説明

炭素電極の製造方法および石英ガラスルツボの製造方法

【課題】電極汚染物のルツボ内混入防止を図る。ルツボからの単結晶引き上げへの影響を低減する。引き上げ単結晶特性の良好な石英硝子るつぼを提供する。低コストで電極汚染物の低減を図る。
【解決手段】アーク放電によって被溶融物を溶融するための炭素電極13の製造方法であって、電力供給前に前記炭素電極表面を前記被溶融物11と同種の摩擦体により摩擦処理する摩擦処理工程を有する。前記摩擦処理工程が、前記炭素電極先端を成形する研削工程後に行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭素電極の製造方法および石英ガラスルツボの製造方法に係り、アーク放電によって石英粉を加熱溶融してガラス化する際に用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
単結晶シリコンの引き上げに用いる石英ガラスルツボは主にアーク溶融法によって製造されている。この方法の概略は、カーボン製モールドの内表面に石英粉を一定厚さに堆積して石英堆積層である石英粉成形体を形成し、この石英粉成形体の上方に炭素電極を設置し、そのアーク放電によって石英堆積層を加熱、ガラス化して石英ガラスルツボを製造する方法である。
【0003】
特許文献1にはアーク溶融による石英ガラスルツボ製造におけるアーク溶融に関する技術が記載され、特許文献2,3にはアーク放電における電極に関する技術が記載されている。
また、アーク放電用の電極間距離に関する記載が、特許文献4に記載される。
【0004】
また、近年デバイス工程の効率化等の要請から、製造するウェーハ口径が300mmを超える程度と大きくなっており、これに伴って大口径の単結晶を引き上げ可能な石英ガラスルツボが要求されている。また、デバイスの微細化等の要請から、引き上げる単結晶の特性に直接影響を与える石英ガラスルツボ内面状態等のルツボ特性の向上にも、強い要求がある。
【特許文献1】特許第03647688号公報
【特許文献2】特開2002−68841号公報
【特許文献3】特開2001−097775号公報
【特許文献4】特開2003−335532号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、成形された電極の表面には、金属等の不純物が付着している可能性があり、アーク放電中の電極の消耗部分は発生するアークプラズマ流等の影響で石英粉成形体がガラス化する際にその内部に取り込まれる可能性がある。このようなルツボを半導体単結晶引き上げに使用した場合には、取り込まれた不純物が引き上げ時の半導体原料融液に溶け出して、単結晶内に取り込まれてしまうので、引き上げた単結晶特性が所望の状態にならない可能性があるという問題があった。
【0006】
また、ルツボ内に金属等の汚染物が取り込まれた場合には、この汚染物から晶質化が進み、発生したクリストバライト徴少片が半導体融液中に剥離して単結晶に取り込まれ、有転位化を引き起こすという問題があった。
【0007】
さらに、最近の単結晶およびルツボの大口径化によって、1つのルツボ製造における製造に必要な時間が増大するとともに必要な供給電力量が増大したため、電極の消耗量が増加し、結果的に汚染電極からルツボ内に取り込まれる汚染物の量が増加するため、上記の問題がさらに顕在化してきたという問題があった。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、以下の目的を達成しようとするものである。
1.電極汚染物のルツボ内混入防止を図ること。
2.ルツボからの単結晶引き上げへの悪影響を低減すること。
3.引き上げ単結晶特性の良好な石英ガラスルツボを提供すること。
4.低コストで電極汚染物の低減を図ること。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の本発明の炭素電極の製造方法は、アーク放電によって被溶融物を溶融するための炭素電極の製造方法であって、
電力供給前に前記炭素電極表面を前記被溶融物と同種の摩擦体により摩擦処理する摩擦処理工程を有することにより上記課題を解決した。
本発明本発明において、前記摩擦処理工程が、前記炭素電極先端を整形する研削工程後におこなわれることがより好ましい。
本発明本発明は、前記摩擦体が石英粉とされることが可能である。
また、また、本発明において、前記石英粉における不純物レベルが、それぞれFe;0.001〜1.0ppm、Na;0.001〜1.3ppm、K;0.001〜1.0ppm、Li;0.001〜1.0ppm、Cu;0.001〜0.05ppm、Ca;0.001〜1.0ppm、の範囲あるいはこの範囲よりも低レベルな範囲に設定される手段を採用することもできる。
また、また、前記石英粉の平均粒径D50が、φ100〜250μmとされることができる。
本発明本発明においては、前記摩擦処理工程において、前記摩擦体である石英粉を貯留した貯留槽に前記炭素電極先端側を挿入した状態として、前記貯留槽と前記炭素電極とを相対的に回転運動および/または軸線方向往復運動させて摩擦処理することが望ましい。
さらにさらに、前記摩擦処理工程において、前記炭素電極先端側を前記摩擦体である石英粉によりサンドブラスト処理することが可能である。
