qgvnによって前記流量計Fによって得られる計測値を補正し、この補正された該流量計Fの演算値を水蒸気を含まない水素のみの流量値として算出させるためである。
【0047】
なお、この実施例では、前記純ガス流量抽出回路14をマイクロコンピュータが行う演算回路として示したものであるが、これに限定されることはなく、専用のデジタル回路として構成してもよいことはいうまでもない。
【0048】
また、図1に示すように、標準流量計SFに設けられている前記出力端子15には、信号伝送線16の一端が接続され、この信号伝送線16の他端は前記流量計F側に接続されるように構成されている。該信号伝送線16を介して前記標準流量計SFによって算出されたノルマル容積流量値Qgvnに相当する情報が該流量計F側に送出されるようになっている。
【0049】
このことから、前記出力端子15は、標準流量計SFによって算出された前記ノルマル容積流量値Qgvnに相当する情報を当該標準流量計SF以外の他の機器に出力させるための端子として機能することになる。
【0050】
この場合、前記信号伝送線16は、前記出力端子15を介することなく標準流量計SFに取り付けられ、該標準流量計SFの構成部材の一部として構成されたものであってもよい。この場合、該信号伝送線16の流量計Fに接続される側が出力端子として機能することになる。
【0051】
前記流量計Fは、たとえばマスフローメータ(熱式流量計)からなり、その測定精度は前記標準流量計SFの測定精度よりも高いものを用いる必要のないものとなっている。この流量計Fにおいて、管体2内に配置される該熱式流量計の検出電極からの出力は、検出回路4に入力され、この検出回路4によって前記流量計Fに流れる水素ガスの流量が算出されるようになっている。ここで、この流量計Fによって算出された水素ガスの流量値は、水素ガスボンベ1内の水蒸気を含まない純水素ガスの流量値ではなく、該水素ガスボンベ1から流量計Fにまで至る管体2内に存在する水蒸気の影響を受けた流量値となっている。燃料電池システムの制御においては、水蒸気を含まない純水素ガスのみの流量値に基づいて行うのが極めて好都合であることから、前記検出回路4によって算出された流量値を、その後において、補正回路5によって補正されるように構成されている。なお、この実施例では、前記検出回路4および補正回路5からなる回路を純ガス流量検出回路6と称する。この純ガス流量検出回路6は前記検出回路4からの出力を得るのが目的でなく、該出力を補正して純ガスの流量値を出力させるのが目的だからである。
【0052】
該補正回路5はたとえば第1メモリ7、第1演算回路8、第2メモリ9、および第2演算回路10とから構成されている。そして、第1メモリ7には標準流量計SFからの出力によって前記純ガス流量抽出回路14からの出力値(流量値)が格納されるようになっており、この格納された流量値に相当する情報は、第1演算回路8に入力されるようになっている。
【0053】
一方、第1演算回路8には前記検出回路4からの検出された流量値に相当する情報も入力されており、この情報の流量値と前記第1メモリ7に格納されている情報の流量値との差分値がこの第1演算回路8によって演算されるようになっている。そして、この差分値は第2メモリ9に出力されて格納されるようになっている。その後において、前記検出回路4からの流量値は第2演算回路10に入力されるようになり、この第2演算回路10によって、該流量値から第2メモリ9に格納された前記差分値を減算させ、この減算させた値を前記補正回路5の出力として、すなわち、純ガス流量検出回路6の出力として、出力させるようになっている。これにより、前記補正回路5によって補正された流量値は、水蒸気を含まない純水素ガスのみの流量値となり、その値は、表示装置11に表示されるように構成される。
【0054】
なお、後述の純ガス流量抽出回路14からの出力値を前記純ガス流量検出回路6の第1メモリ7に格納した後は、前記標準流量計SFを必要としなくなるものであり、図3に示すように、該標準流量計SFを取り除いた構成として燃料電池試験システムを構成するようになっている。この時点で、流量計Fは前記標準流量計SFの計測精度に準拠した計測精度を備えたものとして校正されたからである。
