無線警備システム
【課題】簡易な構成により警戒・解除操作を確実に行いつつ、解除時の警備用端末の動作を極力減らすことにより該端末の電池の寿命を延ばすことが可能になると共に、警戒状態を高精度に判断できてシステムの信頼性を高め得る無線警備システムを提供する。
【解決手段】センサ部と端末制御部及び無線送受信部を有する警備用端末と、該警備用端末に無線で接続されてシステムを警戒と解除のいずれかに設定可能なコントローラとを備えた無線警備システムであって、端末制御部は、コントローラから送信される信号を受信して警戒か解除かを判断し、解除と判断した際に、センサ部及び無線送受信部への電源の供給を休止して警備用端末を所定時間無効にすると共に、警戒と判断した際に、センサ部及び無線送受信部に電源を供給して警備用端末を有効にしてコントローラへの信号送信を可能にしたことを特徴とする。
【解決手段】センサ部と端末制御部及び無線送受信部を有する警備用端末と、該警備用端末に無線で接続されてシステムを警戒と解除のいずれかに設定可能なコントローラとを備えた無線警備システムであって、端末制御部は、コントローラから送信される信号を受信して警戒か解除かを判断し、解除と判断した際に、センサ部及び無線送受信部への電源の供給を休止して警備用端末を所定時間無効にすると共に、警戒と判断した際に、センサ部及び無線送受信部に電源を供給して警備用端末を有効にしてコントローラへの信号送信を可能にしたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ部及び無線送受信部等を有する警備用端末とコントローラとが無線で接続された無線警備システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、無線警備システムにおける警備用端末は、一次電池で動作する場合が多く、このとき運用面で問題となるのが、電池の寿命である。電池の寿命が短くなると電池交換の頻度が増えることから、電池の寿命を延ばすための各種の方法が採用されている。一方、無線警備システムにおいては、警戒/解除の考えがあり、「警戒」とはシステムを警戒状態に設定する場合であり、「解除」とはシステムを解除状態に設定する場合である。そして、解除時は、警戒エリア内に人が居る状態で、警備用端末が人を検知動作する可能性が非常に高く、また、警戒時は、警戒エリア内が無人の状態で、動きがなければ警備用端末が検知動作することは基本的になく、この警戒時で人を検知した場合には、これを侵入者として判断できることになる。
【0003】
従来、この種の無線警備システムとしては、例えば特許文献1〜3が開示されている。特許文献1に開示の警備システムは、システムの解除時に警備用端末(入力装置)への給電をオフすると共に、警備用端末による受信は常時実施してコントローラ(制御装置)の警戒/解除をリアルタイムで受信している。また、特許文献2に開示の警備システム(無線セキュリティ装置)は、警備用端末(無線センサ)がセンサ部と送受信回路及び2つのスイッチを備え、解除時にセンサ部の給電をオフすると共に、解除時に限り受信を常時実施している。さらに、特許文献3に開示の警備システム(ワイヤレスセンサシステム)は、システムの解除時に送信部の給電をオフさせると共に、警備用端末(センサ部)は常時動作状態とし一定時間毎にコントローラ(コントローラ部)と同期させて受信を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−318226号公報
【特許文献2】特開2005−190033号公報
【特許文献3】特開2003−16555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の警備システムにあっては、複数の警備用端末が同時に送信した場合の電波干渉による異常検出情報の伝達不具合を防止することができるものの、警備用端末が異常信号を送信後、一定時間内に応答受信がないとコントローラに異常信号を再送するため、この再送を繰り返した場合に、警備用端末の消費電流が増大して警備用端末の電池の寿命が短くなり易い。
【0006】
また、特許文献2に記載の警備システムにあっては、警備用端末の電源がコントローラとの送信が必要なときのみオンとなるため、警備用端末の電池の消費電力をある程度低減できるものの、解除時に送受信回路に電源が常時供給されて受信可能となっているため、解除時に警備用端末の電池が消費され、電池の寿命を十分に延ばすことが困難である。
【0007】
さらに、特許文献3に開示の警備システムにあっては、警備用端末が解除に切り換えられると、該端末のCPUが検知部の検知信号をキャンセルして解除時の無駄な送信動作を止めることから、解除時の無駄な電力消費を無くすことができるものの、解除時に検知部が機能しない状態となるため、コントローラによりセンサ部の動作が正常か否かを判断できず、コントローラで警戒・解除操作をする場合に、在室中にも係わらず誤って警戒モードに設定する不具合が発生し易い。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、簡易な構成により警戒・解除操作を確実に行いつつ、解除時の警備用端末の動作を極力減らすことにより該端末の電池の寿命を延ばすことが可能になると共に、警戒状態を高精度に判断できてシステムの信頼性を高めることが可能な無線警備システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、センサ部と端末制御部及び無線送受信部を有する警備用端末と、該警備用端末に無線で接続されてシステムを警戒と解除のいずれかに設定可能なコントローラと、を備えた無線警備システムであって、前記端末制御部は、前記コントローラから送信される信号を受信して警戒か解除かを判断し、解除と判断した際に、前記センサ部及び無線送受信部への電源の供給を休止して警備用端末を所定時間無効にすると共に、警戒と判断した際に、前記センサ部及び無線送受信部に電源を供給して警備用端末を有効にして前記コントローラへの信号送信を可能にしたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、前記警備用端末が、前記無線送受信部から前記コントローラに異常信号を送信可能に構成され、無線送受信部からコントローラに異常信号が送信され、該異常信号に基づくコントローラからの返信信号が、解除信号の場合は前記警備用端末を一定時間無効にし警戒信号の場合は警備用端末を有効にすることを特徴とする。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、前記警備用端末が、前記無線送受信部から前記コントローラに異常信号と異常復旧信号とを送信可能に構成され、無線送受信部からコントローラに異常復旧信号が送信され、該異常復旧信号に基づくコントローラからの返信信号が解除信号の場合は、前記警備用端末を一定時間無効にし、前記無線送受信部から異常復旧信号か異常信号のいずれかが送信され、該信号に基づくコントローラからの返信信号が警戒信号の場合、及び前記無線送受信部からコントローラに異常信号が送信され、該異常信号に基づくコントローラからの返信信号が解除信号の場合は、警備用端末を有効にすることを特徴とする。
【0012】
さらに、請求項4に記載の発明は、前記警備用端末が、前記無線送受信部から前記コントローラに異常信号と異常復旧信号とを送信可能に構成され、無線送受信部からコントローラに異常信号が送信され、該異常信号に基づくコントローラからの返信信号が解除信号の場合は、前記警備用端末を一定時間無効にし、前記無線送受信部から異常復旧信号か異常信号のいずれかが送信され、該信号に基づくコントローラからの返信信号が警戒信号の場合、及び前記無線送受信部からコントローラに異常復旧信号が送信され、該異常復旧信号に基づくコントローラからの返信信号が解除信号の場合は、警備用端末を有効にすることを特徴とする。
【0013】
また、請求項5に記載の発明は、前記警備用端末が、ユーザにより異常復旧操作が可能なユーザ操作手段を有して、前記無線送受信部から前記コントローラに異常信号と異常復旧信号とを送信可能に構成され、前記無線送受信部からコントローラに異常信号が送信され、該異常信号に基づくコントローラからの返信信号が解除信号の場合は、警備用端末を前記ユーザ操作手段が操作されるまでの所定時間無効にし、前記無線送受信部から異常復旧信号か異常信号のいずれかが送信され、該信号に基づくコントローラからの返信信号が警戒信号の場合、及び前記ユーザ操作手段が操作されて無線送受信部からコントローラに異常復旧信号が送信され、該異常復旧信号に基づくコントローラからの返信信号が解除信号の場合は、警備用端末を有効にすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のうち請求項1に記載の発明によれば、端末制御部がコントローラから送信される信号を解除信号と判断した場合に警備用端末を所定時間無効にし、警戒信号と判断した場合に警備用端末を有効にしてコントローラへの信号送信を可能にするため、コントローラの返信信号を有効利用するという簡易な構成により、警戒・解除操作を確実に行いつつ、警備用端末を所定時間無効にすることでその動作を極力減らすことができ、警備用端末の電池の寿命を延ばすことが可能になると共に、警戒時には異常発生を精度良く検知できて、警備システムの信頼性を高めることが可能になる。