また、また、前記摩擦処理工程において、前記炭素電極先端側を摩擦処理する際に、前記電極基端側を保持する保持手段表面の不純物レベルを、それぞれFe;0.001〜1.0ppm、Na;0.001〜1.3ppm、K;0.001〜1.0ppm、Li;0.001〜1.0ppm、Cu;0.001〜0.05ppm、Ca;0.001〜1.0ppm、の範囲あるいはこの範囲よりも低レベルな範囲に維持することがある。
本発明本発明の石英ガラスルツボの製造方法においては、上記のいずれか記載の製造方法により製造された前記炭素電極によるアーク溶融により前記被溶融物となる石英粉成形体を溶融する石英ガラスルツボの製造方法であって、
前記摩擦体が石英ガラスルツボの製造原料と同種の石英粉とされることが好ましい。
【0010】
本発明の本発明の炭素電極の製造方法は、アーク放電によって被溶融物を溶融するための炭素電極の製造方法であって、
電力供給前に前記炭素電極表面を前記被溶融物と同種の摩擦体により摩擦処理する摩擦処理工程を有することにより、前記炭素電極表面を前記被溶融物と同種の摩擦体によっていわゆる「共洗い」することで、新たな不純物を電極表面に付着させることなく、電極表面を洗浄し、不純物濃度を低減することが可能となる。これにより、アーク溶融中に電極表面に付着していた不純物が被溶融物に取り込まれることを防止してアーク溶融をおこなうことが可能な電極を提供することが可能となる。
また、炭素電極表面を洗浄液によって洗浄することが考えられるが、炭素電極の構造上、内部に洗浄液が浸透して汚染物が電極内部に含浸されてしまうため、このような手段は不適当である。
【0011】
さらに、石英ガラスルツボ製造時にこの電極を使用することにより、大口径化によって処理時間および電極消耗量が増大した場合でも、引き上げる単結晶特性に影響を与える不純物が溶融中に石英ガラスルツボ中に取り込まれることを防止することが可能となる。
【0012】
本発明において、炭素電極とはアーク放電に使用されるものであればその用途は限定されないが、特に、石英ガラスルツボ製造のように、被溶融物(製造物)である石英ガラスルツボにおける清浄度にたいする要求レベルが高いものに適応されることが好ましく、さらに、誘電体である被溶融物をアーク溶融する際に使用されるものに適応することができる。具体的には、電極表面の清浄度レベルとして、各不純物濃度が、Na;0.2ppm、K;0.2ppm、Li;0.01ppm、Fe;0.1ppm、Ca;0.2ppm、Cu;0.01ppm、を超えないことが要求される。
さらに、このような炭素電極として以下の例を挙げるが、本発明における電極はこの例に限定されるものではない。
【0013】
炭素電極(カーボン電極)は、粒子がコークスなどの原料、例えば石炭系ピッチコークス、およびコールタールピッチなどの結合材、例えば石炭系コールタールピッチとを炭化した混練物を用いて、後述する製造方法により全体的に円柱形状であり、先端部が先細の形状に形成されたものとされることができる。
カーボン電極は、かさ密度が1.80g/cm 以上で、かつ3点曲げ強さが35MPa以上のカーボンからなる。
上記カーボン電極は、カーボン質原料および結合材の炭化物より組成されており、カーボン原料の最大粒径が150μm以下で、かつカーボン原料の90%以上が粒径75μm以下であることが好ましい。このカーボン原料の粒径は、カーボン電極の組成を偏光顕微鏡にて観察することによって、確認することができる。
上記カーボン電極は、カーボン質原料および結合材の炭化物よりなる2次粒子が上記結合材の炭化物により結合された等方性黒鉛材料であって、上記2次粒子の最大粒径が500μm以下で、かつ上記2次粒子の50%以上が粒径38〜500μmであることがより好ましい。
【0014】
なお、上記カーボン電極は、固有抵抗の異方比が1.1以下であり、かつこれに含まれる灰分を5ppm以下にして、カーボン電極の組織均一性を高めることが好ましい。この時の固有抵抗は1000〜1250μΩ−cmである。なお、CIP成形によらず、押出し成形による押出し品の異方比は1.6〜2.0である。
このようなカーボン電極の製造方法としては、最大粒径が150μm以下で、かつカーボン質原料の90重量%以上が粒径75μm以下であるカーボン質原料と、残炭率が50%以上である結合材とを加熱混練し、得られる混練物を粉砕し、これを最大粒径が500μm以下であり50重量%以上が粒径38〜500μmとなるように篩分し、得られた2次粒子をCIP成形し、これを焼成後、2900〜3100℃で黒鉛化して等方性黒鉛材料を得、これを加工、純化処理する手段や、最大粒径が150μm以下で、かつカーボン質原料の90重量%以上が粒径75μm以下であるカーボン質原料と、残炭率が50%以上である結合材とを加熱混練し、加熱混練して得られる混練物を130〜200℃で押出し成形し、これを焼成後2900〜3100℃で黒鉛化した黒鉛材料を得、これを加工、純化処理する手段を採用することができる。
ここで、得られた黒鉛材料は、いずれも気孔率が10%であるが、この気孔に熱硬化性樹脂、例えばフェノール系またはフラン系のものを含浸させた後、上述の焼成と同様に
重油バーナを熱源とする炉で焼成し、加工して成形し、高純度処理を行い、灰分を5ppm以下にすることもでき、カーボン質原料を石炭系ピッチコークス、結合材を石炭系コールタールピッチとする組合わせにすることもできる。
