説明

無落雪屋根の排水構造

【課題】無落雪屋根において、基礎に悪影響を与えない排水構造を提供する。
【解決手段】無落雪屋根2の建物において、基礎20に該建物の内外で開口する鞘管21を埋設し、かつ該鞘管21内に内管22を内挿して該内管22の屋外側の開口端22Aを排水ますと連通し、屋内側の開口端22Bを屋内縦樋17と連通するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無落雪屋根の排水構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、寒冷な地域で採用されている無落雪屋根は既に提供されている(例えば、特許文献1参照。)。該無落雪屋根は、側面視略V字状の屋根面の谷底部分に凹溝状の横樋が設けられており、該屋根面が該横樋に向けて下方傾斜している。また、該横樋には、屋内に配置された屋内縦樋(ルーフドレン配管)の上端が接続されており、さらに該屋内縦樋の下端が、基礎に貫通状に埋設された排水管の一端に接続され、該排水管の他端が屋外の排水部(例えば、排水ます又は側溝)に接続されている。
上記構成にあって、該屋根面上の積雪は屋根勾配に従って横樋に流入し、該積雪の融雪水は該屋内縦樋を介して該排水ます又は該側溝へ排水される。かかる構成により、無落雪屋根の屋根面に積もった雪は軒先から落下せずに横樋に集められ、融雪水として屋外へ排水処理される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−284342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記無落雪屋根の排水構造においては、前記屋内縦樋と、前記排水部とを繋ぐ排水管が建物の基礎に貫通状に直接埋設されていたため、該排水管の点検、清掃又は補修の際の作業性が悪く、また、劣化した該排水管を交換する際に該基礎の一部が損傷してしまうおそれがあった。
また、前記排水部は冬期の冷たい外気によって低温状態となりやすく、しかも該排水部に接続される排水管を介して融雪水が流れ込んでくるため、該排水部近傍では該融雪水が凍結して該排水管が閉塞してしまうおそれがあった。このように、該排水部近傍で排水管が閉塞してしまうと、該融雪水が該排水部に流入不能となって再び屋内縦樋へ向かって逆流し、屋内縦樋でオーバーフローしてしまうことが考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべく、屋根面の略中央に凹溝状の横樋が設けられ、該屋根面は該横樋に向かう下方傾斜状とされ、さらに該横樋には、屋内に配置された屋内縦樋が接続され、該屋根面から該横樋に流入した積雪の融雪水が該屋内縦樋を介して屋外に設置された排水部に排水される無落雪屋根にあって、建物の基礎に該建物の内外で開口する鞘管が埋設され、かつ該鞘管内に内管が内挿され、該内管の屋外側の開口端は該排水部と連通し、屋内側の開口端は該屋内縦樋と連通していることを特徴とする無落雪屋根の排水構造である。
【0006】
上記構成においては、屋根面上の積雪は屋根勾配に従って横樋に流入し、該積雪の融雪水は屋内縦樋を流下し、そして該屋内縦樋に連通する内管内を通過して屋外の排水部へ排水される。ここで該内管は漏水防止のため点検等が必要となるが、作業者は点検等の作業の際に、建物の基礎に貫通状に埋設されている鞘管に対して該内管を管軸方向に適宜移動させたり、管軸周りに回転させたり、さらには該内管を該鞘管から抜き出したりすることができる。このため、該内管の点検等の作業が極めて容易となり、しかもこれらの作業の際に該基礎が傷つけられることがない。
【0007】
また、該内管の屋外側の開口端と、該排水部とを繋ぐ排水管に、屋外において開口する透水孔を有したオーバーフロー部材が少なくとも一つ接続されており、該内管の開口端から流出する融雪水が該オーバーフロー部材の透水孔を介して屋外に排水可能とされている構成としてもよい。
【0008】
前記排水部近傍の排水管においては、前記したように融雪水が凍結して閉塞してしまうおそれがあるが、前記オーバーフロー部材を該内管の開口端と該排水部との間に介在させることにより、前記排水部近傍で融雪水が凍結して排水管が閉塞した場合にも円滑に融雪水を屋外へ排出して、融雪水が屋内へ向かって逆流することを防止することができる。
【0009】