【0015】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、警備用端末の無線送受信部からコントローラに異常信号が送信され、この信号に基づくコントローラからの返信信号が解除信号の場合に、警備用端末を一定時間無効にするため、例えば背景温度と体温との温度差を検知する熱線センサ等に好適に適用して、警備用端末の電池の消耗を抑えつつ検知精度を十分に高めることができる。
【0016】
また、請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、警備用端末の無線送受信部からコントローラに異常復旧信号が送信され、この信号に基づくコントローラからの返信信号が解除信号の場合に、警備用端末を一定時間無効にするため、例えば特定の人が出入りするドアの開閉を検知するドアセンサ等に好適に使用して、警備用端末の電池の消耗を抑えつつ検知精度を十分に高めることができる。
【0017】
さらに、請求項4に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、警備用端末の無線送受信部からコントローラに異常信号が送信され、この信号に基づくコントローラからの返信信号が解除信号の場合に、警備用端末を一定時間無効にするため、例えば特定の人が出入りするドアの開閉を検知するドアセンサ等に好適に使用して、警備用端末の電池の消耗を抑えつつ検知精度を十分に高めることができる。
【0018】
さらに、請求項5に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、警備用端末の無線送受信部からコントローラに異常信号が送信され、この信号に基づくコントローラからの返信信号が解除信号の場合に、警備用端末をユーザ操作手段が操作されるまでの所定時間無効にするため、例えば不特定多数の人が出入りする自動ドアの開閉を検知するドアセンサ等に好適に使用して、警備用端末の電池の消耗を抑えつつ検知精度を十分に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係わる無線警備システムの基本構成を示すブロック図
【図2】同第1実施形態を模式的に示す図
【図3】同その動作を示すタイミングチャート
【図4】同フローチャート
【図5】同第2実施形態を模式的に示す図
【図6】同その動作を示すタイミングチャート
【図7】同フローチャート
【図8】同第2実施形態の変形例を示す図5と同様の図
【図9】同その要部のフローチャート
【図10】同第3実施形態を模式的に示す図
【図11】同その動作を示すタイミングチャート
【図12】同フローチャート
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1のブロック図に示すように、本発明に係わる無線警備システム1は、警備用端末2と、コントローラ3とを備え、これらが無線で接続されている。前記警備用端末2は、例えば工場等の事務所、各種販売店等の店、あるいは一般家庭等の警備対象施設の出入り口等に設置され、CPU4a及び記憶部4b等を備えた端末制御部4を有している。
【0021】
この端末制御部4の入力側には、熱線センサやドアセンサ(マグネットセンサ)等の各種センサからなるセンサ部5と、後述するユーザスイッチ6a等からなるスイッチ部6が接続され、端末制御部4の出力側には、LEDやブザー等からなる表示部7が接続されている。また、端末制御部4にはアンテナ8aを有する無線送受信部8が接続され、この無線送受信部8を介して、前記コントローラ3との間で各種信号(データ)が無線信号でやり取りされるようになっている。なお、警備用端末2は電池9(一次電池)を有し、この電池9から端末制御部4を介して各部に電源が供給されるようになっている。
【0022】
そして、この警備用端末2は、電池9で動作し、無線送受信部8により無線での信号の送受信が可能で、送信後にコントローラ3から受け取る返信信号から無線警備システム1が警戒か解除かを判断し、警戒中は連続して動作する。また、警備用端末2は、解除中に前記記憶部4bに予め記憶した一定時間t1、t2の間その動作が無効にされたり、ユーザ操作までの所定時間t3の間その動作が無効にされるようになっている。
【0023】
前記コントローラ3は、前記警備対象施設の例えば警備員室等の所定位置に設置されて、図示しないCPUや記憶部等を備えたコントローラ制御部(図では制御部)と、このコントローラ制御部に接続されたアンテナ10を有する無線送受信部、無線回線を介して警備会社の警備センタに接続された通報部、前記コントローラ制御部の入力側に接続されて例えば無線警備システム1を警戒と解除に設定可能な操作部、各種情報を表示可能な表示部、及び電源部等を有している。
【0024】
そして、コントローラ3は、商用電源で動作し、無線送受信部を介して前記警備用端末2の無線送受信部8との間で各種無線信号(各種データ)がやり取りされると共に、通報部を介して前記警備センタとの間で各種信号がやり取りされたり、前記操作部もしくは外部の制御機器によって無線警備システム1の警戒や解除の設定(変更)が可能となっている。
【0025】
図2〜図4は、前記無線警備システム1の第1実施形態を示している。この第1実施形態の無線警備システムは、図2の模式図に示すように、警備用端末2からコントローラ3に異常信号S1のみが送信される警備システムである。この無線警備システム1の場合、警備用端末2のセンサ部5が警戒エリア内の侵入者等を検知すると異常信号S1がコントローラ3に送信(1)され、コントローラ3は、この異常信号S1を受信したら、無線警備システム1が解除の場合には、警備用端末2に図2(a)に示す解除信号S2を返信(2)し、無線警備システム1が警戒の場合には、警備用端末2に図2(b)に示す警戒信号S3を返信(2)する。
【0026】
そして、警備用端末2は、図2(a)に示すように、コントローラ3から解除信号S2が返信された場合は、警備用端末2を一定時間t1無効(3)にする。この無効とは、警備用端末2の電池9から端末制御部4を介してセンサ部5、スイッチ部6、表示部7及び無線送受信部8等(以下、センサ部5等という)への電源の供給を休止させることで行われ、これにより端末制御部4のCPU4aへのセンサ部5からの割り込み処理等が一定時間t1の間キャンセルされる。また、図2(b)に示すように、コントローラ3から警戒信号S3が返信された場合は、警備用端末2の電池9からセンサ部5等に電源が供給された状態を維持し、端末制御部4のCPU4aへのセンサ部5からの割り込み処理が有効のまま(3)とされる。
【0027】
この動作を具体的に示したのが図3のタイミングチャートと図4のフローチャートである。以下、これについて説明する。なお、図4に示すフローチャートは、前記端末制御部4の記憶部4bに予め記憶されたプログラムにしたがい自動的に実行される(以下の図7、図9、図12のフローチャートについても同様である)。先ず、図4に示すように、警備用端末2に電源が投入される等してプログラムがスタート(S100)すると、端末制御部4のCPU4aが低消費電力モードに移行(S101)する。この低消費電力モードとは、警備用端末2の消費電力を抑えるモードで、後述する端末制御部4のCPU4aの割込処理が有効の場合はセンサ部5の入力を可能にし、割込処理が無効の場合はセンサ部4の入力をキャンセルするようになっている。
【0028】
ステップS101で低消費電力モードに移行すると、センサ部5からの入力が有りか否かが判断(S102)され、この判断S102で「YES」の場合、すなわち警戒エリア内に人が侵入して検知要因が発生し、これをセンサ部5が検知して検知信号が端末制御部4に入力された場合は、前記CPU4aの低消費電力モードを解除(S103)し、異常信号S1を無線送受信部8を介してコントローラ3に送信(S104)する。コントローラ3に異常信号S1を送信したら、コントローラ3から異常信号S1の応答信号としての返信信号を受信したか否かが判断(S105)され、この判断S105で「YES」の場合、すなわち警備用端末2が異常信号S1を送信した後に該異常信号S1に基づく返信信号がコントローラ3から返信された場合は、返信信号が警戒モード(警戒信号S3)か否かが判断(S106)される。
【0029】
この判断S106で「NO」の場合、すなわちコントローラ3から解除信号S2が返信されて無線警備システム1が解除モードの場合は、端末制御部4のCPU4aを低消費電力モードに移行(S107)させ、一定時間t1無効(S108)とする。この一定時間t1無効とは、前述したように、電池9から各部への電源の供給を休止することにより行われて、センサ部5からのCPU4aへの割込処理がキャンセルされる。この一定時間t1の間、警備用端末2で消費される電力が低減され、電池9の消耗が抑えられる。
【0030】
なお、前記判断S105で「NO」の場合、すなわち異常信号S1を送信してもコントローラ3から返信信号が返信されない場合は、ステップS107にジャンプして低消費電力モードに移行する。また、前記判断S102で「NO」の場合、すなわちセンサ部5が異常を検知しない場合、及び判断S106で「YES」の場合、すなわちコントローラ3からの返信信号が警戒信号S3で無線警備システム1が警戒モードの場合は、プログラムがエンド(S109)となる。
【0031】