【0015】
本発明本発明において、前記摩擦処理工程が、前記炭素電極先端を整形する研削工程後におこなわれることにより、研削工程で電極表面に付着した金属等の汚染物を除去して電極表面を清浄に保ち、アーク溶融中に電極から発生する不純物量を低減し、アーク溶融中に不純物が被溶融物に取り込まれることを防止することができる。
【0016】
特に、複数の棒状部分を接続して形成されている炭素電極の場合には、アーク放電に対応してその先端形状を整形する必要がある。以下にその一例を示す。
具体的には、図7に示すように、カーボン電極(炭素電極)13Eが、アーク放電をおこなう先端部13aを有する棒状の電極13E1と、この電極13E1に接続される複数の電極13E2,13E2によって形成されており、電極13Eの基端側となる電極13E1の一端(図示右端)にメネジ部13Eaが設けられている。おり、他端(図示左端)31bにはオネジ部34が形成されている。同様に電極13E2の両端にはそれぞれメネジ部13Eaとオネジ部13Ebが形成されており、電極13E1と13E2はこのネジ部13Eaと13Ebで連結して継ぎ足せるように形成されている。
このような電極構造を有する場合には、例えば、電極13E2のオネジ部13Ebを有する端部を研削してアーク放電をおこなう先端部13aとする研削工程が必要である。
このような研削工程後に、電極表面を上述した摩擦処理することによって、研削工程で電極表面に付着した金属等の汚染物を除去することが可能となる。
なお、研削工程としては、一度アーク放電をおこなった電極表面を整形する等、その目的は限定されず、電極に接触する金属等の研削手段による汚染可能性がある工程を含むものである。
【0017】
また、石英ガラスルツボ製造時における汚染物としては、特にFeの影響が引き上げる単結晶に混入した場合に大きいが、硬度・強度等から、切削工具にはFeを含むものが多いため単結晶特性の低下に影響を与える可能性があった。本発明の摩擦処理工程によって、この切削工具に含有されるFeからの影響である単結晶特性低下への寄与を、無視しうる程度に充分低減することが可能となる。
【0018】
本発明本発明は、前記摩擦体が石英粉とされること、つまり、前記被溶融物が石英粉または石英であることができ、これにより、被溶融物である石英(シリカ)と同種の石英粉によって「共洗い」することで、他の新たな不純物の付着を防止した状態で電極表面を洗浄することが容易になる。
本発明においては、前記摩擦体および前記被溶融物が石英粉または石英とされるとしているが、ここでいう「石英粉」には、石英に限らず、二酸化ケイ素(シリカ)を含む、水晶、珪砂等、石英ガラスルツボの原材料として周知の材料の粉体をも含むものとし結晶状態、アモルファス、ガラス状態であるものを全て含み、その内部構造は石英のみに限定されないものとする。
【0019】
また、また、本発明において、前記石英粉における不純物レベルが、それぞれFe;0.001〜1.0ppm、Na;0.001〜1.3ppm、K;0.001〜1.0ppm、Li;0.001〜1.0ppm、Cu;0.001〜0.05ppm、Ca;0.001〜1.0ppm、の範囲あるいはこの範囲よりも低レベルな範囲に設定される手段を採用することにより、摩擦処理工程において石英粉から電極に新たな不純物が付着することを防止して、所望の清浄度を電極表面において実現することが可能となる。これにより、石英ガラスルツボ製造のように、被溶融物(製造物)である石英ガラスルツボにおける清浄度にたいする要求レベルが高いものに適応可能な炭素電極を提供することが可能となる。
特に、Fe、Cuのように引き上げる半導体単結晶へ取り込まれる率が高い汚染物を、電極内部へ影響を与えることなく、半導体単結晶引き上げ時の有転移化への影響がなく、結晶のライフタイムに影響がなくなるレベルまで洗浄することが可能となる。
さらに、Na、K, Li, Caに対して、石英ガラスの結晶化を低減し、単結晶収率低減を防止するという効果を奏することができる。
【0020】
また、また、前記石英粉の平均粒径D50が、φ100〜250μmとされることにより、電極の表面に付着しているFe等の不純物を摩擦により除去するために必要な大きさを確保するとともに、電極内部に石英粉が入り込んで結果的にアーク放電時におけるアークプラズマ発生を阻害することがない電極を提供することが可能となる。さらに、石英粉の平均粒径を上記範囲に設定することで、電極表面を適度に荒らすことにより、表面積を増加し放電を容易にするという効果を奏することができる。
ここで、平均粒径D50とは、原料粉の粒度分布において積算値50%の粒度を示すものである。
【0021】
本発明本発明においては、前記摩擦処理工程において、前記摩擦体である石英粉を貯留した貯留槽に前記炭素電極先端側を挿入した状態として、前記貯留槽と前記炭素電極とを相対的に回転運動および/または軸線方向往復運動させて摩擦処理することにより、簡単な構成で、低コストに、上述した電極表面清浄度を実現することが可能となる。
さらに、電極表面を適度に荒らすことにより、表面積を増加し放電を容易にするという効果を奏することができる。
【0022】
さらにさらに、前記摩擦処理工程において、前記炭素電極先端側を前記摩擦体である石英粉によりサンドブラスト処理することにより、電極表面において、局所的にあるいは重点的に汚染されている部分を選択的に洗浄することが可能となる。また、例えば、石英粉を貯留する手法に比べて、電極と摩擦する石英粉が確実に汚染されていない状態とすることができる。