【0055】
以上説明したことから明らかとなるように、前記標準流量計SFは、それに具備された純ガス流量抽出回路14の各演算手段によって水素ガス単体でのノルマル容積流量値Qgvnが算出されるようになっている。すなわち、水蒸気の影響を排除させた水素ガスのみでの流量値を得ることができるようになっている。
【0056】
そして、該ノルマル容積流量値Qgvnに相当する情報を当該標準流量計SF以外の他の流量計Fに出力させる出力端子15を備えたものとして構成されている。このことは、前記情報を該流量計Fに出力させ、該流量計Fによって前記情報を有効に活用させることができることを意味し、すなわち、その計測値に補正を施こすことにより、該流量計Fにおいても水蒸気を低減させた水素ガスの流量値を算出させることができる効果を奏するようになる。
【0057】
図4は、本発明による流量計の他の実施例を示す構成図で、図1に対応した図となっている。
【0058】
図1と比較して異なる構成は、まず、標準流量計SFにおいて、表示装置17が設けられ、この表示装置17には、純ガス流量抽出回路14からの出力値、すなわち、前記ノルマル容積流量値Qgvnが表示されるようになっている。
【0059】
したがって、水蒸気の影響が除かれた水素ガスの流量値は、表示装置17を目視することによって認識することができることになる。この場合、図1に示したように標準流量計SFが算出したノルマル容積流量値Qgvnに基づいて流量計Fからの計測値を補正できるように構成する場合、図4に示すように、該流量計Fにおいてデータ入力手段20を具備させるようにすればよい。このデータ入力手段20は、数値を入力できるキーボード等のデータ入力手段として構成し、このデータ入力手段20から入力された数値に相当する情報は前記補正回路5内の第1メモリ7に格納されるようになっている。
【0060】
すなわち、図1では、標準流量計SFが算出したノルマル容積流量値Qgvnに相当する情報を、信号伝送線16を介して流量計F側の第1メモリ7に格納させるのに対し、図4では、該ノルマル容積流量値Qgvnを目視で認識した操作者が該ノルマル容積流量値Qgvnに相当する情報を流量計Fのデータ入力手段20の操作を介して第1メモリ7に格納させることに相違を有する。また、流量計Fの構造が、該補正回路5を非搭載な簡易なものであった場合、直接その流量出力値Qm(F)を校正値Qgmに合わせて調整してもよいことはいうまでもない。
【0061】
しかし、図4に示した標準流量計SFは、必ずしも図4に示したように流量計Fの計測値を補正するために用いる必要はなく、前記流量計Fの存在に関わりなく、該標準流量計SFをそれ単独で用いるようにしてもよいことはもちろんである。このようにした場合、水蒸気を含んだ水素ガスの計測にあって、該水蒸気の影響を除いた水素ガスのみの流量を表示器17によって直接に認識できる計測を行うことができるようになる。
【0062】
なお、前記表示装置17は、図1に示した標準流量計SFにも取り付けてもよいことはもちろんである。図5はこのようにして構成した標準流量計SFを示す図である。
【0063】
なお、上述した実施例では、標準流量計SFによって水蒸気を含む水素ガスのうち該水蒸気の影響をほとんど除き、高い精度で水素ガスの流量を算出するようにしたものである。しかし、本発明はあくまでも前記ガスの流量抽出値を得ることが目的であるため、厳密な湿度の測定まで行う必要はなく、流量抽出値に及ぼす水蒸気の影響を減少させる程度であってもよいことはいうまでもない。本発明に係る流量計の使用される環境下において、水蒸気の影響をほぼ完全に除去する必要はなく、ある程度で充分であるという場合があるからである。
【0064】
さらに、上述した実施例において、本発明による演算型流量計は水素ガスを計測流体とする流量計としたものであるが、これに限定されることはなく、水素ガス以外のガス体であって、湿りを含む可能性のあるものであっても適用できることはいうまでもない。水素ガス以外のガスであっても、それに含まれる湿りの影響を低減させた該ガスの流量値を得ることが好都合となる場合が多々あるからである。
【0065】