つまり、この第1実施形態の場合、図3に示すように、無線警備システム1の解除中に検知要因が発生すると、異常信号S1がコントローラ3に送信され、この送信後にコントローラ3から解除信号S2が返信されてこれを警備用端末2が受信すると、この受信から端末制御部4の記憶部4bに予め設定された一定時間t1の間、警備用端末2が無効となる。したがって、一定時間t1の間(解除中)に検知要因が発生したとしても警備用端末2が無効とされており、無線送受信部8から異常信号S1を送信したりコントローラ3からの返信信号を受信したり、センサ部5が検知動作すること等がなくなり、警備用端末2の電池9の消耗が抑えられることになる。
【0032】
また、一定時間t1が経過した後の警戒中においては、検知要因の発生の都度、異常信号S1の送信と警戒信号S3の受信とが実行され、警戒中の検知精度が高められることになる。なお、前記一定時間t1としては、警戒エリアの形態に応じて警戒モード開始後の最初の検知要因に対応できる任意に設定可能な一定時間が使用される。
【0033】
この第1実施形態の警備用端末2は、例えば背景温度と体温との温度差を検知する熱線センサ等に好適に使用される。すなわち、熱線センサの場合、無線警備システム1の解除中は、センサ側を人が行き来するため、連続して異常を検知して送信してしまうことになり、解除中に警備用端末2を一定時間t1無効にすることで、該端末2の検知・送信の回数が減り、その電池9の消耗が抑えられることになる。
【0034】
このように、第1実施形態の無線警備システム1にあっては、警備用端末2から送信された異常信号S1に基づきコントローラ3から送信される返信信号が解除信号S2の場合に、警備用端末2の各部への電池9からの電源の供給を休止して警備用端末2を一定時間t1無効にするため、解除中に警備用端末2からの無駄な異常信号S1をコントローラ3に送信したりコントローラ3からの返信信号を受信すること等がなくなり、解除中の警備用端末2の動作を極力減らし、該警備用端末2の電池9の消耗を抑えることができる。
【0035】
特に、無線警備システム1の解除中には、CPU4aが低消費電力モードに自動的に移行し、センサ部5から検知信号が入力された場合にのみ低消費電力モードが解除されて通常モードに移行するため、CPU4aの消費電力を効果的に抑えて、電池9の消耗を一層低減させることができる。また、異常信号S1を送信した後にコントローラ3から警戒信号S3が返信された場合に、警備用端末2を無効にすることなく、低消費電力モードを維持しつつセンサ部5からの検知信号の入力を待っているため、警戒中に検知した異常信号をコントローラ3に確実に送信できて、警戒中の検知精度を一層高めることができる。
【0036】
さらに、警備用端末2から送信した異常信号S1に基づいてコントローラ3から返信される返信信号により、無線警備システム1が解除か警戒かを警備用端末2で判断することができるため、警備用端末2に新たな機構等を加えることなく返信信号を有効利用できて、無線警備システム1の構成を簡素化することができる。これらにより、構成簡易にして、電池9の寿命を極力延ばすことができると共に、警戒状態を確実に判断して、検知精度(警報)を十分に向上させた信頼性の高い無線警備システム1の提供が可能になる。
【0037】
図5〜図9は、本発明に係わる無線警備システムの第2実施形態及びその変形例を示している。以下、前記第1実施形態と同一部位には同一符号を付して説明する(後述する第3実施形態においても同様である)。この第2実施形態は、警備用端末2から異常信号S1と異常復旧信号S4を送信可能な警備システムである。すなわち、図5(a)に模式的に示すように、警備用端末2から異常復旧信号S4がコントローラ3に送信(1)され、この異常復旧信号S4をコントローラ3が受信したら、無線警備システム1が解除の場合には、コントローラ3から警備用端末2に解除信号S2が返信(2)される。そして、警備用端末2は、コントローラ3から解除信号S2の受信を受けて、該警備用端末2を一定時間t2、電池9からセンサ部5等への電源の供給が休止されて無効とされ、センサ部5からのCPU4aへの割込処理がキャンセルされる。
【0038】
また、図5(b)に示すように、警備用端末2から異常信号S1か異常復旧信号S4が送信(1)され、コントローラ3から警戒信号S3が返信(2)された場合は、警備用端末2が有効のまま(3)とされて、電池9からセンサ部5等に電源が供給された状態を維持し端末制御部4のCPU4aへのセンサ部5からの割込処理が有効とされる。さらに、図5(c)に示すように、警備用端末2から異常信号S1が送信(1)され、コントローラ3から解除信号S3が返信(2)された場合は、警戒信号S3が送信された場合と同様に、警備用端末2が有効のまま(3)とされる。
【0039】
この動作を具体的に示したのが図6のタイミングチャートと図7のフローチャートである。以下、これについて説明する。なお、図7の図4と同一部位のステップについては簡略化して説明する(以下の図9、図12においても同様である)。図7に示すように、警備用端末2に電源が投入される等してプログラムがスタート(S200)すると、端末制御部4のCPU4aが低消費電力モードに移行(S201)する。そして、センサ部5からの入力が有りか否かが判断(S202)され、この判断S202で「YES」の場合は、前記CPU4aの低消費電力モードを解除(S203)し、異常信号S1を無線送受信部8を介してコントローラ3に送信(S204)する。
【0040】
ステップS204でコントローラ3に異常信号S1を送信したら、コントローラ3から返信信号を受信したか否かが判断(S205)され、この判断S205で「YES」の場合は、センサ部5の状態が異常復旧か否かが判断(S206)される。この判断S206で「異常復旧」の場合は、コントローラ3から返信された返信信号が警戒モード(警戒信号S3)か否かが判断(S207)される。そして、この判断S207で「NO」で返信信号が解除信号S2の場合は、端末制御部4のCPU4aを低消費電力モードに移行(S208)させ、その後警備用端末2が一定時間t2無効(S209)にされて、プログラムがエンド(S210)となる。
【0041】
なお、前記判断S205で「NO」の場合は、ステップS208にジャンプして低消費電力モードに移行し、また、前記判断S206で「異常発生」の場合、すなわちセンサ部5の状態が異常発生状態の場合、及び判断S207でコントローラ3からの返信信号が警戒信号S3(警戒モード)で「YES」である場合は、プログラムがエンド(S210)となる。
【0042】
つまり、この第2実施形態の場合、図6に示すように、無線警備システム1の解除中に検知要因が発生し、この検知要因が除去されて異常復旧信号S4がコントローラ3に送信されると、この異常復旧信号S4に基づいてコントローラ3から解除信号S2が送信され、この解除信号S2の受信から一定時間t2の間、警備用端末2が無効とされる。したがって、第1実施形態と同様に、一定時間t2の間(解除中)に検知要因が発生したとしても警備用端末2が無効で休止状態とされており、無線送受信部8から異常信号S1を送信したりコントローラ3からの返信信号を受信すること等がなくなり、警備用端末2の電池9の消耗が抑えられる。なお、前記一定時間t2も、前記一定時間t1と同様に、警戒エリアの形態に応じて警戒モード開始後の最初の検知要因に対応できる任意に設定可能な一定時間が使用される。
【0043】
この第2実施形態の警備用端末2は、例えばドアの開閉を検知するドアセンサ(マグネットセンサ)等に好適に使用される。すなわち、出入口ドアのドアスイッチとして機能するドアセンサの場合、人の出入りの人数が限られているものの、動作回数が比較的多いところで毎回送信を行うと警備用端末2の電池9の消耗が激しくなる。そこで、任意に設定可能な一定時間t2の間、警備用端末2を休止させることで、該端末2の検知・送信の回数が減り、その電池9の消耗が抑えられることになる。
【0044】
なお、この第2実施形態の警備用端末2では、異常復旧信号S4を送信し解除信号S2を受信した場合に、警備用端末2を一定時間t2の間無効とし、異常信号S1を送信し解除信号を受信した場合に、警備用端末2を無効にしない構成としたが、図8に示すように、異常復旧信号S4に対する処理と異常信号S1に対する処理を逆に設定することもできる。
【0045】
すなわち、図8(a)に示すように、異常信号S1を送信(1)し、コントローラ3から解除信号S2が返信(2)された場合に、警備用端末2を一定時間t2無効にする。また、図8(c)に示すように、異常復旧信号S4を送信(1)し、コントローラ3から解除信号が返信(2)された場合は、警備用端末2を無効にすることなく有効のまま(3)とする。この変形例におけるフローチャートは、図9に示すように、前記判断S206において、センサ部5の状態が異常発生の場合に、警戒モードか否かが判断(S207)され、センサ部5の状態が異常復旧の場合は、プログラムがエンド(S210)となる。
【0046】
この第2実施形態の無線警備システム1においても、前記第1実施形態と基本的に略同様の作用効果を得ることができると共に、人の出入りが激しいドアの出入口に配設されて、電池9の消耗が激しくなり易いドアセンサ等において、電池9の消耗を極力減らして、その寿命を延ばすことが可能になる。
【0047】