【0023】
また、また、前記摩擦処理工程において、前記炭素電極先端側を摩擦処理する際に、前記電極基端側を保持する保持手段表面の不純物レベルを、それぞれFe;0.001〜1.0ppm、Na;0.001〜1.3ppm、K;0.001〜1.0ppm、Li;0.001〜1.0ppm、Cu;0.001〜0.05ppm、Ca;0.001〜1.0ppm、の範囲あるいはこの範囲よりも低レベルな範囲に維持することによって、アーク放電によって消耗した電極において、先端部分ではなく、より基端側においても上記のように不純物濃度を規定することによって、このような基端側に摩擦処理工程において電極に新たな不純物が付着することを防止して、所望の清浄度を電極表面において実現することが可能となる。これにより、石英ガラスルツボ製造のように、被溶融物(製造物)である石英ガラスルツボにおける清浄度にたいする要求レベルが高いものにその全長で適応可能な表面状態を有する炭素電極を提供することが可能となる。
ここで、Fe、Cuのように引き上げる半導体単結晶へ取り込まれる率が高い汚染物を、電極内部へ影響を与えることなく、半導体単結晶引き上げ時の有転移化への影響がなく、結晶のライフタイムに影響がなくなるレベルまで洗浄することが可能となる。
【0024】
特に、石英ガラスルツボ製造においては、1つのルツボ製造のアーク放電では、アーク放電の最終段階で消耗する電極部分からの不純物がルツボ内面の最表面に取り込まれることになるとともに、引き上げ時にはルツボ内面は最表面から厚さ方向内側に溶損していくので、ルツボ最表面に不純物があると引き上げ工程の最初に半導体融液中に溶け出しその後の引き上げ工程中にわたってずっと単結晶へ取り込まれる可能性がある。このため、アーク放電の最終段階で消耗する電極部分での不純物レベルが引き上げ時に使用した際に最も単結晶特性に影響を与えるため、上記のように最先端部分よりも基端側における汚染物レベルを低減することで、単結晶特性低下をより一層防止することが可能となる。
さらに、Na、K, Li, Caに対して、石英ガラスの結晶化を低減し、単結晶収率低減を防止するという効果を奏することができる。
【0025】
本発明本発明の石英ガラスルツボの製造方法においては、上記のいずれか記載の製造方法により製造された前記炭素電極によるアーク溶融により前記被溶融物となる石英粉成形体を溶融する石英ガラスルツボの製造方法であって、
前記摩擦体が石英ガラスルツボの製造原料と同種の石英粉とされることにより、被溶融物である石英(シリカ)と同種の石英粉によって「共洗い」して、新たな不純物を電極表面に付着させることなく不純物濃度を低減することで、アーク溶融中に電極表面に付着していた不純物が石英ガラスルツボに取り込まれることを防止して、不純物含有量の少ない単結晶引き上げへの不純物からの影響の少ない石英ガラスルツボを製造することが可能となる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、アーク溶融中に電極表面に付着していた不純物が被溶融物に取り込まれることを防止してアーク溶融をおこなうことが可能な電極を提供することが可能となる、また、不純物含有量が少なく単結晶引き上げへの不純物からの影響の少ない石英ガラスルツボを製造することが可能となるという効果を奏することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明に係る炭素電極の製造方法および石英ガラスルツボの製造方法の一実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態における炭素電極の製造方法および石英ガラスルツボの製造方法を示すフローチャートであり、図2は、本実施形態における炭素電極の製造方法を示す工程図であり、図3は石英ガラスルツボ製造装置を示す模式図であり、図において、符号13は、炭素電極である。
【0028】
本実施形態の炭素電極の製造方法および石英ガラスルツボの製造方法においては、図1に示すように、電極準備工程S11と電極研削工程S12とからなる電極整形工程S10、摩擦処理工程S20、電極取り付け工程S30、石英粉充填工程S41、アーク溶融工程S42、ルツボ整形工程S43、石英粉基準設定工程S91、石英粉準備工程S92、とを有するものとされる。
【0029】
本実施形態の炭素電極の製造方法および石英ガラスルツボの製造方法において、炭素電極13は、石英ガラスルツボ製造に用いられるものとされ、図3に示すように、石英ガラスルツボ製造装置1に設けられるものとされる。
【0030】
石英ガラスルツボ製造装置1は、図3に示すように、図示しない回転手段によって回転可能とされ石英ガラスルツボの外形を規定するモールド10を有し、モールド10の内部に原料粉(石英粉)が所定厚さに充填されて石英粉成形体11とされる。このモールド10内部には、その内表面に貫通するとともに図示しない減圧手段に接続された通気口12が複数設けられ、石英粉成形体11内部を減圧可能となっている。モールド上側位置には図示しない電力供給手段に接続されたアーク加熱用の炭素電極13,13,13が設けられ、石英粉成形体11を加熱可能とされている。炭素電極13,13,13は、電極位置設定手段20により、図中矢印Tおよび矢印Dで示すように上下動可能および電極間距離Dを設定可能とされている。