そして、前記演算型流量計として水素ガスを計測流体とした流量計を示したことから、上記実施例では、その用途の一例として燃料電池試験システムを背景として説明したものである。しかし、本発明による演算型流量計は、燃料電池試験システム以外の他の用途において適用されるようなことがあってもよいことはもちろんである。
【0066】
図6ないし図14は、本発明による演算型流量計のいくつかの好適な用途を、上記実施例で示した用途をも含めて、纏めて示した説明図である。そして、これら各図において、計測流体は一般的に湿りを含む可能性のあるガス体を対象としたものとしている。このことから、前記水素ガスボンベ1に対応するものとしては対象ガス供給源1’とし、流量計Fに対応するものとしては汎用流量計等の受検体F’とし、前記管体2のうち特に加湿器を備えた配管又は加湿の可能性の有る配管に対応するものとして配管2’とし、前記標準流量計SFに対応するものとして対象ガス流量抽出機能付流量計SF’としてそれぞれ示している。そして、この対象ガス流量抽出機能付流量計SF’には、前記純ガス流量抽出回路14に対応するものとして対象ガス流量抽出演算器14’が備えられている。
【0067】
また、上述した標準流量計SFはその表示装置としてガス流量値を示す表示装置17のみを備えるものであったが、該対象ガス流量抽出機能付流量計SF’には、たとえば、対象ガス抽出流量値(Qgvn)を表示する表示装置17a、ガス流量値(Q)を表示する表示装置17b、ガス湿度値(ha)を表示する表示装置17c、ガス温度値(T)を表示する表示装置17d、およびガス圧力値(P)を表示する表示装置17eが備えられたものとして構成されている。
【0068】
まず、図6は、配管を通して対象ガス供給源1’、汎用流量計等の受検体F’、対象ガス流量抽出機能付流量計SF’が順次配置され、該配管のうち加湿器、又は加湿の可能性のある配管2’が対象ガス供給源1’と受検体F’の間に存在しており、前記受検体F’からの検出出力値と対象ガス流量抽出機能付流量計SF’からの検出出力値がいずれもデータ集計装置30に入力されるようになっている。このように構成した場合、たとえば、該データ集計装置30によって、受検体F’からの検出出力値が、対象ガス流量抽出機能付流量計SF’からの検出出力値に対して、どのように変化するかの過程(挙動)を測定でき、加湿流体が流れた時の受検体F’の出力特性を検出(校正)することができるような効果を奏するようになる。
【0069】
図7は、図6の事例とは反対に、ドライ流体を流した時の受検体F’の出力特性を検出(校正)する事例の図で、図6の場合と比較して異なる構成は、加湿器、又は加湿の可能性のある配管2’が受検体F’と対象ガス流量抽出機能付流量計SF’の間に存在することにある。このような構成は、たとえば、図1で上述した燃料電池試験システムによく見られるが、前記受検体F’が配管から取り外しができない状態(外すと湿気が入る等の理由から)で、しかも加湿源2’を間に挟んでいるにも拘わらず、該受検体F’に対し、ドライ流体を流した時の定期的な校正が必要となる場合に好適となる。
【0070】
図8は、図6と対応する図であり、図6の場合と比較して異なる機能は、加湿流体を受検体F’に流すことは同様だが、受検体F’に加湿ガス体からドライガス流量値を抽出する機能を与えること特化した事例である。図6の場合と比較して異なる構成は、配管を通して対象ガス供給源1’、対象ガス流量抽出機能付流量計SF’、受検体F’が順次配置されているとともに、加湿器、又は加湿の可能性のある配管2’は対象ガス供給源1’と対象ガス流量抽出機能付流量計SF’の間、および対象ガス流量抽出機能付流量計SF’と受検体F’の間と配管上の至る所に加湿源が存在することにある。このような構成であった場合でも、対象ガス流量抽出機能付流量計は常にドライガス流量値を演算出力できるため、たとえば、受検体F’を燃料電池とし、水素ガスX(NL/min)消費時の該燃料電池の出力はY(w)というようなドライガス流量に基づく結果(校正された出力値)を得ることができる。そして、供給ガス源、および配管上の残存湿度に影響されないため、より高精度の測定を可能とすることができる。
【0071】