図10〜図12は、本発明に係わる無線警備システムの第3実施形態を示している。この第3実施形態は、警備用端末2から異常信号S1と異常復旧信号S4とが送信可能で、かつ警備用端末2にユーザが操作可能なユーザスイッチ6aを備えた警備システムである。この無線警備システム1は、図10(a)に示すように、警備用端末2から異常信号S1がコントローラ3に送信(1)され、コントローラ3から警備用端末2に解除信号S2が返信(2)された場合は、警備用端末2は、ユーザスイッチ6aがオン操作されるまでの時間t3停止(無効と)されて、センサ部5からのCPU4aへの割込処理がキャンセルされる。
【0048】
また、図10(b)に示すように、警備用端末2から異常信号S1かあるいは異常復旧信号S4が送信(1)され、コントローラ3から警戒信号S3が返信(2)された場合は、警備用端末2が有効とまま(3)とされて、CPU4aへのセンサ部5からの割り込み処理が有効とされる。さらに、図10(c)に示すように、警備用端末2のユーザスイッチ6aが操作されて操作信号が端末制御部4に入力(1)され、異常復旧信号S4がコントローラ3に送信(2)されて、コントローラ3から解除信号S3が返信(3)された場合は、図10(b)の警戒信号S3が送信された場合と同様に、警備用端末2が有効のまま(4)とされる。
【0049】
この動作を具体的に示したのが図11のタイミングチャートと図12のフローチャートである。以下、これについて説明する。図12に示すように、警備用端末2に電源が投入される等してプログラムがスタート(S300)すると、端末制御部4のCPU4aが低消費電力モードに移行(S301)する。そして、センサ部5からの入力が有りか否かが判断(S302)され、この判断S302で「YES」の場合は、前記CPU4aの低消費電力モードを解除(S303)し、異常信号S1を無線送受信部8を介してコントローラ3に送信(S304)する。
【0050】
ステップS304でコントローラ3に異常信号S1を送信したら、コントローラ3から返信信号を受信したか否かが判断(S305)され、この判断S305で「YES」の場合は、コントローラ3から返信された返信信号が警戒モード(警戒信号S3)か否かが判断(S306)される。そして、この判断S306で解除信号S2が返信されて「NO」の場合は、端末制御部4のCPU4aを低消費電力モードに移行(S307)させ、CPU4aの割込処理を無効(S308)とし、時間t3停止(S309)する。このときの時間t3とは、コントローラ3から解除信号S2を受信してから、警備用端末2のユーザスイッチ6aが操作されるまでの時間である。
【0051】
そして、警備用端末2が時間t3停止すると、センサ部6からの入力が異常復旧か否かが判断(S310)され、この判断S310で「異常復旧」の場合、すなわち警備用端末2が異常復旧状態の場合は、ユーザースイッチ6aによりユーザ操作(S311)がされて、CPU4aへの割込処理が行われCPU4aが低消費電力モードを解除(S312)し、その後、コントローラ3に異常復旧信号S4を送信(S313)して、プログラムがエンド(S317)となる。
【0052】
一方、判断S310で「異常発生」の場合、すなわち警備用端末2が異常発生状態の場合は、ユーザスイッチ6aによりユーザ操作(S314)がされて、CPU4aへの割込処理が行われCPU4aが低消費電力モードを解除(S315)すると共に、センサ部5の異常復旧が行われ(S316)、コントローラ3に異常信号S4を送信(S313)して、プログラムがエンド(S317)となる。なお、前記判断S305で「NO」の場合は、ステップS307にジャンプして低消費電力モードに移行し、また、前記判断S306で「YES」の場合は、プログラムがエンド(S317)となる。
【0053】
つまり、この第3実施形態の場合、図11に示すように、無線警備システム1の解除中に検知要因が発生し、異常信号S1が送信されてコントローラ3から解除信号S2を受信すると、この時点からユーザ操作が行われるまでの時間t3、警備用端末2が停止して無効となる。また、警備用端末2の異常復旧信号S4は、ユーザ操作が行われた後で異常復旧信号S4が送信されるまでの時間t4の間、送信待機状態となる。これにより、一度異常信号S1を送信すると、ユーザによる復旧操作が行われるまで、警備用端末2を無効とし、警備用端末2の消費電力を最低限に抑えることができる。また、ユーザにより復旧操作が行われると、警備用端末2が既に復旧状態であれば即送信を行い、復旧状態でなければ次に復旧状態になったとき(前記待機時間t4を経過したとき)に異常復旧信号S4が送信できるように予約できることになる。
【0054】
この第3実施形態の警備用端末2は、自動ドアに設置されるマグネットを使用したドアセンサ等に好適に使用される。すなわち、自動ドアの場合、不特定多数の人が出入りして警備用端末2の動作回数が非常に多いことから、検知毎に毎回送信すると警備用端末2の電池9の消耗が極端に激しく、これを初回の異常発生のみを送信し、その後はユーザによる復旧作業が行われるまで異常復旧の送信をせず、その間の検知・送信を全て行わないようにすることで、電池9の消費電流を抑えることができる。つまり、警備用端末2における送受信が最低限となり、該端末2の消費電流を非常に小さくできることになる。
【0055】
この第3実施形態の無線警備システム1においても、前記第1実施形態及び第2実施形態と基本的に同様の作用効果が得ることができると共に、人の出入りが非常に激しい自動ドアの出入口に配設されて警備用端末2の電池9の消耗が激しくなり易いドアセンサ等において、電池9の消耗を検知精度に悪影響しない範囲内において極力減らし、その寿命を延ばすことが可能になる。
【0056】
なお、上記各実施形態における、警備用端末2やコントローラ3の構成、及びこれらの動作は一例であって、上記した各フローチャートと同様の作用効果が得られる他のフローチャートを採用したり、警備用端末2やコントローラ3を他のブロック構成とする等、本発明に係わる各発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、警備用端末とコントローラとが無線で接続された全ての無線警備システムに利用できる。
【符号の説明】
【0058】
1・・・無線警備システム、2・・・警備用端末、3・・・コントローラ、4・・・端末制御部、4a・・・CPU、4b・・・記憶部、5・・・センサ部、6・・・スイッチ部、6a・・・ユーザスイッチ、7・・・表示部、8・・・無線送受信部、8a、10・・・アンテナ、S1・・・異常信号、S2・・・解除信号、S3・・・警戒信号、S4・・・異常復旧信号、t1、t2・・・一定時間、t3・・・時間、t4・・・待機時間。
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサ部及び無線送受信部等を有する警備用端末とコントローラとが無線で接続された無線警備システムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、無線警備システムにおける警備用端末は、一次電池で動作する場合が多く、このとき運用面で問題となるのが、電池の寿命である。電池の寿命が短くなると電池交換の頻度が増えることから、電池の寿命を延ばすための各種の方法が採用されている。一方、無線警備システムにおいては、警戒/解除の考えがあり、「警戒」とはシステムを警戒状態に設定する場合であり、「解除」とはシステムを解除状態に設定する場合である。そして、解除時は、警戒エリア内に人が居る状態で、警備用端末が人を検知動作する可能性が非常に高く、また、警戒時は、警戒エリア内が無人の状態で、動きがなければ警備用端末が検知動作することは基本的になく、この警戒時で人を検知した場合には、これを侵入者として判断できることになる。
【0003】
従来、この種の無線警備システムとしては、例えば特許文献1〜3が開示されている。特許文献1に開示の警備システムは、システムの解除時に警備用端末(入力装置)への給電をオフすると共に、警備用端末による受信は常時実施してコントローラ(制御装置)の警戒/解除をリアルタイムで受信している。また、特許文献2に開示の警備システム(無線セキュリティ装置)は、警備用端末(無線センサ)がセンサ部と送受信回路及び2つのスイッチを備え、解除時にセンサ部の給電をオフすると共に、解除時に限り受信を常時実施している。さらに、特許文献3に開示の警備システム(ワイヤレスセンサシステム)は、システムの解除時に送信部の給電をオフさせると共に、警備用端末(センサ部)は常時動作状態とし一定時間毎にコントローラ(コントローラ部)と同期させて受信を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−318226号公報
【特許文献2】特開2005−190033号公報
【特許文献3】特開2003−16555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の警備システムにあっては、複数の警備用端末が同時に送信した場合の電波干渉による異常検出情報の伝達不具合を防止することができるものの、警備用端末が異常信号を送信後、一定時間内に応答受信がないとコントローラに異常信号を再送するため、この再送を繰り返した場合に、警備用端末の消費電流が増大して警備用端末の電池の寿命が短くなり易い。
【0006】
また、特許文献2に記載の警備システムにあっては、警備用端末の電源がコントローラとの送信が必要なときのみオンとなるため、警備用端末の電池の消費電力をある程度低減できるものの、解除時に送受信回路に電源が常時供給されて受信可能となっているため、解除時に警備用端末の電池が消費され、電池の寿命を十分に延ばすことが困難である。