【0031】
石英ガラスルツボの製造装置1は、300kVA〜12,000kVAの出力範囲で、複数の炭素電極13,13,13によりアーク放電によって非導電性対象物(石英粉)を加熱溶融する高出力の装置とされる。
【0032】
炭素電極13,13,13は、例えば、交流3相(R相、S相、T相)のアーク放電を電力密度40kVA/cm〜900kVA/cm〜1,700kVA/cmでおこなうよう同形状の電極棒とされ、図3に示すように、下方に頂点を有するような逆三角錐状となるように、それぞれの軸線13Lが角度8°〜12°程度または、角度5°〜15°程度をなすようにそれぞれが設けられている。
【0033】
炭素電極13は、粒子径0.3mm以下、好ましくは0.1mm以下、さらに好ましくは粒子径0.05mm以下の高純度炭素粒子によって形成されて、その密度が1.30g/cm 〜1.80g/cm 、あるいは1.30g/cm 〜1.70g/cm のとき、電極各相に配置した炭素電極相互の密度差が0.2g/cm 以下とされることができ、このように高い均質性を有していることによって、発生したアークが安定であり、炭素電極13の局部的な欠落を防止できる。
【0034】
本実施形態において、図1に示す電極準備工程S11では、上述したような所定の強度・組成を有し柱状とされる炭素電極13を準備する。
【0035】
次いで、図1に示す電極研削工程S12は、図2(a)に示すように、把持手段30によって把持した炭素電極13の先端部13aを研削手段20によって研削し、アーク放電に適した形状に整形する。研削手段20は、例えば、炭素電極13を研削する研削歯21が、炭素電極13の軸線と同方向の回転軸線となる回転軸22により回転されるものとされる。
電極研削工程S12においては、保持手段30によって保持した炭素電極13を電極軸線方向に進退させて、先端部13aを研削歯21により研削・整形する。炭素電極13は要求される硬度から研削歯21はSUS等、Feを含むものが適応される。
これら電極準備工程S11と電極研削工程S12とは電極整形工程S10を構成する。
【0036】
次に、図1に示す石英粉基準設定工程S91として、後述するように、石英ガラスルツボの製造に用いる石英粉の種類を特定するとともに、摩擦処理工程S20で使用する石英粉の種類を特定する。
【0037】
本実施形態の石英ガラスルツボの製造原料は、モールド10の内部に充填される原料粉(石英粉)として、合成石英粉および/または天然石英粉を使用する。
ここで、合成石英粉とは合成石英からなるものを意味しており、合成石英は、化学的に合成・製造した原料であり、合成石英ガラス粉は非晶質である。合成石英の原料は気体又は液体であるため、容易に精製することが可能であり、合成石英粉は天然石英粉よりも高純度とすることができる。合成石英ガラス原料としては四塩化炭素などの気体の原料由来とケイ素アルコキシドのような液体の原料由来がある。合成石英粉ガラスでは、すべての不純物を0.1ppm以下とすることが可能である。
合成石英ガラス粉のうち、ゾル−ゲル法によるものではアルコキシドの加水分解により生成したシラノールが通常50〜100ppm残留する。四塩化炭素を原料とする合成石英ガラスでは、シラノールを0〜1000ppmの広い範囲で制御可能であるが、通常塩素が100ppm程度以上含まれている。アルコキシドを原料とした場合には、塩素を含有しない合成石英ガラスを容易に得ることができる。
ゾル−ゲル法による合成石英ガラス粉は上述のように溶融前には50〜100ppm程度のシラノールを含有している。これを真空溶融すると、シラノールの脱離が起こり、得られる石英ガラスのシラノールは5〜30ppm程度にまで減少する。なお、シラノール量は溶融温度、昇温温度等の溶融条件によって異なる。同じ条件で天然石英粉を溶融して得られるガラスのシラノール量は5ppm未満である。
一般に合成石英ガラスは天然石英粉を溶融して得られる石英ガラスよりも高温における粘度が低いと言われている。この原因の一つとしてシラノールやハロゲンがSiO四面体の網目構造を切断していることが挙げられる。
合成石英ガラス粉を溶融して得られたガラスでは、光透過率を測定すると、波長200nm程度までの紫外線を良く透過し、紫外線光学用途に用いられている四塩化炭素を原料とした合成石英ガラスに近い特性であると考えられる。
合成石英ガラス粉を溶融して得られたガラスでは、波長245nmの紫外線で励起して得られる蛍光スペクトルを測定すると、天然石英粉の溶融品のような蛍光ピークは見られない。
【0038】
また、天然石英粉とは天然石英からなるものを意味しており、天然石英とは、自然界に存在する石英原石を掘り出し、破砕・精製などの工程を経て得られる原料であり、天然石英粉はα−石英の結晶からなる。天然石英粉ではAl、Tiが1ppm以上含まれている。またその他に金属不純物についても合成石英粉よりも高いレベルにある。天然石英粉はシラノールをほとんど含まない。天然石英粉を溶融して得られるガラスのシラノール量は<5ppmである。
天然石英粉から得られたガラスでは、光透過率を測定すると、主に不純物として約1ppm含まれるTiのために波長250nm以下になると急激に透過率が低下し、波長200nmではほとんど透過しない。また245nm付近に酸素欠陥に起因する吸収ピークが見られる。