上記構成においては、該オーバーフロー部材が、地表に配置され、かつ地表に露出した多数の透水孔が形成されている格子蓋であり、該格子蓋の透水孔を介して、該内管の屋外側の開口端から流出した融雪水が地表へ排水可能とされている構成が好ましい。また、該オーバーフロー部材が、地中に埋設され、かつ地中で開口する多数の透水孔が形成されている浸透ますであり、該浸透ますの透水孔を介して、該内管の屋外側の開口端から流出した融雪水が地中へ排水可能とされている構成が好ましい。
【0010】
上記構成とすると、上記のように融雪水が凍結して該融雪水が前記排水部である排水ますや側溝へ流入不能となった場合にも、該融雪水が屋内へ向かって逆流することを確実に防止できる。
【0011】
また、該鞘管と該内管とを曲管形状の成形体で構成し、さらに該内管は可撓性材料で構成することが好ましい。
【0012】
このように該鞘管と該内管とがあらかじめ曲管形状の成形体とされていると、内管が鞘管に内挿された際に歪みにくくなり該内管の内周面に融雪水の流動を妨げる凹凸が発生しにくい。また、前記のように該内管は該鞘管内に装着された状態で歪みにくいので該内管に曲げ応力が生じにくくなり、長期にわたって使用されても疲労に起因する該内管の機械強度の低下が起こりにくい。さらに、該内管が可撓性材料で構成されていると、該内管を該鞘管内に挿入しやすい。
【0013】
また、該鞘管と該内管とを曲管形状の成形体で構成し、さらに該内管の内径Dと、該内管の曲げ半径Rとを、R≦6Dとなるように設定することが好ましく、さらに該内管の内径Dと、該内管の曲げ半径Rとを、R≦(1/2)Dとなるように設定することが望ましい。なお、上記曲管には屈曲管と湾曲管とを含むものとする。
【0014】
このように内管の曲げ半径Rを上記範囲に設定すると、基礎の立ち上がり部と内管の屋内側開口端との間隔を狭めることができる。このため、該屋内縦樋を、該基礎の立ち上がり部上に設けられる建物の壁部に近づけてコンパクトに配管することが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、基礎に損傷等の影響を与えることなく、無落雪屋根から流下した融雪水が流れる内管の点検、清掃、補修又は交換などを簡単に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】無落雪屋根の縦断面図
【図2】鞘管と内管とを示す縦断面図
【図3】変形例1における鞘管と内管とを示す縦断面図
【図4】変形例2における鞘管と内管とを示す縦断面図
【図5】a)は変形例3における鞘管と内管とを示す縦断面図、b)は変形例4における鞘管と内管とを示す部分縦断面図、c)はb)の拡大図
【図6】a)は変形例5における鞘管と内管とを示す縦断面図、b)はa)のX−X線断面図
【図7】変形例6における鞘管と内管とを示す縦断面図
【図8】変形例7にかかる無落雪屋根の排水構造を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施例を添付図面に従って説明する。
図1に示すように、無落雪屋根2は、金属系屋根材(例えば塗装溶融亜鉛めっき鋼板)3で構成される側面視略V字状の屋根面3Aと、該屋根面3Aの略中央に形成された谷底部分に配設されている凹溝状の横樋4とを備えている。
【0018】
さらに詳述すると、該無落雪屋根2において、母屋材5に支持された垂木6上には断熱材7を介して野地板8が配置されており、該野地板8上にアスファルトルーフィング(図示省略)を介して前記屋根材3が配置されている。また、前記母屋材5を支持する左右一対の小屋束9,9間には横樋受け桟10が差し渡されており、該横樋受け桟10上に横樋用下地材11が略U字状に配置されている。さらに、該横樋用下地材11上には、横樋用断熱材12が略U字状に敷き詰められ、該横樋用断熱材12上に、金属板(例えば塗装溶融亜鉛めっき鋼板)を折り曲げ加工して作製された横樋4が配置されている。
【0019】
また、前記母屋材5の下方には、天井材13が配置されており、該天井材13の上面には断熱材14が配置されている。
【0020】
また、上記無落雪屋根2の横樋4の底部には排水口15が開口しており、該排水口15には、該排水口15を覆うゴミ除けキャップ16が取り付けられている。また、該排水口15には建物の屋内に配された円管状の屋内縦樋17の上端が接続されている。
そのほか、該無落雪屋根2は、財団法人住宅保証機構が定める性能保障住宅設計施工基準に従って施工されている。
【0021】