図9ないし図11は、それぞれ、汎用流量計等の受検体F’に表示装置11が設けられ、その表示値を対象ガス流量抽出機能付流量計SF’の表示装置17aないし17eの表示値と比較することにより、前記図6ないし図8に示したと同様な効果を得ようとするものである。ここで、図9は図6に示した用途に対応し、図10は図7に示した用途に対応し、図11は図8に示した用途に対応して、それぞれ描いたものとなっている。
【0072】
図12ないし図14は、前記図6ないし図9に示した構成と、前記図9ないし図11に示した構成とを合わせ用いた構成となっているもので、それらの各構成を必要に応じて別個にあるいは合わせて利用できるようになる。ここで、図12は図6および図9に示した用途に対応し、図13は図7および図10に示した用途に対応し、図14は図8および図11に示した用途に対応して、それぞれ描いたものとなっている。
【0073】
上述した各実施例はそれぞれ単独に、あるいは組み合わせて用いても良い。それぞれの実施例での効果を単独であるいは相乗して奏することができるからである。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明による演算型流量計の一実施例を燃料電池試験システムに適用させて用いた場合において示した構成図である。
【図2】図1に示す純ガス流量抽出回路における演算過程の一実施例を示すフロー図である。
【図3】本発明による演算型流量計を取り除いた際の燃料電池試験システムの一実施例を示す図である。
【図4】本発明による演算型流量計の他の実施例を燃料電池試験システムに適用させて用いた場合において示した構成図である。
【図5】本発明による演算型流量計の他の実施例を燃料電池試験システムに適用させて用いた場合において示した構成図である。
【図6】本発明による演算型流量計の用途の一形態を示した説明図である。
【図7】本発明による演算型流量計の用途の他の形態を示した説明図である。
【図8】本発明による演算型流量計の用途の他の形態を示した説明図である。
【図9】本発明による演算型流量計の用途の他の形態を示した説明図である。
【図10】本発明による演算型流量計の用途の他の形態を示した説明図である。
【図11】本発明による演算型流量計の用途の他の形態を示した説明図である。
【図12】本発明による演算型流量計の用途の他の形態を示した説明図である。
【図13】本発明による演算型流量計の用途の他の形態を示した説明図である。
【図14】本発明による演算型流量計の用途の他の形態を示した説明図である。
【符号の説明】
【0075】
F……流量計(管体2に常備)、F’……汎用流量計等の受検体、SF……標準流量計(管体に対して取り外し可能)、SF’……対象ガス流量抽出機能付流量計、1……水素ガスボンベ、1’……対象ガス供給源、2……管体、3……加湿源、4、13……検出回路、5……補正回路、6……純ガス流量検出回路、7……第1メモリ、8……第1演算回路、9……第2メモリ、10……第2演算回路、11、11’、17、17a、17b、17c、17d、17e……表示装置、14……純ガス流量抽出回路、14’……対象ガス流量抽出演算器、15……出力端子、16……信号伝送線、20……データ入力手段、30……データ集計装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湿りを含む可能性のあるガス体を計測流体とする流量計であって、
ガス流量抽出回路を具備し、このガス流量抽出回路は、少なくとも、計測されたガスのモル分率を求める演算手段と、該モル分率から前記ガスのモル質量を求める演算手段と、該モル質量から前記ガスの密度値を求める演算手段と、該密度値から前記ガスの湿り分を除いた質量流量値を求める演算手段と、該質量流量値から前記ガスの湿り分を除いた容積流量値を求める演算手段とから構成され、
かつ、このガス流量抽出回路からの前記容積または質量流量値に相当する情報を当該流量計以外の他の機器に出力させる出力端子を備えることを特徴とする演算型流量計。
【請求項2】
湿りを含む可能性のあるガス体を計測流体とする流量計であって、