また、天然石英粉の溶融品では、波長245nmの紫外線で励起して得られる蛍光スペクトルを測定すると、280nmと390nmに蛍光ピークが観測される。これらの蛍光ピークは、ガラス中の酸素結合欠陥に起因するものである。
含有する不純物濃度を測定するか、シラノール量の違い、あるいは、光透過率を測定するか、波長245nmの紫外線で励起して得られる蛍光スペクトルを測定することにより、ガラス材料が天然石英であったか合成石英であったかを判別することができる。
なお、原料粉(石英粉)として、厚さ方向内側に位置する透明層に対応して主として合成石英粉を使用し、厚さ方向外側に位置する気泡層に対応して天然石英粉を使用することもできる。
【0039】
また本実施形態の石英粉基準設定工程S91においては、この際、摩擦処理工程S20で使用する石英粉における不純物レベルが、それぞれFe;0.001〜1.0ppm、Na;0.001〜1.3ppm、K;0.001〜1.0ppm、Li;0.001〜1.0ppm、Cu;0.001〜0.05ppm、Ca;0.001〜1.0ppm、の範囲、好ましくは、Fe;0.001〜0.35ppm、Na;0.001〜0.15ppm、K;0.001〜0.15ppm、Li;0.001〜0.3ppm、の範囲、あるいはこの範囲よりも低レベルな範囲に設定されるとともに、摩擦処理工程S20で使用する石英粉の平均粒径D50が、φ100〜250μmとされる。
【0040】
このように、石英ガラスルツボ製造に使用される原料石英粉に対して、不純物レベルの少ないものを摩擦処理工程S20で使用する石英粉とすることができる。同時に、石英ガラスルツボ製造に使用される原料石英粉と同等の粒径を有するものを摩擦処理工程S20で使用する石英粉とすることができる。あるいは、半導体単結晶引き上げ用の石英ガラスルツボ製造におけるものとして、摩擦処理工程S20で使用する石英粉のレベルを上記のように設定することが可能となる。
【0041】
次に、図1に示す石英粉準備工程S92として、石英粉基準設定工程S91において設定された石英粉を、摩擦体としての石英粉と石英ガラスルツボ原材料となる石英粉成形体11用の石英粉を所定量準備する。
【0042】
次に、図1に示す摩擦処理工程S20として、炭素電極13表面を摩擦体とされる石英粉QPにより摩擦処理して、電極表面不純物を低減・除去する。
摩擦処理工程S20においては、図2(b)に示すように、貯留槽40に石英粉QPを貯留し、貯留槽40に炭素電極13の先端13a側を挿入した状態として、貯留槽40と炭素電極13とを相対的に回転運動および/または軸線方向往復運動させて摩擦処理する。
【0043】
摩擦処理の相対運動量は炭素電極13表面の汚染状態、要求される清浄度によって異なるが、石英ガラスルツボ製造においては0.5〜100回の回動、1〜200往復させること、好ましくは、5〜20回転、3〜10往復させることが好ましい。また、摩擦処理工程S20において、石英粉と接触させる炭素電極13の部分は、少なくとも、先端13aから後述するアーク溶融工程S42においてアーク放電によって消耗する範囲を含んでいればよく、例えば、口径40インチのルツボ製造においては、炭素電極13の軸線方向50mm以下0mm以上、より好ましくは20mm以下0mm以上の範囲とすること、または、接触範囲軸線方向長さが前記炭素電極径に対する比率を0.001〜0.9を含む範囲、つまり、0.1〜1.5〜2とすることができる。
【0044】
この摩擦処理工程S20において、処理中にわたって、炭素電極13は保持手段30によって把持され、図示しない駆動手段によって、図2(b)に矢印WR示す回転運動、矢印Wrで示す往復運動させることができる。なお、保持手段30は、電極研削工程S12における研削手段20に対する炭素電極13の位置設定と、摩擦処理工程S20における電極運動とをともにおこなう構成とすることもできる。
【0045】
また、この保持手段30にいて、少なくとも炭素電極13に接触する接触部分31の表面における不純物レベルを、それぞれFe;0.001〜1.0ppm、Na;0.001〜1.3ppm、K;0.001〜1.0ppm、Li;0.001〜1.0ppm、Cu;0.001〜0.05ppm、Ca;0.001〜1.0ppm、の範囲、好ましくは、Fe;0.001〜0.35ppm、Na;0.001〜0.15ppm、K;0.001〜0.15ppm、Li;0.001〜0.3ppm、の範囲、あるいはこの範囲よりも低レベルな範囲に維持することが好ましい。
【0046】
例えば、摩擦処理工程S20における保持手段30表面不純物レベル設定は、摩擦処理工程S20より前の工程において、保持手段30の接触部分31表面をこの炭素電極13の摩擦処理をおこなう石英粉にて摩擦・洗浄することが考えられる。
【0047】
なお、本実施形態では、保持手段30によって炭素電極13を回転・往復運動させたが、図示しない駆動手段によって貯留槽40を回転・往復運動させることも可能である。
【0048】
次に、図1に示す電極取り付け工程S30として、表面清浄度を維持した状態で、炭素電極13を石英ガラスルツボ製造装置1に取り付ける。
【0049】
次に、図1に示す石英粉充填工程S41として、石英粉基準設定工程S91として特定し石英粉準備工程S92として準備した石英粉をモールド10に所定の状態で充填して石英粉成形体11を形成する。