【0007】
さらに、特許文献3に開示の警備システムにあっては、警備用端末が解除に切り換えられると、該端末のCPUが検知部の検知信号をキャンセルして解除時の無駄な送信動作を止めることから、解除時の無駄な電力消費を無くすことができるものの、解除時に検知部が機能しない状態となるため、コントローラによりセンサ部の動作が正常か否かを判断できず、コントローラで警戒・解除操作をする場合に、在室中にも係わらず誤って警戒モードに設定する不具合が発生し易い。
【0008】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的は、簡易な構成により警戒・解除操作を確実に行いつつ、解除時の警備用端末の動作を極力減らすことにより該端末の電池の寿命を延ばすことが可能になると共に、警戒状態を高精度に判断できてシステムの信頼性を高めることが可能な無線警備システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成すべく、本発明のうち請求項1に記載の発明は、センサ部と端末制御部及び無線送受信部を有する警備用端末と、該警備用端末に無線で接続されてシステムを警戒と解除のいずれかに設定可能なコントローラと、を備えた無線警備システムであって、前記端末制御部は、前記コントローラから送信される信号を受信して警戒か解除かを判断し、解除と判断した際に、前記センサ部及び無線送受信部への電源の供給を休止して警備用端末を所定時間無効にすると共に、警戒と判断した際に、前記センサ部及び無線送受信部に電源を供給して警備用端末を有効にして前記コントローラへの信号送信を可能にしたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、前記警備用端末が、前記無線送受信部から前記コントローラに異常信号を送信可能に構成され、無線送受信部からコントローラに異常信号が送信され、該異常信号に基づくコントローラからの返信信号が、解除信号の場合は前記警備用端末を一定時間無効にし警戒信号の場合は警備用端末を有効にすることを特徴とする。
【0011】
また、請求項3に記載の発明は、前記警備用端末が、前記無線送受信部から前記コントローラに異常信号と異常復旧信号とを送信可能に構成され、無線送受信部からコントローラに異常復旧信号が送信され、該異常復旧信号に基づくコントローラからの返信信号が解除信号の場合は、前記警備用端末を一定時間無効にし、前記無線送受信部から異常復旧信号か異常信号のいずれかが送信され、該信号に基づくコントローラからの返信信号が警戒信号の場合、及び前記無線送受信部からコントローラに異常信号が送信され、該異常信号に基づくコントローラからの返信信号が解除信号の場合は、警備用端末を有効にすることを特徴とする。
【0012】
さらに、請求項4に記載の発明は、前記警備用端末が、前記無線送受信部から前記コントローラに異常信号と異常復旧信号とを送信可能に構成され、無線送受信部からコントローラに異常信号が送信され、該異常信号に基づくコントローラからの返信信号が解除信号の場合は、前記警備用端末を一定時間無効にし、前記無線送受信部から異常復旧信号か異常信号のいずれかが送信され、該信号に基づくコントローラからの返信信号が警戒信号の場合、及び前記無線送受信部からコントローラに異常復旧信号が送信され、該異常復旧信号に基づくコントローラからの返信信号が解除信号の場合は、警備用端末を有効にすることを特徴とする。
【0013】
また、請求項5に記載の発明は、前記警備用端末が、ユーザにより異常復旧操作が可能なユーザ操作手段を有して、前記無線送受信部から前記コントローラに異常信号と異常復旧信号とを送信可能に構成され、前記無線送受信部からコントローラに異常信号が送信され、該異常信号に基づくコントローラからの返信信号が解除信号の場合は、警備用端末を前記ユーザ操作手段が操作されるまでの所定時間無効にし、前記無線送受信部から異常復旧信号か異常信号のいずれかが送信され、該信号に基づくコントローラからの返信信号が警戒信号の場合、及び前記ユーザ操作手段が操作されて無線送受信部からコントローラに異常復旧信号が送信され、該異常復旧信号に基づくコントローラからの返信信号が解除信号の場合は、警備用端末を有効にすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のうち請求項1に記載の発明によれば、端末制御部がコントローラから送信される信号を解除信号と判断した場合に警備用端末を所定時間無効にし、警戒信号と判断した場合に警備用端末を有効にしてコントローラへの信号送信を可能にするため、コントローラの返信信号を有効利用するという簡易な構成により、警戒・解除操作を確実に行いつつ、警備用端末を所定時間無効にすることでその動作を極力減らすことができ、警備用端末の電池の寿命を延ばすことが可能になると共に、警戒時には異常発生を精度良く検知できて、警備システムの信頼性を高めることが可能になる。
【0015】
また、請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、警備用端末の無線送受信部からコントローラに異常信号が送信され、この信号に基づくコントローラからの返信信号が解除信号の場合に、警備用端末を一定時間無効にするため、例えば背景温度と体温との温度差を検知する熱線センサ等に好適に適用して、警備用端末の電池の消耗を抑えつつ検知精度を十分に高めることができる。
【0016】
また、請求項3に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、警備用端末の無線送受信部からコントローラに異常復旧信号が送信され、この信号に基づくコントローラからの返信信号が解除信号の場合に、警備用端末を一定時間無効にするため、例えば特定の人が出入りするドアの開閉を検知するドアセンサ等に好適に使用して、警備用端末の電池の消耗を抑えつつ検知精度を十分に高めることができる。
【0017】
さらに、請求項4に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、警備用端末の無線送受信部からコントローラに異常信号が送信され、この信号に基づくコントローラからの返信信号が解除信号の場合に、警備用端末を一定時間無効にするため、例えば特定の人が出入りするドアの開閉を検知するドアセンサ等に好適に使用して、警備用端末の電池の消耗を抑えつつ検知精度を十分に高めることができる。
【0018】
さらに、請求項5に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、警備用端末の無線送受信部からコントローラに異常信号が送信され、この信号に基づくコントローラからの返信信号が解除信号の場合に、警備用端末をユーザ操作手段が操作されるまでの所定時間無効にするため、例えば不特定多数の人が出入りする自動ドアの開閉を検知するドアセンサ等に好適に使用して、警備用端末の電池の消耗を抑えつつ検知精度を十分に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係わる無線警備システムの基本構成を示すブロック図
【図2】同第1実施形態を模式的に示す図
【図3】同その動作を示すタイミングチャート
【図4】同フローチャート
【図5】同第2実施形態を模式的に示す図
【図6】同その動作を示すタイミングチャート
【図7】同フローチャート
【図8】同第2実施形態の変形例を示す図5と同様の図
【図9】同その要部のフローチャート
【図10】同第3実施形態を模式的に示す図
【図11】同その動作を示すタイミングチャート
【図12】同フローチャート
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1のブロック図に示すように、本発明に係わる無線警備システム1は、警備用端末2と、コントローラ3とを備え、これらが無線で接続されている。前記警備用端末2は、例えば工場等の事務所、各種販売店等の店、あるいは一般家庭等の警備対象施設の出入り口等に設置され、CPU4a及び記憶部4b等を備えた端末制御部4を有している。
【0021】
この端末制御部4の入力側には、熱線センサやドアセンサ(マグネットセンサ)等の各種センサからなるセンサ部5と、後述するユーザスイッチ6a等からなるスイッチ部6が接続され、端末制御部4の出力側には、LEDやブザー等からなる表示部7が接続されている。また、端末制御部4にはアンテナ8aを有する無線送受信部8が接続され、この無線送受信部8を介して、前記コントローラ3との間で各種信号(データ)が無線信号でやり取りされるようになっている。なお、警備用端末2は電池9(一次電池)を有し、この電池9から端末制御部4を介して各部に電源が供給されるようになっている。
【0022】
そして、この警備用端末2は、電池9で動作し、無線送受信部8により無線での信号の送受信が可能で、送信後にコントローラ3から受け取る返信信号から無線警備システム1が警戒か解除かを判断し、警戒中は連続して動作する。また、警備用端末2は、解除中に前記記憶部4bに予め記憶した一定時間t1、t2の間その動作が無効にされたり、ユーザ操作までの所定時間t3の間その動作が無効にされるようになっている。
【0023】