上記の無落雪屋根2において、上記屋根面3A上に雪が積もると、該屋根面3A上の積雪は該屋根面3Aの屋根勾配に従って上記横樋4に向かって流れ込む。そして、該積雪の融雪水は、排水口15を介して上記屋内縦樋17に流入し、該屋内縦樋17を流下する。さらに、該屋内縦樋17を流下する融雪水は、屋外に設置された排水部としての排水ます又は側溝(図1,2において図示省略)に排水される。
【0022】
次に、上記無落雪屋根2の排水構造1A(以下、適宜、排水構造1Aという。)を図2に従って説明する。
当該建物の基礎20には、鞘管21が貫通状に埋設されている。具体的には、該鞘管21が該基礎20に埋設された状態で、該鞘管21の一方の開口端21Aが屋外側で開口し、他方の開口端21Bが基礎20の床部20B側で開口している。
該鞘管21は、断面円形で内外周面が非凹凸形とされた曲管形状の成形体で構成され、例えば硬質塩化ビニル材の成形体が用いられる。該鞘管21の内径は、例えば100mmとすることができる。
【0023】
さらに、該基礎20に埋設された鞘管21内には、内管22が内挿される。具体的には、該内管22の屋外側の開口端22Aが該鞘管21の開口端21Aからわずかに差し出され、該開口端21Aに屋外の上記排水ますに連通する排水管23が接続される。一方、該内管22の屋内側の開口端22Bが該鞘管21の開口端21Bからわずかに差し出され、該開口端21Bに上記屋内縦樋17の下端が接続される。
該内管22は、断面円形で内外周面が非凹凸形とされた曲管形状の成形体で構成され、例えば軟質塩化ビニル樹脂材等の弾性材料からなる可撓性成形体を用いることができる。
また内管22と排水管23、及び内管22と屋内縦樋17との接続は、公知の接続手段を採用でき、本実施例ではバンド部材24で接続部分の周囲を締め付けて漏水しないように固定している。
【0024】
上記の無落雪屋根2の排水構造1Aにおいて、該屋内縦樋17を流下する融雪水は、前記内管22内に流れ込み、該内管22を通過した後、前記排水管23を介して屋外の排水ます又は側溝へ排水される。
【0025】
本実施例において、該内管22の曲げ半径R(図2参照)と、該内管22の内径D(図2参照)とは、次に示す関係に設定されている。
R≦(1/2)D
(曲げ半径Rは、内管22の湾曲部分における中心軸線Lの曲率半径)
【0026】
さらに該内管22及び該鞘管21の寸法形状は、該内管22が該鞘管21内に内挿された状態で該内管22の外周面が該鞘管21の内周面に略全長にわたって内接し、該内管22が座屈又は変形することなく適切に該鞘管21の内周面に沿って湾曲するように設定されている。
【0027】
上記構成において、作業者が漏水防止のため内管22を点検等する場合には、建物の基礎20に埋設されている鞘管21に対して該内管22を適宜動かしたり、あるいは該内管22を該鞘管21から抜き出したりすることができる。このため、作業時に該基礎20が傷つけられてしまうことがない。
また、該内管22の曲げ半径RをR≦(1/2)Dに設定したため、基礎20の立ち上がり部20Aと内管22の屋内側開口端22Bとの間隔を狭めることができる。したがって、該屋内縦樋17は、該立ち上がり部20A上に配される建物の壁部25に近づけて配置することが可能となり、該建物の屋内においてコンパクトに配管できる。
【0028】
また本実施例は、鞘管21に内管22を略全長にわたって内接させる構成であるため、鞘管21の外径と内管22の外径とが近似することとなり、建物の基礎20に、内管22の外径に対して過剰に大きな貫通孔を形成する必要がなくなる。したがって、本排水構造1Aは、基礎20の強度を無駄に低下させることがない。
【0029】
本発明の排水構造1Aは、上記実施例に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜設計変更をすることができる。
例えば、鞘管21はポリエチレン(PE)などの他の樹脂材料で構成してもよい。
また、内管22は弾性材料が好適であり、エラストマーや他のゴム材料等の軟質樹脂で構成してもよい。
また、該内管22は、公知のコルゲート管を採用してもよい。
また、円滑な融雪水の排水が可能である限り、鞘管21に内管22が内接していない構成を採用してもよい。
また、鞘管21及び内管22を、屋外側に臨む水平直線部と、それに連なる湾曲部を経て基礎20の床部20B側に向けて略45度の角度で上方傾斜する立ち上がり直線部とを備え、該立ち上がり直線部の上端開口が傾斜している構成としてもよい。このような構成とすると、屋内縦樋17を壁部25から所要距離だけ離した位置に設定することができる排水構造となる。