ガス流量抽出回路を具備し、このガス流量抽出回路は、少なくとも、計測されたガスのモル分率を求める演算手段と、該モル分率から前記ガスのモル質量を求める演算手段と、該モル質量から前記ガスの密度値を求める演算手段と、該密度値から前記ガスの湿り分を除いた質量流量値を求める演算手段と、該質量流量値から前記ガスの湿り分を除いた容積流量値を求める演算手段とから構成され、
かつ、このガス流量抽出回路からの前記容積または質量流量値に相当する情報を表示させる表示装置を備えることを特徴とする演算型流量計。
【請求項3】
湿りを含む可能性のあるガス体を計測流体とする流量計であって、
ガス流量抽出回路を具備し、このガス流量抽出回路は、少なくとも、計測されたガスのモル分率を求める演算手段と、該モル分率から前記ガスのモル質量を求める演算手段と、該モル質量から前記ガスの密度値を求める演算手段と、該密度値から前記ガスの湿り分を除いた質量流量値を求める演算手段と、該質量流量値から前記ガスの湿り分を除いた容積流量値を求める演算手段とから構成され、
かつ、このガス流量抽出回路からの前記容積または質量流量値に相当する情報を当該流量計以外の他の機器に出力させる出力端子と、
前記ガス流量抽出回路からの前記容積または質量流量値に相当する情報を表示させる表示装置を備えることを特徴とする演算型流量計。
【請求項1】
湿りを含む可能性のあるガス体を計測流体とする流量計であって、
ガス流量抽出回路を具備し、このガス流量抽出回路は、少なくとも、計測されたガスのモル分率を求める演算手段と、該モル分率から前記ガスのモル質量を求める演算手段と、該モル質量から前記ガスの密度値を求める演算手段と、該密度値から前記ガスの湿り分を除いた質量流量値を求める演算手段と、該質量流量値から前記ガスの湿り分を除いた容積流量値を求める演算手段とから構成され、
かつ、このガス流量抽出回路からの前記容積または質量流量値に相当する情報を当該流量計以外の他の機器に出力させる出力端子を備えることを特徴とする演算型流量計。
【請求項2】
湿りを含む可能性のあるガス体を計測流体とする流量計であって、
ガス流量抽出回路を具備し、このガス流量抽出回路は、少なくとも、計測されたガスのモル分率を求める演算手段と、該モル分率から前記ガスのモル質量を求める演算手段と、該モル質量から前記ガスの密度値を求める演算手段と、該密度値から前記ガスの湿り分を除いた質量流量値を求める演算手段と、該質量流量値から前記ガスの湿り分を除いた容積流量値を求める演算手段とから構成され、
かつ、このガス流量抽出回路からの前記容積または質量流量値に相当する情報を表示させる表示装置を備えることを特徴とする演算型流量計。
【請求項3】
湿りを含む可能性のあるガス体を計測流体とする流量計であって、
ガス流量抽出回路を具備し、このガス流量抽出回路は、少なくとも、計測されたガスのモル分率を求める演算手段と、該モル分率から前記ガスのモル質量を求める演算手段と、該モル質量から前記ガスの密度値を求める演算手段と、該密度値から前記ガスの湿り分を除いた質量流量値を求める演算手段と、該質量流量値から前記ガスの湿り分を除いた容積流量値を求める演算手段とから構成され、
かつ、このガス流量抽出回路からの前記容積または質量流量値に相当する情報を当該流量計以外の他の機器に出力させる出力端子と、
前記ガス流量抽出回路からの前記容積または質量流量値に相当する情報を表示させる表示装置を備えることを特徴とする演算型流量計。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2007−192684(P2007−192684A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−11524(P2006−11524)
【出願日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(000103574)株式会社オーバル (82)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(000103574)株式会社オーバル (82)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]