前記コントローラ3は、前記警備対象施設の例えば警備員室等の所定位置に設置されて、図示しないCPUや記憶部等を備えたコントローラ制御部(図では制御部)と、このコントローラ制御部に接続されたアンテナ10を有する無線送受信部、無線回線を介して警備会社の警備センタに接続された通報部、前記コントローラ制御部の入力側に接続されて例えば無線警備システム1を警戒と解除に設定可能な操作部、各種情報を表示可能な表示部、及び電源部等を有している。
【0024】
そして、コントローラ3は、商用電源で動作し、無線送受信部を介して前記警備用端末2の無線送受信部8との間で各種無線信号(各種データ)がやり取りされると共に、通報部を介して前記警備センタとの間で各種信号がやり取りされたり、前記操作部もしくは外部の制御機器によって無線警備システム1の警戒や解除の設定(変更)が可能となっている。
【0025】
図2〜図4は、前記無線警備システム1の第1実施形態を示している。この第1実施形態の無線警備システムは、図2の模式図に示すように、警備用端末2からコントローラ3に異常信号S1のみが送信される警備システムである。この無線警備システム1の場合、警備用端末2のセンサ部5が警戒エリア内の侵入者等を検知すると異常信号S1がコントローラ3に送信(1)され、コントローラ3は、この異常信号S1を受信したら、無線警備システム1が解除の場合には、警備用端末2に図2(a)に示す解除信号S2を返信(2)し、無線警備システム1が警戒の場合には、警備用端末2に図2(b)に示す警戒信号S3を返信(2)する。
【0026】
そして、警備用端末2は、図2(a)に示すように、コントローラ3から解除信号S2が返信された場合は、警備用端末2を一定時間t1無効(3)にする。この無効とは、警備用端末2の電池9から端末制御部4を介してセンサ部5、スイッチ部6、表示部7及び無線送受信部8等(以下、センサ部5等という)への電源の供給を休止させることで行われ、これにより端末制御部4のCPU4aへのセンサ部5からの割り込み処理等が一定時間t1の間キャンセルされる。また、図2(b)に示すように、コントローラ3から警戒信号S3が返信された場合は、警備用端末2の電池9からセンサ部5等に電源が供給された状態を維持し、端末制御部4のCPU4aへのセンサ部5からの割り込み処理が有効のまま(3)とされる。
【0027】
この動作を具体的に示したのが図3のタイミングチャートと図4のフローチャートである。以下、これについて説明する。なお、図4に示すフローチャートは、前記端末制御部4の記憶部4bに予め記憶されたプログラムにしたがい自動的に実行される(以下の図7、図9、図12のフローチャートについても同様である)。先ず、図4に示すように、警備用端末2に電源が投入される等してプログラムがスタート(S100)すると、端末制御部4のCPU4aが低消費電力モードに移行(S101)する。この低消費電力モードとは、警備用端末2の消費電力を抑えるモードで、後述する端末制御部4のCPU4aの割込処理が有効の場合はセンサ部5の入力を可能にし、割込処理が無効の場合はセンサ部4の入力をキャンセルするようになっている。
【0028】
ステップS101で低消費電力モードに移行すると、センサ部5からの入力が有りか否かが判断(S102)され、この判断S102で「YES」の場合、すなわち警戒エリア内に人が侵入して検知要因が発生し、これをセンサ部5が検知して検知信号が端末制御部4に入力された場合は、前記CPU4aの低消費電力モードを解除(S103)し、異常信号S1を無線送受信部8を介してコントローラ3に送信(S104)する。コントローラ3に異常信号S1を送信したら、コントローラ3から異常信号S1の応答信号としての返信信号を受信したか否かが判断(S105)され、この判断S105で「YES」の場合、すなわち警備用端末2が異常信号S1を送信した後に該異常信号S1に基づく返信信号がコントローラ3から返信された場合は、返信信号が警戒モード(警戒信号S3)か否かが判断(S106)される。
【0029】
この判断S106で「NO」の場合、すなわちコントローラ3から解除信号S2が返信されて無線警備システム1が解除モードの場合は、端末制御部4のCPU4aを低消費電力モードに移行(S107)させ、一定時間t1無効(S108)とする。この一定時間t1無効とは、前述したように、電池9から各部への電源の供給を休止することにより行われて、センサ部5からのCPU4aへの割込処理がキャンセルされる。この一定時間t1の間、警備用端末2で消費される電力が低減され、電池9の消耗が抑えられる。
【0030】
なお、前記判断S105で「NO」の場合、すなわち異常信号S1を送信してもコントローラ3から返信信号が返信されない場合は、ステップS107にジャンプして低消費電力モードに移行する。また、前記判断S102で「NO」の場合、すなわちセンサ部5が異常を検知しない場合、及び判断S106で「YES」の場合、すなわちコントローラ3からの返信信号が警戒信号S3で無線警備システム1が警戒モードの場合は、プログラムがエンド(S109)となる。
【0031】
つまり、この第1実施形態の場合、図3に示すように、無線警備システム1の解除中に検知要因が発生すると、異常信号S1がコントローラ3に送信され、この送信後にコントローラ3から解除信号S2が返信されてこれを警備用端末2が受信すると、この受信から端末制御部4の記憶部4bに予め設定された一定時間t1の間、警備用端末2が無効となる。したがって、一定時間t1の間(解除中)に検知要因が発生したとしても警備用端末2が無効とされており、無線送受信部8から異常信号S1を送信したりコントローラ3からの返信信号を受信したり、センサ部5が検知動作すること等がなくなり、警備用端末2の電池9の消耗が抑えられることになる。
【0032】
また、一定時間t1が経過した後の警戒中においては、検知要因の発生の都度、異常信号S1の送信と警戒信号S3の受信とが実行され、警戒中の検知精度が高められることになる。なお、前記一定時間t1としては、警戒エリアの形態に応じて警戒モード開始後の最初の検知要因に対応できる任意に設定可能な一定時間が使用される。
【0033】
この第1実施形態の警備用端末2は、例えば背景温度と体温との温度差を検知する熱線センサ等に好適に使用される。すなわち、熱線センサの場合、無線警備システム1の解除中は、センサ側を人が行き来するため、連続して異常を検知して送信してしまうことになり、解除中に警備用端末2を一定時間t1無効にすることで、該端末2の検知・送信の回数が減り、その電池9の消耗が抑えられることになる。
【0034】
このように、第1実施形態の無線警備システム1にあっては、警備用端末2から送信された異常信号S1に基づきコントローラ3から送信される返信信号が解除信号S2の場合に、警備用端末2の各部への電池9からの電源の供給を休止して警備用端末2を一定時間t1無効にするため、解除中に警備用端末2からの無駄な異常信号S1をコントローラ3に送信したりコントローラ3からの返信信号を受信すること等がなくなり、解除中の警備用端末2の動作を極力減らし、該警備用端末2の電池9の消耗を抑えることができる。
【0035】
特に、無線警備システム1の解除中には、CPU4aが低消費電力モードに自動的に移行し、センサ部5から検知信号が入力された場合にのみ低消費電力モードが解除されて通常モードに移行するため、CPU4aの消費電力を効果的に抑えて、電池9の消耗を一層低減させることができる。また、異常信号S1を送信した後にコントローラ3から警戒信号S3が返信された場合に、警備用端末2を無効にすることなく、低消費電力モードを維持しつつセンサ部5からの検知信号の入力を待っているため、警戒中に検知した異常信号をコントローラ3に確実に送信できて、警戒中の検知精度を一層高めることができる。
【0036】
さらに、警備用端末2から送信した異常信号S1に基づいてコントローラ3から返信される返信信号により、無線警備システム1が解除か警戒かを警備用端末2で判断することができるため、警備用端末2に新たな機構等を加えることなく返信信号を有効利用できて、無線警備システム1の構成を簡素化することができる。これらにより、構成簡易にして、電池9の寿命を極力延ばすことができると共に、警戒状態を確実に判断して、検知精度(警報)を十分に向上させた信頼性の高い無線警備システム1の提供が可能になる。
【0037】
図5〜図9は、本発明に係わる無線警備システムの第2実施形態及びその変形例を示している。以下、前記第1実施形態と同一部位には同一符号を付して説明する(後述する第3実施形態においても同様である)。この第2実施形態は、警備用端末2から異常信号S1と異常復旧信号S4を送信可能な警備システムである。すなわち、図5(a)に模式的に示すように、警備用端末2から異常復旧信号S4がコントローラ3に送信(1)され、この異常復旧信号S4をコントローラ3が受信したら、無線警備システム1が解除の場合には、コントローラ3から警備用端末2に解除信号S2が返信(2)される。そして、警備用端末2は、コントローラ3から解除信号S2の受信を受けて、該警備用端末2を一定時間t2、電池9からセンサ部5等への電源の供給が休止されて無効とされ、センサ部5からのCPU4aへの割込処理がキャンセルされる。
【0038】
また、図5(b)に示すように、警備用端末2から異常信号S1か異常復旧信号S4が送信(1)され、コントローラ3から警戒信号S3が返信(2)された場合は、警備用端末2が有効のまま(3)とされて、電池9からセンサ部5等に電源が供給された状態を維持し端末制御部4のCPU4aへのセンサ部5からの割込処理が有効とされる。さらに、図5(c)に示すように、警備用端末2から異常信号S1が送信(1)され、コントローラ3から解除信号S3が返信(2)された場合は、警戒信号S3が送信された場合と同様に、警備用端末2が有効のまま(3)とされる。