【0030】
さらに、以下に示す変形例1〜7が提案される。なお、下記変形例1〜7において上記実施例と同様な構成については説明を省略する。
【0031】
〔変形例1〕
図3に示す排水構造1Bにあっては、曲管である内管27の内径Dと、該内管27の曲げ半径Rとが、R≦6Dとなるように設定されている。
このような構成も、該屋内縦樋17は、建物の壁部25に近づけて配置することができる。
【0032】
〔変形例2〕
図4に示す排水構造1Cにあっては、内管28の開口端22A近傍における下側部分29の厚みが変更され、該下側部分29の内周面が融雪水の流出方向に向かって下方傾斜する勾配に調整されており、該下側部分29における融雪水の流動の円滑化が図られている。
【0033】
〔変形例3〕
図5aに示す排水構造1Dにあっては、内管30Aの外周面に、該内管30Aの周方向に沿う環状の凸部31aが管軸方向に沿って間隔をおいて複数設けられている。そして、鞘管26内に内管30Aが内挿された状態で鞘管26の内周面に該内管30Aの凸部31aの先端が当接している。
このような構成とすると、内管30Aの脱着時に鞘管26と内管30Aとの間で生じる摩擦抵抗が低減されるため、内管30Aの脱着作業が容易となる。また、鞘管26内に内管30Aが内挿された状態において該内管30Aが適正に鞘管26に沿って湾曲するため、融雪水の排水が妨げられない。
なお、該凸部31aは、例えば該内管30Aの外周面において一方の開口端22Aから他方の開口端22Bに向かって螺旋状に形成してもよい。また、該内管30Aの管軸方向に沿って一方の開口端22Aから他方の開口端22Bに向かって直線状に形成したものを周方向に沿って複数間隔をおいて設けてもよい。
また、該凸部31aは上記のように線状であってもよいし、突起のような点状であってもよい。
【0034】
〔変形例4〕
図5bに示す排水構造1D’は、変形例3において内管30Aと一体的に形成された凸部31aを、別体で構成するようにしたものである。
さらに詳述すると、図5cに示すように、内管30Bの外周面には、該内管30Bの周方向に沿う環状突部30Cが管軸方向に沿って間隔をおいて複数設けられ、各環状突部30Cの先端に嵌合溝30Dが形成されている。そして、該嵌合溝30D内に樹脂製の環状リングを嵌入させて、該内管30Bに凸部31bを形成している。
このような構成とすると、変形例3と同様に内管30Bの脱着時の摩擦抵抗が低減され、作業性が向上する。特に、本変形例の上記凸部31bは、内管30B本体の材質である軟質塩化ビニル樹脂材より硬質な、あるいは粘弾性の低い樹脂製としたため、鞘管26の内周面に対して滑りが良く、より一層脱着がしやすい。なお、該凸部31bの材質は、鞘管26の内周面に対して滑りが良い材料であれば他の材料で構成しても勿論よい。
また、上記変形例3は鞘管26内に内管30Aを内挿した状態で該鞘管26の内周面に該内管30Aの凸部31aの先端を当接させているが、本変形例にあっては、鞘管26内に内管30Bが内挿された状態で凸部31bの先端を該鞘管26の内周面に当接させていない設定とした。このため、鞘管26と内管30Bとの間に十分な隙間が生まれて更に一層内管30Bの脱着が容易となる。なお、該凸部31bの形状は、種々変更してもよい。
【0035】
〔変形例5〕
図6a,bに示す排水構造1Eにあっては、内管32の外周面に、該内管32の管軸方向に沿う凸条33が周方向に沿って間隔をおいて複数設けられている。そして、鞘管26内に内管32が内挿された状態で鞘管26の内周面に該内管32の凸条33の先端縁が当接し、鞘管26の湾曲部分と内管32の湾曲部分とが部分的に接触している。
このような構成であっても、内管32脱着時に鞘管26と内管32との間で生じる摩擦抵抗を低減できるため、内管32の脱着作業を容易とすることができる。
なお、前記凸条33は、内管32と一体で設けてもよいし別体で設けてもよい。
【0036】
〔変形例6〕
図7に示す排水構造1Fは、鞘管34の屋内側の開口端35に、該鞘管34の外周面から外方に向けて張り出した係合部36が設けられ、該係合部36に該鞘管34より径大な深基礎対応用の延長鞘管37の下端が外嵌されている構成である。
このような構成とすると、基礎20が深基礎である場合に、鞘管34より径大な延長鞘管37を該鞘管34に継ぎ足すことができ、鞘管34を屋内側に延長させつつ、内管22’を介して融雪水を適切に排水することができる。
【0037】
〔変形例7〕