【0050】
この状態で、図1に示すアーク溶融工程S42として、所定位置に設定した炭素電極13に電力を供給して、石英粉成形体11を溶融する。
溶融完了後に、図1に示すルツボ整形工程S43として、リムカット・内面洗浄等の所定の処理をおこない、石英ガラスルツボの製造を終了する。
【0051】
本実施形態においては、石英粉QPにより炭素電極13表面を洗浄する摩擦処理工程S20を有することにより、アーク溶融中に炭素電極13表面に付着していた不純物が石英ガラスルツボに取り込まれることを防止してアーク溶融をおこない、不純物含有量が少なく単結晶引き上げへの不純物からの影響の少ない石英ガラスルツボを製造することが可能となる。
【0052】
なお、本実施形態においては摩擦処理工程S20において、貯留槽40に石英粉QPを貯留し、この貯留槽40内部で炭素電極13表面を洗浄したが、図4に示すように、摩擦物としてノズル50aから石英粉QPを噴出して炭素電極13に摩擦させ、サンドブラストにより炭素電極13表面を摩擦・洗浄する表面処理をおこなうこともできる。
【0053】
また、被溶融物となる石英ガラスルツボ原料の石英粉と同程度の清浄度を有する同種のもので炭素電極13を摩擦により洗浄し、不純物の再付着やそれ以外の汚染を防止することができれば石英粉QPでなくてもよく、図5に示すように、被溶融物となる石英ガラスルツボ原料の石英粉と同程度の清浄度を有する石英からなるグラインダ50bにより炭素電極13表面を摩擦することもできる。
この石英製グラインダ50bを、電極整形工程S10における仕上げ整形工程に使用して、摩擦処理工程S20を電極整形工程S10と同時におこなうことも可能である。
【0054】
さらに、図6に示すように、ルツボ回転手段50によって回転させた石英ガラスルツボCの外表面C1に炭素電極13を接触させて摩擦し、炭素電極13表面を摩擦・洗浄する表面処理をおこなうこともできる。ルツボ回転手段50としては、底部を上側にしてルツボCを載置する載置板51と、載置板51上にルツボCを着脱可能に固定する固定手段52と、図示しない駆動手段によって載置板51を回転する回転軸53とを有するものとされることができる。
この場合の石英ガラスルツボCとしては、ルツボ内表面に黒鉛微粒子等が付着して汚染されたなど、ルツボ内表面特性が規定されたレベルを満たさなかったものや、ルツボ整形工程S43におけるリムカット等で破損したものなど排棄する基準のルツボなどを使用することが可能である。また、図示例では、ルツボC全体を載置板51に載置するとして記載したが、ルツボCから切断した切断片を載置板51に載置することも可能である。
【0055】
また炭素電極としては、図7(a)に示すように、炭素電極13Aの基部から先端13aに連続的に縮径し、基部の径寸法R1に対し先端13aの径寸法R2が小さく設定されており、その全長に渡る側面13fが円錐台となっているものや、図7(b)に示すように、炭素電極13Bの先端13aにおける接触部分13cが、炭素電極13の軸線13Lに沿った断面輪郭において曲率不連続点が存在しない曲線、例えば楕円弧とされる形状や、図7(c)に示すように、炭素電極13Bの先端13aにおける接触部分13cが、その基部が均一径部に連続する円錐台の側周面13hとされるとともに、この円錐台より先端13a側が、この円錐台となめらかに連続し、かつ、炭素電極13の軸線13Lに沿った断面輪郭において曲率不連続点が存在しない曲線、例えば楕円弧、あるいは円弧とされる形状や、図7(d)に示すように、炭素電極13Dの基部から先端13aに連続的に縮径する円錐状となっているものが可能である。
【実施例】
【0056】
以下、本発明に係る実施例について説明する。
【0057】
<実験例1>
本発明に係る実験例1として、まず、整形処理をおこなっていない炭素電極13先端部13aにおける不純物濃度を測定した。この際、電極先端部分を所定量採取し、その不純物濃度を、炎色反応から定量分析をおこなう炎光光度計および、誘導結合プラズマによって原子化、熱励起した元素が基底状態に戻る際の発行スペクトルから元素の同定・定量をおこなうとするICP−AESによって測定した。その結果を表1に示す。
なお、表における単位は、試料1グラム中における測定対象元素のμグラム数を示したものである。
【0058】
【表1】

【0059】
<実験例2,3>
実験例1と同様にして、電極研削工程S12直後の炭素電極13先端部13aにおける不純物濃度を測定した。その結果を表1に示す。
【0060】
<実験例4〜6>
実験例1と同様にして、研磨処理工程S20直後の炭素電極13先端部13aにおける不純物濃度を測定した。その結果を表1に示す。
【0061】
<実験例7>
実験例1と同様にして、電極研削工程S12直後の炭素電極13基端側の保持手段31ではなく、汚染のある保持手段で接触していた部分における不純物濃度を測定した。その結果を表1に示す。
【0062】
<実験例8>
実験例1と同様にして、整形処理をおこなっておらず、密閉されていた他の炭素電極13先端部13aにおける不純物濃度を測定した。その結果を表1に示す。
【0063】
<実験例9>
実験例1と同様にして、炭素電極13表面から10mm研削した電極内部における不純物濃度を測定した。その結果を表1に示す。