【0039】
この動作を具体的に示したのが図6のタイミングチャートと図7のフローチャートである。以下、これについて説明する。なお、図7の図4と同一部位のステップについては簡略化して説明する(以下の図9、図12においても同様である)。図7に示すように、警備用端末2に電源が投入される等してプログラムがスタート(S200)すると、端末制御部4のCPU4aが低消費電力モードに移行(S201)する。そして、センサ部5からの入力が有りか否かが判断(S202)され、この判断S202で「YES」の場合は、前記CPU4aの低消費電力モードを解除(S203)し、異常信号S1を無線送受信部8を介してコントローラ3に送信(S204)する。
【0040】
ステップS204でコントローラ3に異常信号S1を送信したら、コントローラ3から返信信号を受信したか否かが判断(S205)され、この判断S205で「YES」の場合は、センサ部5の状態が異常復旧か否かが判断(S206)される。この判断S206で「異常復旧」の場合は、コントローラ3から返信された返信信号が警戒モード(警戒信号S3)か否かが判断(S207)される。そして、この判断S207で「NO」で返信信号が解除信号S2の場合は、端末制御部4のCPU4aを低消費電力モードに移行(S208)させ、その後警備用端末2が一定時間t2無効(S209)にされて、プログラムがエンド(S210)となる。
【0041】
なお、前記判断S205で「NO」の場合は、ステップS208にジャンプして低消費電力モードに移行し、また、前記判断S206で「異常発生」の場合、すなわちセンサ部5の状態が異常発生状態の場合、及び判断S207でコントローラ3からの返信信号が警戒信号S3(警戒モード)で「YES」である場合は、プログラムがエンド(S210)となる。
【0042】
つまり、この第2実施形態の場合、図6に示すように、無線警備システム1の解除中に検知要因が発生し、この検知要因が除去されて異常復旧信号S4がコントローラ3に送信されると、この異常復旧信号S4に基づいてコントローラ3から解除信号S2が送信され、この解除信号S2の受信から一定時間t2の間、警備用端末2が無効とされる。したがって、第1実施形態と同様に、一定時間t2の間(解除中)に検知要因が発生したとしても警備用端末2が無効で休止状態とされており、無線送受信部8から異常信号S1を送信したりコントローラ3からの返信信号を受信すること等がなくなり、警備用端末2の電池9の消耗が抑えられる。なお、前記一定時間t2も、前記一定時間t1と同様に、警戒エリアの形態に応じて警戒モード開始後の最初の検知要因に対応できる任意に設定可能な一定時間が使用される。
【0043】
この第2実施形態の警備用端末2は、例えばドアの開閉を検知するドアセンサ(マグネットセンサ)等に好適に使用される。すなわち、出入口ドアのドアスイッチとして機能するドアセンサの場合、人の出入りの人数が限られているものの、動作回数が比較的多いところで毎回送信を行うと警備用端末2の電池9の消耗が激しくなる。そこで、任意に設定可能な一定時間t2の間、警備用端末2を休止させることで、該端末2の検知・送信の回数が減り、その電池9の消耗が抑えられることになる。
【0044】
なお、この第2実施形態の警備用端末2では、異常復旧信号S4を送信し解除信号S2を受信した場合に、警備用端末2を一定時間t2の間無効とし、異常信号S1を送信し解除信号を受信した場合に、警備用端末2を無効にしない構成としたが、図8に示すように、異常復旧信号S4に対する処理と異常信号S1に対する処理を逆に設定することもできる。
【0045】
すなわち、図8(a)に示すように、異常信号S1を送信(1)し、コントローラ3から解除信号S2が返信(2)された場合に、警備用端末2を一定時間t2無効にする。また、図8(c)に示すように、異常復旧信号S4を送信(1)し、コントローラ3から解除信号が返信(2)された場合は、警備用端末2を無効にすることなく有効のまま(3)とする。この変形例におけるフローチャートは、図9に示すように、前記判断S206において、センサ部5の状態が異常発生の場合に、警戒モードか否かが判断(S207)され、センサ部5の状態が異常復旧の場合は、プログラムがエンド(S210)となる。
【0046】
この第2実施形態の無線警備システム1においても、前記第1実施形態と基本的に略同様の作用効果を得ることができると共に、人の出入りが激しいドアの出入口に配設されて、電池9の消耗が激しくなり易いドアセンサ等において、電池9の消耗を極力減らして、その寿命を延ばすことが可能になる。
【0047】
図10〜図12は、本発明に係わる無線警備システムの第3実施形態を示している。この第3実施形態は、警備用端末2から異常信号S1と異常復旧信号S4とが送信可能で、かつ警備用端末2にユーザが操作可能なユーザスイッチ6aを備えた警備システムである。この無線警備システム1は、図10(a)に示すように、警備用端末2から異常信号S1がコントローラ3に送信(1)され、コントローラ3から警備用端末2に解除信号S2が返信(2)された場合は、警備用端末2は、ユーザスイッチ6aがオン操作されるまでの時間t3停止(無効と)されて、センサ部5からのCPU4aへの割込処理がキャンセルされる。
【0048】
また、図10(b)に示すように、警備用端末2から異常信号S1かあるいは異常復旧信号S4が送信(1)され、コントローラ3から警戒信号S3が返信(2)された場合は、警備用端末2が有効とまま(3)とされて、CPU4aへのセンサ部5からの割り込み処理が有効とされる。さらに、図10(c)に示すように、警備用端末2のユーザスイッチ6aが操作されて操作信号が端末制御部4に入力(1)され、異常復旧信号S4がコントローラ3に送信(2)されて、コントローラ3から解除信号S3が返信(3)された場合は、図10(b)の警戒信号S3が送信された場合と同様に、警備用端末2が有効のまま(4)とされる。
【0049】
この動作を具体的に示したのが図11のタイミングチャートと図12のフローチャートである。以下、これについて説明する。図12に示すように、警備用端末2に電源が投入される等してプログラムがスタート(S300)すると、端末制御部4のCPU4aが低消費電力モードに移行(S301)する。そして、センサ部5からの入力が有りか否かが判断(S302)され、この判断S302で「YES」の場合は、前記CPU4aの低消費電力モードを解除(S303)し、異常信号S1を無線送受信部8を介してコントローラ3に送信(S304)する。
【0050】
ステップS304でコントローラ3に異常信号S1を送信したら、コントローラ3から返信信号を受信したか否かが判断(S305)され、この判断S305で「YES」の場合は、コントローラ3から返信された返信信号が警戒モード(警戒信号S3)か否かが判断(S306)される。そして、この判断S306で解除信号S2が返信されて「NO」の場合は、端末制御部4のCPU4aを低消費電力モードに移行(S307)させ、CPU4aの割込処理を無効(S308)とし、時間t3停止(S309)する。このときの時間t3とは、コントローラ3から解除信号S2を受信してから、警備用端末2のユーザスイッチ6aが操作されるまでの時間である。
【0051】
そして、警備用端末2が時間t3停止すると、センサ部6からの入力が異常復旧か否かが判断(S310)され、この判断S310で「異常復旧」の場合、すなわち警備用端末2が異常復旧状態の場合は、ユーザースイッチ6aによりユーザ操作(S311)がされて、CPU4aへの割込処理が行われCPU4aが低消費電力モードを解除(S312)し、その後、コントローラ3に異常復旧信号S4を送信(S313)して、プログラムがエンド(S317)となる。
【0052】
一方、判断S310で「異常発生」の場合、すなわち警備用端末2が異常発生状態の場合は、ユーザスイッチ6aによりユーザ操作(S314)がされて、CPU4aへの割込処理が行われCPU4aが低消費電力モードを解除(S315)すると共に、センサ部5の異常復旧が行われ(S316)、コントローラ3に異常信号S4を送信(S313)して、プログラムがエンド(S317)となる。なお、前記判断S305で「NO」の場合は、ステップS307にジャンプして低消費電力モードに移行し、また、前記判断S306で「YES」の場合は、プログラムがエンド(S317)となる。
【0053】
つまり、この第3実施形態の場合、図11に示すように、無線警備システム1の解除中に検知要因が発生し、異常信号S1が送信されてコントローラ3から解除信号S2を受信すると、この時点からユーザ操作が行われるまでの時間t3、警備用端末2が停止して無効となる。また、警備用端末2の異常復旧信号S4は、ユーザ操作が行われた後で異常復旧信号S4が送信されるまでの時間t4の間、送信待機状態となる。これにより、一度異常信号S1を送信すると、ユーザによる復旧操作が行われるまで、警備用端末2を無効とし、警備用端末2の消費電力を最低限に抑えることができる。また、ユーザにより復旧操作が行われると、警備用端末2が既に復旧状態であれば即送信を行い、復旧状態でなければ次に復旧状態になったとき(前記待機時間t4を経過したとき)に異常復旧信号S4が送信できるように予約できることになる。