図8に示す排水構造1Gは、オーバーフロー部材を備えた構成である。さらに詳述すると、内管22の開口端22Aと排水部である側溝45とを繋ぐ排水管23には、地中に埋設された浸透ます40が接続されている。また、該浸透ます40の上端には、地表に配置される格子蓋42が取り付けられている。
【0038】
上記浸透ます40の下部には、該排水管23を介して流入した融雪水を地中に排水できる透水孔41が多数形成されている。また、上記格子蓋42は、地表に露出することにより屋外空間に開放される透水孔43が多数形成されている。
なお、該浸透ます40と該格子蓋42とは、各々市販品を好適に用いることができる。
【0039】
上記構成にあって、側溝45近傍の排水管23内で融雪水が凍結し、該側溝45付近の排水管23が閉塞してしまった場合にも、内管22の開口端22Aから流出してくる融雪水は、該浸透ます40および/または該格子蓋42の各透水孔41,43を介して屋外へ排出される。したがって、排水管23内の融雪水は、屋内へ逆流して屋内縦樋17でオーバーフローすることがない。
なお、上記構成は、オーバーフロー部材としての浸透ます40と格子蓋42とを組み合わせた構成であるが、浸透ます40と格子蓋42とのうちいずれか一方のみを採用した構成であっても勿論よい。
【符号の説明】
【0040】
1A〜1G 無落雪屋根の排水構造
2 無落雪屋根
3A 屋根面
4 横樋
17 屋内縦樋
20 基礎
21,26,34 鞘管
22,22’,27,28,30A,30B,32 内管
22A 内管の屋外側の開口端
22B 内管の屋内側の開口端
40 浸透ます(オーバーフロー部材)
41,43 透水孔
42 格子蓋(オーバーフロー部材)
45 側溝(排水部)
D 内管の内径
R 内管の曲げ半径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根面の略中央に凹溝状の横樋が設けられ、該屋根面は該横樋に向かう下方傾斜状とされ、さらに該横樋には、屋内に配置された屋内縦樋が接続され、該屋根面から該横樋に流入した積雪の融雪水が該屋内縦樋を介して屋外に設置された排水部に排水される無落雪屋根にあって、
建物の基礎に該建物の内外で開口する鞘管が埋設され、かつ該鞘管内に内管が内挿され、
該内管の屋外側の開口端は該排水部と連通し、屋内側の開口端は該屋内縦樋と連通していることを特徴とする無落雪屋根の排水構造。
【請求項2】
該内管の屋外側の開口端と、該排水部とを繋ぐ排水管に、屋外において開口する透水孔を有したオーバーフロー部材が少なくとも一つ接続されており、
該内管の開口端から流出する融雪水が該オーバーフロー部材の透水孔を介して屋外に排水可能とされている請求項1記載の無落雪屋根の排水構造。
【請求項3】
該オーバーフロー部材が、
地表に配置され、かつ地表に露出した多数の透水孔が形成されている格子蓋であり、
該格子蓋の透水孔を介して、該内管の屋外側の開口端から流出した融雪水が地表へ排水可能とされている請求項2記載の無落雪屋根の排水構造。
【請求項4】
該オーバーフロー部材が、
地中に埋設され、かつ地中で開口する多数の透水孔が形成されている浸透ますであり、
該浸透ますの透水孔を介して、該内管の屋外側の開口端から流出した融雪水が地中へ排水可能とされている請求項2記載の無落雪屋根の排水構造。
【請求項5】
該鞘管と該内管とを曲管形状の成形体で構成し、さらに該内管は可撓性材料で構成した請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の無落雪屋根の排水構造。
【請求項6】
該鞘管と該内管とを曲管形状の成形体で構成し、
さらに該内管の内径Dと、該内管の曲げ半径Rとを、
R≦6D
となるように設定した請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の無落雪屋根の排水構造。
【請求項7】
該内管の内径Dと、該内管の曲げ半径Rとを、
R≦(1/2)D
となるように設定した請求項6記載の無落雪屋根の排水構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−226153(P2011−226153A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97014(P2010−97014)
【出願日】平成22年4月20日(2010.4.20)
【出願人】(000000505)アロン化成株式会社 (317)