【0064】
表1から、実験例1、4,5,6,8,9は好ましい範囲であり、 実験例2,3,7は、好ましくない範囲であることがわかる。
上記の結果から、電極内部の不純物濃度が低かった場合でも、電極先端部分には不純物が付着しており、この程度は密閉されていた電極のほうが低減されている。しかし、研削整形処理をおこなった場合、電極表面における不純物濃度が上昇し、本発明の摩擦処理工程によって電極表面を処理することによって、研削工程によって付着した不純物が洗浄されて、不純物濃度が低減されることがわかる。
【0065】
つぎに、これらの電極を使用して、石英ガラスルツボを製造してシリコン単結晶の引き上げをおこなった。
その結果、シリコン単結晶においても、ルツボ起因の不純物が取り込まれているが、電極表面の不純物濃度を低減することで、取り込まれた不純物濃度が低いシリコン単結晶を引き上げられることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明に係る炭素電極の製造方法および石英ガラスルツボの製造方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【図2】本実施形態における炭素電極の製造方法を示す工程図である。
【図3】石英ガラスルツボ製造装置を示す模式図である。
【図4】本発明に係る他の摩擦処理工程の実施形態を示す模式図である。
【図5】本発明に係る他の摩擦処理工程の実施形態を示す模式図である。
【図6】本発明に係る他の摩擦処理工程の実施形態を示す模式図である。
【図7】本発明に係る他の炭素電極を示す模式図である。
【図8】本発明の他の実施形態における炭素電極先端部分を示す模式図である。
【符号の説明】
【0067】
1…石英ガラスルツボ製造装置、13…炭素電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーク放電によって被溶融物を溶融するための炭素電極の製造方法であって、
電力供給前に前記炭素電極表面を前記被溶融物と同種の摩擦体により摩擦処理する摩擦処理工程を有することを特徴とする炭素電極の製造方法。
【請求項2】
前記摩擦処理工程が、前記炭素電極先端を整形する研削工程後におこなわれることを特徴とする請求項1記載の炭素電極の製造方法。
【請求項3】
前記摩擦体が石英粉とされることを特徴とする請求項1または2記載の炭素電極の製造方法。
【請求項4】
前記石英粉における不純物レベルが、それぞれFe;0.001〜1.0ppm、Na;0.001〜1.3ppm、K;0.001〜1.0ppm、Li;0.001〜1.0ppm、Cu;0.001〜0.05ppm、Ca;0.001〜1.0ppm、の範囲あるいはこの範囲よりも低レベルな範囲に設定されることを特徴とする請求項3記載の炭素電極の製造方法。
【請求項5】
前記石英粉の平均粒径D50が、φ100〜250μmとされることを特徴とする請求項3記載の炭素電極の製造方法。
【請求項6】
前記摩擦処理工程において、前記摩擦体である石英粉を貯留した貯留槽に前記炭素電極先端側を挿入した状態として、前記貯留槽と前記炭素電極とを相対的に回転運動および/または軸線方向往復運動させて摩擦処理することを特徴とする請求項3から5のいずれか記載の炭素電極の製造方法。
【請求項7】
前記摩擦処理工程において、前記炭素電極先端側を前記摩擦体である石英粉によりサンドブラスト処理することを特徴とする請求項3から5のいずれか記載の炭素電極の製造方法。
【請求項8】
前記摩擦処理工程において、前記炭素電極先端側を摩擦処理する際に、前記電極基端側を保持する保持手段表面の不純物レベルを、それぞれFe;0.001〜1.0ppm、Na;0.001〜1.3ppm、K;0.001〜1.0ppm、Li;0.001〜1.0ppm、Cu;0.001〜0.05ppm、Ca;0.001〜1.0ppm、の範囲あるいはこの範囲よりも低レベルな範囲に維持することを特徴とする請求項1から7のいずれか記載の炭素電極の製造方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか記載の製造方法により製造された前記炭素電極によるアーク溶融により前記被溶融物となる石英粉成形体を溶融する石英ガラスルツボの製造方法であって、
前記摩擦体が石英ガラスルツボの製造原料と同種の石英粉とされることを特徴とする石英ガラスルツボの製造方法。
【請求項10】
請求項1または2記載の製造方法により製造された前記炭素電極によるアーク溶融により前記被溶融物となる石英粉成形体を溶融する石英ガラスルツボの製造方法であって、
前記摩擦体が石英ガラスルツボと同種の石英とされることを特徴とする石英ガラスルツボの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−76978(P2010−76978A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−248087(P2008−248087)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(592176044)ジャパンスーパークォーツ株式会社 (90)
【出願人】(302006854)株式会社SUMCO (1,197)
【Fターム(参考)】