【0054】
この第3実施形態の警備用端末2は、自動ドアに設置されるマグネットを使用したドアセンサ等に好適に使用される。すなわち、自動ドアの場合、不特定多数の人が出入りして警備用端末2の動作回数が非常に多いことから、検知毎に毎回送信すると警備用端末2の電池9の消耗が極端に激しく、これを初回の異常発生のみを送信し、その後はユーザによる復旧作業が行われるまで異常復旧の送信をせず、その間の検知・送信を全て行わないようにすることで、電池9の消費電流を抑えることができる。つまり、警備用端末2における送受信が最低限となり、該端末2の消費電流を非常に小さくできることになる。
【0055】
この第3実施形態の無線警備システム1においても、前記第1実施形態及び第2実施形態と基本的に同様の作用効果が得ることができると共に、人の出入りが非常に激しい自動ドアの出入口に配設されて警備用端末2の電池9の消耗が激しくなり易いドアセンサ等において、電池9の消耗を検知精度に悪影響しない範囲内において極力減らし、その寿命を延ばすことが可能になる。
【0056】
なお、上記各実施形態における、警備用端末2やコントローラ3の構成、及びこれらの動作は一例であって、上記した各フローチャートと同様の作用効果が得られる他のフローチャートを採用したり、警備用端末2やコントローラ3を他のブロック構成とする等、本発明に係わる各発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜に変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明は、警備用端末とコントローラとが無線で接続された全ての無線警備システムに利用できる。
【符号の説明】
【0058】
1・・・無線警備システム、2・・・警備用端末、3・・・コントローラ、4・・・端末制御部、4a・・・CPU、4b・・・記憶部、5・・・センサ部、6・・・スイッチ部、6a・・・ユーザスイッチ、7・・・表示部、8・・・無線送受信部、8a、10・・・アンテナ、S1・・・異常信号、S2・・・解除信号、S3・・・警戒信号、S4・・・異常復旧信号、t1、t2・・・一定時間、t3・・・時間、t4・・・待機時間。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ部と端末制御部及び無線送受信部を有する警備用端末と、該警備用端末に無線で接続されてシステムを警戒と解除のいずれかに設定可能なコントローラと、を備えた無線警備システムであって、
前記端末制御部は、前記コントローラから送信される信号を受信して警戒か解除かを判断し、解除と判断した際に、前記センサ部及び無線送受信部への電源の供給を休止して警備用端末を所定時間無効にすると共に、警戒と判断した際に、前記センサ部及び無線送受信部に電源を供給して警備用端末を有効にして前記コントローラへの信号送信を可能にしたことを特徴とする無線警備システム。
【請求項2】
前記警備用端末は、前記無線送受信部から前記コントローラに異常信号を送信可能に構成され、無線送受信部からコントローラに異常信号が送信され、該異常信号に基づくコントローラからの返信信号が、解除信号の場合は前記警備用端末を一定時間無効にし警戒信号の場合は警備用端末を有効にすることを特徴とする請求項1に記載の無線警備システム。
【請求項3】
前記警備用端末は、前記無線送受信部から前記コントローラに異常信号と異常復旧信号とを送信可能に構成され、無線送受信部からコントローラに異常復旧信号が送信され、該異常復旧信号に基づくコントローラからの返信信号が解除信号の場合は、前記警備用端末を一定時間無効にし、前記無線送受信部から異常復旧信号か異常信号のいずれかが送信され、該信号に基づくコントローラからの返信信号が警戒信号の場合、及び前記無線送受信部からコントローラに異常信号が送信され、該異常信号に基づくコントローラからの返信信号が解除信号の場合は、警備用端末を有効にすることを特徴とする請求項1に記載の無線警備システム。
【請求項4】
前記警備用端末は、前記無線送受信部から前記コントローラに異常信号と異常復旧信号とを送信可能に構成され、無線送受信部からコントローラに異常信号が送信され、該異常信号に基づくコントローラからの返信信号が解除信号の場合は、前記警備用端末を一定時間無効にし、前記無線送受信部から異常復旧信号か異常信号のいずれかが送信され、該信号に基づくコントローラからの返信信号が警戒信号の場合、及び前記無線送受信部からコントローラに異常復旧信号が送信され、該異常復旧信号に基づくコントローラからの返信信号が解除信号の場合は、警備用端末を有効にすることを特徴とする請求項1に記載の無線警備システム。
【請求項5】
前記警備用端末は、ユーザにより異常復旧操作が可能なユーザ操作手段を有して、前記無線送受信部から前記コントローラに異常信号と異常復旧信号とを送信可能に構成され、無線送受信部からコントローラに異常信号が送信され、該異常信号に基づくコントローラからの返信信号が解除信号の場合は、警備用端末を前記ユーザ操作手段が操作されるまでの所定時間無効にし、前記無線送受信部から異常復旧信号か異常信号のいずれかが送信され、該信号に基づくコントローラからの返信信号が警戒信号の場合、及び前記ユーザ操作手段が操作されて無線送受信部からコントローラに異常復旧信号が送信され、該異常復旧信号に基づくコントローラからの返信信号が解除信号の場合は、警備用端末を有効にすることを特徴とする請求項1に記載の無線警備システム。
【請求項1】
センサ部と端末制御部及び無線送受信部を有する警備用端末と、該警備用端末に無線で接続されてシステムを警戒と解除のいずれかに設定可能なコントローラと、を備えた無線警備システムであって、
前記端末制御部は、前記コントローラから送信される信号を受信して警戒か解除かを判断し、解除と判断した際に、前記センサ部及び無線送受信部への電源の供給を休止して警備用端末を所定時間無効にすると共に、警戒と判断した際に、前記センサ部及び無線送受信部に電源を供給して警備用端末を有効にして前記コントローラへの信号送信を可能にしたことを特徴とする無線警備システム。
【請求項2】
前記警備用端末は、前記無線送受信部から前記コントローラに異常信号を送信可能に構成され、無線送受信部からコントローラに異常信号が送信され、該異常信号に基づくコントローラからの返信信号が、解除信号の場合は前記警備用端末を一定時間無効にし警戒信号の場合は警備用端末を有効にすることを特徴とする請求項1に記載の無線警備システム。
【請求項3】
前記警備用端末は、前記無線送受信部から前記コントローラに異常信号と異常復旧信号とを送信可能に構成され、無線送受信部からコントローラに異常復旧信号が送信され、該異常復旧信号に基づくコントローラからの返信信号が解除信号の場合は、前記警備用端末を一定時間無効にし、前記無線送受信部から異常復旧信号か異常信号のいずれかが送信され、該信号に基づくコントローラからの返信信号が警戒信号の場合、及び前記無線送受信部からコントローラに異常信号が送信され、該異常信号に基づくコントローラからの返信信号が解除信号の場合は、警備用端末を有効にすることを特徴とする請求項1に記載の無線警備システム。
【請求項4】
前記警備用端末は、前記無線送受信部から前記コントローラに異常信号と異常復旧信号とを送信可能に構成され、無線送受信部からコントローラに異常信号が送信され、該異常信号に基づくコントローラからの返信信号が解除信号の場合は、前記警備用端末を一定時間無効にし、前記無線送受信部から異常復旧信号か異常信号のいずれかが送信され、該信号に基づくコントローラからの返信信号が警戒信号の場合、及び前記無線送受信部からコントローラに異常復旧信号が送信され、該異常復旧信号に基づくコントローラからの返信信号が解除信号の場合は、警備用端末を有効にすることを特徴とする請求項1に記載の無線警備システム。
【請求項5】
前記警備用端末は、ユーザにより異常復旧操作が可能なユーザ操作手段を有して、前記無線送受信部から前記コントローラに異常信号と異常復旧信号とを送信可能に構成され、無線送受信部からコントローラに異常信号が送信され、該異常信号に基づくコントローラからの返信信号が解除信号の場合は、警備用端末を前記ユーザ操作手段が操作されるまでの所定時間無効にし、前記無線送受信部から異常復旧信号か異常信号のいずれかが送信され、該信号に基づくコントローラからの返信信号が警戒信号の場合、及び前記ユーザ操作手段が操作されて無線送受信部からコントローラに異常復旧信号が送信され、該異常復旧信号に基づくコントローラからの返信信号が解除信号の場合は、警備用端末を有効にすることを特徴とする請求項1に記載の無線警備システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−65198(P2011−65198A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−212607(P2009−212607)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000101400)アツミ電氣株式会社 (69)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(000101400)アツミ電氣株式会社 (69)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]